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2018 ANNUAL REPORT

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2018ANNUAL REPORT

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Annual Report 2018 ▶ 03

ごあいさつ

 設立より4年目となった本年度は、これまでの活動を引き継ぐ一方、益

学長、水本理事・副学長(教育担当)の新体制のもとで、新たな取り組み

も精力的に実施してきました。

教育国際連携本部、6学院、リベラルアーツ研究教育院との連携体制を

構築するために、本センターが主導して、各学院の教育担当の副学院長等

で構成される教育の質向上サイクルワーキンググループを教育国際連携

本部下に設置し、学院ごとのPDCAサイクル体制の検討を皮切りに、学

生の学びに直接問いかける授業学修アンケートへの刷新など、教育に関

する新たな企画や改善策を検討してきました。

 全学FDとして宿泊型FDを3年ぶりに再開し、他部局の先生方ととも

に本学の教育について集中して考える機会を設けるとともに、アクティ

ブラーニング制度と創造性育成科目の制度を統合した、教育の質向上を

支援する助成制度EdCycle Grantの設立や、各学院からの要望により実

施する「英語による授業のためのFDセミナー」など、新たな試みを提供

してきました。一方、恒例の教育革新シンポジウムでは、コロラド大学ボ

ルダー校と広島大学による特別講演や他大学からのポスター発表など学

外の様々なTA制度の紹介により本学のTA制度を進化させるための貴重

な意見交換を行いました。

 オンライン教育開発室では、公募などの活動により学内からMOOCや

SPOCの制作依頼を数多くいただくようになりました。GSA(p.11)プロ

グラムでは、優れたTAを認定する制度で91名を認定し、LPG(p.12)事

業では、開発中の学習管理システムT2SCHOLAがいよいよ2019年度よ

り試用開始できる段階になりました。

 このような本年度の新しい流れを汲みつつ、次年度は、センター教職員

一同、さらなる進化を目指して教育の質向上に取り組んでいきますので、

教職員の皆さんのご支援とご協力をお願いしたいと存じます。

2019年3月

教育革新センター長井村 順一

C I T L Annual Report 2018

INDEX

03 ごあいさつ 教育革新センター長 井村 順一

04-05 CITLの概要

06-08 活動実績2018

09-10 OEDO

11-13 GSA/LPG/DIY

14 Fact Date2018

15 運営の仕組み

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Annual Report 2018 ▶ 0504 ◀ Annual Report 2018

CITLの概要

教育革新センター(Center for Innovative Teaching and Learning : CITL)の概要

教育革新センターは、東京工業大学の教育・研究理念と戦略に基づき、教育方法、教育能力開発方法、教育支援方法及び教育の質向上のための教育マネジメント体制の革新及びその継続的実践により、教授力及び教育意識の高い教員並びに学習意欲にあふれ学力及び人間力が高い学生の育成を図り、世界最高の理工系総合大学の実現に資することを目的としています。この目的を達成するため、次の事業に取り組みます。

