presented by willone co., ltd物 a型肝炎、消化器系感染症 血 液...
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《 改訂版 国試黒本 / 柔道整復師編・下巻 Contents 》 _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
1. 衛生学・公衆衛生学 ( 5 ~ 30 page )
・
2. リハビリテーション医学( 31 ~ 52 page )
・
3. 一般臨床医学( 53 ~ 96 page )
・
4. 外科学概論( 97 ~ 118 page )
・
5. 整形外科学( 119 ~ 150 page )
・
6. 柔道整復理論 ( 151 ~ 235 page )
・
7. 疾患索引 ( 236 ~ 243 page )
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Presented by WILLONE Co., Ltd
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まえがき
柔道整復師学生の皆様、こんにちは。
国試黒本は、国家試験の問題を分析し、必要な基礎知識を効率的に
学習できるよう製作されています。赤文字の部分はもちろんのこと、
黒文字の部分にも試験的に重要な箇所が数多く織り込まれています
ので、全ての文章をしっかりと繰り返して読むことにより、自然と
基礎知識が記憶の中に定着していくことでしょう。
また、国家試験の過去問を解いたり、教科書で理解を確認し、知識
を増やしたりといった学習も必ず同時に進めていきましょう。
これらの学習は何度も何度も繰り返すことにより基礎学力がついて
いきますので、くれぐれも試験前にだけ焦ってやるのではなく、
常日頃から計画的に進めておくことが大事です。
また、当然ではありますが、学習のメインは学校の授業( 教科書 )に
あります。国家試験の合格率は学校によって若干の差もありますが、
少なくとも学校の試験において、常に平均以上の成績を取っている
方が国試で落ちることはほとんどありません。
まずは普段の学習をきっちりとこなすこと、それが国試合格に最も
重要な要素と言えるでしょう。そして、その上に参考書や過去問を
使用した学習を積み重ねていってください。
近年、問題形式の変更や必修問題の導入などがありましたが、現在
までの柔道整復師の国家試験は、入学から国家試験までの3年間と
いう長い時間をしっかりと過ごしてきた方が落ちるような試験内容
であったことはありません。
あなたが積み重ねた努力は、きっと合格への扉を開いてくれるはず
です。今後、皆様の努力が実を結び、無事に国家試験に合格される
ことを心より願っています。
製作スタッフ一同
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衛生学( 衛生学の歴史、健康の概念 )
・憲章、宣言とその内容
□ WHO 憲章 :健康の定義
□ オタワ憲章 :健康の増進( ヘルス・プロモーション )
□ ヘルシンキ宣言 :ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則
□ アルマ・アタ宣言 :プライマリ・ヘルス・ケア
・国際生活機能分類( ICF )
□① 心身機能・身体構造:否定的側面は機能障害( 構造障害を含む )
※機能障害:著しい変異や喪失など、心身機能または身体構造上の問題
□② 活動:否定的側面は活動制限( → 能力低下 )。
※活動制限:個人が活動を行うときに生じる難しさ
□③ 参加:否定的側面は参加制約( → 社会的不利 )。
※参加制約:個人が何らかの生活・人生場面に関わるときに経験する難しさ
ーーー Memo ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・健康の定義( WHO憲章前文 )
□健康は身体的にも精神的にも社会的にも調和のとれた良好な状態をいい、
単に病気がないとか病弱でないということではない。
□到達し得る最高の健康水準を享受することは、万人の基本的権利であり、
人種・宗教・政治的信条・社会経済条件の如何を問わない事項である。
・日本国憲法 第 25条( 生存権と国の社会的使命 )
□すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
□国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障および公衆衛生
