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倉敷に会場を移し,50名余りの参加者で,情報交換会を行いました。昼 間の研修の話題や,クイズ,ゲームで盛り上がり,最後は歌で大いに盛り上 がりました。今回の浅口市から,次回の会場地である高梁市へバトンが引き 継がれ,再会 を約束して閉 会となりまし た。 情報交換会 参加状況 合計 394名 ・市長,教育長 3 ・社会教育委員 46 ・行政職員 66 ・社会教育指導員 1 ・公民館関係職員 69 ・図書館,博物館,青少年教育関係施設職員 9 ・婦人会 43 ・学校園 22 ・PTA 10 ・学校支援コーディネーター,ボランティア 42 ・放課後子ども教室,学童保育 7 ・NPO・企業関係者 3 ・その他(発表者,市町住民等) 61 ・本庁,教育事務所,県生涯学習センター等12 参加者の声(アンケートから) ◇社会教育や地域・家庭の大切さが分かりました。 ◇様々な情報を知り,小さなことからでも何か自分に できることがあればしたいと思いました。 ◇楽しい雰囲気の中,「もの」ではなく「ひと」に対する 専門性を今一度認識をして,「関わっていかなかけ れば」と考えるきっかけをいただきました。 ◇活動を通して人と人とのつながりを強化し,互いを 理解し合える社会をつくりたいです。 備中地区社会教育実践研究交流会 第3回大会 <日時> 平成23年 11月25日(金) <場所> 高梁市 第3次岡山県生涯学習推進基本計画』で示された,「学びの成果を生かして地域社 会へ参加・参画する学習活動の促進」と「社会を構成する多用な主体との連携・協働によ る取組の充実」。また,岡山県社会教育委員の会議から提言がなされた,「社会全体で子どもたちを育む方策や取組」 に向けて,家庭や地域社会の教育力の向上,再構築が期待され,早いもので,1年が経過しました。この間,備中地区 内では様々な取組が展開され,浅口市寄島町を会場に開催されました「社会教育実践研究交流会第2回大会」には, 多くの実践が持ち寄られました。講師や発表者の実践は本当に素晴らしく,示唆に富んだものでしたし,発表を総括し ていただいたコーディネーターからは,これからの実践を組み立てる上での具体的な方向性を明確に示していただきま した。次回,第3回大会では,この学びを生かし,「地域資源(ひと・もの・こと)を生かしたまちづくり」のための更 なる実践を互いに携え,高梁市で熱く語り合いましょう。 第3分科会 テーマ「NPO・企業との連携による子ども・若者・家庭等への支援」 ◆発表者 宇野均恵 (NPO法人 子ども劇場笠岡センター 理事長) 「『協働による地域の拠点づくり』NPO法人 子ども劇場笠岡センターの取組」 子どもたちが心豊かに育つ地域社会を目指し,文化体験活動,自然体験活 動,生活体験活動を中心に事業を展開する中で,子どもの自立支援は,子ど もだけでなく全ての人と協働することだと気付き,親子,高齢者,しょうがい者, 若者・・・誰でも気軽に集うことのできる居場所の提供や子育てひろば,チャイ ルドラインかさおかなど子どもを取り巻く環境づくりを推進しておられる取組をご 発表いただきました。 ◆発表者 村本和孝 (NPO法人 リスタート 事務局長) 『若者の自立支援』NPO法人 リスタートの取組」 「訪問支援」を中心に「不登校・ひきこもり・ニート状態の若者」の自立支援活動を進めておられ,学校や会 社へ戻すことが最終の目的ではなく,80歳までどう生きるかの支援を重視し,80年のうち,2年ぐらい誰でも 悩むことや,まじめで素直な人がひきこもりになりやすいこと,またペース・タイミングは人それぞれ違い,比べ るなら前の自分と比べることが大切であることなど,活動を通した事例をもとにご発表いただきました。 ◆コーディネーター 山本珠美 (香川大学生涯学習教育研究センター 准教授) NPOの活動だけがあればよいという問題ではなく,地域社会の中に小さいものであ れ,大きいものであれ,組織の大小は関係なく様々な活動がちりばめられており,様々な 種がどんどん大きくなっていく総体として,若者の社会人の自立を促していくことの応え になることや,今日の発表と同じことでなくてよいので,それぞれの地域で自分たちので きることを考えていくことが重要であることなど助言していただきました。 社会教育委員,行政関係者,学校園関係者等 【参加者の声】 約50名の参加がありました。 ◇子ども劇場笠岡センターの活動,感心しました。 ◇ひきこもり,ニートの現状,聞くたびにどのように対応したらよいのか地域でも案じられます。 リスタートの活動,今後の参考にさせていただきます。 ◇グループ協議のため,様々な地域,職場の方の貴重な意見を聞くことができました。 宇野理事長 村本事務局長 山本准教授 平成23年3月1日 発行 編集・発行 備中地区社会教育協議会事務局(岡山教育事務所生涯学習課内)〒700-0813岡山市北区石関町2-1Tel .(086 )221-7776Fax.(086)221-0919 HPアドレス http://www.pref.okayama.jp/soshiki/kakuka.html?sec_sec1=212 <この情報紙は,岡山教育事務所のHPからダウンロードできます。> 日平成23年1月21日(金) 会場 浅口市ふれあい交流館「サンパレア」 浅口市寄島公民館 催 備中地区社会教育協議会 備中地区社会教育委員連絡協議会 浅口市教育委員会 里庄町教育委員会 催岡山県備中県民局 備南地区婦人協議会 備北地区婦人連絡協議会 援浅口公立小学校・中学校長会 浅口公立幼稚園長会 第12 号 大会趣旨(趣旨説明) 近年は,家庭の孤立化が進み,子育てへの不安,社会的自立を果たせない青年の増加,高齢者の介護な ど,家庭や地域が抱える課題が,多様化・複雑化する一方で,ボランティア活動へ参加したいと思われる方や NPOなど,自らの地域社会を自らの手で,より良くしていこうとする気運が高まってきています。 第1回大会では,学校を核とした取組や企業・大学との連携推進の取組が地域課題の解決につながること, 社会教育や公民館の重要性が再認識され,今後,学校関係者や若い世代の参加が増えるような工夫や地域 コーディネーター・地域リーダーの養成の必要性が確認されました。 そこで,今大会では,第1回大会の成果と課題を踏まえ,地域社会における,「人のつながり」と「学び」に焦 点を当てることとし,学校・家庭・地域社会が連携・協働できるようにするためにはどうしたらよいのか,また, 「学び」の成果を生かす仕掛けづくりなどについて研究を深めたいと思います。 学校や家庭,地域社会の中で既に活動しておられる方をはじめ,これから地域社会づくりに向けた取組へ の第一歩を踏み出したいと考えておられる方々が,公民館や学校を核にしたり,NPO・企業 等との連携を図ったりしながら, 「地域資源(ひと・もの・こと)を生かしたまちづくり」に どのよ うに迫っていけばよいのかを共に考え,その成果を生かした実践を各地に広め,活力あふれ る地域がいっぱいの備中地区を目指して取り組んでいくことを誓い合いましょう。 備中地区社会教育実践研究交流会第2回大会 運営委員長 山本美幸 大会趣旨(趣旨説明) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 講話概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 第1・第2分科会 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 第3分科会・参加者の声・コミュニティコラム ほか・・・ Index 浅口市ふれあい交流館「サンパレア」 浅口市寄島公民館 アトラクション 寄島和太鼓 会場の様子

