第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp ·...

71
分野別施策の推進 第 2 章

Upload: others

Post on 15-Jul-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

17

分野別施策の推進

第 2 章

Page 2: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

18

第1節 部落問題

【現状と課題】

部落問題とは、日本社会の歴史的発展の過程で形づくられた身分差別により、日本

国民の一部の人々が、経済的、社会的、文化的に低位の状態を強いられ、日常生活の

上でさまざまな差別をされるなど、日本国憲法が保障している基本的人権の侵害にか

かわる、わが国固有の重大な人権問題です。

部落問題の解消を図るため、国は地方公共団体と共に、昭和 40(1965)年に出され

た「同和対策審議会答申」(以下、「同対審答申」という。)に基づき、昭和 44(1969)

年から「同和対策事業特別措置法」を根拠とした同和対策事業を行いました。さらに

昭和 57(1982)年からは「地域改善対策特別措置法」を施行し、これらにより同和地

区の生活環境をはじめとするさまざまな格差が是正されてきました。

そして平成 14(2002)年に 33 年間続いた特別措置法が終了しました。終了前の平

成 8(1996)年に国の地域改善対策協議会が行った最終意見具申では、「同対審答申」

の意義について、「同和問題解決への取組みの経緯と現状」の中で「答申がなされて

既に 30 年余り経過しているが、同和問題の早期解決に向けて、この答申の趣旨を今後

とも受け継いでいかなければならない」と再確認しました。また、同和対策事業にか

かわる法律の終了によって、部落問題の取り組みも終了したという間違ったとらえ方

がされることがないよう「今後の施策の基本的な方向」の中で「特別対策の終了、す

なわち一般対策への移行が、同和問題の早期解決を目指す取り組みの放棄を意味する

ものでないことは言うまでもない。」とする等、繰り返し述べられています。そして、

「同和問題に対する基本認識」の中では、「同和問題は多くの人々の努力によって、

解決に向けて進んでいるものの、残念ながら依然として我が国における重要な課題と

言わざるを得ない。」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している

ことを認知しました。

現実問題として、特別措置法が終了した後も、部落差別がなくなったわけではあり

ません。平成 28(2016)年 4月には、「全国部落調査 部落地名総鑑の原典 復刻版」

と題した書籍がインターネット上で予約販売されようとするなど、差別を商う行為が

公然と行われています。人権尊重という多くの国民の願いを逆なでし、差別を煽る行

為が、“表現の自由、情報公開”の名のもとに行われています。

また、鳥取県内では、平成 27(2015)年から平成 28(2016)年 6月末までに、被差

別部落かどうかの土地の問い合わせや、差別発言、差別落書きなど(計 4件)が、県

に報告されているほか、インターネット上では、差別に利用される危険性を持つ被差

別部落の地名や地図を掲載するなど、法や制度の未整備を逆手に取った確信犯的差別

事象が大きな問題となっています。偏見や差別に基づくこうした行為は、他人の人格

や尊厳を傷つけるものであり、被差別部落に住むことや、被差別部落出身者との結婚

Page 3: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

19

などに対する、忌避意識・忌避行動にもつながり、差別の助長、拡散となる許しがた

い行為でもあります。

平成 26(2014)年に本町が実施した「第 2回琴浦町人権・同和教育に関する意識調

査」の「あなたは、過去 5年間で部落問題に関する差別的な発言や行動を、直接見聞

きしたことがありますか。」という質問に対して、「ある」という回答が 23.2%あり

ました。これは、回答者の約 4人に 1人が、過去 5年間で部落差別に関する差別的な

言動を直接見聞きしている状況となります。(図 1参照)また、同調査の中の、「あ

なたは部落差別をどんなときに気にしますか。」という質問からは、日常的な人間関

係についてはあまり気にしていないが、財産(土地)購入や結婚など自分の属性に関

わる場合に、気にしている実態があります。(図 2参照)

さらに、平成 27(2015)年に実施した、「琴浦町人権と生活に関する調査」では、

被差別部落は被差別部落外と比べ、低所得層が多く、1人当たりの収入が 100 万円未

満の家庭が被差別部落外 14.3%に対し、被差別部落では 30.1%と 15.8%の差があり

ました。また、平成 27(2015)年度の生活保護の受給状況は、被差別部落外が 1.3%

に対し、被差別部落では 6.3%となっています。最終学歴についても大学卒が被差別

部落外 17.5%に対し、被差別部落が 6.5%と 11%の差があり、さらには、生活に関す

る充実度も低い傾向にあるという結果が出ています。(図 3~5参照)

国は現在も部落差別が存在していることを認め、平成 28(2016)年 12 月 16 日から

「部落差別解消法」を施行しました。この法は特別措置法のように期間が限られた限

時法ではなく、恒久法です。 「部落差別解消法」は、「現在もなお部落差別が存在する」との認識を示した上で、

基本的人権を保障する憲法の理念にのっとり、「部落差別は許されない。解消するこ

とが重要な課題」と規定した初めての法律です。部落差別のない社会を実現するため

に「部落差別解消法」は、国が部落差別の解消に関する施策を講ずる責務を有するこ

と、地方公共団体も国との適切な役割分担のもと地域の実情に応じた施策を講ずるこ

とを求めました。また、具体的な施策として「相談体制の充実」「教育及び啓発」「部

落差別の実態に係る調査」が明記されています。 部落差別の完全撤廃の実現に向け、本町においても今後も継続して部落問題の正し

い理解の普及と格差是正のための施策を着実に進めていく必要があります。特に文化

センター(隣保館)の役割は重要です。地域住民の抱える生活上の相談や人権に関わ

る相談に応じる相談事業、部落問題をはじめとするさまざまな人権課題の解決に向け

た啓発・広報活動事業、地域住民の主体的な活動や周辺地域住民との交流を促進する

地域交流事業などのさらなる充実が求められます。 また、地域の課題や住民のニーズの把握と整理を行うために実態調査を実施し、そ

の結果をもとに効果的な施策を実施することが必要です。

Page 4: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

20

31.3%

5.4%

11.7%

2.7%

4.8%

5.1%

3.9%

60.8%

3.6%

2.1%

37.0%

3.2%

12.1%

3.7%

4.0%

3.5%

2.7%

51.1%

3.0%

2.7%

34.5%

4.2%

11.8%

3.3%

4.6%

4.4%

3.3%

55.2%

3.2%

2.7%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0%

結婚

就労・雇用

財産購入

職場や学校でのつきあい

隣近所でのつきあい

団体での活動

友だちづきあい

気にしない

その他

無回答

男性

女性

全体

ある

23.2%

ない

76.4%

無回答

0.4%

図 1 「あなたは、過去 5 年間で部落問題に関する差別的な発言や言動を、直接見聞きした

ことがありますか。」 「第 2 回 町人権・同和教育に関する意識調査」(平成 26 年)

図 2 「あなたは、部落問題をどんなときに気にしますか。」

「第 2 回 町人権・同和教育に関する意識調査」(平成 26 年)

回答数 723

回答数 776

Page 5: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

21

11.0%

11.0%

61.0%

46.0%

22.0%

33.0%

3.0%

8.0%

3.0%

2.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

地区外

地区内

十分充実感を感じている

まあ充実感を感じている

あまり充実感を感じてい

ない

ほとんど(全く)充実感を

感じていない

無回答

図 3 地区内外別一人当たり収入 「町人権と生活に関する調査」(平成 27 年)

図 4 地区内外別最終学歴 「町人権と生活に関する調査」(平成 27 年)

図 5 「あなたは、日頃の生活の中で、どの程度充実感を感じていますか」

「町人権と生活に関する調査」(平成 27 年)

14.3%

30.1%

28.9%

35.3%

27.4%

16.3%

16.9%

11.8%

7.1%

5.2%

3.0%

1.3%

1.9%

0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

地区外

地区内

100万円未満

100~200万円未満

200~300万円未満

300~400万円未満

400~500万円未満

500~600万円未満

700万円以上

10.3%

23.7%

44.2%

43.5%

12.3%

16.1%

9.1%

4.3%

17.5%

6.5%

3.7%

2.2%

2.9%

3.7%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

地区外

地区内

中学校

高等学校

専門学校

短期大学

4年制大学

その他

無回答

回答数 644

回答数 723

回答数 723

Page 6: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

22

【推進方針】

1 部落問題の正しい理解

部落問題の正しい理解を深め、人権意識の普及・高揚に向けた教育及び啓発活動

を、町民や人権に関わる団体等と協力しながら推進します。

2 雇用の安定

収入、就労の状況から生じているさまざまな課題の解決に向け、必要な施策を推

進します。

3 低所得者対策

低所得者の経済的自立と生活意欲の向上を促すとともに、安定した生活を確保する

ために必要な支援を行います。

4 進路保障に向けた取り組み

必要な就学支援や就職支援を行い、自立への取り組みを積極的に推進します。

5 文化センター事業の充実

文化センター事業を通じ、周辺地域も含めた地域社会の福祉の向上や人権啓発の

ための住民交流を図っていくとともに、部落問題の解決に向け、必要な取り組みを

行います。そのために、一人ひとりに寄り添った生活相談事業を基本的機能とし、

地域課題を的確に把握するための調査・研究事業や、人権文化豊かなまちづくりを

めざし、地域福祉事業、地域交流事業、啓発広報事業等を総合的に行います。

6 差別事象への対応

差別事象の未然防止に努めるとともに、差別事象が発生したときには速やかに適

切な対応を行います。

Page 7: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

23

1 部落問題の正しい理解

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

町民への人権意識

の普及および啓発の

推進

「県部落解放月間」の

取り組み

部落問題の早期解決をめざし、町民の理解と認

識を深めるため、期間中にさまざまな啓発活動を実

施する。

期間:7月10日~8月9日

町同対協※1

町人・同推協※2

人権・同和教育課

「町部落解放週間」の

取り組み

部落問題の早期解決をめざし、町民の理解と認

識を深めるため、町独自に部落解放週間を設け、

期間中にさまざまな啓発活動を実施する。

期間:12月4日~10日

町同対協

町人・同推協

人権・同和教育課

人権・同和教育及び

啓発活動の実施

町民の部落問題に対する正しい理解と認識を深

め、人権意識の高揚を図るため、人権・同和教育

及び啓発を推進する。

国・県

人権・同和教育課

文化センター

町人・同推協

各地区人・同推協※3

町同対協

商工観光課

町雇用促進協※4

保育・教育現場に

おける人権意識の

育成及び啓発の

推進

「県部落解放月間」の

取り組み

月間中に保育園・こども園園児、小・中学校児童

生徒及び職員が人権啓発ワッペンの着用を行う。

また、各園、各学校が啓発看板を設置し啓発を

行う。

期間:7月10日~8月9日

人権・同和教育課

保育園・こども園

小・中学校

「町部落解放週間」の

取り組み

週間中に保育園・こども園園児、小・中学校児童

生徒及び職員が人権啓発ワッペンを着用し啓発を

行う。

期間:12月4日~10日

人権・同和教育課

保育園・こども園

小・中学校

小・中学校における部

落問題学習

発達段階に応じて、基本的人権を学習していく中

で、小学校高学年からの学習では、部落問題の歴

史的経緯等を理解し、偏見や差別意識に潜む不合

理性に気付く学習を行う。

小・中学校

第1節 部落問題

Page 8: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

24

2 雇用の安定

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

就職の促進

ハローワーク(公共職

業安定所)等を活用

した就職促進

被差別部落住民の就職の機会均等を確保し、雇

用の促進を図るため、個々の求職者、就労に対す

るきめ細やかな職業相談、職業指導を実施するとと

もに、ハローワーク等の活用を図る。また、事業主に

対する啓発指導に努める。

商工観光課

人権・同和教育課

文化センター

新規学卒者就職促

進奨励金の支給

新規学卒者の就職について、就職促進奨励金を

支給することにより、常用就職の促進と職業の安定

を図る。

人権・同和教育課

高等学校との連携体

制の強化

各学校の人権教育主任との連携を強化し、被差

別部落出身の生徒の就職の促進を図る。 文化センター

相談支援の充実 生活相談員等による

相談

生活相談員や職員による就職に向けた相談の実

施や関係機関との連携を図り、就労支援を行う。 文化センター

3 低所得者対策

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

低所得者対策の

実施

固定資産税の減免措

「町同和対策に係る固定資産税の減免措置要

綱」に基づき、被差別部落における経済力の育成

支援、住民の生活の安定及び福祉の向上等を図る

ため、被差別部落の住民が地域内に所有する宅地

及び家屋に対する固定資産税の減免措置を講ず

る。

税務課

相談支援の充実

相談窓口の設置 生活困窮者相談員による相談窓口を設置し、福

祉制度の運用及び、自立に向けた支援等を行う。 福祉あんしん課

生活相談員等による

相談

生活相談員や職員による家庭訪問の実施及び相

談を受け、関係機関と連携を図りながら、自立に向

けた支援を行う。

文化センター

Page 9: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

25

4 進路保障に向けた取り組み

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

幼児期における計画

的な個別指導

家庭支援推進保育

士の加配

しらとりこども園とふなのえこども園に家庭支援推

進保育士の加配を行う。被差別部落乳幼児に対し

て計画的な個別指導、保護者との連絡を密にしな

がら基本的な生活習慣の確立を図り、自ら学ぶ意

欲や態度を育てる。

子育て健康課

支援制度の充実

町進学奨励金の支給

歴史的背景による貧困の連鎖を断ち切るため、大

学・専修学校への修学が困難な人に進学奨励金を

支給し、修学の道を開く。

人権・同和教育課

各種融資制度の活用 県及び町の各種奨学資金を貸与することにより、

社会に有用な人材を育成する。 県

教育総務課

文化センターにおけ

る進路保障に向けた

取り組み

乳幼児学級(交流

会)の開催

就学前の乳幼児を対象に、乳幼児学級(交流会)

を開催し、学習会の前段の仲間づくり、保護者の交

流を行う。

文化センター

小・中学生学習会の

開催

小・中学生を対象に学力保障、人権学習、仲間

づくりの3つの柱をもとに学習を行う。 文化センター

東伯郡人権・同和教

育小学6年生の集い

への参加、部落解放

中部地区中学3年生

交流会への参加

東伯郡人権・同和教育小学6年生の集い及び、

部落解放中部地区中学3年生交流会で交流を深

め解放の意欲と決意を高めていく。

文化センター

高校生友の会の開催 高校生を対象に高校生友の会を開催し、活動を

とおして交流を深め、連帯感を育てる。 文化センター

ジュニアリーダーの育

高校生、大学生、専門学校生に文化センター事

業の協力者として参加してもらうことで、地域のジュ

ニアリーダーの育成を行う。

文化センター

家庭支援推進保育

士との連携

被差別部落内等の乳幼児の状況を把握し、基本

的生活習慣の確立や、学習意欲の向上を図るため

の情報交換を行う。

文化センター

人権教育主任との連

行政と人権教育主任の連絡会を開催し、被差別

部落出身の児童生徒の状況を把握する。 文化センター

Page 10: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

26

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

文化センターにおけ

る進路保障に向けた

取り組み

中部地区小・中学

校、高等学校との連

中部の隣保館職員と中部地区の小・中学校、高

等学校の人権教育主任との情報交換を行うととも

に、東伯郡人権・同和教育小学6年生の集い、部

落解放中部地区中学3年生交流会、高校生の交

流会や研修会の企画運営を連携して行う。

文化センター

5 文化センター事業の充実

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

地域住民の実態

把握 地域実態調査

被差別部落の住民の生活の実態や課題を調査

し、改善及び解決のために必要な事業を研究する。

文化センター

人権・同和教育課

相談事業の充実 生活相談員等による

相談

生活の困りごと等の相談や人権にかかわる相談に

応じ、適切な助言及び指導を行うとともに、関係行

政機関等と密接な連携を保つことにより、地域住民

の福祉の増進を図る。

文化センター

啓発及び広報活動

「文化センターだより」

の発行

「文化センターだより」を発行し、事業紹介や施設

利用等の情報提供に努めるとともに部落問題をはじ

めとするあらゆる人権課題についての啓発を行う。

文化センター

部落解放文化祭の開

部落問題の解決に向けて、町民一人ひとりが学習

を深め、人権意識の高揚を図ることを目的に部落

解放文化祭を開催する。

文化センター

現地研修(フィールド

ワーク)の実施

部落差別の歴史や実態と、同和対策事業の成果

について現地研修を実施し、差別をしない、させな

い、許さない意識の啓発を図る。

文化センター

講演会及び講座の開

同和問題懇談会(東伯)、解放教育講座(赤碕)

