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用語説明 第   章 15 アルファベット順 1 50音順 2 339 15

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用語説明 第   章15

アルファベット順1

50音順2

339

15章

用語説明

340

15章

用語説明

用語説明

アルファベット順1.

C

CDR (Clock and Data Recovery)

クロックおよびデータを再生する装置。CDRから出力されるデータは、入力されたデータ信号そのものではなく、再生されたクロックでリタイミングされています。

CDS (Correlated Double Sampling: 相関2重サンプリング)

CCDの読み出しノイズの低減のために、最もよく使われている信号処理方法。FDAによって検出されたCCDの信号出力は、検出ノードの容量に起因したkTCノイズを含んでいます。kTCノイズは、熱雑音とも呼ばれ、CCDのような電荷-電圧変換器でリセット動作を行う場合に必ず生じるノイズです。CDSによって信号電荷が流入する前後の電圧レベルの差を検出することで、kTCノイズを低減した出力を得ることができます。CDSは、CMOSイメージセンサのノイズ低減にも用いられます。

- D

DBR (Distributed Bragg Reflector)

分布ブラッグ反射器。LED・半導体レーザといった発光デバイスにおいて発光領域の外側にλ/2n (λ: 真空中における波長、n: 媒質の屈折率)を周期とする回折格子を設け、波長 λの光を選択的に反射させる反射器のことをいいます。RC型LEDにおいては、発光層の上層と下層に適当な距離をおいてDBR層を設けることにより、特定波長のみ共振させて面の垂直方向に出射させることが可能となります。またLEDにおいては、光量アップを目的として発光層の下層にDBR層を設けることがあります。

E

eV (電子ボルト)

電子が、真空中で1 Vの電位差で加速されるときに得られるエネルギー。一般に素粒子・原子核・原子・分子などのエネルギーを表す単位として使われます。

E検出器、ΔE検出器

E検出器は、高エネルギー粒子の飛程に対して十分厚く、粒子の全エネルギー検出を目的とする検出器です。これに対してΔE検出器は、透過する粒子の飛程に対して十分薄く、粒子の比エネルギー損失を検出します。ΔE検出器とE検出器を組み合わせた、いわゆるΔE-E検出器は、粒子識別に有効な手段となります。

F

Fano factor

放射線の入射により、結晶中に生成される電子-正孔対の平均数 (J)は、以下の式で表されます。

この場合、電子-正孔対の数の統計的揺らぎを表す標準偏差 (σ: Fanoノイズ)は、以下の式で表されます。

この式のFはFano factorと呼ばれ、ポアソン分布からのズレを補正する係数です。

FDA (Floating Diffusion Amplifier)

CCDの出力部に最もよく使われている低ノイズの読み出し方式。当社製CCDは、FDAを採用しています。

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15章

用語説明

1. アルファベット順

FOP (Fiber Optic Plate)

数ミクロンの光ファイバを束にした光学デバイスです。レンズに代わる光学素子として、光やイメージ像を高効率・低歪みで伝達します。FOPは、レンズのように焦点距離を設ける必要がないためコンパクトな光学設計を可能にします。

FOS (Fiber Optic plate with Scintillator)

FOPにX線用シンチレータ CsI(TI)を付けたプレートです。

FWHM (Full Width at Half Maximum)

半値全幅。正規分布 (ガウス分布)などの広がりの程度を表す場合に用いられます。FWHMは、正規分布の最大値の半分の値になるところの幅です。

- I

I2C (Inter-Integrated Circuit)

フィリップス社が開発したシリアルインターフェース。アイ・スクウェア・シーと読みますが、アイ・ツー・シーともいいます。2本の信号線、SCL (Serial Clock)とSDA (Serial Data)によってIC間の情報伝達を可能にします。家電製品・携帯電話・デジタルカメラ・オーディオ機器において用いられ、数百kHz程度の低速な周辺素子をマイコンに接続する場合などに用いられています。

- L

LVDS (Low Voltage Differential Signaling)

高速のデジタルインターフェース技術の1つで、高速信号の伝送が可能、低ノイズ、外来ノイズによる影響を受けにくい、低消費電力といった特長があります。

- M

MBE (Molecular Beam Epitaxy)

