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BIMのワークフローって? BIM

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Page 1: BIMBIM 化の壁 ここは、県内のとある建築設計事務所。部長の指示で新設された 『BIM 推進室』の室長を務める福井くん。2 人体制でスタートした『BIM推進室』は、2次元図面からプレゼン

BIMのワークフローって?

ビ ム

BIM

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BIM化の壁

-第1章-

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BIM化の壁

ここは、県内のとある建築設計事務所。部長の指示で新設された『 BIM推進室』の室長を務める福井くん。2人体制でスタートした『BIM推進室』は、2次元図面からプレゼンデータを作成するところまでは順調だったが、3ヶ月が経った今、次のステップに進めず大きな壁にぶつかっていた。

福井くん

あら、福井くんじゃない。具路部(ぐろうぶ)くんから聞いてるわよ。BIM推進室の室長になったんですってね。すごいじゃない♪ 今日はどうしたの?

もしもし、美夢(びむ)先輩。お久しぶりです。福井です。ちょっとご相談したいことがあるんですが、少しお時間よろしいでしょうか?

美夢先輩

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BIM化の壁

実は… BIMを設計に活用していくぞ!って頑張っているんですが、企画・プレゼンまでは順調だったのに、そこから先の活用がなかなかできないでいるんです。

2次元図面を作成する段階になってからは、BIMモデルと図面の両方を修正する作業に追われてしまっていて、BIMで設計するメリットがあまり感じられなくなっているんですよね。

最初の壁ね。

陥りがちなのよね。

何かこう、BIMで設計を進める上で、効率良く進めていくための手順とか方法があったら、教えていただけないかなと思いまして…

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BIM化の壁

気持ちはわかるけど、それはダメね、福井くん。BIM活用ノウハウの蓄積には、うちでも相当の時間と費用をかけてるの。簡単には教えてあげられないわ。

そうですか…

具路部くんには相談してみたの?

それが…

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BIM化の壁

…って、忙しいみたいで

具路部くん… ご機嫌ね。

…そうね。だったら、私たちの母校の涌(わく)教授に相談してみるのはどうかしら?

え?涌二郎(わくふろう)教授ですか?

具路部先輩今、大きな物流センターの設計をやっててさ。発注者からの要望でGLOOBEのデータ形式で納品なんだ♪福井の相談に乗ってやりたいのはやまやまなんだけど、ちょっと余裕がなくてな。すまん!

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BIM化の壁

へー 知りませんでした。早速、教授に連絡してみます。美夢先輩、ありがとうございました。

どういたしまして。頑張ってね、福井くん♪

教授は、〇〇設計の∇∇さんと専門誌で対談したり、☆☆建設の社外アドバイザーに就任したりと、BIM業界じゃ最近ちょっとした有名人なのよ。

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BIM化の壁

数日後、母校の大学の涌教授の研究室を訪れた福井くん。BIMを活用した設計の進め方について、相談にやってきました。

久しぶりじゃのう、福井。卒業してもう何年になる?立派な社会人になっておるのう。

涌教授、ご無沙汰してます。今日はお時間つくっていただき、ありがとうございます。

涌二郎教授(わくふろう)

大学卒業後、現在の設計事務所に就職して7年になります。3ヶ月ほど前に社内にBIM推進の部署ができまして、今はそこの室長を務めています。

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BIM化の壁

ふむ。じゃったら、少し質問させてもらおうか。

ほぉ。BIM推進室か。

はい。そのBIMの進め方に現在行き詰まっておりまして、どうしたらうまく活用していけるのか、教授にご相談したいと思いまして…

福井のおるBIM推進室は、どんな体制でやっておる?組織や人員構成は?

BIM推進室は、自分とキャリア2年目の後輩の2人体制です。

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BIM化の壁

ふむ。実際にプロジェクトを進めるときは、どんなメンバー構成じゃ?

では、プロジェクトにおけるBIMツールの位置づけはどうなっておる?利用の目的や範囲は明確にしておるか?