教育の質保証体制の構築 教育の質向上に資する体制構築を目指します。授業学

修アンケートの実施マネジメントをはじめ、学内教育組織

で展開される授業科目の質向上、カリキュラム改善に貢献

します。加えて、学内の教学データの分析(Institutional

Effectiveness)などを視野に入れた活動を行います。デー

タに基づいた、教育活動の企画・展開・評価・改善へのアク

ションを起こしていきます。

●授業学修アンケートの企画・実施

● 授業学修アンケート結果のフィードバック

●カリキュラム評価の企画

●学生の学修行動分析

●マネジメント体制の構築支援

教育能力の開発及び向上支援 教員・TA(Teaching Assistant)の教育能力向上、職員

の大学教育に対する関心向上を目指します。インストラク

ショナルデザイン等の諸原理に基づいた教員研修及びTA

研修、並びに職員研修を行い、本学において展開される多

彩な授業科目の効果・効率・魅力の向上に貢献します。

 また、新たな教授法であるアクティブラーニングや、動

画教材の授業活用等の実施支援を行います。

● 教員・職員・TA を対象とした研修の企画・実施

●英語による教授法の向上支援

●動画を活用した教授法の向上支援

●各種ハンドブックの作成

● 授業コンサルテーション、学修サポート

教育学習環境の開発及び教育支援 新たな教授法に対応する教育学習環境の整備と

構築を目指します。オープンな学習教材としての

MOOC(Massive Open Online Course)開発を

通じて、新たな教育学習環境づくりに貢献します。

また、コース開発支援だけでなく、教員個人がオ

ンライン教材を授業で活用することができるよう

な支援も行ないます。

● MOOC開発

●オンライン教材を活用できる環境整備

●教室環境コンサルテーション

 オンライン教育を推進するために、オンライン

教育開発室(Online Education Development

Office: OEDO)をセンター内に設けています。

教育方法の研究開発及びその普及 教育の質保証体制の構築、教育能力の開発、教育学習環境の開発を支え

る研究活動を行ないます。各教育組織が主体となって大学における教育を

展開することを踏まえ、それら教育活動の推進と革新に貢献します。国内

外の同種センター組織等との連携を図り、広く学内外への発信にも努めます。

●効果的な講義法の開発

●アクティブラーニングの推進

● ICTを活用した効果的な教授・学習法の開発推進プロジェクト(文部科

学省からの支援)

 ・ 「教職員と学生ならびに学生間の協働による学びのコミュニティシステ

ムの確立」(通称 : GSA)平成28 ~ 32年度

 ・ 「学生が自ら進んで学べるプラットフォームの構築による教育改革の更

なる推進」(通称 : LPG)平成29 ~ 33年度

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Annual Report 2018 ▶ 0706 ◀ Annual Report 2018

活動実績2018

活動実績 2018教育革新センター(Center for Innovative Teaching and Learning:CITL)は、2015年4月に発足し、「教育の質保証体制の構築」、「教育能力の開発及び向上支援」、「教育学習環境の開発及び教育支援」、「教育方法の研究開発及びその普及」を主な目的として活動を展開しています。さらにセンター内のオンライン教育開発室(Online Education Development Office:OEDO)ではMOOC(大規模公開オンライン講座:Massive Open Online Course)の開発、配信を行っています。ここでは2018年度の主な活動をご紹介いたします。

