ソーシャル・コンシューマーの 消費意思決定プロセ … paper...

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1 JFBS 2012 年度 助成研究 Working Paper ソーシャル・コンシューマーの 消費意思決定プロセスの解明 -環境配慮型商品と寄付つき商品の消費意思決定プロセス- 2014 1 大平修司(千葉商科大学) 薗部靖史(高千穂大学) スタニスロスキースミレ(早稲田大学)

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JFBS 2012 年度 助成研究 Working Paper

ソーシャル・コンシューマーの

消費意思決定プロセスの解明

-環境配慮型商品と寄付つき商品の消費意思決定プロセス-

2014 年 1 月

大平修司(千葉商科大学)

薗部靖史(高千穂大学)

スタニスロスキースミレ(早稲田大学)

2

目次

第 1 章 はじめに ........................................................................................................... 3

第 2 章 先行研究の検討と分析枠組みの構築 ................................................................ 6

2-1 ソーシャル・コンシューマーの消費意思決定プロセスに関する先行研究 ........ 6

2-1-1 社会的課題と消費者に関する 2 つのアプローチ ......................................... 6

2-1-2 寄付つき商品に関する先行研究 .................................................................. 7

2-1-3 ソーシャル・コンシューマーの消費意思決定プロセスに関する先行研究 . 8

2-1-4 ソーシャル・コンシューマーの特徴と階層性に関する先行研究 .............. 11

2-2 分析枠組み........................................................................................................ 16

2-2-1 ソーシャル・コンシューマーの意思決定プロセス ................................... 16

2-2-2 ソーシャル・コンシューマーの階層性 ..................................................... 17

2-2-3 クラスタ間の意思決定プロセスの違い ..................................................... 18

第 3 章 実証分析 ......................................................................................................... 22

3-1 調査概要 ........................................................................................................... 22

3-2 全体分析 ........................................................................................................... 23

3-2-1 環境配慮型商品の全体分析 ....................................................................... 23

3-2-2 寄付つき商品の全体分析 ........................................................................... 26

3-2-3 全体分析の比較 ......................................................................................... 28

3-3 環境配慮型商品と寄付つき商品のクラスタ別分析 .......................................... 28

3-3-1 クラスタ間の特徴に関する分析 ................................................................ 28

3-3-2 環境配慮型商品のクラスタ別分析 ............................................................. 32

3-3-3 寄付つき商品のクラスタ別分析 ................................................................ 35

3-3-4 環境配慮型商品と寄付つき商品のクラスタ間の意思決定プロセスの比較 38

第 4 章 おわりに ......................................................................................................... 40

参考文献 ....................................................................................................................... 42

3

第 1 章 はじめに

本研究は 2011 年度 JFBS 助成研究『消費を通じた社会的課題の解決:日本におけるソー

シャル・コンシューマーの発見』の続編にあたる研究である。我々三人は,東日本大震災

後の現在の日本社会は消費を通じて社会的課題の解決を図るソーシャル・コンシューマー

の萌芽期にあると理解しており,そのようなソーシャル・コンシューマーの特徴を明らか

にしたいということは,前回の助成研究を受けた時点からから変わっていない。そのため,

本章では前回の研究で明らかになったことと,それを踏まえたうえでのこの研究の目的を

述べる。

前回の Working Paper では,株式会社ヤラカス館の中間大維氏にご提供いただいた東日

本大震災後の 2 次データとオリジナル・データを用いて,日本のソーシャル・コンシュー

マーの特徴を明らかにした(大平・薗部・スタニスロスキー 2012)。この研究では,日本

のソーシャル・コンシューマーの特徴を明らかにするために,2 次データとオリジナル・デ

ータという 2 つの異なるデータを用いて分析を行った。

まず 2 次データによる分析では,寄付や物品寄贈,ボランティアの実施というシビック・

アクション(Civic Action)とエコ商品や寄付つき商品,フェアトレード商品,オーガニッ

ク商品の購買というソーシャル・コンサンプション(Social Consumption)から構成され

る社会的課題解決行動の経験の有無を従属変数としてクラスタ分析を実施し,サンプルを

探索的に 6 つに階層化した。その 6 層について,デモグラフィックス(性別,年代,婚姻

の有無,子どもの有無,職業)およびサイコグラフィックス(社会的課題への関心,企業

の社会貢献への関心,企業の社会貢献に関する情報への関心,ソーシャル・プロダクトの

他者への推薦,シビック・アクションによるより良い社会づくりへの認識,ソーシャル・

コンサンプションによるより良い社会づくりへの認識)の特徴を検討すると,結果的には

社会的課題の解決という点から,日本の消費者は,現在のソーシャル・コンシューマー層

(26.2%),潜在的ソーシャル・コンシューマー層(39.8%),無関心層(34.1%)の 3 層に

階層化できるという点が明らかとなった。

次にオリジナル・データを用いた分析では,2 次データでの社会的課題解決行動の経験の

有無でアンケートを実施していたことを踏まえ,その頻度を尋ねることで,サンプルを階

層化する際の精度を高めるようにした。また,2 次データを用いた分析では,シビック・ア

クションも含めて社会的課題解決行動としていたが,よりソーシャル・コンシューマーの

消費の側面に焦点を当てるため,ソーシャル・コンサンプションのみを用いて分析を行っ

た。さらに,サイコグラフィック変数は,先行研究でよく用いられている知識や関心,態

度などの変数を用いた。

分析では,ソーシャル・コンサンプションを従属変数としたクラスタ分析を実施した。

その結果,2次データで推測したのと同様に,日本の消費者は3つの層に分けることができ,

最もソーシャル・プロダクトの購入頻度が高いソーシャル・コンシューマーが 25.4%,購

4

入頻度が中程度の Self-Interested が 44.1%,Indifferent が 30.5%,それぞれ存在していた。

また,それぞれの階層について,デモグラフィックス(性別,年代,婚姻関係,子どもの

有無,世帯年収,最終学歴,職業)およびサイコグラフィックス(知識と関心,態度,購

買意図,有効性評価,品質判断と価格,情報取得,入手可能性)について,統計的に有意

な違いが示された。

以上のように,大平・薗部・スタニスロスキー(2012)では,消費を通じて社会的課題

の解決を図るソーシャル・コンシューマーとそうではない消費者の特徴の違いを明らかに

した。しかし,最後の課題で述べているように,それら 3 つ層の消費意思決定の違いにつ

いては,統計的に有意な結果を得ることができなかった(大平・薗部・スタニスロスキー

2012,73 ページ)。この結果を受け,今回の助成研究では,ソーシャル・コンシューマー

の消費意思決定プロセスに関する先行研究の検討と分析枠組みの構築,また前回の調査で

消費意思決定プロセスに統計的に有意な結果が得られなかったことを踏まえて,質問項目

や質問文を再検討した。その成果がこの Working Paper である。

本研究の目的は,定量分析を通じて,東日本大震災後の日本のソーシャル・コンシュー

マーの意思決定プロセスを明らかにすることにある。具体的には,過去の社会的課題解決

行動に基づいて,日本の消費者を階層化し,有効性評価と入手可能性評価を加えた計画的

行動理論モデルを用いて,クラスタごとの環境配慮型商品と寄付つき商品の意思決定プロ

セスの違いを検討する。

本研究で使用する主な用語は,ソーシャル・コンシューマー(Social Consumers)とソ

ーシャル・プロダクト(Social Products)である。まずソーシャル・コンシューマーとは,

「消費を通じて社会的課題の解決を行う個人」と定義する。次にソーシャル・プロダクト

とは,「社会的課題の解決に繋がる製品・サービス」と定義する。今回の研究では,ソーシ

ャル・プロダクトの中でも,日本の消費者に身近である環境配慮型商品と寄付つき商品を

用いて分析を行った。その理由は,大平・薗部・スタニスロスキー(2012)で示されたよ

うに,オーガニック商品と特にフェアトレード商品の購入経験のある消費者が非常に少な

いからである。

本研究の概要は,以下の通りである。第 2 章では,ソーシャル・コンシューマーの消費

意思決定プロセスおよびその特徴と階層性に関する先行研究の検討を通じて,本研究の分

析枠組みを構築する。第 3 章では,前章で提示された研究枠組みに基づいて,アンケート

調査による定量分析を実施する。具体的には,まず全サンプルを用いて,環境配慮型商品

と寄付つき商品別の意思決定プロセスについて分析を行い,2 つのソーシャル・プロダクト

の意思決定プロセスの違いを検討する。次にソーシャル・コンサンプションとシビック・

アクションの実施頻度に基づいて,ソーシャル・プロダクト別にクラスタ分析を実施し,

各クラスタの特徴を検討する。最後に環境配慮型商品と寄付つき商品,それぞれのクラス

タごとの意思決定プロセスを分析し,クラスタ別の意思決定プロセスの違いを検討する。

第 4 章では,分析結果についてのディスカッションや結論,今後の課題を述べる。

5

なお,学会の設立と同時に,本研究を助成対象に選出していただいた企業と社会フォー

ラムに対して,この場を借りて感謝を申し上げたい。この研究助成がなければ,日本のソ

ーシャル・コンシューマーの理解をここまで深めることはできなかったであろう。

6

第 2 章 先行研究の検討と分析枠組みの構築

2-1 ソーシャル・コンシューマーの消費意思決定プロセスに関する先行研究

欧米のソーシャル・コンシューマーに関する研究は,1970 年頃から始まり,当初の研究

ではソーシャル・コンシューマーの特徴について検討された。その後,1990 年代から 2000

年代にかけて,主にデモグラフィック変数とサイコグラフィック変数を用いて,一般の消

費者の中からソーシャル・コンシューマーの特徴を抽出するという研究が行われるように

なった。さらに,近年ではソーシャル・コンシューマーがどのような意思決定プロセスを

経て消費行動を取っているのかに関する研究が主流となっている。以下では,そのような

ソーシャル・コンシューマーに関する先行研究の検討を通じて,第 3 章で行う実証分析の

分析枠組みを提示する。

2-1-1 社会的課題と消費者に関する 2 つのアプローチ

社会的課題と消費者の関係を扱った研究は,当初の研究では Socially Conscious

Consumer(Anderson and Cunningham 1972;Brooker 1976;Fisk 1973;Webster 1975)

