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カナダにおけるCCS開発状況
クリーン・コール・デー イン・ジャパン 2011 ― 20周年記念クリ ン コ ル デ イン ジャパン 2011 20周年記念国際シンポジウム
2011年9月6~7日、東京
カナダ天然資源総局 (NRCan)エネルギー研究開発局
Frank Mourits博士
講演の概要講演の概要
背景 背景
• カナダにとってのCCSの重要性
カナダのCCSイニシアティブの状況 カナダのCCSイニシアティブの状況
• 研究開発
大規模実証プ ジ クト• 大規模実証プロジェクト
• 法と規制
• 国民の関与
• 知識の共有
• 国際協調
要約
– 2 –
背景 CCSの重要性背景 ― CCSの重要性
ギ エネルギー生産は、カナダ経済の基幹要素の1つであるが、温室効果ガス (GHG) の大量排出の原因にもなっているいる
カナダは、野心的な温室効果ガス削減目標を掲げている
カナダの目標 経済的に重要なエネルギ 産業と 気 カナダの目標 ― 経済的に重要なエネルギー産業と、気候変動対策の目標を両立させること
二酸化炭素回収 貯留 (CCS) は カナダのエネルギ 二酸化炭素回収・貯留 (CCS) は、カナダのエネルギー
目標、環境目標、そして経済目標を適切なバランスで両立させる上で重要な役割を果たす要素の1つである
– 3 –
カナダにおける温室効果ガス排出量の削減 (I)( )
2020年までに2005年比で17%の削減を確約
900
800
850
メガトン
700
750
Meg
aton
nes
260 Mt (百万トン)
(Mt:
百万トン)
600
650
2005年の水準を17%下回るレベル
)
現状維持の (改善策を講じない) 場合の排出量
5502005 2010 2015 2020
– 4 –出典: カナダ環境省、2010年3月
現状維持の (改善策を講じない) 場合の排出量カナダの温室効果ガス削減目標
カナダにおける温室効果ガス排出量の削減 (II)
連邦政府の温室効果ガス排出削減目標と対策
( )
セクター別アプローチを通じて2005年比で17%の削減を2020年までに達成することを確約 (米国と同調)2020年までに達成することを確約 (米国と同調)
石炭火力発電所に関する下記の規制法案が2011年8月に発表された (2015年7月に発効)( ) 新設される石炭火力発電施設と、経済的耐用年数に達した石炭火力
発電施設に適用される
高効率天然ガス発電所の排出性能 (GWhあたり375トンのCO2) と同高効率天然ガス発電所の排出性能 (GWhあたり375トンのCO2) と同等の厳しい排出性能基準を満たさなければならない
CCSの導入を確約した発電施設は、特定の状況の下で、2025年まで適用の免除を受けることができる
電力業界からの排出削減は、2005~2020年の間に3,100万トンに達する見通し
– 5 –
温室効果ガス削減効果を表す「くさび」型 ― CCSの可能性(カナダ環境経済会議 [NRTEE] *)
温室効果
一番上の線は、現状維持の (対策を講じない) 場合の排出量
エネルギー効率 (EE)
40%
果ガス排出量
CCSとEEの重複部分
CCS量(Mt:
百万ト
CCS
燃料転換トン、CO
2換
燃料転換
排出量の変動
温室効果ガス(GHG) 排出量
換算)
– 6 –
*出典: 報告書 『2050年に向けて: カナダはどのように低排出の未来に移行するか (2007年11月)』("Getting to 2050: Canada's Transition to a Low-Emission Future")
カナダはCCSの導入に適した自然条件に恵まれている
カナダ北極圏諸島海盆2009年の排出源からの温室効果ガス排出量 (百万トン CO2換算)
バフィン湾
ボーフォート海盆 /マッケンジー川流域
温室効果ガス排出量 (百万トン、CO2換算)(合計が2 Mt未満の排出源は非記載)
バフィン湾
ラブラドール海堆積盆地
山間盆地
カナダ西部堆積盆地
セントローレンス湾
海盆
ハドソン湾海盆
太平洋
堆積盆地
SKQC20
NL4
BC13
海盆
セントローレンス川
流域
大西洋海盆
太平洋海盆 AB
11722
ON49
20
NS11
NB10
– 7 –
南西オンタリオ盆地
– 7 –– 7 –– 7 –
回収
CCSの研究開発
カナダ天然資源総局 (NRCan) ― クリーン・コールおよびCCS技術の開発
リジャイナ大学 ― 国際二酸化炭素回収試験センター (ITC)
貯留貯留
石油技術研究センター (PTRC)• IEA温室効果ガスR&Dプログラム (IEAGHG) のWeyburn-Midale (ウェーバーン・ミ
デール) CO2監視および貯留プロジェクトデ ル) CO2監視および貯留プロジェクト
• 塩水帯水層貯留プロジェクト