等、部落問題をはじめとするあらゆる人権について

学習する機会を提供する。

文化センター

人権・同和教育学習

の講師派遣

職員が、小・中学校及び地域に対し、人権・同和

教育学習の講師として学習を推進することで、部落

差別の正しい理解を図る。

文化センター

人権啓発に関する情

報の提供

人権啓発に関する相談・情報の提供及び関係機

関への照会等を行う。 文化センター

Page 11: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

27

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

地域交流事業

各種交流事業

各種講座を開催することにより、被差別部落住民

の教養文化を高め、自立を促すとともに、町民全体

に広く参加を呼びかけることにより、住民が互いの理

解と交流を促進する場とする。

文化センター

手話教室の開催

「鳥取県手話言語条例」に基づき、ろう者の人権

が尊重され 、ろう者とろう者以外の者が互いを理解

し合うことを目的に、手話教室を開催し手話の普及

に努める。

文化センター

教養・文化活動(教

室活動)の推進

各種教室活動を支援し、被差別部落住民と周辺

地域住民の生涯学習を推進するとともに、住民同

士の理解と交流を促進する場とする。

文化センター

高齢者交流事業 高齢者の健康増進及び認知症予防等の事業を

実施し、高齢者の交流の場とする。 文化センター

周辺地域巡回事業 周辺地域巡回事業

文化センターから遠距離にある周辺地域住民に

対し、各地区公民館等を会場に懇談会や講座を開

催し啓発活動を行う。

文化センター

地域福祉事業

保護者クラブの活動

支援

保護者としての資質の向上と懇親を図り、乳幼

児・児童生徒の健全育成に努める。 文化センター

高齢者学級

地域の高齢者が文化センターに定期的に集うこと

で、会話やレクリエーションをとおして、健康に長生

きできる環境づくりを行う。

文化センター

地域課題解決事業 地域住民のニーズや実態を捉え、学習機会の提

供や、地域の課題解決につながる事業を行う。 文化センター

健康づくりの推進 地域住民の健康増進のため、セット検診受診勧

奨や健康教室を開催する。

文化センター

子育て健康課

Page 12: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

28

6 差別事象への対応

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

差別事象の未然

防止

差別的表現や言動の

解消に向けた取り組

差別的表現や差別的言動の解消に向け、教育や

啓発広報等を行う。

人権・同和教育課

文化センター

相談窓口の充実

生活相談員等による

相談の実施

生活相談員や職員による相談を実施し、差別事

象の早期発見を行う。また、関係機関等と密接な

連携を図り、早期解決につなげる。

文化センター

人権相談の開催 各地区公民館を会場に人権擁護委員による人権

相談を月2回開催する。 人権・同和教育課

差別対策委員会の

設置

「差別事象等対応マ

ニュアル」に基づく対

差別事象の関係課が「差別事象等対応マニュア

ル」に基づき、事実関係の正しい把握と、人権侵害

の事実を明らかにする。また、再発防止施策につい

て検討する。なお、指定管理施設においても同様に

対応できるよう、関係課は管理者に指導を行う。

人権・同和教育課

文化センター

関係課

差別対策委員会の設

差別事象の発生後に差別事象対策委員会を設

置し、事実関係の把握とその要因及び社会的背景

を正しく分析するとともに、行政主体により、問題解

決への対応方針に基づく具体的な取り組みを行う。

人権・同和教育課

総務課

関係課

※1 町同対協 (町同和対策推進協議会)

※2 町人・同推協 (町人権・同和教育推進協議会)

※3 各地区人・同推協 (各地区人権・同和教育推進研究協議会)

※4 町雇用促進協 (町人権・同和対策雇用促進協議会)

Page 13: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

29

第2節 男女共同参画に関する人権

【現状と課題】

男女が互いに人権を尊重しつつ、役割と責任も分かち合い、能力を十分に発揮でき

る男女共同参画社会の実現は、男性にとっても女性にとっても生きやすい社会をつく

ることであり、わが国において取り組まれるべき重要課題のひとつと位置づけられて

います。

国連は昭和 50(1975)年を「国際婦人年」と定め、それを契機に国連や各国でさま

ざまな取り組みが行われ、男女平等に向けた法律や制度なども整備されてきました。

わが国では、昭和 60(1985)年の「女子差別撤廃条約」の批准や、昭和 61(1986)

年の「男女雇用機会均等法」の施行などにより、男女平等に対する気運の高まりがみ

られるようになりました。さらに、平成 11(1999)年に「男女共同参画社会基本法」

が制定され、平成 12(2000)年には同基本計画が策定されました。

しかし、現実には今なお、「男は仕事、女は家庭」といった男女の役割を固定的に

捉える性別役割分業意識が社会に根強く残っており、家庭や職場においてさまざまな

男女の地位の不平等が生じています。また、性犯罪、配偶者等からの暴力、職場等に

おけるセクシュアル・ハラスメントや妊娠・出産等を理由とする不利益扱い(マタニ

ティ・ハラスメント)等の問題も近年多く発生しています。

本町においては、平成 18(2006)年に制定した「琴浦町男女共同参画推進条例」に

基づき、平成 20(2008)年に「第 1 次琴浦町男女共同参画プラン」を策定しました。

平成 23(2011)年には、「男女共同参画町民意識調査」を実施し、その結果をもとに

本町の男女共同参画の現状について評価と検証を行ないました。そして平成 25(2013)

年に「第 2次琴浦町男女共同参画プラン」を策定し、より実効性のある施策を推進し

ています。現状と課題としては、「町男女共同参画町民意識調査」では、「社会通念

や慣習、しきたり」「政治の場」などの分野で「男性が優遇されている」と回答した

人の割合が、男女ともに 5割を超えています。(図 1参照) また、家庭での役割分担についても、「家屋野外作業」「地域活動」をのぞく家事

について、主に女性が担っている状況です。(図 2参照)さらに、家事、子育て、介

護などの分野で男性の参画が少ない理由についての回答は、「男性自身の抵抗感」「昔

から続く役割分担」「男性の長時間労働」の順に高い結果になっています。(図 3参

照)

さらに、ドメスティック・バイオレンス※(以下、「DV」と言う。)については、

平成13(2001)年の「DV防止法」施行から15年が経ち、さまざまな事例が報告される

中で、DVが著しい人権侵害であることの認識が高まっています。本町では、男性の37

人に1人、女性の8.6人に1人がDV被害を経験しており、DV被害経験者のおよそ半数

が、誰にも相談していない状況です。(図4、5参照)また交際中の男女間の暴力(デー

トDV)も問題化しており、若者を中心とした予防教育・啓発も重要な課題となってい

Page 14: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

30

ます。

以上のことから、本町における男女共同参画の現状はまだ道半ばの状況です。

今後は、男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し及び意識改革や、職

場・家庭・地域において多様な生き方を選択できる社会の実現に向けてさらなる取り

組みが必要です。また、DVをはじめとするあらゆる暴力の根絶に向け、啓発を行う

など、誰もが安心して暮らせる環境の整備等を行う必要があります。

※ ドメスティック・バイオレンス(Domestic Violence、DV)・・・同居関係にある配偶者や内縁関係

の間で起こる家庭内暴力のこと。近年では DV の概念は婚姻の有無を問わず、元夫婦や恋人等の間

に起こる暴力全般を指す場合もある。

11.2

8.0

25.8

7.5

26.2

2.6

10.1

9.1

45.0

30.9

42.2

23.2

30.4

9.6

27.6

38.2

12.9

30.2

9.4

26.7

11.9

41.7

29.5

39.6

3.0

5.9

2.1

5.9

1.9

3.0

4.9

2.6

0.9

0.5

0.2

1.4

0.5

0.2

1.2

0.7

18.7

16.4

11.2

25.3

19.9

32.3

16.2

5.9

8.2

8.2

9.1

10.1

9.1

10.5

10.5

4.0

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

社会全体

地域活動

社会通念など

法律制度

政治

学校教育

職場

家庭生活

男性が非常に優遇 どちらかといえば男性

平等 どちらかといえば女性

女性が非常に優遇 わからない

無回答回答数 427

図 1 男女の地位の平等感について(総数) 「町男女共同参画町民意識調査」(平成 23 年)

Page 15: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

31

4.122.7

43.913.3

1.2

19.90.6

28

35.123.7

5.852.1

25.739.8

2.963.5

10.559.2

4.161.1

0

63.0

12.9

0.52.9

28.4

11.7

1.414.6

0

9.422.7

34.5

1.9

24.620.9

53.8

0.5

45.6

0.948.0

2.457.9

0

10.511.8

20.522.7

7.0 3.3

1714.2

16.415.2

25.713.3

11.19.0

7.0 4.3

14.010.9

13.56.6

6.46.6

0.6

0.914.6

11.4

1.2

0.9 0

1.4

14.611.8

0.6

2.8

8.83.8

3.5

0.5 1.2

0.91.2

0.51.2

0

8.26.6

7.0 3.3

9.44.3

11.110.0

9.910.4

22.215.6

18.113.7

21.616.6

19.912.8

23.414.7

25.716.1

39.837.0

0.6

3.8

49.747.4

34.526.5

2.9

1.9 0

0.5 0.6

0.5 0.6

0 0

0.5 0

0.5 0

0

24.0 20.4

10.517.1

19.922.7

22.219.9

11.714.2

11.113.7

11.112.3

10.514.7

8.814.7

9.914.2

8.814.2

0% 20% 40% 60% 80% 100%

男性

女性

男性

女性

男性

女性

男性

女性

男性

女性

男性

女性

男性

女性

男性

女性

男性

女性

男性

女性

男性

女性

あなた本人 あなたの配偶者

同程度負担 他の家族(男性)

他の家族(女性) 該当する世話や仕事がない

無回答回答数 410

食事のしたく

食事の片付け

掃 除

洗 濯

ゴミだし

日常の買い物

家庭屋外作業

子どもの世話

介護・看護

地域活動

学校の活動・行事

図 2 家庭での役割分担について(性別)

「町男女共同参画意識調査」(平成 23 年)

Page 16: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

32

39.3

37.7

35.4

30.4

28.6

22.0

13.8

11.2

7.0

3.3

44.2

39.8

29.6

35.4

24.3

18.1

13.3

14.2

8.8

4.0

34.8

34.8

41.8

26.1

35.3

27.2

14.1

8.2

4.9

2.7

0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0

男性自身に参加することに対する抵抗感があるため

昔から続く男女の役割分担であるため

長時間労働により、男性に時間がないため

男性による家事、子育て、介護などについて、

社会の中で評価が低いため

それぞれの家族の事情に合っているため

男性が家事、子育て、介護などの技能を持たないため

夫婦や家族間での話し合いが不十分なため

家事、子育て、介護などについて、男性への

情報提供が不十分なため

その他

男性が参加することに対して、女性の抵抗感があるため

総数

n=427女性

n=226男性

n=184

%%%%%%

427

226

図 3 家事、子育て、介護などの分野で男性の参画が少ない理由 (総数・性別) 「町男女共同参画町民意識調査」(平成 23 年)

184

Page 17: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

33

1.4%1.6%

4.9%

79.6%

12.4%

経験したことがない

この1年の間に被害を受けた

2~5年の間に被害を受けた

過去に受けたことがある無回答

図 5 DV被害の相談先一覧表(性別無回答あり・複数回答あり)

「町男女共同参画町民意識調査」(平成 23 年)

(%)

福祉相談センター(婦人相談所)

や女性相談の窓口(心と女性の

相談室)等に相談した

男女共同参画センターに相談し

た 人権相談の窓口(人権擁護委員、

各種相談会等)に相談した

警察に連絡・相談した

市町村の相談窓口に相談した

そのほかの公的な機関に相談し

た 民間の専門家や相談機関(弁護

士、民間シェルターなど)に相

談した

医療関係者(医者、看護師など)

に相談した

学校関係者(教員、養護教員)

などに相談した

家族や親せきに相談した

友人知人に相談した

その他

どこ(だれ)にも相談しなかっ

総数 (34)

0.0 0.0 0.0 2.9 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 26.5 29.4 8.8 47.1

女性 (26)

0.0 0.0 0.0 3.8 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 30.8 38.5 11.5 38.5

男性 (5)

0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 20.0 0.0 0.0 80.0

【推進方針】

回答数 427

図 4 DVに関して、被害を受けたことがあるか(総数・無回答含む) 「町男女共同参画町民意識調査」(平成 23 年)