を捉える研究が行われていた。その後,社会的課題と消費者に関する研究では,消費を通

じて環境問題を解決するグリーン・コンシューマー(Green Consumers),倫理問題を解決

する倫理的消費者(Ethical Consumers)に焦点を当てている(Diamantopoulos,

Schlegelmilch, Sinkovics and Bohlen 2003;Newholm and Shaw 2007)。本研究では,こ

のグリーン・コンシューマーに関する研究の流れを環境問題アプローチ,倫理的消費者に

関する研究を倫理問題アプローチと呼ぶ。

まず環境問題アプローチでは,心理学,社会学,政治学,環境研究,経営研究,マーケ

ティングという多分野から,それぞれ研究が行われている( Diamantopoulos,

Schlegelmilch, Sinkovics and Bohlen 2003)。中でも,心理学での研究では,社会心理学の

一分野として環境心理学という分野も確立している(広瀬編,2008)。また,それらの具体

的内容は,①環境配慮行動に関する研究(リサイクルや廃棄物処理といったゴミ問題など,

②市場細分化の手法を用いて環境配慮を行う消費者の識別,③ボランティア団体などの組

織や他者が環境配慮行動に影響を与える研究などが行われている。

次に倫理問題アプローチは,主にマーケティングと消費者行動論の分野で行われている

研究である。Newholm and Shaw(2007)によると,倫理問題アプローチでは①市場細分

化の手法を用いての倫理的消費者の識別,②消費者意思決定・情報・複雑性・道徳,③倫

理的消費という文化の広がり,④倫理的消費と非倫理的消費,⑤倫理的消費の政治学,⑥

個人としての消費者行動・市民性・集合行為,⑦Pro-Social Consumer の育成,⑧「倫理的

製品」市場の成長における消費という点から研究が行われてきたと指摘している。

以上の 2 つのアプローチは,Roberts(1995)や Leigh, Murphy and Enis(1988),Shaw

and Shiu(2002・2003),Newholm and Shaw(2007),Devinney, Auger and Eckhard

7

(2010)も指摘しているように重複する部分がある。しかし,これらの研究では,それぞ

れのアプローチで研究が深化してきた一方で,それらをまとめた社会的課題と消費者とい

う視点で分析する枠組みは検討されてこなかった。

しかし,上述したように,社会的課題と消費者の初期の研究は,環境問題と倫理問題を

含んだ社会的課題に関心のある消費者に関する研究であった。また,近年では Devinney,

Auger and Eckhard(2010)が倫理的消費者をより広く捉え,消費者の社会的責任

(Consumer Social Responsibility)という包括的な視点から捉える必要性を指摘している。

このような理解は,我々の問題意識から社会的課題と消費者を研究するうえで,重要な示

唆を与えている。

つまり,多様な社会的課題と消費者との関係を分析するためには,環境問題と倫理問題

をそれぞれ個別に扱うのではなく,それらを総合的に考える必要がある。そのため,本研

究では,それらを包括的に捉えるために「社会的課題と消費者」という枠組みから,環境・

倫理問題に対するアプローチについての先行研究の検討を通じて,日本のソーシャル・コ

ンシューマーの意思決定プロセスのフレームワークの構築を試みる。

2-1-2 寄付つき商品に関する先行研究

まず寄付つき商品に関する先行研究を検討する。ただし,寄付つき商品に関する先行研

究は,環境・倫理問題アプローチのように豊富な研究蓄積があるわけではない。特にそれ

ら両アプローチで検討されている意思決定プロセスに関する先行研究は皆無といってもよ

い。そのため,以下では寄付つき商品に関する先行研究を整理したうえで,周辺の研究領

域の意思決定プロセスに関する先行研究を検討する。

寄付つき商品と消費者の関係を学術的に捉えると,それはコーズ・リレイテッド・マー

ケティング(Cause-Related Marketing:CRM)研究に位置づけられる。CRM とは「顧客

が組織や個人の目的を充足させるべく,購買行動を取るときに,特定のコーズ(社会的主

張)に対して目標額に達することを目指して,企業がマーケティング活動を定式化し,実

行するプロセス」(Varadarajan and Menon 1988)である。Andreasen(1996)は,CRM

の類型として,取引ベースのプロモーションと共同問題プロモーション,ライセンシング

を挙げている。中でも,共同問題プロモーションは企業と NPO による商品やプロモーショ

ン,流通などを通じた社会的課題の解決への取り組みを意味しており,このうち,企業と

NPO の協働によって提供されるのが寄付つき商品である。

CRM に関する研究では企業と NPO との協働など,多様な視点から研究が行われている

ものの(大平 2010),企業の社会貢献活動の視点から行われている研究が多い(薗部 2008)。

CRM と消費者に関する研究では,CRM のキャンペーンや社会的課題,CSR が消費者の態

度や意図に与える影響を検討しており(Barone, Miyazaki and Taylor 2000;Grau and

Folse 2007;Hou, Du and Li 2008;Lafferty and Edmondson 2009;Bignè-Alcañiz,

Curràs-Perez, Ruiz-Mafè and Sanz-Blas 2010),寄付つき商品に関する消費者の購買意思

8

決定プロセスを包括的に検討している研究はほとんどない。以上を踏まえて,寄付つき商

品の意思決定プロセスについては,環境・倫理問題アプローチの先行研究の検討を通じて,

分析モデルを構築する。

2-1-3 ソーシャル・コンシューマーの消費意思決定プロセスに関する先行研究

社会的課題との関係の中で,消費者の意思決定プロセスを明らかにした研究には,大き

く 2 つの流れがある。

(1)消費者倫理に関する研究

1 つは倫理問題アプローチに限定されるが,Hunt and Vitell(1986)による「マーケティ

ング倫理の一般理論」に基づく,一連の研究である。このモデルでは,義務論(Deontology)

と目的論(Teleology)に基づいて倫理的な消費者行動プロセスに関する Hunt-Vitell モデ

ルを提示している。それに基づいて,Muncy and Vitell(1992)および Vitell and Muncy

(1992)が消費者倫理スケール(Consumer Ethics Scale)を開発し,それに依拠する形で,

様々な研究が行われている。ここで,消費者倫理スケールとは,消費者の倫理的信念に関

するスケールであり,これには「自発的な違法行為で便益を得る(Actively Benefiting from

Illegal Activities)」「他者のミスから受動的に便益を得る(黙認)(Passively Benefiting)」

「自発的な不正行為で便益を得る(Actively Benefiting from Deceptive Practices)」「危害

がない行為であれば問題がないと考える(No Harm /No Foul)」という要因から構成され

ると,Muncy and Vitell(1992)および Vitell and Muncy(1992)は指摘している。

(2)合理的行動理論と計画的行動理論に依拠した研究

もう 1 つは,倫理・環境両分野に共通して,Ajzen and Fishbein(1980)による合理的

行動理論(Theory of Rational Action:TRA),あるいは Ajzen and Madden(1986)や

Ajzen(1991)による計画的行動理論(Theory of Planned Behavior:TPB)を倫理・環境

分野に応用した研究である。これらの研究では,行動に対する態度(Attitude Toward the

Behavior)と主観的規範(Subjective Norm),行動統制(Perceived Behavioral Control)

が意図(Intention)に影響を与え,さらに意図が行動(Behavior)に影響を与えるという

人の意思決定プロセスを仮定している(De Pelsmacker and Janssens 2007)。この仮定に

基づき,これら一連の研究では,単にそれら 2 つの理論を倫理・環境問題に応用するだけ

でなく,新たな変数を加えて精緻化を試みている(図表 1)。

9

図表 1 TRA/TPB の拡張モデルで検討された変数

研究者 変数名

倫理問題アプローチ

Gorsuch and Ortberg(1983) 道徳的義務

Sparks, Shepherd and Frewer(1995) 知覚された倫理的義務

Shaw, Shiu and Clark(2000),Shaw and

Shiu(2002・2003)

倫理的義務,自己同一性

Fukukawa(2002) 社会的影響,機会,知覚されたアンフェアネス

Honkanen, Verplanken and Olsen(2006) 環境保護への動機,政治的動機,地域的動機

Guido, Preto, Peluso, Maloumby-Baka and

Buffa(2010)

製品のパーソナリティ,道徳的規準,主観的規準

Yoon(2011) 道徳的義務,正義,知覚された便益,知覚された危険,習慣

環境問題アプローチ

Gill, Crosby and Taylor ( 1986 ), Ellen,

Wiener and Cobb-Walgren(1991)

環境への関心

Berger and Corbin(1992) 他者への影響における信頼

Sparks and Shepherd(1992) 自己同一性,過去の消費

Taylor and Todd(1995) 態度(関連優位,複雑性),潜在的規準(内的規準の信念,外的規準の

信念),有効性評価(自己有効性,両立性,資源を助長する状況)

Minton and Rose(1997) 環境への関心,社会的規準

Mainieri, Barnett, Valdero and Oskamp

(1997)

知識,信念

Cheung, Chan and Wong(1999) 環境知識,過去の行動

Kaiser, Ranney, Hartig and Bowler(1999),

Kaiser, Wolfing and Fuhrer(1999)

環境知識,環境価値,社会的責任への感情,エコロジー行動への意図

Chan and Lau(2000) 男性本位,文化・感情の反応,他人の影響,認知的評価,知識

Kaiser and Shimoda(1999) 罪悪感への感情,社会的適任への感情と判断

Chan(2001) 男性本位,集団主義,エコロジーに関する知識,環境への感情

McCarty and Shrum(2001) リサイクルの不便さ(経済的ステータス,個人主義),リサイクルの重

要性(集団主義,支配の位置)

Bamberg(2003) 環境への関心,行動的信念,規範的信念,支配的な信念

Knussen, Yule, MacKenzie and Wells(2004)過去のリサイクル行動,リサイクルの知覚された習慣,リサイクル施

設の知覚された欠陥

Ohtomo and Hirose(2007) プロトタイプ・イメージ,記述的規準,命令的規範,環境への関心

Vermeir and Verbeke(2007) 知覚された確信,個人的価値

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TRA/TPB に依拠して,意図や態度に影響を与える個別の変数を特定化した研究もある

(Ellen, Weiner and Cobb-Walgren 1991;Berger and Corbin 1992;Minton and Rose

1997;Kaiser and Shimoda 1999;Shaw and Shiu 2002・2003;Kaiser and Gutscher

2003;Ohtomo and Hirose 2007)。まず倫理問題アプローチでは,Shaw and Shiu(2002・

2003)がイギリスの The Ethical Consumer Magazine の購読者を倫理的消費者と捉え,共

分散構造分析を用いて,倫理的行動意図に影響を与える潜在変数を外的行動統制から影響

を受ける「行動統制」と「主観的規範」・「内的倫理」から影響を受ける「内的参照」と特

定化している。しかし,倫理問題アプローチの研究では,TRA/TPB を用いているものの,

これらの研究の関心は「行動に対する態度」や「意図」に影響を与える要因を明らかにす

ることにある。そのため,それらの変数と実際の行動との関係は検討されておらず,どの

ような行動を取ったのかという行動変数を測定する研究は数少ない。

次に環境問題アプローチの独自の見解としては,Ellen, Weiner and Cobb-Walgren(1991)

と Berger and Corbin(1992)は有効性評価,Minton and Rose(1997)は環境への関心

と命令的規範,個人的規範,Kaiser and Shimoda(1999)は道徳的責任と伝統的責任をそ

れぞれ取り上げている。Cheung, Chan and Wong(1999)や Kaiser and Gutscher(2003)

は有効性評価が行動意図を介さずに直接行動に影響を与えると指摘している。Ohtomo and

Hirose(2007)は,行動に影響を与える要因として,行動意欲などから構成される反応的

意思決定と行動意図などから構成される意図的意思決定という独自の仮説モデルを構築し

て実証している。

さらに環境問題アプローチでは,行動変数の測定およびそれらの行動意図への影響の検

討を行っている(Gill, Crosby and Taylor 1986;Cheung, Chan and Wong 1999;Kaiser,

Ranney, Hartig and Bowler 1999;Kaiser, Wolfing and Fuhrer 1999;Chan and Lau

2000;Chan 2001;McCarty and Shrum 2001;Bamberg 2003;西尾 2005;Ohtomo and

Hirose 2007)。Kaiser, Ranney, Hartig and Bowler(1999),Kaiser, Wolfing and Fuhrer

(1999)はエコロジカル行動をエコロジカルとプロソーシャルの 2 つの行動から測定し,

行動意図が行動に影響する点を明らかにしている。McCarty and Shrum(2001)はリサイ

クル行動を測定し,リサイクルの不便さはリサイクル行動に負の影響を与え,リサイクル

の重要性は正の影響を与えると指摘している。西尾(2005)は,感情的評価側面と意図的

評価側面から行動意図を構成し,ゴミ減量行動における行動意図とエコロジー行動の因果

関係を検討しており,行動意図とエコロジー行動には因果関係があると指摘している。

(3)態度と行動の乖離

先行研究に従うと,倫理や環境問題に関する消費者行動を分析するには,TRA/TPB を応

用することが有効である。しかし,倫理や環境問題に TRA/TPB を応用した消費者行動研究

では,態度(意図)と行動との乖離(Attitude(Intention)-Behavior Gap)が,一般の消

費者行動よりも頻繁に生じる点が指摘されている(広瀬 1994・1995;Simon 1995;Roberts

1996a;杉浦・大沼・野波・広瀬 1998;Folkes and Kamins 1999;Boulstridge and Carrigan

11

2000;杉浦 2003;Carrigan and Attalla 2001;西尾 2005;Auger and Devinney 2007;