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Page 1: 大会趣旨 (趣旨説明 - pref.okayama.jp · 大会趣旨 (趣旨説明 ) 近年は,家庭の孤立化が進み,子育てへの不安,社会的自立を果たせない青年の増加,高齢者の介護な

倉敷に会場を移し,50名余りの参加者で,情報交換会を行いました。昼間の研修の話題や,クイズ,ゲームで盛り上がり,最後は歌で大いに盛り上がりました。今回の浅口市から,次回の会場地である高梁市へバトンが引き継がれ,再会を約束して閉会 と な り ま した。

情報交換会

参加状況 合計 394名・市長,教育長 3 ・社会教育委員 46 ・行政職員 66・社会教育指導員 1 ・公民館関係職員 69・図書館,博物館,青少年教育関係施設職員 9・婦人会 43 ・学校園 22 ・PTA 10・学校支援コーディネーター,ボランティア 42・放課後子ども教室,学童保育 7 ・NPO・企業関係者 3・その他(発表者,市町住民等) 61・本庁,教育事務所,県生涯学習センター等 12

参加者の声(アンケートから)◇社会教育や地域・家庭の大切さが分かりました。◇様々な情報を知り,小さなことからでも何か自分にできることがあればしたいと思いました。

◇楽しい雰囲気の中,「もの」ではなく「ひと」に対する専門性を今一度認識をして,「関わっていかなかければ」と考えるきっかけをいただきました。

◇活動を通して人と人とのつながりを強化し,互いを理解し合える社会をつくりたいです。

備中地区社会教育実践研究交流会第3回大会<日時>平成23年11月25日(金)<場所>高梁市

『第3次岡山県生涯学習推進基本計画』で示された,「学びの成果を生かして地域社会へ参加・参画する学習活動の促進」と「社会を構成する多用な主体との連携・協働によ

る取組の充実」。また,岡山県社会教育委員の会議から提言がなされた,「社会全体で子どもたちを育む方策や取組」に向けて,家庭や地域社会の教育力の向上,再構築が期待され,早いもので,1年が経過しました。この間,備中地区内では様々な取組が展開され,浅口市寄島町を会場に開催されました「社会教育実践研究交流会第2回大会」には,多くの実践が持ち寄られました。講師や発表者の実践は本当に素晴らしく,示唆に富んだものでしたし,発表を総括していただいたコーディネーターからは,これからの実践を組み立てる上での具体的な方向性を明確に示していただきました。次回,第3回大会では,この学びを生かし,「地域資源(ひと・もの・こと)を生かしたまちづくり」のための更なる実践を互いに携え,高梁市で熱く語り合いましょう。

第3分科会 テーマ「NPO・企業との連携による子ども・若者・家庭等への支援」

◆発表者 宇野均恵 (NPO法人 子ども劇場笠岡センター 理事長)「『協働による地域の拠点づくり』NPO法人 子ども劇場笠岡センターの取組」子どもたちが心豊かに育つ地域社会を目指し,文化体験活動,自然体験活

動,生活体験活動を中心に事業を展開する中で,子どもの自立支援は,子どもだけでなく全ての人と協働することだと気付き,親子,高齢者,しょうがい者,若者・・・誰でも気軽に集うことのできる居場所の提供や子育てひろば,チャイルドラインかさおかなど子どもを取り巻く環境づくりを推進しておられる取組をご発表いただきました。

◆発表者 村本和孝 (NPO法人 リスタート 事務局長)「『若者の自立支援』NPO法人 リスタートの取組」「訪問支援」を中心に「不登校・ひきこもり・ニート状態の若者」の自立支援活動を進めておられ,学校や会

社へ戻すことが最終の目的ではなく,80歳までどう生きるかの支援を重視し,80年のうち,2年ぐらい誰でも悩むことや,まじめで素直な人がひきこもりになりやすいこと,またペース・タイミングは人それぞれ違い,比べるなら前の自分と比べることが大切であることなど,活動を通した事例をもとにご発表いただきました。

◆コーディネーター 山本珠美 (香川大学生涯学習教育研究センター 准教授)NPOの活動だけがあればよいという問題ではなく,地域社会の中に小さいものであ

れ,大きいものであれ,組織の大小は関係なく様々な活動がちりばめられており,様々な種がどんどん大きくなっていく総体として,若者の社会人の自立を促していくことの応えになることや,今日の発表と同じことでなくてよいので,それぞれの地域で自分たちのできることを考えていくことが重要であることなど助言していただきました。

社会教育委員,行政関係者,学校園関係者等【参加者の声】 約50名の参加がありました。

◇子ども劇場笠岡センターの活動,感心しました。◇ひきこもり,ニートの現状,聞くたびにどのように対応したらよいのか地域でも案じられます。リスタートの活動,今後の参考にさせていただきます。