の向上に努めなければならない。
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衛生学( 健康の概念 )
・人口統計
□人口静態統計:( 5 )年ごとに総務省が行う( 国勢調査 )など。
人口、世帯、職業などを調べる。
□人口動態統計:( 出生、死亡、婚姻、離婚、死産 )の人口動態
事象に関する全数調査。
・健康指標
□ 粗死亡率 : 1年間の死亡数をその年の人口で割り、人口千対で
表したもの。通常は年央人口が分母。※ 11.0 ( 2018年 )
※年齢調整死亡率:年齢構成の異なる集団の死亡率の比較に用いる。
□乳児死亡率:( 出生千 )に対する 1年間の( 1 )歳未満の死亡数。
※分母は( 出生 )数であり、死産は含めない。
□ 平均余命 :x 歳の生存者がその後平均何年生きられるかを
表した期待値。※平均寿命:( 0 )歳の平均余命。
□ 健康寿命 :あと何年自立して健康に暮らせるか。
※男性 72.14 年、女性 74.79 年( 2016 年 )
□ PMI : 1年間の全死亡数に占める( 50 )歳以上の死亡割合。
※衛生状態の国際比較の指標として用いられる
□合計特殊出生率:女性 15 ~ 49 歳の年齢階級別出生率を合計したもの。
粗再生産率。※ 1.42 ( 2018 年 )
□ 再生産率 : 1人の女性が一生に平均何人の女児を生むか。
※ 1.0 より大きいと将来人口は増加( 小さいと減少 )する
□ 粗出生率 :人口千対のある年の出生数。※ 7.4 ( 2018年 )
ーーー Memo ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
□ 患者調査 :病名、受療率、医療費、入院期間などを調べる。
□国民生活基礎調査:有病、医療、福祉、年金、就業、経済などを調べる。
□国民健康・栄養調査:栄養素摂取量、血圧、肥満などを調べる。
※ 有訴者率:( 国民生活基礎調査 )から得られる。人口千人に対する割合。
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衛生学( 疾病予防と健康管理 )
・疾病の予防
□第 1次予防:( 健康増進( ヘルス・プロモーション )・健康教育、
特異的予防 ) ※ポピュレーション・アプローチ
ex. 禁煙、運動、休養、予防接種、職業病対策など
□第 2次予防:( 早期発見 、早期治療 ) ※ハイリスク・アプローチ
ex. 集団検診、健康診断、人間ドッグなど
□第 3次予防:( 悪化防止( 能力低下防止 )、リハビリテーション )
ex. 理学療法、作業療法、社会復帰の促進など
ーーー Memo ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
□疾病の段階と予防:感受性期には第 1次予防、発症前期には第 2次予防、
臨床的疾病期以降には第 3次予防が行われる。
□地域保健医療計画:基準病床数、医療圏の設定、医療提供体制や医療従
事者の確保などを示す。( 医療法 )により都道府県が策定する。
□ウインスローの定義
公衆衛生は、共同社会の組織的な努力を通じて、疾病を予防し、寿命を延長
し、身体的・精神的健康と能率の増進をはかる科学・技術である。
□ノーマライゼーション
障害者を隔離せず、健常者と共に支障なく均等に共生していくのが正常な社
会であるとする理念とそれに基づく社会福祉政策( バリアフリーなど )。
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衛生学( 感染症の予防 )
・伝播様式と主な感染症
直
接
伝
播
飛沫散布 百日咳、インフルエンザ、髄膜炎菌性髄膜炎
接触感染
( 性感染症 )
梅毒、B型肝炎、エイズ、淋病、ヘルペス、軟性下疳、
トリコモナス症、クラミジア感染症
胎盤感染 先天梅毒、先天性風疹症候群、トキソプラズマ症、
ヘルペス、サイトメガロウイルス感染症、エイズ
産道感染 B型肝炎、エイズ
母乳感染 成人T細胞白血病( ATL )、エイズ
間
接
伝
播
媒介物感染
飲料水 細菌性赤痢、腸チフス、コレラ
食 物 A型肝炎、消化器系感染症
血 液 B・C型肝炎、エイズ
媒介動物感染
節足動物 日本脳炎、マラリア、発疹チフス、デング熱
貝 類 日本住血吸虫症
哺乳動物 ペスト、狂犬病、トキソプラズマ症
空気感染 飛沫核感染 結核、麻疹、水痘
塵埃感染 レジオネラ症、Q熱
※垂直感染:( 母子 )感染。胎盤・産道・母乳感染など
・病原体の種類
細 菌 コレラ、ペスト、腸チフス、結核、ジフテリアなど
