気候変動に関する国際交渉 -...
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気候変動に関する国際交渉
平成23年1月5日
環境省 国際地球温暖化対策室
相澤 寛史
1. 背景背景
2. COP16の概要と成果
2
2
●経緯
92年5月に採択、94年3月に発効。日本は93年5月28日に同条約を締結。現在、193カ国と欧州共同体が締結。
気候変動枠組条約
●究極の目的:
地球温暖化防止のため大気中の温室効果ガス濃度を安定化
●原則
共通だが差異のある責任及び各国の能力に従い、気候系を保護
●先進国の義務
①温暖化防止のための政策措置
②排出量や政策・措置等に関する情報を締約国会議に報告
③途上国への資金供与、技術移転
①、②の措置、報告を、温室効果ガスの排出を2000年までに1990年の水準に戻すとの目的で行う(数値は努力目標)
●途上国を含む全締約国の義務
排出目録、政策措置の報告の作成・更新など
3
COP3は、1997年12月1日~10日、京都において開催され、2008から2012年までの先進国の削減目標を課した「京都議定書」が採択された。
COP3と京都議定書
~京都議定書の主な内容~○削減目標:日本6%、米国7%、EU8%(いずれも1990年比)等の削減義
務が決定
○市場メカニズム:国際的に協調して費用効
果的に目標を達成するための仕組みとして、
排出量取引、共同実施、CDMを導入
○遵守措置 削減目標を達成できなか た場○遵守措置:削減目標を達成できなかった場
合には、超過した排出量を3割増にした上
で次期削減値に上乗せ
○途上国の義務は含まれず
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世界的な温室効果ガス削減の必要性
○温室効果ガス排出による被害、影響(不可逆な影響)
○気候変動の影響による痛み(費用)、温暖化対策を取ることによる痛み(費用)
○コペンハーゲン合意(後述)に基づく削減目標・行動を足し合わせても、気候上○コ ンハ ゲン合意(後述)に基づく削減目標 行動を足し合わせても、気候上
昇を産業革命以前から2℃以内に抑えることは難しいとの研究結果あり
○温室効果ガスの大幅削減は世界的に不可避な状況
区分GHG安定化
濃度(CO2-ppm)
CO2排出のピーク
2050年
CO2排出量(2000年比、%)
工業化前からの
気温上昇(℃)
Ⅰ 445-490 2000-2015 -85 to -50 2.0 – 2.4
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Ⅰ 445 490 2000 2015 85 to 50 2.0 2.4
Ⅱ 490-535 2000-2020 -60 to -30 2.4 – 2.8
Ⅲ 535-590 2010-2030 -30 to +5 2.8 – 3.2
Ⅳ 590-710 2020-2060 +10 to +60 3.2 – 4.0
Ⅴ 710-855 2050-2080 +25 to +85 4.0 – 4.9
Ⅵ 855-1130 2060-2090 +90 to +140 4.9 – 6.1
世界全体のCO2排出量(2008年)
○中国とアメリカがそれぞれ世界の約20%を排出。日本は約4%、EUは約11%
○今後は、先進国が頭打ちなのに対して、途上国は発生量が増加する見込み
中国22.3%
南アフリカ1.1% その他
22.3%ブラジル1.2%インドネシア
1.3%
オーストラリア1 4%
サウジアラビア1.3% 世界のCO2排出量
294億トン
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アメリカ19.0%
EU 旧15ヶ国10.7%
ドイツ2.7%
イギリス1.7%イタリア
1.5%フランス1.3%
EUその他3.5%
インド4.9%
日本3.9%
ロシア5.4%
イラン1.7%
韓国1.7%
カナダ1.9%
メキシコ1.4%
1.4%
出典: IEA「CO2 EMISSIONS FROM FUEL COMBUSTION」 2010 EDITIONを元に環境省作成
※ EU15ヶ国は、COP3(京都会議)開催時点での加盟国数である。
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インドネシア
CO2の産業革命以降の歴史的排出量(1850年~2006年)
○アメリカが約30%であり、先進国全体では75%を占める(日本は4%)
○中国は9%を占めており、インド(2%)、南アフリカ(1%)、メキシコ(1%)が続く
米国29%
オーストラリア
メキシコ1%
韓国1%
ブラジル1%
インドネシア1%
その他23%
出典: World Resources Institute, Climate Analysis Indicators Tool
中国9%
ロシア8%ドイツ
7%イギリス6%
