lsc - hiroshima shudo...

8
2014年度 初年次教育セミナーを企画して … 1 ●特集 学習相談 何をどう学ぶのか―まずは、自分に合った学び方を知る … 2 ●特集 学習相談 協創館まなびコモンズで展開する2015年度からの学習相談は? … 4 センター・オフィスアワーを利用して 2014 … 5 新たな授業方法へのいざない … 6 お世話になりました!・修大基礎講座の運営について … 7 <学び★サプリ>「コミュニケーション能力」って何?・協創館(8号館)1階使用に関する現地説明会の開催・編集後記 … 8 Learning Support Center 学習支援センター 2014 No.15 LSC LETTER NEWS Hiroshima Shudo University LSC NEWS LETTER 2014 No.15 Contents 1 2014年度、学習支援センター は、「新たな授業手法へのいざ ない」というテーマで、 3 回の 初年次教育セミナーを開催しま した。高知大学の立川明先生、 九州国際大学の山本啓一先生、本学法学部の川内劦先生 に講師をお願いし、ユニークな授業手法を紹介していた だきました(各回の詳細については、ニューズレター No.13の私の記事、および本号の高濱節子先生と川内劦 先生の記事をご覧ください)。2014年度より学習支援セ ンターの次長に就任した私の担当業務の一つとなったの が、初年次教育セミナーの企画・運営でしたので、その 立場から 3 回のセミナーを振り返ってみたいと思います。 初 年次教育セミナーは、 3 回のセミナーを通しての 統一テーマと、各回の講師をどなたにお願いするかとい う案を前年度のうちに決める(外部講師は、大学教育関 連の学会発表などを参考にして決めることが多いです) ところから準備が始まります。と言っても、この部分は 2013年度に次長であった佐渡紀子現センター長にすでに 決めていただいており、今回の私の主な仕事は、講師の 方々との様々な打ち合わせと、学内での告知、当日の司 会でした。教職員向けの催しを企画・運営するというの は、私にとって、大学教員になってから初めての経験で したが、センターのスタッフの皆さんのご協力を得て、 3 回のセミナーを成功裡に開催することができました。 初 年次教育セミナーの講師の方々との打ち合わせは、 2 か月くらい前に依頼をすることから始まり、その後セ ミナーの日時(本学の教職員が参加しやすい日時になる よう調整します)や内容、タイトルを相談しながら決め ていきます。それが決まれば、センターでチラシを作成・ 配布し、告知につとめます。2014年度から各学部教授会 で学部長に告知していただけるようになったおかげもあ り、最終的に 3 回のセミナーの参加者はそれぞれ44名、 30名、40名となりました。 3 回のセミナーはワークショップ形式もあれば講演会 形式もありましたが、どの回でも活発な議論がなされ、 先進的な授業手法に対する本学教職員の方々の関心の高 さを実感しました。セミナーのあと、新しく学んだこと を早速自分の授業に導入したいとおっしゃってくださっ た先生方がおられたのは、うれしい限りです。 司 会をつとめて難しいと思ったのは、質疑応答やふ りかえりシートの記入も含めて、予定時間内でセミナー をきちんと終えることです。セミナーが盛り上がれば質 問がたくさん出ます。全体での質疑応答は時間内にきち んと終わらせて、「まだ質問のある方は講師の方と個別 に……」という流れにもっていくのが理想なのですが、 多くの質問を会場で共有したいと思うあまり、全体での 質疑応答を終えるタイミングの判断を誤り、セミナー終 了時刻が定刻を超過してしまったことがありました。こ のあたりは、次年度改善したいと思います。 2015年度は、「学生の主体的な参加を促す学びの設計」 というテーマで、 3 回の初年次教育セミナー(2014年度 同様、外部講師 2 回、内部講師 1 回)を計画しておりま す。新しくオープンした協創館( 8 号館)の「学びホー ル」が会場となる予定です。昨年度に引き続き、多くの 方々のセミナーへのご参加をお待ちしております。 学習支援センター次長 三倉 康博 初年次 教育セミナー 企画して 2014 年度

Upload: others

Post on 16-Apr-2020

2 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: LSC - Hiroshima Shudo University...かんで終了する場合もありますが、TOEICのスコアアッ プや英検取得などを含む英語学習全般やレポート相談など