超高真空中で結晶の構成元素をそれぞれ別々のルツボから蒸発させ分子線にして供給し、昇温させた基板結晶上に薄膜結晶をエピタキシャル成長させる技術。

MCA (Multichannel Analyzer: 多重波高分析器)

入力された複数のパルスの高さをヒストグラムとして表示する装置。

MEMS (Micro-Electro-Mechanical Systems)

微細加工技術で作製された3次元構造をもつ小型システム。基本的な作製技術は、電子集積回路作製のための半導体リソグラフィですが、それに加えてSi深掘エッチン

グ・犠牲層エッチング・接合技術などの技術を組み合わせることにより、凹凸形状や中空構造などを形成することができます。マイクロアクチュエータやマイクロセンサなどが代表的なデバイスで、CMOSなどの電子回路を集積化するものもあります。

MOCVD (Metal Organic Chemical Vapor Deposition)

常温・常圧で固体あるいは液状の有機金属原料をガス化して供給し、昇温させた基板結晶上で熱分解・化学反応させて、その上に薄膜結晶をエピタキシャル成長させる技術。

MOEMS (Micro-Opto-Electro-Mechanical Systems)

MEMS技術を用いた小型光学システム。光MEMSとも呼ばれます。応用例としては、MEMS技術による中空構造を利用した熱型検出素子や、マイクロアクチュエータにより光の進行方向を制御する光スキャナや光スイッチがあります。その他、精密な位置制御ができるMEMSの特長を生かした波長可変フィルタや光干渉計にも応用されています。

MOST (Media Oriented Systems Transport)

主に欧州車に採用されている車載ネットワークの規格の1つ。POFを用いたリング構造のネットワークで、ノード間の通信速度は25 Mbpsおよび150 Mbpsです。車載以外にも、空港内インターフォン用ネットワークなどで用いられています。

MPP (Multi-Pinned Phase)動作

CCDの電極を構成するMOS構造のゲート下のすべてのCCDチャンネルを反転状態にして動作させる方法。反転動作とも呼ばれ、酸化膜Si界面での熱励起電子の発生が極端に抑制されるため、暗電流の少ない状態が実現できます。

N

NEP (Noise Equivalent Power: 雑音等価電力)

雑音量に等しい入射光量、つまり信号対雑音比 (S/N)が1となる入射光量を示します。当社は最大感度波長 (λp)での値を規定しています。雑音量は、周波数帯域幅の平方根に比例するため、バンド幅を1 Hzで正規化します。

P

p.e. (photon equivalent)

p.e.は、1フォトン当たりの検出レベルを表します。たとえば1 p.e.パルスは、1フォトン検出時相当のパルスを示します。

342

15章

用語説明

S

SOA (Semiconductor Optical Amplifier)

半導体を使用する光増幅器。構造はファブリペローレーザダイオードとほとんど同じですが、端面で反射しない設計になっています。SOAは幅広い波長域で増幅することができ、EDFAと比較して必要な部品点数が少なく、増幅装置の小型化・低消費電力化が可能となります。

SONET/SDH

光ファイバを用いた高速デジタル通信方式の国際規格。SONET (Synchronous Optical Network: 同期光伝送網)は、Bellcore社によって開発された技術をベースにしてANSI (American National Standards Institute: 米国規格協会)が策定した北米標準仕様です。SDH (Synchronous Digital Hierarchy: 同期デジタル・ハイアラーキ)は、ITU (International Telecommunication Union: 国際電気通信連合)がSONETをベースにして世界統一インターフェースとして標準化したものです。SONETとSDHでは細かな部分は異なりますが、ほとんど同じ規格と考えてよく、相互接続が可能です。北アメリカではSONETの名称で知られ、SDHという名称は主にヨーロッパで用いられています。

- T

TAC (Time-to-Amplitude Converter)

2つのパルス信号の時間差をパルスの大きさ (高さ)として出力する装置。

V

VICS (Vehicle Information and Communication System: 道路交通情報通信システム)

渋滞状況・工事・交通規制・所要時間などの道路交通情報をカーナビゲーションなどの車載器に送信する情報通信システム。主要な一般道路に設置された光ビーコン、高速道路に設置された電波ビーコン、県単位の広域情報についてはFM多重放送によって、リアルタイムに情報が車内へ送信されます。

