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高次脳機能障害について
平成31年4月26日(金)
埼玉県福祉部障害者福祉推進課
障害福祉・自立支援医療担当
高次脳機能障害とは?①
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• 高次脳機能障害とは
事故や病気などで脳に損傷を受けた後、記憶力や注意力の低下などの症状が現れ、日常生活や社会生活に支障が出てきてしまう障害
• 高次脳機能障害の主な原因
①脳外傷・・・交通事故、転落、転倒による頭部外傷
②脳血管疾患・・・脳梗塞、脳出血、くも膜下出血
③その他・・・脳炎、低酸素脳症、脳腫瘍 など
高次脳機能障害とは?②
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• 高次脳機能障害の具体的な症状
ア 記憶障害:過去の出来事が思い出せない、新たな体験
を記憶できない等
イ 注意障害:集中力が持続できない等
ウ 遂行機能障害:計画的に仕事や物事を処理できない等
エ 社会的行動障害:感情のコントロールができない、意欲
減退等
※ 脳の損傷の部位などにより、障害の程度や現れ方は異
なる。
高次脳機能障害診断基準 (国が定めた基準)
「高次脳機能障害」という用語は、学術用語としては、脳損傷に起因する認知障害全般を指し、この中にはいわゆる巣症状としての失語・失行・失認のほか 、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などが含まれます。
一方、 平成13年度に開始された国の高次脳機能障害支援モデル事業では 、記憶障害・注意障害・遂行機能障害・社会的行動障害などの認知障害を主たる要因として、日常生活及び社会生活への適応が困難な多くの人がいることが確認されました。
しかし、診断、リハビリテーション、生活支援等の手法が確立していないため、福祉サービスや様々な制度の利用が十分に出来ない状況でした。
そこで、福祉サービスの利用や支援施策を推進するために、このような人々が持つ認知障害を「高次脳機能障害」と行政的に定義しました。
【診断基準】
Ⅰ.主要症状等
1. 脳の器質的病変の原因となる事故による受傷や疾病の発症の事実が確認されている。
2. 現在、日常生活または社会生活に制約があり、その主たる原因が記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの
認知障害である。
Ⅱ.検査所見
MRI、CT、脳波などにより認知障害の原因と考えられる脳の器質的病変の存在が確認されているか、あるいは診断書により脳の器
質的病変が存在したと確認できる。
Ⅲ.除外項目
1. 脳の器質的病変に基づく認知障害のうち、身体障害として認定可能である症状を有するが上記主要症状(I-2)を欠く者は除外する。
2. 診断にあたり、受傷または発症以前から有する症状と検査所見は除外する。
3. 先天性疾患、周産期における脳損傷、発達障害、進行性疾患を原因とする者は除外する。
Ⅳ.診断
1. Ⅰ〜Ⅲをすべて満たした場合に高次脳機能障害と診断する。
2. 高次脳機能障害の診断は脳の器質的病変の原因となった外傷や疾病の急性期症状を脱した後において行う。
3. 神経心理学的検査の所見を参考にすることができる。
なお、診断基準のⅠとⅢを満たす一方で、Ⅱの検査所見で脳の器質的病変の存在を明らかにできない症例については、慎重な評価により
高次脳機能障害者として診断されることがあり得る。
また、この診断基準については、今後の医学・医療の発展を踏まえ、適時、見直しを行うことが適当である。
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高次脳機能障害と障害者総合支援法①
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• 平成22年12月10日付け厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課の事務連絡通知『「介護給付費等に係る支給決定事務等について(事務処理要領)」の送付について』の改正
高次脳機能障害者は精神障害者として支援の対象であることが明確化
第2 支給決定及び地域相談支援給付決定事務
2 対象となる障害者等
(1)障害者(法第4条第1項)
ウ 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第5条に規定する精神障害者(発達障害者支援法にいう発達障害者を
含み、知的障害者福祉法にいう知的障害者を除く。「以下「精神障害者」という。)のうち18歳以上である者
なお、高次脳機能障害については、器質性精神障害として精神障害に分類されるものであり、(3)により精神障害者
であることが確認された場合、給付の対象となる。