2014年度 初年次教育セミナーを企画して … 1 ●特集 学習相談 何をどう学ぶのか―まずは、自分に合った学び方を知る … 2●特集 学習相談 協創館まなびコモンズで展開する2015年度からの学習相談は? … 4 センター・オフィスアワーを利用して 2014 … 5新たな授業方法へのいざない … 6 お世話になりました!・修大基礎講座の運営について … 7 <学び★サプリ>「コミュニケーション能力」って何?・協創館(8号館)1階使用に関する現地説明会の開催・編集後記 … 8

Learning Support Center学習支援センター

2014 No.15LSC

LETTERNEWS

Hiroshima Shudo University

LSC NEWS LETTER 2014 No.15

Contents

1

 2014年度、学習支援センターは、「新たな授業手法へのいざない」というテーマで、 3回の初年次教育セミナーを開催しました。高知大学の立川明先生、

九州国際大学の山本啓一先生、本学法学部の川内劦先生に講師をお願いし、ユニークな授業手法を紹介していただきました(各回の詳細については、ニューズレターNo.13の私の記事、および本号の高濱節子先生と川内劦先生の記事をご覧ください)。2014年度より学習支援センターの次長に就任した私の担当業務の一つとなったのが、初年次教育セミナーの企画・運営でしたので、その立場から 3回のセミナーを振り返ってみたいと思います。 初年次教育セミナーは、 3回のセミナーを通しての統一テーマと、各回の講師をどなたにお願いするかという案を前年度のうちに決める(外部講師は、大学教育関連の学会発表などを参考にして決めることが多いです)ところから準備が始まります。と言っても、この部分は2013年度に次長であった佐渡紀子現センター長にすでに決めていただいており、今回の私の主な仕事は、講師の方々との様々な打ち合わせと、学内での告知、当日の司会でした。教職員向けの催しを企画・運営するというの

は、私にとって、大学教員になってから初めての経験でしたが、センターのスタッフの皆さんのご協力を得て、3回のセミナーを成功裡に開催することができました。 初年次教育セミナーの講師の方々との打ち合わせは、2か月くらい前に依頼をすることから始まり、その後セミナーの日時(本学の教職員が参加しやすい日時になるよう調整します)や内容、タイトルを相談しながら決めていきます。それが決まれば、センターでチラシを作成・配布し、告知につとめます。2014年度から各学部教授会で学部長に告知していただけるようになったおかげもあり、最終的に 3回のセミナーの参加者はそれぞれ44名、30名、40名となりました。  3 回のセミナーはワークショップ形式もあれば講演会形式もありましたが、どの回でも活発な議論がなされ、先進的な授業手法に対する本学教職員の方々の関心の高さを実感しました。セミナーのあと、新しく学んだことを早速自分の授業に導入したいとおっしゃってくださった先生方がおられたのは、うれしい限りです。 司会をつとめて難しいと思ったのは、質疑応答やふりかえりシートの記入も含めて、予定時間内でセミナーをきちんと終えることです。セミナーが盛り上がれば質問がたくさん出ます。全体での質疑応答は時間内にきちんと終わらせて、「まだ質問のある方は講師の方と個別に……」という流れにもっていくのが理想なのですが、多くの質問を会場で共有したいと思うあまり、全体での質疑応答を終えるタイミングの判断を誤り、セミナー終了時刻が定刻を超過してしまったことがありました。このあたりは、次年度改善したいと思います。 2015年度は、「学生の主体的な参加を促す学びの設計」というテーマで、 3回の初年次教育セミナー(2014年度同様、外部講師 2回、内部講師 1回)を計画しております。新しくオープンした協創館( 8号館)の「学びホール」が会場となる予定です。昨年度に引き続き、多くの方々のセミナーへのご参加をお待ちしております。

学習支援センター次長三倉 康博

初年次教育セミナーを企画して

◦2014年度

Page 2: LSC - Hiroshima Shudo University...かんで終了する場合もありますが、TOEICのスコアアッ プや英検取得などを含む英語学習全般やレポート相談など

