糖質制限食のはなし

～血糖値が上がりにくい食習慣～

<炭水化物に含まれるもの>

炭水化物

食物繊維

糖質

糖アルコール、多糖類他

糖類

単糖類二糖類

炭水化物＝糖質+食物繊維

女子栄養大学出版部、監修データ作成：牧野直子「糖質早わかり」より引用

〈糖類の分類〉

含まれる糖 多く含む食品 特性（血糖値のあげやすさなど）

ブドウ糖 果物、はちみつ 吸収が早い、血糖値を上げやすい

果糖 果物、はちみつ 血糖値上昇はしにくいが、摂り過ぎると肥満となる

ガラクトース 母乳、牛乳、乳製品 血糖値上昇は果糖と同程度

ショ糖 砂糖 分解されると血糖上昇させる

麦芽糖 麦芽、麦芽水あめ 血糖値を上げにくい

乳糖 母乳、牛乳、乳製品 血糖値を上げにくい

トレハロース キノコ類、パン酵母 血糖値を上昇させる

でんぷん 穀類、いも類 単糖に比べると血糖値上昇はゆるやか

オリゴ糖 しょうゆ、ごぼう、玉葱など 消化吸収されにくいので、血糖値が上昇しにくい

単糖類

二糖類

多糖類

糖質制限食とは・・

糖質の量を低く抑え、食後の

血糖値の上昇を穏やかにする

食事のこと。

極端に糖質を控える

事はいいのかな？・・

極端に糖質を控えるとどうなる？

極端な炭水化物（糖質）の制限

たんぱく質の過剰摂取

腎臓・肝臓に大きな負担となる

エネルギー不足

筋肉の減少低血糖

1400kcal 1600kcal 1800kcal

110g 130g 160g

〈1回の主食量〉

コンビニおにぎりで1個（100g）179kcal

くらいを摂ると理想

最低でも1食で・・

Ⅰ.意外と見落としている糖質制限食の注意点

①1回の食事量が少なそうに見える麺類や丼ものなどの単品で済ませている

②肉魚類などのメインを加工品（ウインナー、ソーセージなど）で代用している

③野菜の多くを根菜類で摂っている（かぼちゃ、いも、コーンなど）

④炭水化物食品は気をつけているが、甘い飲み物はつい飲んでしまう

Ⅱ.血糖値が上がりにくい食習慣

よく噛んで食べる事で満腹感が得られて食べ過ぎが是正される。

よく噛んで食べる食品・メニュー

血糖値が上がりやすい食べ方 血糖値が上がりにくい食べ方

今井佐恵子・松田美久子、他（著）：糖尿病患者における食品の接種順序による食後血糖上昇抑制効果、糖尿病53：112－115,2010より引用

<食べる順番による食後血糖値の変化>

食後血糖値の変化

1209060300

時間（分）

150

200

250

300

㎎/dl

100

食後血糖値

ご飯 → 野菜

野菜 → ご飯

今井佐恵子・松田美久子、他（著）：糖尿病患者における食品の接種順序による食後血糖上昇抑制効果、糖尿病53：112－115,2010より引用

③食事バランス（ご飯、おかず、野菜）を整える

低糖質食を考える上でのポイントは食事バランスである

ごはん

野菜

おかず

1食の理想的なバランス

脂質20～30％

炭水化物（糖質）

50～60％

たんぱく質18～20％

＊多すぎると腎臓に負担がかかる

＊少なすぎると脂質の摂り過ぎにつながる

＊油料理が多い時には油の種類に配慮する

<栄養素が血糖に変わる速度>

食後血糖値の変化

12.03.01.50.25時間

50

100

％

10

変化の割合

たんぱく質

脂質

NPO法人西東京臨床糖尿病研究会 植木彬夫監修：糖尿病作って食べて学べるレシピより引用

糖質

血糖値上昇の影響

糖質 100％

たんぱく質 50％

脂質 10％

どっちが糖質が多い？

エネルギー：約565kcal炭水化物（糖質）：64.2g

エネルギー：約583kcal炭水化物（糖質）：105.5g

炭水化物（糖質）≠エネルギー

イコールではではない！

糖質の多い食品

④おやつは上手に楽しむ

おやつは糖質の多い食品。おやつをとる事による血糖値への影響を考えて摂るようにしよう。

時間

血糖値（㎎/dl）

170

朝食

間食 夕食

昼食

西東京臨床糖尿病研究会：楽しく学べる糖尿病療養指導ーホップステップジャンプ.ｐ23. 南江堂.2009より引用

<甘味料の血糖値への影響>

・砂糖（ショ糖）・ブドウ糖・果糖・果糖ブドウ糖液糖・はちみつ

血糖値に影響する甘味料

血糖値に少し影響する甘味料

血糖値にあまり影響しない甘味料

・パラチノース・トレハロース・オリゴ糖

・キシリトール・エリスリトール・ソルビトール・スクラロース・アスパルテーム・サッカリン・アセスルファムK・ステビア

<嗜好飲料の糖質表示の見かたは？>

表　示 表示の見かた

ノン・ゼロ・フリー

ひかえめ・オフ・低・ライト

飲料100ml当たり

未満の場合、表示ができる

飲料100ml当たり

未満の場合、表示ができる

砂糖不使用

糖類ゼロ

甘さひかえめ

砂糖を食品の加工時に使用していなければ表示ができる

糖類（ブドウ糖、果糖、砂糖など）が含まれていなければ、表示ができる

味覚に関する表示の基準は定められていない

エネルギー 5ｋcaｌ

糖類 0.5ｇ

エネルギー 20caｌ

糖類 2.5ｇ

参考：厚生労働省栄養表示基準告示第176号一部改正/消費者庁栄養表示基準（平成15年厚生労働省告示第176号）

栄養指導でよく聞かれる質問

Q1:糖尿病の食事療法を行っていて、ご飯（主食）を抜いて全く食べていないのですが、大丈夫でしょうか？

A：炭水化物（糖質）は体に必要な栄養素となる。ご飯（主食）は炭水化物の代表なので最低100gは摂るようにしよう。

Q2:夜は晩酌の習慣があります。ご飯（夕食）と一緒に摂っているのですが晩酌だけにした方が良いでしょうか？もちろんおかずも食べたりしています。

A：糖尿病で血糖コントロールをしている人は、アルコールのみだと低血糖を起こすことが考えられる。アルコールと食事を共に飲み食べし過ぎるとエネルギー過剰になるため、ご飯半量にし、飲酒はせいぜいビール1杯程度で留めておこう。

Q3:血糖値が上がらないために、夕食にご飯を抜いて代わりにお菓子を食べています。特に和菓子ならいいって聞いてどら焼きや大福をよく食べています。いいですか？

A：和菓子、洋菓子を比較すると洋菓子の方がカロリーは高い。しかし、血糖値をコントロールする観点からみれば注意が必要。特に和菓子は吸収の良い食品（糖質）となるため血糖値が極端に上昇する。食事と間食量・回数・種類を考えよう。