日本4%
フランス3%
インド2%
カナダ2%
イタリア2%
南アフリカ1%
1%
4.39
42.09 32.77
18.48
世界平均
カタール
アラブ首長国連邦
オーストラリア
国別一人当たりエネルギー起源CO2排出量(2008年)
⑤
出典:IEA「CO2 EMISSIONS FROM FUEL COMBUSTION」2010 EDITIONを元に環境省作成
18.38 16.53
15.79 11.24
10.31 9.79
9.02 8.32
7.18 7.02
米国
カナダ
サウジアラビア
ロシア
韓国
ドイツ
日本
英国
イタリア
イラン
南 リカ 環境省作成6.93 5.74
4.92 3.83
1.90 1.69 1.25
0.35
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45
南アフリカ
フランス
中国
メキシコ
ブラジル
インドネシア
インド
ナイジェリア
(tCO2/人)8
5
20%
30%
40%
オーストラリア
主要先進国の排出量の推移
‐10%
0%
10%
20%
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
カナダ
フランス
ドイツ
日本
ロシア
英国
‐50%
‐40%
‐30%
‐20% 米国
EU15
EU27
主要先進国の排出量の推移(1990年を基点とした場合)9
EU(27ヵ国)議長国 2010年後半は
ロシ
日カナ
米豪
京都議定書未批准国 京都議定書 批准国
先進国
国際交渉の構図
議長国:2010年後半はベルギー
アンブレラ・グループ(UG)(非EUの先進国グループ)
日本、米国、カナダ、NZ、ロシア、オーストラリア、ノルウェー、ウクライナ等
シア本
ナダ国州
環境十全性グループ(Environmental Integrity Group)
(スイス、韓国、メキシコ等)
国等(附属書Ⅰ
国)
途
及び中国
産油国 BASIC(中国、インド、南ア、ブラジル)
ラテン・アメリカ 島 嶼 国(AOSIS)
アフリカアフガニスタン
上国(非附属書Ⅰ
国)
G77及び中国
LDCs10
GLURAC
ALBA 山岳国
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COP(気候変動枠組条約締約国会議)
AWG-LCA SBI(実施に関する補助機 AWG-KP
CMP(COP/MOP)(京都議定書締約国会合)
次期枠組みの検討プロセス
(条約特別作業部会)
次期枠組みの議論の場
(実施 関する補助機関)
SBSTA(科学上及び技術上の助言に関する補助機関)
(議定書特別作業部会)
先進国の数値目標見直しの場
年 会議 開催地 条約下での議論 京都議定書下での議論
1995 COP1 ベルリン ベルリンマンデート採択
1997 COP3 京都 京都議定書採択 採択
2001 米国離脱
2005 2 発効
11
2005.2 発効
2005.12COP11/CMP1
モントリオール 条約の実施に関する対話 AWG‐KP設置
2007COP13/CMP3
バリバリ行動計画決定(AWG‐LCAの設置)
(AWG‐KP延長)
2009COP15/CMP5
コペンハーゲンコペンハーゲン合意に留意(AWG‐LCAの延長)
(AWG‐KP再延長)
2010COP16/CMP6
カンクン ? ?
AWG-KPAWG-LCA
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コペンハーゲン合意①(COP15, 2009年12月)
○日程:12月7日(月)~19日(土)
(閣僚級会合:12/16~18 首脳級:12/18)
○場所:デンマーク・コペンハーゲン○場所:デンマ ク コペンハ ゲン
○参加者: 119ヵ国の首脳、締約国約193カ国、国際機関、オブザーバー等約4万人程度が参加
日本からは、鳩山総理、小沢環境大臣ら約200名が参加
○成果:
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首脳級の協議を経て、コペンハーゲン合意に
留意することを決定
・先進国・途上国双方の削減目標リスト化
・途上国支援策(資金支援など)
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1. 背景背景
2. COP16の概要と成果
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日本の基本的な立場
米中等の全主要排出国が参加する、公平で実効的な枠組みを構築する法的文書の早期採択を目指す。世界の排出量の約3割のみのカバーで、先進国のみが義務を負う京都議定書第二約束期間の設定は 日本の国益 地球益に反する議定書第二約束期間の設定は、日本の国益・地球益に反する
COP気候変動枠組条約締約国会議
日本4%
EU13%その他
32%
