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固体力学特論 AB学期 火曜日 3,4限

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固体力学特論

春AB学期 火曜日 3,4限

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復習:弾塑性構成式

弾性構成式

弾塑性構成式

塑性ひずみを降伏条件を使って決める必要がある

剛性は弾性構成式と一致

e

klijkl

p

klklijklij CC

jkiljlikklijijkl

klijklij

C

C

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復習:降伏条件の一般化

降伏応力

応力状態で定まる関数fを定義する。

f(σij,k1,k2・・・),kは材料定数

f<0:弾性

f=0:塑性とする

等方性の材料であれば、方向によらない

f(I1,I2,I3,k1,k2・・・)やf(J1,J2,J3,k1,k2・・・)などで定義できる

ここでは,金属材料の構成式として最も一般的なJ2を使った降伏条件を扱う

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塑性変形の特徴

体積変化の方向には塑性しないとする

塑性ひずみは偏差成分だけになる

弾塑性構成式に代入すると

るひずみの偏差成分にな

体積弾性率

p

ijijijkk

K

p

ijijijkk

ijkk

p

ijijijkk

p

klkljkiljlikklklijij

223

32

223

2

22

0p

iiij

p

ij

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降伏関数の定義

Misesの降伏条件f=J2-K2を以下のように変形する

σyは降伏応力,K(α)は塑性後の特性

σyとK(α)は一軸の材料試験から得られる値である

塑性する場合,f=0になる塑性ひずみ を決める K(α)は塑性硬化を表す

αは相当塑性ひずみと呼ばれる

p

ij

K3

2J2

K3

2f

y2

yijij

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相当応力と相当塑性ひずみ

多軸での応力やひずみを,一軸の応力とひずみに対応させたもの

Misesの降伏条件を用いる場合,

を相当応力,Δαを相当塑性ひずみαの増分という

C1,C2を決めてやる必要がある

相当応力と相当塑性ひずみは,一軸の変形を考えるとき,引張り方向の応力と塑性ひずみに相当する

降伏特性を一軸で調べて,多軸へ展開することができる

ijpijp2

ijij1

C

C

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降伏関数の定義

と降伏応力σyの関係は

x1方向に引張ると考える

引張り試験で得られる応力とは以下の関係を持つ

相当塑性応力は一軸引張り変形における引張り応力と一致する

11

2

11

2

11

2

11ijij

11

11

1111

3

2

3

1

3

1

3

2

300

030

0032

,

000

000

00

ijij

2ijij11 J32

3

とよぶ相当応力

11

偏差応力の内積を計算すると,実際の応力よりも小さく

なる

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J2の関連流れ則

次に,塑性ひずみ(塑性変形)が偏差応力に応じて生じるという仮定を導入する(これを塑性流れ理論という)

Δγをすべり率といい,塑性変形を生じる場合(f>0),これをf=0となるように塑性ひずみを求める(すべり率を定める)

塑性ひずみの方向を決める に降伏関数fを使うことを関連流れ則という(非関連流れ則もある)

klkl

ij

p ,f

nnσ

σ

f

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J2の関連流れ則による塑性ひずみ

Misesの降伏条件と関連流れ側を用いる場合,塑性ひずみは応力の偏差成分に比例して生じる

一軸引張りにおける偏差応力から生じる塑性ひずみは

降伏条件で用いる相当塑性ひずみαを以下のようにおくと

一軸引張り変形の塑性ひずみとαが一致する(相当塑性ひずみの増分Δαとすべり率Δγとの関係も得られる)

3

2,

3

2 p

11

p

ij

p

ij

200

020

00

3100

0310

003/2

2

3

300

030

0032

p

11

p

11

p

11

ijij

p

11

11

11

σε

σ

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J2の関連流れ則による塑性ひずみ

降伏条件を相当応力 と相当塑性ひずみαを用いてあらわす

一軸引張り試験で得られた降伏応力と硬化があらわせることになる(一軸試験結果の一般化)

