日印epa - minister of economy, trade and industry...2011年7月 経済産業省 アウトライン...

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日印EPAの概要 20117経済産業省

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Page 1: 日印EPA - Minister of Economy, Trade and Industry...2011年7月 経済産業省 アウトライン Ⅰ. EPA全般について Ⅱ. 日印EPAの原産地規則について ... (02年11月)

日印EPAの概要

2011年7月経済産業省

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アウトライン

Ⅰ. EPA全般について

Ⅱ. 日印EPAの原産地規則について

Ⅲ. 日印EPAの運用上の証明手続きについて

Ⅳ. リンク集

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Ⅰ. EPA全般について

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現時点で日本はアジアを中心に10国及び1地域(ASEAN)とのEPAを発効させている。日印EPAは、本年8月1日に発効予定。

日印EPAは日本にとって12番目のEPA。

Ⅰー1. 日本のEPAの状況

マレーシア発効済(06年7月)

ブルネイ発効済(08年7月)

タイ発効済(07年11月)

インドネシア発効済(08年7月)

シンガポール発効済(02年11月)

改正(07年9月)

NZ

豪州交渉中

アセアン+6、アセアン+3政府間議論中

フィリピン発効済(08年12月11日)

GCC諸国交渉中

「湾岸協力会議」:サウジアラビア、クウェート、アラブ首長国連邦、バーレーン、カタール、オマーン

スイス発効済(09年9月1日)

チリ発効済(07年9月)

メキシコ発効済(05年4月)

日中韓

産官学共同研究中

アセアン(AJCEP)

発効済(08年12月1日)

日本

韓国交渉中断中

(再開に向け事務レベルで協議中)

中国

ベトナム発効済(09年10月1日)

EU交渉のためのプロセス

開始に合意

モンゴル官民合同研究が終了

米国

TPP関係国と協議中

インド発効(11年8月1日)

コロンビアJETROにて研究中

カナダ共同研究開始に合意

ペルー署名済(11年5月)

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日印EPAは、物品の関税やサービス貿易の障壁等を撤廃又は削減することを目的とする従来のFTAの要素に加え、投資、知的財産、政府調達、競争、ビジネス環境整備、様々な分野における協力等の幅広い分野を対象とする包括経済連携協定。

構成は以下の通り。物品貿易に関係するのは第2, 3章、付属書1~3。

Ⅰー2. 日印EPAの構成

第1章 総則

第2章 物品の貿易

第4章 税関手続

第5章 強制規格、任意規格及び適合性評価手続き並びに衛生植物検疫措置

第6章 サービスの貿易

第7章 自然人の移動

第9章 知的財産

第10章 政府調達 付属書4(金融サービス)

第8章 投資

第11章 競争

第12章 ビジネス環境の整備

第13章 協力

第14章 紛争解決

第15章 最終規定

付属書5(電気通信サービス)

付属書7(自然人の移動に関する特定の約束)

付属書8(第90条1に規定する措置に関する留保)

付属書9(第90条2に規定する措置に関する留保)

付属書6(第62条に関する特定の約束)

付属書10(収用)4

第3章 原産地規則

付属書1 (譲許表)

付属書2 (品目別規則)

付属書3 (運用上の証明手続き)

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Ⅰー3. 日印EPAの概要

無税

79.4%

有税

20.6%

石油・燃料

23.7%

鉱物性

製品

16.5%

農林産品

10.8%

化学製品

9.7%

金属製品

(除く鉄鋼)

8.9%

その他

9.9%

繊維衣料

製品

7.0%

魚・甲殻類

6.8%

その他6.8%

インド→日本(2009年)3445億円

無税

10.3%

有税

89.6%

不明

0.1%

電気機械

6.8%その他

3.5%

一般機械

25.5%

化学製品

15.5%

鉄鋼及び

鉄鋼製品

14.3%

自動車

9.7%

電気機械

8.2%

精密機械

4.4%

その他

12.0%

日本→インド(2009年)5767億円

2009年 財務省貿易統計 2009年 World Trade Atlas

アジア第3位の経済規模を有し、近年著しい経済成長を続けるインドとの間で、貿易の自由化・円滑化、投資の促進、関連分野の制度整備を図ることにより、ビジネス・チャンスの更なる拡大とともに、両国間の経済関係の一層の強化、ひいては日インド関係全体の緊密化が期待される。これにより、インドは我が国最大の経済連携パートナーとなる。

日印間の貿易構造(一例)