Page 18: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

34

1 男女の人権を尊重する意識の向上

性別にかかわらず、一人ひとりが個性や能力を発揮できる男女共同参画社会の実

現に向け、固定的な性別役割分担意識を見直し、人権尊重を基盤にした男女平等観

の形成、教育及び啓発を進めることにより、男女が主体的に生きる権利を推進しま

す。

2 女性の政策・方針決定過程への参画の推進

町の政策・方針決定過程への女性の参画を推進するため、審議会など付属機関に

おいては、審議会の構成の見直しにより、引き続き女性の登用に努めます。

また、地域のさまざまな分野における男女共同参画の促進を図ります。

3 働きやすい環境づくりの推進

雇用の場において、労働者が性別により差別されることなく、その能力を発揮す

る機会と公平な待遇が確保されるよう男女共同参画の普及推進に努めます。また、

職場などにおけるセクシュアル・ハラスメントをはじめとするあらゆるハラスメン

トを防止するための研修や、事業主として取り組むべき措置等について普及啓発に

努めます。

ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の推進への取り組みとして、男

女がともに仕事、家庭、地域活動を担うことができるように、企業経営者等への理

解や取り組みを促すとともに、多様な働き方を選択・実現できる働きやすい職場環

境づくりを進めます。

4 配偶者・パートナーに関するあらゆる暴力の根絶

DVなどのあらゆる暴力を許さない社会づくりを促進するため、さまざまな機会

をとおしてDV根絶に向けた啓発を進めるとともに、相談窓口の設置等、被害者支

援の充実を図ります。

Page 19: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

35

1 男女の人権を尊重する意識の向上

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

啓発推進体制の

整備

「町男女共同参画推

進条例」の遵守

男女共同参画社会の実現をめざした「町男女共同

参画推進条例」を遵守する。

企画情報課

関係課

「町男女共同参画プ

ラン」の推進

「町男女共同参画推進条例」に基づき、男女共同

参画社会の実現をめざして、町の取り組むべき事業

を具体的かつ計画的に示した「町男女共同参画プ

ラン」を必要に応じて改訂し、推進する。

企画情報課

男女共同参画につい

ての意識調査実施

男女共同参画プランに関する、町民意識調査を

実施する。 企画情報課

広報・啓発活動の

推進

啓発活動の推進

男女共同参画への町民の意識を高め、理解を深

めるための啓発や広報活動を推進するとともに、啓

発資料を購入整備し、学習機会の提供に努める。

また各種男女共同参画に関する人権を啓発する

機会として、地区公民館等と連携を取りながら講座

等を開催する。

社会教育課

人権・同和教育課

町まなびのつどいの開

催支援

男女共同参画社会の実現を図るため、町が委託

を行い、まなびのつどいを開催する。

当日の運営及び開催に向けての団体間の協議運

営等も構成団体員の研修として位置づけ、男性の

参加も呼び掛けながら、運営を通した団体構成員の

自己実現や、地域コミュニティー意識の高揚を図り、

学習活動成果による誇り高く心豊かな人を育むまち

づくりの進展への取り組みを支援する。

社会教育課

町女性団体連絡

協議会

町男女共同参画フォ

ーラムの開催支援

鳥取県男女共同参画センター(よりん彩)の利用

登録団体としての活動はもとより、「よりん彩記念日フ

ォーラム」等の取り組みに参画し、連携を図りながら

課題テーマを決め、同団体の会員による「男女共同

参画フォーラム」を開催する。一人ひとりが輝き、暮

らしやすい社会づくりをめざす取り組みを支援する。

社会教育課

町男女共同参画

推進会議

就学前教育、学校

教育における男女平

等を基本とする教育

の推進

男女平等を基本とす

る教育の推進

男女平等、男女共同参画の見方や考え方を形成

する教育を推進する。

保育園・こども園

小・中学校

男女がお互いを尊重

し合う教育の実践

男女が、互いにかけがえのない存在として尊重し

合い、互いに協力し合う健全な異性観を持つ態度を

育成する。

小・中学校

第2節 男女共同参画に関する人権

Page 20: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

36

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

就学前教育、学校

教育における男女平

等を基本とする教育

の推進

性教育の実践

体の発達、意識形成の発達にともない、性差、個

性、社会意識を育む学習を実践するとともに、人間

としてよりよく生きるために、思いやりの心や正義感、

倫理感、生命を尊重する心等、豊かな心を育成す

る。

保育園・こども園

小・中学校

保育環境、教育環境

の整備

男女平等の考え方に基づく、保育環境、教育環

境の整備を進める。

保育園・こども園

小・中学校

職員・教職員研修の

充実

職員・教職員自ら男女共同参画意識を高めるた

めの研修会参加を促す。

保育園・こども園

小・中学校

保護者への啓発 男女が互いに尊重し合い助け合いながら子育てを

行えるよう、保護者会等をとおして啓発する。

保育園・こども園

小・中学校

相談体制の確立 相談体制の確立と啓

発活動の推進

男女共同参画についての人権侵害に関し、被害

者が訴えやすい相談体制を確立させる。 企画情報課

2 女性の政策・方針決定過程への参画の推進

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

地域のさまざまな

分野における男女

共同参画の促進及

びリーダーの育成

各審議会・委員会へ

の男女の登用率

各審議会や委員会への男女の登用率の均等に

努める。 関係課

女性の参画 女性の各種委員等参画を働きかける。 社会教育課

男女共同参画リーダ

ー研修への派遣

男女共同参画リーダー研修への派遣を行い、リー

ダーの養成に努める。 社会教育課

3 働きやすい環境づくりの推進

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

職場における男女共

同参画の推進

啓発活動の実施

「男女雇用機会均等法」等の周知及び性別による

固定的な役割分担意識の解消を図るための啓発

に努める。また、講演会や講座等で、男性及び女性

の意識改革に努める啓発を実施する。

商工観光課

社会教育課

農林水産課

人権・同和教育課

文化センター

女性の就業と管理職

の登用の促進

「男女雇用機会均等法」の趣旨に沿った行政、企

業の雇用管理の促進、女性の職域拡大、管理職

への登用を促進する。

商工観光課

総務課

Page 21: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

37

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

職場における男女共

同参画の推進

職業意識の向上 採用時における男女平等の推進と職業能力の開

発及び意識の向上に努める。 商工観光課

雇用と就職機会の拡

女性の雇用拡大に努めるとともに、資格取得、職

種や職域拡大のための情報提供や、再就職のため

の支援や相談を行い、就職機会の拡大を図る。

商工観光課

社会教育課

セクシュアル・ハラス

メントをはじめとするあ

らゆるハラスメントを

なくすための取り組み

セクシュアル・ハラスメントをはじめとするあらゆる

ハラスメントをなくすための講演会等の開催、啓発

パンフレット等の作成、配布や情報提供を行う。

商工観光課

女性政策の推進

女性が職場で十分に能力を発揮し、確かな地位

を得るよう男女共同参画社会推進のための周知及

び啓発を実施し、しっかりとした職業観の確立を図

る。

社会教育課

商工観光課

企画情報課

就業条件の整備

多様な就職形態における就業条件の整備を促進

し、パートタイム労働の労働条件の改善と雇用の安

定、福祉の増進、家庭内労働者の労働条件の向

上につながるよう啓発に努める。

商工観光課

男女共同参画推進

企業の推進(評価)

調達公告日現在において、男女共同参画推進企

業の認定を受けている入札参加企業に対し評価を

行う。(簡便型総合評価競争入札)

企画情報課

ワーク・ライフ・バラン

スの推進

各種労働者支援制

度の利用促進

出産や育児、介護等のための労働者を支援する

制度の確立と、利用の促進に努めるとともに、制度

利用者が不利益を被ることのないよう啓発する。ま

た、仕事と家庭とを両立できる雇用環境を整備す

る。

商工観光課

町人権・同和対策

雇用促進協議会

休業・休暇制度の利

用促進

育児休業制度や介護休暇制度等の利用促進に

より、仕事と家庭の両立に努める。

商工観光課

社会教育課

男性の各種制度の

利用促進に向けた取

り組み

育児休業や介護休業等各種制度の周知と、男性

の利用に向けた意識改革を図るとともに、利用促進

のための条件整備に努める。

商工観光課

社会教育課

Page 22: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

38

4 配偶者・パートナーに対するあらゆる暴力の根絶

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

あらゆる暴力をゆる

さない社会づくり

DV、性犯罪、ストー

カー行為等の防止に

向けた啓発活動の実

DV、性犯罪、ストーカー行為等の防止に関する

講演会等の開催、情報提供、啓発活動を実施す

る。

社会教育課

人権・同和教育課

子育て健康課

デートDVの防止啓発

活動

デートDVの防止に関する、講演会等の啓発活動

を実施する。学校においては生徒・保護者への啓

発を行う。

教育総務課

町民生活課

中学校

相談・支援体制の

充実

DV等に関する相談・

支援体制の充実

関係機関と連携して被害者への相談体制の整備

と支援の充実を図る。 子育て健康課

被害者及びその家族

に対する支援の充実

被害者及びその家族の一時保護、自立に向け

て、関係機関と連携し支援を行う。 子育て健康課

加害者に対する更生

支援

加害者に対して、関係機関と連携し更生の支援を

行う。 子育て健康課

Page 23: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

39

第3節 子どもの人権

【現状と課題】

平成 6(1994)年にわが国が批准した「子どもの権利条約」では、子どもを人格を

持つ 1人の人間として認め、原則として大人と同じ権利を保障しています。さらに子

どもを「発達する存在」としてとらえ、子ども独自の権利、「生きる権利」「育つ権

利」「守られる権利」「参加する権利」を保障しています。

しかしながら、子どもを取り巻く環境は依然として厳しく、子どもの人権が十分に保

障されているとは言い難い状況にあります。幼児や児童を、親などが虐待し、中には死

に至らしめるという痛ましい事件は後を絶ちません。また、最近の子どものいじめは、

多様化が進み、コンピューターや携帯電話・通信型ゲーム機等の介在により、いじめが

一層見えにくくなっている実態もあります。さらに子どもの貧困問題については、厚生

労働省が、平成21(2009)年に公表した子どもの相対的貧困率は15.7%で、子どもの約

6人に1人が貧困状態にあることを示しています。その中でもひとり親世帯の貧困率は

54.6%と深刻な状況にあります。

この様な状況の中、平成12(2000)年に「児童虐待防止法」の施行、平成25(2013)

年には「いじめ防止対策推進法」、「子どもの貧困対策推進法」の施行等、子どもの人

権に関する法律が次々に制定され、法律に基づいた国及び地方公共団体の取り組みが行

われています。

本町においても平成 17(2005)年に「琴浦町次世代育成支援行動計画」を策定し、

平成 27(2015)年からは、町として総合的に子育て支援を進めていくための計画「琴

浦すくすくプラン」を策定し、総合的、計画的に施策を推進しているところです。プ

ランの「子育てを支援する生活環境の整備」では、安心して外出できる環境の整備と

して公共施設等のユニバーサルデザインの推進、また、「子ども等の安全の確保」で

は、PTAやボランティアによるパトロール活動などの子どもを犯罪等の被害から守

るための取り組みを行っています。「要保護児童※・障がい児等への対応」では相談

体制の充実を図るとともに、要保護児童対策地域協議会※等関係機関との連携強化に

よる児童虐待防止、ひとり親・生活困窮家庭への支援にも取り組んでいます。

また、学校教育においては、子どものいじめ、不登校、問題行動への対応として、

児童生徒への Hyper-QU(よりよい学校生活と友達づくりのためのアンケート)等ア

ンケート実施、児童生徒支援加配、学校生活適応支援員の配置、スクールカウンセラ

ーや教育相談員による相談事業の充実を図り、問題の未然防止や早期発見、早期対応

に取り組んでいます。

本町が平成 25(2013)年に実施した「子どもの状況と子育ての実態(ニーズ調査)」

の結果から、保護者のワーク・ライフ・バランスの現状をみると、仕事より家事・育

児を優先したいと考えていても、現実には多くの方が仕事を優先させている様子が分

かります。(図 1参照)同調査の県・町に希望する子育てへの重点対策でも、仕事と

Page 24: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

40

8.2%

49.4%

12.2%

68.4%

74.1%

43.1%

70.4%

27.6%

11.0%

0.7%

11.2%

0.0%

4.4%

3.0%

2.0%

0.0%

2.0%

3.7%

4.1%

4.1%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

希望(就学前保護者)

現実(就学前保護者)

希望(児童クラブ保護者)

現実(児童クラブ保護者)

1.仕事を優先 2.家事(育児)を優先 3.プライベートを優先 4.その他 未記入

家庭生活の両立についてが、1番にあげられています。(図 2参照)この様に、核家

族化や共働き家庭の増加等の理由により、親世代が忙しく、親子の語らいや触れ合い

の時間を持ちにくい現状があります。本町では、平成 19(2007)年度から「10 秒の愛

キャンペーン」〔平成 28(2016)年から、「10 秒の愛~やさしさの貯金~」に変更〕

として、忙しい毎日の中での子どもとの触れ合いについて、ほんの 10 秒でも子どもと

真剣に向き合おうという取り組みを行っていますが、子育て対策としても、ワーク・

ライフ・バランスのさらなる推進が求められています。

また、保護者等による児童への虐待については、要保護児童対策地域協議会での取

り扱い案件が増加傾向にあります。(図 3参照)さらに、いじめ、不登校についても

近年増加傾向にあり、子どもたちの背景も多様化する中、家庭との連携、対応の難し

さが課題となっています。その他にも、発達障がい等、障がいのある子どもや保護者

への支援の充実等、個々のニーズに合わせたさまざまな支援が必要です。

今後も子どもを取り巻く社会環境や課題に対応するために、保育、学校現場ととも

に子どもの人権について正しい理解を進め、また、いじめ等を防止するために、子ど

も自身が自分や友達の良さを認め合い、自信をもって活動していけるよう人権・同和

教育を進めていく必要があります。あわせて保護者の子育てに困り感を感じている現

状やニーズを把握し、不安や悩みを解決するために、療育・相談機関との連携を図る

等、子育て支援、家庭教育支援をさらに充実していくことが求められています。

※ 要保護児童

①保護者に監護させることが不適当であると認められる児童:被虐待児童・非行児童など。

②保護者のいない児童。

③保護者の養育を支援することが特に必要と認められる児童。

※ 要保護児童対策地域協議会・・・市町村が実施主体で、要保護児童等を関係機関で情報共有しながら、

見守り・サポートしていく組織。

図 1 仕事・家事・プライベートの優先度

「子どもの現状と子育ての実態(ニーズ調査)」(平成 25 年)

(回答数) 就学前保護者 429 児童クラブ保護者 98

Page 25: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

41

49

63

103

155

12 23

14 9

29

41

5666

0 1 0 2

0

20

40

60

80

100

120

140

160

平成22年 平成23年 平成24年 平成25年

児童虐待相談件数と児童養護施設への新規入所児童数の推移

鳥取県相談件数

琴浦町相談件数

琴浦町要対協取扱い案件

施設への新規入所児童数

(琴浦町)

45.2%51.0%

20.7%31.0%

40.6%

22.4%34.7%

50.6%

62.0%

30.5%

13.3%2.6%

3.5%

36.7%41.8%

12.2%32.7%

23.5%8.2%

36.7%55.1%

79.6%35.7%

11.2%6.1%

1.0%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

地域における子育て支援の充実

保育サービスの充実

子育て支援ネットワークづくり

地域における子どもの活動拠点の充実

妊娠・出産に対する支援

母親・乳児の健康に対する安心

子ども教育環境

子育てしやすい住居・まちの環境面での充実

仕事と家庭生活の両立

子どもを対象にした犯罪・事故の軽減

要保護児童に対する支援

その他

特にない

就学前保護者 児童クラブ保護者

図 2 子どもを健やかに生み育てるには、県や町の対策は何に重点をおいたらよいか。

「子どもの現状と子育ての実態(ニーズ調査)」(平成 25 年)

図 3 児童虐待相談件数と児童養護施設への新規入所児童数の推移 (琴浦町資料より)

(回答数) 就学前保護者 429 児童クラブ保護者 98

Page 26: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

42

【推進方針】

1 子どもの権利に関する理解

「子どもの権利条約」の趣旨や内容を理解し、その精神を活かした人権尊重の保

育・教育など施策の推進を図り、お互いの人格を認め合う人間性豊かな子どもの育

成に努めます。

2 子どもの健全育成の推進

子どもが安心・安全に遊び、過ごせる居場所づくりや、体験学習の推進を行い、

地域の子育て環境の充実を図ります。また、家庭や地域における教育力の向上、子

どもを取り巻く有害環境対策を推進し、子どもの健全育成に向け、家庭、学校、地

域社会が連携を深め、一体となって取り組む施策を推進します。

3 発達支援・特別支援教育の充実

障がいのある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取り組みを支援す

るという視点に立ち、すべての子どもたち一人ひとりの教育的ニーズを把握し、そ

の持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善または克服するため、適切な指導及

び必要な支援を行います。

また、発達支援・特別支援教育をとおして、障がいのある幼児児童生徒への教育

にとどまらず、障がいの有無やその他の個々の違いを認識しつつ、さまざまな人々

が生き生きと活躍できる共生社会の基礎を築きます。

4 いじめ、暴力行為、不登校に対する施策の充実

いじめ、暴力行為、不登校の未然防止、早期発見、早期対応に向け、相談しやす

い環境の整備や学校と家庭、地域との連携等施策の充実を図ります。

5 児童虐待防止への取り組み

保護者等への啓発により児童虐待を未然に防ぐとともに、早期に発見し、的確に

対応するために、妊娠期からの切れ目ない支援、関係機関との連携強化を図ります。

6 子どもの貧困対策

貧困の状態にある子どもが健やかに成長できる環境を整備するとともに、教育を

受ける機会を保障し、ひとり親家庭への支援を中心に生活支援及び就労支援とあわ

せて、子どもの貧困対策を総合的に推進します。

7 子育てにやさしいまちづくりの推進

子育て家庭への支援を充実させるとともに、地域で安心して子どもを生み育てら

れる環境を整備し、子育てにやさしいまちづくりを推進します。

Page 27: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

43

1 子どもの権利に関する理解

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

子どもの権利につい

ての広報・啓発活動

の実施

啓発活動の推進 子どもの人権について理解と認識を深めるため町

報等を利用して啓発する。

子育て健康課

教育総務課

人権・同和教育課

保育園・こども園、学

校における研修会の

実施

子どもの人権をテーマに設定し、職員及び保護者

の学習を深める。

保育園・こども園

小・中学校

子ども自身が子ども

の権利を学ぶための

学習の推進

就学前における人権・

同和保育(教育)の推

一人ひとりの育ちを把握し、自分や友達の良さを

認め合い、自信を持って活動していけるよう、家庭

や地域と連携して人権・同和保育(教育)を推進す

る。

保育園・こども園

学校教育における人

権・同和教育の推進

基本的人権について、また個別具体的な人権問

題とその解決に向けた取り組みについて理解できる

ような指導を行う。また、学校や学級の中など身近

な生活の中で起こっている問題について、児童生徒

の気づきを促し、自分たちで解決していこうとする態

度、技能を育む。そして、自分たちは人権が大切に

される集団や社会づくりの担い手であることを自覚

し、人権問題の解決を自分のこととして捉えられるよ

うな教育活動を推進する。

小・中学校

2 子どもの健全育成の推進

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

子どもを取り巻く環境

の改善

あいさつ運動の実施 町をあげてのあいさつ運動を展開し、子どもとの関

わりを持つ。

社会教育課

小・中学校

交通安全意識の普及

啓発事業

交通安全意識の普及と啓発を図り、正しい交通マ

ナーを習慣づける。 総務課

「子ども・若者育成支

援強調月間」、「青少

年の非行・被害防止

強調月間」の取り組み

青少年の健全育成に関する街頭広報活動、性風

俗等違反広告物の一斉撤去等の事業を、青少年

育成推進指導員、少年健全育成指導員と協力して

実施する。

期間:7月1日~31日、11月1日~30日

国・県

社会教育課

第3節 子どもの人権

Page 28: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

44

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

子どもを取り巻く環境

の改善

各種青少年育成団

体などとの連携

少年育成員、PTA等との連携をもち、巡回指導、

啓発パンフレット作成配布等により地域環境づくりを

推進する。

社会教育課

「こども110番の家」

の取り組みの推進

子どもを犯罪の被害から守るため、「こども110番

の家」の取り組みを学校、地域等と協力連携し推進

する。(設置及び整備については警察署が行う。)