世界のエネルギー起源CO2排出量(2008年)[%]27%
削減義務のある国
削減義務のない国
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AWG-KP議定書作業部会
AWG-LCA条約作業部会
米国は不参加途上国は排出削減義務なし
包括的なプロセス
その他削減義務
国10%
米国19%
中国22%
32%
(出典)IEA
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COP16の論点
○来年のCOP17での枠組合意に向けて、骨格をなすような一連の決定を期待○COP16では「バランスの取れた成果」を期待
議題ごとの状況(COP16開幕時)
途上国の削減行動と途上国支援の間にバランスがあること※米国は緩和の議論がまったく進まないまま資金支援等を進展させることに強く反対
先進国の排出削減目標(AWG‐KP)と途上国の排出削減行動(AWG‐LCA)との間にバランスがあること
=京都議定書の第二約束期間の設定を先進国に受け入れさせる
先進国の考え 途上国の考え
議題ごとの状況(COP16開幕時)
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排出削減
共有ビジョン
長期の削減目標など 議論は平行線のまま
緩和 先進国・途上国の排出削減目標の設定 議論は平行線のまま
途上国支援
適応 気候変動の悪影響への対応策 ある程度煮詰まったテキスト
資金支援 基金の設立 ある程度煮詰まったテキスト
技術移転 技術委員会の設立等 ある程度煮詰まったテキスト
○日程:2010年11月29日(月)~12月11日(土)
(公式閣僚級会合:12月7日~11日)
○場所:メキシコ・カンクン
COP16の概要
○場所:メキシコ カンクン
○参加者:194カ国、国際機関、オブザーバー等2万人。日本からは、松本環境大臣ら100名以上が交渉団として参加
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カンクンで合意された決定
先進国の削減目標 途上国の削減行動 途上国支援
カンクンでの合意は、先進国・途上国両方の削減目標・行動が同じ枠組みの中に位
置づけられ、我が国の目指す次期枠組みの基盤となるもの。
先進国の削減目標 途上国の削減行動 途上国支援
- コペンハーゲン合意に
基づき提出した削減目
標を記載した文書を作
成
- 実施に関するMRV(測
定・報告・検証)に関す
- コペンハーゲン合意に基づ
き提出した削減行動を記
載した文書を作成
- 支援を求める行動と支援と
のマッチングを図る登録簿
を設立
- 新たな基金の設立
- 適応対策を推進するた
めの「カンクン適応枠組
み」の設立
- 森林の減少・劣化に起
因するCO2の排出削減
るガイドラインを強化
- AWG-KPでの議論を継
続
- MRV(測定・報告・検証)や
国際的な協議及び分析
(ICA)を規定
に合意
- 技術委員会など技術移
転メカニズムの構築
17途上国のいうバランス 先進国のいうバランス
○工業化以前に比べ、世界全体の気温上昇を2度以内に収める
○2050年の世界規模での大幅排出削減、早期の排出減少への転換(ピーキング)
○長期目標のレビューの実施(2013年に1回目、2015年に作業終了)
共有のビジョン(長期目標)
区分GHG安定化
濃度(CO2-ppm)
CO2排出のピーク
2050年
CO2排出量(2000年比、%)
工業化前からの
気温上昇(℃)
Ⅰ 445-490 2000-2015 -85 to -50 2.0 – 2.4
Ⅱ 490-535 2000-2020 -60 to -30 2.4 – 2.8
Ⅲ 535-590 2010-2030 -30 to +5 2.8 – 3.2
Ⅳ 590-710 2020-2060 +10 to +60 3.2 – 4.0
Ⅴ 710-855 2050-2080 +25 to +85 4.0 – 4.9
Ⅵ 855-1130 2060-2090 +90 to +140 4.9 – 6.1
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温室効果ガスの削減(緩和)(1)先進国の削減行動・約束
○米国を含む先進国が提出した2020年の削減目標を文書にまとめ、目標に留意。
○実施に関するMRV(測定・報告・検証)に関するガイドラインを強化。
○排出量、吸収量に対する国際的な評価プロセスを設立
2020年の排出削減量 基準年
日本25%削減、ただし、全ての主要国による公平かつ実効性のある国際枠組みの構築及び意欲的な目標の合意を前提
1990
米国17%程度削減、ただし、成立が想定される米国エネルギー気候法に従うもので、
終的な目標は成立した法律に照らして事務局に対して通報される(注1)2005
カナダ 17%削減、米国の 終的な削減目標と連携 2005