教員対象プログラム

学生対象プログラム

職員対象プログラム全学FD 教育・国際連携本部が、宿泊形式の全

学FDを2018年度に再開しました。その

企画・実施について、学務部とも協力し

ながら、CITLは全面的に支援したとこ

ろです。

 11月26日~ 27日にクロスウェーブ

府中で開催した全学FDは、2016年度

より始まった本学の教育改革が目指す

「学生が自ら学び考える教育」を踏まえ、

「Student-Centered Learningの実 現に

向けて」をテーマとしました。

 1日目(11月26日)は、益一哉学長

による講演「東工大が目指す教育」を皮

切りに、水本哲弥理事・副学長と招聘講

師である森朋子教授(関西大学教育推進

部)によるレクチャーが続きました。そ

の後、「大学院における英語授業を実質

化する」「オンラインを授業内外で活用

する」「TAと協力して授業を展開する」

「学生の学修を測定する」の4グループ

に分かれて、テーマの検討、翌日のプレ

ゼンテーション準備が進みました。

 2日目(11月27日)は、各グ ループが、

テーマに関する検討内容や提案等につい

てプレゼンテーションし、全体からのフィー

ドバックを踏まえた再検討まで行いまし

た。最後に、齋藤憲司教授(保健管理セン

ター)から現代学生の気質と教職員の学

生への関わり方についての講演が行われ、

2日間のプログラムを終えました。

英語での指導向上を目的としたセミナー 大学院における授業の英語化を見据

え、教育・国際連携本部の下に設置され

た、授業の英語化推進ワーキンググルー

プと連携し、セミナーの開催を企画・実

施しました。

 これまでクイーンズランド大学や国

内機関から講師を招聘しセミナーを開

催してきましたが、本学で行われている

授業形態の多彩さ、各担当教員がもっ

ている英語運用力の幅を勘案し、様々な

ディスカッションを重ねて、本学向けに

カスタマイズしたセミナーを開催したと

ころです。また開催場所は、CITLでの開

催と、各系での開催というパターンとし

ました。

 もちろん、「大学教員のための教室英

語表現300」を電子書籍化し、全教員が

利用できるウェブサイトの環境は継続

しています。

動画を活用した授業設計セミナー授業への動画の活用方法や動画の制作

方法の習得を目的としています。講義を

動画で提供し授業前に視聴してもらう

ことで授業中の実験や演習、PBL等のア

クティブラーニングを充実させたい、欠

席者に対して講義の動画を提供して補

習を促したい、授業の英語化に向けて

動画を活用したいといったニーズに対

応するため、2017年度から本セミナー

を提供しています。2018年度は計10回

(すずかけ台キャンパスで2回)の受講

機会を提供しました。本セミナーでは、

参加者はセミナーの前半に動画を活用

した授業設計や動画の設計方法などの

基本的な知識を整理し、後半には動画を

実際に制作するワークショップを行いま

す。動画を授業で活用することで、アク

ティブラーニングの充実化や授業に出

席できない学生への対応、授業の英語化

への対応が期待されます。

学務系職員セミナー 学務系職員対象のセミナーは、2016

年度から開始し、2018年度には計3回

実施したところです。

 学生と関わる現場では、不測の事態

が必ず起こり得ます。想定外の状況に、

ともするとマニュアルを求めてしまい

がちです。不測のケースを素材に、チー

ムで対応策を検討し、日常の仕事を振

り返るセミナーを継続開催しました。加

えて、新しいアイディアが生まれる時

はいかなる時かについて再考するセミ

ナーも準備しました。

 どちらのセミナーも、職場において

チームで仕事を行っていくために大切

な対話のスキルを習得しながら、自身

の現場について省察する内容となって

います。

学生向けセミナー 教職員向けの研修に加え、学生を対象

としたセミナーも企画、開催しています。

2018年度は図書館と共催で例年開催し

ている「日本語ライティングセミナー」

と、2019年度から大学院授業の英語化

を見据えて2018年度から提供している

「英語ライティングセミナー(Writing

in English Seminar)」を開催しました。

アクティブラーニング支援制度  アクティブラーニングの普及と、よ

り効果的で効率的な学習の実現に向け

て、教育手法の変革に挑戦する教員の

スタートアップを支援する制度として、

2016年度より開始しました。アクティ

ブラーニングによる講義を新たに実施

したい、反転授業のための教材開発に挑

戦したい、講義中の学生との双方向性を

より高めたい教員に対し、スタートアッ

プに必要な資金の一部を支援するもの

です。2018年度は申請があった全4件

の取組みを採択しました。また、昨年度

にアクティブラーニング支援制度に採

択された活動の概要は2019年1月に開

催されたCITLシンポジウムにおいてポ

スター展示され、参加者の関心を呼びま

した。

 2019年度からは、これまで教育・国

際連携本部で行ってきた創造性育成科

目への経費支援と教育革新センターで

展開していたアクティブラーニング支援

制度を発展的に統合した、本学における

教育の質向上に資する意欲的な取組み

を支援する「EdCycle Grant」という助

成制度を新たに開始します。

アクティブラーニング支援制度 2018年度に採択された取り組み

取り組み名 申請者 所属

東工大発の「研究倫理ゲーム教材」の作成と高度化および学内外への展開 猪原 健弘 教授 リベラルアーツ

研究教育院

アクティブラーニングとICT機器を活用した英語の大学院講義 千葉 明 教授 工学院 電気電子系

異分野協創エンジニアリングデザインプロジェクト 因幡 和晃 准教授 環境・社会理工学院

融合理工学系

学部2年次大人数(90名)講義における環境整備 森川 淳子 教授 物質理工学院 材料系

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Annual Report 2018 ▶ 0908 ◀ Annual Report 2018