◇グループ協議のため,様々な地域,職場の方の貴重な意見を聞くことができました。

宇野理事長

村本事務局長

山本准教授

平成 2 3 年 3月 1日 発 行

編集・発行 備中地区社会教育協議会事務局(岡山教育事務所生涯学習課内)〒700-0813 岡山市北区石関町2-1 Tel.(086)221-7776 Fax.(086)221-0919

HPアドレス http://www.pref.okayama.jp/soshiki/kakuka.html?sec_sec1=212<この情報紙は,岡山教育事務所のHPからダウンロードできます。>

期 日 平成23年1月21日(金) 会場 浅口市ふれあい交流館「サンパレア」浅口市寄島公民館

主 催 備中地区社会教育協議会備中地区社会教育委員連絡協議会

浅 口 市 教 育 委 員 会里 庄 町 教 育 委 員 会

共 催 岡 山 県 備 中 県 民 局岡 山 教 育 事 務 所備 南 地 区 婦 人 協 議 会備北地区婦人連絡協議会

後 援 浅口公立小学校・中学校長会浅 口 公 立 幼 稚 園 長 会

第12 号

大会趣旨(趣旨説明)近年は,家庭の孤立化が進み,子育てへの不安,社会的自立を果たせない青年の増加,高齢者の介護な

ど,家庭や地域が抱える課題が,多様化・複雑化する一方で,ボランティア活動へ参加したいと思われる方やNPOなど,自らの地域社会を自らの手で,より良くしていこうとする気運が高まってきています。第1回大会では,学校を核とした取組や企業・大学との連携推進の取組が地域課題の解決につながること,

社会教育や公民館の重要性が再認識され,今後,学校関係者や若い世代の参加が増えるような工夫や地域コーディネーター・地域リーダーの養成の必要性が確認されました。そこで,今大会では,第1回大会の成果と課題を踏まえ,地域社会における,「人のつながり」と「学び」に焦

点を当てることとし,学校・家庭・地域社会が連携・協働できるようにするためにはどうしたらよいのか,また,「学び」の成果を生かす仕掛けづくりなどについて研究を深めたいと思います。学校や家庭,地域社会の中で既に活動しておられる方をはじめ,これから地域社会づくりに向けた取組へ

の第一歩を踏み出したいと考えておられる方々が,公民館や学校を核にしたり,NPO・企業等との連携を図ったりしながら,「地域資源(ひと・もの・こと)を生かしたまちづくり」にどのように迫っていけばよいのかを共に考え,その成果を生かした実践を各地に広め,活力あふれる地域がいっぱいの備中地区を目指して取り組んでいくことを誓い合いましょう。

備中地区社会教育実践研究交流会第2回大会 運営委員長 山本美幸

大会趣旨(趣旨説明) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1講話概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2第1・第2分科会 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3第3分科会・参加者の声・コミュニティコラム ほか・・・ 4

I n d e x

浅口市ふれあい交流館「サンパレア」 浅口市寄島公民館

アトラクション 寄島和太鼓会場の様子

Page 2: 大会趣旨 (趣旨説明 - pref.okayama.jp · 大会趣旨 (趣旨説明 ) 近年は,家庭の孤立化が進み,子育てへの不安,社会的自立を果たせない青年の増加,高齢者の介護な