K3

2

K2

3

3

2K

3

2f

y

yijijyijij

ε

σ

α

弾性ひずみは考慮しない

K K

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具体的な塑性応力の計算方法

1. トライアル弾性応力の計算

2. 降伏条件のチェック

弾性であれば終了して1にもどる

3. すべり率Δγの計算

相当塑性ひずみの更新

4. ひずみ・応力の更新

塑性ひずみ,応力,相当塑性ひずみを更新して1へ戻る

本手法はリターンマッピング法と呼ばれている

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1.トライアル弾性応力の算出(Trial Elastic Stress)

ひずみをε,偏差ひずみをeとする

計算するステップをn+1とする(ひずみは既知で応力は未知)

既知のステップをnとする(応力・ひずみとも既知)

既知のひずみεn+1の応力をもとめる

トライアル(試行)弾性応力を計算する

偏差ひずみの増分Δeがすべて弾性的に働くと考える

εεε

eee

n1n

n1n

e

n

p

n

p

n

e

n

p

n1n

p

n1n

trial

1n

2

22

2

ee

eeeeee

eeσ

ijij1n

m

1nij

m

1n1n1n3

1,e

偏差成分

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2.降伏条件のチェック

Misesの降伏条件へ試行弾性応力を代入して,塑性しているかを試す

最初のステップではαn=0とする

弾性or塑性のチェック

f≦0の場合,弾性となるので(●)trial= (●)として,1へ戻る

f>0の場合,塑性しているので,3.すべり率の計算へ進む

ijij

m

1n1n1n

trial

1n1n

I

K

Iσσ

σσ

ijijAAA

ny

trial

ny

trial

ij

trial

ij

trial

1n

K3

2

K3

2f

σ定義

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3.すべり率の計算

試行弾性応力と求めたい応力の関係は以下のとおり

塑性ひずみΔepは流れ側から計算できる

上の式とnn+1テンソルの内積を作る

0.1

1n1n1n

trial

1n1n1n :2:: nnnσnσ

1n

1n

σ

σn

1n

ptrial

1n1n 2 eσσ

1n

trial

1n1n 2 nσσ

偏差方向の変形になる

体積弾性率

p

ijijijll

K

ij 223

32

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3.すべり率の計算

試行弾性応力の内積に用いるnのみ,以下のテンソルで限定的に代用する

応力の釣り合いの式がスカラー関数となる

また,得たい応力σ’は塑性変形時には降伏条件f=0を満たすので,上の式に代入する

2K3

2 trial

1n1ny σ

2trial

1n1n σσ

trial

1n

trial

1ntrial

1n

σ

σn

1ny1n K3

2 σ

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3.すべり率の計算

K(α)が一定の勾配H’でK(α)=H’αとなるとき

ここで,相当塑性ひずみαとすべり率Δγの関係を使ったより複雑な降伏後の硬化を表現して,αを求めるにはαに関する収束計算を行う必要がある

'H3

2'H

3

2

3

2'H

3

2

'H3

2'H

3

2

ny

ny

ny1ny

2K3

2 trial

1n1ny σ

H’

α

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3.すべり率の計算

以上の関係を取りまとめて,降伏条件f=0を満たすすべり率Δγが求まる

H'3

22

f

0H'3

22H'

3

2

trial

1n

f

ny

trial

1n

trial1n

σ

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4.ひずみ・応力の更新

塑性ひずみ,相当塑性ひずみ,応力を更新する

計算ステップnを進めて1.にもどる

1n

trial

1nm1n

1n

p

n

p

1n

n1n

2K

3

2

nσIσ

nee

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文献

原子炉構造設計,矢川元基,培風館,1989

テンソル解析の基礎,久田俊明,丸善,1992

Computational Inelasticity,J.C.Simo, Springer,1998

Introduction to linear elasticity,L.G.Phillip,

Springer,1989,1994