総務課

小・中学校

子どもの居場所づくり

放課後児童クラブの

実施

放課後、保護者等が留守の家の児童に対し、遊

びの場や生活の場を与え児童の健全育成を図る。 子育て健康課

放課後子ども教室の

実施

公民館等を活用した子どもの居場所づくり活動を

推進し、勉強、文化活動、地域住民との交流活動

等の取り組みを行う。

社会教育課

児童館事業の充実

町内2ヶ所に設置されている児童館事業を充実さ

せることで、子どもへの遊びの提供、居場所作り等を

行う。

文化センター

公園及び施設遊具等

の充実・整備

子どもが、安全に遊べるよう公園及び施設遊具の

充実・整備を行う。

企画情報課

社会教育課

子育て健康課

教育総務課

人権・同和教育課

保育及び教育環境

等における条件整備

保育及び教育環境

等の整備の推進

子どもの人権、生活、文化、教育が十分に守られ

るための条件整備に努める。

子育て健康課

教育総務課

計画訪問や学校一

斉公開等での学校へ

の訪問

児童生徒の学校生活での様子を参観し、教職員

と児童生徒の関わり等、学校関係者とともに考え話

す場を設ける。

教育総務課

小・中学校

人権・同和教育課

安全で安心できる学

校生活対策

地域ぐるみの学校・地

域安全の支援

学校支援ボランティア・交通指導員及び地域安全

パトロール隊による登下校の見守りを支援する。

教育総務課

小・中学校

社会教育課

不審者対策の取り組

不審者の出没に対して、児童生徒の生命の安全

や危険からの回避を目的に、児童に防犯笛や防犯

ブザーを配布する。また、各学校には、不審者が校

内に侵入した際に複数の大人の力で取り押さえるた

めの防犯用具を常備し、不審者の侵入や出没を想

定した訓練を行う。

教育総務課

小・中学校

Page 29: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

45

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

地域における体験

学習及び活動の推

体験学習の実施

社会奉仕体験や地域の人との交流活動など、

体験的学習活動に取り組み、自分も他の人も大

切にできる能力や技能を養う。

教育総務課

小・中学校

職場体験学習の実施 中学2年生が、町内の職場において体験学習を

行う。

教育総務課

中学校

「ことうら子どもパー

ク」の開催

地域の方の参画を経て、児童を対象にものづくり

体験活動の推進を図る。 社会教育課

地域活動への参加促

公民館を中核として子どもが、さまざまな地域活

動に参加し、地域社会に溶け込めるように条件整

備に努める。

社会教育課

保育園・こども園

小・中学校

家庭の教育力の向

子育て講座の実施

保護者を対象に、家庭教育講座を開催し、子ど

もとの関わり方等、子育てに必要な知識を学び、

子どもの成長を喜び、楽しみながら子育てができ

る機運を高める。

社会教育課

教育総務課

小・中学校

保育園・こども園

子育て支援センター

「10秒の愛~やさしさ

の貯金~」の実施

親と子どもの絆づくりに焦点をあて、忙しい毎日

の中で忘れがちな子どもとのふれあいの大切さに

ついて啓発するために、子育ての合言葉として「1

0秒の愛~やさしさの貯金~」に取り組む。

社会教育課

教育総務課

保育園・こども園

小・中学校

「園だより」の発行

「園だより」をとおして、園の保育方針や保育目標

等を保護者に伝えるとともに、園での子どもの様子

及び行事のねらいや取り組み方などを知らせ、園

と家庭が子育ての喜びを共有できるようにする。

保育園・こども園

「学校だより」の発行

「学校だより」をとおして、学校の教育方針や学校

生活に関する情報などを積極的に発信していくこ

とで、保護者との信頼関係を築き、学校と家庭が

連携・協力して教育に取り組めるようにする。

小・中学校

保護者会活動の支援

保育・子育ての大切さについて理解を深めるた

め、保護者同士の交流や研修を行い、保護者会

活動の支援を行う。

保育園・こども園

ブックスタートの実施

乳幼児健診時に赤ちゃんと保護者に絵本を贈

り、絵本から言語力と想像力を育むことのすすめ

や、絵本をとおして親子の触れ合いを深める啓発

を行う。

図書館

相談体制の充実

母子保健事業の実施 母子の健康増進を目的とした健康診査や、育児

相談を行う。 子育て健康課

子育て支援センター

事業の実施

子育てに関する各種相談に保育士が電話や面

談で対応する。また、対応職員の意識啓発のた

め、研修会を実施する。

子育て健康課

子育て支援センター

Page 30: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

46

3 発達支援・特別支援教育の充実

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

支援体制の整備

発達障がいに関する

理解・啓発の推進

パンフレット配布等、発達障がいに関する広報活

動や保護者研修会を実施し、理解や啓発の推進を

図る。

子育て健康課

教育総務課

保育園・こども園

小・中学校

加配保育士・町講師

等の配置

支援を必要とする子どもの生活を保障し、心身と

もに健康的に発達する環境を保持するために、加

配職員の配置や職員を増員する。

子育て健康課

教育総務課

保育園・こども園

小・中学校

職員研修の実施

支援を必要とする子どもたちを取り巻く保育園・こ

ども園、学校での生活、環境のあり方、保育及び教

育についての研修を実施する。

子育て健康課

教育総務課

保育園・こども園

小・中学校

特別支援教育のため

の施設の整備

特別支援教育の推進と充実を図るため、教育環

境の整備に努める。

教育総務課

小・中学校

関係機関との連携に

よる支援体制の整備

特別支援学校、エール発達障がい者支援センタ

ー、医療関係機関等と連携し、幼児児童生徒をは

じめ、保護者や園及び学校への支援体制の整備と

その充実を図る。

教育総務課

福祉あんしん課

子育て健康課

保育園・こども園

小・中学校

相談支援体制の充実

町内の保育園・こども園及び学校において子育て

に関する知識を得、不安や悩みを解消するために、

療育・相談機関やスクールカウンセラー・ペアレント

メンターを活用し、子育てに悩んでいる保護者を支

援する。

教育総務課

子育て健康課

保育園・こども園

小・中学校

就労支援の充実

障害者就業・生活支援センター、障害者職業セン

ター、公共職業安定所(ハローワーク)等の就労関

係機関や、特別支援学校など教育機関と連携する

ことで、就労支援サービスの利用や障がい者の就

職促進につなげる。

福祉あんしん課

交流の推進 交流活動の充実

校内の特別支援を必要とする児童生徒との交流

や、特別支援学校との交流活動をとおして、相互理

解や交友関係を深める。

教育総務課

小・中学校

Page 31: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

47

4 いじめ、暴力行為、不登校に対する施策の充実

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

仲間づくりの推進

及び家庭連携

就学前における人権・

同和保育(教育)の推

一人ひとりの育ちを把握し、自分や友達の良さを

認め合い好きになり、自信を持って活動していける

よう、家庭や地域と連携して人権・同和保育(教

育)を推進する。

保育園・こども園

仲間づくり保育・教育

の実践

子どもの生活を観察し、思いやりの心を育む指

導を行う。連絡ノート、面談により家庭との連携を

図りながら、園と家庭が一緒になり、子どもに同じ

姿勢で接するよう努める。

保育園・こども園

ふれあい活動の実施 日常的に子どもとのふれあいを心がけ、安心、

信頼を築き子どもの目線での保育、教育を行う。 保育園・こども園

保護者研修会の実施

研修会や懇談会をもち、子どもの事象を捉えな

がら問題解決に保護者と保育士、教職員が取り

組む。

保育園・こども園

学校と家庭、地域と

の連携

校内体制の整備

スクールカウンセラー、ソーシャルワーカーなど

専門員の配置。校内いじめ対策(生徒指導)委員

会の定期開催や、アンケートの実施による、いじめ

の早期発見、早期対応等を行い、適切な指導に

努める。

小・中学校

啓発活動の実施

いじめ問題は、子どもの人権を著しく踏みにじる

行為であることを、家庭や地域に啓発するととも

に、学校との連携を強化する。

小・中学校

いじめ対策協議会の

開催

スクールカウンセラー、スクールソーシャルワー

カー等各関係機関と連携した対応や支援を行

い、相談活動を充実させる。

教育総務課

小・中学校

相談しやすい環境

の整備

人権擁護委員等によ

る相談窓口の周知

人権擁護委員等による相談窓口の開設につい

て、町報・ホームページ等に掲載し周知を行う。 人権・同和教育課

校内相談体制及び支

援体制の整備

アンケート等の実施で、児童生徒が抱えている

悩みやストレス等の早期発見、早期対応に努め、

スクールカウンセラー等を活用した相談・支援体

制を整備する。

教育総務課

小・中学校

Page 32: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

48

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

相談しやすい環境

の整備

保護者支援事業

不登校、ひきこもり、障がいなどの悩みをもつ親

たちの集まりの場を設定し、抱えている不安や焦り

を話し合いながら、互いに受けとめ、学び合う機会

を提供する。

東伯文化センター

「子どもの人権SOSミ

ニレター」の配付

学校におけるいじめや体罰、家庭内での虐待に

対する活動として、児童生徒に「子どもの人権SO

Sミニレター」を配布し、教職員や保護者に相談で

きない悩みごとを的確に把握し、学校及び関係機

関と連携を図りながら、解決につなげる。

教育総務課

小・中学校

5 児童虐待防止への取り組み

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

保護者等による

虐待・体罰の未然

防止に向けた啓発

活動の充実

児童虐待防止対策

事業の実施

要保護児童対策地域協議会を開催し、虐待防止

に向けた検討を行う。 子育て健康課

乳幼児健診時におけ

る広報・啓発

乳幼児健診の場や訪問事業等で、保護者等によ

る虐待・体罰防止に関する広報・啓発活動を実施

する。

子育て健康課

子どもへの虐待・

体罰の早期発見

及び予防

要保護児童対策事

関係機関と個別ケース会議等を開催し、児童虐

待・DV の発生予防、早期発見・対応等を行う。 子育て健康課

乳幼児健診時におけ

る取り組み

乳幼児健診時における保護者への子育てに関す

る聞き取りや、子どもの様子等から虐待・体罰の早

期発見に努める。また、子育て相談を実施すること

で、保護者の育児不安を軽減し、虐待等を予防す

る。

子育て健康課

保育園・こども園、学

校における早期発見・

早期対応

保育士、教職員は子どもに対して、日ごろから十

分な観察、注意を払う中で、虐待・体罰の早期発

見及び関係機関へつなぐ等早期対応に努める。

保育園・こども園

小・中学校

相談しやすい環境

の整備

保護者への相談体制

の充実

子育てや経済的な悩み等、一人で悩むことなく相

談できる体制の充実に努める。

子育て健康課

教育総務課

社会教育課

カウンセリング体制の

整備

関係機関と連携して、犯罪等の被害にあった子ど

もへのカウンセリング体制を確立する。また、対応職

員の意識啓発や知識の向上のため、研修会を実施

する。

子育て健康課

保育園・こども園

教育総務課

小・中学校

Page 33: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

49

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

相談しやすい環境

の整備

「子どもの人権SOSミ

ニレター」の配付

学校におけるいじめや体罰、家庭内での虐待に対

する活動として、児童生徒に「子どもの人権SOSミ

ニレター」を配布し、教職員や保護者に相談できな

い悩みごとを的確に把握し、学校及び関係機関と

連携を図りながら、解決につなげる。

教育総務課

小・中学校

6 子どもの貧困対策

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

各種支援の充実

ひとり親家庭入学支

度金の助成

小・中学校入学児童生徒を養育する配偶者のい

ない者に対し入学支度金を支給する。 福祉あんしん課

児童扶養手当の支給

18歳到達年度までの子どものいる母子家庭の

母、父子家庭の父または養育者に児童扶養手当を

支給する。

福祉あんしん課

医療費の助成 ひとり親家庭に対して医療費の助成を行う。 町民生活課

災害遺児手当の支給

養育者が天災または交通事故、海難事故等によ

る死亡、または養育者に重度障がいのある義務教

育終了前の子どもを養育する者に災害遺児手当を

支給する。

子育て健康課

就学援助費の支給

経済的理由により就学が困難な家庭の児童生徒

に対し、給食費、修学旅行費、学用品費等を補助

する。

教育総務課

小・中学校

町進学奨励金の支給

経済的理由により修学が困難な人に進学奨励金

を支給することにより、修学の道を開き、社会に有

用な人材の育成を図る。教育を受ける権利の保障

と子育て支援を目的とする。

人権・同和教育課

学習支援事業

世代を超えた貧困の連鎖を防ぐことを目的に、家

庭の事情や学習環境に課題を抱えている等、さま

ざまな背景のある子どもに対し、学習支援を行い、

進路保障と日々の学習習慣づくりにつなげていく。

教育総務課

子育て健康課

赤碕文化センター

Page 34: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

50

7 子育てにやさしいまちづくりの推進

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

地域、企業における

子育てへの取り組

「とっとり育児の日」の

取り組み

毎月19日の「とっとり育児の日」(県制定)に子育

てを積極的に進めていく機運を高める。

子育て健康課

企業における子育て

支援の促進

子どもの養育に保護者が積極的に関わる期間に

おいては、就業と育児がバランスよく行えるように

企業啓発を行う。また「イクボス」推進に向け必要

な支援も検討する。

商工観光課

「子育てにやさしい企

業」への認定促進

県が実施している「子育てにやさしい企業」への認

定促進に向けPRを行う。 商工観光課

子育て家庭への

支援の充実

地域こども・子育て支

援事業の充実

地域ニーズを把握し、利用者支援事業、母子保

健事業との連携強化、子育ての困り感へのきめ細

やかな対応、地域の子育て支援拠点の充実等、

子育て支援を強化する。

子育て健康課

家庭教育の支援

講演会等による家庭教育に関する学習機会を

提供することで、子どもの発達段階における保護

者の悩みの解決や自身の子育てについて振り返る

機会を設定し、家庭教育支援を行う。

子育て健康課

教育総務課

社会教育課

子育て応援パスポート

事業

子育て家庭(妊産婦のいる世帯や18歳到達年

度までの子どもを養育している世帯)がパスポート

を提示すると、協賛店舗等が商品等の割引や授

乳室の利用など各種子育てサービスを行う。

子育て健康課

保育料の軽減 町独自政策として、第2子以降の保育料を無料

とする。 子育て健康課

児童手当の支給

家庭における生活の安定と子どもの健全な育成

に役立てることを目的に、中学校終了までの子ども

の養育者に、児童手当を支給する。

子育て健康課

医療費の助成

子育て世帯の負担を軽減するとともに、子どもが

安心して必要な医療を受けられるよう、18歳到達

年度までの子どもの医療費の一部を本人に代わ

り、県と市町村で負担する。

町民生活課

中学校・高校生への

通学費の補助

中山間等遠距離通学の生徒に対し、通学費の

一部を補助する。 教育総務課

Page 35: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

51

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

子育て家庭への

支援の充実

ひとり親家庭に対する

相談支援

ひとり親家庭の総合的な相談窓口として、母子・

父子自立支援員を配置し、相談等必要な支援を

行う。対象者に「ひとり親家庭のしおり」を個別送付

し、制度について普及啓発を行う。

福祉あんしん課

