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建設情報標準化推進計画 ~第二次建設情報標準化推進三箇年計画~ 平成 16 7 財団法人 日本建設情報総合センター

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建設情報標準化推進計画

~第二次建設情報標準化推進三箇年計画~

平成 16年 7月

建 設 情 報 標 準 化 委 員 会

財団法人 日本建設情報総合センター

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建設情報標準化委員会委員一覧

(平成 16年 6月現在)

【委員長】 中村 英夫 武蔵工業大学環境情報学部教授 【委員】 島崎 敏一 日本大学理工学部土木工学科教授 柴崎 亮介 東京大学空間情報科学研究センター教授 寺井 達夫 千葉工業大学工学部建築都市環境学科助教授 田中 成典 関西大学総合情報学部教授 皆川 勝 武蔵工業大学工学部教授 山下 純一 有限責任中間法人 IAI日本代表理事 加藤 秀生 国土交通省大臣官房地方課公共工事契約指導室長 岩崎 泰彦 国土交通省大臣官房技術調査課建設技術調整官 二階堂 義則 国土交通省大臣官房技術調査課情報通信技術調査官 鈴木 千輝 国土交通省大臣官房官庁営繕部整備課施設評価室長 高橋 総一 国土交通省大臣官房公共事業調査室長 渡辺 和弘 国土交通省総合政策局建設施工企画課機械施工企画官 平野 吉信 国土交通省国土技術政策総合研究所建築研究部長 山田 晴利 国土交通省国土技術政策総合研究所高度情報化研究センター長 秋山 實 国土交通省国土地理院企画部長 加太 孝司 文部科学省大臣官房文教施設企画部参事官付企画官 谷津 龍太郎 厚生労働省健康局水道課長 富田 健介 経済産業省製造産業局住宅産業窯業建材課長 杉田 宏一 防衛施設庁建設部建設企画課企画官 木村 智 日本郵政公社ネットワーク企画部門施設計画部担当部長 田中 亨 東京都建設局企画担当部長 松本 喬 (社)日本土木工業協会 CALS/EC特別委員会 CALS/EC部会部会長 児山 満 (社)全国建設業協会建設業情報化推進検討会委員 南林 和 (社)建築業協会 IT推進部会部会長 木村 昭博 (社)建設コンサルタンツ協会情報部会 CALS/EC委員長 今岡 亮司 (財)日本建設情報総合センター理事 以上 計 27名

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前 文

「建設情報に係わる標準化ビジョン策定懇談会(座長:中村英夫 武蔵工業大学環境

情報学部教授)」により提言された「建設情報に係る標準化ビジョン」(2000年 5月30日)を実現するため、財団法人日本建設情報総合センターでは、2000年 10月 4日に産学官メンバーで構成する「建設情報標準化委員会(委員長:中村英夫 武蔵工業大

学環境情報学部教授)」を設置した。 建設情報標準化委員会では、第一次建設情報標準化推進計画として 2001年度~2003年度の三箇年の活動計画を作成し、それに従い、建設分野全体の視点から必要となる標

準の作成や既存の標準間の調整を行ってきた。 この結果、建設事業における成果品を規定する電子納品要領・基準類や、CAD データの交換標準フォーマット(SXF)などが作成され、建設事業における円滑な情報流通に寄与することができた。しかし、作成された標準の普及や電子データのさらなる有効活

用といった観点からは課題も残った。建設分野全体を視野に入れた標準化活動は途につ

いた段階であり、標準化ビジョンの実現のためには、今後とも取り組むべき課題が多い。 このため、建設情報標準化委員会では、第一次推進計画に引き続き 2004年度を初年度とする三箇年の活動計画をとりまとめ、第二次建設情報標準化推進計画として作成す

るものである。

2000年度

標準化ビジョン(標準化ビジョン策定懇談会)

標準化委員会発足

2001年度 2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度

第一次三箇年計画 第二次三箇年計画

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-目 次-

1 はじめに ...................................................................................................................1

1-1 本計画の位置づけ................................................................................................. 1 1-2 建設情報標準化を取り巻く社会情勢 .................................................................... 2

2 建設情報に係る標準化の基本方針.............................................................................5

2-1 標準化により目指す方向 ...................................................................................... 5 2-2 標準化の対象範囲................................................................................................. 6 2-3 標準の整備方針 .................................................................................................... 9

3 第一次計画の成果と今後の課題 .............................................................................. 11

3-1 第一次計画の成果と課題 .................................................................................... 12 3-2 今後の課題 ......................................................................................................... 22

4 三箇年の標準化目標と標準化テーマ ....................................................................... 24

4-1 データ交換、利用の中長期的なあるべき姿 ....................................................... 24 4-2 三箇年の標準化目標 ........................................................................................... 26 4-3 本計画における標準化テーマ............................................................................. 28

5 三箇年の標準化活動 ................................................................................................ 31

5-1 電子成果の高度利用に関する標準の作成........................................................... 31 5-2 電子地図と建設情報の連携に関する標準の作成 ................................................ 36 5-3 CADデータ交換に関する標準の作成 ................................................................. 43 5-4 建設情報関連コード/分類体系に関する標準の作成......................................... 49 5-5 オブジェクトデータの交換を実現するための基礎検討 ..................................... 53 5-6 新たな標準化テーマへの対応............................................................................. 54

6 本計画の推進と利用促進......................................................................................... 55

6-1 推進体制 ............................................................................................................. 55 6-2 建設情報標準化委員会による標準の推奨........................................................... 57 6-3 普及・啓発活動 .................................................................................................. 59

付録 1:標準化の必要性 付録 2:用語の解説 付録 3:建設情報標準化委員会と他の関連組織との関係

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1 はじめに

1-1 本計画の位置づけ 国土交通省では、建設分野における効率化と業務改善を目標に CALS/EC の施策を

進めているが、この中においても標準化は重要な要素である。財団法人日本建設情報

総合センターでは、建設分野全体の生産性向上の視点から情報の標準化を推進するた

め、「建設情報標準化ビジョン」(以下、「標準化ビジョン」という。)を策定し、

このための推進機関として「建設情報標準化委員会」を設置した。「建設情報標準化

推進計画」は、本委員会が標準化ビジョンを実現するための具体の活動計画について

策定したものである。 第一次建設情報標準化推進三箇年計画(以下、「第一次計画」という)では、標準

化ビジョンの掲げる、①円滑な電子データ流通基盤の構築、②統合的な電子データ利

用環境の創出を実現するための第一歩として、2001 年度~2003 年度の三箇年の活動内容を示し、標準化活動を行ってきた。 第二次建設情報標準化推進三箇年計画(以下、「本計画」という)では、この標準

化ビジョンの実現に向けた更なる活動として、第一次計画の成果と課題、および建設

事業を取り巻く社会情勢等を踏まえて、2004 年度~2006 年度に建設情報標準化委員会が行う建設情報標準化の活動方針と内容を示すものである。 なお、建設事業を取り巻く環境は変化しており、また情報分野の技術革新はめざま

しいものがあるため、本計画の内容は、今後に発生する標準化課題についても柔軟に

取り込めるよう適宜見直しを行っていくものとする。

図 1-1 本計画の位置づけ

建設情報標準化推進計画 ~第二次三箇年計画~

建設情報に係る 標準化ビジョン

社会情勢 CALS/EC 等

三箇年の標準化目標 三箇年の標準化活動 本計画の推進と利用促進

第一次計画の 成果と課題

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1-2 建設情報標準化を取り巻く社会情勢

1-2-1 建設事業が抱える課題 近年、公共事業については、事業執行の透明性や品質を確保・向上することが社会

的な命題となってきている。併せて、事業毎のコスト縮減や、真に必要な事業の選択

が求められている。すなわち、国民の視点に立って、より質の高い行政サービスを、

より低コストで、より早く提供することが求められており、CALS/ECは、これらを解決するための最有力の情報化施策として現在、重点的な取り組みが行われていると

ころである。 また、建設事業の環境への影響について国民の関心が高まってきており、美しく良

好な環境の保全と創造、循環型社会の形成、等が行政施策として取り上げられている。

さらには、戦後の高度成長期に集中的に整備された建設生産物の補修、更新の時期が

目前に迫り、より効率的かつ戦略的な維持管理を行う必要がある等の課題も起きてい

る。このような課題解決について情報技術の適用も個別に検討されている。 一方で、建設産業は、60万の事業所、500万人の従業者を擁するが、従業者数 10

人未満の事業所が 78%を占め、事業所の規模による情報化の格差が大きい。また、発注者側も事業分野や業務内容により細かく組織が分かれ、情報化への対応に格差が

あり、それらの間での情報交換、連携が進んでいない。このような中で、国が主導し

て進める CALS/EC の取り組みは建設産業全体の情報化の動きに大きな刺激となっている。

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1-2-2 建設事業に関連する情報技術の動向 第一次計画を発表した 2001年においては、パソコンの低廉化・性能向上やインタ

ーネットの普及による情報技術の急速な進展を背景に、様々な組織・機関により情報

化が進められていた。 その後の三年間においては、さらなる情報技術の進展を背景に、国内の情報インフ

ラの整備が急速に行われ、情報技術の利用者のすそ野が拡大されてきた。特にインタ

ーネット環境の整備は著しく、三年前、数十~数百 Kbps程度であったネットワーク回線は、現在では数~数十Mbpsのブロードバンド環境が実現されている。ブロードバンドの実現により、これまでネットワークを介した情報交換・共有の課題の一つで

あった回線容量の問題が解消されつつある。 また、そのような通信技術の発展、浸透や情報端末の小型化、IC タグの実用化等

を受けて、ほしい情報をいつでもどこでも獲得できる「ユビキタス社会」が到来しつ

つあると言える。さらには、近年注目を集めている「Web サービス」を実現するための技術、標準も整備され、必要なデータ、サービスの所在、利用方法をコンピュー

タが判断し、自律的にアプリケーション連携を行うことも技術的には可能となってき

ている。 このような新たな情報技術を建設事業に活用していくための課題については日頃

から調査していく必要がある。 また、情報システムもレベルアップしており、CALS/ECの中で開発された電子納

品や電子入札については、国土交通省のみならず、他省庁・地方公共団体等でも積極

的に導入が行われている状況にある。また、測量や設計においては、CADや GISの利用が普及しつつあり、その他、積算や工程管理、台帳管理などの業務を支援するア

プリケーションが利用されている。今後はこれらシステムの、事業フェーズや組織を

越えた全体的な視点での最適化が求められている。

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1-2-3 関連施策の動向 以下に、建設情報標準化に関連する取り組みを示す。

(1)e-Japan重点計画(首相官邸 IT戦略本部)

2001年 1月、内閣に総理大臣を長とする IT戦略本部(高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部)が設置され、「e-Japan戦略」が決定された。「e-Japan戦略」では“市場原理に基づき民間が最大限に活力を発揮できる環境を整備し、5年