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Ⅰー4. 物品貿易における主要品目の自由化内容

分野 品目 基準税率 交渉の結果

一般機械

ブルドーザー 7.5% 10年撤廃

産業用ロボット 7.5% 10年撤廃

エアコン部品 10% 10年撤廃

蒸気タービンガスタービン

7.5% 10年撤廃

織機 7.5% 10年撤廃

印刷機械 7.5% 10年撤廃

工業用ミシン 7.5% 10年撤廃

繊維製品綿織物 10% 即時撤廃

衣類 10% 即時撤廃

化学品印刷用インク 7.5% 10年撤廃

ナイロン 10% 10年撤廃

農産品

盆栽 5% 即時撤廃

ナガイモ 30% 10年撤廃

モモ 30% 10年撤廃

イチゴ 30% 10年撤廃

柿 30% 10年撤廃

分野 品目 基準税率 交渉の結果

自動車部品

ディストリビューター 7.5% 10年撤廃

点火コイル 7.5% 10年撤廃

バンパー 10% 10年撤廃

消音装置(マフラー) 10% 10年撤廃

ディーゼルエンジン 12.5%6年間で5%

まで関税削減

ギアボックス 12.5%8年間で6.25%まで関税削減

鉄鋼製品

熱延鋼板 5% 5年撤廃

冷延鋼板 5% 5年撤廃

合金鋼 5% 5年撤廃

亜鉛めっき鋼板 5% 5年撤廃

電気電子

リチウムイオン電池 10% 10年撤廃

DVDプレーヤー 10% 10年撤廃

MP3プレイヤー 5% 5年撤廃

レンジ 10% 10年撤廃

鉛蓄電池 10% 10年撤廃

自動車用ラジオ 10% 10年撤廃

往復貿易額の約94%の自由化率(協定発効後10年以内の貿易額ベースの関税撤廃率)を達成。インドからの輸入総額の約97%, インドへの輸出総額の約90%が10年以内に無税化されることになる(貿易額はいずれも06年)。

インドが側が譲許した品目(一例)

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Ⅰー5. 各主要分野①

WTO協定の一部である「サービスの貿易に関する一般協定」(GATS)よりも高いレベルでの自由化を実現するため、各締約国が自国の約束表で約束したサービス分野及び内容について、市場アクセス、内国民待遇を相互に約束。

サービス貿易

両国とも、短期の商用訪問者、企業内転勤者、投資家及び専門家を含む自然人の移動に関し、WTOにおける約束水準を上回る約束を行う。また、両国の自然人の入国・滞在に係る要件及び手続の透明性を向上させる。また、社会保障協定について、一定期間を設けて、事前協議及び締結交渉を行うことを規定。

自然人の移動

製造業関連サービスの自由化 (3年後に対象範囲を見直し)コンピュータ関連サービス、レンタルサービス、修理・保守

サービス、広告サービス、建設サービス等について、日本資本を100%まで認める

規制の透明化内国民待遇義務、最恵国待遇義務に反する規制のリスト化に向けて努力することに合意。

規制の現状維持(法的安定性の確保)多くの分野における規制(国内法に基づく外資規制等)の現状維

持を約束。

流通サービスの自由化問屋・卸売に関し日本資本を100%まで認める。シングルブランドの小売に関し日本資本を51%まで、また、フラン

チャイズ(シングルブランドに限定)に関し100%まで認める。

その他の自由化音声電話サービス(外資25%→74%)、情報及びデータのオ

ンラインでの処理(外資51%→74%)、ファイナンスリース(外資51% →100%)、生命保険(約束なし→外資26%)、アドバイス・金融補助サービス(外資51%→100%)等を約束。

資格の相互承認相手国の要請に応じて、サービス分野における相互認証(IT技

術者など)のための交渉を1年以内に完了するよう、関連機関に働きかけを行うことに合意。

日本側が約束した主なもの現行の入管制度の範囲内で、ヨガ、インド料理、インド伝統舞踊・音楽、英語の指導員の入国・就労を認める。インド人看護師・介護福祉士の受入れの可否については、協