安全で安心できる

環境の整備

通学路及び公園の整

備 通学路や公園の整備及び修繕を行う。

教育総務課

建設課

関係課

交通安全施設の整

備及び街路灯の維持

管理

交通事故防止のため、ガードレール、カーブミラー

等を設置する。また街路灯の新設及び修繕を行

い、通学路の安全を確保する。

建設課

公共施設におけるバ

リアフリー化及び子ど

もを連れて行きやす

い環境の整備

公共施設における、バリアフリー化及びオムツ交

換台、授乳室の整備など、子連れでも行きやすい

施設環境の整備を行う。

関係課

Page 36: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

52

第4節 高齢者の人権

【現状と課題】

わが国は、平均寿命の大幅な伸びや少子化などを背景として、人口のほぼ 4人に 1

人が 65 歳以上の超高齢社会となっています。

このような中、本町における高齢化率は、平成 26(2014)年に 32.9%と全国に先駆

けて先行し、平成 37(2025)年には 38.4%になる見込みです。また単身高齢者世帯割

合は、平成 17(2005)年の 11.9%から平成 26(2014)年には 16.2%へ推移し、10 年

間で 4.3%増加しました。高齢者世帯割合も平成 17(2005)年の 10.2%から平成 26

(2014)年の 11.8%へ推移し、10 年間で 1.6%の増加となっており、高齢者の社会的

孤立が心配されています。

平成 3(1991)年の国連総会において、高齢者の人権を保障するため「自立」「参

加」「ケア」「自己実現」「尊厳」の 5つの基本原理と 18 の原則をまとめた「高齢者

のための国連原則」が決議されました。また、この原則を普及、促進させるため平成

11(1999)年を「国際高齢者年」とし、取り組みが行われました。この間わが国でも、

平成 7(1995)年には「高齢社会対策基本法」が施行され、翌年、同法を受けて「高

齢社会対策大綱」が策定され、総合的な施策推進が図られてきました。

また、平成 12(2000)年には介護保険制度がスタートしました。本町においても「介

護保険事業計画・高齢者福祉計画」を策定し、3年ごとに見直しを行いながら、介護

予防と介護問題解決のため、計画的に施策を推進しています。

平成 26(2014)年に本町が実施した「高齢者実態調査」では、町内の高齢者につい

て、全国平均に比べ運動能力の低下、もの忘れのリスクの上昇が認められました。(図

1参照)また、「生活の中で困っていることについて」の問いに対し、一般高齢者は、

雪かきや庭の手入れなどの非日常的なこと、要支援認定者については、日常的な家事

(料理、洗濯、掃除等)に困難を感じていると回答しています。(図 2参照)さらに、

回答者の約 3割の人が、家族・友人以外に相談相手がいない状況も明らかになりまし

た。(図 3参照)

今後は、パワーリハビリ等の充実や、認知症の早期発見により、健康寿命を伸ばし

高齢者が健康で快適な生活を営めるよう支援することが必要です。また、高齢者が孤

立せず安心して地域の中で生活できるよう、高齢者のニーズに応じた細かな福祉・介

護サービスを充実し、民生児童委員等による見守りや社会参加への支援等を行い、地

域とのつながりの場や、高齢者の生活を手助けする支援体制の整備を推進していく必

要があります。

高齢化が進む社会状況の中、介護者による身体的・心理的虐待や、家族等により本

人の財産が無断処分されるなどの経済的虐待などが、大きな社会問題となっています。

介護保険制度開始とともに、認知症など自身で適切な判断ができない人の意思意向を

尊重し、生活を支援する「成年後見制度」が制定されました。また、平成 18(2006)

Page 37: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

53

年には高齢者の尊厳を守るため、「高齢者の虐待の防止、高齢者の養護者に対する支

援等に関する法律」が施行されました。

虐待は、家庭内や施設内で起こることから、表面化しにくい現状があります。早期

発見と相談体制の整備を図るとともに、より一層の関係機関連携により対応していく

ことが必要です。

図 1 全国・琴浦町のリスク別二次予防事業対象者出現率(性別・年齢別)

「高齢者実態調査」(平成 26 年)

Page 38: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

54

0%

9.5%

19.0%

8.3%

20.2%

26.2%

14.3%

21.4%

20.2%

26.2%

22.6%

16.7%

39.3%

0% 25% 50% 75% 100%

5.3%

13.2%

14.7%

9.4%

9.6%

32.0%

27.6%

27.6%

7.7%

20.4%

20.0%

9.6%

21.2%

0.0% 25.0% 50.0% 75.0% 100.0%

無回答

その他

災害時や急病などの緊急時に

助けを求められる人がいない

他者との交流の場がない

話し相手がいない

雪かき

庭の手入れ

役場や銀行、郵便局等での

諸手続き

ゴミ出し

通院

買い物

日常生活の動作

(入浴、トイレ、着衣等)

日常的な家事

(料理、洗濯、掃除等)

図 2 日常生活で最も困っていること上位 3つ(認定状況別)

「高齢者実態調査」(平成 26 年)

一般高齢者 回答数 416 軽度認定者 回答数 84

Page 39: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

55

3.6%

16.2%

43.7%

17.1%

16.2%

13.1%

28.4%

5.0%

0.0% 25.0% 50.0% 75.0% 100.0%

図 3 家族や友人以外の相談先(認定状況別) 「高齢者実態調査」(平成 26 年)

8.8%

11.9%

2.4%

25.3%

6.1%

11.9%

31.5%

17.4%

0.0% 25.0% 50.0% 75.0% 100.0%

自治会・町内会・

高齢者クラブ

社会福祉協議会・

民生委員

ケアマネジャー

医師・歯科医師・

看護師

地域包括支援セ

ンター・

役所・役場

その他

そのような人は

いない

無回答

一般高齢者 回答数 4,814 軽度認定者 回答数 222

Page 40: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

56

【推進方針】

1 社会参加、自立、生きがいづくりへの支援

高齢者が生きがいを持って暮らすために、高齢者が培ってきた豊かな経験、知識及び技

術等を地域社会で発揮できるよう、社会参加の支援及び基盤整備を推進します。また、高齢

者が健康で自立した生活を送るために、健康教室や介護予防教室を開催し、健康づくりを

推進します。

2 福祉・介護サービスの充実

高齢者が可能な限り、住み慣れた地域で介護サービスを継続的・一体的に受けること

のできるよう、地域の高齢者の実態把握に努め、ニーズへの細かな福祉・介護サービスを

行います。

3 認知症関連施策の推進

認知症高齢者が尊厳を保ちながら穏やかな生活をおくることができ、家族も安心して日

常生活を営むことができるようにするため、町民誰もが自らの問題として認識し、地域全体

で認知症高齢者の生活を支えていくよう、町民、企業、地域等への啓発を推進します。ま

た、本人や家族への支援など、総合的かつ継続的な支援体制の確立に努めます。

4 高齢者への虐待の防止

高齢者の暮らしを見守るまちづくりや、介護者の介護うつなどを防止するための取り組

みを行い、高齢者への虐待防止に努めます。

5 高齢者にやさしいまちづくりの推進

高齢者が快適かつ安全に生活できるよう、道路、交通機関、公共施設の整備を行いま

す。災害時においては情報伝達、安否確認などの支援を受けられるよう、地域に

おける体

制づくりを行います。

また地域、学校、保育園・こども園等での世代間交流を推進し、高齢者に対する

人権や福祉の心を育てる教育及び学習を行い、高齢者にやさしいまちづくりを推進

します。

Page 41: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

57

1 社会参加、自立、生きがいづくりへの支援

主な取り組み 事業名 内 容 主 管 課

高齢者の社会参加、

生きがいづくりの推進

高齢者の生きがいづ

くりの推進

高齢者がいきいき暮らすための講座等を開催する

ほか、高齢者クラブ、高齢者サークルの活動を支援

し、高齢者の社会参加、仲間づくり、健康づくりを推

進する。

社会教育課

福祉あんしん課

高齢者の社会参加の

推進

高齢者や退職期を迎えた世代がもつ経験や知識

を、学校や地域で生かしてもらう。また、シルバー人

材センターの拡充、介護ボランティアの育成等により

高齢者の活躍の場を確保し、社会参加の推進を行

う。

福祉あんしん課

教育総務課

アクティブシニア活動

支援(仮称)

高齢者の活動実態調査を行い、その結果に基づ

いて外部有識者を含めた関係機関と今後の高齢者

地域活動や活動支援のあり方について検討を行

い、時代にあった高齢者地域活動・活動支援を実

践していく。

福祉あんしん課

子育て健康課

社会教育課

高齢者の自立への

支援

介護予防事業の充実

高齢者が健康でいきいきと生活できるよう、健康

寿命を延ばすことを目的に、地域において介護予防

の知識の普及などさまざまなサービスを提供する。

福祉あんしん課

生活支援コーディネ

ーターの配置

高齢者の生活をトータル的にサポートする生活支

援コーディネーターを配置し、在宅高齢者が安心し

て暮らせる地域づくり等に取り組む。

福祉あんしん課

情報の提供と相談事

業の充実

「振り込め詐欺」や「悪徳商法」による被害防止対

策等の情報提供や、関係機関と連携し相談窓口の

充実に努める。

福祉あんしん課

2 福祉・介護サービスの充実

主な取り組み 事業名 内 容 主 管 課

支援体制の整備

町介護保険事業計

画・高齢者福祉計画

の実施

高齢者の安心を支える老人福祉事業や介護保

険事業を計画的、かつ包括的に実施する。 福祉あんしん課

高齢者実態調査の実

地域の課題や要望等を把握し、計画策定に反映

させるために、高齢者実態調査を実施する。 福祉あんしん課

第4節 高齢者の人権

Page 42: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

58

主な取り組み 事業名 内 容 主 管 課

支援体制の整備

地域包括支援センタ

ーの運営

地域包括支援センター職員が地域の高齢者の実

態把握に努め、ニーズへの細かな対応をすることで、

安心して暮らせる体制づくりを行う。また、支援センタ

ー相談協力員として民生児童委員全員に委嘱を行

い、地域高齢者に対して安否の確認をすることで支

援体制の強化を図る。

福祉あんしん課

地域ケア会議の開催

医療・介護・福祉等の多職種が協働し、高齢者の

生活課題の解決を図るために個別ケース会議を開

催する。また、地域の課題を分析することにより、地域

の資源開発や、地域づくりを町事業として展開してい

く。

福祉あんしん課

ケアマネージャー連

絡協議会の開催

地域包括支援センター主催でケアマネージャー連

絡協議会を隔月開催し、事例検討、研修会をとおし

てケアマネージャーの資質向上を図る。

福祉あんしん課

福祉サービスの充実

緊急通報装置設置

事業

緊急通報装置を寝たきりや一人暮らしの高齢者に

貸与し、緊急時に必要な措置を行う。 福祉あんしん課

外出支援サービス

要介護・要支援認定を受けていない人で、健康の

不安や身体の不自由により公共交通機関の利用が

困難な高齢者に対し、安価な料金で医療機関までの

送迎を行うことで、定期通院による健康管理を可能と

する。

福祉あんしん課

生活管理指導短期

宿泊事業

基本的生活習慣が欠如していたり、対人関係が成

立しないなど社会適応が困難な高齢者について相談

を受け、生活習慣の指導や体調の調整等を受けられ

るよう支援を行う。

福祉あんしん課

介護サービスの充実

介護保険制度の普及

啓発

介護保険制度の普及啓発と保険料の収納の推進

に努める。

福祉あんしん課

税務課

要介護の認定 介護が必要な人に対し、介護保険サービスを利用

していただくための要介護認定を行う。 福祉あんしん課

介護にかかる費用の

給付

家族介護用品(紙おむつ、尿取りパット)にかかる費

用を支給するほか、介護サービス費、予防サービス

費、高額サービス費を支給する。

福祉あんしん課

介護保険利用者の負

担軽減

「介護保険法」施行前に、障がいのある人に対する

施策により訪問介護を利用していた人等の1割負担

を軽減する。

福祉あんしん課

Page 43: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

59

主な取り組み 事業名 内 容 主 管 課

相談及び権利擁護

総合相談の実施

65歳以上の高齢者とその家族を対象に、各種手

続きの方法、生活面、健康面、金銭面等さまざまな

相談に応じる。必要に応じて専門的な相談機関へ

の紹介などの支援を行ったり、一人暮らしの高齢者

等を訪問し、サービスの調整を図る。

福祉あんしん課

権利擁護の支援

日常生活に不安をかかえている高齢者や障がい

のある人を中心に、社会福祉協議会が認めた生活

支援員が日常生活に必要な福祉サービスの利用

援助を行い、自立を助け、地域で安心して暮らせる

よう支援する。

福祉あんしん課

3 認知症関連施策の充実

主な取り組み 事業名 内 容 主 管 課

認知症についての

正しい理解の普及

啓発

認知症についての正

しい理解のための普

及啓発

認知症高齢者への偏見をなくし、また家族も安心

して社会生活を営むことができるよう、認知症につい

ての正しい理解のための普及啓発を行い、認知症

の早期発見・診断・支援体制の充実を図る。

福祉あんしん課

キッズサポーター養

成講座の開催

子どもたちが認知症や高齢者に対する理解を深

め、地域で認知症の人やその家族を温かく見守り応

援してくれるよう、教育現場の協力を得て、小中学

生を対象とした「認知症キッズサポーター養成講

座」を出前講座として開催する。

福祉あんしん課

認知症高齢者の権

利擁護の推進

権利擁護の視点に立

った支援体制の整

備、充実

「成年後見制度」の利用促進等、権利擁護の視

点に立った支援体制の整備、充実を図る。 福祉あんしん課

「成年後見制度」の周

「成年後見制度」に関し、ポスターや鳥取中央有

線放送等を使った周知に努めるとともに、相談窓口

を設ける。

福祉あんしん課

認知症高齢者及び

家族への支援

高齢者 SOSネットワー

クの構築

認知症高齢者が行方不明になった場合、早期発

見・早期保護するため、警察署、町及び関係機関

が連携し捜索活動が行えるよう SOS ネットワークの

構築を行う。

総務課

福祉あんしん課

関係機関

認知症対策委員会

町内の各種関係団体との連携を図り、認知症対

策を効果的に進めることを目的に委員会を開催し、

認知症高齢者とその家族が住みなれた地域で安

心して暮らせる町づくりを進める。

福祉あんしん課

関係機関

Page 44: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

60

主な取り組み 事業名 内 容 主 管 課

認知症高齢者及び

家族への支援

認知症ケアパス作成・

普及

認知症の人とその家族が、地域の中で本来の生活を

営むために、認知症の人と家族及び地域・医療・介護

に関わる人々が目標を共有し、目標達成に向けて取り

組む。

福祉あんしん課

関係機関

初期集中支援チーム

設置

認知症やその家族に早期に関わる「認知症初期集中

支援チーム」を設置し、認知症になっても医療受診や

介護サービスの利用に結びつかない高齢者や家族の

もとへ、専門医や保健師、作業療法士、社会福祉士が

訪問し、早期対応にむけた取り組みを行う。

福祉あんしん課

関係機関

認知症地域支援推進

員の配置

認知症疾患医療センターや医療機関、介護サービス

及び地域の支援機関をつなぐコーディネーターとして認

知症地域支援推進員を 1 名配置する。

福祉あんしん課

もの忘れ相談

認知症の早期発見・治療につなげるために、認知症

専門医と連携して、もの忘れが気になる方、その家族

に対し認知症に関する相談に個別に応じる。

福祉あんしん課

4 高齢者への虐待の防止

主な取り組み 事業名 内 容 主 管 課

虐待防止に向けた

取り組み

地域での見守り

地域包括支援センターに虐待相談通報窓口を設置

し、地域住民、関係機関からの相談を受け、小さなサイ

ンを見逃さず相談機関につなげ、高齢者の虐待防止を

行う。

福祉あんしん課

ことうら家族のつどい

(琴浦町家族会)