ウイルス インフルエンザ、麻疹、風疹、水痘、日本脳炎など
原 虫 アメーバ赤痢、マラリア、クリプトスポリジウム、
トキソプラズマ、膣トリコモナス
真 菌 カンジダ、白癬、クリプトコッカス、アスペルギルス、
ムコール、ニューモシスチス・カリニ
リケッチア 発疹チフス、つつが虫病、発疹熱
クラミジア オウム病、トラコーマ、鼠径リンパ肉芽腫
スピロヘータ 梅毒、ワイル病( 黄疸出血性レプトスピラ症 )、鼠咬病、回帰熱 ーーー Memo ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
□蚊が媒介する感染症:( 日本脳炎( コガタアカイエカ )、マラリア( ハマダラ蚊 )、
デング熱、ウエストナイル熱 )などがある。
□不顕性感染:( ポリオ、日本脳炎 )などは感染してもほとんど発病しない。
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衛生学( 感染症の予防 )
・ウイルス感染症
気管支炎 インフルエンザ、パラインフルエンザ、RSウイルス
感冒( 風邪 ) ライノウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス
咽頭炎 アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス
咽頭結膜熱 アデノウイルス ※プール熱
角膜炎 単純ヘルペスウイルス
ヘルパンギーナ コクサッキー A群ウイルス
急性脳炎 単純ヘルペスウイルス、ムンプスウイルス
感染後脳炎 風疹、麻疹、水痘、インフルエンザ、ムンプスウイルス
伝染性単核球症 EBウイルス
突発性発疹 HHV - 6
ウイルス性肝炎 ヘパドナウイルス( B型 )、ピコルナウイルス( A・E型 )
流行性耳下腺炎 ムンプスウイルス ※おたふくかぜ
紅 斑 麻疹、風疹、エンテロウイルス、アデノウイルス、EBウイルス
水 疱 単純ヘルペス、水痘・帯状ヘルペス、痘瘡、
エンテロウイルス感染症( 手足口病、ヘルパンギーナ )
その他 ヒト成人T細胞白血病( レトロウイルス )
・ウイルスの分類
DNA型 アデノウイルス、ヘルペスウイルス、B 型肝炎ウイルス、
水痘 - 帯状疱疹ウイルスなど
RNA型 麻疹ウイルス、風疹ウイルス、インフルエンザウイルス、
エイズウイルス、A・C 型肝炎ウイルスなど ーーー Memo ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・感染症成立の疫学的条件と対策
□① 感 染 源 :感染源の発見とその隔離・除去
□② 感染経路 :換気、マスク、手洗い、学級閉鎖、上水道の塩素消毒など
□③感受性宿主:過労防止、トレーニング、十分な休養、予防接種など
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衛生学( 感染症の予防 )
・細菌の分類
グラム陽性球菌 ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎球菌
グラム陰性球菌 淋菌、髄膜炎菌
グラム陽性桿菌 ジフテリア菌、ボツリヌス菌、結核菌、炭疽菌
グラム陰性桿菌 赤痢菌、大腸菌、コレラ菌、サルモネラ菌、レジオネラ菌
嫌気性菌 破傷風菌、ガス壊疽菌群( ウェルシュ菌など )、ボツリヌス菌
好気性菌 真菌、緑膿菌、結核菌、ジフテリア菌
抗 酸 菌 結核菌、らい菌
・寄生虫疾患
疾 患 伝 藩 疾 患 伝 藩
フィラリア 蚊 肺吸虫 カニ
アニサキス 生の魚介類 無鉤条虫 牛肉
日本住血吸虫 宮入貝 有鉤条虫 豚肉
肝吸虫 淡水魚 広節裂頭条虫 サケ・マス
横川吸虫 淡水魚 包虫( エキノコックス ) イヌの排泄した虫卵
・新興感染症と再興感染症
新興感染症 エイズ、腸管出血性大腸菌感染症( O -157 )、狂牛病、
C型肝炎、新型インフルエンザ、SARS、MERSなど
再興感染症 結核、コレラ、マラリア、抗生剤耐性菌感染症など ーーー Memo ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
□免疫:自然能動免疫( 自然に感染 )、人工能動免疫( 予防接種 )、自然受動免疫
( 胎盤・母乳からの抗体 )、人工受動免疫( 免疫グロブリン投与など )
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衛生学( 感染症の予防 )
・感染症法、検疫法
第 1 類 エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、南米出血熱、
ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱、痘瘡( 天然痘 )
第 2 類 結核、急性灰白髄炎、重症急性呼吸器症候群( SARS )、ジフテリア、
中東呼吸器症候群( MERS )、鳥インフルエンザ( H5N1、H7N9 )
第 3 類 コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、
腸チフス、パラチフス
検疫感染症
第1類感染症、デング熱、マラリア、チクングニア熱、
ジカウイルス感染症、中東呼吸器症候群( MERS )、
鳥インフルエンザ( H5N1・H7N9 )、新型インフルエンザ等感染症
※痘瘡( 天然痘 )は1980年に根絶が宣言された( WHO )
・学校感染症( 学校保健法 )
第 1 種 感染症法の第 1 類感染症・第 2 類感染症( 結核を除く )、
新型インフルエンザ等感染症、指定感染症、新感染症
第 2 種 インフルエンザ( 新型・H5N1 を除く )、百日咳、麻疹、
風疹、水痘、結核、流行性耳下腺炎、咽頭結膜熱
第 3 種 腸管出血性大腸菌感染症( O – 157 など )、流行性角結膜炎、
急性出血性結膜炎、コレラ、細菌性赤痢、腸チフスなど
※校長は感染症に罹っている者( その疑いのある者、罹るおそれのある者 )を出席停止にできる。
・定期予防接種
A 類疾病
( 努力義務 )
急性灰白髄炎( ポリオ )、ジフテリア、百日咳、破傷風、
麻疹、風疹、日本脳炎、結核、ヒブ、小児の肺炎球菌、
B型肝炎、水痘、ヒトパピローマウイルス
B 類疾病
( 努力義務なし )
インフルエンザ※1、高齢者の肺炎球菌※2
※ 1:対象:① 65歳以上 ② 60 ~ 64歳の条件該当者
※ 2:対象:① 65歳以上の条件該当者 ② 60 ~ 64歳の条件該当者
・ワクチンの種類
弱毒生ワクチン ( 結核( BCG )、麻疹・風疹 ※ )、水痘、ムンプス、
黄熱など ※ MR( 麻疹・風疹混合 )
不活化ワクチン ( 四種混合( → ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ )、
日本脳炎 )、インフルエンザ、A・B 型肝炎など
トキソイド ( 破傷風 、ジフテリア )など ※不活化ワクチンの一種
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衛生学( 消毒 )
・消毒法と目的
方 法 目 的
滅 菌 全ての病原微生物を死滅させて除去し、無菌状態にする。
殺 菌 対象物に付着している微生物を死滅させる。
消 毒 人体に有害な病原微生物を死滅させ、感染症の伝播を防止する。
防 腐 微生物を直接殺さず、繁殖を抑えて腐敗を防止する。
・主な理学的消毒/滅菌法
方 法 内容・対象物
日光消毒 寝具、着衣など ※簡便だが天候や季節に影響される
紫外線消毒 手術室、器具の保管時など ※比較的短時間で病原微生物が死滅
焼 却 法 可燃性の感染性廃棄物など ※滅菌
乾熱滅菌法 試験管や器具の消毒など ※160 ~ 170℃の場合120分
低温消毒法 牛乳・ワインなど ※ 65℃前後で30分以上
煮 沸 法 熱に強い医療機器など ※ 100℃で15分以上、芽胞には無効
流通蒸気法 100℃の蒸気に30 ~ 60分接触させる ※平圧蒸気滅菌法
間 欠 法 80 ~ 100℃で30 ~ 60分を3 ~ 6回繰り返す ※消毒
熱水消毒 一般細菌( 芽胞以外 )に効果がある ※ 80℃で10分
高圧蒸気滅菌法 最も確実な滅菌法 ※ 121 ~ 124℃の場合15分
照射滅菌法 放射線照射法( γ線、X線、電子線など )、高周波法がある
火炎滅菌法 器具の滅菌に用いる
ーーー Memo ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
□化学的滅菌法:酸化エチレンガス滅菌、過酸化水素ガスプラズマ滅菌など。
※化学的消毒法には薬液消毒のほか、オゾン殺菌などがある。
□院内感染:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌( MRSA )やバンコマイシン耐性腸球
菌
( VRE )などの薬剤耐性菌、結核、疥癬、O - 157、緑膿菌などが問題となる。
□スタンダード・プリコーション:標準予防策。病院感染対策の第1段階。
※患者の血液、体液、分泌物( 汗は除く )、排泄物、皮膚などに触れる際の手袋・マスク着用、
手洗いなど 手洗いミスの発生部位:爪先や母指など