Carrington, Neville and Whitwell 2010)。

例えば,Simon(1995)は企業努力と消費者選好の間には「社会的課題ギャップ(Social

Issue Gap)」が存在すると指摘し,Boulstridge and Carrigan(2000) や Carrigan and

Attalla(2001)はそのギャップを「態度と行動の乖離」という言葉で表現している。また,

そのようなギャップが生じる理由について,Roberts(1996a)は「グリーン・プロダクト

はあまりにも高価である」,「価格,品質,利便性が消費者の重要な意思決定要因である」,

「アメリカ人の 30%が環境への主張を比較している」,「顧客はグリーン・プロダクトに困

惑している」,「企業はグリーン・プロダクトの提供に躊躇している」と指摘している。

このような態度と行動の乖離が生じることを踏まえ,先行研究では様々な指摘がなされ

ている。まず広瀬(1994・1995)は,これまでの環境心理学分野での態度と行動に関する

研究では,一般的な態度を検討しているものと,個別的な行動意図を検討しているものが

あると指摘したうえで,一般的認知によって説明される行動の規定因を「目標態度」,便益・

費用や社会的規範などの行動についての評価によって説明される行動の規定因を「行動意

図」と呼んで,環境配慮行動を説明するモデルを提示している。Carrington, Neville and

Whitwell(2010)は倫理問題アプローチの研究では,態度と行動の乖離を指摘している研

究は行動を測定していないものが多いと指摘している。つまり,この研究が指摘するのは,

先行研究では態度と行動の乖離と言いながらも,行動を測定していないことから,本来は

意図と行動の乖離を検討すべきであると指摘しているのである。

2-1-4 ソーシャル・コンシューマーの特徴と階層性に関する先行研究

(1)ソーシャル・コンシューマーの特徴に関する先行研究

ソーシャル・コンシューマーの特徴を検討した研究では,市場細分化の代表的な基準で

あるデモグラフィックやサイコグラフィック変数を用いて,その特徴を明らかにしている。

グリーン・コンシューマーの特徴に関するレビューを行っている Roberts(1996b)と

Diamantopoulos, Schlegelmilch, Sinkovics and Bohlen(2003)は,性別や婚姻関係,年

齢,子どもの数,教育,社会階層,収入,居住地というデモグラフィック変数が高頻度で

用いられると指摘している。また,サイコグラフィック変数として,Diamantopoulos,

Schlegelmilch, Sinkovics and Bohlen(2003)は知識や態度,行動を挙げ,Roberts(1996)

は政治的立場,利他主義,有効性評価,関心なども用いられることが多いと指摘している。

一方,倫理的消費者の特徴に関する研究では,性別や教育,婚姻,職業,年齢といった

デモグラフィック変数と消費者倫理スケール,マキャベリズム,理想主義,相対主義とい

う変数を用いて,国ごとの倫理的意識の違いを明らかにしている(Rawwas, Patzer and

Klassen 1995;Erffmeyer, Keillor and LeClair 1999)。中でも,Erffmeyer, Keillor and

LeClair(1999)は日本人をデモグラフィック変数によって分類し,コンシューマー・エシ

カル・スケールやマキャベリズム,理想主義,相対主義が影響する程度を測定しているが,

12

大半の変数において,統計的に有意な結果を得ていない。

また,ソーシャル・コンシューマーに関する研究は,クラスタ分析や因子分析を用いて

消費者を細分化し,そのセグメントごとの違いを検討している。分類する際の基準として

使用されている変数には,環境配慮や倫理的行動(Roberts 1995;Cowe and Williams

2001;Gilg, Barr and Ford 2005;Awad 2011;山村・宮原・古木 2011;大平・薗部・ス

タニスロスキー 2012),デモグラフィック変数(性別や年齢,収入,教育レベル,職業)

と環境要因(関心や影響,知識,環境配慮行動,行動主義,価格への感度,リサイクル,

有効性評価,懐疑主義)(do Paco et al. 2009),消費者の属性と消費性向(宮原・山村・古

木 2009),ライフスタイル(山村・宮原・古木 2010)などが用いられている。

具体的に消費者を階層化している研究では,3 つに階層化している研究(Al-Khatib,

Stanton and Rawwas 2005;Do Paco, Rapose and Filho 2009;大平・薗部・スタニスロ

スキー 2012)や 4 層(Roberts 1995;Gilg, Barr and Ford 2005;Awad 2011),5 層(Cowe

and Williams 2001;宮原・山村・古木 2009;山村・宮原・古木 2010,2011)など,分

析に応じてクラスタ数は異なっている。クラスタ分析で実施する手法としては,例えば山

村他(2011)ではサンプル数が 11 万件を超えることを踏まえて,クラスタ数を自ら設定で

きる非階層的クラスタ分析を実施している。その一方で,Roberts(1995)では質問数が多

いことから,変数の絞り込みのために因子分析を実施し,その後,サンプル数が 605 と少

ないことを踏まえて,ウォード法(Ward’s Method)を用いて階層的クラスタ分析を実施し

ている。

さらに,クラスタごとの違いについては,χ2検定や分散分析などが用いられている。分

析の際にクラスタを特徴づける変数として,年齢や性別,居住地,家の所有,家のタイプ,

収入,学歴,婚姻,子どもの有無,教育といったデモグラフィック変数が大半の研究で用

いられている。それ以外にも有効性評価(do Paco et al. 2009;Award 2011)や環境配慮

行動(do Paco et al. 2009;山村他 2010,2011;Award 2011)といったサイコグラフィ

ック変数も用いられている。

(2)ソーシャル・コンシューマーの階層性に関する先行研究

ソーシャル・コンシューマーの階層性とその階層ごとの特徴を検討した代表的な研究と

して,アメリカ人を対象とした Roberts(1995)やイギリス人を対象とした Cowe and

Williams(2001),日本人のグリーン・コンシューマーを対象とした山村・宮原・古木(2010),

日本人のソーシャル・コンシューマーを対象とした大平・薗部・スタニスロスキー(2012)

がある(図表 2)。

Roberts(1995)は 605 名に対して調査を実施し,社会的責任消費者行動スケールを用い

てクラスタ分析を行い,消費者を 4 つのクラスタに細分化している。そのうえで,デモグ

ラフィック変数では年齢や性別,教育,収入,職業,サイコグラフィック変数では有効性

評価や自由主義,疎外感がソーシャル・コンシューマーの階層ごとの特徴を識別する変数

として相応しいと指摘している。

13

Cowe and Williams(2001)はイギリス人 2,000 名に調査を実施し,行動を用いてクラ

スタ分析を行い,5 つのクラスタに細分化している。クラスタごとの特徴を見る際に用いた

変数は,年齢や社会階層,居住地,職業,婚姻などといったデモグラフィック変数,ブラ

ンド名や品質,従業員の扱い,政策,コミュニティといった購買変数,友人・知人や新聞,

テレビ,NPO といった情報源,リサイクルや GM-free(遺伝子組み換えでない),フェア

トレード,菜食主義者の社会といったラベルに対する考え方である。

日本の消費者を対象としている山村・宮原・古木(2010)は,日本のグリーン・コンシ

ューマーについて,goo リサーチライト登録モニター1,000 名に調査を行っている。具体的

には,デモグラフィックや消費者属性,消費性向などを質問し,その結果からライフスタ

イル変数を用いてクラスタ分析を行い,5 つのクラスタに識別している。

大平・薗部・スタニスロスキー(2012)は,寄付つき商品やエコ商品,フェアトレード

商品,オーガニック商品といったソーシャル・プロダクトの購買というソーシャル・コン

サンプションの経験の頻度を従属変数としたクラスタ分析を実施し,日本の消費者を Social

Consumer と Self-Interested,Indifferent に階層化している。分析では,デモグラフィッ

クス(性別,年代,婚姻関係,子どもの有無,世帯年収,最終学歴,職業)およびサイコ

グラフィックス(知識と関心,態度,購買意図,有効性評価,品質判断と価格,情報取得,

入手可能性)から,それぞれのクラスタの特徴を比較している。

図表 2 ソーシャル・コンシューマーのクラスタとその特徴

研究者名 セグメント名 各セグメントの特徴

Roberts

(1995)

Socially Responsibles

(32%)

リベラルであり,Greens よりお金を稼ぎ,政治に関わり,民主党を支持し,

大学を卒業していて,既婚者で持ち家がある。

Middle-Americans(45%) 環境への関心が高く,よく教育されており,無党派層であり,3 分の 2 は既婚

者で,80%は持ち家がある。

Greens(6%) エコロジーへの意識が高く,56%が女性で,既婚者であり,大学を卒業してい

て,持ち家がある。

Browns(17%) 環境や社会への関心が低く,男性の割合が高く,最も所得があり,72%が大学

を卒業していて,既婚者で,共和党を支持している。

Cowe

and

Williams

(2001)

①Global Watch Dogs

(5%)

倫理的立役者。裕福で専門的職業を持った 35~55 歳で,教養があり,都会人

で,主に南東部(特にロンドン)に住み,消費者としての自覚と自信がある。

②Conscientious

Consumer

(18%)

価値と質を重視している(倫理性もその一つと考えられる)。比較的ブランド

は気にしないが,保守的で,中太南東部(ロンドン以外)に住んでいる。消費

者としての力をある程度意識している。

③ ‘Do What I Can’

(4%)

倫理的動機は弱い(しかしある程度ある)。高齢者で(4 分の 1 が 65 歳以上),

持ち家に住み,多くがロンドン近郊に住んでいる。消費者として,やや無力だ

と考えている。

14

④Brand Generation

(6%)

倫理的関心はブランドより劣る。しかし,倫理性もブランド価値に含まれる。

若く(3 分の 1 が 25 歳以下),学生も多い。中部,北部に住んでいる。消費者

としての力を意識しているが,行使することは稀である。

⑤ ‘Look after My Own’

(22%)

倫理的な動機はほとんどない。若く,低所得で,北部やスコットランドに多い。

失業している割合が高く,多くが消費者として無力だと考えている。

山村・宮

原・古木

(2010)

①セグメント 1

(28.1%)

環境や自然,健康に対する関心が高く,物事に広く関心を持ち,積極的に情報

収集を行う。商品を購入する際には,価格以外を重視する傾向にある。日々の

生活においても環境意識は高く,環境に配慮した生活を積極的に実践してい

る。年齢は 30 代中心で,平均年齢,男女比率も平均的。セグメント間比較で

は既婚率は平均的。

②セグメント 2

(14.6%)

健康に対する関心は高いが,流行や口コミには興味を示さない傾向にある。

日々の生活における環境配慮度合いは平均的と言えるが,ゴミの削減に関して

はやや実践率が高い。一方,レジ袋辞退率はやや低くなっているが,これはセ

グメントの主な構成の要素である,男性のマイバッグ持参率が低いことが影響

していると考えられる。年齢は 40 代中心で 50~60 代以上の割合が他のセグメ

ントと比べて高く,平均年齢が高い。男性の割合が多い。セグメント間比較で

最も既婚率が高い。

③セグメント 3

(18%)