W

WDM (Wavelength Division Multiplexing: 波長分割多重)

搬送波の波長を変えて、複数のデータを1芯の光ファイバケーブルに多重する方式。多重する密度により、DWDM (Dense Wavelength Division Multiplexing)、

CWDM (C o a r s e Wa v e l e ng t h D i v i s i o n Multiplexing)があります。一般にDWDMは、1.55 μm帯 (1.3 μm帯・1.6 μm帯を使うものもある)に波長を8波以上、波長間隔 0.4~3.2 nmで高密度に並べます。これに対しCWDMは、波長数が2~8波、波長間隔が20~数百nmです。

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15章

用語説明

アイダイアグラム (eye diagram)

伝送された符号パルスの波形劣化を総合的に評価する方法で、起こりうる符号列に対応するすべての波形を重ね合わせて表示したもの。アイパターン (eye pattern)ともいわれます。

アフターパルス

本来の信号出力パルスから遅れて現れる擬似信号パルス。MPPCの場合では、発生したキャリアが結晶欠陥にトラップされ、それが遅れて解放されたときに信号以外のパルスを発生させてしまう現象。アフターパルスは、クロストーク、ダークパルスとともに検出誤差の要因になります。温度が低いほど、キャリアが結晶欠陥にトラップされる確率が高くなるため、アフターパルスは増加します。

アモルファス

無定形の非結晶質 (非晶質)。半導体などを液体や気体から凝固させるとき、結晶を構成する時間がないほど急速に冷却するとアモルファス化します。これは、結晶構造が短距離秩序はあるが長距離秩序はない状態であり、バンドギャップ端にすそ準位が出現するため、光学特性が単結晶や多結晶の物質とは異なります。

アレニウスの式

化学的・物理的反応における反応速度の温度依存性について、アレニウス (スウェーデン)が1889年に提出した以下の式。アレニウスの式は、部品劣化の主要因が温度と考えられる場合の寿命推定などに使われます。

暗電流

フォトダイオードに暗中で逆電圧を印加すると、わずかな電流が流れます。これを暗電流といいます。逆電圧を印加して使う場合 (PINフォトダイオードなど)では、暗電流に起因するノイズが支配的となります。

イーサネット

コンピュータネットワークの規格の1つ。Xerox社が考案

し、IEEE 802.3委員会によって標準化され、世界中のオフィスや家庭で最も広く使用されているLAN (ローカルエリア・ネットワーク)の規格です。

イオン化率

APDなどにおいて、加速された電子や正孔が単位距離を走行する間に格子と衝突して生成する電子-正孔対の数。単位は個/cm。

位置検出誤差

PSDにスポット光が入射したとき、各出力端子から取り出される電流が等しくなる場合のPSD上のスポット光入射位置を電気的中心と呼びます。この電気的中心を原点としてスポット光の入射位置とそこで得られる光電流から演算された位置の差を位置検出誤差として定義します。当社は、以下の測定条件で位置検出誤差を測定しています。

・ 光源 : λ=890 nm・ スポット光サイズ : ϕ200 µm・ 光電流 : 10 µA

位置分解能

PSDの受光面上で検出可能なスポット光の最小変位を受光面上の距離で示したもの。位置分解能はS/Nで決まり、抵抗長 × ノイズ/信号で計算されます。当社は、以下の条件におけるノイズの実効値 (rms)をもとに計算した値を位置分解能と規定しています。

・ 電極間抵抗 : データシートの特性表参照・ 光電流 : 1 µA・ 周波数帯域幅 : 1 kHz・ 回路系入力換算雑音電圧 : 1 µV

異方性エッチング

特定方向のエッチング速度が、他方向に比べ異なるエッチング。たとえば (100)Siをアルカリ溶液を使ってウエットエッチングすると、 (111)面のエッチング速度が遅いことを利用してV字形状を実現することができます。なお、全方向でエッチング速度が等しい場合は等方性エッチングと呼びます。

オープンループゲイン

オペアンプに帰還をかけないときの利得で、出力電圧と入力電圧の比。単位はdB。

50音順2.