LSC NEWS LETTER 2014 No.15

2

 学習支援センターで行っている学習相談の大きなねらいは、初年次生を主な対象とし、「自立した学び手」を育成することにあります。そのためには、何をどう学ぶのか―自分に合った学び方を知ることがスタートとなります。2014年度は学習相談時間を月曜~木曜までの12:30~17:30(授業期)までとし、 1回30分程度の予約優先制に変更しました。それは、以下の 2点の目標を達成するための新たな試みでした。①�学びに対する不安感を解消し、共感的理解を示すと同時にリミット・セッティング(=限界設定)をすることで学生たちの自立心を養う。②�できるだけ多くの学生がアドバイスを受ける機会を保障し、セッションごとに解決したい課題を明確にする。 この 2つの目標を達成するために、学習アドバイザー間で次のような〈チュータリング・モデル〉を策定しました。学習相談は 3つのステップで構成されており、特に 4月当初や初回相談の際は〈聴き取り〉に重点を置いています。相談に訪れた学生のニーズを丁寧かつ的確に聴きとり、本人のもつ資源(できていること)を確認し、課題(解決し

たいこと)を明確化し共有するためです。 ハンドアウトや問題集などを活用し、課題に取り組んだ後は、課題を解決できたかどうか対応の満足度を振り返り、次の目標(オプション)を確認します。ノートテイキングや一般的な文章の書き方など 1回のセッションでコツをつかんで終了する場合もありますが、TOEICのスコアアップや英検取得などを含む英語学習全般やレポート相談などは、いつまでに・どのような目標を達成したいのかというゴール設定を確認し、相談を継続していきます。また、必要であればチューター教員やオフィスアワーへの橋渡しをしたり、国際センターやキャリアセンターなど他部局と連携したりすることもあります。 今年度の収穫のひとつとして、相談に訪れた学生に同じ目標をもつ先輩学生を紹介し、勉強方法のコツや計画の立て方などを直接アドバイスしてもらう場を設定できたことが挙げられます。また、課題解決のためには、どの部局がより正確で適切な情報をもっているかを把握し、適切に「つなぐ」ことも私たちの重要な使命です。2015年度からは、協創館( 8号館)で 3つのセンターが学びの場を共有することで、さらなる連携が可能になります。一人でも多くの学生がセンターを有効利用し、学生同士が学びを通して「つながれる」支援を目指していきたいと考えています。

◦特集 学習相談

学習相談3つのステップⅠ

何をどう学ぶのか―まずは、自分に合った学び方を知る

自立した学び手とは 学習アドバイザー 金山 貴子

どのようなことを解決したいですか?

ワークシートや問題集等を使って実際に課題に取り組んでみましょう。

課題は解決されましたか?問題点はありませんか?

聴き取り

学習相談の流れ

Go!

振り返り

取り組み

Step1

Step3

Step2

学習支援センター【月曜~木曜 12:30~17:30】【予約優先・1回30分程度】

・レポートの書き方を知りたい。・英語の学習法について聴きたい。・勉強の仕方について相談したい。

・解決! ・継続相談 ・教員と連携 ・他のセンターと連携

Page 3: LSC - Hiroshima Shudo University...かんで終了する場合もありますが、TOEICのスコアアッ プや英検取得などを含む英語学習全般やレポート相談など

LSC NEWS LETTER 2014 No.15

3

 レポート相談に訪れた学生とどのような学習相談を展開しているのかダイジェストでご紹介したいと思います。初回は、〈レポートの型〉を知ることに重点を置きます。 たとえば、右図のような一般的な論理構成を「ハンバーガーモデル(※)」を用いて説明します。本論は「レタスやトマト、肉などの具」、それらを序論と本論の「パン」でしっかり挟みます。そうしなければ具がむき出しになってしまい、食べにくく(読みにくく)なってしまいます。 見た目も重要です。さしずめ表紙や引用文献は「包装紙」といったところでしょうか。こうしたモデルを使うと、レ

ポートの全体像がイメージしやすくなるようです。  2 回目以降はアウトラインの作成に入ります。そこで使用するのが「フィッシュボーン・チャート図」です。本論の核となる 6つの中骨とそれらを分解した 3つずつの小骨の枠には、キーワードを入れていきます。思いついたところから記入できるのが利点です。そして、それらは背骨を通して一貫性をもち、頭(序論)と尾(結論)をしっかりとつなぎます。

 このチャート図は「何から始めてよいかわからない」という学生にも「何となく自分でも書けそうだ」と意欲をもたせることができます。自分の言葉で表現することの面白さに気づき、意欲をもってライティングに向き合う学生を育てるために、今後もシート開発をしていきたいと考えています。