ロシア15-25% (前提条件:人為的排出の削減に関する義務の履行へのロシアの森林のポテンシャルの適切な算入 すべての大排出国による温室効果ガスの人為 1990
主要先進国の削減目標
ロシア のポテンシャルの適切な算入、すべての大排出国による温室効果ガスの人為的排出の削減に関する法的に意義のある義務の受け入れ)
1990
豪州 5%から15%又は25%削減(注2) 2000
EU 20% / 30%削減(注3) 1990
(注1:米国)審議中の法案における削減経路は、2050年までに83%削減すべく、2025年には30%減、2030年には42%減。(注2:豪州)大気中の温室効果ガス濃度を450ppm又はそれ以下に安定化させる合意がなされる場合は、2020年までに2000年比で25%削減。また、条件なしに2020年までに2000年比5%減、主要途上国が排出抑制を約束し、先進国が比較可能な約束を行う場合には、2020年までに2000年比15%減。(注3:EU)他の先進国・途上国がその責任及び能力に応じて比較可能な削減に取り組むのであれば、2020年までに1990年比30%減。 19
温室効果ガスの削減(緩和)(2)途上国の削減行動
○途上国が提出した2020年の削減行動を文書にまとめ、その行動に留意。
○途上国が支援を求める行動を登録し、支援とのマッチングを図る登録簿を設立。
○削減行動の透明性を高めるため、MRV(測定・報告・検証)や国際的な協議及び
分析( )を規定
国名 削減目標・行動
中国2020年のGDP当たりCO2排出量を2005年比で40~45%削減、2020年までに非化石エネルギーの割合を15%、2020年までに2005年比で森林面積を4千万ha増加等。これらは自発的な行動。
インド2020年までにGDP当たりの排出量を2005年比20~25%削減(農業部門を除く)。削減行動は自発的なもので、法的拘束力を持たない。2020年までに、追加的な対策を講じなかった場合(BAU)と比べて、36.1-38.9%。具体的な行動
主要途上国の削減目標
分析(ICA)を規定
ブラジル
2020年までに、追加的な対策を講じなかった場合( U)と比 て、36.1 38.9%。具体的な行動として、熱帯雨林の劣化防止、セラード(サバンナ地域の植生の一種)の劣化防止、穀倉地の回復、エネルギー効率の改善、バイオ燃料の増加、水力発電の増加、エネルギー代替、鉄鋼産業の改善等
南アフリカ
2020年までに、追加的な対策を講じなかった場合(BAU)と比べて、34%、2025年までに42%の排出削減。これらの行動には先進国の支援が必要であり、メキシコ会合において条約及び議定書の下での野心的、公平、効果的かつ拘束力のある合意が必要。先進国の支援があれば、排出量は2020年から2025年の間にピークアウトし、10年程度安定し、その後減少。
韓国温室効果ガスの排出量を、追加的な対策を講じなかった場合(BAU)と比べて、2020年までに30%削減。
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温室効果ガスの削減(緩和)(3)MRV(測定、報告、検証)
○世界全体での削減に向け、各国が排出削減の実施状況を測定(Measure)し、国
際的に報告(Report)し、その削減状況を検証(Verify)することを決定
○先進国の削減目標に関連して、排出量の国際的評価プロセスを設置
が ず 各 が○途上国が支援を受けずに行った緩和行動について、各国が実施したMRVに対
する国際的な関与(International Consultation and Analysis: ICA)を規定
排出量の把握国別報告書で提出
先進国は3~5年に1度途上国はこれまでに1~2回
締約国会議・補助機関会合で検討
先進国は毎年、途上国は2年に1度、国別排出目録を提出
途上国も4年に1度提出。加えて先進国も途上国も、2年に1度、削減の進捗報告を提出
専門家の分析、懲罰的でない促進的な意見交換で透明性を確保
資金支援
○2020年までに先進国が官民合わせて年間1000億ドルを動員する目標を約束す
る旨認識
○新たな基金(緑の気候基金)の立ち上げ決定
○COPの下に常設委員会の設立を決定(役割等は今後明確化)
「気候変動資金に関するハイレベル諮問グループ」
・国連事務総長の諮問グループとして設置。議長はストルテンベルグ・ノルウェー首相及びメレス・エチオピア首相、日本からは西村六善内閣官房参与が参画。
・コペンハーゲン合意に言及されている資金源(2020年に年間1000億ドル)について検
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コペンハ ゲン合意に言及されている資金源(2020年に年間1000億ドル)について検討。COP16への貢献を念頭に、4回開催予定。
・本年11月に 終報告書を公表。年間1000億ドルの資金動員は、「チャレンジングだが実現可能」と結論。