1. アルファベット順 2. 50音順

344

15章

用語説明

ガイガー放電

APDにおいては、逆電圧を降伏電圧以上にして動作させると、光量の大小に関係なく光入射によって素子固有の飽和出力が発生します。このような現象をガイガー放電といいます。

ガイガーモード

降伏電圧を超えた逆電圧でAPDを動作させること。ガイガーモードによってシングルフォトンの検出が可能になります。

開口率

受光部などの全面積に対する「配線部などの不感部分を除いた有効領域 (フォトダイオードなど)の面積」の比。

回折格子 (グレーティング)

光の回折を利用してスペクトルを得る光学素子。回折格子には反射型と透過型があります。反射型回折格子では面に多数の溝を刻み、その面で反射する光線による干渉で生ずる回折像を利用します。

開放端電圧

フォトダイオードの負荷抵抗が無限大のときの光起電圧。開放端電圧は光量に依存しますが、かなり弱い光以上では、ほぼ一定の値となります。

活性化エネルギー

物質が反応するために必要なエネルギー。化学反応の速度を予想するアレニウスの式では、活性化エネルギーは反応のしにくさを表す指標として使われます。アレニウスの式は、LEDの寿命予測などに使用されます。LED劣化の活性化エネルギーは、複数の温度条件下における故障率から求められます。

擬似ランダムパターン

ビットエラーレートやアイパターンの測定の際に用いられる、不規則な信号にみえる符号列 (完全に不規則というわけではありません)。通常使われる擬似ランダムパターンは、0と1の発生の確率が等しく、シフトレジスタとフィードバックを用いた回路によって比較的簡単に生成できます。

許容損失

パッケージやチップの耐熱温度から算出される、許容できる電力消費量。多くの場合、素子に含まれる熱的に弱い部品によって決定されます。ディレーティング (減定格)

と呼ばれる係数を用いて、実際に使用する温度における許容損失の絶対最大定格を換算できます。たとえば、許容損失 500 mWが25 °Cにおける絶対最大定格として定義され、5 mW/°Cのディレーティングである場合、85 °Cにおける絶対最大定格は500 mW - 5 mW/°C × (85 °C - 25 °C) = 200 mWとなります。

空間解像度

イメージセンサが、被写体を忠実にとらえることができる解像度。イメージセンサの解像度を評価するためには、MTF (Modulation Transfer Function)が使われます。MTFは、正弦波の輝度分布をもった被写体を撮像するときに、正弦波の輝度のコントラストが空間周波数により変化する状態を示します。空間周波数は、正弦波が単位長当たりで繰り返される回数です。CCDの画素は個別に分離しているため、離散サンプリング定理に従ってナイキスト (Nyquist)限界によって決まる限界解像度があります。白黒のパターンが入力された場合に、パターンが細かくなるに従って信号の白レベルと黒レベルの差が小さくなり、最終的には解像できなくなります。CCDの理想的なMTFは、sinc* {(π × f)/(2 × fn)}で表されます (f: 空間周波数、fn: 空間ナイキスト周波数)。しかし光学的な正弦波を実現することは難しいため、一般的には矩形波のパターンをもったテストチャートが代用されます。この場合の空間周波数特性をCTF (Contrast Transfer Function)と呼びます。

* sinc: 理想的な矩形関数のフーリエ変換

空間電荷効果

受光素子に入射していた光が遮断されると、空乏層内のキャリア分布が崩れ、電極に引き寄せられるキャリアによって空乏層には印加バイアスと逆向きの電界が発生します。この現象を空間電荷効果といい、光が強いときに応答特性 (立ち下がり)を劣化させる場合があります。

クエンチング

消光、焼入れ (急冷)という意味を表す言葉。ガイガーモードAPDの場合では、逆電圧が降伏電圧以下になり、ガイガー放電が停止することを表します。

クロストーク

ある素子に入射した光信号によって、隣接する素子に電気信号が漏れてしまう現象。MPPCの場合、APDピクセルにおいて、入射フォトンで励起されたキャリアがアバランシェ増幅する過程でフォトンが発生することがあります。このフォトンが他のAPDピクセルで検出された場合、MPPCの出力は実際に