※�桑田てるみ編(2013)『学生のレポート・論文作成トレーニング スキルを学ぶ21のワーク』実教出版 p.12を参考にしました。

フィッシュボーン・チャート

インターネット依存症

・睡眠障害・感情低下・運動不足・不登校

問 題

3

影 響

つながる安心感

つながりが切れる不安

LINEなどのSNS

孤独・疎外感

友人関係を保つ

就寝時も 手放せない

連帯感

既読スルーによる 仲間はずれ

気楽なコミュニケーション

現実世界からの逃避

匿名性

自宅にひきこもり

ON/OFFの自由

バーチャルな 世界で欲望を満たす

なりたい自分

ストレスの発散

魅力的なコンテンツ

外出不要の利便性

楽しいゲーム

「~ながら」が可能

無料アプリ・趣味

場所を選ばない

スケジュール管理

24時間し放題

記入例ALワークシート for students 3

このシートは、対象となる問題とそれに影響を及ぼす要因の関係を系統立てて階層的に整理することができます。

あるテーマに関して問題と要因を分析したり、テキストリーディングに役立てたり、レポートのアウトライン作成などにも活用することができます。

学習相談の実際-レポート・ライティングⅡ

表 紙

レポートの型

序 論

本論 1 問題の背景

本論 2 現状の問題

本論 3 対 応 策

結 論

参考・引用文献一覧

Page 4: LSC - Hiroshima Shudo University...かんで終了する場合もありますが、TOEICのスコアアッ プや英検取得などを含む英語学習全般やレポート相談など

LSC NEWS LETTER 2014 No.15

4

 学習相談に訪れる学生に向き合うことは、学習支援センターの重要な役割のひとつです。 2号館に開室して以降、センターは訪れやすい空間づくり、声をかけやすいカウンターづくりに取り組んでまいりました。それでも、「部屋に入る」という動作が必要な現在の構造は、初めて学習相談に訪れる学生にとって、心理的なバリアになることは否めません。そこで協創館( 8号館)に移転するにあたり、私たちは学習相談をどのように展開するのかを検討しました。 協創館に旧赤レンガゾーンに面した入口から入ると、壁のない、開かれた空間が広がります。この 1階で最も広い空間が、学生の自主的な学びに用いる「まなびコモンズ」です。私たちは学習相談の窓口を、この「まなびコモンズ」の中央に置き、建物に入ると、学びへの支援が得られる空間に学生が自動的にアクセスできる環境を確保しました。 学習相談の窓口は協創館に入ってきた学生の視界に入りやすく、アクセスしやすい位置にあります。「まなびカウンター」と命名したこの窓口で、学習アドバイザーがこれまでと同様に、学習相談に対応します。 学習相談は主としてカウンターないしはコモンズ内のグループ学習ゾーンで実施しますが、相談内容や学生の状況によっては、開かれた空間を用いないほうが効果的な場合

もあるでしょう。そこで、カウンター近くに面談室を 2室設置しました。これによって、学習相談が行われる環境ゆえに学習相談の活用をためらっていた学生に対しても、今後はより一層のアプローチが可能となるでしょう。 協創館はキャンパス内での立地から、多くの学生が立ち寄りやすい場所です。また上層階には教室が配置されることから、 1階は学生たちが多く通る空間となるでしょう。このような立地を得たことで、2015年度から、センターの学習相談機能は、これまで以上に学生に近づいて参ります。

まなびコモンズグループ学習ゾーン

◦特集 学習相談

協創館まなびコモンズで展開する2015年度からの学習相談は?

学習支援センター長 佐渡 紀子

表1 学習相談統計(延べ数)2014年 4 月 1 日~2015年 2 月28日

相談内容 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10月 11月 12月 1 月 2 月 合計

ノートの取り方 4 2 2 1 2 1 12

レポートの書き方 3 6 20 39 3 4 6 6 19 19 4 129

文章の書き方 5 11 6 3 3 8 17 6 7 5 71

本の読み方 2 2

学習の仕方 5 1 1 2 2 11

英語関連 47 31 43 23 17 20 55 62 49 34 18 399

試験対策 5 1 5 3 1 2 17

その他 8 3 1 5 1 7 3 4 3 6 5 46

合  計 72 61 73 76 21 37 74 92 78 68 35 687

Page 5: LSC - Hiroshima Shudo University...かんで終了する場合もありますが、TOEICのスコアアッ プや英検取得などを含む英語学習全般やレポート相談など