定発効後1年以内、遅くとも2年以内に結論を出す。

インド側が約束した主なもの短期の商用訪問者や企業内転勤者に加え、新たに投資家の入

国及び一時的な滞在を約束。商用訪問者の滞在期間を、90日以内から180日以内に延長。

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Ⅰー6. 各主要分野②

内国民待遇、投資設立後の最恵国待遇、パフォーマンス要求の禁止、国対投資家の紛争解決をはじめとする投資自由化・保護規定について、高いレベルの規律を確保。

投資

①内国民待遇・最恵国待遇相手国の投資家(企業等)とその投資財産に対し、自国や第三国の投資家と比べて劣後しない待遇を与える。内国民待遇は、投資設立段階にも付与。

②パフォーマンス要求の禁止現地調達や輸出制限要求、輸出要求、技術移転要求等を行うことを原則禁止。WTOの貿易関連投資措置(TRIMs)プラスを確保。

③公正衡平待遇国際法に沿った公正(fair)で衡平(equitable)な待遇を投資財産に与える(適正手続義務、裁判拒否の禁止、恣意的措置の禁止等)。

④アンブレラ条項開発許可など、投資活動に関する約束の遵守を義務づける。

⑤資金移転の自由資金や事業活動から得られた収益、配当、ロイヤルティ、給与等について、国境を越える送金の自由を確保。

⑥投資家対国家の紛争処理政府の協定義務違反により投資家が損害を受けた場合、第三国で行われる国際仲裁廷を利用して損害賠償を求められる。

⑦留保内国民待遇、最恵国待遇、パフォーマンス要求の禁止について、例外となる分野・措置を附属書8(現状維持義務あり)と9(現状維持義務なし)に列挙(ネガティブ・リスト形式)し、規制の透明性と予見性を高める。

主な内容

日本からインドへの直接投資は、近年大幅に増加。09年,10年は日本の対外投資額全体が落ち込む中で減少したものの、EPAの締結を契機に増加することが期待される。インドに対する投資額の累計は、11,051億円(2010年末現在)。

対インド直接投資の現状

298597

1782

5429

3443

2410

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年

財務省・日本銀行「国際収支統計」

(億円) 日本からインドへの投資額

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Ⅰー7. 各主要分野③

WTO協定水準を超える要素を持つ、知的財産の十分にして効果的かつ無差別的な保護を確保。

知的財産

反競争的な行為を規制するため、両国の競争当局が適切な措置をとることを確認し、競争法の適用に関する国籍による無差別の原則、手続の公正な実施、及び透明性を定める。

競争

【WTO協定水準を超える規定の例】・コンピュータ・プログラムを含む発明の特許可能性・周知商標の更なる保護・商標出願の早期審査

強制規格、任意規格及び適合性評価手続並びに衛生植物検疫措置に関し、情報交換、相互承認の取決めに至る段階的なアプローチ等の協議メカニズムを設置し、国内の法令の範囲内で後発医薬品の承認審査における内国民待遇を定める。

TBT・SPS( 強制規格,任意規格及び適合性評価手続並びに衛生植物検疫措置)

後発医薬品の承認審査国内法令の要求を満たす限りにおいて、相手国の申請者

に内国民待遇を与え、合理的な期間内に手続を完了させることを約束。

相互承認小委員会で実行可能性があると双方が合意した分野に関

し、実現性の検討を行った上、双方が合意すれば相互承認を取り交わすための協議に入ることができる。

両国が自国の法令に従って透明性を確保すること、及び情報交換を行うことにつき定めるとともに、他の締約国の物品、サービス及び供給者に対し、自国の法令に従って非締約国の物品、サービス及び供給者に与える待遇よりも不利でない待遇を与えることを定める。

政府調達

本協定の実施、解釈及び運用に関する両国間の紛争を回避し、または解決するため、協議、仲裁裁判所に関する規則を定める。

紛争解決

両国間の経済連携の強化を図ることを目的として、両国の間で協力を促進する。

協力

【協力の分野】環境、投資促進、インフラ整備、科学技術、エネルギー、観光、繊維、中小企業、健康、娯楽と情報、冶金

税関手続の透明性を確保するとともに、税関手続の簡素化及び調和を通じた貿易の円滑化及び効果的な取締りの確保のため、協力・情報交換を推進することを規定。

税関手続

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Ⅰー8. 各主要分野④

インド政府日本政府報告、勧告、検討

所見を報告所見を報告

報告、苦情、照会

苦情、照会への回答、情報、助言の提供

所見の報告及び監督

合同委員会

日本側連絡事務所構成:在日本インド大使館を予定

インド側連絡事務所構成:在インド日本大使館、JETRO、

インド商工省日本担当課を予定

在日本のインド企業等

報 告

両国政府、民間部門及びその他の関係機関の参加を得て、事業活動を遂行する両国の企業のためのビジネス環境の整備向上に資する仕組みを提供。インド側に関しては、中央政府に加え、州政府も招聘することが可能。