345

15章

用語説明

MPPCに入射し検出されたフォトン数よりも高い値を示します。この現象がMPPCのクロストークの原因の1つと考えられます。

蛍光板

シンチレータと同じ蛍光体の粉体状粒子が、補強シートに樹脂で固められたもの。比較的低エネルギーのX線などの放射線検出に用いられます。蛍光板は、X線用イメージセンサに付けて使われます。

検出効率: PDE (Photon Detection Efficiency)

入射したフォトンのうち何%を検出できるかを示す特性。MPPCの場合、検出効率は以下の式で表されます。アバランシェ確率は、逆電圧が高い場合に大きな値となります。

光起電力素子

半導体のPN接合部に光を照射すると電流や電圧を発生する受光素子で、外部から電源を供給しなくても使用可能です。Si・InGaAs・GaAsP・GaAs・InAs・InSbなどがあります。

光電効果

物質が光を吸収して自由電子を発生させる現象。

光導電素子

光が入射すると導電率が大きくなる受光素子で、外部から電源を供給して使用します。MCT (HgCdTe)・PbS・PbSeなどがあります。

降伏電圧

PN接合に逆電圧を印加していくと、ある電圧で急激に逆電流が増加する現象がみられます。このときの電圧を降伏電圧と呼びます。当社のSi APDでは、便宜的に逆電流が100 µAとなる電圧を降伏電圧としています。

コンプトン散乱

X線・γ線などが粒子 (電子など)に衝突するときにエネルギーの一部を失う形で散乱する現象。この現象はX線などの粒子性を示すものとして知られています。

サーミスタ

温度変化に対して抵抗が大きく変わる感温抵抗。温度検出に用いられます。

最小受信感度、最大受信感度

受光モジュールが一定のビットエラーレートを確保するために最小限必要な光量、および最大限の光量。伝送ビットレート、必要なビットエラーレート、測定に使用する擬似ランダム符号の種類、消光比などによって値が変わります。最大受信感度はオーバーロードとも呼ばれます。

遮断周波数

出力に変化のない周波数領域から3 dB減衰する周波数。遮断周波数 (fc)と上昇時間 (tr)の関係は、おおよそ以下の式で表されます。

受光感度

光電流をアンペア (A) [または出力電圧をボルト (V)]、入射光量をワット (W)で表したときの両者の比率。受光感度は、絶対感度 (単位: A/WまたはV/W)で示す場合と最大感度波長での感度を100として正規化した相対感度 (単位: %)で示す場合があります。当社は、最大感度に対し通常5%あるいは10%以上の感度をもつ波長の範囲を感度波長範囲と規定しています。

消光比

光波の強度変調において、光強度のとりうる最小値と最大値の比。デジタル光通信の場合、ロジック“1”を伝達する場合の光強度と、ロジック“0”を伝達する場合の光強度の比で表します。消光比は、リニア比、dB、%のいずれかの単位で表されます。

上昇時間

上昇時間は、ステップ関数の光入力に対する立ち上がりの時間で規定し、出力が最高値 (定常値)の10%から90%になるまでの時間。

2. 50音順

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15章

用語説明

シングルモードファイバ

単一の横モード (電磁界分布)で光を伝送するファイバ。伝送損失が小さく、モード分散の影響がないため、長距離伝送に適しています。一方、コア径が小さいため、発光素子と接続する場合には精密な調芯が必要です。

シンチレータ

X線などの放射線を受けて発光する物質。シンチレータには無機物と有機物があり、無機物には、CsI (ヨウ化セシウム)などにTl (タリウム)のような活性剤を微量添加し、発光効率をよくした結晶体や粉体があります。有機物には、ナフタリン、アントラセン、プラスチック、液体シンチレータ、ルモゲン (Lumogen)があります。ルモゲンは、紫外線により発光する物質で、紫外感度がない表面入射型CCDにコーティングして使われることがあります。

ステルスダイシング

レーザを用いてウエハ内部に改質層を形成させ、ウエハを高品質に分割する新しいダイシング方法。当社が開発した方法で、透過光を使用するためウエハ表面に熱ダメージが発生しません。また、削りしろがないため、ウエハ当たりのチップ収率を究極まで高めることが可能です。従来からのダイシング方法にある破砕飛散物による汚染が一切なく、洗浄水を必要としない完全ドライプロセス化を実現します。