LSC NEWS LETTER 2014 No.15

5

 本学に赴任して以来、学習支援センター主催のセンターオフィスアワーを行っています。来訪者ゼロの時もありますが、概ね毎学期 5名程度がこの機会を利用しています。 大学での学びにおいて、学生の習熟度にはばらつきが生じますが、大講義ともなると個々の習熟度に合わせた授業を行うことはできません。センターオフィスアワーでは、学生の理解度に準じた対応ができるため、質問に来た学生は期末試験でも良い成績を収める傾向にあるようです。 さらに、センターオフィスアワーを開催して新たな発見もありました。まず、多くの学生が、一度センターオフィスアワーに来ると、その後に直接研究室に質問に来たりするようになりました。加えて、個別・グループ別対応になるので、センターオフィスアワーを利用する学生の名前と顔が一致するようになりました。教員は学生のことなんか気にもとめていないと思っているのか、名前を覚えていると分かるとそれまで学生にとって遠い存在だった教員が少しは近い存在になるようです。少し距離が縮まると授業以外の話題に脱線したりして、「大学教員と初めてこんなに話した」と学生が言う程に話が弾むこともありました。当初は質問の受け付けとしか考えていませんでしたが、センターオフィスアワーをきっかけにして教員に親しみやすさを感じてもらうという良い意味での副産物があり、教育全般にも相乗効果が生まれるようになっています。 また、多くの学生は、質問するにも研究室には行きにくいと感じていることも分かりました。その点、教職員と学生が常時いる堅苦しくない雰囲気により、学習支援センターは学生が近づきやすい環境になっているのではないでしょうか。このような環境が出来上がったのも関係者の皆様の努力の賜物ですが、協創館( 8号館)に移動してもこの雰囲気・環境が維持されることをお願いし、筆をおきたいと思います。

 経済情報学科 1年生では専門科目のカリキュラム上の三本柱として「経済分析入門」、「システム科学入門」および「情報科学入門」がある。担当しているシステム科学入門Ⅰ、Ⅱでは、Ⅰで線形計画法および在庫管理、Ⅱでスケジュールの問題および待ち行列理論などの基礎を勉強させ、 2年生以上の高度な専門科目への発展性を考慮している。線形計画法は意思決定のための最適化手法の基礎の一つであり、スケジュールの問題は、仕事の進捗管理すなわちプロジェクトマネジメントの重要な基礎である。学生数は毎年160名前後であり、2014年度後期においては、経済情報学科 1年生140名、 2年生以上では現代経済学科 9名、経済情報学科 7名で、合計156名であった。 授業の中では、理論的・数学的な厳密性よりも意思決定のための様々な最適化手法をどのように使っていくのか、実際問題への適用にイメージを置いて勉強させている。授業中に大小の演習問題を課して提出させ、採点した結果を次週には本人に返却する。この段階で理解が不十分な学生をチェックしておき、試験前センターオフィスアワーとして参加を呼びかけ、さらに理解を徹底する。2014年度後期では 1月14日 5 限に開催し、81名の学生が参加した。定期試験終了後、最終的な不合格率(Xを除くD率)20%未満を目標としているが、今年度後期では約17%であった。 なお、この科目は「地域イノベーションコース」対象科目でもあり、新設の協創館( 8号館)の施設・設備を活用しての新たな展開を検討したい。

 まなびコモンズでは、試験直前のセンター・オフィスアワー以外にも、授業期間中に随時オフィスアワーを実施していただくことができます。ぜひご活用ください。

◦センター · オフィスアワーを利用して 2014

 学習支援センターは、2005年度開設以来、定期試験の準備をする際の学生の質問等に応えるため、教員によるセンター・オフィスアワーを実施しています。 2014年度の実施状況は右のとおりです。

1 前期 実施期間:2014年 7 月 1 日㈫~ 7 月28日㈪     利用教員:10名     参加学生:199名

2 後期 実施期間:2015年 1 月 5 日㈪~ 1 月26日㈪     利用教員:10名     参加学生:191名

気づきと思わぬ副産物経済科学部准教授 矢野 貴之

中規模専門科目の

試験前オフィスアワー経済科学部教授 廣光 清次郎

Page 6: LSC - Hiroshima Shudo University...かんで終了する場合もありますが、TOEICのスコアアッ プや英検取得などを含む英語学習全般やレポート相談など