ビジネス環境の整備

報告、勧告、検討

監 督 監 督

ビジネス環境の整備に関する小委員会構成:両国政府(インドの州政府含む)、民間部門及びその他の関係機関

報 告

協議グループ構成:日本政府、在日本インド大使館、

日印の民間団体

苦情、照会

報 告報告、苦情、照会

協議グループ構成:インド中央・州政府、在インド日本大使館、JETRO、日本の民間団体

苦情、照会への回答、情報、助言の提供

在インドの日本企業等

苦情、照会

日本政府が指定する団体

インド政府が指定する

団体

連絡を促進 連絡を促進

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Ⅰー9. 譲許表の読み方

11

譲許表とは個別品目の関税撤廃・削減の方法及びスケジュールが規定された表のこと。日印EPAでは附属書1(Annex1)に記載されている。

日印EPAを利用する際、品目の関税率は本表で確認できる。

Column 1 Column 2 Column 3 Column 4

CategoryBase RateDescription of GoodsTariff Item Number

39081010 Nylon moulding powder

Other39081090 B10

Phenol formaldehyde resins39094020

10

Column 1: 関税番号

Column 2: 品目名

Column 3: 基準税率関税が毎年均等に引き下げられる品目について、引き下げが開始される基準となる税率を表示

Column 4: 区分関税の引下げ・撤廃の区分(方式)を記号で表示

●インド側のColumn 4の記号の意味A :即時撤廃(協定発効時に関税撤廃) Bn:段階的関税撤廃(n+1回に分割して段階的に関税撤廃)Pa:変則的な関税削減(1品目:250ccを超えるエンジン)Pb:変則的な関税削減(1品目:ギヤボックス及びその部分品) X :関税削減対象から除外(日本の譲許表の区分は、A, B7, B10, B15, Xの5種類)

●補足「Pa」:10.62%→5%に変則的に削減(2017年1月1日)「Pb」:11.25%→6.25%に変則的に削減(2019年1月1日)

年数の数え方:発効年を1年目と数える。削減日:第1回目の削減は協定発効時。第2回目以降の削減日は毎年4月1日。ただし、Pa, Pb については第2回目以降の削減日は毎年1月1日。

A

X

・・・・・・

・・・・・・

・・・・・・

・・・・・・

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Ⅱ. 日印EPAの原産地規則について

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Ⅱー1. 原産地規則について

13

原産地規則とは、EPA/FTAを使って産品の取引をする際、満たさなければいけない規則。

原産地規則を満たした産品は「原産品」と呼ばれる。日印EPAにおける「原産品」には、以下の2種類がある(27条)。

-(a)完全生産品-(b)完全生産品ではなく、29条を満たす産品

(a)は、主に農林水産物が該当。

(b)は、輸入材料を用いて製造する主な鉱工業品が該当し、関税番号変更基準、付加価値基準、加工工程基準のいずれかを満たす必要がある。

日印EPAにおいて(b)に該当する産品における原産地規則は、一般規則(CTSH and QVC35)と品目別規則がある(29条)。

品目別規則に規定の無い産品は一般規則が適用される。

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Ⅱー2. 品目別規則(PSR)読み方

第八五〇一・一〇号の産品への他の項の材料

からの変更及び原産資格割合が四十パー

セント以上であること

八五〇一・一〇

付加価値基準

かつ

関税番号変更基準

例えば、最終産品の該当する関税番号が8501.10であり、付属書2において該当する関税番号の記載があった場合、

品目別規則は、付属書2(annex 2)に規定されている。 日印EPAでは、PSRに記載の無い産品の規則は、general ruleと呼ば

れるCTSHかつQVC35%が該当する。

この場合、電動機(出力が37.5ワット以下のものに限る)の製造に際し、4桁以上の関税番号変更を起こし、かつQVC40%以上であればよい、ということ。

8501.10A change to subheading 8501.10 from any other heading, provided that there is a qualifying value content of not less than 40 percent.

