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【令和2年度 排水管理責任者資格認定講習】 事業場排水の管理 目 次 1.事業場における排水管理の取り組み ・・・p.1 2.事業場内の排水の把握 ・・・p.3 3.工程の改善 ・・・p.4 4.排水処理の計画 ・・・p.5 5.水質の測定・記録 ・・・p.7 6.水質違反への対応 ・・・p.11

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  • 【令和2年度 排水管理責任者資格認定講習】

    事業場排水の管理

    目 次

    1.事業場における排水管理の取り組み ・・・p.1

    2.事業場内の排水の把握 ・・・p.3

    3.工程の改善 ・・・p.4

    4.排水処理の計画 ・・・p.5

    5.水質の測定・記録 ・・・p.7

    6.水質違反への対応 ・・・p.11

  • 【令和2年度 排水管理責任者資格認定講習】

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    1.事業場における排水管理の取り組み

    (1) 排水管理体制の確立

    公害防止は、事業場全体で取り組む仕事であり、排除する汚水の水質の管理もそのひとつです。

    しかしながら、下水道は、外部からは見えない地下の管であり、一般市民の眼に触れることがあ

    りません。そのため、事業場内の従業員の関心も薄くなりがちです。それだけに、下水道への排除

    基準の順守のためには、事業場が組織として、自主的に排水の管理体制の確立を図ろうとする姿勢

    がいっそう必要になります。

    (2) 組織の明確化

    神戸市では、条例により、除害施設等を有する事業場、排水量が日 50m3以上の水質使用料徴収対

    象事業場等について、排水管理責任者の選任を義務づけています。

    神戸市下水道条例施行規則では、排水管理責任者の業務を次のように定めています。

    神戸市下水道条例施行規則第 10条の 3

    (排水管理責任者の業務)

    排水管理責任者の業務は,次に掲げる事項とする。

    (1) 公共下水道へ排除する汚水の水量及び水質の測定及び記録に関すること。

    (2) 汚水の発生施設の監視に関すること。

    (3) 汚水の処理施設及び除害施設の維持管理に関すること。

    (4) 汚泥等の発生量の把握及び処理に関すること。

    (5) 前各号に掲げる業務に係る施設の事故及び緊急時の措置に関すること。

    この制度は、自主的な管理体制を整備することによって除害施設等の維持管理の徹底を目的とす

    るものです。排水管理責任者の資格は、当該事業場等に勤務する者であって、公害防止管理者等の

    資格、又は市長の行う講習を修了した者が有します。

    排水管理責任者は、事業場排水の水質管理の実務を担当する役割を果たします。また、上記のと

    おり、その業務は、除害施設等の管理のみならず、生産工程の把握から水質の管理にまでわたる広

    範囲なものです。

    事業場は、排水管理責任者を選任し、排水管理責任者がその職務を全うできるよう排水管理の体

    制を確立する必要があります。次ページに、組織図の例を示します。(図1)

    (3) 排水管理責任者の実務

    排水管理責任者の実務は、次のように分類されます。

    (1)排水の発生源の把握、工程の改善

    (2)排水処理の計画

    (3)水質の測定・記録

    (4)水質違反への対応

    (5)排水処理施設(除害施設)の維持管理

    各業務の詳細について 3ページ以降に示します。

    〔なお、(5)の内容については、「処理施設の原理と維持管理」に記載しています。〕

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    図1 公害防止組織図の例

    排水管理責任者

  • 【令和2年度 排水管理責任者資格認定講習】

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    2.事業場内の排水の把握 事業場内で、どのような排水が、どの工程から、どれだけ排出されるか、を把握することが