カナダ天然資源総局 (NRCan)• 北米炭素貯留地図 (North American Carbon Storage Atlas)( g )• 貯留研究
カルガリー大学、アルバータ大学、サスカチュワン大学
アルバータ・イノベイツ - テクノロジー・フューチャーズ (AITF) ケベック大学 / 国立科学研究所 (INRS)
CCSの性能評価、分析、環境影響評価、ネットワーク
二酸化炭素地中貯留に関する国際性能評価センタ (IPAC CO2) 二酸化炭素地中貯留に関する国際性能評価センター (IPAC-CO2) 持続可能エネルギー・環境・経済研究所 (ISEEE) カーボン・マネジメント・カナダ (CMC)
ウ タ ル 大学
– 8 –
ウォータールー大学
CCSノバスコシア
大規模統合実証プロジェクト (年間貯留量100万トン超)総投資額 70億ドル 公的資金30億ドル超総投資額:70億ドル 公的資金30億ドル超
Spectra Energy社のFort Nelson
TransAlta社のPioneerBC
Shell社のQuestSwan Hills MB
Enhance社 - アルバータCO2幹線パイプライン
ON
Weyburn-MidaleプロジェクトABSK
– 9 –
SaskPower社のBoundary Dam
SaskPower社Boundary Dam統合CCSプロジェクトBoundary Dam統合CCSプ ジェクト
統合CCS設備を備えた世界初の商用規模石炭火力発電所の1つ
• サスカチュワン州エステバン近郊の110 MW褐炭火力発電所
統合CCS設備を備えた世界初の商用規模石炭火力発電所の1つ
• 既設の3号機の改修: ボイラーとタービンの改良、排煙脱硫 (FGD) 装置とCO2回収設備の統合
• SNC Lavalin社が一括請負契約 (EPC) に基づく工事請負業者として指名さ• SNC Lavalin社が 括請負契約 (EPC) に基づく工事請負業者として指名され、Cansolv社 (Shell Global Solutionsの系列会社) がアミン系回収システムを提供している
• 最終的な投資決定が2011年4月に発表され 現在建設中で 2014年に試運• 最終的な投資決定が2011年4月に発表され、現在建設中で、2014年に試運転を計画している
• 年間100万トンのCO2回収を見込む
• CO2は石油増進回収 (EOR) に使用される
• プロジェクト費用総額は12.4億カナダドルであり、カナダ政府からの公的助成は2億4,000万カナダドルに達する
– 10 –
Boundary Dam 統合CCS実証プロジェクト
従来の3号機粉炭 (褐炭)• 粉炭 (褐炭)
• 12.4 MPa (124 bar); 538°/538℃• 試運転は1968年CO2 回収プラント
リプレース後の3号機• 古い建屋内に新しい発電設備
炭素回収機能を装備• 炭素回収機能を装備• 12.4 MPa (124 bar); 566°/566 ℃• 110 MWの正味出力 (炭素回収時)• 試運転は2013年第3四半期に予定試運転は 0 3年第3四半期に予定
2014年第1四半期に試運転を計画
– 11 –
Boundary DamのICCS知識と経験がプラントの効率に及ぼす影響
80%
100%
40%
60%正味出力
20%
0%炭素回収を
行わない場合の技術
潜在的に達成可能な
性能
ベンダーによる検討技術
実用可能技術 Boundary Dam プロジェクトの契約性能
システム統合
– 12 –
Boundary DamのICCS発電コスト
CO2のCO2の
発電コスト
2売却あり
2売却なし
基準線は新設の天然ガス発電基準線は新設の天然ガス発電のコストを表す
を排出
改善
天然
新設
改善
改善
より を
改善
CO2 CO2
を回収して
出枠を売却す
善発電所
然ガス複合発
設の石炭火
善された発電
善された
りクリーンな
を回収する
善発電所
– 13 –
する
発電
力発電所
電所
な発電所
Weyburn-Midaleプロジェクトサスカチュワン州ウェーバーンサスカチュワン州ウェ バ ン
CO2圧入による商用石油増進回収 (EOR) 事業 IEAGHGのWeyburn-Midale CO2監視&貯留プロジェクト IEAGHGのWeyburn-Midale CO2監視&貯留プロジェクト
1. 石油増産回収 (EOR) 事業 ― Cenovus Energy社 (2000年以降) とApache Canada社 (2005年以降) が実施Apache Canada社 (2005年以降) が実施
CO2を圧入して枯渇油田からさらに多くの石油を生産する
米国内の石炭ガス化プラントのCO2副産物を320 kmのパイプラインでウェーバーンまで輸送まで輸送
1日あたり8,000トン (年間で280万トン) のCO2を圧入
現在までに2,000万トンが圧入され、漏出は報告されていない