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Ⅱー3.関税番号変更基準とは①

関税番号変更基準とは、締約国内において、産品の製造に使用する非原産材料について、関税番号での「桁数の変更」を満たせば原産品であると認める基準。①CC(Change in Chapter)「2桁変更」②CTH(Change in Tariff Heading)「4桁変更」 3種類ある③CTSH(Change in Tariff Sub-Heading)「6桁変更」

関税番号変更基準は非原産材料にのみ適用→原産材料は番号変更の有無を見る必要なし。

加工工程基準とは、締約国内において、特定の生産・加工工程が行われた場合に、当該産品への原産資格をあたえる方法。

→日印EPAでは繊維製品が該当。

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Ⅱー4. 関税番号変更基準とは②

②4桁変更の例:冷延鋼板(日印EPAの原産地規則はCTH)

鉄鉱石(26.01)

冷延鋼板

72.09

日印EPA非締約国(例:カナダ)

インド

4桁が変更(25類, 26類, 27類, 72.02項→72.09項)

日本

日印EPAを用いてインドに輸出

原料を輸入し、加工

①2桁変更の例:革かばん(日印EPAの原産地規則はCC)

なめし皮 革かばん

41.13 42.03

日印EPA非締約国(例:中国) インド

上2桁が変更(41類→42類)

日本

日印EPAを用いて日本に輸出

注:2桁ベースの変更はCTH及びCTSHも満たすことになる

なめし皮を輸入し、革かばんへ加工

石灰石(25.22)

コークス(27.04)

フェロアロイ(72.02)

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Ⅱー5. 付加価値基準とは①(30条)

17

付加価値基準とは、締約国内における生産・加工等に伴い形成された付加価値を価額換算し、当該付加価値が一定の基準値(閾値)を超えた場合に、当該産品を原産品と認める基準。日印EPAでは、以下の2式が規定されており、どちらを使うかは利用者の判断。

FOB-VNMQVC(%)= FOB

(※) QVC (Qualifying Value Content): 原産資格割合(締約国における付加価値)FOB: 産品の取引価額(本船渡しベース)VNM (Value of Non-originating Materials): 非原産材料の合計価額VOM (Value of Originating Materials) :原産材料の合計価額

×100

VOM+直接労務費+直接経費+利益QVC(%)= FOB

×100

または

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Ⅱー6. 累積(31条)

累積とは例えば、日本の原産品Xが、インドで生産される産品Yの材料として使用される場合、産品Yの原産資格の判定に際して、産品Xもインドの原産材料とみなすルール。

日本

完成車(HS 870323)

・エンジン

・トランスミッション

・サスペンション

・ブレーキ類

・ベアリング

・ウインドウガラス・その他

累積

・タイヤ

・ホイール

タイ

インド

日本原産品である右の部品については、関税番号を考慮することなく、かつ、付加価値にカウントできる

日本原産でもインド原産でも無いタイヤ・ホイールは、完成車の原産地規則である(CTSH and QVC35)を満たす必要あり

日本原産

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Ⅱー7. 繊維製品の累積

日印EPAにおける繊維製品の品目別規則は、これまでの日本のEPA同様、いわゆる「2工程ルール」。日印EPAにおいては、アジア諸国とのEPA(例:日越EPAやAJCEP)のように工程の累積は認められていない。

日本cutting and sewing

ニット製品

ASEAN諸国を通じて2工程をしているのでOK(ただし、最終工程はカンボジア)

AJCEP

×

日印EPA

日本 cutting and sewingニット製品

中国

fabric making生地

日本とインドでの工程の累積はNG×

インド

カンボジア

タイ

fabric making生地

中国ASEAN

編み物

韓国

1工程しかしていないのでNG

インド国内で2工程をしているのでOK

中国

fabric making生地

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Ⅱー8. 僅少の非原産材料(デミニマス)(32条)

20

デミニマス規定とは、救済規定の一種であり、日印EPAにおいては、CTC(関税番号変更基準)の適用に当たり、非原産材料は考慮しなくてよい。デミニマス規定の対象産品は全て協定本文に記載されている。

関税番号 デミニマスの閾値

15類~24類(1604.20, 1605.20, 1605.90, 2101.11, 2101.20, 2106.10, 2106.90, 2207.10, 2207.20を除く),

2501.00, 2906.11, 2918.14, 2918.15, 2940.00, 3505.10, 3505.20, 3809.10, 3824.60

CTCを満たさない非原産材料の価額の合計が産品の価額の7%以下

28類~49類(2905.44, 2906.11, 2918.14, 2918.15, 2940.00, 3502.11, 3502.19, 3505.10, 3505.20, 3809.10, 3824.60, 4601.29, 4601.94, 4602.19を除く)64類~97類