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衛生学( 消毒 )
・消毒薬の殺菌スペクトルと使用領域
名 称 無 効 使用不可領域
高 グルタラール、
フタラール、過酢酸
環境、手指皮膚、粘膜
中
次亜塩素酸ナトリウム ( 芽胞 ) 金属器具、手指皮膚、粘膜
消毒用エタノール 芽胞 粘膜、汚染物
ポビドンヨード 芽胞 環境、金属・非金属器具、汚染物
70 % イソプロパノール 芽胞 粘膜、汚染物
低
両性界面活性剤 ( 結核菌、真菌 )、芽胞、HBV
第4級アンモニウム塩 ( 真菌 )、芽胞、HBV、結核菌
クロルヘキシジン ( 真菌 )、芽胞、HBV、結核菌 粘膜、汚染物
※( )は効果が得られにくい
ーーー Memo ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
□手指の消毒方法には、洗浄法( スクラブ法 )、擦式法( ラビング法 )、清拭法※1
( ワイピング法 )などがある。※擦式法は手が汚れていると無効
※1 機械的清拭法:水を使って手指の汚れを落とす
化学的清拭法:酒精綿を用いる( 流水による手洗いができない場合 )
□皮膚の消毒には( グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、
ポビドンヨード、両性界面活性剤、消毒用エタノール )などを用いる。
□予防接種部位の皮膚消毒には( アルコール )が用いられることが多い。
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衛生学( 環境衛生 )
・環境問題と原因
□オゾン層破壊:( フロン、ハロン )
□地球温暖化 :( 二酸化炭素 )、メタン、亜酸化窒素など
□光化学スモッグ:( 窒素酸化物 )
□酸性雨 :( 硫黄酸化物、窒素酸化物 ) ※化石燃料の燃焼
□光化学オキシダント:( 二酸化窒素、炭化水素 ) ※二次汚染物質
・物理的環境要因
□感覚( 実効 )温度:( 気温、湿度、気流 )による総合的温熱尺度。
輻射熱( 黒球温 )を考慮する場合は( 修正感覚温度 )や( 湿球黒球
温度指数 ( WBGT:暑さ指数 / 熱中症指数 ) )を用いる。
□不快指数:( 気温( 乾球温度 )、湿度( 湿球温度 ))から求められ、
( 75 )で一般に不快、( 80 )以上では半数が不快を訴える。
※乾湿温度計‥温度・湿度 ※風速計・カタ寒暖計‥気流 ※黒球温度計‥輻射熱
・気候と疾病
□季節病:肺炎、気管支炎、脳卒中、心臓病など
□気象病:寒冷前線①、フェーン現象②、気温の逆転③ などと関連
※①喘息・肺炎・頭痛など ②自律神経失調症 ③肺・循環疾患の悪化
・電離放射線
□ 電離放射線 :電磁波( γ線、X線 )、粒子線( α線、β線、中性子線 )
□非電離放射線:赤外線、紫外線、電波、可視光線など
ーーー Memo ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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衛生学( 環境衛生 )
・典型 7公害( 環境基本法 )
□公害の苦情件数では( 大気汚染 )が最も多い。ほかに騒音、悪臭、
水質汚濁、振動、土壌汚染、地盤沈下がある。
※大気汚染:車の排出ガスによる( 窒素酸化物 )汚染の苦情件数が多い。
※水質汚濁:富栄養化( 閉鎖海域・湖沼 )、トリクロロエチレン( 地下水汚染 )
・大気成分と空気汚染
□大気成分は酸素( 21 )%、窒素( 78 )%、二酸化炭素( 0.03 )%、
アルゴン 0.94 %、ヘリウム、ネオンなどを含む。
※室内空気汚染の指標:( 二酸化炭素( 0.1 % )以下 )、検知管法や滴定法で測定
二酸化炭素の学校環境衛生基準では0.15 %以下である。
・騒音
□騒音レベルが( 130 )dB程度で疼痛を感じ、鼓膜損傷のおそれが
ある。( 85 )dB以上に数年曝露されると騒音性難聴が生じる。
※一時的閾値移動は( 80 ) dB以上で生じ、一時的に音が聞こえにくくなる。
※騒音性難聴では( 4000 )Hz 周辺の高音域から障害されやすい。
・公害病と原因物質
□イタイイタイ病:( カドミウム ) ※富山県神通川流域
□四日市喘息 :( 硫黄酸化物 ) ※三重県四日市市
□水俣病 :( メチル水銀 ) ※熊本県水俣市、新潟県阿賀野川流域
□慢性砒素中毒症:砒素 ※宮崎県土呂久、島根県笹ヶ谷
※海外では二酸化硫黄によるミューズ渓谷事件、ドノラ事件、ロンドン事件など