2. IEA温室効果ガスR&Dプログラム (IEAGHG) のWeyburn-Midale CO2監視&貯留プロジェクト – 世界最大のCO2貯留研究プロジェクト
2000年以来 CO の行方を監視し続けてきた 2000年以来、CO2の行方を監視し続けてきた
主な成果物: 最良実施事例 (ベストプラクティス) マニュアル (2011年9月)• 油田やその他の堆積層における貯留プロジェクトの開発・導入・運営の手順を提供する
プ ジ 費 総額 ダド 的資金 ダド 政
– 14 –
プロジェクト費用総額: 4,100万カナダドル、公的資金: 3,400万カナダドル (5つの政府を含む)
Shell社のQuest CCSプロジェクト完全に統合されたCCS (回収・輸送・貯留) プロジェクト完全に統合された (回収 輸送 貯留) プ ジ クト
Shell社Scotford製油所のオイルサンド改質設備(アルバ タ州フォ ト サスカチュワン)(アルバータ州フォート・サスカチュワン)
• 合弁事業: Shell Canada (60%)、Chevron Canada (20%)、Marathon Oil Sands (20%)Sands (20%)
• 3つの水蒸気メタン改質装置からCO2を回収する (この装置は天然ガスから水素を生成し、ビチューメンの改質に役立てる)
• 既存の技術を使用する (ADIP-Xアミン回収システムなど)
• 年間CO2回収量は25年間で110万トンを見込み、2015年に稼働予定年間CO2回収量は25年間で110万トンを見込み、2015年に稼働予定
• CO2は深部含塩層に貯留される
オイルサンド事業の温室効果ガス削減能力を向上させる• オイルサンド事業の温室効果ガス削減能力を向上させる
• プロジェクト費用総額: 13.5億カナダドル、公的資金: 8億6,500万カナダドル
– 15 –
Shell社のQuest CCSプロジェクト ― 工程の概要
水蒸気メタン改質装置 (SMR)
アミン吸収装置 圧縮機
油井頭部CO2パイプライン
– 16 –
Shell社のQuest CCSプロジェクトバ タ ド製油所 改質プ 精製プアルバータ州スコットフォード製油所 ― 改質プラントと精製プラント
– 17 –17
Shell社のQuest CCSプロジェクトCO 回収装置の場所CO2回収装置の場所
回収装置
– 18 –
Shell社のQuest CCSプロジェクトスケジュールスケジュ ル
工程
計画立案および住民との調整
規制プロセス案の提示
設計および建設
試運転および稼動開始
主なマイルストーン
年 月 申請 提出• 2010年11月― 申請の提出
• 2011年6月― 助成金交付契約を政府との間で締結
• 2012年上半期― 最終的な投資決定
• 2012~2015年― 建設
– 19 –
• 2015年― 稼動開始
その他の大規模な統合CCS実証プロジェクト
Enhance Energy社 ― アルバー
Spectra Energy社のFort Nelson
Enhance Energy社 ― アルバタCO2幹線パイプライン (ACTL) プロジェクト
TransAlta社のPioneerBC
アルバータ州中部に240 kmのCO2パイプラインを敷設
• 実績のあるパイプライン技術を活用して、
Swan Hills Shell社のQuest MBCO2を回収・圧縮後、EOR貯留地に輸送する。
• 最大190万トン/年のCO2を輸送、長期的
ON
Enhance社 - アルバータCO2幹線パイプライン
可能性として1,500万トン/年を見込む
• プロジェクト初期段階では、Agrium社の肥料工場とNorth West Upgrading社の
Weyburn-MidaleプロジェクトABSK 新しいオイルサンド改質装置からCO2を
供給する (2014年)
• 建設は2012~2013年
– 20 –
SaskPower社のBoundary Dam• プロジェクト費用総額は12億カナダドル、公的資金は5億5,830万カナダドル
その他の大規模な統合CCS実証プロジェクト
Spectra Energy社のFort NelsonSwan Hills合成燃料プロジェクト
石炭地下ガス化 (UCG) および発電
大深度石炭地下ガス化 (1400m)
TransAlta社のPioneerBC
• 大深度石炭地下ガス化 (1400m)
• 生ガスをガス・プラントで処理してCO2を除去し、クリーンな合成ガスを生産
Shell社のQuestSwan Hills MB• 合成ガスは300 MWの複合サイクル発電所までパイプラインで輸送
• 130万トン/年のCO2を回収してEORに利
Enhance社 - アルバータCO2幹線パイプライン
ON
2用するか、または減耗した石炭層に貯留
• 2015年にプロジェクト稼働開始予定
• プロジェクト費用総額は15億カナダドル
Weyburn-MidaleプロジェクトABSK
• プロジェクト費用総額は15億カナダドル、公的資金は2億8,500万カナダドル