授業評価アンケート 2018年度も各クォーターで授業評価

アンケートを実施しました。ウェブによ

る実施からアンケート紙を授業時に配

付して行う方式へ変更し(2015年度後

期)、ようやく定着しつつありましたが、

全学のワーキンググループと連携して、

次年度からの更なる改善に着手しまし

た。「教員がどのように何を教えたか」

から「学生が何をできるようになった

か」への転換が大学教育に求められて

います。故に、従来の「授業評価アンケー

ト」にも、そうした視点を持ち込むこと

が肝要だろうと考えたのです。

 学生には自身の学修について振返る

ことを促す学修改善、教員には「学生が

できるようになった」ことの自己評価

結果を通じた授業改善、双方を期待す

るアンケートとしました。質問項目は、

全授業科目共通と授業方法に応じたも

のとを組合わせることにしました。名称

も「授業学修アンケート」とし、次年度

から新たにスタートします。

リソース提供(TAハンドブック、英語教材、科目設計法) 本学のTAとして採用された大学院生

に役立ててもらうため、「TAハンドブッ

ク」を新たに作成しました。

 また、はじめて自分の専門分野を英

語で教える人にもすぐに使える、中井

俊樹著「大学教員のための教室英語表

現300」(株式会社アルク教育社)を学

内限定で電子書籍化し、閲覧できるよ

うにしています。

 さらに、科目設計法セミナーに関す

るマニュアルを学内限定で配付してい

ます。科目設計法セミナーは、2015 ~

2017年度に開催された授業設計の考え

方を身につけるためのセミナーであり、

その際に使用されたテキスト・動画マ

ニュアルをまとめて公開しています。

シンポジウム 2019年1月30日に教育革新シンポジ

ウム「CITL Symposium 2018」を開催し

ました。アメリカ合衆国コロラド大学の

コ ロ ラ ド 大 学 ボ ル ダ ー 校Graduate

Teacher Program(以下、GTP)のディ

レ ク タ ー を 務 め ら れ て い るMarcia

Yonemoto教 授による基調講 演では、

“The Graduate Teacher Program: Past

Developments and Future Prospects”

と題し、GTPの詳細な解説が行われまし

た。続く事例紹介では、佐藤万知准教授

(広島大学 高等教育研究開発センター)

か ら2016年 度 よ り 新 た に 導 入 し た

Hirodai TA制度について、室田真男教授

(本学リベラルアーツ研究教育院 副研究

教育院長)から本学で取り組んでいる

Graduate Student Assistant(GSA) 制

度の現状と課題について、それぞれ紹介

がありました。これらを受けるかたちで、

GTPリードコーディネーターであるDr.

Preston Cumming及びDr. Mark Pleiss

にも登壇いただき、登壇者と参加者を交

えながらのラウンドテーブルが行われ、

今回のテーマである「大学院生とともに

創る学習経験-TAを超えて-」のもと、

活発に意見交換や質疑応答が行われまし

た。

OEDO Online Education Development O�ce

教職員と学生アシスタントとの協働でMOOCを開発し、世界に向けて発信しています。またMOOCの授業活用や学内向けオンライン教材(SPOC)開発も進めています。

オンライン教育開発室 教育改革の一環として、オンライン

学習環境を整備し、充実した学習の機

会を増やすことを目的として、2014年

12月にオンライン教育開発室(OEDO

: Online Education Development

Office)が 設 置 さ れ ま し た。OEDOで

は、インターネット上で誰もが受講可能

な MOOC (大規模公開オンライン講座:

Massive Open Online Course)を開

発し、国内外に向けて公開しています。

ま た、 OEDOで はMOOCとSPOC( 学

内向けオンライン講座:Small Private

Online Course)の開発を希望する教員

を募集するとともに、開発にあたっては

コース設計から教材作成、撮影、編集、

講座配信用のウェブサイト構築、教材の

英語化や著作権処理など、教員向けに

様々な支援を行っています。

教職員と学生の協働によるMOOC開発 国内外の他大学に先駆けて、OEDOでは教職員と学生との協働によるMOOC

の開発をすすめています。オンライン講座を提供する本学教員とOEDO教職員

だけでなく、多くの学生がティーチングアシスタント(TA)として、教材設計や

授業映像の撮影、編集、講座公開のためのウェブサイト構築、さらには講座運営

まで、様々な過程に積極的に関わっています。OEDOの立ち上げから延べ110名

の大学院生、学部生(留学生を含む)が学生アシスタント(TA)としてオンライ

ン講座の開発に関わっています。またオンライン教材開発について一定のスキ

ルを身に付けた学生アシスタントをGSAデベロッパーとして認定しています。

2019年3月までに、18名の学生アシスタントが認定を受けました。

MOOCの開講 MITとハーバード大学が共同設立したMOOC配信プラットフォーム「edX」

から、世界に向けて本学の授業を配信しています。2019年3 月までに7つの

MOOCを開発、公開し、世界190ヵ国から60,000人を超える受講者が集まって

います。受講者は、講義映像を視聴し、確認テストやレポート課題に合格すると

修了証明書を取得することができます。また、これらのMOOCは学内の授業で

も一部教材として利用されています。2019年7月に開催されるAEARUサマー

キャンプでは、事前学習教材として本学MOOCが活用されています。サマーキャ

ンプ参加者はMOOCでの事前学習を経て、香港科学技術大学で開催されるサ

マーキャンプでの対面形式のディスカッションで知識を深めます。

がTokyoTechXで開講したMOOCを受講しました。

60,000人からTokyoTechXのMOOCに受講者が集まりました。

190ヵ国

の学生TA(Teaching Assistant)が、OEDO教職員とともにMOOC開発に関わってきました。

100人

OEDOに関する3つの数字

活動実績2018

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Annual Report 2018 ▶ 1110 ◀ Annual Report 2018

OEDO

開講中のMOOC(2019年3月時点)

タイトル 講師Introduction to Deep Earth Science 廣瀬敬ELSI所長Modern Japanese Architecture 安田幸一教授、David Stewart 特任教授

Introduction to Electrical and Electronic Engineering / 電気電子工学入門 千葉明教授、松澤昭名誉教授、宮島晋介准教授、小寺哲夫准教授ほか

Ethics in Engineering / 科学技術倫理 札野順教授Autophagy: Research Behind the 2016 Nobel Prize in Physiology or Medicine

大隅良典栄誉教授、中戸川仁准教授、Alexander May特任助教

Monotsukuri: Making Things in Japan -Mechanical Engineering- 田中博人准教授Introduction to Business Architecture 飯島淳一教授

よりよいオンライン教材の開発のために 学生向けにオンライン教材開発に関連する授業2

科目を開講し(Introduction to edX Online Course

Creation、 Introduction to Online Course Video

Creation)、学生がオンライン教材開発や映像撮

影・編集について実践を通じて学ぶ機会を提供して

います。また、教職員を対象にMOOCをはじめオ

ンライン教育への理解を深めるための機会として、

2019年1月には米国カリフォルニア大学バークレー

校 か らZachary Pardos氏 を 招 聘 し、「Leveraging

Learning Analytics Online and On Campus」 を

テーマにセミナーを開催しました。よりよいMOOC

とSPOC開発のため、オンライン教材の評価に関わ

る研究も進めています。本年度は教材の可読性によ

る難易度分析と第3者によるMOOC評価方法につ

いて関連する学会等で発表を行いました。

MOOC・SPOC開発の公募 2017年度より全教員を対象に、MOOCとSPOC

開発の公募を実施しています。本年度は応募いただ

いた中から4件を選定し開発を進めています。引き

続き、MOOC及びSPOC開発の公募を行っていま

す。詳しくはオンライン教育開発室ウェブサイトを

参照ください。

はじめに 世界のトップユニバーシティでは、大学院生が学士課程の教育活動に携わることにより、大学院生自らがよりより深く学び、学習意欲の増進やリーダーシップ育成へとつながる教育システムが既に実現されています。学習サポートを受ける学部学生への効果も大きく、自律的に相互に学び合う環境が構築されています。本取組では、大学院生および学部学生が学びのコミュニティを作り、自律的に相互に学び合う全学規模の学習環境を構築することを目指しています。

取組内容 教員と協働して学部学生の学習支援やオンラインコンテンツの開発・運営を行う大学院生アシスタントGSA(Graduate Student Assistant)を育成します。GSA の知識や能力は、大学院にて開講する授業あるいは授業外に開催するワークショップ等により身につけさせます。そして、 GSA candidate として学習支援等の実践を行います。GSAには、身につけ

るスキルに応じて、GSA-F(ファシリテーター)、GSA-R(レビューアー)、GSA-D

(ディベロッパー)の3種類があります。GSAとしての十分な知識とスキルをもち、実践を修了すると、教育革新センターより認定証が授与されます。 GSAを育成するための授業科目とその実施に関する概要図を図①に示します。 GSA-F、GSA-Rの育成と実践はリベラルアーツ研究教育院が開講する大学院授業(文系教養科目)の中で行います。修士1年の「リーダーシップ道場」は、よりよいチームビルディングをするための知識やスキルを身につけさせるサーバント型リーダーシップ教育を行います。この科目はGSAの基礎科目という位置づけとなり、 GSA-FやGSA-Rを取得するためには、この授業を好成績で修了しなければなりません。平成30年度は12クラスが開講され、約700名の大学院生が履修しました。 GSA-Fは、大学院科目「リーダーシップアドバンス」において、学部1年生第1 クォーターの必修科目「東工大立志プロジェクト」の少人数クラスに、ファシリテーターとして関わります。GSA