(3)支給決定又は地域相談支援給付決定の対象となる障害者又は障害児であることの確認
市町村は、支給申請があった場合は、以下の証書類又は確認方法により、申請者又はその児童が給付の対象となる
障害者又は障害児であるかどうかを確認する。
ウ 精神障害者
以下のいずれかの証書類により確認する(これらに限定されるものではない。)。
① 精神障害者保健福祉手帳
② 精神障害を事由とする年金を現に受けていることを証明する書類(国民年金、厚生年金などの年金証書等)
③ 精神障害を事由とする特別障害給付金を現に受けていることを証明する書類
④ 自立支援医療受給者証(精神通院医療に限る。)
⑤ 医師の診断書(原則として主治医が記載し、国際疾病分類ICD-10コードを記載するなど精神障害者であることが
確認できる内容であること) 等
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介護給付費等に係る支給決定事務等について(事務処理要領)
高次脳機能障害と障害者総合支援法②
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• 平成23年8月5日厚生労働省告示第274号で障害者基本法の一部を改正する法律(平成23年法律第90号)の施行に伴い、障害者自立支援法(平成17年法律第123号)第87条第1項の規定に基づき、障害福祉サービス及び相談支援並びに市町村及び都道府県の地域生活支援事業の提供体制の整備並びに自立支援給付及び地域生活支援事業の円滑な実施を確保するための基本的な指針(平成18年厚生労働省告示第395号)の一部が変更
高次脳機能障害者は従来から精神障害者に含まれるものとして法に基づく給付の対象となっていることが告示においても明確化
第一 障害福祉サービス及び相談支援の提供体制の確保に関する基本的事項」(抜粋)
障害者等が地域で障害福祉サービスを受けることができるよう市町村を実施主体の基本とする。また、障害福祉サービス
の対象となる障害者等の範囲を身体障害者、知的障害者及び精神障害者並びに難病患者等(治療方法が確立していない
疾病その他の特殊な疾病であって障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行令(平成十八年政
令第十号)別表に掲げるものによる障害の程度が、当該障害により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける
程度である者をいう。以下同じ。)であって十八歳以上の者並びに障害児とし、サービスの充実を図り、都道府県の適切な支
援等を通じて地域間で大きな格差のある障害福祉サービスの均てん化を図る。
また、発達障害者及び高次脳機能障害者については、従来から精神障害者に含まれるものとして法に基づく給付の対象
となっているところであり、引き続きその旨の周知を図る
※上記告示は平成26年厚生労働省告示第231号のものです。
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障害福祉サービス及び相談支援並びに市町村及び都道府県の地域生活支援事業の提供体制の整備並びに自立支援給付及び地域生活支援事業の円滑な実施を確保するための基本的な指針(平成18年厚生労働省告示第395号)
高次脳機能障害と県障害者支援計画
• 第5期埼玉県障害者支援計画(平成30年度~平成32年度)(抜粋)
第1章 総論 2 計画の概要
(4) 障害福祉サービスの対象
本計画の障害福祉サービスの対象は原則として、身体障害者、
知的障害者及び、発達障害者、高次脳機能障害者を含む精神障
害者並びに難病患者であって18歳以上の者並びに障害児としま
す(以下、「障害者等」)。
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県の主な高次脳機能障害者支援のための主な事業等(概略)
1 埼玉県高次脳機能障害者支援センター(支援拠点機関)
平成23年4月に埼玉県総合リハビリテーションセンター内に開設。総合相談窓口を設置し、高次脳機能障害に係る様々な
相談を受け、総合リハ内の診療部門・障害者支援施設・認定健康増進施設の各部門が連携して支援を行う。
※地域での支援体制を充実させるため、平成30年6月から霞ヶ関南病院、春日部厚生病院の2か所に「相談窓口」を設置
2 市町村等職員向け研修
市町村職員、相談支援事業所、介護保険の関係機関等職員を対象に、高次脳機能障害に関する知識等を習得していた
だき、より適切な支援等が行えるよう開催する。(平成31年度1回開催予定)
3 医療機関関係職員向け研修
医師、看護師、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士等を対象に、高次脳機能障害の診断・評価等ができるように、また
はスキルアップのために開催する。(平成31年度4回開催予定)
