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LungCT Challenge Note 初級編

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LungCTChallengeNote

初 級 編

初 級 編Version 1.1

松尾 清邦

済生会横浜市東部病院 放射線部

1

肺区域と気管支の観察

 CT 画像により肺区域と気管枝を観察する場合、2mm厚の画像が遥かに有利である。このノートは、初級者の診療放射線技師に活用していただくため、7mm厚の肺野イラストを右下に掲載した。CT 操作卓の上で、パラパラ漫画風にノートを活用していただければ幸いである。 各ページにはイラストに応じたポイントを書き留めている。ポイントは2mm厚の CT を基に記述しているので、肺区域の観察には、2mm厚の画像を見ながら参考にしていただきたい。  記号説明   S :区域      右肺 S1 ~ S10     左肺 S1+2, S3 ~ S6, S8 ~ S10

   B: 気管枝     右気管枝 B1 ~ B10 左気管枝 B1+2, B3 ~ B6, B8, B9, B10

まず、何を理解すべきか?

 初級者の診療放射線技師に、まず初めに理解していただきたいことは、気管枝の名前と位置である。イラストに表示された気管枝が何番目であることが解れば、並走する肺動脈やその先に存在する区域を判断できるようになる。初級者にありがちな、「異常は解るが位置を言葉で伝えられない」もどかしさや勉強不足を補うことができる。

 このノートでは、「気管支を入口から追い、分岐する気管枝に名前を付ける」のではなく、予想される画像と座標を頭の中でイメージし、気管枝名を理解する。 この文章の題名にある「まず、何を理解すべきか?」の答えは、予想される肺野画像と予想される座標の暗記である。 もっと具体的に説明すると、予想される肺野画像は右肺で6画像、左肺で  5画像のみである。 比較的わずかな時間で理解できる内容であるので、ぜひチャレンジしていただきたい。

2

右肺の6画像とは 画像1 集束する B1          画像 4 B6 直下の B4、B5

画像2 前に向かう B3b、B3a、側方に向かう B2 画像 5 下葉気管支の肩に乗る B7

画像3 後に向かう B6           画像 6 3 分岐 B10、B9、B8

B1

B3b

B3a

B2

B6

B5

B4

B7

B10 B9

B8

3

右肺 6画像の座標 画像1 集束する B1          

画像2 前に向かう B3b、B3a、側方に向かう B2

画像3 後に向かう B6           

B1

B3b

B3a

B2

B6

4

 画像 4 B6 直下の B4、B5

 画像 5 下葉気管支の肩に乗る B7

 画像 6 3 分岐 B10、B9、B8

B5

B4

B7

B10 B9

B8

3分岐

5

左肺の5画像とは 画像7 左も集束 B1+2          画像 10 素直に後へ B6

画像8 素直に前へ B3            画像 11 左も3分枝 B8 B9 B10

画像9 末端の舌区 B4、B5          

B1+2

B3

B4

B6

B8

B10

B9

B5

6

左肺 5画像の座標  画像7 左も集束 B1+2          

画像8 素直に前へ B3           

画像9 末端の舌区 B4、B5          

B1+2

B3

B4

B5

7

 画像 10 素直に後へ B6

画像 11 左も3分枝 B8 B9 B10

B6

B8

B10

B9

3分岐

8

Challenge1

Challenge 3

Challenge 2

Challenge 4 Challenge 5

Challenge 6

Challenge 7

Challenge 8

Challenge 9Challenge10

Challenge11

気管支の全体像

9

Challenge1: 右肺 上葉区域画像 12 集束する B1

Step1: 左の 4 連図(図 12)は、右肺尖部の拡大図である。肺尖から気管が集まり、B1( 肺尖支)に集束する様子を確認できるようトレーニングする。

Step2: 収束した B1 は、分岐の基となる上葉気管支に合流する。上葉気管支から分岐する B2( 後上葉枝 ),B3( 前上葉枝 ) を予測する。

図 12

B1

B1

10

Challenge 2: 右肺 上葉区域画像 13 前に向かう B3b、B3a、     側方に向かう B2

Step1: B1 と上葉気管支が合流した次の画像を注意深く観察する。

Step2: 上葉気管支から分枝する B2、B3 を確認するのは容易である。medial から前方に伸展する B3bと B3a を慎重に確認し、B2 との位置関係を把握する。