スネルの法則

屈折率の異なる2つの媒質 (空気とガラスなど)の境界面では、光が屈折し進行方向が変わります。スネルの法則とは、境界面への光の入射角 q (境界面の法線と入射光線がなす角)と屈折角 q’ (境界面の法線と屈折光線がなす角)の関係を表す法則で、以下の式で表されます。

スミア (smear)

イメージセンサにおいて、強い入射光によって発生した信号電荷が隣接する画素やCCD転送領域に漏れ込んで元の信号が劣化する (ぼやける)現象。ブルーミングが飽和後に発生するのに対して、スミアは飽和前でも発生します。なおスミアは、短波長光よりも長波長光の場合に起きやすい現象です。

ゼーベック効果

2種類の異なる金属または半導体 (熱電変換材料)の両端に温度差が生じると、その両端に電位差 (起電力)が生じる効果。

積分容量

電流出力型のNMOSリニアイメージセンサなどでは、信号処理が容易でないため、反転入力型オペアンプに帰還容量 (Cf)を付加した回路を用いることにより、低ノイズで取り扱いが容易な電圧出力に変換します。この帰還容量は、積分容量と呼ばれます。積分容量を周期的にリセットすることによって、電荷 (Q)を電圧に変換した出力 (V = Q/Cf)となります。積分容量の値が小さいほど大きな出力を得ることができます。

増倍率

フォトンの入射によって励起されたキャリア (電子または正孔)が増倍されて、何倍の数のキャリアとして出力されるかを表します。APDの場合は、低バイアス時の増倍されない光電流 Ip0と、高バイアス印加時の増倍された光電流 Ipの比で増倍率 (M)を定義します。

MPPCの場合は、1つの出力パルスの電荷量を1電子当たりの電荷量で割った値が増倍率となります。

ダークカウント

MPPCやガイガーモードで使用するAPDにおいては、熱的に発生した暗電流のキャリアが増倍されてパルスが発生します。このパルスがダークパルスで、検出誤差の原因となります。ダークパルスの1秒当たりの数がダークカウント [単位: cps (カウント毎秒)]です。逆電圧を高くすると、検出効率が上がりますが、その分ダークカウントも大きくなります。ダークカウントは、温度が低いほど値は小さくなります。

タイリング

広い有効受光エリアを実現するために、複数の受光素子をタイル状に並べること。バタブルともいいます。

347

15章

用語説明

ダブルヘテロ構造

バンドギャップエネルギーの小さな半導体材料をバンドギャップエネルギーの大きな半導体材料で挟んだ構造。キャリアはバンドギャップエネルギーの小さな領域 (発光領域)に閉じ込められるため、キャリア密度が上がり、効率のよい電子-正孔の再結合が得られます。

端子間容量

フォトダイオードは、PN接合により1個のコンデンサが形成されていると考えることができます。この容量を接合容量といい、応答速度を決める大切な値になります。オペアンプを用いたI/V変換回路では、接合容量はゲインピーキング現象の要因になる場合があります。当社では、接合容量にパッケージの浮遊容量を含めた端子間容量として規定しています。

短絡電流

負荷抵抗が0のときフォトダイオードを流れる出力電流。分光感度に対して白色光感度と呼ばれ、光源に分布温度 (色温度) 2856 Kの標準タングステンランプを使用します。当社では、照度 100 lxのときの短絡電流をデータシートの特性表に示しています。

蓄積時間

イメージセンサは、特定の期間に入射した光により発生した電荷を蓄積動作によって集めて信号にします。この光の入射する期間は、蓄積時間や積分時間と呼ばれます。単位は通常msが使われますが、冷却型イメージセンサでは数時間に及ぶこともあります。シャッタ機能をもったイメージセンサでは、µsオーダーに設定することも可能です。

直線性

フォトダイオードに光を入射することにより、入射光量に正比例して光電流が流れます。この正比例の関係を直線性と呼びます。特定の量を超える光量が入射すると直線性は損なわれ、フォトダイオードの光電流は飽和していきます。その光量は、フォトダイオードの構造によって異なり、負荷抵抗、逆電圧、入射するスポット光サイズによっても変化します。

