スーパーGTの平川亮選手がテスト

“今月のTOM’S装着パーツ”

関谷正徳氏が直々チェック

　

そしてレーシングチームであるト

ムスが徹底的にチューンするとなれ

ば、その評価は必然的にサーキット

のラップタイムによって計られると

考えていい。本稿ではチューニング

を進めていく過程で都度、富士スピ

ードウェイにおけるタイムアタック

を予定しており、熟成の度合いをチ

ェックしていく予定である。

　

今回のレポートでタイムアタック

を担当するのはレーシングドライバ

ーの平川亮選手。今年のスーパーＧ

Ｔにトムス・チームから参戦し、開

幕戦に勝利している彼はこの仕事に

最適な人物といえる。またコントロ

ールタイヤとしてブリヂストンのポ

テンザＲＥ-

７１Ｒを使用していくこと

も決定している。

　

ＲＣ

Ｆレポートの第１回は、すで

にトムスの手が入りはじめてはいる

が、性能的にはまだノーマル状態に

あるテスト車両のＲＣ

Ｆを富士で走

らせてラップタイムを計測すること

からはじめていく。

　

ＲＣ

ＦはレクサスＲＣの最上級ス

ポーツバージョンであり、Ｆのアル

ファベットはよく知られているよう

に、その開発のステージとしても利

用されている富士スピードウェイの

頭文字をとったもの。４７７㎰を発

揮する５ℓＶ８エンジンを搭載し、

８速のギヤボックスと組み合わせた

２＋２シーター、ＦＲレイアウトの

スポーツカーである。

　

ＢＭＷ

Ｍ４のライバルとして知ら

れるこのクルマをチューンしていく

場合、全域におけるチューニングは

必要ない。パワートレインのレベル

は完成形に近く、またブレーキに関

してもすでにブレンボ製の対向６ポ

ッドが奢られているので、容量的に

は十分といえる。そこで今回のレポ

ートではエアロとダンパー＆スプリ

ングの足まわり、そしてボディ補強

とタイヤ・ホイール等を中心に行っ

ていくことになる。だがエアロによ

ってダウンフォースを増やし、ボデ

ィ補強と足まわりのセッティングで

メカニカルグリップを高めラップタ

イムを稼ぐ考え方はまさにレーシン

グチームが得意とする部分だ。

　

今回、平川選手のタイムアタック

をピットで見守るのは、スーパーＧ

Ｔでトムス・チームの監督を務める

関谷正徳さんだ。ロードモデルのレ

クサスＲＣ

Ｆにはどのような印象を

持っているのだろうか？

「サーキットを連続周回できるとい

うことは、まずブレーキがしっかり

しているからだよね。スポーツカー

でここまでブレーキ性能が高いのは

ポルシェとＲＣ

Ｆだけだよ」

　

平川選手は今年２１歳、普通車より

もレーシングカーのキャリアの方が

はるかに長いという彼は謙虚に「サ

スペンションが大きくストロークす

るクルマの動きが最近ようやくわか

ってきたところ」だと言う。だがも

ちろんサーキットではいきなり安定

してトップレベルのタイムを記録す

ることができる。

　

今回のタイムアタックは混走状態

の中で行われたが、平川選手は２分

１秒台の安定したラップを刻み、２

分１秒４５９を記録したのである。

「タイヤのグリップはとっても安定

しているんですが、コース後半のタ

イトなセクションではアンダーオー

バーが頻繁に出てしまい、姿勢を安

定させるのに苦労しました。やっぱ

りノーマル状態なのでサスペンショ

ンのストロークが大きくて、ピッチ

ングが出てしまうと、そのままタイ

ヤのグリップに影響してしまってい

るんだと思います」と的確なコメン

トをくれた平川選手。まずは富士２

分切りがＲＣ

Ｆレポートの現実的な

目標となったのである。

ムスと言えば、トヨタ系のレ

ーシングチーム、チューナー

として世界にその名を知られる存在

である。スーパーＧＴやスーパーフ

ォーミュラといった国内トップカテ

ゴリーでタイトル争いを繰り広げて

いる同社は、長年のレース活動で培

った高いエンジニアリング能力を活

かし、市販車用のチューニングパー

ツの開発も行っているのである。ま

たチューニングパーツをバランスよ

く組み込むことで完成するコンプリ

ートカーも高い人気を誇っている。

　

そんな同社が現在特に力を入れて

チューニングパーツの開発を進めて

いるモデルが、昨年末にデビューを

果たしたレクサスのスポーツクーペ、

ＲＣ

Ｆである。トヨタ系トップチュ

ーナーはどのような手法でコンプリ

ートカーを仕上げていくのだろうか。

今回の連載では、その一部始終をレ

ポートしていく。

　

トムスのチューニングパーツはト

ヨタが市販している多くの車種をカ

バーしているが、コンプリートカー

として仕上げる車種は限られている。

とはいえ今回のＲＣ

Ｆのようなトッ

プレベルのスポーツカーと対峙した

場合、“徹底的にセッティングを詰め

た状態”まで仕上げて、カスタマー

に提供したいと思うのはチューナー

として当然のことだろう。

Lexus RC FTuned by TOM’S始動！ RC Fチューン。スポーツモデルのポテンシャルが飛躍的に高まっている昨今。コンプリートチューンの開発も難しさを増すが、レクサスの急先鋒であるRC Fを名門トムスが仕立てることになった。その過程を追い、熟成度をチェックする。

Vol.1

REPORT◉吉田拓生（Takuo Yoshida）　PHOTO◉市 健治（Kenji Ichi）

ト

関谷正徳監督がRC Fの走りをチェック。日本人初の ル・マン総合優勝ドライバーは、ロードカーのセッティングにもはっきりとした理想形を描くことができる。父と子ほどに歳の離れた関谷監督は平川選手にとってよきアドバイザーであり相談相手でもあるという。

1994年生まれで今年21歳となるレーシングドライバーの平川亮選手。2007年、13歳の時にレーシングカートでキャリアをスタートさせた彼は、すでにスーパー GTとスーパーフォーミュラという日本のトップカテゴリーに到達し、先頭争いを展開。本企画ではRC Fチューンのテストドライバーを務める。

ポテンザのリアルスポーツタイヤとして伝説的なRE71。その栄光の名を引き継いだRE 71Rは、コーナリングスピードを確実に向上させ、ラップタイムを詰めることができる最新のポテンザだ。本企画のレポートでは、RE 71Rをコントロールタイヤに指定している。

問い合わせ／TOM’S　A0120-846-036　http://www.tomsracing.co.jp

現状のレポート車はほぼノーマル状態。現在装着されているトムス製品は外装のイメージを引き締めるカーボンシートとTOM’Sエンブレム。エンジン系では電子スロットルコントローラー（今回はノーマル状態でアタック）。室内ではカーボン・ステアリング、プッシュスタートボタン、そしてフロアマットを変更。

FSW LAP TIME

2分01秒459

アタックタイヤはブリヂストンPOTENZA RE-71Rに決定！

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