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SHIBUYA CITY 渋谷区産業 ・ 観光ビジョン Shibuya City 渋谷区 INDUSTRY and TOURISM VISION

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SHIBUYA CITY渋谷区産業 ・ 観 光 ビ ジ ョ ン

Shibuya City渋 谷 区

INDUSTRY and TOURISM VISION

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FOREWORD

はじめに

 渋谷区では、2016年10月に新たに「渋谷区基本構想」を策定し、ロンドン・パリ・ニューヨークと

並び称されるような成熟した国際都市を目指し、あらゆる多様性を受け入れそれをエネルギーに

変えていくことが重要というメッセージを込めて「ちがいを ちからに 変える街。 渋谷区」という

未来像を掲げました。この基本構想の中では、渋谷区の特徴の一つでもある産業と観光分野の未

来像を「ビジネスの冒険に満ちた街へ。」として、長期基本計画において施策の方向性を示しました。

 渋谷区は、それぞれのエリアが個性的な魅力をもち、様々な企業や商店が集積するとともに、国

内外から多くの観光客が訪れる多様性に溢れた街です。本年は、東京オリンピック・パラリンピック

競技大会が開催されますが、渋谷区が成熟した国際都市となっていくためには、2020年を一つの

契機として、未来に向けてさらに渋谷区の産業・観光施策を進めていく必要があると考えています。

そのためには、私は、長期基本計画で掲げる方針をより具体化する計画が必要と考え、産業・観光

ビジョンを策定することにしました。

 本区の産業・観光においては、インバウンドの受入れ環境整備、安全・安心の問題、区内の商店街

や中小企業の活性化など、取り組むべき課題は多岐に亘るとともに、渋谷区の産業と観光をさらに

活性化していくためには、スタートアップ・エコシステムの構築やナイトタイムエコノミーなど新たな

取組にもチャレンジしていくことが大切と考えています。

 ビジョンの策定にあたっては、渋谷区の特性を数値でも明らかにするためにデータ分析をしっか

りと行うとともに、学識経験者や産業・観光分野の関係団体の方々で構成される「渋谷区産業・観

光ビジョン検討委員会」へのインタビューや議論、また、パブリックコメントを実施し区民や区内在

勤・在学の皆様からいただいた貴重なご意見を可能な限り反映しながら策定しました。

 渋谷区は今後、本ビジョンに基づき、世界に誇れる成熟した国際都市の実現を目指し、渋谷区ら

しい産業・観光振興事業を展開していきたいと思います。今後とも皆様のご理解とご協力を賜りま

すようお願いいたします。

2020 年 4 月

渋谷区長 長谷部 健

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SHIBUYA INDUSTRY and TOURISM VISION

APPENDICES

The FUTURE

The PRESENT

CONCEPT

Contents

はじめに

|CONCEPT

|FOREWORD

序 章

|The PRESENT第1章

|The FUTURE第2章

|APPENDICES資料編

背景と目的

渋谷区の産業と観光のいま

産業・観光の現状と今後の取り組み課題

渋谷区の産業と観光のみらい

・検討委員一覧・データソース/用語解説

1:渋谷区の都市特性 2:渋谷区の産業特性 3:スタートアップの集積 4:渋谷区の人の集積の特徴 5:エンタテイメントとナイトライフ6:SNSの投稿場所からみる各エリアの特徴7:渋谷区へのインバウンド(訪日外国人旅行者)8:渋谷区の宿泊業および飲食サービス業

■:施策の柱1:チャレンジできるまち。  新しいビジネスが生まれるまち。  そして、大きくはばたけるまちへ2:商店街や中小企業が輝くまち 3:常に新たなカルチャーや  エンタテイメントが生まれるまち 4:だれもが快適かつ安全・安心に滞在を楽しめ、  賑わいが活力につながるまち ■:渋谷みらいマップ

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序 章

背景と目的

位置づけと計画期間

❶位置づけ 渋谷区産業・観光ビジョン(以下、「ビジョン」という)は、「渋谷区基本構想」及び「渋谷区長期基本計画」に掲げる目標の実現や課題の解決に向けて産業・観光振興を進めていくための分野別の計画です。 策定に当たっては、前述の上位計画の理念を踏襲したうえで、各分野の計画(「渋谷区まちづくりマスタープラン」等)と連携及び整合を図っています。

❷ビジョンの計画期間 本ビジョンの計画期間は、2020(令和2)年度~2029(令和11)年度の10年間とします。

❸ビジョンの構成 本ビジョンは、渋谷の産業・観光の「いま」と「みらい」の2章に分けて構成しています。 まず1章では、渋谷区の産業・観光にまつわるデータの分析や有識者へのヒアリングにより、都市の特性・現状・課題等を洗い出し、渋谷区の「いま」として示しています。 次に2章では、1章で示した課題の解決や特性の強化に向けて、渋谷区の産業・観光の目指す姿を「みらい」として定めています。

❹ビジョンの策定フロー 本ビジョンの策定フローは下図(■渋谷区産業・観光ビジョンの策定フロー)の通りです。

渋谷区の産業および観光に関する現状分析

「渋谷区産業・観光ビジョン」の策定(施策の柱・具体的内容の提示)

定量分析(データ分析)

定性分析(有識者ヒアリング)

有識者委員会

有識者への個別ヒアリング

■渋谷区産業・観光ビジョンの策定フロー

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SHIBUYA INDUSTRY and TOURISM VISION