candidateと学士課程学生が授業の中で有機的に関わりながら、相互に学びを深めていきます。平成30年度は24名にGSA-Fの認定証を授与し、平成29年度からの認定証授与者の合計は36名になりました。 GSA-Rは、大学院科目「ピアレビュー実践」において活動を進めます。H30 年度から本格的に始まった学士課程3年生向けの必修授業「教養卒論」において、学士課程学生の教養卒論をピアレビューする活動を実践します。平成30年度は57名にGSA-Rの認定証を授与し、平成29年度からの認定証授与者の合計は97名になりました。 GSA-Dは、大学院の専門科目やワークショップをとおして、オンラインコース等に活用する教材メディア・教材コンテンツを制作する知識やスキルを身につけます。その後、OEDO部門と連携しながらMOOCのオンライン教材の開発および授業運営の補助を担います。平成30年度は10名にGSA-Dの認定証を授与し、平成29年度からの認定証授与者の合計は18名になりました。

GSA 教職員と学生ならびに学生間の協働による学びのコミュニティシステムの確立

CITLでは、リベラルアーツ研究教育院と協働で、従来型のTA(Teaching Assistant)制度とは異なる、GSA(Graduate Student Assistant)制度を開発、実践しています。

図① GSA認定の流れ図 学びのコミュニティ

GSA/LPG/DIY

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Annual Report 2018 ▶ 1312 ◀ Annual Report 2018

DIYスタジオの構成■西9号館828スタジオ (多様なDIY収録に対応)

● グリーンバック上で人物だけを撮影

し、背景画像と合成するクロマキー収

録や、1画面に2つの映像を同時に表

示させるピクチャー・イン・ピクチャー

による収録等が可能です。

● 希望により、技術スタッフのサポート

対応も可能です。

● 簡単な機材操作等が必要なため、複数

人での収録を推奨します。

■西9号館214号室スタジオ (簡易なDIY収録に対応)