以内に世界最先端の IT国家となることを目指す”ことを宣言した。2001年 3月には、「e-Japan戦略」を具体化し、政府が迅速かつ重点的に実施すべき施策の全容として「e-Japan重点計画」を示し、直近の 2003年 7月には「e-JAPAN戦略Ⅱ」同 8月には「e-Japan重点計画 2003」が策定・公表された。

e-JAPAN戦略Ⅱではこれまでの取り組みを「第一期:IT基盤整備」と位置づけ、今後「第二期:IT利活用」への進化を行っていくとしている。

(2)電子政府構築計画(各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議)

2003 年 7 月各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議において、今後3か年の電子政府構築に係る政府の具体的な取り組みを「電子政府構築計画」として決定し

た。今後、この計画に基づき、「利用者本位の行政サービスの提供」、「簡素で効

率的な政府の実現」に向けて、国民の利便性・サービスの向上と IT化に対応した業務改革に本格的に取り組んでいく。 また、本計画では、米国連邦政府での取り組みを参考に、業務・システム最適化

のために EA(Enterprise Architecture)手法が採用されることが示されている。

(3)CALS/EC新計画(国土交通省) 「国土交通省 CALS/EC 推進本部(本部長:国土交通省事務次官)」において、

2004年度までの現行アクションプログラムに引き続き、今後の展開方針として新たなアクションプログラム(2004~2010 年)を策定することが決定した。この決定に基づき、国土交通省では、タスクフォースを設置し、CALS/EC 新計画を策定中である。

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2 建設情報に係る標準化の基本方針

2-1 標準化により目指す方向 標準化ビジョンでは、標準化により目指す方向を、「円滑な電子データ流通基盤の

構築と統合的な電子データ利用環境の創出を実現し、もって建設分野全体の生産性の

向上を図る」としている。 この標準化ビジョンの実現に向けた活動は、第一次計画で途についたばかりであり、

多くの課題も残されている。 このため、本計画では引き続き、標準化ビジョンが求める「円滑な電子データ流通

基盤の構築」と「統合的な電子データ利用環境の創出」の実現を目指す方向として位

置づけ、標準化のさらなる推進を図るものとする。 なお、ここでいう「建設分野全体の生産性の向上」には、建設事業の効率化のみな

らず、社会資本である建設生産物の提供を通じて行う、快適・安全・安心な生活環境

の創出等のサービスの向上も含んでおり、建設事業に従事する受発注者のみならず、

広く国民全体の利益に寄与することを目指している。

図 2-1 標準化の目指す方向

 建設に関する情報を最も効率よく活用するために、広く関係者を結集し建設情報に係る標準化を強力に推進することによって、 ①円滑な電子データ流通基盤の構築 ②統合的な電子データ利用環境の創出を実現し、もって建設分野全体の生産性の向上を図る。

(建設情報に係る標準化ビジョン)

建設情報に係る標準化の推進

円滑な電子データ流通基盤の構築

統合的な電子データ利用環境の創出

建設分野全体の生産性および社会資本サービスの向上

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2-2 標準化の対象範囲

(1)情報の意味や構造の標準化 2-1に示した「円滑な電子データ流通基盤の構築」および「統合的な電子データ利

用環境の創出」を図るためには、建設分野に携わる様々な組織やシステムの間にお

いて、自在に電子データを交換し、共有し、利活用できなければならない。 そのためには、「物理的に電子データを交換でき」かつ「電子データの内容が理

解できる」ことが要件となり、関係者間で「①情報の物理的交換方法」や、「②情

報の表現方法」を標準化する必要がある。 ただし、通信回線や記録媒体といった「①情報の物理的交換方法」は、建設分野

に限らず、情報技術の進展や普及に依存するため、利用場面における目的やネット

ワーク等の整備状況等により、最適なものを採用するものとする。 一方、「②情報の表現方法」については、関係者間で情報を共有するための合意

形成が不可欠であり、建設分野全体として標準化する意義や効果が大きい。 このように、「①情報の物理的交換方法」や「②情報の表現方法」が標準化され

ると、「③情報の利用方法」の最適化が図られることとなる。 そこで、本計画では情報の内容を、建設分野に携わる様々な機関や組織が共通に

理解することができることを確保するため、特に機関や組織を超えて交換される情

報に対して、標準を整備していくものとする。

図 2-2 本計画の対象範囲(情報の意味や構造の標準化)

①情報の物理的交換方法

記録媒体通信回線通信制御方法

②情報の表現方法

情報の記述形式、構造情報の名称、定義

③情報の利用方法

アプリケーション業務プロセス

標準化された表現方法をベースに個別分野毎に最適なものを構築する

本計画における標準化の対象

目的やネットワークの整備状況などにより、最適なものを採用する

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本計画の対象範囲とした「②情報の表現方法」の標準化のイメージを下図に示す。

図 2-3 情報の表現方法の標準化のイメージ

なお、様々な組織間において、情報を交換するためには、利用される情報そのもの

の標準化だけでなく、その所在や使用条件、品質などの記述方法についても標準化し、

簡便に利用できる環境を整備する必要がある。

【TEXT形式】

ISO-10303-21;HEADER;FILE_DESCRIPTION(('SCADEC level2feature_mode'), '2;1');・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

交換データ

【レイヤ】 TTL = 図枠 BGD = 背景 BMK = 基準 STR = 主構造物

情報の表現方法や構造を標準化する

情報の名称、定義を標準化

する

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(2)共通部分の標準化 建設分野においても、組織や事業分野、各種情報化施策毎に情報の交換、共有を

目指した標準化の取り組みが存在する。 ただし、これらは、特定の範囲や分野における最適化を目指したものであり、建

設分野全体としての「円滑な電子データ流通基盤の構築」、「統合的な電子データ

利用環境の創出」を実現するためには、組織や事業分野、各種施策に跨る共通部分

に対する標準化活動を全体最適化の視点から推進する必要がある。 本計画では、このような組織や事業分野、各種施策に跨り、交換共有される情報

に関する標準を共通部分の標準化と呼び、これを中心に整備していくものとする。

図 2-4 本計画の対象範囲(共通部分の標準化)

・・・・・・

GIS

CALS

道路事業

調査計画 設計

積算

施工

維持管理

道路事業

調査計画 設計

積算

施工

維持管理

道路事業

調査計画 設計

積算

施工

維持管理

A機関

B機関

C機関

河川事業

調査計画 設計

積算

施工

維持管理

河川事業

調査計画 設計

積算

施工

維持管理

河川事業

調査計画 設計

積算

施工

維持管理

建築事業

調査計画 設計

積算

施工

維持管理

建築事業

調査計画 設計

積算

施工

維持管理

建築事業

調査計画 設計

積算

施工

維持管理

組織毎の標準化 個別分野の標準化個別事業分野毎の標準化

施策毎の標準化

個別事業分野や組織、施策間に跨る共通部分

本計画における標準化の対象

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2-3 標準の整備方針 第一次計画においては、公共事業の各事業フェーズにおいて、主に現行の業務プロ

セスにおいて受発注者間でやりとりされる既存の書類を電子化し、その電子データを

交換する(以下、「既存書類の電子化レベルのデータ交換」という)ための標準の整

備、普及を行ってきた。 しかし、交換される情報をさらに有効利用し、生産性やサービスの向上等に結びつ

けるためには、事業フェーズを超えて、ライフサイクルにわたるデータ交換を実現す

ると共に、標準の整備、普及を国から地方、民間へ広げ、建設分野全体へと拡張する

必要がある。 また、交換されるデータそのものも、意味のあるものとして取り扱うべき情報の単

位に細分化し、必要に応じてそれらを組み合わせて交換することが求められる(以下、

「オブジェクトレベルでのデータ交換」という)。 そこで、標準化の適用範囲を次のように段階的に拡張していくことを目指す。 ①ライフサイクルにわたるデータ交換のための標準化(縦への拡張)

②建設分野全体への普及を目指した標準化(横への拡張)

③オブジェクトレベルでのデータ交換のための標準化(深さへの拡張)

図 2-5 標準の整備方針

国から、地方、民間へ

個別事業フェーズから、全体最適化へ

既存書類の電子化レベルのデータ交換から、オブジェクトレベルでのデータ交換へ

建設分野全体への普及を目指した標準化

ライフサイクルにわたるデータ

交換のための標準化

オブジェクトレベルでの

データ交換のための標準化

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(1)ライフサイクルにわたるデータ交換のための標準化 建設事業における生産性の向上を図るためには、調査、計画、設計、施工、維持

管理の各事業フェーズで利用される情報が事業フェーズを跨いで交換し、ライフサ

イクルにわたって有効に利活用することが求められる。 そこで、これらの事業フェーズを跨いだ情報交換を実現するため、既存の標準間

の調整や新たな標準の開発を行っていくものとする。

(2)建設分野全体への普及を目指した標準化 建設事業には、省庁や地方自治体等が発注者となる公共事業や、民間企業が実施

する事業などがあり、それらを受注する側でも、複数の企業が協力して事業を執行

する場合や、さらに専門業者等に細分し発注する場合もある。 そのため、建設事業に携わる様々な組織において標準が利用されない場合には、

情報を交換する相手組織毎に対応を迫られ、引いては建設事業全体としての生産性

の向上を阻害することとなる。 そこで、作成された標準を建設分野全体へ適用することを目指し、建設事業に携

わる様々な組織での利用を考慮して、標準を整備する。

(3)オブジェクトレベルでのデータ交換のための標準化 施工段階の CADデータを維持管理段階の GISで利用するなど、各事業フェーズの様々な業務システム間で情報を交換し、利用するためには、その間で交換される

データを意味のある情報として共通に取り扱えることが必要となる。 また、将来的には、分散配置されたコンピュータ間で自律的なデータの交換、共

有、利用を実現する統合的な電子データ利用環境の構築が求められる。 このため、オブジェクトレベルでのデータ交換、共有を実現するための標準を整

備していくものとする。

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3 第一次計画の成果と今後の課題 第一次計画(2001年度~2003年度)においては、CALS/ECの実現に必要な標準を

作成することが中心的な課題であり、3-1に示すような全体目標を設定し、さらに4つの標準化テーマ毎に、具体的な標準化の課題、三箇年の達成目標、活動スケジュールを

策定した。 そして、その計画に従い、建設情報標準化委員会では、延べ 300 人を超える産学官メンバーが結集し、4つのテーマ別の小委員会に分かれて標準の開発および調整を行っ

てきた。加えて、標準化作業に関連する活動として、ISOを始めとする国際標準化機関や国内関係団体との連携を図るために会議出席や調査作業を行った。また、標準化活動

を広く紹介し、標準化活動の輪を広げるため、セミナー開催などの普及活動を行ってき

た。 これらの活動の成果として、各種の要領・基準や交換標準が策定され、使用されるよ

うになったことで、第一次計画で策定した三箇年の目標はほぼ達成したと言える。 しかしながら、幾つかの目標課題のなかには一部残されたものもあり、課題も出てき

ている。さらに、建設事業を取り巻く社会情勢の変化や技術革新等により、新たに発生

する課題についても取り組んでいく必要がある。 そこで、本章では、本計画の目標を定めるために、第一次計画における成果と、今後

の課題を整理する。

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3-1 第一次計画の成果と課題 第一次計画では、2001年度から 2003年度までの三箇年の標準化目標を次のように