環境や自然,健康に対する関心はあるものの,環境配慮商品にはあまり興味が

ない。物事に広く関心を持ち,流行に敏感であり,自己を高めることにも積極

的である。日々の生活における環境意識はやや高く,特に省エネ・節水やリサ

イクル,水質保全などの家事に関わる事柄に対する実践率が高い傾向にある。

30 代中心で,平均年齢は平均的。女性の割合が高い。セグメント間では既婚率

は平均的。

④セグメント 4

(24.3%)

あまり特徴がない。日々の生活における環境配慮度合いがやや低く,特に手間

のかかることは避ける傾向にある。30 代中心で,平均年齢,男女比率ともに平

均的。セグメント間比較では既婚率は平均的。

⑤セグメント 5

(14.9%)

物事にあまり関心を示さず,こだわりや自己主張がなく,自ら行動することも

少ない。商品を購入する際には,何よりも価格を重視する傾向にある。日々の

生活においても環境意識は低く,環境に配慮した生活とはかけ離れている。30

代中心で 20 代の割合が他のセグメントと比べて高く,平均年齢が低い。男女

比率は平均的。セグメント間比較で最も既婚率が低い。

大平・薗

部・スタ

ニスロス

キ ー

(2012)

Social Consumer

(25.4%)

デモグラフィクス:性別は問わない。年齢が高く,やや既婚者が多い。年収・

学歴も高い傾向がある。職業としては専門職,会社経営者,自営業に多い。

サイコグラフィクス:全てのソーシャル・プロダクトにおいて,最も知識が豊

富で,高い関心があり,態度と購買意図が形成されている傾向がある。全ての

ソーシャル・プロダクトの品質が良く,それに関する情報を得やすく,入手可

15

能性が高いと考える傾向がある。全てのソーシャル・プロダクトにおいて,社

会と企業への影響を最も高く評価している。

Self-Interested

(44.1%)

デモグラフィクス:女性,50-60 代に多い。既婚者で子どもがいる傾向がある。

職業としては,専業主婦や自由業に多い。

サイコグラフィクス:エコ商品・寄付つき商品・オーガニック商品において,

知識と関心がソーシャル・コンシューマーより低く,無関心層よりは高く,態

度と購買意図がソーシャル・コンシューマーほど形成されておらず,無関心層

より形成されている傾向がある。オーガニック商品のみ,無関心層より価格が

高いと判断する傾向がある(有意差はない)。フェアトレード商品に関する知

識は無関心層と同程度である。エコ商品・寄付つき商品・オーガニック商品に

おいて,品質判断・情報取得・入手可能性はソーシャル・コンシューマーより

も低く,無関心層よりも高い傾向がある。全てのソーシャル・プロダクトにお

いて,社会と企業への影響はソーシャル・コンシューマーよりも低く,無関心

層よりも高いと考える傾向がある。

Indifferent

(30.5%)

デモグラフィクス:男性や若年層に多く,未婚者で子どもがいない比率が高い。

年収・学歴がともに低い傾向がある。職業では学生,公務員,無職に多い。

サイコグラフィクス:全てのソーシャル・プロダクトにおいて,知識と関心が

低く,態度と購買意図が形成されていない傾向がある。全てのソーシャル・プ

ロダクトにおいて,品質判断・情報取得・入手可能性について低い傾向がある。

全てのソーシャル・プロダクトにおいて,社会と企業への影響がないと考える

傾向がある。

出所:Roberts(1995)pp.109-110,Cowe and Williams(2001)pp.31-33,山村・宮原・

古木(2010)51 ページ,大平・薗部・スタニスロスキー(2012)72 ページより作成。

では,ソーシャル・コンシューマーはどのくらいの割合で存在しているのだろうか。大

平・薗部・スタニスロスキー(2012)は,日本の消費者の 24.5%がソーシャル・コンシュ

ーマーであると指摘している。アメリカ人を対象に研究を行った Roberts(1995)は,大

平・薗部・スタニスロスキー(2012)におけるソーシャル・コンシューマーに該当する消

費者が 32%存在すると指摘している。しかし,図表 2 の内容から,環境とエコロジーへの

意識の高い消費者を含めると最下層を除いて,全てがソーシャル・コンシューマーである

と解釈することができ,ソーシャル・コンシューマー層は 83%となる。同様に,Cowe and

Williams(2001)では,およそ 6 割の人が「自分は倫理的消費者である」と回答したとい

う調査結果が示されている。それ以外には,グリーン・コンシューマーの割合が,ポルト

ガル人を対象とした do Paco et al.(2009)では 35%,バーレーン人を対象としたAwad(2011)

では 32.7%となっている。これらの先行研究を踏まえると,ソーシャル・コンシューマー

は少なくとも 25%程度存在し,特にグリーン・コンシューマーに限定するとその割合はさ

16

らに高くなると推測される。

2-2 分析枠組み

2-2-1 ソーシャル・コンシューマーの意思決定プロセス

ソーシャル・コンシューマーの意思決定プロセスに関する研究では,主に TPB が用いら

れ,行動に対する態度と主観的規範,行動統制が意図に影響を与え,さらに意図が行動に

影響を与えると仮定したモデルで分析を行っている。日本人を対象として,TPB の拡張モ

デルを用いた研究には,消費者の環境配慮行動を扱ったものがある(西尾 2005;西尾・竹

内 2007;Ohtomo and Hirose 2007;李 2009b)。西尾(2005)は行動統制の下位概念と

して,有効性評価とルール受容性に,コスト‐ベネフィット評価,エコロジカル関与を加

えて分析を行っている。西尾・竹内(2007)は自己裁量性も行動統制の下位概念として分

析を行っている。李(2009b)は有効性評価に社会的責任と人間自然関係志向(Man-Nature

Orientation)を加えて分析を行っている。このような TPB を日本のソーシャル・コンシュ

ーマーに応用した研究から得られる示唆は,行動統制の下位概念として,有効性評価を用

いてモデルを構築するほうがよいということである。有効性評価とは,ある行動を実践す

ることが社会的課題の解決に有効であると感じる主観的な知覚の程度を意味し,消費者の

内面的な行動統制として理解することができる。

海外の研究でも有効性評価を行動統制の下位概念として捉える研究がある。Sparks,

Guthrie and Shepherd(1997)や Vermeir and Verbeke(2007)は,行動統制を有効性評

価と入手可能性評価(Perceived Availability)に分けて分析を行っている。日本社会を考

えると環境配慮型商品と比べて,寄付つき商品が本格的に導入されてからの期間はまだ短

い。そのため,本研究では寄付つき商品を入手できるかどうかという入手可能性評価も行

動統制の下位概念と捉えて検討を行う。つまり,本研究では有効性評価を消費者の「内的

な」行動統制,入手可能性評価を「外的な」行動統制と理解して分析を行う。

以上をまとめると,ソーシャル・コンシューマーの意思決定プロセスは,態度と主観的

規範,有効性評価,入手可能性評価のそれぞれが意図に影響を与えると仮定することがで

きる(図表 3)

17

図表 3 本研究の分析枠組み 1

2-2-2 ソーシャル・コンシューマーの階層性

大平・薗部・スタニスロスキー(2013)は東日本大震災後の 2 次データを用いて,日本

のソーシャル・コンシューマーを探索的に発見する研究を行っている。この研究では,寄

付つき商品やエコ商品,フェアトレード商品,オーガニック商品の購入といった市場を通

じた社会的課題解決行動であるソーシャル・コンサンプションと,金銭寄付や物品寄贈,

ボランティアの実践といった非市場での社会的課題解決行動であるシビック・アクション

の経験の有無を従属変数としたクラスタ分析を実施している。

分析の結果,日本の消費者は 3 つの層から構成され,現在のソーシャル・コンシューマ

ー層(ソーシャル・コンサンプションとシビック・アクションを実践している)が 26.2%,

潜在的ソーシャル・コンシューマー層(シビック・アクションを実践している)が 39.6%,

無関心層(ソーシャル・コンサンプションとシビック・アクション共に実践していない)