ーーー Memo ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
□環境ホルモン( 内分泌撹乱化学物質 ):( ダイオキシン類、PCB、DDT )、
アルキルフェノール類、トリブチルスズ、ビスフェノール A など
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衛生学( 環境衛生 )
・空気の異常成分
一酸化炭素
( CO )
有機物が不完全燃焼したときに生じる。ヘモグロビンと
強く結合し、酸素の利用を妨げる。無味・無臭・無色・
無刺激性。※濃度5,000 ppmでは1時間以内に死に至る。
硫黄酸化物
( Sox )
木材・石炭・重油などの燃焼で生じる。水に溶けやすく、
長時間吸入すると慢性気管支炎や喘息を起こす。
窒素酸化物
( Nox )
主に車などから発生する。水に溶けにくく、吸入すると
肺の深部まで達し、慢性気管支炎や肺気腫を起こす。
浮遊粒子状物質
( SPM )
空気中に浮遊する10 μm以下の微粒子の総称。
直径 2.5 μm以下の粒子が最も肺胞まで到達しやすい。
光化学
オキシダント
二酸化窒素、炭化水素などを原料とし、太陽光( 紫外線 )
を受けて生成される( オゾンなど )。二次汚染物質。
・地球環境の保全と保護
ワシントン条約 絶滅のおそれのある野生動植物の保護
ラムサール条約 水鳥などの成育地として重要な湿地の保全
ナショナルトラスト運動 優れた自然環境や価値ある史的景観などの保護
リオデジャネイロ宣言 持続可能な成長に向けた地球規模での国際協調など
ウィーン条約 オゾン層保護のための国際的な対策の枠組み
モントリオール議定書 オゾン層を破壊する物質の生産・消費・貿易の規制 ーーー Memo ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・大気汚染にかかわる国の環境基準
□一酸化炭素、二酸化硫黄、浮遊粒子状物質、二酸化窒素、ダイオキシン、
光化学オキシダント、石綿、ベンゼンなどの値が定められている。
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衛生学( 生活環境・食品衛生活動 )
・上水
□病原菌による汚染の指標となり、水道法による水質基準で検出
されてはいけないのは( 大腸菌群 )である。
□水道法による水質基準:pH、味、臭気、色度、濁度、硬度、
微生物、有機物、有害有機化学物質、金属元素、非金属など
※硝酸態窒素・亜硝酸態窒素は( 有機汚染物 )の指標となる。
□消毒は通常塩素により行われ、上水末端では( 0.1 )mg/ℓ 以上の
遊離残留塩素が含まれていなければならない。
□水道水の問題として、水源水の富栄養化( 指標は( 窒素・リン ) )、
発癌性物質の( トリハロメタン )などが挙げられる。
※トリハロメタンは浄水処理中に塩素と有機物が反応して生成される。
・下水
□下水の処理では、( 好気性 )微生物による( 活性汚泥法 )が多く
用いられている( 有機物を二酸化炭素と水に分解する )。
□下水処理後の検査項目には、色、臭気、pH のほか、DO、BOD、
COD、SS、大腸菌群数などがあり、検査後に放流される。
□水の汚濁が著しいと( 溶存酸素( DO ) )の値は小さくなる。
※BOD( 生物化学的酸素要求量 )、COD( 化学的酸素要求量 )、SS( 浮遊物質 )
は汚濁が著しいほど値が( 大きく )なり、有機汚染物の指標とされる。 ーーー Memo ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
□水道普及率 :約( 98.0 )% ( 2018年 )
下水道普及率:約( 79.3 )% ( 2018年度末 )
□浄水の過程 :沈殿 → 濾過( 急速濾過が主流 ) → 消毒 の順に行われる。
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衛生学( 生活環境・食品衛生活動 )
・住居の環境
□ 開角 :( 4 ~ 5 )゚以上 □ 入射角 :( 28 )゚以上
□昼光率:( 1 )%以上 □必要換気量:( 33 )m3/hr( 人 )
□ 気積 :( 10 )m3/人以上 □ 気 流 :( 0.5 ) m/秒以下
※室内空気:汚染の尺度は一般に( 二酸化炭素 )の濃度が指標となる。
※屋内環境基準(公共):二酸化炭素は( 0.1 )%以下、一酸化炭素は( 10 )ppm
以下、浮遊粉塵は( 0.15 ) mg/m3 以下、湿度は( 40 ~ 70 )%とされる。
・廃棄物の処理