在宅で介護を経験した方や、現在介護をしている方

の情報交換の場として月に 1 回開催する。介護をひとり

で抱えこまないようにするため、ピアカウンセリング等を

行う。

福祉あんしん課

5 高齢者にやさしいまちづくりの推進

主な取り組み 事業名 内 容 主 管 課

高齢者にも暮らしやす

い環境の整備

道路の改良 道路の拡幅改良及び側溝等改良し、利用者の安全

を図る。 建設課

交通機関の整備

新たなバス路線の運行、運賃の改善等新しいバス運

行のあり方を検討し、高齢者や障がいのある人等の交

通手段を確保するため施策を実施する。

商工観光課

Page 45: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

61

主な取り組み 事業名 内 容 主 管 課

高齢者にも暮らしやす

い環境の整備

駐車場の設置及び確

高齢者の利便性を考えた駐車場を整備する。また、

施設管理者等へ働きかけ、駐車場の確保に努める。

総務課

社会教育課

福祉あんしん課

公共施設の点検整備 各施設内外の段差解消に努めるとともに、施設管理

者に要請する。 関係課

新設及び既存施設の

整備

施設を新設する際は、階段等の歩行が困難な人がい

つでも利用できるよう、エスカレーターやエレベーターの

設置に努める。また、既存の施設については、点検整

備を行う。

関係課

保育園・小学校等跡

地や空き家の有効利

統廃合により使用されなくなった保育園や小学校、町

内に点在する空き家を、誰もが集いやすい建物へと改

修し、地域住民の支え合い活動の拠点として活用でき

るよう、関係各課と検討・調整を進める。

総務課

関係課

災害時の安全確保

要介護者を台帳に登録し、情報開示することにより、

災害時における避難誘導・救出活動・安否確認等をス

ムーズに行う。また、町内介護事業所と協定し、災害

時の要援護者の避難場所を確保し、支援が必要な高

齢者・障がい者等へ適切に対応できる体制を整備す

る。

総務課

福祉あんしん課

図書館の整備

高齢者にも利用しやすいよう、録音・大活字図書等

資料の充実、及び拡大読書器等備品の整備に努める

とともに、分かりやすい表示や案内板の設置等、施設

整備を進める。

図書館

世代間交流事業の

推進

世代間交流の実施 施設訪問や高齢者を各種事業に招待し、高齢者との

交流活動等をとおして、福祉の心や敬老の心を育む。

小・中学校

保育園・こども園

学校公開、祖父母参

観日等の実施

保育園・こども園、小・中学校での参観やふれあいの

できる受入体制づくりに努める。

小・中学校

保育園・こども園

高齢者への理解の

推進

高齢者の人権に関す

る啓発

町民に対し、高齢者の人権について啓発を行い、高

齢者についての理解を深め、高齢者を大切にする意識

を高める。

人権・同和教育課

福祉の心を育てる教

育の充実

家庭、学校、地域、関係機関等との連携を図りなが

ら、福祉施設の訪問及びボランティア等、福祉の心を

育てる教育の充実に努める。

小・中学校

Page 46: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

62

第5節 障がいのある人の人権

【現状と課題】

障がいの有無に関わらず、すべての人にとって住みよい平等な社会づくりを進めて

いくためには、各種施策を推進していくとともに、社会のすべての人々がさまざまな

障がいについて正しく理解し、必要な配慮をしていくことが求められています。

わが国では、昭和 45(1970)年に障がい者施策を総合的に推進するため「心身障害

者対策基本法」が制定され、平成 5(1993)年には障がいのある人の自立と社会参加

を図ることを目的とした「障害者基本法」へと改められました。この基本法は、昭和

56(1981)年「国際障害者年」や昭和 58(1983)年からの「国連障害者 10 年」の成

果を反映したもので、障がいのある人の「完全参加と平等」が法文化されました。そ

の後、平成 16(2004)年の改正では障がいを理由とする差別禁止の理念が明記され、

平成 23(2011)年には障がいの有無に関わらず共生することができる社会の実現をめ

ざすことや、合理的配慮の概念を盛込んだ改正が行われました。

平成 25(2013)年には、障がいのある人もない人も互いにその人らしさを認め合い

ながら共に生きる社会をつくることをめざし、「障害者差別解消法」が成立し、平成

28(2016)年施行されました。この法では、正当な理由なく障がいを理由として差別

することを禁止するとともに、社会的障壁に対する合理的配慮についても、行政機関

へは対応を義務付け、民間事業者へも努力義務としています。

このような法整備等により、平成 18(2006)年の国連総会において採択され、平成

20(2008)年に発効された「障害者権利条約」を、わが国も平成 26(2014)年に批准

しました。

鳥取県では平成 21(2009)年に「あいサポート運動」を開始するなど、障がいや障

がいのある人への理解、差別の解消及び権利擁護を推進しています。また、平成 25

(2013)年には全国で初となる「手話言語条例」が制定されました。条例制定は、手

話やろう者に対する関心の高まりだけでなく、障がいや障がいのある人に対する意識

の向上にもつながっています。

本町においては、「琴浦町障がい者計画」を策定し施策を推進しています。平成 28

(2016)年には「第 2期琴浦町障がい者計画」を策定し、個々のニーズに対応した相

談支援体制や各種福祉施策の充実を図るとともに、生活環境のバリアフリー化の推進、

就業支援、差別の解消等、さまざまな施策に取り組んでいます。

また、平成 25(2013)年には、県立琴の浦高等特別支援学校が開校し、多くの町民

が学校を訪問するなど、学校と地域のつながりが深まっています。また、現場実習や

地域活動をとおして地域との交流も進み、障がいや障がいのある人への理解へとつな

がっています。

しかし、平成 26(2014)年に県が実施した「鳥取県障がい者の実態・ニーズ調査」

の琴浦町の調査結果からは、障がいのある人の約 3人に 1人は、被差別体験をしてい

Page 47: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

63

29.8%6.1%

26.7%7.6%

6.1%15.3%

3.1%5.3%

0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 20.0% 25.0% 30.0% 35.0%

学校職場

仕事を探す時

外出先

余暇を楽しむ時

医療機関

住んでいる地域

その他

無回答

ある 14.1%

少しある

17.1%

ない 55.1%

無回答

13.7%

る実態があります。(図 1、2 参照)その他にも、生活環境のバリアフリー化、就労支

援等においてもさまざまな課題があがっています。(図 3~5参照)

その他にも社会の中では、障がいのある人が他者からの不適切な扱いにより権利利

益を侵害されたり、生命、健康、生活が損なわれるなどの、虐待事象が発生していま

す。障がいのある人の尊厳を守り、自立や社会参加を進めていくには、虐待を防止し

ていくことが重要であることから、平成 24(2012)年に「障害者虐待防止法」が施行

されました。

今後も、誰もが相互に人格と個性を尊重し、支え合う共生社会を実現するため、障

がいに対する正しい理解を進め、差別・偏見の解消、虐待防止等の啓発活動や研修を

継続していく必要があります。

図 1 被差別体験の有無について (琴浦町のみ)

「鳥取県障がい者の実態・ニーズ調査」(平成 26 年)

図 2 差別をされた場所について (琴浦町のみ)

「鳥取県障がい者の実態・ニーズ調査」(平成 26 年)

※被差別体験の有無である又は少しあると選択した人のみ回答

回答数 263

回答数 131

Page 48: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

64

13.0%

9.5%

10.8%

4.4%

5.3%

3.3%

11.7%

5.3%

8.8%

10.6%

3.3%

14.0%

0.0% 2.0% 4.0% 6.0% 8.0% 10.0% 12.0% 14.0% 16.0%

公共交通機関が少ない

乗り降りが困難

階段等の段差が多い

乗換が分かりにくい

設備が不便

介助者の確保

お金がかかる

周囲の目

体調の変化

困ったときにどうしたらいいかわからない

不明

無回答

※複数回答あり

14.4%

10.9%

15.8%

5.6%

21.9%

10.0%

6.2%

8.2%

2.1%

4.9%

0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 20.0% 25.0%

在宅医療

住居確保

在宅サービス

生活訓練

経済負担

相談体制

地域住民理解

あいサポート

その他

無回答

※複数回答あり

図 3 在宅生活を続けるために必要な支援について (琴浦町のみ)

「鳥取県障がい者の実態・ニーズ調査」(平成 26 年)

図 4 外出の際に困ることについて (琴浦町のみ)

「鳥取県障がい者の実態・ニーズ調査」(平成 26 年)

回答数 263

回答数 263

Page 49: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

65

11.6%

6.9%

10.3%

5.5%

13.7%

13.5%

5.9%

7.7%

5.5%

8.0%

1.7%

9.7%

0.0% 2.0% 4.0% 6.0% 8.0% 10.0% 12.0% 14.0% 16.0%

通勤手段確保

バリアフリー設備

勤務日時配慮

在宅勤務拡充

職場の理解

上司等の理解

職場での介助

就労後フォロー

就労訓練

職場外相談

その他

無回答

※複数回答あり

図 5 障がい者の就労に必要な支援について (琴浦町のみ)

「鳥取県障がい者の実態・ニーズ調査」(平成 26 年)

【推進方針】

1 理解と交流の推進

障がいのある人及び障がいに対する正しい理解を深めるため、啓発及び交流を推

進します。

2 地域社会への支援の充実

障がいのある人が自立し、地域で安心して生活できるよう、障がいのある人の権

利擁護、人権侵害の救済に努めます。また、障がいに応じたボランティアグループ

の育成や、在宅者への支援を行います。

3 雇用・就労の支援と社会参加の推進

障がいのある人が、働くことをとおして社会参加し、生きがいのある生活を送る

ことができるよう、雇用の場の拡大や企業に対し啓発等を行います。

4 障がいのある人にやさしい町づくりの推進

町内の公共施設及び道路等のバリアフリー化を促進し、障がいのある人にとって

も暮らしやすいまちづくりを進めます。また、手話の普及に努めるなど、障がいの

ある人とコミュニケーションしやすい環境づくりを進めます。

回答数 263

Page 50: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

66

1 理解と交流の推進

主な取り組み 事業名 内 容 主 管 課

障がい者の人権及び

障がいへの理解の

推進

「障害者差別解消

法」に基づく取り組み

の推進

障がい者に対する差別や権利侵害を防止する為の

啓発や知識を広めるための取り組みを行い、障がいを

理由とする差別の解消を推進する。

教育総務課

福祉あんしん課

社会教育課

人権・同和教育課

「町障がい者計画」に

基づく施策の推進

「障がいのある人もない人も誰もが安心して生活で

き、共に社会の構成員として互いに人格と個性を尊重

し支え合う『共生社会』の実現」を目標に障がい者が

地域で自立した生活を送ることができるようさまざまな

施策を推進する。

福祉あんしん課

町民への啓発活動の

推進

障がい者に対する偏見や差別をなくし、地域社会で

安心して生活できるように、町民への啓発活動を推進

する。

福祉あんしん課

障がい者の人権に関

する学習

各種講座や研修会に人権に関する学習を取り入

れ、障がい者の人権尊重を共通認識する学習を進め

る。

人権・同和教育課

障がい者団体、家族

会への支援及び協力

障がい者団体や家族会の活動(相互支援・学習・社

会的運動)に対し、必要な支援及び協力を行う。 福祉あんしん課

あいサポート運動の

推進

ユニバーサルデザインの普及や、あいサポートの輪

を広げるために、町内事業所、学校、地域等を対象

に研修を開催し、あいサポーターの育成に努め、障が

いについての理解を推進する。

福祉あんしん課

あいサポート認定企

業の推進(評価)

調達公告日現在において、あいサポート企業の認

定を受けている入札参加企業に対し評価を行う。(簡

便型総合評価競争入札)