が 34.2%存在していることが明らかにされている。そのうえで,クラスタ間にはデモグラ

フィックおよびサイコグラフィック変数に統計的に有意な違いがある点も明らかになって

いる。

本研究では,大平・薗部・スタニスロスキー(2013)を参考にして,寄付つき商品の購

入といった市場での社会的課題解決行動であるソーシャル・コンサンプションだけでなく,

シビック・アクションを加えて行動を捉える。なぜなら,消費者には市民の側面もあり

(Harrison 2005),ボランティアや寄付もソーシャル・コンサンプションに影響を与える

18

と考えられるからである(Strahilevitz and Myers 1998;Arnold, Landry and Wood 2010)。

また,本研究では大平・薗部・スタニスロスキー(2013)を踏まえて,日本の消費者は

次の 3 つのクラスタから構成されると仮定する。それは第一に社会的課題解決行動の実践

度が高い現在のソーシャル・コンシューマー層(現在の SC 層),第二に実践度が中程度で

あることから,将来的にソーシャル・コンシューマーとなる可能性を秘めている潜在的ソ

ーシャル・コンシューマー層(潜在的 SC 層),実践度が低く社会的課題の解決に関心がな

いと想定される無関心層である。

ただし,本研究は大平・薗部・スタニスロスキー(2013)の枠組みを利用するものの,

その限界を踏まえて,より精緻化した形で分析を行う。まず大平・薗部・スタニスロスキ

ー(2013)では,行動変数を測定する際に社会的課題解決行動の経験の有無で分析を行っ

ていた。経験の有無では,たとえ1回社会的課題解決行動をしただけでも経験者に含まれ

てしまい,社会的課題解決行動を厳密に捉えているわけではない。その限界を補うために,

本研究では行動の頻度を尋ねることによって,サンプルを階層化する際の精度を高める。

次に大平・薗部・スタニスロスキー(2013)の結果では,物品寄贈とオーガニック商品

では 8 割以上,フェアトレード商品では 9 割以上の消費者には,それらの実践・購入経験

がなかった。さらに,東日本大震災以降に広がりを見せた「応援消費」も新たなソーシャ

ル・コンサンプションに含めることができる。以上を踏まえて,本研究では,ソーシャル・

コンサンプションとして寄付つき商品と環境配慮型商品(エコ商品),応援消費,シビック・

アクションとして寄付とボランティアという社会的課題解決行動の頻度を用いる(図表 4)。

以上を踏まえ,本研究では前述した 3 つのクラスタ間に性別,年齢,婚姻関係,子ども

の有無というデモグラフィック変数において統計的に有意な違いがあると仮定する。

図表 4 個人の社会的課題解決行動の類型

主体 行動 項目

Citizen Civic Action 寄付

ボランティア

Social

Consumer

Social

Consumption

寄付つき商品

環境配慮型商品

応援消費

2-2-3 クラスタ間の意思決定プロセスの違い

環境問題と消費者に関する研究では,消費者を階層化し,クラスタごとの意思決定プロ

セスの違いを検討している(Bamberg 2003;西尾 2005)。Bamberg(2003)は環境問題

への関心の高低から消費者を 2 つに分け,多母集団同時分析を用いて,意思決定プロセス

の違いを検討している。西尾(2005)はエコロジー行動の実践度を従属変数としたクラス

19

タ分析を行い,消費者を 4 クラスタに階層化している。そのうえで,エコロジー行動の実

践度が高い「エコロジスト」とリサイクルを中心に環境配慮行動を実践している「リサイ

クラー」の意思決定プロセスには違いがあると指摘している。

ソーシャル・コンシューマーの意思決定に関する研究では,態度や意図と行動の乖離が

生じやすいと指摘されている(Simon 1995;Roberts 1996a;Boulstridge and Carrigan

2000;Carrigan and Attalla 2001)。態度と行動の乖離とは,例えば「寄付つき商品が好き

か,あるいは買いたいと思うか」という質問をすると,大半の消費者は「好き,あるいは

買いたい」と答えるが,実際には寄付つき商品を購買しないという現象である。この点に

ついて,Carrington, Neville and Whitwell(2010)によると,態度と行動の乖離を指摘し

ている研究では実際の行動が測定されていないという。たしかにアンケート調査を実施す

る際に行動を測定する際は,あくまでも未来の行動を現在測定しているのであり,乖離が

生じるのはアンケート調査の限界とも判断できる。しかし,未来の行動を測定するのでは

なく,過去の行動を測定し,それがソーシャル・コンシューマーの意思決定プロセスにい

かなる影響を与えているのかを分析すれば,先行研究で指摘されている態度と行動の乖離

を避けることが可能となる。

実際,TPB を提唱した Ajzen(1991)は,過去の行動が将来の行動を予測すると指摘し

ている。ソーシャル・コンシューマーの意思決定プロセスに関する先行研究でも,Sparks

and Shepherd(1992)や Cheung, Chan and Wong(1999),Biswas, Licata, Pullig and

Daughtridge(2000),Knussen, Yule, Mackenzie and Wells(2004),Chan, Wong and

Leung(2008)が TPB に過去の行動を加えたモデルを検証している。また,Thøgersen(2002)

は過去の行動を消費者の直接的な経験と捉えている。消費者の意識に購買経験が影響を与

えるのは,消費文化理論でその重要性が指摘されている(Holbrook and Hirschman 1982)。

寄付つき商品を購入した経験がある消費者の中には,「寄付つき商品を購入することが社会

的課題の解決に繋がる」という製品の意味を理解している消費者も存在しているはずであ

る(Richins 1994;Csikzentmihalyi and Rochberg-Halton 1980)。このことから,本研究

では過去の社会的課題解決行動が TPB の変数に影響を与えると仮定する。

また,上述したように本研究では,ソーシャル・コンサンプションにシビック・アクシ

ョンを加えて過去の社会的課題解決行動を捉える。なぜなら,消費者には市民の側面もあ

り(Harrison 2005),そのためボランティアや寄付もソーシャル・コンサンプションに影

響を与えると考えられるからである(Strahilevitz and Myers 1998;Arnold, Landry and

Wood 2010)。本研究では,シビック・アクションを非市場での社会的課題の解決行動と定

義する。

震災後,日本人はシビック・アクションだけでなく,ソーシャル・コンサンプションを

通じても社会的課題を解決することができるということを認知した。震災後にそのような

行動をした人たちは,多様な社会的課題を解決する意図が形成されていると考えられる。

大平・薗部・スタニスロスキー(2012)では,震災後のソーシャル・コンサンプションと

20

シビック・アクションが他の社会的課題解決行動と関連すると指摘している。さらに,大

平・薗部・スタニスロスキー(2012)では震災後の社会的課題解決行動を従属変数とした

クラスタ分析を実施したうえで,デモグラフィックおよびサイコグラフィック変数に関し

てクラスタ間で統計的に有意な違いがあることを示している。以上を踏まえると,これら

のクラスタ間の意思決定プロセスにも違いが存在すると仮定することができる。

実際,環境問題と消費者に関する研究では,消費者をクラスタ化し,クラスタごとの意

思決定プロセスの違いを検討している(Bamberg 2003;西尾 2005)。Bamberg(2003)