● 複数の映像や音声などの素材を簡単に

合成し、汎用性の高いMP4形式にリア

ルタイムで出力できる、高機能な講義

収録システムを備えています。録画ボ

タンを押すだけで、すぐに収録を開始

でき、ストップボタンを押すと同時に

動画コンテンツができあがるため、ス

ムーズな収録を行うことができます。

また、プロ仕様の機材で収録している

ため、高品質の動画コンテンツが作成

可能です。

GSA/LPG/DIYGSA/LPG/DIY

LPG

取組目的 本学の教育目標である「世界に飛翔す

る気概と人間力を備え、科学・技術を俯

瞰できる優れた人材の輩出」には、学生

が自らの学習に能動的に関わる態度や姿

勢、スキルを身につけ、自律した学修者

である必要があります。その戦略の 1 つ

として、教職員が積極的にオンライン学

習コンテンツを活用し、学生が授業外で

も効果的かつ効率的に学修できる環境の

構築が必要不可欠です。本取組では、広

報・社会連携本部 情報活用IR室と連携

し、1)動画コンテンツを中心としたオン

ライン学習環境を構築し、2)教学に関わ

る諸データから質向上の度合いを客観的

かつ継続的に評価して学生の修学上の意

思決定場面(アカデミックブランチ)で

の選択を支援する教学IRシステムの構

築の2つの目標としています。

取組内容 2018年度の主な活動進捗として、上述

のオンライン学習環境およびアカデミッ

クブランチでの選択を支援する教学IR

システムの基幹部分を開発しました。ま

た、学生が自身の学習に能動的に関わる

態度や姿勢、スキル(自己調整学習)の度

合いを測定するためのアンケート調査を

実施しました。

  開 発 し た オ ン ラ イ ン 学 習 環 境

(T2SCHOLA:ティーツースカラ)は、

学習管理システム(LMS)の基本的な

機能に加え、スマホ用のモバイルアプ

リからアクセスでき、教員が講義動画

を登録、学生が視聴できる機能を実装

しています。また、教学IRシステムは、

T2SCHOLAと連動し、同システム上で

の学習履歴や履修・成績を含めた教学

データを伴う分析を行い、T2SCHOLA

のダッシュボード上に分析結果の図表を

表示できる機能を実装しています。

 2019年 度からはT2SCHOLAの試 用

を開始し、ユーザからのフィードバック

を収集しながらシステムを改善し、ま

た、蓄積するデータ分析から教員・学生

に提供する図表の検討を行い、2020年

度からの本格的な運用に向けた準備を

進める予定です。また、講義動画を含め

T2SCHOLAを活用した授業設計や操作

手順を体験、コンテンツの著作権につい

て学ぶための教員向けセミナーを定期的

に実施していきます。

DIY(DoItYourself)スタジオの設置と支援

 CITL では、OEDO が管理運営する MOOC(大規模オンライン講座:

Massive Open Online Course)開発に適した本格的なスタジオのほかに、

教員が一人でも手間を掛けずに SPOCや反転授業のための動画コンテン

ツ開発を行うことができるスタジオの設置に取り組んでいます。 CITLで

は、既存の部屋をこのようなDIY(Do It Yourself)スタジオとして2部屋

改修を行いました。このDIYスタジオでは、システム構成は統一して設計

してありますが、授業内容や、学習目標、提示資料などによって、高度な

収録機材から簡易的なものまでニーズに合わせて選択できるようにして

います。

 また、DIYスタジオの利用促進や収録機材の貸し出しなど、コンテン

ツ開発のための活動支援も行っています。

撮影機材等など様々なツールの貸し出し■撮影機材の貸し出し CITLでは、ビデオカメラや三脚等の収

録機材の貸し出しを行っています。

 研究室や講義室での収録、セミナー収

録等にご利用いただけます。

学生が自ら進んで学べるプラットフォームの構築による教育改革の更なる推進

-オンラインによる自学自修環境と自身の学修マネジメントをつなぐ-

DIY DIYによるコンテンツ制作支援

CITLでは、学生が授業外でも効果的かつ効率的に学修できるよう、 SPOC(学内向けオンライン講座:Small Private Online Course)や、反転授業の動画コンテンツを教員が容易に開発できる環境の構築及び支援体制作りを進めています。

T2SCHOLAロゴ

講義動画再生時画面(PC-Webブラウザ上)

講義動画再生時画面(Android-モバイルアプリ上)ダッシュボード上の分析結果(動画視聴率)

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Annual Report 2018 ▶ 1514 ◀ Annual Report 2018

Fact Data 2018 組織体制

■教育革新センター 所属教職員(2019年3月現在)

センター長 井村 順一  教授 工学院副センター長 田中 岳   教授 教育革新センター 神田 学   教授 環境・社会理工学院専任教員 田中 岳   教授 教育革新センター 森 秀樹   准教授 教育革新センター  大浦 弘樹  准教授 教育革新センター 高橋 将宜  特任講師 教育革新センター  兼務教員 井村 順一  教授 工学院 神田 学   教授 環境・社会理工学院 CROSS JEFFREY SCOTT 教授 環境・社会理工学院 室田 真男  教授 リベラルアーツ研究教育院協力教員 西原 明法  特任教授 工系人材養成機構(HAPPIER)専 門 員 新居 佐和子 特任専門員 教育革新センター技術職員 吉原 祐貴  技術職員 技術部      立木 瞳   技術職員 技術部事務職員 江尻 佳代  教務課専門職(教育革新事業担当)事務担当 川井 ひろ子 事務支援員 教育革新センター 山﨑 文絵  事務支援員 教育革新センター 村井 陽子  事務支援員 教育革新センター

発行:2019年3月

■FD全学FD(主催:教育・国際連携本部、企画・実施:CITL)テーマ:Student-Centered Learning の実現に向けて

11/26(月)~ 27日(火)クロスウェーブ府中

英語での指導向上を目的としたセミナー

1)CITLでの開催はじめての英語でのアクティブラーニング・ファシリテーション

(Learner Centered Classroom) 2/28(木)大岡山はじめての英語での授業運営(準備編) 3/4 (月)大岡山今更聞けない英語での授業運営法(実践編) 3/12(火)大岡山