設定した。

位置情報をキーとして、建設情報をファイル単位で検索可能とするための標準を整備する

2次元 CAD データ交換、電子地図の CAD への取り込みなどを可能とするための標準を整備する

図 3-1 第一次計画における三箇年の標準化目標と利活用例

データ

電子地図

情報検索

工事完成図書データ  □□事務所

情報検索

デジタル写真

完成図面

・・・・・・・・・・・・・・

X_CAD

電子納品要領に従った成果品の作成・納品

情報検索

測量成果データ  ★★事務所

A_CAD

CADデータ交換標準

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13

以上の三箇年の標準化目標に対して、図 3-2に示すような標準化活動を行い、成果を得た。

図 3-2 第一次計画の目標に対する主な標準化活動と成果

以下に、標準化テーマに則して設置された4つの小委員会毎に、第一次計画の活動

成果や課題を示す。

位置情報をキーとして、建設情報をファイル単位で検索可能とするための標準を整備する

2次元CADデータ交換、電子地図のCADへの取り込みなどを可能とするための標準を整備する

標準化の目標

関連する主な標準化活動

電子納品要領・基準類の作成

成果品に対する位置情報の与え方の標準仕様の作成

標準化の成果

電子納品要領・基準類が整備され、その対象となる成果品について位置情報をキーとしてファイル単位で検索するための標準が整備された

地形測量成果(DM)からCADデータ交換標準形式(SXF)への変換仕様の作成

電子納品要領・基準類の改訂

CADデータを交換するための基盤が整備され、また、地形測量成果から設計へのデータ連携を

実現するための標準が整備された

2次元CADデータ交換標準仕様(SXFレベル2)および関連ツールの開発・提供

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1)コード小委員会 コード小委員会では、建設分野において、事業分野や事業フェーズを跨って情報

を共通認識するための基礎となる情報の分類やコード化について検討し、「建設情

報標準分類体系(JCCS)Ver1.0」を作成した。また、それを受けて、発注者コード等について、実利用レベルの個別共通コードを整理した。 なお、建設情報標準分類体系(JCCS)は、建設分野で利用されるあらゆる情報を分類、定義する上での基礎となるものであるため、他の小委員会との連絡調整会

議を開き、連携を図ってきた。さらに、国際標準との整合性を確保するために、

OCCS等の動向調査を行ってきた。 第一次計画では、建設情報標準分類体系の原案を示すことで、技術的には一定の

成果を収めることができた。今後は、実利用に応じて行われる詳細化の作業を支援

するための検討のほか、運用面や制度面の問題も解決していく必要がある。

表 3-1 第一次計画の活動成果と課題

検討項目 活動成果 課題

個別共通コードの検討 発注者コードの統一 コード標準化あり方検討

個別共通コードのニーズの

掘り起こし

建設情報標準分類体系の

開発 建設情報標準分類体系の

原案(JCCS Ver1.0)作成 JCCS 開発ガイドラインの作成

建設情報標準分類体系の実

利用に応じた詳細化の支援

国際動向の把握および調

整 OCCS、ISO-12006 の調査等

調査の継続と、JCCS と国際標準とのすりあわせ

表 3-2 第一次計画において策定された標準等

・建設情報標準分類体系(JCCS) Ver1.0

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2)電子地図/建設情報連携小委員会 電子地図/建設情報連携小委員会では、①地図を索引とする建設情報の共有のた

めの標準案の策定、②電子地図と CAD間のデータ連携仕様の策定、という2つの検討テーマを掲げ、標準化活動を行ってきた。 ①地図を索引とする建設情報の共有のための標準案の策定では、電子納品要領に

おける位置情報の与え方の標準案を作成して、成果品電子化検討小委員会に提案を

行い、電子納品要領の改訂に反映した。また、成果品以外の情報も含めた電子地図

上でのデータ連携に関する検討を行った。 また、②電子地図と CAD間のデータ連携仕様の策定では、地形、地物等にかかわる地図情報をデジタル形式で測定し、電子計算技術により、体系的に整理された

数値地形図のデータ(以下「DM データ」という)を CAD データ交換標準(SXF)形式に変換する仕様を作成すると共に、CAD、GIS 間でデータ連携を行うための課題を整理した。 今後、これら標準の利用促進を図るとともに、実際の利用場面において発生する

問題点やニーズ、さらに技術革新を受けて標準を適宜見直ししていく必要がある。 また、情報連携をさらに進めるため、電子地図上での建設情報の共有や、GISや

CAD等のデータを効率的に交換、利用するための標準作成が求められる。

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表 3-3 第一次計画における活動成果と課題

検討項目 活動成果 課題

地図を索引とする建設情報の共有のための標準案の策定 電子納品要領における

位置情報の与え方に関

する標準の策定

電子納品要領の位置情報

標準案の作成 電子納品要領への反映

実利用での問題点やニーズ

等による改訂

電子地図上での情報の

重ね合わせに関する標

準案の策定

建設情報の類型化 位置情報表現形式の整理

電子地図上でのデータ

共有に関する標準案の

策定

データベース連携に向け

た提案

検討成果を位置情報の与え

方や連携方法の標準として

具体化

電子地図と CAD間のデータ連携仕様の策定 DM データから CAD(SXF)データへの変換仕様の策定

DM-CAD(SXF)変換仕様(案)の作成

変換ツールの開発支援等の

利用促進 拡張 DMへの対応

CAD と GIS の連携に関する課題整理

課題整理と検討計画の作

成 CAD、GIS間のデータ交換及び連携に関する標準とし

て具体化

表 3-4 第一次計画において策定された標準等

・電子納品要領における位置情報管理項目に関する標準(案) ・DM-CAD(SXF)変換仕様(案)

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3)成果品電子化検討小委員会 成果品電子化検討小委員会では、建設事業における測量、地質調査、設計、工事

等の各業務フェーズにおける電子納品要領・基準類の作成を行ってきた。また、そ

の実利用を通して得られた問題点やニーズなどから、適宜、電子納品要領・基準類

の改訂、拡張も行ってきた。 第一次計画の活動により、建設事業の各業務フェーズにおいて、受注者から納品

される成果品については、標準化することができ、公共発注機関における電子納品

の実現に大きく寄与することができた。 ただし、作成した電子納品要領・基準類の多くは、従前の業務プロセスでやりと

りされる書類や図面を電子化したものであり、電子納品されたデータを他の業務や

サービスで再利用するといった観点からは課題が残った。また、電子納品を実施す

る上では、スキル不足や従来の成果品との二重提出による受注者側の負担増や、電

子納品による検査の煩雑化、等の主に運用面、制度面からの課題もあり、標準とし

て解決できるものについては、対応していく必要がある。 また、第一次計画においては、工事施工中における受発注者間の情報共有を行う

ための情報共有システムの機能要件の整理や、公共帳票様式の標準化、維持管理段

階におけるデータ交換ルールの検討なども行ってきた。 これらについては、全体として効率化を図るため、工事関連情報の共有から検査、

電子納品、保管管理に至る一連の情報の流れ中で連携方法を具体化し、電子納品要

領・基準類や工事施工中の情報共有システムに反映させていくことが求められる。

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表 3-5 第一次計画における活動成果と課題

検討項目 活動成果 課題

電子納品要領・基準類の

作成・拡大 電子納品要領・基準類の

作成(表 3-6参照)

電子納品要領・基準類の維

持更新および普及促進 利活用を考慮した電子デー

タ交換の検討 公共調達様式の標準化 標準帳票様式の作成、公

開 施工維持管理プロジェク

トデータベースの標準化 PDBデータ交換ガイドライン(素案)作成

適用方法や運用方法につい

ての具体化

情報共有システムの機能

要件(案)(Rev1.2)の作成、 電子納品要領(案)補足編(仮称)の検討

受発注者間の情報共有を核

に電子納品、検査、保管管

理、利活用に至る電子デー

タの連携の検討 工事関連電子納品の減量

化検討

その他

道路分野における電子納

品を利用した GISデータの更新検討

電子納品要領・基準類等へ

の反映

表 3-6 第一次計画において策定された標準

・土木設計業務等の電子納品要領(案) ・工事完成図書の電子納品要領(案) ・デジタル写真管理情報基準(案) ・CAD製図基準(案) ・測量成果電子納品要領(案) ・地質・土質調査成果電子納品要領(案) ・電気通信設備電子納品要領(案) ・機械設備工事電子納品要領(案)

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4)CADデータ交換標準小委員会 CADデータ交換標準小委員会では、CAD図面データを円滑に流通させて業務効

率を改善するため、CADデータ交換標準仕様(SXFレベル 2)の作成を行うと共に、CADソフト開発者や CADユーザの SXF利用を促進するためのソフトウェアツール(共通ライブラリ及び SXF ブラウザ)の開発及び提供を行ってきた。また、CAD図面データの高度利用を目的として、図形データに属性情報を付加して交換する仕

様(SXF Ver3.0)を作成した。 さらに、建設生産物の形状や性質を表現できるプロダクトモデルデータを共有、

連携する SXFレベル 4仕様の開発に着手し、プロトタイプを作成した。 SXF レベル 2 については、今後利用が進むにつれて新たな課題が発生する可能性があるが、それらの課題に対応するために仕様やソフトウェアツールを維持更新

することが求められる。 また、SXF Ver3.0で交換する属性は各々の業務分野ごとにその業務の専門家が

属性セットを定めていくことになるが、当小委員会はガイドラインの作成や技術指

導など、属性セット策定を支援していく必要がある。 一方、SXFレベル 4については、道路分野におけるプロトタイプを作成したが、今後は対象分野を増やして SXFレベル 4の利用範囲を広げていくとともに、実務での利活用方法を検討していく必要がある。

表 3-7 SXFのレベルとバージョンの関連

レベル バージョン Ver2.0 Ver3.0 レベル 1 画面(紙)上で、図面表示が正確

に再現できること。 レベル 2 2次元 CAD 製図データの要求を

十分満たし、再利用時における使

い勝手が確保されること。

CAD データの幾何部分の仕様

(Ver2.0 に加えて)図面表題欄および

属性付加機構のサ

ポート レベル 3 レベル 4 の仕様策定過程で必要と

される幾何部分の仕様。

レベル 4 GIS・統合 DB 等との連携、自動数量拾いなど、CADと関連ソフト間のデータ交換基盤の提供。

※SXF レベル 2 には Ver2.0 および Ver3.0 が含まれる.特に Ver3.0 のみを示す際には SXF Ver3.0と表記する(SXF Ver2.0も同様)