は環境問題への関心の高低から消費者を 2 つに分け,多母集団同時分析を用いて意思決定

プロセスの違いを検討している。具体的には,環境問題への関心の高い消費者には行動に

対する態度と主観的規範,行動統制が意図に影響を与えるのに対し,低い消費者には行動

に対する態度と主観的規範が影響を与えると指摘している。

西尾(2005)はエコロジー行動の実践度を従属変数としたクラスタ分析を行い,消費者

を 4 クラスタに階層化している。そのうえで,様々なエコロジー行動を実践している「エ

コロジスト」とリサイクルのみ実践度の高い「リサイクラー」の意思決定プロセスには違

いがあると指摘している。具体的には,エコロジストはベネフィット評価とルール受容性,

社会規範評価が意図に影響を与えるのに対し,リサイクラーはエコロジー関与のみが影響

を与えると指摘している。

本研究では,クラスタごとに寄付つき商品の意思決定プロセスを検討した先行研究がな

いことから,環境配慮型商品に関する先行研究を参考に分析を行う。つまり,寄付つき商

品の意思決定プロセスは,クラスタごとに違いがあると仮定する。先行研究を踏まえると

本研究では,行動に対する態度と主観的規範,有効性評価,入手可能性評価という変数の

うち,クラスタごとに意図へ影響する変数が異なると仮定することができる(図表 5)。

21

図表 5 本研究の分析枠組み 2

22

第 3 章 実証分析

3-1 調査概要

調査は 2012 年 8 月に株式会社インテージによって行われた。調査にはインターネットを

利用して日本全国 47 都道府県を対象とし,性別と年齢を割り付けた。1,073 名から返答を

得たうちで,同一内容を肯定文で尋ねた質問と否定文で尋ねた質問に矛盾した回答者を除

外した残りの 757 サンプルを分析に使用した。サンプルの属性は 51.5%が男性,64.3%が既

婚者で,56.1%が子どもがおり,69.6%が高校卒業以降の教育を受けていて,年齢の平均が

44.3 歳(レンジは 20~69 歳)であった。

質問項目は先行研究に基づいて作成をした(図表 6・7)。行動に対する態度と主観的規範

は Taylor and Todd (1995),有効性評価は Ellen, Wiener and Cobb-Walgren(1991),

入手可能性評価は Vermeir and Verbeke (2007),意図は Ajzen and Madden (1986)を

参考にした。過去の行動は Knussen, Yule, Mackenzie and Wells(2004)を参考にし,大

平・薗部・スタニスロスキー(2012)を基に上述したシビック・アクションも項目に加え

た。回答は過去の行動を除いて,「全くあてはまる」から「全くあてはまならい」の 7 点尺

度とした。過去の行動は,0(0 回),1(1 回),2.5(2~3 回),4.5(4~5 回)とし,6 回以

上を 6.5 とした(図表 8)。

図表 6 環境配慮型商品の質問項目とその平均値・標準偏差

変数 質問 平均 標準偏差

行動に対す

る態度

環境配慮型商品が好きだ 4.43 1.09

環境配慮型商品に関心がある 4.50 1.12

環境配慮型商品を買うと,良いことをしたと感じる 4.51 1.11

環境配慮型商品を買うことはカッコいい(すてきだ) 4.01 1.16

環境問題に関心がある 4.83 1.12

主観的規範

家族は私が環境配慮型商品を買うべきだと思っている 3.72 1.22

友人・知人は私が環境配慮型商品を買うべきだと思っている 3.54 1.16

世間は私が環境配慮型商品を買うべきだと思っている 3.67 1.17

有効性評価 私が環境配慮型商品を買えば,社会問題の解決につながる 3.80 1.19

一個人の消費では社会問題を解決できない(反転) 3.52 1.33

入手可能性

評価

私には環境配慮型商品を買う機会がたくさんある 3.71 1.05

環境配慮型商品を買うのは簡単だ 4.10 1.00

意図

私は環境配慮型商品を買う予定がない(反転) 3.78 1.29

私は環境配慮型商品を買うための努力は惜しまない 3.69 1.10

私は環境配慮型商品を買うつもりだ 4.10 1.00

23

図表 7 寄付つき商品の質問項目とその平均値・標準偏差

変数 質問 平均 標準偏差

行動に対す

る態度

寄付つき商品が好きだ 3.81 1.13

寄付つき商品に関心がある 3.86 1.17

寄付つき商品を買うと,良いことをしたと感じる 4.08 1.25

寄付つき商品を買うことはカッコいい(すてきだ) 3.70 1.21

社会問題に関心がある 4.90 1.04

主観的規範

家族は私が寄付つき商品を買うべきだと思っている 3.41 1.13

友人・知人は私が寄付つき商品を買うべきだと思っている 3.27 1.11

世間は私が寄付つき商品を買うべきだと思っている 3.47 1.16

有効性評価 私が寄付つき商品を買えば,社会問題の解決につながる 3.56 1.14

一個人の消費では社会問題を解決できない(反転) 3.50 1.27

入手可能性

評価

私には寄付つき商品を買う機会がたくさんある 3.48 1.08

寄付つき商品を買うのは簡単だ 3.70 1.08

意図

私は寄付つき商品を買う予定がない(反転) 3.70 1.16

私は寄付つき商品を買うための努力は惜しまない 3.61 1.06

私は寄付つき商品を買うつもりだ 3.83 1.04

図表 8 過去の社会的課題解決行動の平均値と標準偏差

質問 平均 標準偏差

東日本大震災以降,どれくらい寄付(震災関連以外も含む)をしましたか 2.29 1.91

東日本大震災以降,どれくらいボランティア(震災関連以外も含む)をしましたか 0.48 1.36

東日本大震災以降,どれくらい環境配慮型商品を買いましたか 1.89 2.19

東日本大震災以降,どれくらい寄付つき商品(震災関連以外も含む)を買いましたか 1.32 1.92

東日本大震災以降,どれくらい応援消費をしましたか 2.20 2.37

3-2 全体分析

全体分析では,まず商品別に因子分析を実施したうえで共分散構造分析を実施した。

3-2-1 環境配慮型商品の全体分析

因子分析では,因子の選定には主因子法を,軸の回転は因子間に相関が認められために

Kaiser の正規化を伴うプロマックス回転を用いた。その結果,主観的規範の「友人・知人

は,私が環境配慮型商品を買うべきだと思っている」という項目の因子負荷量が 1 を超え,

「家族は,私が環境配慮型商品を買うべきだと思っている」との相関係数が.938 と高いこ

とから,それらを合成して「周囲は,私が環境配慮型商品を買うべきだと思っている」と

24

ラベルを改めた。また,因子の選定基準は因子負荷量が.40 以上とした。最終的な分析結果

が図表 9 である。

図表 9 環境配慮型商品の因子分析の結果

行動に対

する態度

主観的規

有効性評

価 意図

入手可能

性評価

環境配慮型商品に関心がある 0.93 0.04 0.10 -0.18 -0.02

環境配慮型商品が好きだ 0.89 0.05 0.08 -0.16 0.01

環境配慮型商品を買うと,良いことをしたと感じる 0.81 -0.05 -0.12 0.21 -0.03

環境問題に関心がある 0.67 -0.05 0.02 -0.02 0.08

環境配慮型商品を買うことはカッコいい(すてきだ) 0.57 0.05 -0.09 0.31 -0.01

周囲は,私が環境配慮型商品を買うべきだと思っている 0.00 0.96 0.05 -0.06 -0.01

世間は,私が環境配慮型商品を買うべきだと思っている 0.03 0.84 -0.06 0.08 -0.02

私は環境配慮型商品を買うつもりだ 0.07 -0.07 0.91 0.05 -0.03

私は環境配慮型商品を買う予定がない 0.19 -0.03 0.55 0.07 0.01

私は環境配慮型商品を買うための努力は惜しまない -0.11 0.18 0.52 0.11 0.01

私が環境配慮型商品を買えば,環境問題の解決になる 0.10 0.03 0.07 0.68 -0.02

一個人の消費では,環境問題を解決できない -0.12 -0.01 0.11 0.50 0.00

環境配慮型商品を買うのは簡単だ 0.02 -0.07 -0.05 -0.06 0.75

私には環境配慮型商品を買う機会がたくさんある 0.01 0.09 0.06 0.09 0.64

初期の固有値 6.48 1.37 1.13 .87 .84

因子寄与率 46.3 9.8 8.1 6.2 70.3

累積因子寄与率 46.3 56.0 64.1 6.0 76.3

アルファ係数(Cronbach’s Alpha) .892 .795 .594 .782 .664

次に Amos を用いて共分散構造分析を実施した。分析の結果,適合度がχ2 =216.655,

p=.000,RMR=.057,GFI=.960,AGFI=.934,CFI=.974,RMSEA=.056 と最も良いモデ

ルを採用した(図表 10)。図表 6 に因果関係と共変動の結果が示してある。分析の結果,「主

観的規範→意図」(p<.005)を除いて,パス係数は p<.001 で有意となった。

この結果から,行動に対する態度と主観的規範,有効性評価,入手可能性評価は寄付つ

き商品を購入する意図に正の影響を与えることが明らかとなった。特に意図への影響では,

行動に対する態度からの影響が標準化係数で.487 と最も強く,主観的規範から意図への影

響は.131,入手可能性からの影響は.178,有効性評価からの影響は.167 と弱い影響を与え

るという点が明らかとなった(図表 11)。

また,説明変数間の共変動については,全て p<.001 で有意な結果を得た(図表 11)。そ

の中でも,比較的相関が高い(.60≦r)のは,「主観的規範⇔有効性評価」(.622),「行動に

25

対する態度⇔有効性評価」(.612)であった。相関が中程度(.40≦r<.60)なのは,「行動に

対する態度⇔主観的規範」(.593),「主観的規範⇔入手可能性評価」(.509),「行動に対する

態度⇔入手可能性評価」(.483),「有効性評価⇔入手可能性評価」(.447)であった。

図表 10 環境配慮型商品の全体分析の結果 1

図表 11 環境配慮型商品の全体分析の結果 2

パス 推定値 標準誤差 検定統計量 確率 標準化係数

行動に対する態度→意図 .506 .052 9.718 .000 .487

主観的規範→意図 .059 .020 2.899 .004 .131

有効性評価→意図 .161 .048 3.344 .000 .178

入手可能性評価→意図 .163 .041 3.998 .000 .167

行動に対する態度⇔主観的規範 1.183 .096 12.267 .000 .593

有効性評価⇔主観的規範 1.414 .112 12.774 .000 .622

有効性評価⇔入手可能性評価 .470 .048 9.748 .000 .447

行動に対する態度⇔有効性評価 .604 .050 12.124 .000 .612

主観的規範⇔入手可能性評価 1.081 .095 11.338 .000 .509

行動に対する態度⇔入手可能性評価 .441 .042 10.466 .000 .483

26

3-2-2 寄付つき商品の全体分析

因子分析では,因子の選定には主因子法を,軸の回転は因子間に相関が認められため,

Kaiser の正規化を伴うプロマックス回転を用いた。その結果,主観的規範の「友人・知人

は,私が寄付つき商品を買うべきだと思っている」という項目の因子負荷量が 1 を超え,「家

族は,私が寄付つき商品を買うべきだと思っている」との相関係数が.938 と高いことから,

それらを合成して「周囲は,私が寄付つき商品を買うべきだと思っている」とラベルを改

めた。また,因子の選定基準は因子負荷量が.40 以上とし,行動に対する態度の「社会問題

に関心がある」という項目がそれを下回ることから,分析から除外した。最終的な分析結

果が図表 12 である。

図表 12 寄付つき商品の因子分析の結果

行動に対

する態度意図

主観的規

入手可能

性評価

有効性評

寄付つき商品を買うと,良いことをしたと感じる 0.93 -0.07 -0.08 -0.05 0.05

寄付つき商品に関心がある 0.83 0.10 0.04 0.05 -0.10

寄付つき商品を買うことはカッコいい(すてきだ) 0.81 -0.09 0.04 0.04 0.08

寄付つき商品が好きだ 0.77 0.15 0.05 -0.03 -0.05

私は寄付つき商品を買うつもりだ 0.14 0.85 -0.02 -0.01 -0.03

私は寄付つき商品を買う予定がない 0.06 0.82 -0.03 -0.02 0.02

私は寄付つき商品を買うための努力は惜しまない -0.12 0.71 0.05 0.05 0.11

周囲は,私が寄付つき商品を買うべきだと思っている 0.00 0.07 0.96 -0.02 -0.05

世間は,私が寄付つき商品を買うべきだと思っている 0.01 -0.07 0.91 0.01 0.04

寄付つき商品を買うのは簡単だ 0.05 -0.06 -0.02 0.89 -0.07

私には寄付つき商品を買う機会がたくさんある -0.05 0.08 0.01 0.84 0.05

私が寄付つき商品を買えば,社会問題の解決につながる 0.13 0.00 0.05 0.02 0.79

一個人の消費では,社会問題を解決できない -0.05 0.08 -0.04 -0.04 0.59

初期の固有値 6.79 1.38 0.99 0.94 0.82

因子寄与率 52.3 10.6 7.6 7.3 6.3

累積因子寄与率 52.3 62.9 70.5 77.8 84.1

アルファ係数(Cronbach’s Alpha) .917 .867 .835 .846 .682

次に Amos を用いて共分散構造分析を実施した。分析の結果,適合度がχ2 =117.134,

p=.000,RMR=.040,GFI=.964,AGFI=.939,CFI=.983,RMSEA=.055 と最も良いモデ

ルを採用した(図表 13)。図表 9 に因果関係と共変動の結果が示してある。分析の結果,「有

効性評価→意図」(p<.05)を除いて,パス係数は p<.001 で有意となった。「主観的規範→

意図」は統計的に有意な結果が得られなかった(p>.10 )。

27

この結果から,行動に対する態度と有効性評価,入手可能性評価は寄付つき商品を購入

する意図に正の影響を与えることが明らかとなった。特に意図への影響では,行動に対す

る態度からの影響が.639 と最も強く,入手可能性からの影響は.184,有効性評価からの影

響は.108 と弱い影響を与えるという点が明らかとなった(図表 14)。

また,説明変数間の共変動については,全て p<.000 で有意な結果を得た(図表 14)。そ

の中でも,比較的相関が高い(.60≦r)のは,「行動に対する態度⇔有効性評価」(.689),

「行動に対する態度⇔主観的規範」(.677),「主観的規範⇔有効性評価」(.627)であった。

相関が中程度(.40≦r<.60)なのは,「主観的規範⇔入手可能性評価」(.444),「有効性評価

⇔入手可能性評価」(.420),「行動に対する態度⇔入手可能性評価」(.410)となった。この

結果から,主観的規範は意図へ統計的に有意な因果関係がないが,行動に対する態度と有

効性評価と相互に影響を与え合っている点が明らかとなった。

図表 13 寄付つき商品の全体分析の結果 1

28

図表 14 寄付つき商品の全体分析の結果 2

パス 推定値 標準誤差 検定統計量 確率 標準化係数

行動に対する態度→意図 .626 .049 12.849 .000 .639

主観的規範→意図 ―― ―― ―― ―― ――

有効性評価→意図 .092 .037 2.503 .012 .108

入手可能性評価→意図 .165 .029 5.626 .000 .184

行動に対する態度⇔主観的規範 1.412 .101 13.944 .000 .677

有効性評価⇔主観的規範 1.499 .106 14.089 .000 .627

有効性評価⇔入手可能性評価 .501 .048 10.371 .000 .420

行動に対する態度⇔有効性評価 .754 .053 14.218 .000 .689

主観的規範⇔入手可能性評価 1.008 .094 10.763 .000 .444

行動に対する態度⇔入手可能性評価 .425 .044 9.561 .000 .410

3-2-3 全体分析の比較

2 つのソーシャル・プロダクトの全体分析の結果,環境配慮型商品では,行動に対する態

度,主観的規範,有効性評価,入手可能性評価の全てが意図に対して統計的に有意な影響

を与えていた。一方,寄付つき商品では,主観的規範のみが意図に対して統計的に有意な

影響を与えていなかった。

パス係数の値を比較すると,環境配慮型商品と寄付つき商品ともに行動に対する態度が

最も強い影響を与えていた。次に強い影響を与えていたのは,環境配慮型商品では有効性

評価であり,さらに入手可能性評価,主観的規範が続いた。一方,寄付つき商品では入手

可能性評価,さらに有効性評価が続いた。

3-3 環境配慮型商品と寄付つき商品のクラスタ別分析

3-3-1 クラスタ間の特徴に関する分析

次にサンプルを過去の社会的課題解決行動に基づいてグループ化して,その違いを検討

した。まず上述した方法と同様にして,過去の社会的課題解決行動を含めて因子分析を実

施した。その結果,過去の行動の「東日本大震災以降,どれくらいボランティア(震災関

連以外も含む)をしましたか」が因子負荷量.40 を下回ったため,除外した。また,主観的

規範の「友人・知人」と「家族」も前回と同様の理由で合成変数として「周囲」と改めた。

最終的な分析結果が図表 15 である。

29

図表 15 環境配慮型商品の因子分析の結果

行動

に対

する

態度

過去

の行

主観

的規

有効

性評

意図

入手

可能

性評

環境配慮型商品に関心がある 0.93 0.01 0.02 -0.15 0.07 0.00

環境配慮型商品が好きだ 0.90 -0.01 0.03 -0.14 0.06 0.03

環境配慮型商品を買うと、良いことをしたと感じる 0.84 -0.01 -0.03 0.15 -0.10 -0.06

環境問題に関心がある 0.67 0.04 -0.05 -0.03 -0.01 0.07

環境配慮型商品を買うことはカッコいい(すてきだ) 0.60 -0.03 0.07 0.25 -0.06 -0.03

東日本大震災以降、どれくらい寄付つき商品(震災関連以外

も含む)を買いましたか -0.06 0.85 -0.02 0.13 -0.08 0.00

東日本大震災以降、どれくらい環境配慮型商品を買いました

か 0.06 0.75 -0.04 0.04 -0.02 0.09

東日本大震災以降、どれくらい応援消費をしましたか 0.05 0.70 0.07 -0.14 0.00 -0.04

東日本大震災以降、どれくらい寄付(震災関連以外も含む)