    排水を管理する上で大変重要です。

    (1) 排水を生ずる工程の明確化を図る

    業務の各工程からは、それぞれ特徴ある排水が発生します。洗浄排水や、原料からの汚濁水、

    加工に伴って生じる汚濁排水等です。まずは、排水の発生源を明確にすることが必要です。

    (2) 排水の量及び水質の時間的変動を調査する

    大抵の事業場において、排水の量および水質は、時間的に大幅に変動します。季節や取扱い

    製品の違いによっても変動することが考えられます。

    また、排水には操業時間内で連続して発生するものや、一日の限られた時間にのみ発生する

    ものがあります。

    すでに操業している場合は、工程ごとに排水を採取し水質分析することが可能ですが、工場

    新設する場合や、今までと異なる生産工程を導入する場合には、原材料や機器の仕様、同種同

    規模の他工場の例等について十分調査し、排水量と水質を推定する必要があります。

    こうして得られたデータをまとめることで、事業場から排出される排水の負荷が把握でき、

    適正な排水処理計画を検討することができます。

    (3) 排除基準の適否を確認する

    排除基準は、濃度による規制です。瞬時でも基準を超えてはいけません。基準を超える恐れ

    はないか確認し、必要に応じ工程の変更または排水処理施設等の設置を検討しなければなりま

    せん。

    なお、処理可能項目(BOD、SS、ノルマルヘキサン抽出物質)については、神戸市では水質使用料制

    度を採用しているので、排除基準未満であっても、使用料対象となる可能性があります。排水

    処理を行う場合の費用(建設費・維持管理費)と水質使用料を比較することも、排水処理施設

    の検討材料となります。

    排水内容は操業内容と密接な関係にあります。生産内容に変更等が発生する場合は、その都度排水

    の把握を行う必要があります。

    そのため、日頃から事業場責任者や各部門担当者と連携する体制を整えていくことが、排水の把握

    を適正に行っていくための重要なポイントとなります。

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    原料

    用水

    薬液槽

    水洗槽1

    水洗槽2

    製品

    排水

    めっき業における水洗工程

    3.工程の改善

    事業場の製造設備、使用薬品、工程、作業等を見直すことにより、排水量や水質が大きく改善され

    ることがあります。

    これにより、排水処理施設の設置、維持管理などが効果的かつ経済的になることから、積極的に検

    討することが望ましいと考えられます。

    (1)生産工程・作業方法の見直しによる排水水質の改善

    ①使用する薬品・原材料の変更

    ・有害物質を含むものから、含まないものに変更する。

    ・高濃度のものから、低濃度のものに変更する。

    ②排水の負荷となるものを回収する

    ・有害物質を含む排水、器具の洗浄水を含めて回収する。

    ・厨房での洗浄作業前に、食器・器具に付着した残飯類を回収する。

    ③工程排水を全量回収し、産業廃棄物として処分する

    ・工程排水が少なく、排水処理施設を設置するよりコストが低い場合。

    (2)工程排水発生量の減少

    ①工程排水を再利用する。

    ・表面処理排水をイオン交換により再利用する。

    ・発生する排水のうち、比較的汚れの少ないものを、初期洗浄に利用する。

    ②使用水量の減少

    ・洗浄用水を出しっぱなしにしない。

    ・洗浄ラインにセンサーを付けて、製品通過時のみ洗浄水が出るようにする。

    ・空気洗米など、水を使用しない洗浄方法を採用する。

    (3)その他

    ①工程のマニュアル化

    ・作業者によりばらつきが出ないよう、マニュアルを作成する。

    ・製造工程だけでなく、洗浄工程もマニュアル化するとよい。

    ②有価物の回収

    ・無価値なものとして排水中に捨てられている成分を回収する。

    ・商品価値だけでなく、排水処理のコストをも含めた全体のシステムとして評価する。

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    4.排水処理の計画

    排水の把握結果に基づいて工程等を改善した場合でも、排除基準を守ることが難しい場合には、排

    水処理を計画しなければなりません。

    (1)処理対象の決定

    ①水量・水質の把握(平常時・ピーク)

    ピークの水量・水質を把握し、それに対応できる排水処理を検討します。

    負荷が最大となる時間帯の排水を処理する能力を持つ処理施設を計画するためには、水量・

    水質の変動も含め、十分な調査が必要です。

    一方、計画時には、既設の下水管に受け入れ可能か判断するため、排水量を大きく見積もり

    がちですが、実際の水量が少ないために原水槽を低いレベルで維持しなければならない場合も

    あるので、注意が必要です。

    ②排水系統の分離

    一般的には、濃厚で少量の排水は、希薄で多量の排水と分けて処理した方が効率的です。ま

    た、水質の異なる二種類以上の排水を混合してしまうと、処理が非常に困難となる場合があり

    ます。

    例えば、シアンを含む排水と六価クロムを含む排水が発生する場合には、処理方法が正反対

    (酸化処理と還元処理)のため必ず分離しなくてはなりません。

    また一方で、排水を混合して平均化した方が、処理が効率的な場合もあります。

    排水系統の分離・統合については、水量・水質の把握を行った上で、十分に検討が必要とな

    ります。

    ③排水処理スペースの確保

    処理施設の設置上の問題として用地難があげられますが、不充分な規模の施設を造っても所

    定の効果を上げられない場合が多く見受けられます。

    計画時より充分なスペースの確保を行うように努める必要があります。

    (2)排水処理方法の選定

    ① 必要な担当者や技術者の任命

    ② 処理対象排水の類似事例調査

    ③ ベンチスケールやパイロットプラントで処理実験実施とデータ集積

    ④ 排水処理方法の概要を決定

    ⑤ 処理装置を選定する際の主な考慮点

    ・ 排除基準を満足できる処理能力があること

    ・ 設置面積は確保可能であること

    ・ 建設費、及び運転費(動力,薬品,労力)が安いこと

    ・ 維持管理が容易であること

    ・ 汚泥発生量が少ないこと、また汚泥処理が容易であること

    ・ メーカーの技術力、アフターサービス、実績等に信頼がおけること

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    ⑥ 処理実験等により実施可能な排水処理方法がみつからない場合は、製造プロセス等排水の