テラヘルツ波

周波数 1 THz (波長 300 µm)前後の電磁波。テラヘル

ツ波は、紙・木・プラスチックを透過しますが、金属や水を透過しません。テラヘルツ帯は、物質の指紋領域とも呼ばれています。

電極間抵抗

PSDの暗中における対向電極間の抵抗値。電極間抵抗は、応答速度・位置分解能・飽和光電流を決める重要な要素です。電極間抵抗の測定は、対向する電極の出力端子間に0.1 Vを印加し、共通端子を開放して行います。2次元PSDでは、対向する電極の出力端子以外の出力端子も開放して測定します。

電子冷却素子

種類の異なる導体の接合部に電流を流すと、一方の側に吸熱 (あるいは発熱)が起こり、もう一方の側に発熱 (あるいは吸熱)が起こる効果 (ペルチェ効果)を用いた冷却素子。電流の向きを逆転させると、吸熱・発熱の関係が反転します。

伝搬遅延時間

信号を送信/入力してから受信/出力するまでの時間。伝播遅延時間ともいいます。一般に回路・光素子の遅延時間とメディア (光ファイバなど)の遅延時間を総合したものを指します。伝搬遅延時間が動的に変化すると、ジッタ、ワンダになります。ジッタは短時間の伝搬遅延時間の揺らぎで、主にノイズによって発生します。ワンダは長時間の揺らぎで、主に熱的な要因で発生します。

同相信号除去比: CMRR (Common-Mode Rejection Ratio)

2つの入力部をもつ差動アンプ回路などにおいて、2つの入力に共通する同相信号 (ノイズ成分を含む)を除去できる能力を示します。この同相信号除去比が高いアンプ回路ほど同相信号上の小さな信号変動を抽出することができます。そのため、OCT (Optical Coherence Tomography)のような微弱な光信号の検出に使われるバランス検出器における検出能力の指標として用いられます。

熱電変換材料

熱を電気に変換するための材料であり、2種類の異なる金属または半導体を接合して、その両端に温度差が生じると起電力が生じるゼーベック効果を利用します。

2. 50音順

348

15章

用語説明

バイアスT

デバイスにDCバイアスを印加するための回路。インピーダンスの整合を取りながらのDCバイアスの印加が可能で、高速デバイスを使用する際に必要とされます。

パッシブアライメント (passive alignment)

光モジュールの組立において、2つ以上の光学素子間の結合を機械的精度のみで行う位置決め方式。通常、光学素子の位置合わせ精度は、サブミクロンから数ミクロンが要求されるため、半導体プロセス技術によって形成される高精度なメタライズパターンやV溝などが位置決めの基準に用いられます。パッシブアライメントに対してアクティブアライメント (active alignment)では、モジュールの動作状態を想定した光を発生させ (レーザダイオードを発光させるなど)、光モジュールとして所望の特性が得られるように、光をモニタしながら位置合わせを行います。

バンドギャップエネルギー

半導体/絶縁体/金属中で原子核を取り巻く電子は、一定の幅をもったエネルギー準位の中に存在しています。半導体・絶縁体において、電子が存在しうるエネルギー帯のうちで一番外側にあって絶対零度において電子が一杯に詰まっているエネルギー帯を価電子帯といい、電子が空のエネルギー帯を伝導帯といいます。この価電子帯と伝導帯との間のバンドギャップ (禁止帯)におけるエネルギー範囲を、バンドギャップエネルギーといいます。なお金属では、価電子帯と伝導帯が重なり合い、バンドギャップは存在しません。

KPDC0031JA

バンプ

はんだなどの金属の突起。3次元実装に用いられ、狭ピッチバンプを用いた実装により小型化・高機能化が可能となります。

光反射減衰量: ORL (Optical Return Loss)

入射光に対する反射戻り光の比。反射戻り光が大きいと、送信側のレーザダイオードの発振が不安定になり相対強度雑音が大きくなるため、反射戻り光を極力抑える必要があります。レセプタクル型のモジュールでは、その

対策として光アイソレータを挿入したり、スタブ (stub)と呼ばれるフェルール [ファイバ挿入側をPC (Physical Contact)研磨し、デバイス側を斜め研磨した部品]を挿入することがあります。