をしましたか -0.04 0.49 0.03 -0.04 0.09 -0.06

周囲は、私が環境配慮型商品を買うべきだと思っている -0.01 0.05 0.98 -0.07 0.04 -0.01

世間は、私が環境配慮型商品を買うべきだと思っている 0.05 -0.02 0.81 0.09 -0.04 0.00

私が環境配慮型商品を買えば、環境問題の解決につながる 0.14 -0.06 0.03 0.70 0.05 -0.02

一個人の消費では、環境問題を解決できない -0.10 0.03 -0.01 0.55 0.05 -0.01

私は環境配慮型商品を買うつもりだ 0.05 -0.02 -0.07 0.02 0.97 -0.01

私は環境配慮型商品を買うための努力は惜しまない -0.10 -0.02 0.19 0.09 0.51 0.03

私は環境配慮型商品を買う予定がない 0.15 0.22 -0.02 0.09 0.44 0.00

私には環境配慮型商品を買う機会がたくさんある 0.00 -0.03 0.05 0.08 0.02 0.77

環境配慮型商品を買うのは簡単だ 0.02 -0.01 -0.04 -0.08 -0.01 0.67

固有値 7.22 1.86 1.37 1.09 0.88 0.80

因子寄与率 40.1 10.4 7.6 6.1 4.9 4.4

累積因子寄与率 40.1 50.5 58.1 64.1 69.0 73.4

アルファ係数(Cronbach’s Alpha) .892 .783 .795 .594 .782 .664

寄付つき商品も同様に,サンプルを過去の社会的課題解決行動に基づいてグループ化し

て,その違いを検討した。因子分析では,行動に対する態度の「社会問題に関心がある」

および過去の行動の「東日本大震災以降,どれくらいボランティア(震災関連以外も含む)

をしましたか」が因子負荷量.40 を下回ったために除外した。また,主観的規範の「友人・

30

知人」と「家族」も前回と同様の理由で合成変数として「周囲」と改めた。最終的な分析

結果が図表 16 である。

図表 16 寄付つき商品の因子分析の結果

行動

に対

する

態度

過去

の行

意図

主観

的規

入手

可能

性評

有効

性評

寄付つき商品を買うと,良いことをしたと感じる 0.95 0.03 -0.10 -0.07 -0.05 0.04

寄付つき商品を買うことはカッコいい(すてきだ) 0.84 -0.03 -0.09 0.04 0.04 0.06

寄付つき商品に関心がある 0.84 0.02 0.09 0.02 0.05 -0.10

寄付つき商品が好きだ 0.78 0.02 0.13 0.04 -0.03 -0.04

東日本大震災以降,どれくらい環境配慮型商品を買いました

か。

-0.07 0.82 -0.08 0.01 0.01 0.14

東日本大震災以降,どれくらい寄付つき商品(震災関連以外も

含む)を買いましたか。

0.03 0.78 0.00 -0.03 0.07 0.02

東日本大震災以降,どれくらい応援消費をしましたか。 0.01 0.70 0.00 0.06 -0.03 -0.11

東日本大震災以降,どれくらい寄付(震災関連以外も含む)を

しましたか。

0.08 0.45 0.13 -0.04 -0.08 -0.06

私は寄付つき商品を買うつもりだ 0.13 -0.02 0.88 -0.03 -0.01 -0.04

私は寄付つき商品を買う予定がない 0.04 0.10 0.77 -0.03 -0.02 0.02

私は寄付つき商品を買うための努力は惜しまない -0.12 -0.03 0.74 0.06 0.05 0.08

周囲は,私が寄付つき商品を買うべきだと思っている (合成) 0.00 0.04 0.06 0.96 -0.02 -0.06

世間は,私が寄付つき商品を買うべきだと思っている 0.02 -0.03 -0.06 0.92 0.01 0.02

寄付つき商品を買うのは簡単だ 0.05 -0.02 -0.04 -0.02 0.88 -0.08

私には寄付つき商品を買う機会がたくさんある -0.05 0.00 0.07 0.01 0.85 0.04

一個人の消費では,社会問題を解決できない -0.04 0.02 0.03 -0.06 -0.05 0.71

私が寄付つき商品を買えば,社会問題の解決につながる 0.22 -0.07 0.06 0.11 0.03 0.59

固有値 7.38 1.94 1.40 0.99 0.91 0.83

因子寄与率 43.4 11.4 8.2 5.8 5.3 4.9

累積因子寄与率 43.4 54.8 63.1 68.9 74.2 79.1

アルファ係数(Cronbach’s Alpha) .917 .783 .867 .835 .846 .682

因子分析の結果を踏まえて,ソーシャル・コンサンプション(環境配慮型商品と寄付つ

き商品の購入,応援消費の実施)とシビック・アクション(寄付)という過去の行動を従

31

属変数とするクラスタ分析を実施した。まず, AIC(赤池情報量基準)を使用して TwoStep

クラスタ分析を実施したところ,最適なクラスタ数が 3 つであると示された。そのうえで,

大規模ファイルのクラスタ分析でクラスタを 3 つに設定してサンプルを分けた(図表 17)。

図表 17 大規模ファイルのクラスタ分析の結果

クラスタ N(%) 環境配慮型商品 寄付つき商品 応援消費 寄付

1 現在の SC 層 154(20.3) 5.06 4.16 5.08 3.56

2 潜在的 SC 層 262(34.6) 1.81 1.16 3.02 3.16

3 無関心層 341(45.0) 0.51 0.16 0.28 1.06

第 1 クラスタの特徴は,環境配慮型商品 (M=5.06),寄付つき商品(M=4.16),応援消

費(M=5.08)の購入頻度と寄付(M=3.56)全ての平均値が比較的高いことである。第 2

クラスタは,寄付(M=3.16)と応援消費(M=3.02)が環境配慮型商品(M=1.81)と寄付

つき商品(M=1.16)に比べて高い。第 3 クラスタは,寄付(M=1.06)以外の平均値が 1

以下となった。これらの特徴を踏まえて,第 1 クラスタを現在の SC 層(20.3%),第 2 ク

ラスタを潜在的 SC 層(34.6%),第 3 クラスタを無関心層(45.0%)と命名した。

次にデモグラフィック変数についてχ2 検定を行ったところ,性別(p<.001)と年齢

(p<.001),婚姻(p<.01),子どもの有無(p<.005),教育(p<.01)に有意な差が認められ

た。図表 18 に各クラスタのデモグラフィックスの特徴が示してある。現在の SC 層の特徴

は,女性で(61.0%),年齢が高く(平均 48.6 歳),既婚者で(71.4%),子どもがおり(66.9%),

高校卒業以降の教育を受けている(72.7%)傾向がある。潜在的 SC 層は女性で(53.1%),

年齢が高く(平均 46.9 歳),既婚者で(67.9%),子どもがおり(56.5%),高卒以降の教育

を受けている(72.6%)傾向がある。無関心層は男性で(59.8%),年齢が比較的若く(平

均 40.2 歳),既婚者で(58.4%),子どもがおり(51.0%),高卒以降の教育を受けている(66.1%)

傾向があった。各クラスタの特徴をまとめると,現在の SC 層は子どものいる既婚女性で高

学歴の傾向があるのに対して,無関心層は学歴が比較的低く,未婚の若い男性が多い傾向

がある。潜在的 SC 層は,性別と学歴が現在の SC 層に近いこと以外は他のクラスタのおよ

そ中間に位置する。

図表 18 各クラスタのデモグラフィックスの特徴(%)

男性 平均年齢 既婚 子供あり 高卒以降の学歴

全体 51.5 44.3 64.3 56.1 69.6

現在の SC 層 39.0 48.6 71.4 66.9 72.7

潜在的 SC 層 46.9 46.9 67.9 56.5 72.6

無関心層 59.8 40.2 58.4 51.0 66.1

32

3-3-2 環境配慮型商品のクラスタ別分析

環境配慮型商品のクラスタ間の意思決定プロセスの違いを検討するために,多母集団同

時分析を実施した。分析のプロセスでは,クラスタ間の傾向の相違を捉えるために,クラ

スタごとに異なるパスを引くように設定した。分析の結果,χ2=384.153,p=.000,

RMR=.072,GFI=.933,AGFI=.892,CFI=.965,RMSEA=.035 と最も当てはまりの良い

モデルを採用した(図表 19・20・21)。

統計的に有意になったのは,現在の SC 層では「行動に対する態度→意図」(F=.484,

p<.001),「入手可能性評価→意図」(F=.235,p<.005),潜在的 SC 層では「行動に対する

態度→意図」(p=.298,p<.001),「主観的規範→意図」(F=.059,p<.05),「有効性評価→

意図」(F=.151,p<.05),「入手可能性評価→意図」(F=.096,p<.05),無関心層では「行

動に対する態度→意図」(F=.397,p<.001),「主観的規範→意図」(F=.102,p<.005),「有

効性評価→意図」(F=.258,p<.05)であった。クラスタ間のパラメータに統計上有意差が

存在したのは,現在の SC 層と潜在的 SC 層の「行動に対する態度→意図」(p<.005)であ

った。

図表 19 環境配慮型商品の現在の SC 層の共分散構造分析の結果

33

図表 20 環境配慮型商品の潜在的 SC 層の共分散構造分析の結果

図表 21 環境配慮型商品の無関心層の共分散構造分析の結果

34

図表 22 環境配慮型商品のクラスタごとの比較

グループ パス 最終モデル

推定値 標準誤差 検定統計量 確率 標準化係数

現在の SC

(N=154)

行動に対する態度→意図 .484 .096 5.029 .000 .500

主観的規範→意図 ―― ―― ―― ―― ――

有効性評価→意図 ―― ―― ―― ―― ――

入手可能性評価→意図 .235 .080 2.950 .003 .254

潜在的 SC

層(N=262)

行動に対する態度→意図 .298 .058 5.134 .000 .390

主観的規範→意図 .059 .026 2.289 .022 .180

有効性評価→意図 .151 .059 2.555 .011 .246

入手可能性評価→意図 .096 .042 2.320 .020 .153

無関心層

(N=341)

行動に対する態度→意図 .397 .095 4.159 .000 .397

主観的規範→意図 .102 .034 2.989 .003 .227

有効性評価→意図 .258 .117 2.195 .028 .288

入手可能性評価→意図 ―― ―― ―― ―― ――

クラスタ別分析の結果,現在の SC 層の特徴は意図が行動に対する態度と入手可能性評価

から影響を受けていることである。その一方,主観的規範と有効性評価から意図への影響

は有意ではなかった。これは現在の SC 層が環境配慮型商品を購入する際に,ヒューリステ

ィックな意思決定を行っていためだと推測される。

潜在的 SC 層の特徴は,意図がすべての潜在変数から影響を受けていることである。パス

の標準化変数を比較すると,意図に与える影響は現在の SC 層と同様に行動に対する態度

が.390 と最も強く,次いで有効性評価が.246,主観的規範が.180,入手可能性評価が.153

となっている。この結果から,潜在的 SC 層を現在の SC 層と比較すると,現在の SC 層が

ヒューリスティックな意思決定をしているのに対し,潜在的 SC 層はソーシャル・プロダク

トの消費意思決定に関し,多様な面を考慮している点が対照的である。

無関心層の特徴は,意図が行動に対する態度と主観的規範,有効性評価からの影響を受

けていたという点である。その一方,入手可能性評価のみ,有意な影響が認められなかっ

た。パスの標準化変数を比較すると,意図に与える影響は現在の SC 層と潜在的 SC 層と同

様に行動に対する態度が.397 と最も強く,次いで有効性評価が.288,主観的規範が.227 と

なっている。この結果から,無関心層と現在の SC 層,潜在的 SC 層を比較すると,無関心

層は入手可能性評価のみ有意な結果とならなかった。この点について,現在の SC 層と潜在

的 SC 層がソーシャル・プロダクトをどこで入手できるのかという点が意思決定に影響を与

えるのに対し,無関心層はソーシャル・プロダクトがどこで入手できるのかということを

知らない可能性があると推測することができよう。

各パス係数について,クラスタ間を非標準化変数で比較すると,まず行動に対する態度

35

から意図への影響は,無関心層(.397)から,潜在的 SC 層(.298),現在の SC 層(.484)