CTCを満たさない非原産材料の価額の合計が産品の価額の10%以下

50~63類(5001.00, 5003.00, 51.02, 51.03, 52.01~52.03, 53.01, 53.02を除く)

CTCを満たさない非原産材料の重量の合計が産品の重量の7%以下

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Ⅱー9. 積送基準(34条)

積送基準とは、原産品を輸出国と輸入国間を直接輸送、もしくは第3国を一定条件の下に経由しなければ原産資格を失うという基準。

第3国

インド

税関

輸入者CO

輸出者

発給当局

CO

積送基準

(a)他方の締約国から直接輸送;又は

(b)積替え又は一時蔵置のために1又は2以上の第3国を経由して輸送される場合には、当該第3国において、積替え又は一時蔵置、積卸し及び産品を良好な状態に保存するために必要な作業以外の作業が行われていないこと

保税地域

CO

①直接輸送

②積替え・一時蔵置

③通関、加工後再輸出

原産地証明書

日本

②の場合(附属書3 運用上の証明手続 第2節)(イ)輸出港及び輸入港を明示した通し船荷証券の写し 又は(ロ)第3国の税関等が提供する証明書その他の情報であって、当該第3国で積卸しや保存のための作業等以外が行われていないことを証明するもの

のいずれかの提出が求められ得る。

(運用上の手続 Rule 13)(a)コンテナが開封されている、(b)コンテナのシール番号が変わっている、(c)コンテナ番号が変わっている、(d)梱包が開封されている場合、は、上記(イ)及び(ロ)の提出が求められ得る。

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Ⅲ. 日印EPAの運用上の証明手続きについて

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Ⅲー1. 原産地証明制度

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日印EPAは、第三者証明制度を採用しており、日本商工会議所が原産地証明書を発給する。

日 本 インド

輸出者 輸入者

③証明書発給申請

④証明書発給

<輸 出>

⑤原産地証明書の送付

経済産業大臣 税関当局

⑥原産地証明書の提出

⑦特恵関税率の適用

(原産地証明書に基づく情報提供・確認要請)

(関係者の同意の上で回答)

(生産者)

指定発給機関(日本商工会議所)

指定

?

①原産品判定依頼

初回に企業登録

②判定番号通知

(原則3日)

(原則2日)

同一産品には何度も使用可能

又は

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日印EPAは、2007年版HSで合意・締結されており、原産地証明書(CO)上求められるHS番号の記載は2007年版HSに基づき行う。

COの有効性(付属書3 Section 4)COの有効期限は発給後1年間であり、1回限りの輸入において使用される。

記録の保管(付属書3 Section 5)COに係る記録(原産性を立証する裏付け資料等)はCO発給後5年間保存。

検認(付属書3 Section 6, 7)書面による検認→訪問による検認というステップを踏み、訪問による検認の場合は、輸出政府当局(日本の場合は経済産業省)が実施(輸入国税関はオブザーバーの立場)。

Ⅲー2. その他運用上の手続きについて

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日印EPA発効時に相手国へ輸送中の産品又は一時蔵置されている産品のための経過措置は、これまでのEPA同様規定されている。

原産地証明書(CO)は、発効日より発給されることから、上記の場合は、船積み日より後に発給される「遡及発給」されたCOを相手締約国の国内法令に従って同締約国の税関に提出の上、特恵関税を要求することができる。

Ⅲー3. 日印EPA発効直後の経過措置

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発効日8月1日

(原産地証明書発給開始)

日本(船積み)

締約国(通関)

CO(船積日より後なので「遡及発給」された原産地証明書を提出)

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Ⅳ. リンク集

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Ⅳ. リンク集

-FTA/EPA全般(日本語)

http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/epa/index.html

-日印協定

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fta/j_india/pdfs/ijcepa_ba_j.pdf (日本語)

http://www.mofa.go.jp/region/asia-paci/india/epa201102/pdfs/ijcepa_ba_e.pdf (英語)

-原産資格を立証するための基本的考え方と整えるべき保存書類の例示

http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/epa/file/roo_guideline.pdf-EPAにおける繊維製品の原産地規則の解説

http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/epa/file/guideline_for_texitile_and_apparel.pdf

-問い合わせ先

経済産業省通商政策局経済連携課 TEL: 03-3501-1700 FAX: 03-3501-1592同 貿易経済協力局原産地証明室 TEL: 03-3501-0539 FAX: 03-3501-5896

email: [email protected]