– 21 –
SaskPower社のBoundary Dam
その他の大規模な統合CCS実証プロジェクト
プ
Spectra Energy社のFort NelsonTransAlta社のPioneerプロジェクト
改良された燃焼後CO2回収技術を導入
• 新設のTransAlta社Keephills 3超臨界石炭
TransAlta社のPioneerBC
• 新設のTransAlta社Keephills-3超臨界石炭火力発電所 (450 MW) ― 2011年に試運転
• 100万トン/年のCO2を回収
Swan Hills Shell社のQuest MB• CO2は地下2,800メートルの深部塩水帯水層に貯留されるか、石油増進回収 (EOR) に利用される
Enhance社 - アルバータCO2幹線パイプライン
ON
• プロジェクト費用総額は10億カナダドル超、公的資金は7億7,880万カナダドル
Weyburn-MidaleプロジェクトABSK
– 22 –
SaskPower社のBoundary Dam
その他の大規模な統合CCS実証プロジェクト
Spectra Energy社のFort Nelson CCSプロジェクト
カナダ最大規模のシェール天然ガス処理プラ
Spectra Energy社のFort Nelson
TransAlta社のPioneerBC
カナダ最大規模のシェ ル天然ガス処理プラントへのCCSの導入
• 従来型のアミン系CO2分離技術を利用予定
Swan Hills Shell社のQuest MB• 220万トン/年のCO2を回収
• CO2は深部塩水帯水層に貯留
• 公的支援は1 080万カナダドルEnhance社 - アルバータCO2幹線パイプライン
ON
公的支援は1,080万カナダドル
Weyburn-MidaleプロジェクトABSK
– 23 –
SaskPower社のBoundary Dam
法と規制の問題 確固とした規制基盤を土台として、各州政府は、商業規模のCCSプロジェクト
を実現できるように それぞれの法規制の枠組みの改善に取り組んでいるを実現できるように、それぞれの法規制の枠組みの改善に取り組んでいる。
• アルバータ州: CCS Statutes Amendments Act (CCS規制改正法) が2010年に議会で可決され、現在、規制枠組み評価を実施して、CCS規制の点検を進めている
• サスカチュワン州: CCSに関する規制権限を拡大および明確化することを目的として改正されたOil and Gas Conservation Act (原油・ガス保存法) が2012年3月までに公布される予定
• ブリティッシュコロンビア州: 現在、CCS政策の枠組みを開発中
石炭火力発電所に関する連邦規制が導入される予定 (2011年) 石炭火力発電所に関する連邦規制が導入される予定 (2011年)
国民の関与 ― CCSの重要な要素
一般国民の知識と受容が決定的に重要である。国民の理解不足はCCSの導入の支障となる恐れがある。
国民の関与を促す活動としては、プロジェクト現場の近隣施設の一般公開、CCS Webサイト、情報提供資料、フォーカス・グループに対する調査やアンケートなどがあるトなどがある。
大規模実証プロジェクトから得た知識の共有
CCSの速やかな導入を促進するために、カナダは知識共有活動を国内的にも国際的にも実施している。
国際機関との協調
CCSに関する米国 EU 英国との二国間協力
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CCSに関する米国、EU、英国との二国間協力
多国間フォーラム: CSLF、IEA、GCCSI、MEF/CCUS、APEC、IEF
要約
CCSは、カナダの最も重要な戦略の1つである。CCS導入は、カナダの温室効果ガス (GHG) 排出削減目標を達成する鍵となる。
カナダ政府は、連邦と州の両方のレベルで、以下のようなCCSの課題の解決に向けて協調して取り組んでいる。
• CCSの研究、開発、実証
• CCSに関する政策と規制の導入・実施
• 国民の参加推進と啓発活動
• 知識の共有
• 国際協調
これまでに30億ドルを上回る公的資金が7件の大規模統合CCS実証プロジェクトに投じられており、さらに40億ドルを超える民間投資が活され用されている。
このようなプロジェクトの一部は、現在すでに建設段階に入っており、最初の数件が2014年にも完成する見込みである。最初の数件が2014年にも完成する見込みである。
カナダは、このような大規模な統合CCS実証プロジェクトに対する支援を通じて、CCS推進の国際的なリーダーの役割を果たしている。
– 25 –
ご清聴ご清聴
ありがとうございました
カナダ天然資源総局 (NRCan)カナダ天然資源総局 (NRCan)Frank Mourits博士
[email protected] 613 947 3482+1- 613-947-3482