LSC NEWS LETTER 2014 No.15

6

 修大基礎講座(SFYE)の参考になればと、今年度第 2回の初年次教育セミナーに参加した。内容は、九州国際大学教授山本啓一先生による九州国際大学(以後、九国大と略す)における初年次教育(FYE)への取り組みについての講演であった。� まず、九国大の学生の特徴として、学力の低下、自分自身でわかる範囲の「役立つ」勉強でなければやる気が起きない、ばらばらに与えられた知識を自分自身の力で結びつけられない等が説明された。次に、過去のFYEについての取り組みが、教員の教育観の違いで挫折したことが説明された。これらはいずれも、経営学科がSFYEで抱えている問題と非常に類似するものであった。 現在、九国大はこれらの問題に主に 2つの取組みで対応している。第 1は、採用試験、実務など出口で必要となる情報分析力、課題発見力、構想力、表現力の育成を教育目標に設定し、資料小論文の作成に限り日本語リテラシーの育成を行うことである。資料はすべて教員が用意する。毎授業で課題を提示し、個人ワークとグループワークの併用で時間内の課題解決を求める。ホームワークを課さず、期末試験を課す。第 2は、詳細な授業設計を行うことである。半期の授業を 3回の授業からなるユニットに分割し、各担当者が 1ユニットに対する、レジュメ、指導案、資料、学生・教員用ワークシート、ルーブリック等を作成する。これらを全教員が共有し、同一で同質な授業提供を実現する。� 今回参考になった重要なことは、読解力・情報分析力を育成しなければ情報収集も課題発見も困難で、よいレポートは作れないということと、複数教員による同一同質な授業提供と最終的な教員の負荷削減には、大変でも明確な目標設定と詳細な授業計画の作成が不可欠であることである。この他にも色々参考になることがあり、出来るところから今後のSFYEに生かしてゆこうと考えている。

 本年度の法律学科初年次セミナーは、法律学習を進めるための「読む・聞く・書く・話す」という基礎学力の養成を重点に、「論文」、「私法判例」、「公法判例」、「ディベート」の 4セッションに分け教員が各クラスで 3回ずつ担当する個別授業と合同授業で実施した。 「書く」力については、個別授業でレポート、小論文及びスピーチ原稿と多くの文章作成課題を課し、その向上に努めた。また、合同授業の「裁判員制度に関する講演会」で、学習支援センターと連携して感想文課題に取り組んだ。これは、センターが開発した教材-プリントとルーブリック-を使用し、評価基準を意識してノートテイキング及び感想文を作成するものであった。ここでの工夫は、プリントに①講演の概括、②意見・感想の説明、③主語・述語の整合、③簡潔性、④文字数などルーブリックに対応する注意点を記載し、作成者と評価基準を共有したことである。評価は 8点満点で、提出者195人中 7 点以上が34人、 6点が57人、5点が67人、4点以下が37人、平均点は5.4点であった。80%強の合格となったが、これは多くが注意点に留意して作業した結果といえる。それだけに、この取組は「書く」作法や勘所を意識し理解させる有為な実践となったわけで、この経験が今後に生かされることが期待される。なお、教員には、ルーブリックの使用で余り悩むことなく採点ができ、その有用性を実感する機会となった。 この些細な試みから見えた課題は、第 1にフィードバックである。達成感が学びの意欲に繋がるだけに、実施しなかったことは反省点となる。ただ、学生の思考を促すには添削や点数だけでは不十分との意見もあり、適切な方法の開発が求められる。第 2にルーブリックで、今回の項目につき疑問も寄せられた。課題との関連を考慮し、語彙・構成・説得力など評価項目の追加の検討も必要となる。 今回はセンター提案の中で初歩のものを選んだが、今後はセンターとより緊密な連携をとる案を検討していきたい。

新たな授業方法へのいざない第20回·初年次教育セミナー 第21回·初年次教育セミナー日 時:2014年 9 月17日㈬ 14:30~16:30講 師:山本 啓一 氏(九州国際大学法学部教授)テーマ:初年次科目における授業設計と教員の協働    ~日本語リテラシーをアクティブラーニングで育成するために~    (講演とディスカッション)場 所:大会議室

日 時:2015年 1 月16日㈮ 12:30~14:00講 師:川内 劦 氏(法学部法律学科教授)テーマ:法学部法律学科における文章作成指導の実践    ~学習支援センターと連携した教材開発を通して~場 所:大会議室