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表 3-8 第一次計画における活動成果と課題

検討項目 活動成果 課題

CADデータ交換標準仕様(SXFレベル 2)及びツールの開発 関係者間のデータ交換

ファイル仕様の作成 sfcファイル仕様の作成

電子納品を考慮した国

際標準準拠のファイル

仕様の作成

p21ファイル仕様の作成

CAD データ交換標準仕様

の維持、更新

図面表題情報、属性情

報の交換仕様の作成 SXF Ver3.0仕様の作成 SXF Ver3.0 の普及及び利

用促進

共通利用ソフトウェア

の開発・提供 共通ライブラリ、ブラウ

ザの開発、提供 共通利用ソフトウェアの維

持、更新 プロダクトモデル (SXFレベル 4)及びツールの開発 道路分野における SXFレベル 4 仕様検討・開発

SXF レベル 4(道路分野)の試作

道路分野仕様の作成 他の業務分野への適用によ

る仕様の拡充 SXF レベル4共通リソースの開発

SXFレベル 4共通リソースの試作

共通リソースの拡充

他システム(積算,GIS等)との連携検討

他システムとの連携にお

ける課題整理 具体事例による適用効果の

検討

表 3-9 第一次計画において策定された標準等

・2次元 CADデータ交換標準仕様(SXF レベル 2) ・SXF共通ライブラリ/SXFブラウザ

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5)共通的な課題 以上のような各小委員会の標準化活動を通じて、共通的な課題として「作成さ

れた標準の改訂、普及方策」や「オブジェクトレベルでのデータ交換」等の課題

があげられた。さらに技術的な課題として以下に示すような課題があげられた。

電子データの著作権の問題

様々な情報が電子データ化されるに伴い、その著作権のあり方や、著作権を保

護する仕組みについて検討する必要が生じてきた。

電子データの原本性の確保

電子データは容易に修正することができ、その痕跡も残さない。電子納品され

る電子データは、契約行為に基づく成果品であると共に、次の事業フェーズや他

の業務で有効に利活用する。 そのため、電子データの有効利用を阻害せず、かつその原本性を確保するため

の仕組みを検討する必要がある。

電子署名

上記のような課題に対して解決策を与えるための基盤的な技術の1つである電

子署名について、建設分野全体の視点から、技術面、運用面の課題、望ましい姿

を明らかにする必要がある。 時間情報の検討

電子データ流通基盤が整備され、リアルタイムなデータ交換を前提に業務モデ

ルが構築されるようになると、作成、交換されたデータに対して、時間を規定す

る必要が生じる。 そのような時間に関する情報が必要なデータを明確化し、時間情報を管理する

方法を検討する必要がある。

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3-2 今後の課題 第一次計画における三箇年の活動結果を受けて、今後検討すべき事項として挙げら

れた課題等を以下に整理する。

表 3-10 今後の課題の整理

作成された標準の改

訂,普及方策検討 電子納品要領・基準類や CADデータ交換標準(SXF)等の標

準の多くは、2004年度より本格的な運用が開始されるため、そこであげられる実利用上の問題点やニーズ、技術動向に対応し

て、標準の内容を見直していくことが求められる。 また、標準は広く利用されてこそ効果が生まれるものである

ため、作成した標準の運用、普及方策を検討、実施していく必

要がある。 電子納品データの利

活用と業務の効率化

を目指した電子納品

の検討

これまで策定された電子納品要領・基準類や CADデータ交換標準(SXF)などにより、電子納品実施のための基盤が整備された。しかし、それらの要領・基準類は、既存の書類を電子化

することを基本としていたため、電子化のメリットが十分発揮

されず、また、データの再利用や減量化等への課題が残された。 今後は、電子納品されたデータを後工程で利活用するための

検討とともに、データの重複入力を避けるなどの受発注者間で

の情報共有のあり方や、データ交換方法等の標準化について、

業務の効率化を目指して検討していく必要がある。 オブジェクトレベル

でのデータ交換を実

現するための検討

既存書類の電子化レベルでの交換は、紙の場合と同様な情報

伝達が行われるものであり、今後、システムの中で分野や事業

フェーズを超えて情報を共有し、統合利用を行う環境作りを目

指すためには、意味のある情報の単位での電子化を行うことが

必要である。このための方法論を確立することによって、今後

のオブジェクトレベルでのデータ交換の実現を目指す必要があ

る。 データ流通を支える

共通的な課題の検討 円滑なデータ流通を確保するために、共通基盤的な情報分類

体系の確立や電子データの著作権や原本性の確保等の課題につ

いて検討していく必要がある。 なお、制度/運用上の課題とは連携し、ここでは、主に標準化によりこれらの課題

を解決することを目指す。 また、建設事業を取り巻く環境や技術革新、それらを受けての生産プロセスの変革

等により、建設分野全体の視点から新たな標準が必要となった場合には、それに対応

した標準化活動を行っていく必要がある。例えば、1-2-1にあげたような効率的な投資、透明性の確保や、環境の保全、創造等の建設事業が抱える課題を解決する上で、建設

分野全体としての標準が必要とされる場合には、その標準化ニーズや関連施策、標準

化動向を考慮しつつ、適切な標準の作成や既存標準間の調整を行っていくことが求め

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られる。 さらに、前頁の第一次計画からあげられた今後の検討課題にあわせ、建設情報の標

準化を取り巻く社会情勢も考慮して、本計画の標準化テーマを設定するものとする。

図 3-3 本計画(第二次計画)の標準化テーマへの反映

第一次計画の課題

電子納品データの利活用と業務の効率化を目指した電子納品の検討

オブジェクトレベルでのデータ交換を実現するための検討

作成された標準の改訂,普及方策検討

データ流通を支える共通的な課題の検討

建設情報標準化を取り巻く社会情勢

第二次計画の標準化テーマ

・建設事業が抱える現状の問題点

・建設事業を取り巻く情報化の動向

・関連施策の動向

新たな標準化テーマへの対応

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4 三箇年の標準化目標と標準化テーマ 本計画では、第一次計画の活動の結果や今後の課題、および CALS/EC等の社会的要

請を踏まえて、データの交換・利用のあるべき姿を見定め、本計画で全体として達成す

べき標準化目標及び標準化テーマを掲げることとする。

4-1 データ交換、利用の中長期的なあるべき姿 第一次計画の活動を受けての課題や建設事業への社会的要請等から、今後、中長期

的に目指すべき将来像を以下に示す。 4-1-1 ライフサイクルを通じたデータの交換・利用

各種の電子納品要領・基準類が整備され、電子納品が本格的に実施される。これに

伴い、納品された成果品の再利用を促進し、電子化の効果を高めていくことが今後の

課題である。すでに第一次計画においても調査段階で納品される測量成果を設計段階

の CADで再利用するための検討等が行われてきたが、同様に設計段階から施工段階、施工段階から維持管理段階へとライフサイクル全体を通じて必要なデータをスムー

ズに交換し、利活用していくことが望まれる。このため、情報共有システムを核とし、

既存システムとの連携を考慮して、ライフサイクルを通じて利活用される電子データ

の効率的な交換・共有ルールの標準化が必要となる。

図 4-1 ライフサイクルを通じたデータの交換・利用

調査調査

調査調査調査 設計

維持管理 施工

発注者 発注者

受注者

受注者

受注者

受注者

事業フェーズ内のデータ交換 事業フェーズ内のデータ交換

事業フェーズ内のデータ交換 事業フェーズ内のデータ交換

ライフサイクルを通じたデータ交換

発注者 発注者

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4-1-2 オブジェクトレベルでのデータ交換・利用 第一次計画では、主に従前の業務プロセスで交換される書類や図面の単位で電子デ

ータを作成し、交換するための標準を作成してきた。しかし、交換されるデータをよ

り有効に活用していくためには、それらを必要に応じて細分化し、それぞれを独立し

たもの(オブジェクト)として意味を共通に認識して、状況に応じてそれらを組み合

わせて取り扱うことが求められる。 このような、オブジェクトレベルでのデータ交換・利用が実現すれば、

・電子納品データなどから必要な情報だけを抽出、加工する

・業務で利用しているシステムのデータを部分的に更新する

・データの重複整備を排除し、分散管理されたデータを統合的に利用する

といったことが可能となる。

図 4-2 オブジェクトレベルでのデータ交換・利用

受注者 発注者

○○台帳システム △△管理システム ××支援システム

○○○○△△△△××××

分散管理されたデータを統合的に利用する

必要な情報だけ抽出、加工する

業務で利用しているシステムのデータを部分的に更新する

情報共有システム

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4-2 三箇年の標準化目標 4-1で示したデータ交換、利用の中長期的なあるべき姿を達成するための本計画対象期間の位置付けを示し、2004~2006年度の三箇年計画を定めた。

4-2-1 本計画の対象期間の位置付け

4-1で、将来的なデータ交換、利用のあるべき姿として、①ライフサイクルを通じたデータの交換・利用、②オブジェクトレベルでのデータ交換・利用を掲げた。 しかし、現実には、主に各事業フェーズにおける受発注者間のデータ交換にとどま

っており、事業フェーズを越えてデータを交換、利用するという取り組みは始まった

ばかりである。そこで、本計画では、第一次計画で策定された標準類の普及・さらな

る利活用を図るとともに、各事業フェーズ間でデータ交換を行い、有効に活用してい

くことを目指す。 また、オブジェクトレベルでのデータ交換、利用を実現するためには、標準やソフ

トウェアの整備など、解決すべき課題は多い。しかし、製造業などの他産業では、設

計、生産等の工程で取り扱うデータをオブジェクト単位で標準化するなど、生産性の

効率化が図られている。また、建設分野においても、建築事業や道路設計等の一部で、

部品や構成要素単位での標準化の検討、活用が始まっており、全体的な視点からオブ

ジェクトレベルでのデータ交換、利用を目指すべき時期に来たと言える。 そこで、従来書類の電子化レベルのデータ交換から、オブジェクトレベルでのデー

タ交換へ移行して行くものとし、本計画では、まずオブジェクトレベルでのデータ交

換を実現するための基盤を整備していくものとする。

図 4-3 データ交換・利用のあるべき姿と本計画の関係

既存書類の電子化レベルのデータ交換

オブジェクトレベルでのデータ交換

ライフサイクルにわたるデータ交換

第一次計画 第三次計画以降第二次計画 (2001~2003年度) (2007年度~) (2004~2006年度)

 事業フェーズでのデータ交換

 事業フェーズ間のデータ交換

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4-2-2 三箇年の標準化目標 4-2-1で示した本計画の対象期間の位置付けや、第一次計画の活動結果、CALS/EC等の社会的要請等を踏まえ、本計画における 2004~2006 年度の三箇年の標準化目標を次のように定める。