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技術移転
○技術執行委員会(TEC)と気候技術センター及びネットワークからなる技術メカニ
ズムの設立及びTECの速やかな発足と早期の活動開始を決定。
○知的所有権の取り扱い等については言及せず
先進国
・民間投資に対して適切な見返りを保証す
るため知的財産権の適切な保護
・資金メカニズムとの連携は巨額の資金支
援につながる可能性が高く否定的
途上国
・特許で保護された環境技術を自由に使え
るようにすべき
・技術移転に関する新たな機関を創設し、資
金メカニズムとの強力な連携を要求
主な論点
23
○知的財産権 (Intellectual Property Right, IPR)を巡る議論
先進国が保有する環境エネルギー技術の途上国への移転を促進するため、知的財産権(特許等)の強制許諾や、当該技術の特許付与対象からの除外等を検討すべき、との途上国の主張に端を発する議論。先進国と途上国(とりわけボリビア、中、印、韓国等)の意見が真っ向から対立している
適応
○適応とは、気候変動による様々な影響(海面水位の上昇、熱中症患者数の増
加、農作物への影響など)に対しての対応策のこと。
○適応対策を推進するための「カンクン適応枠組み」の設立に合意。
適応策の課題
気候変動による影響の例 適応策の例
海面水位の上昇 ・堤防の嵩上げ・災害に対する早期警告システム
渇水・洪水リスクの増加 ・渇水に対応した水の節約と貯蔵
・締約国に対して技術的支援を行うこと等を役割とする適応委員会の設立。
・ 貧国向けの中長期の適応計画の策定。
・島嶼国が求めていた損害賠償についての作業計画の策定。
渇水・洪水リスクの増加 ・渇水に対応した水の節約と貯蔵・堤防の嵩上げ
熱中症患者数の増加 ・病気の監視と予防
高温等による農作物への影響 ・温度変化に強い作物への転換
感染症媒介生物の分布の変化 ・媒介生物の調査、啓発活動
動植物の生息分布の変化等、生物多様性への影響
・多様な生息・生育環境の確保・生態学的回廊の設置 24
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更なる市場メカニズムを検討する旨を決定。
1.市場メカニズム
カンクンにおける合意(新たなメカニズム・森林保全)
途上国の削減行動に寄与する森林分野の活動として森林減少・劣化、森林の持続可能な管理等を列挙。国家戦略の策定等から段階的にREDD+活動を展開する考え方等を規定。資金調達策を今後検討
2.途上国における森林減少・劣化対策等(REDD+)
調達策を今後検討。
25
補足:REDD+(森林減少及び劣化に由来する排出の削減)について
○「REDD」とは、森林(特に広大な熱帯雨林等)が持つ温室効果ガスの吸収能力
に注目し、伐採等による森林減少や劣化を阻止することを目指す考え方
○過去の推移等を参考に将来の排出参照レベルを設定、インセンティブを付与することで 参照レベルよりも改善された森林保全を達成しようとするもの
排出削減目標の遵守を 排出参照レベル 対策導入による森林
森林減少による排出量
排出削減効果としてクレジット換算
先進国(資金拠出)
ることで、参照レベルよりも改善された森林保全を達成しようとするもの
○インセンティブとして、基金(REDD対策立案等に対する資金支援)と、市場メカニズム(REDDによる排出削減量に対して支払い)の2案が提案
※なお、森林の減少・劣化の防止による温室効果ガスの排出削減(REDD)に、植林事業や森林保全(持続可能な森林管理等)による炭素ストックの増加に係る取組を含む場合には「REDDプラス」と呼ばれる
基金方式
排出削減目標の遵守を課せられた
先進国・民間企業(資金拠出)
途上国(森林減少等に対する排出削減活動実施)
資金 クレジット(資金拠出者の削減分としてカウント)
市場メカニズム方式 実際の森林減少に
よる排出量
排出参照レベル(ベースライン):歴史的経緯等から推測される森林減少による排出量
対策導入による森林減少排出抑制分
時間
インセンティブ
先進国(資金拠出)
途上国(森林減少等に対応する能力構築等)
ファンド
資金
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14
• 世界規模での温室効果ガスの排出削減は必須。
• カンクンでの合意は、すべての主要国が参加する枠組みへの重要な一歩 今後 枠組み構築につなげていく
COP17に向けて
みへの重要な一歩。今後、枠組み構築につなげていくことが必要。
• 途上国における削減行動を促すため、先進国が排出削減を実績で示すこと、すなわち、京都議定書第一約束期間の目標達成が必要。
「途 緩和 定 報告 検証 制度• 「途上国の緩和・MRV(測定・報告・検証)制度」につい
て、詳細ルールの検討と並行して、途上国への支援を行い、円滑な実施を促進。
• 国連プロセスの信用維持とプロセスの活用(愛知・名古屋 生物多様性COP10、カンクンCOP16)。 2727