第20回初年次教育セミナーに参加して商学部教授 高濱 節子

法律学科における文章作成指導の実践法学部教授 川内 劦

Page 7: LSC - Hiroshima Shudo University...かんで終了する場合もありますが、TOEICのスコアアッ プや英検取得などを含む英語学習全般やレポート相談など

LSC NEWS LETTER 2014 No.15

7

 本学の初年次教育科目「修大基礎講座」は、修道スタンダード科目の中心的科目として、⑴ 1年生が大学生としての姿勢を身につけ、⑵大学での学びに必要な学習スキルを身につけられるように構成し、学科・専攻と部局の協働により、全学的に展開されます。実施については、上記⑴の授業( 6回または 7回)を部局が担当し、⑵の授業( 9回または 8回)を学科・専攻の教員が担当します。学習支援センターは、コーディネータとして、「修大基礎講座」のプログラムの立案・運用に関して、学科・専攻との調整を図っていきます。 「修大基礎講座」の実施については、コーディネータ会議で具体的な検討がおこなわれます。会議には、学科・専攻から各 1名(原則、授業担当者)のコーディネータが出席し、授業の実施方について、学科・専攻との調整をおこないます。 コーディネータは、部局作成の授業案を共有しつつ、

部局の授業を毎回モニターします。一方、学科・専攻内の教員担当授業については、学科・専攻において共通の内容で実施できるよう授業の内容・教材について調整をおこないます。 コーディネータ会議は、原則、年 3回開催され、当該年度の「修大基礎講座」の立案、実施、授業アンケート等による実施後の検証をおこない、次年度の実施へと繋いでいきます。また、コーディネータ会議を受けて、授業担当部局は打ち合わせ会議を開催し、部局間での調整や確認、連携を図ります。そして実施後の振り返りを経て、次年度の実施を検討します。 以上のプロセスを経て、 4月より、2015年度の「修大基礎講座」がスタートします。2015年度修大基礎講座⃝学科・専攻/商学科 9クラス、経営学科 8クラス、心理学専攻 2クラス、社会学専攻 1クラス、教育学専攻 3クラス、英語英文学科5クラス、法律学科 6クラス、国際政治学科 2クラス、現代経済学科 2クラス、経済情報学科 6クラス、人間環境学科 8クラス⃝授業担当部局/総合企画課・ひろしま未来協創センター、教学センター、キャリアセンター、学生課・学生相談室、図書館、学習支援センター

修大基礎講座の運営について� 学習支援センター 加利川�友子

学習アドバイザー

馬場﨑 賢太(2011.4~2015.3)  4年という年月は、こんなにも人を成長させるものかと学生の姿を見てつくづく感じます。私がこの学習支援センターの学習アドバイザーに着任したのも 4年前。私も大学生に負けず、この 4年間で

たくさんの貴重な経験をさせていただきました。 「英語は楽しく学習してこそ効果がある」というのが、私が学生に言い続けた言葉でした。会話の練習も、文法の学習も、資格試験対策も、英語学習の最終的な目標はコミュニケーションだと私は考えています。 4年間でさまざまなワークショップや講座を企画し、多数の学習相談に対応してきましたが、いつもこの点だけは忘れないように心がけました。そして、「分かる!」、「言える!」、「面白い!」という実感を伴った学習体験ほど効果的なものはないと学生たちの姿が教えてくれました。学習支援センターでの経験は、私が今後教育と関わっていく上での大切な指針を与えてくれたと感じます。 この 4年間、センタースタッフの惜しみない協力に支えられ、私のやりたいことを一緒に実現させていただいたと感じております。本当に充実した時間でした。お世話になった皆様にこの場をお借りしてお礼を申し上げます。

学習アドバイザー

新井 健一郎(2014.4~2015.3) 大学にはさまざまな役割・機能があります。そのなかでも中心にすえられるのが、〈研究〉と〈教育〉という二本の柱ではないでしょうか。過去にいくつかの大学で仕事をしてきましたが、教育には部分

的にしかふれることがありませんでした。もう少し教育の現場のことを知ることができればと思っていたところに学習支援センターで仕事をする機会を与えていただき、とても幸運であったと感じています。 のぞんでいたとおり、学習支援センターでは日常業務やさまざまな研修機会を通じて、初年次教育や大学教育をとりまく鳥瞰的な状況から、ワークショップや授業の手法、具体的なスタディ・スキル、大学生活の概要とそこで学生の方々が直面している課題など、教育のあらゆる側面について学ぶことができました。いずれも、学習アドバイザーとして勤務させていただくことがなければ、知らないまま過ごしていたであろうことばかりです。 短い期間で去ることとなってしまい心苦しくはありますが、広島修道大学の学生、職員、教員のみなさまにはとてもよくしていただき、多くのことを教えていただきました。深く感謝しています。ありがとうございました。

お世話になりました!