□一般廃棄物の処理責任は( 市町村 )にあり、地方自治体または
委託された民間業者によって行われる。
家庭で飼っていた動物の死体は一般廃棄物として扱う。
□産業廃棄物の処理責任は( 事業者 )にあり、事業者自身や専門
の処理業者に委託しなければならない。
・感染性廃棄物の処理
□排出:他の廃棄物と分別して排出・収集し、運搬においては
安全な容器に入れて行う。
□処理:施設内で滅菌消毒後に一般廃棄物として処理するか、
( 特別管理廃棄物 )として専門処理業者に委託する。
※外部委託では特別管理産業廃棄物( 管理票 )の交付により適正処理を確認する。
また、処理業者は都道府県の許可が必要で、委託後も排出者責任となる。 ーーー Memo ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
□喫煙と空気汚染:一酸化炭素、窒素酸化物、浮遊粒子状物質※などの濃度
が高くなる。※ニコチン・タールなど
□廃棄物の処理及び清掃に関する法律:廃棄物の減量化・再生の促進、適正
処理の確保、処理施設の確保などが規定されている。
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衛生学( 生活環境・食品衛生活動 )
・食中毒
細菌性
感染型 サルモネラ属菌、カンピロバクター、腸炎ビブリオ、
病原大腸菌、赤痢菌、チフス菌、コレラ菌 など
毒素型 黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌、ウェルシュ菌など
※食品中で大量に増えた細菌が毒素を作る
ウイルス性 ノロウイルス、ロタウイルス、A型肝炎ウイルスなど
化学性 PCB、カドミウム、メチル水銀、ヒスタミン、カビ毒など
自然毒
植物性 毒キノコ、毒ムギ、毒セリ、ヒガンバナなど
動物性 ふぐ、麻痺性貝毒、下痢性貝毒など
※テトロドトキシン:フグ毒。末梢神経麻痺作用があり、致死率が高い。
原虫類 クリプトスポリジウム、サイクロスポーラなど ーーー Memo ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
□食中毒の患者数:( ノロウイルス )によるものが最も多く、他にはウェルシュ菌、
カンピロバクター・ジェジュニ/コリによるものが多い。※ 2018年・厚生労働省
□黄色ブドウ球菌:耐熱性の毒素( → エンテロトキシン )を産生する。潜伏期は
約( 3 ~ 4 )時間で、腹痛・下痢・嘔吐などを起こす。
□芽胞を形成する菌:ボツリヌス菌、破傷風菌、ウェルシュ菌など
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衛生学( 母子保健 )
・母子保健指標
□乳児死亡率:生後( 1 年 )未満の死亡で( 出生千 )に対する比率。
□周産期死亡:妊娠満( 22 )週以後の死産 + 早期新生児死亡。
※早期新生児死亡は生後( 1 週 )未満、新生児死亡は生後( 4 週 )未満の死亡
※乳児死亡率 1.9、新生児死亡率 0.9、早期新生児死亡率 0.7 ( 2018年 )
□死産、 :妊娠満( 12 )週以後の死児の出産。人工死産の方が
死産率 自然死産より( 多 )い。※出産千に対する割合
□妊産婦死亡率:原因では妊娠高血圧症候群( 妊娠中毒症 )、出血、
肺塞栓症などが多い。※ 2016 年で 3.4 ( 出生10 万対 )。
※ 妊産婦死亡:妊娠、分娩、産褥に直接関連する疾病や異常による死亡。
□乳児死亡の原因では、①( 先天奇形、変形および染色体異常 )、
②呼吸器障害・心血管障害、③ 乳幼児突然死症候群の順に多い。
□未熟児・低体重児とは( 2,500 g 未満 )をいう。届出の義務があり、
公費による養育医療の給付が行われる。
・母子保健法
□母子保健法では母性・乳児・幼児の健康の保持と増進を図り、
保健指導、健康診査、( 母子健康手帳 )の交付などを行う。
□母子健康手帳は妊娠の届出( 義務 )をした者に市町村から交付
され、妊娠から小学校入学までの記録などに用いられる。
□母子保健の基本的サービスは( 市町村 )が担当している。
ーーー Memo ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
□妊娠 1 ~ 4 ヶ月頃の時期には、( 薬剤、風疹、X線 )を避ける。
□幼児( 1 ~ 4 歳 )の死亡原因では( 先天奇形・変形および染色体異常 )による
ものが最も多く、次に不慮の事故によるものが多い。※ 2018年
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