    発生箇所に立ち戻り、除去困難な汚濁物質を排出する工程の変更を検討する。

    (3)発生汚泥の処理

    排水処理に伴い発生する汚泥の処理・処分については、あらかじめ検討が必要です。

    排水の処理施設が計画された機能を発揮できない原因の一つとして、汚泥の処理・処分が不完

    全な場合があります。

    特に汚泥中に有害物質を含有する場合には、決して二次汚染を起こさないよう適正に処理を行

    ってください。

    (4)監督官庁への事前説明

    事業計画、排水処理計画の概要について、建設局下水道部計画課へ事前に説明してください。

    計画の内容によっては、変更する必要が生じることがあるが、計画の早い段階であれば対応し

    やすいことが多いといえます。

    特定施設、排除基準、水質使用料制度、適切な排水処理、届出の作成方法などについて、不明

    な点があれば問い合わせてください。

    回分処理と連続処理

    処理を行う排水を一定量ずつに分け、生物処理とその後の沈殿、凝集反応とその後の沈殿な

    どを同一の槽で行う処理を回分処理(バッチ処理)と呼ぶ。

    処理を要する排水の量が少ない場合、排水の発生が不定期である場合などには、回分処理が

    適している。

    それに対し、排水を連続して処理施設に送り、連続して処理するのが連続処理である。生物

    処理と沈殿、凝集反応と沈殿は別の槽で行う。

    排水量が多い場合に適しているが、処理原水の汚濁負荷変動に対応できない場合がある。安

    定した処理を行うためには、前段に調整槽を設置し、処理原水の汚濁負荷の平均化を図る必要

    がある。

    排水の量や発生頻度、敷地面積、維持管理の容易さなどを考慮して、回分処理と連続処理の

    どちらを採用するかを決定するとよい。

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    5.水質の測定・記録

    排水水質の把握や排除基準適合の確認のためには、実際に測定することが不可欠です。

    排除基準への適合確認については、特定施設の設置者は以下の方法で測定を行う必要があります。

    それ以外の事業者もこれらの方法を参考として測定を実施し、自社排水が排除基準に適合しているか

    確認してください。

    (1)水質測定記録義務

    継続して政令で定める水質の下水を排除して公共下水道を使用するもので政令で定めるもの、及

    び継続して下水を排除して公共下水道を使用する特定施設の設置者は、国土交通省令で定めるとこ

    ろにより当該下水の水質を測定し、その結果を記録しておかなければなりません(下水道法第12

    条の12)。

    (2)測定の方法

    水質の測定は、「下水の水質の検定方法に関する省令に規定する検定」の方法により行ってくださ

    い(下水道法施行規則第15条第1号)。

    (3)測定の回数

    神戸市では、別の定めを行っています。

    (パンフレット「工場・事業場排水と下水道」10ページ、11ページ 参照)

    (4)試料の採取

    試料は、測定しようとする下水の水質がもっとも悪いと推定される時刻に、水深の中層部から

    採取しなければなりません(下水道法施行規則第15条第3号)。

    又、公共下水道への排出口ごとに、公共下水道に流入する直前で、公共下水道による影響のお

    よばない地点で行うこととされています(下水道法施行規則第15条第4号)。

    ①試料容器・・・蓋付ポリエチレン瓶または共栓硬質ガラス瓶とし、密栓できるもので不純物

    の混入がないように十分に洗浄して用います。容器が規定されている場合もあり、ノルマ

    ルヘキサン抽出物質含有量やPCBの測定には共栓硬質ガラス瓶(広口)を用い、揮発性

    有機化合物の場合は四弗ふっ

    化エテン樹脂フイルムで内ばりしたネジ蓋付きガラス瓶を用い

    ます。

    硬質ガラス瓶 ポリエチレン瓶

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    ②採取方法・・・試料の採取は、試料容器による直接採取を原則とするが、必要に応じ採水器