講 話 概 要

青山学院大学人間科学部教育学科 教授 鈴木眞理

豊かになれば個人の要望が出過ぎ

る。「公共的課題」や「現代的課題」等に注目し,その

教育する側と学ぶ側の問題 両方のバランスをとることが重要。

教育が単に知識や技術を受け渡すだけのものになり,人間と人間の交流や教わる側に良くなってもら

いたいというようなものが,どこかへいっている。

学校で学ぶ方が日常生活や社会教育の領域の中 学校だけが教育を担うところではないという発想は,

で学ぶより素晴らしいことが学べると思われているの 1960年代からあり,社会や家庭でトータルに教育と

ではないか。 いうことを考える生涯教育という考え方が出てきた。

人間観・発想の違い 感動をもらう?感動する? しかし,学校中心の教育観というのはかなり根強く残

人は自分で自分を変えていくことができる。そのよ っている。

うな人間の内発的な営みに注目する人間観をもつこ 学校中心の教育観は修正されているか

とが大切である。何かを与えればそれで済むという発 学校教育が「学ぶ」ということを独占しており,公民

想でよいのか。場当たり的に一つ一つのことを頑張る 館,図書館,博物館,婦人会,青年団等,様々な社会教

という発想になっているのではないか。社会教育は 育施設・団体での教育の意味が理解されていない。

総合的にやって意味がある。 学校教育と社会教育の違い

よく分からない社会教育 学校教育は,様々なことを効率的にするため画一

社会教育は「成果は出ているのか,まだ続けるつも 的で,きちんと完成させることに価値目標がある。

りなのか」と言われるが,いつまでも続ける必要があ 社会教育は,様々なやり方があり,途中で終わって

る。社会教育について依然として様々な誤解がある。 もよいし別のことに移っても構わない。

学校教育と社会教育の連携は,学校中心の教育観

が修正されていないことから難しく,全てを学校教育

学習とは 学ぶということ。我々が外から情報や考 化してしまうと意味がない。

え方,技術等を取り入れて,我々にその技術が身に付 学校・家庭・地域社会の連携は,それぞれの特徴

き,知識が増え,考え方や行動が変わるということ。 を生かしながらの連携が図られなければならない。

教育とは 教える人と教わる人がいる。教える人が 社会教育の独自性,社会教育の意味をきちんと主張

教わる人を良くしようと思ってやっている。「こんなふ していくことが重要である。

うになってもらいたい」という価値がある。その価値

「どういうことがよいことか」の決め方は様々である。

社会教育 学校以外で行われる組織的な教育。生 「新しい公共」という概念は,文部科学省でも平成1

涯学習の支援の一環として社会教育の営みがある。 2年頃から唱えられており,社会教育の領域の中で

価値ということをかなり意識したところで選択・判断さ は新しいものではない。

れることが社会教育である。 「新しい公共」とは,NPOや様々な民間団体を意識

生涯学習社会 一つの政策の目標として掲げられ, してよいが,それらが担う事業と役所がやるものとどう人生初期の学歴によって一生を決めてしまうのでは 違うか。なく,その後の努力が認められてよいという考え方。そ 「新しい公共」は,それぞれの理念に従い,ボランタのような社会がよい社会かというと,「再チャレンジ」が リーや任意でやればよい。行政は最低限のことを万可能なのにやらない自分が悪いという厳しい社会で 遍なくやることが必要である。あるという面もある。 行政は,「古い公共」の重要性を意識し,「新しい公生涯学習社会を考えるときには,様々なところで学 共」が取り組んでいても,最低限のことを継続的にや

んだことを正当に評価することが大切で,学習の成果 らなければならない。

に注目する。いつ学習の成果が出るか,誰のために 「古い公共」を大切にすることが裏になければ「新

なるのか考え,少し後になって成果が出てくるものに しい公共」に注目する意味がない。

ついて意識しよう。

「今,何ができるのか,何をなすべきなのか」というこ

教育基本法第12条で「個人の要望」や「社会の要 とについては,今日話してきたような社会教育の原理

請」を受けて社会教育を推進することが必要。社会が 的なところをきちんと押さえた上でやればよい。

☆鈴木眞理(すずき まこと)…1951年静岡県生まれ。東京大学文学部(社会学)卒業,同大学院教育学研究科(社

会教育学)博士課程中退。岡山大学・東京大学を経て現職。社会教育学・生涯学習論専攻。

現在,国立科学博物館評議員,国立青少年教育振興機構評価委員,静岡県社会教育委員等。

「個人の要望」と「社会の要請」

「新しい公共」と「古い公共」

おわりに

教育は今・学習は今

「学校・家庭及び地域住民等の相互の連携協力」(教育基本法第13条)