【標準化目標】

1. 事業フェーズや事業分野を越えて情報を活用していくための標準を整備する

【実現例】

・測量や地質調査における電子成果の設計、施工フェーズでの活用

・工事中の情報共有システム利用による電子納品の簡素化

・竣工図データによる維持管理で利用する基盤地図の更新 等

2. オブジェクトレベルでのデータ交換を実現するための基盤を整備する

【実現例】

・CAD におけるプロダクトデータの共有、連携

・建設情報の体系化、連携促進 等

1.は、電子納品要領・基準類を中心としたこれまでの標準化活動の成果を維持、

更新すると共に、各フェーズ間の情報連携を実現し、将来的なライフサイクルを通じ

たデータの交換を目指すものである。 一方、2.については、交換されたデータから必要な情報を抽出、加工したり、各

種のデータを統合して利用することを可能にするため、交換されるデータを物理的、

概念的に意味を持った情報の単位で捉えて標準化を行うものであり、3次元の CADデータの交換を実現するためのプロダクトモデルの作成等、オブジェクトレベルでの

データ交換、利用の実現を図るための基盤を整備していくものである。

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4-3 本計画における標準化テーマ 4-2の三箇年の標準化目標を受け、本計画における標準化テーマを整理した。 これらは、第一次計画の活動から挙げられた課題や CALS/EC 等の社会的な要請に

対応し、建設分野で共通性が高く、多くの機関が参加することで建設分野全体への波

及効果が高いと考えられるものである。 ただし、ここで取り上げていない標準化テーマについても、建設事業を取り巻く環

境や技術革新等を受け、新たな標準化ニーズや標準間の調整が必要とされた場合には、

臨機に対応していくものとする。 電子成果の高度利用に関する標準の作成

調査、設計、工事、維持管理の段階で電子納品や情報共有システム等によって交

換・共有される情報の標準を作成するとともに、ライフサイクルを通じた情報の利

用を実現するための検討を行い、必要な標準類を策定する。 電子地図と建設情報の連携に関する標準の作成

位置情報の与え方等の標準仕様の作成、及び電子地図と CAD データの連携に関する標準の作成を行うことによって、様々な機関で整備された建設情報を地図を通

して共有すると共に、各事業段階で作成された電子地図や CAD データがライフサイクルを通じて交換、利用できる環境を実現する。

CAD データ交換に関する標準の作成

特定のアプリケーションに依存しない、属性を付加した CAD 図面データの交換仕様およびプロダクトモデルによる CADデータ連携共有仕様の作成により、CADデータを高度に利活用できる環境及び基盤を実現する。

建設情報関連コード/分類体系に関する標準の作成

建設事業におけるコード及び分類体系のあり方の検討及び標準化により、異なる

分野、組織間での電子データの効率的な交換、共有、連携を実現する。

オブジェクトデータの交換を実現するための基礎検討

将来的に目指すオブジェクト指向によるデータ交換の実現イメージや必要とな

る標準化活動を明らかにするため、上記テーマに跨った課題として検討を進める。

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以上の 5つの標準化テーマ間の関係を図 4-4に示す。 このように、現在あげられている5つの標準化テーマには、電子納品等で実際に交

換されるデータの構成、内容を標準化するといったテーマから、それらを全体的な視

点から整合させ、ライフサイクルにわたるデータの交換・利用を実現するための基盤

を整備するといったテーマまで、様々なものが含まれる。4-2であげた標準化目標を達成するには、これらの標準化テーマを相互に連携、協調しつつ、その活動を進めてい

くことが必要である。 また、第一次計画の活動成果と、本計画の各標準化テーマにおける活動項目、三箇

年の標準化目標の関連を図 4-5に示す。

図 4-4 本計画における5つの標準化テーマ間の関係

電子成果の高度利用に関する標準の作成

図面データの電子納品を実現する 電子成果等を有効に利用する

CADデータ交換に関する標準の作成

電子地図と建設情報の連携に関する標準の作成

建設情報関連コード/分類体系に関する標準の作成

ライフサイクルにわたるデータの交換・利用を実現する

オブジェクトデータの交換を実現するための基礎検討

・建設情報標準分類体系JCCS Ver2.0の開発・フェーズ間の情報の流通を実現する個別共通コードの検討

・二次元CADデータ交換仕様(SXFレベル2)の維持及び利用環境の整備・プロダクトモデル(SXFレベル4)の検討

・電子地図上で建設情報を共有するための標準の作成・DM、CAD、GIS間のデータ交換に関する標準の作成

・現行電子納品要領の維持、更新・電子データの利活用を目指した電子納品の検討

オブジェクトレベルでのデ|タ交換・利用を実現する

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図 4-5 第一次計画の活動成果と今後必要となる標準化活動

本計画の目標

オブジェクト

データの交換

を実現するた

めの基礎検討

事業フェーズや事業

分野を越えて情報を

活用していくための

標準を整備する

現行電子納品要領の

維持、更新

電子データの利活用を目指

した電子納品の検討

電子納品要領・基準

類の作成

電子成果の高度利用

に関する標準の作成

電子地図と建設情報の

連携に関する標準の作成

CADデータ交換に関する

標準の作成

建設情報関連コード/分類体

系に関する標準の作成

分散管理されたデータの検

索、交換、利用に関する検討

二次元CADデータ交換仕様

(SXFレベル2)の維持及び利用

環境の整備

建設情報分類体系原案

(JCCS Ver1.0)作成

建設情報標準分類体系

JCCS Ver2.0の開発

DM-CAD(SXF)変換仕

様作成

DM、CAD、GIS間のデータ交

換に関する標準の作成

位置情報の与え方の

検討・要領反映

電子地図上で建設情報を共

有するための標準の作成

公共調達様式の統一

第一次計画(2001~2003年度)

第二次計画(本計画)(2004~2006年度)

凡例

情報共有システム

の要件整理

オブジェクトレベルで

のデータ交換を実現

するための基盤を整

備する

二次元CADデータ交換

標準仕様(SXF レベル2)

の作成

プロダクトモデル

(SXFレベル4)の試作

プロダクトモデル

(SXFレベル4)の検討

オブジェクトデータの交換を

実現するための基礎検討

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5 三箇年の標準化活動 4-3で示した標準化のテーマ毎に、三箇年の達成目標とその活動計画を示す。 また、現在、テーマとしては十分に成熟していないが、今後必要となってくると思わ

れる新たな標準化課題についても示す。

5-1 電子成果の高度利用に関する標準の作成 成果品の電子納品要領については、土木編、電気通信設備編、機械設備工事編の作

成および改訂作業が、概ね完了したところである。今後は実運用に伴い発生する課題

への対応が必要である。また、新技術への対応、要領・基準(案)間の整合検討、利

活用を踏まえた要領の改善等が必要であり、現行の要領・基準(案)を維持・更新し

ていく必要がある。 一方、現行の電子納品要領は、従来の書類による成果品を電子化したものであり、

情報の電子化のメリットを十分発揮できないことから、新たな取り組みが必要となる。

今後は業務改善を考慮して、受発注者間の情報共有を核に、電子納品、検査、保管管

理、利活用という一連の電子データの流れを、ライフサイクル全体にわたり検討を進

めていく必要がある。このため、電子データの利活用に配慮した交換ルールの標準化

を目標として、電子納品の検討を行う必要がある。 このような背景から、次の2つの検討課題を捉え、三箇年の標準化活動を行う。 ①現行電子納品要領の維持、更新

②電子データの利活用を目指した電子納品の検討

(1)三箇年の達成目標と効果 上記のそれぞれの検討課題について、2006年度までの達成目標と、それによる効果を示す。

1)現行電子納品要領の維持、更新 【三箇年の達成目標】

• 運用面の課題、ニーズや技術革新を考慮して現行電子納品要領の維持、更新を図る。

【効果】

• 電子納品実施に伴う初期課題が解消され、電子成果品が確実に納品される。 • 電子データの利活用が促進される。 • 新たな技術革新への対応が図られる。

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2)電子データの利活用を目指した電子納品の検討 【三箇年の達成目標】

• 受発注者間での共有情報の標準化を図る。 • 業務改善を目指した新たな電子納品システムを検討する。 【効果】

• 受発注者間の業務情報共有システムの仕様が整備される。 • 受発注者間の工事情報共有システム上での効率的なデータ取得と情報共有が可能になる。

• 業務プロセスをまたぐ情報利活用のあり方が提案される。

工事段階 維持管理段階

受注者

発注者

工事情報共有システム

○○システム

××システム

調査・設計・工事

工事情報 成果品情報

電子データ

紙データ

保管管理システム

維持管理情報

図 5-1 工事~維持管理における情報の流れ

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受注者工事情報(電子)

成果品情報

交換ルール・交換情報の標準化

情報共有

発注者

情報共有

維持管理情報

図 5-2 工事情報共有システムと標準化課題

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(2) 三箇年の活動内容 (1)にあげた目標を達成するための具体的な活動内容を示す。

1)現行電子納品要領の維持、更新 土木編については、運用面での課題、新技術への対応、および利活用促進につい

て配慮して、要領・基準(案)の維持、更新を行う。測量、地質および CADのように専門性が高いものは、引続き関連機関や学識経験者の意見を踏まえて検討を行

い、要領・基準(案)の維持、更新を行う。 電気通信設備編および機械設備工事編については、各々の独自性に配慮するとと

もに、土木編との整合性を図りながら維持、更新を行う。

電子納品要領・基準名称 最新版 改訂年月

土木設計業務等の電子納品要領(案) 2001.8 2004.6

工事完成図書の電子納品要領(案) 2001.8 2004.6

デジタル写真管理情報基準(案) 2002.7 2004.6

測量成果電子納品要領(案) 2003.3 2004.6

地質調査資料整理要領(案) 2003.7 2004.6

CAD 製図基準(案) 2003.7 2004.6

電気通信設備電子納品要領(案) 2003.7 2004.6

機械設備工事電子納品要領(案) 2004.3 2004 年度中

*機械設備工事編は CAD工種の追加等が必要

2)電子データの利活用を目指した電子納品の検討 業務改善を考慮して、ライフサイクル全般にわたる電子データの効率的な交

換・共有ルールに関する標準化を目標として、利活用を目指した電子納品の改善

および高度化に関する検討を行う。

(A)電子成果の利活用検討 維持管理段階において活用されるGISデータ等情報を工事段階の電子納品成果

から効率的に取得・運用・交換するための電子納品のあり方について検討する。 また、維持管理段階での利活用が期待できる品質・出来形管理データなどにつ

いて、工事成果品の減量化等に着目した検討を実施する。 (B)受発注者間での工事関連共有情報の標準化

工事中の電子納品から維持管理に至る一連の電子データの連携を踏まえて、帳

票および添付書類を含む工事関連情報の中で、工事中および維持管理段階で利活

用度の高い、打合せ簿や品質・出来形管理などの情報を対象に、工事情報共有シ

ステム上での効率的なデータ取得と情報共有を前提に XML化等の検討を行う。

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(C)業務関連共有情報の標準化

調査、設計から工事発注に至るまでの業務関連における共有情報の標準化のあ

り方について、工事情報共有システムとも連携を図りながら検討する。

(D)業務改善を目指した新たな電子納品に関する提案 上記(A)~(C) の検討結果を踏まえて、業務プロセスをまたぐ情報の利活用のあ

り方を検討し、業務改善を目指した新たな電子納品システムを検討する。

(3)活動スケジュール

活動項目 2004年度 2005年度 2006年度 現行電子納品要領の維持、更新

土木編 電気通信設備編 機械設備工事編 電子データの利活用を目指した電子納

品の検討

電子成果の利活用検討 受発注者間の工事関連共有情報の標準化

受発注者間の業務関連共有情報の標準化

新たな電子納品に関する提案

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5-2 電子地図と建設情報の連携に関する標準の作成 第一次計画では、電子納品要領における位置情報の与え方に関する標準や、DMデ