企画情報課

福祉体験学習の推

障がい者と児童生徒との交流や体験学習の場を設

け、理解を深める。 小・中学校

2 地域生活への支援の充実

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

権利擁護及び人権

侵害の救済

「成年後見制度」の

周知

「成年後見制度」の周知に努めるとともに、相談窓口

を設ける。 福祉あんしん課

第5節 障がいのある人の人権

Page 51: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

67

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

権利擁護及び人権

侵害の救済

障がい者への支援制

度及び相談窓口等の

情報提供

パンフレットや町ホームページ等を活用し、情報提

供に努める。また、町障がい者地域生活支援センタ

ーで関係機関との緊密な連携による個々に対応し

たきめ細やかな支援を行う。

福祉あんしん課

相談支援体制の充

中部障がい者地域生活支援センターを中部地区

1市4町が委託し設置するとともに、町障がい者地

域生活支援センターを設置し、町内の関係機関で

構成される町障がい者地域自立支援協議会を定

期的に開催し、課題解決につなげる。

福祉あんしん課

障がい者への虐待の

防止

障がい者の人権について啓発を行い、障がい者虐

待の未然の防止、早期発見、早期解決を図るため

の取り組みを推進する。

人権・同和教育課

福祉あんしん課

支援体制の充実

福祉サービスの提供 ニーズに対応した福祉サービスの提供を行う。 福祉あんしん課

補装具及び日常生

活用具費の給付

障がい児・者の日常生活がより円滑に行われるこ

とを目的に、車椅子等の補装具や、ストマ等の日常

生活用具の費用を支給する。

福祉あんしん課

特別児童扶養手当

の支給

身体や精神に中程度以上の障がいのある20歳未

満の子どもの養育者に特別児童扶養手当を支給す

る。

福祉あんしん課

特別障害者手当・障

害児福祉手当及び

福祉手当の支給

身体や精神の障がいが重度の人に手当てを支給

する。 福祉あんしん課

医療費の助成 障がいが中程度の人を対象に医療費助成を行う。 町民生活課

福祉あんしん課

障がい児・者地域生

活体験事業補助金

障がい児・者が自立的な地域生活を営むために

生活体験ホームを利用する際の支援にかかる費用

を助成する。

福祉あんしん課

重度障がい児・者支

援事業補助金

重度障がい児・者の利用受け入れを実施している

通所事業所に対し、支援にかかる費用を助成する。 福祉あんしん課

Page 52: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

68

3 雇用・就労の支援と社会参加の推進

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

企業及び事業主へ

の啓発

企業への啓発活動の

推進

企業に対して、障がい者雇用の促進と就労条件

についての理解を求め、生きがいのある働きやすい

職場環境づくりについて啓発する。

商工観光課

町雇用促進協

公正な採用・選考の

推進

事業主に対し、『障害者雇用促進法』の遵守を求

めるとともに、公正な採用及び選考に向けた啓発を

行う。

商工観光課

町雇用促進協

町職員の採用 採用試験における配

職員採用試験において、障がい者に必要な配慮

を行う。 総務課

環境及び制度の充

総合的な就労支援

障害者就業・生活支援センター、障害者職業セン

ター、公共職業安定所(ハローワーク)等の就労関

係機関や、特別支援学校など教育機関と連携する

ことで、障がい者の就労支援を行う。

福祉あんしん課

技能や技術の習得に

向けた支援体制の整

障がいの程度に応じた新たな資格、技能や技術

の習得に向けた支援体制の整備に努めます。

福祉あんしん課

商工観光課

新規学卒者就職促

進奨励金の支給

新規学卒者のうち、障がい者等、就職について特

に援助を必要とする者に対し、就職促進奨励金を

支給することにより、常用就職の促進と職業の安定

を図る。

人権・同和教育課

社会環境の整備 個々の能力が発揮できる働く場、活動の場の条件

整備に努める。 商工観光課

就労に向けた訓練

就労や生産活動の機会を提供するとともに、知識

及び能力の向上のために必要な訓練の場を提供す

る。

福祉あんしん課

Page 53: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

69

4 障がいのある人にやさしいまちづくりの推進

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

障がい者にも暮らし

やすい環境の整備

福祉のまちづくりの推

スロープ、エレベーター、手すり、多目的トイレ、点

字ブロック、誘導チャイム、自動ドア、案内板の点字

表示、耳マーク、補助犬同伴可マーク等の設置を推

進する。

福祉あんしん課

関係課

社会参画体制の整

福祉のまちづくりに向けての企画や立案にあたるメ

ンバーとして、障がい者自身に参画してもらう体制づ

くりに努める。

福祉あんしん課

交通機関の整備

新たなバス路線の選定や、運賃の改善等バス運

行のあり方を検討し、デマンド型乗り合いタクシーの

導入等、高齢者や障がい者等の交通手段を確保す

るため施策を実施する。

商工観光課

道路の改良

道路の拡幅改良及び側溝等を改良し、利用者の

安全を図る。また、歩道が狭い場合は、歩行者が通

行しやすいように、段差の解消に努める。

建設課

駐車場の設置及び

確保

障がい者が利用しやすい専用駐車場を整備する。

また、施設管理者等へ働きかけ、専用駐車場を確

保する。

総務課

社会教育課

福祉あんしん課

公共交通機関のバリ

アフリー化の促進

障がい者が、日常的に必要なバスを安全かつ円

滑に利用できるよう、町営バス車両更新時におい

て、低床型バスの導入を検討する。

デマンド型乗り合いタクシーに変更になった路線に

ついても障がい者が利用しやすい車両に変更する。

商工観光課

公園や広場の整備

交流スペースの確保と誰もが安全に利用できるよ

う、通路幅の確保や段差の解消、案内表示を適切

な位置に設置する。また、施設管理者に改善整備

を働きかける。

建設課

社会教育課

農林水産課

文化センター

公営住宅の建築・改

障がい者にやさしい公営住宅の建設・改修(手摺・

スロープ等の設置)に努める。 建設課

災害時の安全確保

要介護者を台帳に登録し、情報開示することによ

り、災害時における避難誘導・救出活動・安否確認

等をスムーズに行う。また、町内介護事業所と協定

し、災害時の要援護者の避難場所を確保し、支援

が必要な高齢者・障がい者等へ適切に対応できる

体制を整備する。

総務課

福祉あんしん課

Page 54: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

70

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

障がい者にも暮らし

やすい環境の整備

障がい者住宅改良

助成事業の周知及

び実施

障がい者住宅改良助成事業の周知に努めるととも

に、介護を要する障がい者の居住環境整備を推進

し、生活の質を高め、在宅生活を支援する。

福祉あんしん課

耳マーク及び筆談器

の設置

窓口等に耳マークを記した表示板及び筆談器を

設置し、必要に応じ職員が筆談等で応対する。

福祉あんしん課

関係課

講演会等での手話

通訳等の取り組み

聴覚障がい者にも講演会等に参加していただき、

内容を理解してもらえるよう、手話通訳や、要約筆

記に取り組む。

福祉あんしん課

町民への手話の普

「鳥取県手話言語条例」に基づき、ろう者の人権

が尊重され、ろう者とろう者以外の者が互いを理解し

合うことを目的に、手話教室を開催し手話の普及に

努める。

文化センター

保育及び教育におけ

る手話の普及

保育園・こども園、小・中学校において手話普及支

援員制度の活用等を行い、地域のろう者等との交

流をとおして、手話の普及を進める。

保育園・こども園

小・中学校

図書館の整備

障がい者にも利用しやすいよう、録音・点字図書等

資料の充実、及び備品の整備に努めるとともに、分

かりやすい表示や案内板の設置等、施設整備を進

める。また、在宅の障がい者へ郵送貸し出しサービ

スを行う。

図書館

Page 55: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

71

第6節 外国にルーツを持つ人の人権

【現状と課題】

わが国では、情報通信技術や交通の発達により、経済、文化などさまざまな分野に

おいて国際化が進んでいます。それにともない、国内に定住する外国にルーツを持つ

人は増加する傾向にあります。地方においても、地域、学校、職場などさまざまな場

面で外国にルーツを持つ人と接する機会が日常的になっていますが、人種や民族、言

語、宗教、生活習慣などの違いについて理解が十分でないことから、外国にルーツを

持つ人であることを理由に、さまざまな差別事案が発生しています。このような偏見

や差別をなくするために、外国にルーツを持つ人の生活習慣等を理解・尊重し、偏見

や差別をなくしていく必要があります。

また、近年、特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動がヘイトスピーチである

として社会問題となっています。「日本国憲法」は第21条で「表現の自由」を保障して

いますが、憲法第12条では「国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつ

て、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつ

て、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」とも定めており、他者の尊

厳を犯す権利の濫用は許さないという原則をあらわしています。

人々に不安感や嫌悪感を与え、人としての尊厳を傷つけ、周囲に差別意識を生じさせ

ることにつながる、ヘイトスピーチは、人間として対等かつ平等に生きる権利である憲

法第14条の「法の下の平等」を侵害する行為と言えます。

ヘイトスピーチについては、平成26(2014)年7月の国連自由権規約委員会による日

本政府報告審査での最終見解、及び同年8月の国連人種差別撤廃委員会による同審査で

の最終見解において、日本政府に対してヘイトスピーチへの対処が勧告されました。こ

のように社会的、国際的な関心が高まる中、平成28(2016)年6月に、脅迫的言動や著

しい侮辱、排除の扇動などの「不当な差別的言動」は許されないとした「ヘイトスピー

チ対策法」が成立し、施行されました。

昭和 41(1966)年に国連で採択された国際人権規約において、少数民族が自己の文

化を享有する権利や、自己の宗教を信仰し実施する権利、自己の言語を使用する権利

を否定されないとしています。また、「子どもの権利条約」では、児童の教育におい

て異なる文化、言語、価値観を認めるよう育成しなければならないことが明記されて

います。外国にルーツを持つ人にとっても自国の文化や習慣は人格形成の重要な一部

分です。同じ住民として異なる文化を尊重し合い、共に生活していくことが大切です。

平成 28(2016)年 7月現在の、本町の外国人登録者数は 115 人です。国籍別の主な

国は、ベトナム(39 人)、韓国(32 人)、中国(18 人)、フィリピン(10 人)とな

っています。この他にも、日本に帰化し日本国籍を取得された人や、日本人と外国人

の間に生まれた日本国籍の人を含めると、外国にルーツを持つ人はさらに多くなりま

す。

Page 56: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

72

また、結婚や就労を機に外国から移住した人については、まず日本語を覚え、日本

の生活に慣れるということが大きな課題となっています。

本町においても、国際交流コーディネーターと協力しながらさまざまな交流事業を

行っています。今後も多文化共生社会の実現に向けて関連機関と連携を図りながら外

国にルーツのある人たちが暮らしやすいまちづくりを推進していくとともに、外国に

ルーツを持つ人に対する偏見や差別を解消するための啓発に努めていく必要がありま

す。

【推進方針】

1 国際理解・交流の推進

国際的な視点に立った多文化共生社会をつくるため、町民に対し国際理解を推進

するための啓発活動を実施します。また、交流を図るための場づくりを進めます。

学校教育においては児童生徒の国際感覚や異文化理解能力の向上に努めます。

2 生活情報提供・相談体制の充実

外国にルーツを持つ人に対し、生活に必要な情報について多言語での表示や漢字

にふりがなを付けるなどの配慮を行い、分かりやすく情報提供していきます。また、

外国にルーツを持つ人が同じ住民としての権利とサービスを享受できるよう、権利

の保障に努めます。

3 人権侵害の救済と擁護

差別事象が発生したときには、人権相談関係機関と連携して速やかに適切な対応

を行います。

4 社会参画の推進

外国にルーツを持つ人が、自分自身も地域における対等な構成員であるとの認識

を持ち、さまざまな活動に主体的に参加し、地域の担い手としてその能力を発揮す

ることができるよう地域活動への参画促進に努めます。

また、企業に対し採用の促進及び啓発の実施や、就労に必要な教育機会の充実を

推進します。

Page 57: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

73

1 国際理解・交流の促進

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

理解の推進

外国にルーツを持つ

人に対する理解の推

国際的な人権をテーマとした講座や講演会、広報

紙等での啓発を実施する。

人権・同和教育課

文化センター

交流活動の推進

外国にルーツを持つ

人同士の交流活動の

推進

町内在住の外国にルーツを持つ人が気軽に相談で

きる場を定期的に設けることで参加者同士の交流を

深める。また、日本の文化に触れる機会の設定や住

みよい町になるための意見交換の場の設定を行う。

町民生活課

韓国麟蹄(インジェ)

郡、蔚珍(ウルジン)

郡との国際交流

麟蹄(インジェ)郡、蔚珍(ウルジン)郡と交流活動を

行い、国際理解及び友好関係を深める。 商工観光課

国際交流協会との連

町民の国際交流や国際理解教育を推進するため、

国際交流協会との連携を図り、事業を推進する。 商工観光課

保育及び学校教育

における国際理解及

び交流の推進

保育園・こども園にお

ける交流活動の実施

外国語指導助手、国際交流コーディネーターとの

交流及び外国人保護者との関り合いをとおして文化

や生活習慣の理解を深める。

保育園・こども園

交流会等の実施 保護者会、発表会及び交流会をとおして、文化や

生活習慣の違いについて理解を深める。 保育園・こども園

保護者会での国際理

解の推進

保護者、家庭、地域と連携して保護者会活動で、

外国にルーツを持つ人への理解を推進する。

保育園・こども園

小・中学校

学校における国際理

解教育の推進

自校に在籍する児童生徒のルーツのある国の文化

や歴史を適切に指導していくとともに、地域に住む外

国にルーツを持つ人等から体験談を聞くなど交流の

機会を積極的に設け、外国人の価値観、文化、習慣

についての理解を深める。

教育総務課

小・中学校

国際交流の実施 外国語指導助手、国際交流コーディネーターを交

えた学習活動を計画的に行う。

教育総務課

小・中学校

韓国麟蹄(インジェ)

郡との国際交流

町内の中学生が友好交流校と交流を行い、互いの

国の文化や習慣の違いについて学習することで、国

際理解及び友好関係を深める。

教育総務課

中学校

商工観光課

語学指導助手との連

外国語指導助手のホームステイや語学教室開催

等、地域住民の関わりを広げ連携を深める。 教育総務課

第6節 外国にルーツを持つ人の人権

Page 58: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

74

2 生活情報提供・相談体制の充実

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

生活情報提供及び

支援の充実

外国にルーツを持つ

人への情報提供

外国にルーツを持つ人に対し、情報提供漏れがな

いよう努める。また、業務のチェックとともに職員の意

識啓発を行う。

総務課

町民生活課

関係課

学習機会及び情報の

提供 各種学習機会及び生活情報等の提供に努める。

社会教育課

各地区公民館

文化センター

企画情報課

支援制度の充実

在住外国人高齢者・

障害者特別給付金

無年金者となっている町内に在住する外国人高齢

者(外国人であった人も含む)及び障がいのある人に

対して特別給付金を支給する。

福祉あんしん課

国民年金事業の推

老後の所得保障として欠くことのできない年金権確

保を図るため、町報等を利用し、年金制度の理解を

得るよう努めながら、未加入者の解消に向けた啓発

に努める。

町民生活課

国民健康保険事業

の普及啓発

国民健康保険が健康と生活を守るための必要な互

助制度であることの理解を求め、適正受診と保険税

収納の推進に努める。

町民生活課

税務課

後期高齢者医療制

度の普及啓発

75歳以上の高齢者が安心して医療を受け入れるこ

とができるように創設された後期高齢者医療制度の

理解のために制度の普及啓発と保険料収納の推進

に努める。

町民生活課

税務課

相談体制の充実

諸権利の保障

外国にルーツを持つ人が同じ自治体の住民として

の権利とサービスを享受できるよう、権利の保障に努

める。

総務課

関係課

生活相談への対応 外国にルーツを持つ人の、生活の困りごと等の相談

に対応し、生活を支援する。

町民生活課

関係課

Page 59: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

75

3 人権侵害の救済と擁護

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

人権侵害の救済と

擁護の推進

「差別事象対応マニ

ュアル」に基づく対応

差別事象の関係課が「差別事象等対応マニュア

ル」に基づき、事実関係の正しい把握と、人権侵害の

事実を明らかにする。また、再発防止施策について検

討する。なお、指定管理施設においても同様に対応

できるよう、関係課は管理者に指導を行う。

人権・同和教育課

文化センター

関係課

相談窓口の設置 人権救済のために、関係機関等と密接な連携を図

り、早期解決につなげる。

人権・同和教育課

文化センター

ヘイトスピーチ解消に

向けた取り組み

「ヘイトスピーチ対策法」に基づき、特定の人種や民

族への憎しみをあおるような差別的表現、差別的言

動(ヘイトスピーチ)の解消に向け、教育や啓発広報

等を行う。

人権・同和教育課

文化センター

4 社会参画の推進

主な取り組み 事 業 名 内 容 主 管 課

就労に向けた取り組

公務員への採用促

在住外国人の働く権利と職業選択の自由を保障す

るため、公務員への採用を促進する。 総務課

企業への採用促進

及び啓発活動の推進

公共職業安定所等と連携し、雇用促進に努める。

また、在住外国人の雇用と働きやすい職場環境を実

現していくため、企業啓発に努める。

商工観光課

在住外国人の意見の

反映

各審議会・委員会へ

の参画

審議会や委員会等、自治体の諮問機関への参画

等を促進し、在住外国人の意見や要望が反映できる

よう努める。

総務課

関係課

Page 60: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

76

第7節 その他の人権課題

1 性的マイノリティの人権

性的マイノリティは、同性愛者、両性愛者や生まれた時の「体の性別」と自覚する「心

の性別」が一致しない人々等のことをいい、LGBT※という言葉で表すことがあります。

これらの人々は少数派であるがために、誤解や偏見と差別から、社会生活のさまざま

な面で人権にかかわる問題が発生しています。このような性的指向を理由とする差別的

取扱いについては、不当なことであるという認識が広がりつつありますが、いまだに偏

見や差別が後を絶たないのが現状であり、この解消に向けた取り組みが必要となってい

ます。

性的マイノリティの人のうち、性同一性障がいとは、生物学的な性と性の自己意識が

一致しないため、社会生活に支障がある状態をいいます。

性同一性障がいの人々は、社会生活上の制約があったり、学校生活でいじめられたり

するなどさまざまな問題が生じており、この解消に向けた取り組みが必要となっていま

す。

平成 27(2015)年 4 月に文部科学省から、「性同一性障害に係る児童生徒に対するき

め細かな対応の実施等について」の通知があり、学校における適切な教育相談の実施等

が促されました。また、平成 28(2016)年 4 月に「性同一性障害や性的指向・性自認に

係る、児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について」の教職員向け資料が公表さ

れています。

【主な取り組み】

(1)性的マイノリティを理由とする偏見や差別をなくし,理解を深めるための啓発

活動を推進します。また、町報等により相談窓口等の情報を掲載し、相談機関の

周知を行います。(人権・同和教育課)

(2)学校においては、教職員を対象にした性的マイノリティについての研修を実施し

ます。また、性同一性障害に係る児童生徒への支援についてスクールカウンセラー

やソーシャルワーカー及び医療機関等と連携しながら取り組みます。

(教育総務課、小・中学校)

※ LGBT・・・女性同性愛のレズビアン、男性同性愛のゲイ、両性愛のバイセクシュアル、性同一性障

害を含む肉体と精神の性別が一致しないトランスジェンダーの人々の総称。

L:レズビアン(Lesbian) :女性同性愛者

G:ゲイ(Gay) :男性同性愛者

B:バイセクシュァル(Bisexual) :両性愛者

T:トランスジェンダー(Transgender):生まれたときの「体の性別」と自覚する「心の性別」が一

致しない人

Page 61: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

77

2 生活困窮者の人権

平成 25(2013)年に行われた国民生活基礎調査によると、年間所得が 200 万円未満の

世帯の割合は19.4%であり、相対的貧困(標準的な所得の半分以下の所得しかない状態)