    もしくは採水装置を用います。試料容器は採取水で3~4回洗浄した後、瓶の八分目程度

    まで採り、密栓します。これは、懸濁物を含めた全量を分析できるよう振り混ぜ可能とす

    るためです。なおノルマルヘキサン抽出物質含有量や揮発性有機化合物については、項目

    の性質上、特殊な採取方法となるので、公定法、JISに従い採取します。

    ひしゃく

    つるべ ハイロート採水器

    ③試料の採取量・・・測定する項目数と測定成分の濃度及び試料の保存処理との組み合わせに

    よって異なりますが、一般には、一項目につき 0.5~1リットルであり、全体として 2~

    10リットルの適当量を採取します。

    表1 測定項目と試料採取量の一例

    測 定 項 目 試 料 採 取 量

    重金属類 1リットル

    シアン化合物, 硫化物 1リットル

    ノルマルヘキサン抽出物質含有量 1~2リットル

    揮発性有機化合物 40~250ミリリットル

    BOD, SS, 全窒素, 全りん及びその他 2リットル

    ④試料の保存・・・試料は採取直後に試験するのが原則。直ちに試験できない場合は、採水後

    直ちに表2に示す保存処理を行います。

    ⑤試料採取時の記録事項・・・試料採取時には、次の事項を記録します。

    a. 試料の名称及び試料番号 b. 採取場所及び採取位置

    c. 採取年月日,時刻 d. 採取時及び前日の天候

    e. 採取場所の状況 f. 採取者氏名

    h. その他気温, 水温, 試料の外観(色, 濁り等)及び臭気の有無等参考とする事項

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    表2 試料の保存処理

    項 目 保 存 方 法 保 存 理 由

    シアン化合物

    水酸化ナトリウム溶液(濃度 200g/リットル)又

    は水酸化ナトリウム(粒状。水 1 リットルに対し

    て 4~6 粒)を加えて pH を約 12 にして保存す

    る。残留塩素等の酸化性物質が共存する場合

    は、L-アスコルビン酸等を加えて還元した後、pH

    を約 12とする。

    11 以下の pH ではシアン化合物

    がシアン化水素になって遊離

    し揮散する。特に pH8以下では

    その傾向が強い。

    フェノール類

    リン酸を加え pH を約 4 にして、試料1リット

    ルにつき硫酸銅五水和物1グラムを加えて振

    り混ぜ、0~10℃の暗所に保存する。

    フェノール分解菌による生化

    学反応の抑制。アルカリでは生

    化学反応を受けやすい。

    ノルマルヘキサン

    抽出物質含有量

    塩酸(1+4)を加えて pH を約 4 以下にして 0~

    10℃で保存する。

    水中の油分は一部ケン化し懸

    濁状態にあるので、酸性にして

    油分を遊離させ、変質を防ぐ。

    BOD, COD 0~10℃の暗所に保存する。

    生化学反応による分解が起こ

    るので、低温で生物の活動を抑

    制する。

    重金属類(カドミウ

    ム, 鉛, 銅, 亜鉛,

    ヒ素, 総クロム,

    水銀, セレン)

    硝酸を加えて pHを約1にして保存する。

    排水中の重金属類は様々な形

    態で存在し、放置によって試料

    容器に付着もしくは吸着され

    る。pH 約1の酸性に保つことに

    より、金属類をイオン状態に保ち

    均一に分散させる。

    六価クロム化合物 0~10℃の暗所に保存する。

    酸性では有機物及び還元性物

    質が存在すると三価クロムに

    還元される。

    溶解性鉄,

    溶解性マンガン

    採水後、直ちにろ紙(5種C)を用いてろ過し、

    前記(重金属類保存方法)処理を行う。

    保存中に酸化されて不溶性に

    なってしまう。

    よう素消費量

    水酸化ナトリウム溶液(濃度 200g/リットル)又

    は水酸化ナトリウム(粒状。水 1 リットルに対し

    て 2~4粒)を加えて pHを約 12にして 0~10℃

    で保存する。

    酸性では、有機物及び還元性物

    質が酸化されやすい。

    揮発性有機化合物 4℃以下の暗所に凍結させないで保存する。 揮発を抑制するため。

    (5)水質測定結果の記録及び保存

    水質測定結果の記録は、下水道法施行規則別記様式第十三による水質測定記録表により記録し、

    その記録を5年間保存する必要があります。(下水道法施行規則第15条第5号)

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    様式第十三

    水 質 測 定 記 録 表

    測定年月日

    及び時刻

    測 定 場 所 特定施設の

    使用状況

    測定項目 備考

    名称 排水量(単位立方メー

    トル/日)