Step3: B2、B3 の肺底方向には右の中肺野が存在する。中肺野には B4、B5 の気管支があるが、先に後ろに向かって伸びる B6(上 - 下葉枝)を予測するほうが、B4、B5 を認識しやすい。

図 13

B1

B3b

B3a

B2

11

Challenge 3: 右肺 中葉区域画像 14 後に向かう B6

Step1: 右の中間気管支から、後(背側)に向かう気管支を探す。B6(上ー下葉枝)は、他の気管支と比較し直径が小さい。したがって、間違える場合も多いので、座標と気管支の伸びる方向を予測することで、B6 を確定する。

Step2: 肺底に伸びる B6 は動脈の medial 側にある。必ずこちらの気管も確認する。

Step3: 直下の肺底の画像で、前に伸びる B4( 外側中葉枝 ),B5( 内側中葉枝 ) を予測する。 B6 気管支を分岐してから遠位は、下葉気管支となる。

図 14

B6

B6

12

Challenge 4: 右肺 中葉区域画像 15 B6 直下の B4,B5

Step1: 右の中間気管支が B6 と分岐し、直下に中葉気管支と B4、B5 の分岐が確認できる。

Step2: 外側に伸びる B4、前方に伸びる B5 を確認し、できる限り遠位まで B4、B5 を確認する。

Step3: 下葉気管支の右上部に分岐する B7( 内側肺底枝 ) を予測する。

図 15

B6

中葉気管支

下葉気管支

中葉気管支

下葉気管支

B5

B4

B7

13

Challenge 5: 右肺 下葉区域画像 16 下葉気管支の肩に乗る B7

Step1: 右の下葉気管支が肺底方向に伸展し、B7 と分岐する。下葉気管支の medial 側上部に分岐する B7 を確認する。

Step2: B7 気管枝は肺底部へと伸びる。ほぼ同じ座標で肺底方向に観察できれば B7 である。

Step3: 下肺気管支に並走する動脈を確認し、肺底に向かって B8( 前肺底枝 )、B9( 外側肺底枝 )、B10( 後肺底枝 ) に分かれる分岐を予測する。

図 16

B7

B7

B8

B9 B10

B7

14

Challenge 6: 右肺 下葉区域画像 17 均等分割 B10、B9、B8

Step1: B10、B9、B8 は容易に見つけることができる。

Step2: B10、B9 は肺底部へ追うことができる。B8 は観察しにくいこともあるので並走する動脈か ら予測する。

Step3: 肺底部で B7 と B10 を間違えないようにする。

図 17

B8

B9B10

B7

B8

B9B10

B7

B8

B9B10

B7

15

Challenge 7と8: 左肺 上葉区域画像 18 左も集束 B1+2、素直に前へ B3

Step1: 上の3連図(図 18)は、左の肺尖部の拡大図である。肺尖から気管が集まり、肺尖後枝(B1+2)に集束する段階を確認する。

Step2: まもなく、前方に伸びる B3( 前上葉枝 ) を予測する。

Step3: 上葉気管支を末端まで観察し、舌区気管支の B4( 上舌枝 )、B5( 下舌枝 ) を予測する。          

B1+2

図 18

B3

B1+2

16

Challenge 9と 10: 左肺 舌区・下葉区域画像 19 末端の舌区 B4・B5、素直に後へ B6、

Step1: 上葉気管支は一定の太さのまま、舌区気管支となり、B4( 上舌枝 )、B5( 下舌枝 ) へ向か う。肺底の画像をよく観察し、B5( 下舌枝 ) を確認する。

Step2:  下葉気管支から後(背側)に伸びる B6( 上 - 下葉枝 ) を確認する。

舌区気管支

図 19

B5

B4

B6 B6

17

Challenge11: 左肺 下葉区域画像 20 左も3分枝 B8・B9・B10

Step1: 下葉気管支を末端まで追い、B8(前内側肺底枝)B9、( 外側肺底枝 )、B10( 後肺底枝 ) を確認する。          

B5

B8

B9

B10