の割合は 16.1%であるとの結果が示されました。相対的貧困率においては 10 年前の平

成 15(2003)年から 1.2%の増加となっています。また、女性について、勤労世代(20

歳から 64 歳まで)で単身女性の 3人に 1人が、未成年の子どもがいる母子世帯では 2人

に 1人が貧困状態にあります。このように所得格差が広がっている原因としては、「高齢

化」、「単身世帯の増加」、そして「賃金格差」があげられます。

平成 27(2015)年「生活困窮者自立支援法」の施行により、福祉事務所を設置する自

治体ごとに生活困窮者の相談窓口が設置され、生活保護を受給する前段で、生活困窮者

の抱えるさまざまな問題解決を支援することが可能になりました。

本町においても、平成 27(2015)年に実施した「人権と生活に関する調査」の中で、

貧困に関わる指標として、年間所得が 200 万円未満の世帯の割合は 22%となり、推定に

よる相対的貧困率は 26.1%という結果になっています。また、「現在の暮らしの状況を

総合的にみて、どう感じていますか」の問いに対して、「大変苦しい」「やや苦しい」の

合計が 39.6%となり、「経済的な理由で、必要なものが買えなくて困ったことがありま

すか」という問いに対しても、「よくある」「たまにある」の合計が 47.6%と高い割合に

なっており、生活困窮者に対するさまざまな支援が必要です。

【主な取り組み】

(1)「生活困窮者自立支援制度」に基づく、さまざまな支援を行います。

(福祉あんしん課、建設課、教育総務課、子育て健康課、文化センター)

(2)対象者の早期把握のため、税・保険料や公共料金の担当課等が連携し、生活困窮

者自立支援事業につなげるようにルールづくりを行います。また、民生児童委員や

自治会ボランティアなどとの情報収集ネットワークを構築します。

(福祉あんしん課、税務課、上下水道課、関係課)

(3)生活困窮者相談員の確保と養成を図ります。(福祉あんしん課)

Page 62: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

78

3 インターネットにおける人権

平成 14(2002)年に「プロバイダ責任制限法」が施行されました。この法律によって、

権利を侵害されたとする当事者からの申出等によってプロバイダ等が侵害情報の送信防

止措置を講じることが期待されています。

インターネットの普及による情報化社会である現代においては、インターネットによ

りコミュニケーションの輪が広がり便利になる一方で、その匿名性、情報発信の容易さ

から、個人の名誉やプライバシーを侵害したり、差別を助長する表現を掲載したりする

など、人権に関わるさまざまな問題が発生しています。そのような問題が生じないよう、

一般のインターネット利用者等に対して、他人のプライバシーや名誉に対する正しい理

解を深めるための啓発、情報の収集や発信に関する個人の責任や情報モラルの教育啓発

等の取り組みが必要です。

【主な取り組み】

(1)情報の収集・発信における個人の責任や情報モラルについて理解を深めるための

教育啓発を行います。(人権・同和教育課)

(2)青少年の年齢やインターネットを適切に活用する能力に応じてペアレンタルコン

トロール※が適切に実施されるよう、保護者への普及啓発に努めます。

(社会教育課、教育総務課、小・中学校)

※ ペアレンタルコントロール・・・青少年が安全に安心してインターネットを使用するため、保護者が同意

した機能に限りインターネットを利用できるようにするなど、保護者が行うべき措置のこと。

Page 63: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

79

4 個人情報の保護

平成 15(2003)年に施行された「個人情報保護法」は、国内における個人情報につい

ての全般的な保護措置を規定するもので、国や地方公共団体の個人情報保護の基本方針

を定め、国民の膨大な個人情報を扱う事業者について具体的な規制を行っています。

また、職務の特性上、秘密と個人情報の保持が必要とされる職業については、それぞ

れの法律により守秘義務が定められています。

個人のプライバシーの権利は、憲法 13 条を根拠として認められる権利の 1つです。「ひ

とりで居させてもらいたい権利」として、個人の私的領域に他者を無断で立ち入らせな

いという自由権的意味で把握されていましたが、情報化社会の進展に伴い、今日では「自

己に関する情報をコントロールする権利」という積極的な権利を意味すると考えられる

ようになってきました。

情報化社会の進展により生活に豊かさと便利さがもたらされる反面、本人の知らない

間に個人の情報が漏えいした場合、伝達速度が速く、伝達範囲が広範囲なため、情報漏

えいによる被害も大規模となります。行政・企業そして個人が今以上に個人情報につい

て適正な管理をすることが必要です。

【主な取り組み】

(1)「個人情報保護条例」等を遵守し、個人の権利や利益を保護するために、個人情報

の適正な取り扱いに努めます。また、職務上知り得た秘密を守る守秘義務について

遵守します。(全課)

(2)住民票や戸籍等の不正請求を抑止し、個人利益の不当な侵害を防止するために本

人通知制度を実施します。 本町に住民票や本籍があり、事前に登録した人のうち、住民票の写し等を本人の

代理人及び第三者に交付した場合、その交付した事実について登録者本人に通知を

行います。また、事前登録をしていなくても本人からの委任状で交付した場合や、

不正取得等の被害が発覚した場合には通知を行います。(弁護士、司法書士等による

職務上請求に基づく交付については、不正取得等の被害が発覚した場合に限り、事

前登録をしていなくても本人に通知を行います。) また、この制度について町民への周知に努めます。(町民生活課)

(3)町民に対し、身元調査をなくしていくための啓発活動や個人のプライバシー保護

に関する啓発を行います。また、企業に対し個人情報の取り扱いに関して、適正に

対処がなされるよう取り組みを行います。(人権・同和教育課、商工観光課)

Page 64: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

80

5 病気にかかわる人の人権

病気に関する正しい知識と理解が十分でないことで、病気にかかっている人やその家

族のほか、医療・保健関係職員など病気にかかわる業務に従事している人(以下「病気

にかかわる人」という。)に対し、偏見に基づくさまざまな人権侵害が生じています。

特に HIV 感染症、エイズ、ハンセン病等に対する正しい知識と理解は、いまだ十分と

はいえない状況にあります。これらの感染症にかかった患者・回復者やその家族等が、

周囲の人々の誤った知識や偏見等により、日常生活、職場、医療現場等で差別やプライ

バシーの侵害等を受ける問題が起きています。

また、ハンセン病に関しては、療養所への強制隔離という国の誤った政策によって、

長年にわたり多くの人が、施設入所によって地域社会はもちろん、家族との関係が絶た

れるなどの苛酷で不当な人権侵害を受けました。さらに、患者の家族は就職や結婚を拒

まれ、一家が離散することもあり、多くの人が苦しみを被りました。平成8(1996)年に

「らい予防法」が廃止され、長い強制隔離政策は終了しましたが、その後も偏見に基づ

く差別事象が発生しています。このような偏見や差別の解消をさらに推し進めるため、

平成21(2009)年「ハンセン病問題基本法」が施行されています。

今後も病気にかかわる人の人権を尊重するために、国、県が行う啓発事業に協力する

とともに、広報紙等により正しい知識の普及を進める必要があります。

【主な取り組み】

(1)町民への病気に対する理解を深めるとともに、病気にかかわる人に対する偏見や

差別をなくすための啓発活動を実施します。(人権・同和教育課、子育て健康課)

(2)学校教育では、病気にかかわる人に対する偏見や差別をなくすために、性教育や

健康教育等を通じて、病気に関する正しい理解の普及を進めます。

(教育総務課、小・中学校)

Page 65: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

81

6 東日本大震災等の被災者の人権

(1)東日本大震災の被災者の人権

平成 23(2011)年 3 月 11 日に発生した東日本大震災は、被災地域が東日本全域に

及び、死者 15,894 人、行方不明者 2,561 人、負傷者 6,152 人の甚大な人的被害が生じ

たほか、全・半壊建物は 400,326 戸にも及ぶ〔平成 28(2016)年 3 月 10 日警察庁緊

急災害警備本部広報資料による。〕未曾有の大災害です。また、地震と津波に伴い発生

した東京電力福島第一原子力発電所事故は、被害をより深刻なものとしました。東日

本大震災による避難者は,被害の大きかった岩手県、宮城県及び福島県を中心に平成

28(2016)年 3月 10 日時点で 170,841 人に及んでいます(復興庁調べ)。

このような中、避難生活の長期化に伴うトラブルや放射線被ばくについての風評等

に基づく差別的取扱い、転校先の学校でのいじめ等の人権問題が発生しており、震災

発生から平成 27(2015)年 12 月末までに、法務省の人権擁護機関に寄せられた東日

本大震災に関連する人権相談件数は 984 件、人権侵犯事件数は 80 件となっています。

【主な取り組み】

(1)放射線被ばくについて、根拠のない思い込みや偏見による人権侵害が生じないよ

う啓発活動を行います。(人権・同和教育課)

(2)避難されてきた人に対し、住まいの支援、生活の支援、雇用の支援、教育の支援

など、必要な支援を行います。(総務課、建設課)

Page 66: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

82

(2)その他の震災や自然災害等の被災者の人権

平成 28(2016)年 10 月 21 日 14 時 7 分、鳥取県中部を震源としてマグニチュード

6.6、最大震度 6 弱(倉吉市、湯梨浜町、北栄町)、本町では震度5弱を観測した鳥取

県中部地震が発生しました。この地震では死者は出ませんでしたが、重傷者 4 名、軽

傷者 17 名、住宅の屋根瓦や壁が崩壊する等の被害が相次ぎ、住宅の全壊 15 棟、半壊

108 棟、一部損壊 13,212 棟(11 月 20 日時点)が確認されています。また、避難所は

ピーク時には 7市町村で 70 ヵ所が開設され、避難者は 2,980 人にのぼり、多くの住民

に不安と恐怖を与えました。

わが国では、毎年、全国各地で地震、台風、豪雨、豪雪、土砂災害など、多くの災

害が起きていますが、災害と人権問題は切り離せない関係にあります。大規模な災害

は多くの人命を危険にさらし、人々の生活のすべてを奪います。また、被災者は避難

生活でも多くの困難に苦しみます。中でも高齢者や障がいのある人、病人やけが人、

女性や子ども、言葉の壁のある外国人といった、いわゆる「災害弱者」になりやすい

人たちの場合、その困難はより大きなものとなります。

震災や自然災害等の被災者の人権侵害を防ぐために、「基本的人権の尊重」という原

点に立ち返り支援を行うことが必要です。

【主な取り組み】

(1)避難所、公共施設の耐震化やバリアフリー化、道路や橋梁などの整備に取り組み

災害に強いまちづくりを進めます。(総務課、建設課、上下水道課)

(2)自力では避難することが困難な、一人暮らしの高齢者や障がいのある人及び外国

にルーツを持つ人が災害時における情報伝達、安否確認などの支援を受けられるよ

う、地域における体制づくりや情報提供を行います。

(総務課、福祉あんしん課、町民生活課)

(3)被災地・被災者への支援として、ボランティアの派遣等を行います。(総務課)

Page 67: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

83

7 刑を終えた人や更生に努めている人等の人権

刑を終えた人や更生に努めている人とその家族等に対する偏見・差別は根強く、就職

に際しての差別や住居の確保の困難等、社会から排除されたり、孤立化している現状が

あり、社会復帰を目指す人たちにとって、現実は極めて厳しい状況にあります。刑を終

えた人や更生に努めている人等が、地域社会の一員として円滑な社会生活を営むために

は、本人の強い更生への努力とあわせて、職場、地域社会の理解と協力が必要です。

【主な取り組み】

(1)「“社会を明るくする運動” ~犯罪や非行を防止し、立ち直りを支える地域のチカ

ラ~」を実施します。(人権・同和教育課) (2)犯罪や非行をした人が罪をつぐない、社会復帰を支える更生保護に関わる団体等

の各種活動を支援します。(人権・同和教育課、関係課)

Page 68: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

84

8 犯罪被害者等の人権

犯罪被害者やその家族は、犯罪そのものやその後遺症によって精神的、経済的に苦し

んでいるにもかかわらず、追い打ちをかけるように、興味本位のうわさや心ない中傷等

により名誉が傷つけられたり、私生活の平穏が脅かされたりするなどの問題が指摘され

ています。 こうした犯罪被害者等の人権保護が図られる社会の実現に向けた取り組みが必要です。

【主な取り組み】

(1)犯罪被害者等の人権に関する啓発・広報を実施します。(人権・同和教育課)

(2)犯罪被害者支援団体のボランティア等に対する活動支援に努めます。 (人権・同和教育課)

(3)人権擁護機関と連携し、犯罪被害者等の人権をめぐる人権侵害事案に対する適切

な対応を行います。(人権・同和教育課)

Page 69: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

85

9 アイヌの人々の人権

アイヌの人々は、固有の言語や伝統的な儀式・祭事、多くの口承文学(ユーカラ)

等、独自の豊かな文化がありますが、近世以降のいわゆる同化政策等により、その文

化を奪われ、十分な保存・伝承が図られているとは言い難い状況にあります。特に、

アイヌ語を理解し、アイヌの伝統等を担う人々の高齢化が進み、これらを次の世代に

継承していく上での重要な基盤が失われつつあります。また、アイヌの人々に対する

理解が十分ではないため、就職や結婚等における偏見や差別が依然として存在してい

ます。

平成 9(1997)年に「アイヌ文化振興法」が施行されました。アイヌの人々のさま

ざまな固有の歴史や、文化・伝統を持つ権利を保障し、理解を深めるための取り組み

を行います。

【主な取り組み】

(1)アイヌの人々に対する理解と認識を深めるとともに、偏見や差別の解消をめざし

て啓発活動を進めてきます。(人権・同和教育課)

(2)学校教育におけるアイヌの人々やアイヌの文化・伝統に関する学習を推進します。 (教育総務課・小・中学校)

Page 70: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

86

10 北朝鮮当局による拉致問題等

平成 15(2003)年に「拉致被害者支援法」が施行され、拉致の問題について国と地方公

共団体との連携が図られることとなりました。また、平成 18(2006)年には「北朝鮮人

権法」が施行され、地方公共団体が国と連携し、拉致問題その他北朝鮮当局による人権

侵害問題に関する啓発を図るよう努めることになりました。

鳥取県には北朝鮮当局により拉致された政府認定拉致被害者の松本京子さんをはじめ、

拉致された疑いのある人がいます。拉致問題は、重大な人権侵害です。町民に対し拉致

問題への関心を高め、早期全面解決を促進するため、啓発活動を実施します。

【主な取り組み】

(1)北朝鮮人権侵害問題啓発週間(12 月 10 日から同月 16 日まで)等において、国や

県と連携して、拉致問題についての講演会、町報等への掲載、ポスターの掲示等の

啓発活動を行います。(人権・同和教育課)

Page 71: 第 2 章 分野別施策の推進 - town.kotoura.tottori.jp · 」とし部落問題が未解決であり、差別の現実がなお存在している ことを認知しました。

87

11 その他の人権課題、新たな人権問題

これまでに述べた人権問題の他に、国の「人権教育・啓発に関する基本計画(平成 23

年度一部変更)」及び県の「鳥取県人権施策基本方針(第 3 次改訂)」には、さまざまな

人権問題があげられ、取り組みの必要性が謳われています。また、社会情勢の変化や科

学技術の発展、大災害の発生等にともない、今後、人権課題は多様化するとともに、こ

れまでに想像し得なかった人権問題が発生する可能性があります。 今後も、さらに人権・同和教育を進め、人権意識の高揚を図るとともに、多様化する

人権課題や新たな人権問題への取り組みが必要です。

【主な取り組み】

(1)社会情勢等の変化にともない新たに出現した人権問題や、顕在化した人権課題の

解決に向け積極的に取り組みます。(人権・同和教育課、関係課)

(2)「町あらゆる差別をなくする総合計画」を 5年ごとに見直し、新たな人権問題及び

課題について、計画に取り入れ、あらゆる差別の解消に向けて、施策を実施してい

きます。(全課)