NBCAの使い途あれこれ

足利赤十字病院 放射線診断科

潮田 隆一

第43回那須IVR研究会 教育講演 2017年5月27日

NBCAが有用な場面

1. 超選択的カテーテル挿入が困難で、止血目標部位までの距離が長い場合

2. 長区間の閉塞が必要な場合

3. コイル挿入時にカテーテルの反跳が危惧される場合

4. AVM の nidus 閉塞など、鋳型状の塞栓を要する場合

5. 凝固能低下時の止血

6. 器物破損

塞栓物質としてのNBCAの利点・欠点

利点

• 瞬時に塞栓効果が得られる

• wedge technique や ballon による flow control を併用すれば、塞栓範囲

をある程度制御できる

• 低濃度（33%以下）であれば視認性が良好

• 極端な低濃度でない限り、再開通率が低い

• 凝固能低下時にも塞栓効果が得られる

欠点

• 注入時の挙動が予測しにくい（濃度決定に客観的根拠が乏しい）

• 接着性（カテーテルの血管壁固着など）

• リピオドールの比率が増えると粘稠度が上昇し、遠位に届きにくくなる

症例1：

201x年 1月 交通外傷 前胸部、右上腹部に圧痛 FAST

negative.

→ dynamic CT施行

80歳代 男性

dynamic CT

開腹手術施行。後腹膜に大きな血腫あり、右副腎静脈からと

思われる静脈性出血を認めたため、同部を含め焼灼、結紮により

止血。右傍結腸溝にドレーンを留置して閉腹。

3日後、ドレーンから血性排液を認めた。バイタルは安定していたが、

出血源精査目的で dynamic CT 施行。

dynamic CT (3POD)

celiac AG

PSPDAG

TAE

Veloute ultra 1.5F 40% NBCA

GDAG (post TAE)

症例2：

201x年 3月 机の角で右大腿部を強打 次第に腫脹が増大、痛みも増強し

たため、救急外来受診

→ dynamic CT施行

40歳代 男性

dynamic CT

dynamic CT

Rt. deep femoral AG

microcatheter insertion

Veloute ultra 1.5F

NBCA post TAE

33% NBCA

症例3：

偶然発見された左腎血管筋脂肪腫（4cm）

治療の可否につき他院より紹介された

60歳代 女性

dynamic CT

Lt. renal AG

microcatheter insertion

Sniper 2 2.7F

Marvel 1.8/1.6F

NBCA post TAE

アルコール過敏症のため、NBCAによる塞栓を選択した．

5% NBCA

症例4：

以前、他院で右腎動静脈奇形に対して塞栓術を受けた．

最近、肉眼的血尿、右腰痛が出現．

→ 動静脈奇形再発を疑い、dynamic CT施行

60歳代 女性

arterial phase

Rt. renal AG

microcatheter insertion

5F Selecon balloon cath.

Sniper 2 2.7F

Marvel 1.8/1.6F

NBCA under flow control

10% NBCA

Rt. renal AG (post TAE)

症例５：

腹部大動脈瘤 + 左総腸骨動脈瘤.

EVAR施行前に左内腸骨動脈（これも瘤化）の塞栓を依頼

された．

８0歳代 男性

CT angiography

CT angiography

coil embolization

NBCA

20% NBCA

Excelsior 1.8F

post TAE

post EVAR

症例6：

原発性胆汁性肝硬変の経過観察中．

以前、他院で胃静脈瘤に対してPTO（左胃静脈コイル塞

栓）が行なわれているが、CT上胃静脈瘤再発．胃腎シャン

トは認められず、後胃静脈から静脈瘤が描出されている．

70歳代 女性

dynamic CT (portal phase)

VR

posterior gastric VG

PTO with EOI

1st 2nd

post 2nd EOI NBCA

5F long sheath

5F Selecon balloon cath.

1.7F Veloute

25% NBCA

post PTO

follow up CT (7POD)

follow up CT (7POD)