Page 8: LSC - Hiroshima Shudo University...かんで終了する場合もありますが、TOEICのスコアアッ プや英検取得などを含む英語学習全般やレポート相談など

2015年 3 月25日広島修道大学学習支援センター〒731-3195 広島市安佐南区大塚東1-1-1 TEL.(082)830-1426ホームページ http://www.shudo-u.ac.jpE-mail [email protected]

発行日発行者

LSC NEWS LETTER 2014 No.15

Learning Support CenterLSCLETTER

NEWSHiroshima Shudo University

8

  協創館(8号館)1階  使用に関する現地説明会の開催 学習支援センターは、2015年 4 月 1 日より協創館( 8号館) 1階での業務を開始します。それに先立ち、 3月13日㈮本学教職員を対象に、協創館 1階の現地説明会を開催しました。参加者は学科・専攻、各部局より57名。 協創館 1階には、❶個人学習・グループ学習のための「まなびコモンズ」、❷大人数での学びのための「まなびホール」、❸学習相談・学習支援のための窓口「まなびカウンター」❹パソコンの配置された「まなびラボ」、❺外国語と異文化交流のための「iCafe」、❻面談室、などを配置しました。これらの空間をガラス越しに見渡せる位置に、学習支援センターと国際センターが併設されています。 学習支援センターでは、協創館を学びの空間として、学生たちが集い学ぶ時間を過ごすよう促すために、教職員みなさんとの連携、特に授業との連携が重要であると考えています。「オフィスアワー」での活用や履修生による授業・ゼミナールの予習や復習、読書会・勉強会などの促しなど、ご検討いただけましたら幸いです。

<学び★サプリ>

2014 Vol. 3        「コミュニケーション能力」って何?� 学習アドバイザー 金山 貴子

編集後記  4 月より、学習支援センターは新設の協創館( 8号館)で活動を開始します。個人学習ゾーン、グループ学習ゾーンを備えた「まなびコモンズ」が、新しい学びの空間として機能を果たすよう、教職員のみなさんと共に育ていきたいと考えていますので、よろしくお願いします。� (k)

◎LSC�NEWS�LETTERはホームページでもご覧になれます。

学び★サプリは学習支援センター掲示板で読むことができます。

 経団連が毎年発表している「新卒採用選考時に重視する要素」によると、企業が学生に求める力の第1位は10年連続で「コミュニケーション能力」です。しかし、そもそも「コミュニケーション能力」とはどのような能力なのでしょう。誰もが必要だと認めながらも、明確に説明することができないもの――ある学生に尋ねると「自分の意見を積極的に言うこと」だと答えてくれました。もちろん、それも含まれるでしょうが対人コミュニケーションの内実はもっとシンプルなものではないでしょうか。 私は「コミュニケーション能力」のベースは「積極的に聴く力」にあると考えています。いくら流暢に話すことができたとしても、話し手の意図をしっかりと汲み取っていなければ一方通行になってしまいます。 たとえば、「あなたは周りからどのような人だと言われますか」という質問の真意は、集団の中でどのような役割を担ってきたか、それをどの程度理解しているかということにあります。学生生活のさまざまな経験をふま

えて客観的に自分を見つめることが求められているのです。 「コミュニケーション」とは、意思の疎通、心の通い合いです。相手が何を考え、何を知りたいのか。その心の電波にチューニングを合わせられる人こそ、コミュニケーション上手な人と言えるでしょう。自分は話し下手だと諦めずに、まずは丁寧に聴くことから始めてみませんか。

 あいての話を いい姿勢で うなずきながら えがおで おわりまで話を聴こう

 いつでも、どこでも、だれに対しても――簡単そうで、これがなかなか難しいものなのです。

あありがとうは魔法の言葉