2)各系での開催環境・社会理工学院 融合理工学系 2/6 (水)すずかけ台理学院 数学系 2/7 (木)大岡山理学院 物理学系 2/12(火)大岡山理学院 物理学系 3/4 (月)大岡山理学院 地球惑星科学系 3/11(月)大岡山

動画を活用した授業設計セミナー 第 1 回 10/19(金)大岡山第 2 回 10/25(木) 大岡山第 3 回 10/29(月) 大岡山第 4 回 11/6 (火)大岡山第 5 回 11/14(水) すずかけ台第 6 回 11/29(木)大岡山第 7 回 12/5 (水) すずかけ台第 8 回 12/10(月) 大岡山第 9 回 12/18(火) 大岡山第10回 12/21(金) 大岡山

■学務系職員セミナー第 1 回 11/12(月)大岡山第 2 回 11/16(金)大岡山第 3 回 12/6 (木)大岡山

■学生向けセミナーWriting in English Seminar:理系英語の論文ライティング入門 10/24(水)大岡山日本語ライティングセミナー:卒論前に知りたい!

「パラグラフ・ライティング」 11/7 (水)大岡山

■教育革新シンポジウムテーマ:大学院生とともに創る学習経験    -TAを超えて- 1/30(水)大岡山

■海外からの招聘講師によるワークショップGSATransitioning from Student to Instructor: Learning to Teach

コロラド大学ボルダー校2019年1月29日(火)

OEDOLeveraging Learning Analytics Online and On Campus

カリフォルニア州立大学バークレー校2019年1月9日(水)、11日(金)

■訪問した大学日本 国際基督教大学 2018年5月アメリカ合衆国 コロラド大学ボルダー校 2018年8月日本 崇城大学 2019年3月

■部局間協定アメリカ合衆国 カリフォルニア州立大学バークレー校 2016年3月日本 九州工業大学 2017年11月スペイン バレンシア工科大学 2018年3月アメリカ合衆国 ジョージア工科大学21世紀型大学

センター2018年10月

■MOOC提供に関する協定中華人民共和国 香港科学技術大学 2019年1月

■学会等発表 〈Open edX Conference〉 

於:モントリオール商科大学2018年5月31日・ What can be learned from Natural Language Processing of

MOOCs?  Eric Christopher, Jeffrey Scott Cross, Nopphon

Keerativoranan, Naoaki Okazaki, Zarina Rakhimberdina

〈日本教育工学会〉第33回全国大会 於:東北大学2018年9 月28 日・ Quality Assessment of Tokyo Techx’s MOOCs Using Data

Analysis and External Evaluators Jeffrey Scott Cross(Tokyo Institute of Technology), Grace Lyo

(Stanford University), Alexis Seeley(Columbia University), Hideki Mori (Tokyo Institute of Technology)

〈大学ICT推進協議会〉2018年度年次大会於:札幌コンベンションセンター2018年11月19日・学生が自ら進んで学べるプラットフォームの設計と開発 大石哲也・大浦弘樹

〈第25回大学教育研究フォーラム〉於:京都大学2019年3 月23日・ 高校・大学における支援型リーダーシップスキルを測定する方法の検討 宮田和美・室田真男・ 学士課程3年次の必修科目「教養卒論」と大学院生アシスタント育

成科目「ピアレビュー実践」 室田真男、林直亨、小泉勇人、鈴木悠太、佐久間邦弘

〈日本工学教育協会〉 工学教育、 2018年66巻5号 pp3-6「MOOCを用いた工学教育の現状」、森秀樹、Jeffrey Scott Cross

■外部からの原稿執筆依頼・取材対応  2019年1月24日発行「アルクグローバル通信 Vol.149」(株式会社ア

ルク)「教育改革を先導する東京工業大学教育革新センター」田中岳

Page 9: 2018...(Center for Innovative Teaching and Learning : CITL )の 概要 教育革新センターは、東京工業大学の教育・研究理念と戦略に基づき、教育方法、教育能力開発方法、教育支援方

東京工業大学教育革新センター(CITL)https://www.citl.titech.ac.jp

〒152-8552東京都目黒区大岡山2-12-1-W9-212号室TEL:03-5734-2993 (Mailbox W9-105)FAX:03-5734-2994