APPENDICES

The FUTURE

The PRESENT

CONCEPT

■渋谷区基本構想

■渋谷区長期基本計画 2017-2026

■渋谷区まちづくり マスタープラン

 渋谷区では、2016年に20年後を展望した未来像を示す「渋谷区基本構想」を定めました。また同年、基本構想の未来像を実現するために必要な施策の方向性を示す「渋谷区長期基本計画2017-2026」を策定しました。

 本ビジョンは、これらの計画にて示す産業振興分野の未来像「ビジネスの冒険に満ちた街へ。」を柱に、文化・エンタテインメント分野「あらたな文化を生みつづける街へ。」等の関連する分野も踏まえながら策定しています。

❺関連する主な計画◆渋谷区基本構想・長期基本計画

渋谷区基本構想https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kusei/shisaku/koso/index.html

 産業・観光における区内各地域の未来像を考えるにあたり、本ビジョンはまちづくりマスタープランに示される将来の都市構

造を反映し、これから示す各施策が都市計画と連動するように策定しています。

渋谷区まちづくりマスタープランhttps://www.city.shibuya.tokyo.jp/kankyo/toshi_keikaku/machi_mas.html

◆渋谷区まちづくりマスタープラン

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■第四次産業革命 ICT(情報通信技術)の発達、AI(人工知能)、IoT(用語解説p.45)、ビッグデータの発展等により、第四次産業革命(用語解説p.45)と呼ばれる大きなイノベーション(用語解説p.45)が世界で起こっています。この新たな技術の社会実装が進み、インフラ、制度、組織、生産方法など、従来の社会・経済システムにICTが導入され、社会や経済システムがICTを活用できるように変革されていくなど、大きな影響を及ぼしています。 具体的な事例としては、生産データの解析結果の活用による新たなサービス展開や異業種との連携、シェアリングエコノミー(用語解説p.45)によるモノを所有する社会から必要な時だけ利用する社会への移行、AIやロボットの活用、フィンテック(用語解説p.45)の発展などがあり、こうした第四次産業革命の進展により、産業構造そのものが大きく変化していくことが考えられます。 このメリットを最大限に引き出し、産業の活性化や社会課題の解決につなげていくためには、イノベーションを促進する能力、ICT への適応力、それを支える人的資本の充実が重要とされています。

■グローバリゼーション 1980年代から急速に進展してきたグローバリゼーション(用語解説p.45)によって、資本と労働力が国境を超えて移動する時代へと劇的に変化してきました。ヒト・モノ・カネ・情報を惹きつける磁力のある都市には、それらの集積によって魅力的な「多様性」が生みだされ、そして それに触発されて新たなイノベーション(用語解説p.45)が沸き起こります。こうした正の連鎖が都市のさらなる発展を促し、それが国力増強の原動力に繋がっていくことが世界的な潮流となっています。

 次の10年を見据えた時、過去の延長線上では物事を考えられないような変革が起こりつつあります。世界的な潮流や技術の進化などを注視するとともに、積極的な都市データの活用により渋谷区の特徴を踏まえながら行政としての明確なビジョンを打ち出していくことが重要です。産業と観光の振興に総合的に取り組むことが、渋谷区の魅力をさらに高め、多様な人、クリエイティブな人材や企業の集積に繋がっていきます。

■世界における東京 東京は、世界の都市総合力ランキング2019でロンドン、ニューヨークに続く3位となっていますが、上位との差は大きく、また、アジア都市のなかでも突出する存在にはなっていません。例えば、イノベーションの担い手としても期待されるスタートアップの環境でみると世界的には、ベルリン、ストックホルム、ロンドンといったヨーロッパ都市の評価が高く、アジア都市ではシンガポールが4位となっていますが、東京は18位となっています。こうした都市が人や企業を惹きつけているのは、大企業の立地、規制、物価、カルチャー、言語、クリエイティブな人材の集積、自治体の支援など様々な要因が考えられます。こうした特徴にも注目し、経済成長、国際競争力を高めていくためには、世界中から多様な人や企業を呼び込む環境づくりや、世界の都市から遅れているICT化やキャッシュレス(非現金決済)対応など、新たな技術への支援が重要となります。

■産業としての観光 UNWTO(国連世界観光機関)のUNWTO2030長期予測によると、「世界全体の国際観光客到着数は、2010年から2030年 の間に年3.3%増加し、2030年には18億人に達する。」と予測されています。産業としての観光は、旅行業、宿泊業、運輸業にとどまらず、飲食業、小売業、アミューズメント業、広告業、さらには農林水 産業、製造業、建設業等あらゆる産業に関係する裾野の広い総合産業であり、多くの経済波及効果と雇用創出効果をもたらします。例えば、ナイトタイムエコノミーの推進に取り組んでいる都市は経済効果だけでなく、雇用創出にも寄与しています。

❻産業・観光に関する世界的なトレンド

CONCEPT

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SHIBUYA INDUSTRY and TOURISM VISION

APPENDICES

The FUTURE

The PRESENT

CONCEPT

❼渋谷区産業・観光ビジョンの目的と目標

愛せる場所と仲間を、誰もがもてる街へ。

あらたな文化を生みつづける街へ。

ビジネスの冒険に満ちた街へ。

渋谷区が基本構想で描く、

中長期の街づくりビジョンを具体的に実現するためには、

渋谷区が持つ課題と可能性を把握し、

実効性のあるシナリオをつくることが必要です。

渋谷区を成熟した国際都市へと成長、

進化させていく原動力は人の力です。

人種、自認する性、年齢、障がい、価値観など

多様な人々が出会い、交流することで

日常の様々な場面でイノベーションが起こり、

新しい文化や産業、コミュニティが生まれ続ける街が実現します。

本ビジョンに掲げる施策を通して、

渋谷区は日本で最もクリエイティブな

成熟した国際都市として進化します。