ータを CADデータ交換標準形式である SXFデータに変換する仕様を作成した。 しかし、建設事業では、電子納品される情報以外にも、様々な情報が利用される。

特に、建設事業で取り扱う情報は属地性が高く、既に、様々な業務、サービスにおい

て、GISの活用が進みつつある。GISでは、様々な建設情報を電子地図上で統合的に利用することが可能となるが、そのためには、位置情報の表現方法や、変換方法など

を標準化する必要がある。 また、測量、調査、設計、施工などの業務において、CAD を含めて電子データが

広く利用されるようになり、これらの業務をより効率化するため、業務フェーズを超

えた情報の交換が必要とされている。特に、測量成果である地形データは、設計、施

工のみならず、その後の維持管理においても重要な基礎情報となるため、その有効活

用が求められている。 さらに、将来的には、様々な業務、サービスの目的に応じて整備され、分散管理さ

れている CADや GIS等のアプリケーションやデータベースから、必要なデータを効率的に検索、抽出し、交換、利用、加工するための環境作りが求められている。

以上の背景から、大きくは次の3つの検討課題を捉え、三箇年の標準化活動を行う。

①電子地図上で建設情報を共有するための標準の作成

②DM、CAD、GIS 間のデータ交換に関する標準の作成

③分散管理されたデータの検索、交換、利用に関する検討

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(1)三箇年の達成目標と効果 上記のそれぞれの検討課題について、2006年度までの達成目標と、それによる効果を示す。

1)電子地図上で建設情報を共有するための標準の作成 【三箇年の達成目標】

• 建設情報に対する標準的な位置情報の与え方や連携方法などを示した標準案を作成し、電子地図上で建設情報を検索し、重ね合わせるための基盤を整備す

る。 【効果】

• 電子地図上で様々な建設情報を検索し、重ね合わせることで、情報検索の効率化や利用の高度化を図ることが可能となる。

図 5-3 電子地図上で建設情報を共有するための標準の作成

00.00m00.0mm/h

,雨量 水位等

( : )完成図面 交差点平面図 CAD

道路中心線(デジタル道路地図)

建物(住宅地図)

断面図

( )用途地域等 都市計画図

位置情報の与え方・連携方法の標準案

位置情報の与え方・連携方法の標準案

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2)DM、CAD、GIS間のデータ交換に関する標準の作成 【三箇年の達成目標】

• 測量成果を属性情報も含めて設計段階で有効に活用するための標準を作成する。

• CADデータを利用して、地理情報標準に準拠した GISデータを整備、更新していくための標準を作成すると共に、他分野に拡張するための方法を示す。

【効果】

• 測量成果である DMデータを CADソフトで利用することができ、紙図面からの読みとりや属性データの入力の手間を削減することができる。

• GISデータを竣工図等の CADデータから整備・更新することが可能となり、GISデータの整備コストが削減される。

図 5-4 DM、CAD、GIS間のデータ交換に関する標準の作成

測量業者 発注者設計業者

DMデータ/拡張DMデータ

変換ツール SXFデータ

DM -CA D (SXF)変換仕様(案)

拡張DM -CA D (SXF)変換仕様(案) 測量成果を設計CADで利用することができる

測量成果

施工業者SXFデータ

工事成果(竣工図面)

発注者

設計

SXFデータ

SXF V er3 .0 データ と G ISデータ間の変換仕様(案)変換ツール

維持管理

GISアプリケーション

CADデータを用いてGISデータを整備、更新することができる

GISを活用した維持管理の実施

作成する標準等

凡例:

標準が規定するもの

データ交換の流れ

施工

測量

DMデータ/拡張DMデータ

SXFデータ

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3)分散管理されたデータの検索、交換、利用に関する検討 【三箇年の達成目標】

• 建設事業において利用される様々なアプリケーションやデータベースから、必要なデータを効率よく検索、交換、利用するためのルールを検討し、それを実

現するために必要となるデータや機能、サービスを明らかにする。 【効果】

• 標準化されたルールに従ったデータやサービス等の整備が進むことにより、統合的なデータ利用環境の実現に寄与する。

図 5-5 分散管理されたデータの検索、交換、利用のイメージの例

利用者

用語辞書メタデータスキーマ

データの内容、所在

データの作り方(構造)

データ登録簿

①必要なデータを検索する

②データの内容、所在、

作り方を確認する

③データを要求する④データを取得する

メタデータ/スキーマを登録する

データベース

登録、審査のルール

必要なデータ、機能、サービスの内容

データ交換のルール、インターフェイス

作成する標準等

凡例:

標準が規定するもの

データ交換の流れメタデータ/スキーマの登録の流れ

データベース

データベース

分散管理されたデータ

③データを要求する

④データを取得する

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(2)三箇年の活動内容 (1)にあげた目標を達成するための具体的な活動内容を示す。

1)電子地図上で建設情報を共有するための標準の作成 建設情報を電子地図上で検索し、重ね合わせるため、建設情報に対する標準的

な位置情報の与え方や連携方法などを示した標準案を作成する。 また、標準案の普及を目的として、実証実験による具体的な利活用イメージの

作成および位置情報の記述方法や運用方法を示したガイドライン等の作成を行う。

2)DM、CAD、GIS間のデータ交換に関する標準の作成 測量成果である DM データを設計段階で有効に活用するための変換仕様を作成

すると共に、属性情報を有する CADデータ(SXF Ver3.0)を利用して、地理情報標準に準拠した GISデータを整備、更新していくための標準を整備する。

(A)DM-CAD(SXF)変換仕様(案)の普及及び維持、更新

2003年度に作成した DM-CAD(SXF)変換仕様(案) について、実際に利用する上での問題点やニーズ、技術革新、環境の変化などを受けて、その内容を適宜更新し

ていく。 また、建設事業の受発注者や変換ソフトウェアを作成するベンダー等への普及を

図ることが求められており、変換ソフトウェアの開発、提供に対する支援活動もあ

わせて行う。

(B)拡張 DM-CAD(SXF)変換仕様(案)の作成

現行の DM データに対して、ディジタルマッピング取得分類基準を明確にし、

かつ、応用測量成果等を含めた「拡張ディジタルマッピング実装規約(案)」が

2004年度に公表される予定である。 そこで、今後データの整備が進むと思われる「拡張ディジタルマッピング実装規

約(案)」に対応したデータ(以下「拡張 DMデータ」という)を SXFに対応した CADソフトで有効に活用するための変換仕様を作成する。

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(C)SXF Ver3.0データと GISデータ間の変換仕様(案)の作成 既に、建設事業の様々な場面で GISの活用が始まっており、我が国の空間デー

タ交換標準である地理情報標準に従ったデータの整備も推進されつつある。しか

し、測量を伴うような GISデータの整備には多大なコストがかかるとともに、利用面からは、より鮮度の高いデータが求められており、完成図面などの CAD データを利用した GISデータの更新などのニーズは高いといえる。 そこで、設計段階や施工段階で利用される CAD データと地理情報標準に準拠

した GISデータ間の変換仕様(案)を作成するものとする。 具体的には、道路基盤データの整備、更新方法に関する検討の成果を受け、大

縮尺数値地形図などで表現されるGIS共通基盤データとなる地形等のデータについて、SXF Ver3.0との変換仕様を作成する。

3)分散管理されたデータの検索、交換、利用に関する検討 建設分野において、業務分野や業務フェーズ毎に構築、整備されている様々な

GIS や CAD 等のデータを効率的に検索、交換、利用するための方法を具体化し、そのために必要となる標準やデータ、サービス等を明らかにする。 また、データ交換に関する国際標準等を調査、整理し、データ交換のルールや、

メタデータの登録方法等を検討する。 なお、本検討は後述する「オブジェクト指向によるデータ交換を実現するための

基礎検討」の検討成果を受けて、各分野との役割分担を明確にして検討を進めるも

のとする。

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(3)活動スケジュール

活動項目 2004年度 2005年度 2006年度 電子地図上で建設情報を共有するため

の標準の作成

位置情報の与え方や連携方法の標準案の作成

位置情報の与え方や連携方法の

標準(案)の作成

実証実験による具体的な利活用

イメージの作成

位置情報の記述・運用ガイドライ

ン(案)の作成

DM、CAD、GIS 間のデータ交換に関する標準の作成

DM-CAD(SXF)変換仕様(案)の維持更新

拡張 DM-CAD(SXF)変換仕様(案)の作成

拡張 DM-CAD(SXF)変換仕様(案)の作成

拡張 DM-CAD(SXF)変換仕様(案)の維持更新

SXF Ver3.0データと GISデータ間の変換仕様(案)の作成

分散管理されたデータの検索、交換、

利用に関する検討

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5-3 CADデータ交換に関する標準の作成 第一次計画では、公共事業を含む建設業界全体における図面データを対象として、

二次元 CADデータ交換仕様(SXFレベル 2)を策定した。この仕様は、国土交通省の「CAD製図基準(案)」のデータファイルフォーマットとして採用されるなど、公共事業における電子データ納品仕様として利用されつつあり、当面の間、標準として採

用すべき仕様については、およその結論を得たものであると考えられる。 一方、本計画では、これらの成果を維持・高度化し、より利用性の高いデータ交換

仕様環境に結びつけることが必要である。 加えて、次世代のデータ共有・連携基盤を実現するための技術として、建設業界全

体で用いることができる“建設製品モデル(プロダクトモデル)”の開発のあり方を

明らかにする必要がある。 このような背景から、大きくは次の2つの検討課題を捉え、三箇年の標準化活動を

行う。 ①二次元 CAD データ交換仕様(SXF レベル 2)の維持及び利用環境の整備

②プロダクトモデル(SXF レベル 4)の検討

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(1)三箇年の達成目標と効果

1)二次元 CADデータ交換仕様(SXFレベル 2)の維持及び利用環境の整備 【三箇年の達成目標】

• SXFレベル 2仕様を継続的に維持・メンテナンスする。 • SXF Ver3.0仕様を用いた二次元 CADの利用環境を整備し、普及を図る。 【効果】

• CADデータ交換基盤環境を維持する。 • 実務において二次元図面を高度に利用することが可能となる。 • 業務フェーズ間で高度利用された図面を交換することが可能となる。

図形+

属性情報

FH =98.000GH =102.040

No.0

FH =99. 000GH =103.090

No.1

FH =99.755GH =103.800

No.2

測点名 追加距離 単距離 切土断面 切土平均断面 切土量 盛土断面 盛土平均断面 盛土量

No.0 480.00 0.00 49.70 0.00

No.1 500.00 20.00 50.51 50.11 1,002. 16 0.00 0.00 0.00

No.2 520.00 20.00 49.79 50.15 1,003. 00 0.00 0.00 0.00

合計 2,005. 16 0.00

V3実証実験資料 横断図グループ

FH =98.000GH =102.040

No.0

FH =99.000GH =103.090

No. 1

FH =99.755GH =103.800

No.2

測点名 追加距離 単距離 切土断面 切土平均断面 切土量 盛土断面 盛土平均断面 盛土量

No.0 480.00 0.00 49.70 0.00

No.1 500.00 20.00 50.51 50.11 1,002. 16 0.00 0.00 0.00

No.2 520.00 20.00 49.79 50.15 1,003. 00 0.00 0.00 0.00

合計 2,005. 16 0.00

V3実証実験資料 横断図グループ

切盛土の断面積や計画高etc..の情報がついていれば・・・

切盛土の断面積や計画高etc..の情報がついていれば・・・

情報が渡る!情報が渡る!