ヒステリシス

入力レベルを増加させながら出力レベルを測定した場合と、入力レベルを減少させながら出力レベルを測定した場合において、同じ入力レベルに対して同一の出力レベルにならないこと。これによって、ヒステリシス幅以内のノイズではチャタリングが生じません。コンパレータに用いられるヒステリシス回路は、出力の一部を非反転入力端子に帰還をかけることで実現しています。

飛跡検出器 (バーテックス・ディテクタ)

主に素粒子エネルギー物理実験において、高エネルギー粒子を衝突させた結果発生する、2次的な粒子の進行方向および崩壊過程をとらえることを目的とした検出器。飛跡検出器は、粒子の衝突点を取り囲む位置に配置されます。

ビットエラーレート (符号誤り率)

デジタル伝送において伝送品質を評価する指標の1つで、伝送された符号を誤って識別する確率のこと。

非分散型赤外線 (NDIR: Non Dispersive Infrared)検出方式

グレーティングなどを用いた検出方式のように分光を行わないで、バンドパスフィルタを用いて特定波長の赤外線を検出する方式。非分散型赤外線検出方式は、シンプルな構造を特長とします。CO2などのガスは、固有の赤外波長に吸収ピークをもっています。赤外光源と検出器の間にガスを流し、どの波長がどれだけ吸収されるかを調べて、ガスの成分と濃度を測定することができます。

フリップチップボンディング

チップをパッケージや別のチップに接続するために、チップの上面側の電極にバンプを付け、表裏を反転した状態で実装する方式。チップオンチップ実装ができるため、小型化が可能になります。

ブルーミング

イメージセンサで光電変換された信号電荷が、一定以上になると隣接した画素や、フォトダイオード以外の転送領域 (IT型CCDの場合)にあふれ出ること。CCDでは、あふれ出た電荷は、スミアと同様に入射位置を中心に画像において縦の帯のようにみられます。ブルーミングを防止するためには、イメージセンサに余剰の電荷を排出する

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15章

用語説明

機構を設ける必要があり、CCDでは縦型・横型のアンチブルーミングやクロッキングによってブルーミング抑制を行う方法が用いられます。

分光感度特性

入射光量と光電流の関係 (光電感度)は、入射光の波長によって異なります。この波長と光電感度との関係を分光感度特性といい、受光感度または量子効率で表します。

並列抵抗

フォトダイオードにおける0 V付近での電圧-電流比。当社データシートでは次の式で並列抵抗 (Rsh)を規定しています。このときの暗電流 (ID)は、逆電圧が10 mVのときの値としています。

フォトダイオードに逆電圧を印加しない用途では、並列抵抗で発生するノイズが支配的となります。

マルチモードファイバ

複数の横モード (電磁界分布)で光を伝送するファイバ。信号光の到達時間がモードによって異なり (モード分散)伝送波形が乱れるため、長距離伝送には向いていません。一方、シングルモードファイバに比べてコア径が大きく、発光素子との接続は容易になりますが、小さな受光径が要求される高速通信用受光素子については集光が難しくなります。

誘電体多層膜ミラー

特定の波長帯に高い反射率をもつミラーで、高屈折率と低屈折率の誘電膜を交互に重ねた多層の構造をもっています。

陽極接合

アルカリ金属を含むガラスとSiの平坦な表面を重ね、加熱して電圧を加えると、ガラスとSiの界面で静電引力が生じます。この現象を利用した接合方法が陽極接合です。陽極接合では、Si側を陽極にします。

量子効率

光電流として取り出される電子あるいは正孔の数を入射フォトン数で割った値。通常、パーセントで表されます。量子効率 QEと受光感度 S (単位: A/W)は、ある波長 λ (単位: nm)において以下の関係にあります。

ルックアップテーブル (LUT: Lookup Table)

複雑な計算処理を単純な配列に置き換えた、計算処理の効率化のためのデータ構造。あらかじめ計算された値を配列として格納しておいて、必要な場合に配列から目的のデータを取り出すことによって、計算処理時間を削減することができます。

励起

半導体の場合、エネルギーの低い価電子帯からエネルギーの高い伝導帯へ電子が上がることを示します。熱により電子がエネルギーを受けて励起することを熱励起といいます。また、光により電子がエネルギーを受けて励起することを光励起といい、フォトダイオードによる光の吸収時に発生します。

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