4 一般県民向け高次脳機能障害理解促進セミナー
県民の方等を対象に高次脳機能障害の理解を深めていただくために開催する。(平成31年度1回開催予定)
5 ピア・カウンセリング事業
高次脳機能障害者や御家族が地域で孤立することを防ぎ、不安の軽減等を図るため、高次脳機能障害の家族会に地域
交流(相談)会や電話相談を委託して実施する。(平成31年度委託先「特定非営利活動法人地域で共に生きるナノ」、また
脳外傷友の会「さいたま」等でも独自に開催されています。)
6 高次脳機能障害者地域相談支援(サポート)事業
埼玉県総合リハビリテーションセンター職員が高次脳機能障害者支援のため、市町村や相談支援事業所等におけるカン
ファレンス等に参加・助言をすることにより、身近な地域での高次脳機能障害者に対する支援の充実及び支援機関の連携
強化を図る。
7 高次脳機能障害者就労アシスト事業
平成30年度から埼玉県総合リハビリテーションセンター職員が高次脳機能障害者を雇用している企業を訪問して職場へ
の定着を支援したり、就労系事業所を訪問して高次脳機能障害者への支援方法について助言を行う。
8 情報提供等
県ホームページで高次脳機能障害に関する情報を提供したり、高次脳機能障害に係る冊子等を配布する。
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埼玉県高次脳機能障害者支援センター (支援拠点機関)
• 総合相談窓口について
高次脳機能障害者支援センターでは、ご本人やご家族、関係機関の方々からの相談を受け付ける総合相談窓口を設置
<主な相談内容>
・医療(診断・訓練)に関するご相談
・福祉サービスや制度利用に関するご相談
・復職や就労、復学等に関するご相談
・日常生活での困りごと(対応方法)等に関するご相談
・サービス利用や復職等に向けた関係機関との相談調整
○相談専用電話:048-781-2236
○相談受付時間:午前9時から午後5時まで
月曜日から金曜日(年末年始・祝祭日を除く)
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高次脳機能障害者への支援充実のための理解促進について
〇 高次脳機能障害については、県総合リハビリテーションセンター内に設置した「高次脳機能障害者支援
センター」が支援拠点機関として、本人や家族だけでなく、関係機関や支援者からの相談も受け付け、社
会資源や制度の利用、対応方法などを助言し、障害福祉サービスなどにつないでいます。
〇 高次脳機能障害の支援に関しては、様々な組織や人が関わることとなりますが、当事者の方が支援を
利用しようとする際に、窓口担当者の高次脳機能障害に対する理解の不足により、適切な支援が受けら
れない現状があるとの声が寄せられています。例えば、市町村の窓口担当者が、高次脳機能障害そのも
のや、高次脳機能障害のある方が障害福祉サービスの対象者に含まれることを知らなかったために、
サービスを受けられなかったという事例が報告されています。
〇 県としては、高次脳機能障害のある方が身近な場所でその特性を踏まえた支援を受けられるよう、市町
村職員を含めた幅広い支援関係者に対する研修や、地域住民への普及啓発の実施などを通して、より一
層の高次脳機能障害に対する理解の促進に努めています。
○ 市町村におかれても、対象者に適切なサービスが提供されるよう高次脳機能障害の支援に取り組んで
いただくようお願いします。
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障害の主な特徴等と対応例
【高次脳機能障害】
○主な特徴等
・ 外見からわかりにくい。
・ 過去のことを覚えていない、記憶ができない。
・ 集中力の持続が困難、注意が散漫。
・ 意識がいかないためものが認識できない。
・ 計画的、効率的な行動が困難。柔軟性がない。
・ 意欲の減退、感情のコントロールが困難。
・ 知っている場所でも迷う。
○対応例
・ 状態を確認する。
・ メモをとってもらう。
・ 落ち着いた場所で話しをする。
・ 意識的にものを見るように声がけする。
・ 具体的に、一つずつ話しをする。
・ 行動等から怒りの原因を確認し、落ち着かせる。
・ 視覚的にわかる地図で道順を教える。
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対応のポイント(2以下順不同)
1 安全の確保
2 尊重する態度
3 話す(面接する)場所に注意
4 話し易い雰囲気づくり
5 話しは、短く、ゆっくり、具体的に
6 理解の確認
7 コミュニケーションツールの活用
8 保護者等への連絡
9 関係機関との連携
10 障害に対する理解
☆ 画一的な対応とせず、状況・状態にあった臨機応変な対応を!
「高次脳機能障害」の方は障害福祉サービスや他の福祉サービスの対象となることがあります。
相談内容をよく伺い、障害者福祉者担当課として、また他課・他機関と連携をして対応しましょう。