土量の計算が可能。計画高が変更されても、再計算できる!

土量の計算が可能。計画高が変更されても、再計算できる!

図 5-6 CADデータの利用環境(SXF Ver3.0)イメージ

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2)プロダクトモデル(SXFレベル 4)の検討

【三箇年の達成目標】

• プロダクトデータの共有、連携が可能な仕様(SXFレベル 4)を開発し、(三次元を含む)次世代の CAD利用環境を検討する。

【効果】

• 建設事業において、業務改善(BPR)を行う基盤環境が整備されるなど、データを高度に利用することが可能となる。(業務効率・品質の向上)

• 様々なアプリケーションソフト(CAD 含む)間でプロダクトデータを共有・連携することが可能となる。

図 5-7 プロダクトモデル(SXFレベル 4)の検討

道路 オブジェクト

河川 オブジェクト

橋梁 オブジェクト

建築 オブジェクト

設備 オブジェクト

プロダクトデータベース

建設分野の共通リソース = レベル4 モデルスキーマ

アプリケーション

サーバ

積算 CAD CG 技術計算 施工管理

インターネット(XML)

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(2)三箇年の活動内容 (1)にあげた目標を達成するための具体的な活動内容を示す。

1)二次元 CADデータ交換仕様(SXFレベル 2)の維持及び利用環境の整備 CAD データ交換基盤環境を維持すると共に、実務において二次元図面を効果的

に利用することを可能とするため、SXFレベル 2のメンテナンスと、SXF Ver3.0仕様を用いた二次元 CADの利用環境を整備する。

(A)SXF レベル 2仕様,既開発ソフトウェアの維持更新

二次元 CAD データの利用環境を維持するための成果である以下の仕様書、及びソフトウェアを維持更新する。

SXF仕様書 -SXF Ver3.0 仕様書、実装規約 -SXF Ver2.0仕様書・同解説 ※SXF Ver3.0のメンテナンスを基本とするが、必要に応じて SXF Ver2.0に関する見直しを含む。

共通ライブラリ、SXFブラウザ

(B)属性セット開発ガイドライン(仮称)の作成 建設情報標準化委員会以外の機関が容易に SXF Ver3.0 属性セットを策定する

ための各種のサポートを行う。 具体的には、属性セット作成時に留意すべき事項、作図上の制限事項などを抽

出し、“属性セット開発ガイドライン(仮称)”を 2004 年度中に作成する。また、個別の策定活動より依頼のある場合には、専門家を派遣する。

(C)SXF Ver3.0の CADへの実装促進(電子納品要領での採用)

上記(B)と並行し、各機関で策定された属性セット対応 CAD の拡大に向け、ホームページによる属性セット公開などの普及・広報活動を行う。 また、実務において利用可能と判断される状況まで普及した際には、公共発注

機関の電子納品要領において納品仕様として採用されるための活動を実施する。

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2)プロダクトモデル(SXFレベル 4)の検討 建設生産プロセスを効率化するために、CAD などのアプリケーションにおいて

プロダクトモデルを交換し、有効に利用するための検討を行う。 なお、ここで作成されるデータモデルは、建設情報全体の分類体系である JCCS

の参照モデルの1つとして位置づけられ、5-5での成果を受けて、検討内容や役割分担を適宜見直すものとする。

(A)プロダクトモデルの標準的な仕様(SXF レベル 4)の開発

2003 年度に開発した共通リソースをベースに、実験仕様のドメインモデルの開発と実証実験等を繰り返すことにより、建設業界に共通で利用可能なオブジェ

クトモデル(共通リソース)を策定・公開する。特に、ドメインモデルの開発動向に合わせ、共通的に保持すべきリソースを拡張する活動を行う。

SXFレベル4

共通情報

建築オブジェクト

橋梁オブジェクト

共通情報

河川オブジェクト

共通情報

道路オブジェクト

共通情報

共通情報

設備オブジェクト

SXFレベル4

建築オブジェクト

橋梁オブジェクト

河川オブジェクト

道路オブジェクト

設備オブジェクト

図 5-8 共通リソースの拡大イメージ

実験仕様のドメインモデルについては,仕様の策定状況や市場のニーズなどを

考慮し,必要に応じて適宜公開することにより,CAD に実装して実務で利用いただく。 また、アプリケーションへの実装を促進するために、仕様書類を整備・公開す

るとともに、共通的なツール(レベル 4 の入出力用ライブラリ,レベル 4 ブラウザなど)を開発して提供する。

(B)ドメインモデル構築のサポート ドメイン毎のモデルを、分野ごとの専門家で構築することの可能な枠組みを構

築する。各ドメインモデル構築機関との間で仕様調整を実施することとするが、

具体的な調整方法については、事例に応じて検討するものとする。 また,上記(A)の活動で策定した実験用ドメインモデルの開発成果を,専門家に引き継ぐことも考えられる.この場合,ドメインモデル開発の工数の短縮が可

能となる.

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(3)活動スケジュール

活動項目 2004年度 2005年度 2006年度 二次元 CAD データ交換仕様(SXF レベル 2)の維持及び利用環境の整備

SXF レベル 2 仕様,既開発ソフトウェアの維持更新

属性セット開発ガイドライン(仮称)の作成

SXF Ver3.0 の CAD への実装促進(電子納品要領での採用)

プロダクトモデル(SXFレベル 4)の検討

プロダクトモデルの標準的な仕様(SXF レベル4)の開発

共通リソースの開発 ドメインモデルの開発 仕様書,開発ツールの整備 ドメインモデル構築サポート

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5-4 建設情報関連コード/分類体系に関する標準の作成 CALS/EC の進展に伴い、建設情報の共有・連携が可能となりつつある。しかし、

建設情報の共有・連携のためには、基盤技術であるコードの標準化が不可欠である。 第一次計画では、コードの標準化活動として建設情報の持つ意味の定義付けを行う

建設情報標準分類体系(JCCS Ver1.0)の策定、既存の建設情報関連コードの共通化(個別共通化)として発注者コードの共通化を行った。

さらにコードの標準化を推進するためにより具体的、実用的な観点から下記の2つ

の検討課題を捉え、三箇年の標準化活動を行う。

①建設情報標準分類体系 JCCS Ver2.0の開発 ②フェーズ間のスムーズな情報の流通を実現する個別共通コードの検討

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(1)三箇年の達成目標と効果 上記の検討課題について、2006年度までの達成目標と、それによる効果を示す。

1)建設情報分類体系 JCCS Ver2.0の開発 【三箇年の達成目標】

• JCCS Ver1.0 の基本分類テーブルうち、ニーズの高いテーブルについて細分化を行う。

• 基本分類コードを用いて特定分野の応用コードを開発すると共に、既存のコード体系と JCCSとのマッピングを行う。

【効果】

• 主だった既存のコード体系が JCCS Ver2.0を通してお互いにデータを関連付けることが可能になる。

• 今後、新たに分類やコードが必要な分野において、標準化を行うための基盤を提供できる。

図 5-9 JCCS Ver2.0によるデータ交換イメージ

凡例

既存コード

JCCS応用コード

JCCS応用コード

JCCS基本コード

<各種DB>

<各種レイヤー情報>

施設管理情報データ

建物レイヤー・病院(ID):(属性データ)

道路レイヤー

ビューモデル

台帳DB 画像DB 統計DB

鉄道レイヤー

オブジェクト(学校)

CADの領域の既存コードに基づいて作成されたデータ

設計情報データ

属性データを保持できるCADデータ(SXF Ver 3.0 以上)

フィーチャ(図形)属性セット

・施設:△△病院・住所:□□町□□番地

・事業者:××市・建設資材:△○製品・関連法令:○□法            など

・幾何学要素/表記要素

フィーチャ・構造化要素フィーチャ            など

GISの領域の既存コードに基づいて作成されたデータ

病院CADデータ

CADデータ

オブジェクト(病院)

作図

建築部位-ろ部:建設資材-##材<<建設関連企業>>

関連

建築部位-は部:建設資材-##材<<建設関連企業>>

 ○□法

建築部位-い部:建設資材-##材<<建設関連企業>>

管理者  地方公共団体-××市

GISデータ 応用コード

応用コードに変換されたデータ項目(イメージ)

位置情報  ××経度・○○緯度

 点、線

属性セット attr

地物名  病院・診療所施設

データの流れ

既存コード

GISデータ

JCCS基本コードとJCCS応用コードとの関係

既存コードとJCCS応用コードとの関連付け

住所

建設資材

関連法令

 建築部位-い部:建設資材-##材<<建設関連企業>>

事業者  地方公共団体-××市

CADデータ 応用コード

応用コードに変換されたデータ項目(イメージ)

施設  病院・診療所施設

 □□町□□番地

図形  点、線

 建築部位-ろ部:建設資材-##材<<建設関連企業>>

 建築部位-は部:建設資材-##材<<建設関連企業>>

 ○□法

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2)フェーズ間のスムーズな情報の流通を実現する個別共通コードの検討 【三箇年の達成目標】

• フェーズ間で流通する建設情報を整理する。 • 必要性の高い個別共通コードの作成と JCCSの推奨テーブルとして公開する。

【効果】

• 建設情報の共通化の必要性の高い分野や業界における効率化やコスト縮減に寄与する。

• 新たに作成する個別共通コードを JCCS Ver2.0の推奨テーブルとして公開させることにより JCCS Ver2.0と関連付けられたコード体系との関連性が高まることによる効率化やコスト縮減が期待される。

(2)三箇年の活動内容 (1)にあげた目標を達成するための具体的な活動内容を示す。

1)建設情報標準分類体系 JCCS Ver2.0の開発 JCCS Ver1.0をもとに、より具体的な利用をイメージした JCCS Ver2.0の開発

を行う。

(A)基本コード Ver2.0 の開発 資源、主体及び建設物などのニーズの高いテーブルについて、細分化(細目レ

ベルの開発)を行うと共に、開発作業に伴って発生する用語を語彙集に追加する。

また、基本分類をもとにユニークでかつ軽量なコードの採番方法の検討を行う。

(B)応用コードの開発 JCCS Ver2.0を用いて、各分野に合わせた応用コードを開発する。

(C)推奨分類の公開

各分野において利用されている既存の分類やコード体系について基本コード

Ver2.0 と親和性を確認(マッピング)し、これを JCCS 推奨分類として公開する。

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2)フェーズ間のスムーズな情報の流通を実現する個別共通コードの検討 建設事業において円滑な情報流通を確保するため、フェーズ間で流通する建設情