    備考

    1 採水の年月日と分析の年月日が異なる場合には、備考欄にこれを明示すること。

    2 ダイオキシン類についての測定の記録は、ダイオキシン類の量をその毒性に応じて下水の水質の検定方法

    等に関する省令第9条に規定するところにより 2,3,7,8-四塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシンの量に換算した数値

    で行うこと。

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    6.水質違反への対応

    様々な原因で下水道へ排除する水の水質が排除基準に適合しない場合が出てきます。その様な場合

    には、原因を究明し、速やかに適切な処置を講じ、水質違反が継続しないように、その後の監視を十

    分に行う必要があります。

    (1)迅速な周知と応急措置

    自主分析の結果や神戸市からの連絡により、違反(排除基準超過)の事実を知った場合は、直ち

    に下記の対応を取って下さい。

    ①事業場内での周知・・・社内に水質違反が生じた(あるいは恐れがある)ことを周知する。

    ②連絡(速報)・・・下水道管理者(神戸市建設局)に連絡する。(但し、応急措置を優先する。)

    ⇒連絡体制の整備:水質違反時の連絡・指揮体制図をつくっておくことが必要。(例:図1)

    ③排水の停止・・・未処理の排水を下水道へ排除してはならない。必要であれば水の使用また

    は操業を停止する。

    ④応急措置・・・状況により臨機応変に対応する。

    a.再処理・・・・・処理が不十分になった場合は、未処理水を原水槽に戻して再処理する。または、

    予備槽などに暫定的に貯留し、後で再度処理する。

    ⇒水中ポンプ、一時貯留用の容器などを非常時に備えて日頃から準備しておくことが必要。

    b.汚染の拡散防止・・・・・運搬・取扱中の転倒、薬品タンクの破損などによる薬品等の流出時に

    は、復旧の対応と共に、拭き取りあるいは処理剤の散布等を行う。

    ⇒拭取り用の紙・布や処理剤を非常時に備えて日頃から準備しておくことが必要。

    (2)原因調査

    応急措置が終われば、再発防止のため徹底的な原因調査が必要です。

    ①発生源での問題・・・特定施設の使用方法の不良、予定量以上の排出、漏れなど

    ②排水処理での問題・・・薬品量の不足、pH電極不良、機器故障、能力不足など

    (3)対策

    原因調査で分かった問題に対する対策(恒久対策)を取り、再発を防止して下さい。

    ①工程の見直し

    a.より少ない費用で効果を高めるため、製造工程を見直す。

    (ア) 節水

    (イ) 原材料の見直し

    (ウ) 工程・生産設備の見直し

    (エ) 収率の向上

    (オ) 排出物の有効利用

    (カ) 作業員等の教育

    b.製造ラインでの作業の標準化と同様に、洗浄作業も標準化する。

    c.非常時対応マニュアルを作成する。

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    ②排水処理対策・・・下記の項目を確認し問題があれば改善してください。

    a.処理目標値の設定は適切か

    b.排水経路の分離、もしくは統合は必要か

    c.水量及び水質の把握はできているか

    d.処理方法の選択は適切か (判断基準の例)

    (ア) 連続処理、回分処理のいずれが適しているか

    (イ) 維持管理の容易さ

    (ウ) 維持管理費用(有価物回収の可能性、汚泥の発生量と処理費用)

    (エ) 処理水再利用の可能性(排水発生量の削減を図る)

    e.維持管理上の問題はないか

    (ア)点検方法

    (イ)点検結果の運転管理、補修計画へのフィードバックはなされているか

    (4)経過の記録と報告

    以下の事項等を記録し, 神戸市建設局まで文書で報告して下さい。

    (なお、応急措置とあわせて、速やかに電話等により神戸市に速報をいれて下さい。)

    ①水質違反の状況 (発生(あるいは発見)日時、内容)

    ②原因及び対策(応急措置と恒久対策)

    ③水質改善後の水質測定結果

    図1 水質異常時の連絡体制(例)

    排水管理責任者

    汚水処理施設担当者

    A 製造部

    A 製造部長

    建設局

    下水道部

    計画課

    806-8916※

    異常の報告 異常の報告

    指示

    ・原因調査

    ・応急措置

    速報

    指示

    ・排水停止

    ・原因調査

    助言

    ・原因調査

    ・応急措置

    立入調査

    指示

    ・応急措置(排水停止)

    ・原因調査 措置・調査の

    報告

    公害防止統括者

    (工場長など)

    報告

    ※ 夜間・休日は 0120-086-106 (建設局休日夜間緊急センター)