へ移るにつれて,一度弱まってから強まっていた。この値については,現在の SC 層と潜在

的 SC 層間では p<.10 ではあるものの,統計的に有意な差があった。次に主観的規範から意

図への影響は潜在的 SC 層(.059)と無関心層(.102)に有意なパスが存在しており,さら

に有効性評価から意図への影響についても潜在的 SC 層(.151)と無関心層(.258)に有意

なパスが存在していた。しかし,両者に有意な差はなかった。最後に入手可能性は潜在的

SC 層のみに有意なパスが存在した(.096)。

3-3-3 寄付つき商品のクラスタ別分析

寄付つき商品のクラスタ間の意思決定プロセスの違いを検討するために,多母集団同時

分析を実施した。分析のプロセスでは,クラスタ間の傾向の相違を捉えるために,クラス

タごとに異なるパスを引くように設定した。分析の結果,適合度がχ2 =348.079,p=.000,

RMR=.060,GFI=.936,AGFI=.895,CFI=.973,RMSEA=.038 と最も当てはまりの良い

モデルを採用した(図表 23・24・25)。

統計的に有意となったパスは,現在の SC 層では「行動に対する態度→意図」(F=.438,

p<.001),潜在的 SC 層では「行動に対する態度→意図」(F=.756,p<.001)と「入手可能

性評価→意図」(F=.177,p<.001),無関心層では「行動に対する態度→意図」(F=.572,

p<.001)と「主観的規範→意図」(F=.079,p<.005),「入手可能性評価→意図」(F=.158,

p<.001)であった。クラスタ間のパラメータに統計上有意差が存在したのは,現在の SC 層

と潜在的 SC 層の「行動に対する態度→意図」(p<.01)と潜在的 SC 層と無関心層の「行動

に対する態度→意図」(p<.05)であった。

36

図表 23 寄付つき商品の現在の SC 層の共分散構造分析の結果

図表 24 寄付つき商品の潜在的 SC 層の共分散構造分析の結果

37

図表 25 寄付つき商品の無関心層の共分散構造分析の結果

図表 26 寄付つき商品のクラスタごとの比較

グループ パス 最終モデル

推定値 標準誤差 検定統計量 確率 標準化係数

現在の SC

(N=154)

行動に対する態度→意図 .438 .067 6.536 .000 .687

主観的規範→意図 ―― ―― ―― ―― ――

有効性評価→意図 ―― ―― ―― ―― ――

入手可能性評価→意図 ―― ―― ―― ―― ――

潜在的 SC

層(N=262)

行動に対する態度→意図 .756 .074 10.146 .000 .696

主観的規範→意図 ―― ―― ―― ―― ――

有効性評価→意図 ―― ―― ―― ―― ――

入手可能性評価→意図 .177 .044 4.008 .000 .226

無関心層

(N=341)

行動に対する態度→意図 .572 .061 9.331 .000 .605

主観的規範→意図 .079 .024 3.227 .001 .181

有効性評価→意図 ―― ―― ―― ―― ――

入手可能性評価→意図 .158 .047 3.381 .000 .177

クラスタ別分析の結果,現在の SC 層の特徴は意図が行動に対する態度からのみ影響を受

けていた。その一方,主観的規範と有効性評価,入手可能性評価からの影響は有意ではな

38

かった。これは環境配慮型商品と同様,現在の SC 層が寄付つき商品を購入する際に,ヒュ

ーリスティックな意思決定を行っているためだと推測される。

潜在的 SC 層の特徴は,意図が行動に対する態度と入手可能性評価から影響を受けていた。

パスの標準化係数を比較すると,行動に対する態度が.696,入手可能性評価が.226 と行動

に対する態度の方が強い影響を与えている。その一方で,主観的規範と有効性評価から意

図への影響は有意差がなかった。この結果から,現在の SC 層には見られない影響として,

潜在的 SC 層は寄付つき商品が簡単に購入可能であれば,それを購入する意図が高まると理

解することができる。無関心層は,意図が行動に対する態度と入手可能性評価,主観的規

範から影響を受けていた。パスの標準化係数を比較すると,行動に対する態度が.675,主観

的規範が.181,入手可能性評価が.177,という順で意図に影響を与えている。その一方,有

効性評価のみ,有意な結果を得ることができなかった。この結果を現在の SC 層と潜在的

SC 層と比較すると,無関心層は意図に影響を与える変数が最も多く,特に他の層では影響

を与えていなかった主観的規範が影響していた。これを踏まえると,無関心層は他の層と

比べて,周囲や世間から影響を受けて,寄付つき商品を購入する意図を形成していると理

解することができる。

各パス係数について,クラスタ間で非標準化変数を比較すると,まず行動に対する態度

から意図への影響は,無関心層(.572)から,潜在的 SC 層(.756),現在の SC 層(.438)

へ移るにつれて,一度強まってから弱まっていた。この値については,現在の SC 層と潜在

的 SC 層間では p<.01,潜在的 SC 層と無関心層では p<.05 という統計的に有意な差があっ

た。次に主観的規範から意図への影響は,無関心層(.079)のみに有意なパスが存在してい

た。さらに有効性評価から意図への影響については,全てのクラスタに有意なパスが存在

しなかった。最後に入手可能性は現在の SC 層のみ有意なパスが存在しない一方,潜在的

SC 層(.177)と無関心層(.158)には有意なパスが存在したが,2 つのクラスタ間のパス

係数には統計的有意な差は存在しなかった。

3-3-4 環境配慮型商品と寄付つき商品のクラスタ間の意思決定プロセスの比較

多母集団同時分析の結果,ソーシャル・プロダクトの意思決定プロセスは,商品別クラ

スタ別に異なるという点が明らかとなった。まず現在の SC 層の共通点は,両商品ともに行

動に対する態度が意図に影響を与えていたことである。相違点については,寄付つき商品

が行動に対する態度からだけが意図に影響を与えていたのに対し,環境配慮型商品では入

手可能性評価も意図に影響を与えていた。

次に潜在的 SC 層の共通点は,行動に対する態度と入手可能性評価が意図に影響を与えて

いたことである。相違点については,寄付つき商品が行動に対する態度と入手可能性評価

のみが意図に影響を与えていたのに対し,環境配慮型商品では主観的規範と有効性評価も

影響を与えていた。

最後に無関心層の共通点は,行動に対する態度と主観的規範が意図に影響を与えていた

39

ことである。相違点については,環境配慮型商品では有効性評価が意図に有意に影響して

いる一方で入手可能性が影響していないのに対して,寄付つき商品では反対に有効性評価

が意図に影響しない一方で入手可能性評価が影響していた。

図表 27 クラスタ別・商品別購買意思決定の傾向

環境配慮型商品 寄付つき商品

現在の SC 層

(20.3%)

行動に対する態度から意図への影響が最大である。

入手可能性から意図に影響する。 その他の因果関係は見られない。

潜在的 SC 層

(34.6%)

行動に対する態度と入手可能性評価から意図に影響する。

全ての変数が意図に影響する。 入手可能性評価が意図に影響する。

主観的規範と有効性評価は意図に影響しな

い。

無関心層

(45.0%)

行動に対する態度から意図への影響が最大である。

主観的規範が意図に影響する。

有効性評価が意図に影響する。 入手可能性評価が意図に影響する。

40

第 4 章 おわりに

東日本震災以降,日本で消費を通じた社会的課題の解決行動は顕著になった。日本社会

でソーシャル・コンサンプションが定着するためには,この現象の背後にある消費者の意

思決定プロセスを理解する必要がある。このことから本研究では,シビック・アクション

を含めた震災後の社会的課題解決行動を用いた TPB の拡張モデルを構築すると共に,ソー

シャル・プロダクト間,および,同行動によって階層化されたクラスタ間の意思決定プロ

セスの違いを検討した。

分析の結果,本研究で用いた拡張した TPB によって日本のソーシャル・コンシューマー

の意思決定プロセスを捉え,過去の社会的課題解決行動に基づいて階層化したクラスタご

とに意思決定プロセスが異なる点が明らかにされた。

クラスタ別の分析の結果,環境配慮型商品と寄付つき商品の全てのクラスタで,行動に

対する態度が意図に強い影響を与えていた。商品別の特徴については,環境配慮型商品の

現在の SC 層は行動に対する態度と入手可能性評価が意図に影響を与え,潜在的 SC 層は全

ての変数が,無関心層は行動に対する態度と主観的規範,有効性評価が影響を与えていた。

一方,寄付つき商品では現在の SC 層では行動に対する態度のみが意図に影響を与え,潜在

的 SC 層は行動に対する態度と入手可能性評価,無関心層は行動に対する態度と主観的規範,

入手可能性評価が影響を与えていた。

また,2 つの商品に共通して,現在の SC 層は他の層と比べて,意思決定が最も簡便化し

ていた。特に寄付つき商品については無関心層から潜在的 SC 層,現在の SC 層とクラスタ

が上がるにつれて,意思決定が簡便化していた。この結果から,消費者の関与が態度形成

のプロセスに影響していることが考えられる。精緻化見込モデルでは,消費者が説得的メ

ッセージを受けた際に動機付けの程度と認知能力から,態度変化と形成に中心的ルートと

周辺的ルートがあることを示しており,主に消費者の関与の程度が態度変化と形成に影響

すると指摘されている(Petty et al. 1981・1983)。

現在の SC 層は 2 つの商品の購買経験が多いことから,それらに対する関与が高く,知識

が豊富であり,論理的に製品を評価し,中心的ルートで態度を形成すると考えられる。一

方,潜在的 SC 層や無関心層は寄付つき商品を購入する頻度が少ないことから,関与が低く,

知識が少ないために,他者などからの情報といった手掛かりを得て,周辺的ルートで態度

を形成すると考えることができる。つまり,現在の SC 層の購買意図に影響を与える変数が,

潜在的 SC 層や無関心層と比べて少ないのは,態度形成のプロセスが異なるためだと推測で

きる。現在の SC 層はすでに態度が形成されていることから,ヒューリスティックな意思決

定を行っていると解釈することができる。つまり,現在の SC 層はその他の消費者層と比較

して,2 つの商品の購入が習慣化していることから態度形成が簡便化していると想定でき,

態度形成プロセスを測定することによっても,その特徴を明らかにできるだろう。

逆に,現在の SC 層から潜在的 SC 層,無関心層へ移るにつれて,意思決定プロセスは複

41

雑化していた。この結果からは,潜在的 SC 層と無関心層に対して企業が寄付つき商品など

のコーズ・リレイテッド・マーケティングを展開するうえでの示唆が得られる。潜在的 SC

層では行動に対する態度と入手可能性評価が,無関心層では行動に対する態度と主観的規

範,入手可能性評価が,それぞれ意図に影響を与えていた。そのため,潜在的 SC 層と無関

心層に対して,企業は寄付つき商品を買う機会をいかに多く与えるかが重要であることが

示唆されるのである。

また,本研究の検討を通じて,寄付つき商品の購買意思決定には消費経験が重要であり,

動態的に意思決定プロセスを捉える必要があるという点も示唆された。寄付つき商品には,

製品の消費を通じて社会的課題の解決ができるという意味が付与されている。現在の SC 層

は消費経験を通じて,その意味を解釈したうえで製品を購入していると考えられる。一方,

消費経験の少ない潜在的 SC 層と無関心層に対しては,寄付つき商品には一般的な商品とは

異なる意味が付与されている点を企業は訴求すべきである。本研究で用いた TPB に代表さ

れる合理的意思決定論だけでなく,消費の意味を考える消費文化論を融合した研究を行う

ことで,ソーシャル・コンシューマーの意思決定プロセスをより深く知ることができるだ

ろう。

42

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