報を整理し、ニーズに応じて個別共通コードを作成する。また、JCCSの基本コードとマッピングし、JCCSの推奨分類として公開する。

(A)フェーズ間を流通する建設情報の整理

調査計画、設計積算、工事施工および維持管理といったフェーズ間をわたって

利用されている建設情報の現状を把握する。この際、建設のライフサイクルを通

じて利用されている建設情報についても把握する。また、その建設情報を利用し

ている個別コードとの関係を整理する。なお整理にあたっては関連する各業界へ

のヒアリングを行う。

(B)個別共通コードの提案 フェーズ間の流通する建設情報の整理をもとに、必要性の高い分野や業界に着

目し、関連する個別コードを保有する団体の参加のもと具体的な個別共通コード

の作成を行う。また、平行して作業が行われる JCCSVer2.0の基本コードと作成された個別共通コードとを用いて関連付けを行うことにより、JCCSVer2.0 の推奨テーブルとして公開する。

(3)活動スケジュール

活動項目 2004年度 2005年度 2006年度

1) 建設情報標準分類体系 JCCS Ver2.0の開発

基本コード Ver2.0の開発

応用コードの開発

推奨分類の公開

2)フェーズ間のスムーズな情報の流通を実現する個別共通コードの検討

フェーズ間の流通する建設情報の整理

個別共通コードの提案

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5-5 オブジェクトデータの交換を実現するための基礎検討 4章にも掲げたように、将来的には業務やシステムを超えて自在にデータを交換し、

統合的に利用する状況を作り出すことが建設情報標準化の目標である。 すなわち、異なる利用システム間でデータを利用する場合に、人間がその都度その

意味を判断して処理を行わせるという状況から、データそのものに持たせた機能によ

って利用システムの違いにも自立的に対応できる状況を目指すことであり、これは、

近年注目を集めているオブジェクト指向の考え方を導入することにほかならない。 オブジェクト指向によるデータの交換、利用は、意味を持つ独立した個々のデータ

を利用目的に応じて自由に構成すること、いわゆる“Write Once, Use Anywhere”を実現するもので、多くの関係者や異種システム間での情報共有を進める標準化作業に

は今後欠かせない技術である。 しかし、オブジェクト指向によるデータ交換、利用のための標準化作業をさまざま

な開発主体が行う場合、その実現イメージを共有し、連携した作業を進めなければ、

建設分野全体として整合性が取れない、あるいは重複作業が生じるといった恐れがあ

る。 このため、本計画においてオブジェクトレベルでのデータの交換、利用のための標

準開発に関する検討を進める際に、関係者間で実現イメージやそのために必要となる

標準等について共通化を図りながら、互いに作業分担や連携を行うための検討や整理

を行う。

(1)三箇年の活動内容 本検討は、各標準化テーマ、課題毎の標準化活動を効率的に行うための基礎検討

であり、このため、本計画の1年目(2004年度)に一定の成果を出し、その後は必要に応じ各標準化活動の連絡調整等の活動を行うものとする。

1)オブジェクト指向によるデータ交換、利用の実現イメージの明確化 建設分野においてオブジェクト指向によるデータ交換を実現すべき場面を整理

し、そこでのデータ交換、利用の実現イメージを明らかにする。

2)標準化活動における連携方策の検討 1)を実現するために必要となる標準化テーマや課題を整理するとともに、具体の

活動において必要となる作業分担や連携方策について検討を行う。また、必要に応

じて各標準化活動の連絡調整等を行う。

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5-6 新たな標準化テーマへの対応 1-2 に示したように建設情報標準化を取り巻く社会情勢として、建設事業が抱える

課題や情報化の動向,関連施策の動向等を常に把握すると共に、建設事業に関係する

様々な機関、組織からの標準化ニーズ、生産プロセスの変更などを広く取り入れてい

く。それらの情勢のうち、建設情報標準化に関連した現状の問題点や更なる情報技術

の革新,関連施策について、新たな標準化テーマが抽出された場合は、新たに発生す

る調整や必要な標準開発を行っていく。 そのため、三箇年の標準化活動と並行して、本計画以降に新たに対応が必要となる

と思われる標準化テーマを抽出し、既存の取り組みテーマとの関係及び優先順位を明

らかにした上で、対応していくものとする。

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6 本計画の推進と利用促進

6-1 推進体制 (1)建設情報標準化委員会の構成 建設情報標準化委員会は、公共事業の執行に関連する省庁や地方公共団体に加え、

建設業関連の業界団体や標準化機関が結集する場として、組織を越えた議論や既存

標準間の調整を行う。 本計画の推進にあたっては、建設情報標準化委員会に必要な体制を整えて、標準

化等の活動を行うものとする。具体的には、5 章で示した検討テーマ毎に小委員会を設け、関連する機関・団体からメンバーを募り、実質的な標準化活動を行う。ま

た、小委員会では、必要に応じてWG等を設置して活動を行う。なお、「オブジェクト指向によるデータ交換を実現するための基礎検討」については、研究会を設置

し、基礎的な調査・検討を行うものとする。 さらに、各小委員会の小委員長などから構成される幹事会および、必要に応じて

開催される連絡会議では、本委員会の活動の全体的な管理、調整や、建設生産シス

テムの見直し等を受けての新たな標準化テーマの抽出、外部からの持ち込み標準へ

の対応、標準の普及方策の検討などを行う。 なお、図 6-1は 2004 年度における建設情報標準化委員会の構成であり、新たな標準化テーマの提案や標準化活動の完了などにより、年度毎に推進計画を見直し、

必要に応じて小委員会等の設置や廃止を行うものとする。

建設情報標準化委員会

幹事会/連絡会議

コード/分類体系検討小委員会

電子地図/建設情報連携小委員会

電子成果高度利用検討小委員会

CADデータ交換標準小委員会

オブジェクトデータ交換研究会

図 6-1 建設情報標準化委員会の構成(素案)(2004年度当初)

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(2)他の標準化組織との連携等 高度情報化社会の到来に伴い、システム間の相互運用性を確保するため、情報に

関する標準化が求められるようになり、建設分野においても、土木学会や建築学会

をはじめ様々な組織で、標準化活動が行われてきている。 本計画の目的である「円滑なデータ流通基盤の構築」「統合的なデータ利用環境

の創出」を実現するためには、これらの取り組みと連携した活動を行い、全体最適

化を目指していく必要がある。そのため、建設情報標準化委員会は、関連する標準

化組織との連絡、情報交換を密にし、必要に応じて調整を行っていくものとする。

また、関連する標準化組織における標準化動向や、建設事業における情報化、標準

化のニーズなどを把握し、必要に応じて各分野の専門家を招いて勉強会等を開催す

る。 また、建設情報標準化委員会で作成、推奨した標準を広く周知させ、その利用を

促進していくために、ISO/IEC 等の国際標準化機関や、日本工業規格(JIS)の審議を行う JISC(日本工業標準調査会)にも提案していくものとする。

図 6-2 建設情報標準化委員会と他の組織との関係

国内・国際標準化機関

関連業界団体等

行政機関等

(財)日本建設情報総合センター

地方公共団体

建設情報標準化委員会

中央省庁

参加標準の利用

事務局技術支援

学会等

参加

情報交換調整

情報交換調整

ISO/IEC

ICIS

IAI

UN/CEFACT

参加国内審議団体

参加国内審議団体

参加提案

大学

参加

JISC

独立行政法人

公団

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6-2 建設情報標準化委員会による標準の推奨 (1)標準の推奨と利用 建設情報標準化委員会では、建設事業に携わる様々な機関からの標準化ニーズや、

建設分野全体の生産性向上の視点からの必要性を受けて、小委員会およびその下で構

成されるWGの中で標準案の作成や調整が行われる。 小委員会で作成あるいは調整された標準案は、建設情報標準化委員会において審議

され、建設分野において広く利用されることが望ましいと認められものについて推奨

される。これらの標準は、その内容が公開され、各機関が利用できるものとする。

図 6-3 建設情報標準化委員会による標準の推奨とその利用

この仕組みは、他の機関や団体で作成された標準案でも、広く建設分野で利用す

ることが望ましいと判断されるものについて適用することができる。建設情報標準

化委員会はこのような機構によって一層開かれた委員会として建設情報の標準化を

推進していく。

建設情報標準化委員会小委員会

審議

A機関 B機関 C機関

標準の利用者   

標準化ニーズ

利用標準の不整合による弊害

標準案の作成

既存標準間の調整

標準案

標準案

利用 利用

建設情報標準化委員会推奨標準

利用

標準の調整ニーズ

建設分野全体の生産性向上の視点からの必要性

標準案

開発標準の推奨ニーズ

標準のチェック

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(2)建設事業における情報共有事例の推奨 今日、建設事業の様々な分野で IT化が進んでおり、部門間あるいは企業間を超えた情報共有を実現することによって事業の生産性を挙げることに成功している。こ

れらの先進的な取組事例を本委員会の活動として広く紹介することによって、建設

分野での情報標準化への取組意識を向上させるとともに、今後、本委員会として重

点的に取り組むべき情報標準化課題の抽出にも役立てる。

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6-3 普及・啓発活動 建設分野全体で標準化による効果を得るためには、多くの関係者がその標準を利用

することが必要であり、そのためには、情報のやり取りを行う受発注機関や関係機関

で、標準の採用に加えて、IT利用スキルの向上や安価で使い易いソフトウェアの開

発が条件となる。このため、建設情報標準化委員会で推奨される標準の内容のみなら

ず、建設情報を取り巻く標準化の動向や技術動向についても広く関係者に広報してい

く必要がある。 また、標準化効果を更に上げていくためには、多くの関係者が標準化の重要性を認

識し、標準化活動に積極的に参画していくことが重要である。わが国の建設分野にお

いては、情報標準化の必要性に対する理解や認識が関係者間でまだ十分なレベルに達

しているとは言えず、このため、標準化の必要性や効果についても広く知らせること

が求められる。 このため、次に示すような活動を積極的に行うものとする。

(1)記者発表・ホームページによる建設情報標準化委員会の PR 建設情報標準化委員会の活動内容や作成した標準類を広く周知させるため、定期

的に記者発表や、ホームページでの公開を行う。

(2)セミナーの開催 実際に標準を利用する受発注者やベンダーを始め、建設業務に関わる関係者に対

して、建設情報標準化委員会の活動や標準化の状況を広く周知させ、標準化に関す

る理解を広めるため、定期的にセミナーを開催する。

(3)建設情報標準化レポートの作成 建設情報標準化委員会の活動内容とともに建設情報をとりまく環境や、標準化動

向、関連する技術動向などをとりまとめた標準化レポートを作成し、広報する。