学習・教育・社会教育・生涯学習第2分科会 テーマ「学校を核とした地域社会づくり」

◆発表者 室貴由輝 (岡山県立矢掛高等学校 教諭)「地域を支え,地域に支えられる新しい学び『やかげ学』」「やかげ学」は,矢掛町と矢掛高校が協定を結び,矢掛町の幼稚園や小学校,老人福

祉センターなどの施設において高校生が職場実習を体験する学校設定教科で,本年度から総合コースの2年生が,毎週木曜日の午後に取り組んでいます。矢掛町との連携の様子や,この取組の目標,現在までの成果等についてご発表いただきました。地域の子どもは地域で育てることにより,やがて子どもたちが地域にかえって,地域を支える人材になること

を期待していること,この取組によって,高校生の学習意欲の向上や職業についての意識の高まりが見られること,地域の方から期待されていることなどについてご発表いただきました。

◆発表者 濱田陽治 (高知県香南市立夜須中学校 校長)

「『中学校問題解決のために』~開かれた学校づくりの有効的な展開~」

いじめや暴力行為などの問題行動,学力面での課題,不登校傾向の生徒の増加な

どいわゆる中学校問題解決のために,総合対策「魅力ある夜須中学校実現プラン」を策

定し,取り組まれている様子をご発表いただきました。

地域の教育力の導入と開かれた学校づくりの促進のために,平成20年度から学校支援地域本部を設置し

総合対策を推進してきた結果として,生徒の元気度や地域住民の教育への関心の増大などがみられ,成果

を上げてきていることなどを,データを示しながらご発表いただきました。

◆コーディネーター 西井麻美 (ノートルダム清心女子大学人間生活学部・大学院人間生活研究科 教授)

学校を核とした地域社会づくりには,学びなどが循環していく仕掛けが必要である。また,関係者のモチベーションを高めていくことが重要で,そのためには,ビジョンとやりがいが大切というまとめをしていただきました。 西井教授

【参加者の声】

◇学校と地域がつながって,互いが活性化することが大切ということを改めて感じました。

◇今,中学生の子どもがいるので興味深かったです。人間として基本はきちんと教えられる

ようにしたいです。ついつい学校の成績ばかりを気にしていたので直します。

室教諭

濱田校長

西井教授

第1分科会 テーマ「公民館を核とした地域社会づくり」◆発表者 二階堂昇司 (岡山県笠岡市笠岡東公民館 館長)「笠岡東公民館『ふるさと探訪実行委員会』の取組」地域住民の絆や地域への帰属意識を深めるために,地域の良さや特色を

大人が学び,学びの成果を次代(子どもたち)に伝え,学びを地域活動に生かす取組「ふるさと学習講座」について,事業の立ち上げから現在に至るまでの取組をご発表いただきました。メッセージ:「活動の継続がふるさとをつくる」

◆発表者 秋山千潮 (佐賀県佐賀市立勧興公民館 館長)「地域コミュニティづくりを『勧興まちの駅』から」衰退した地域のにぎわいを再生するために,乳幼児から高齢者まで地域住民の「交流の場」「発表の

場」「出番づくり」を提供する「勧興まちの駅」について,住民が社会参画を果たしていくための仕掛けや地域の拠点施設としての公民館の果たすべき役割等についてご発表いただきました。

メッセージ:「まちづくりは身体を動かす健康体操」

◆コーディネーター 加賀英範 (岡山県生涯学習センター振興課 課長)地域の人のつながり(連帯感)こそ,地域課題の解決に大きな力となる。この

人のつながりをつくるためには,公民館の果たす役割は大きく,地域資源(ひと・もの・こと)をうまくマッチングしていくことや連携・協働を進めていく上でシステム作り(ネットワーク作り)の必要性について助言をいただきました。

【参加者の声】◇活動をとおして人と人のつながりを強化し,互いに理解し合える社会をつくり,公民館が心の拠点となる取組をしていきたいです。

◇発想力,コーディネート力,実践力に感動しました。◇地域の人たちと積極的にふれ合ったり,地域をしっかり見直したりしながら地域資源(ひと・もの・こと)を掘り起こしていきたいです。

加賀課長

秋山館長二階堂館長