ふむ。実務は若手が担当するようじゃの。

ベテランの先輩を軸に、自分と別の後輩と3人前後で、基本的に進めています。

細かく決めているわけではないですが、企画・プレゼンツールとしての利用と、整合性のとれた2D図面を作図するツールとして活用しています。

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BIM化の壁

ふーむ。あくまでも、ベースは2DCADということじゃな。

ただ…BIMが部分的にしか活用できないんです。

というと?

まず、プロジェクトは、メンバー全員が扱える2DのCADでスタートします。それから、説明や検討・確認のために、BIMでモデルを起こして、モデルから図面を自動で作図します。

BIMで自動作図した図面はそのままでは完成度が不十分なので、また2DCADで編集します。

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BIM化の壁

BIMと2DCADの両方を、何度も修正…か。

はい、まさにそこが今の悩みなんです。

BIMを活用していても、図面の作成や修正をする作業の効率化にはつながっていないような気さえしてしまいます。

確かにの

BIMのモデルを部分的には活用できていると思っています。ただ、いったん設計変更や修正があったときに、モデルを修正して図面更新、さらに2D図面を2DCADで修正するという作業を何度も繰り返すことになってしまっていて…

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BIM化の壁

プレゼンデータが自前で作成できることですかね。時間も手間もそんなにかかりませんし、社内でも喜んでもらえます。

今の段階で、福井たちにとって、BIMツールを活用するメリットはなんじゃと思う?

では、デメリットは?

はい。さっきと同じ話になりますが、2DCADで図面に追記や修正をする作業自体はなくなっていないので、BIMモデルと2D図面の両方をメンテナンスするぶん、手間がかかってしまうという点でしょうか。

それと、整合性のとれた平面・立面・断面などの図面が自動で作図できるところですね。

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BIM化の壁

だったら今までどおり、最初から最後まで2DCADで設計したほうが早いんじゃないか?という意見も社内には多いです。

ふーむ。BIMの導入に失敗する典型的なパターンじゃの。

ええーっ!そんな…

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BIMのワークフロー

-第2章-

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BIMのワークフロー

えっ

まあ待て。そんなに悲観することでもない。

日建連の『施工BIMのすすめ』にも書かれておるが、BIMの導入初期の段階では、まずは負担の少ない部分からBIM活用を始めてみて、課題を検証したり人材を育成したりするというのは良いやり方じゃ。すでに福井も色んな壁にぶつかってきたじゃろう?

はい!

BIMは一日にしてならず。少しずつステップアップしてノウハウを蓄積し、全体的なBIM活用を目指すんじゃ。

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-施工BIMのすすめ-成功につながる施工BIMスタートアップガイド2017

一般社団法人日本建設業連合会(日建連) 建築生産委員会IT推進部会傘下の「BIM専門部会」ワーキンググループの一つ、2015年4月に立ち上がった「BIM展開検討ワーキンググループ」において、2017年「施工BIMのすすめ」が発刊されました。

BIMワンポイント解説

施工BIMを推進するゼネコン技術者向けに、書かれた実用書として、施工BIMを社内展開していく上でのハードルや直面する課題を、実務者自らが執筆して、同じ悩みを抱える技術者が問題を解決するためのヒントが紹介されています。『第3章 BIMを広めよう』では、BIMを導入したがうまく進まない企業、実務でもっとBIMを活用したい企業向けに、BIMを広めるにはどうすればよいか解説されています。

施工BIMのすすめ出典:日本建設業連合会 HPより

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BIMのワークフロー

ワークフロー?

BIMを活用して設計を進めるには、従来型の2D図面を使った設計と、ワークフローを根本的に変える必要があるんじゃ。

ワークフローという言葉になじみがないなら、設計業務フローと思えばよいぞ。

設計業務のフロー…これまでどおりの設計業務の進め方では、BIMは活かせないってことですか?

じゃがのう、福井。その段階に止まっておってはいかんぞい。

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BIMのワークフロー

そんなの無理です。実績もない若手の言うことなんか、誰も聞いてくれないと思います。

ワークフロー、つまり従来の設計業務のフローを変えることになるわけじゃが、福井の『BIM推進室 室長』という権限で、それが可能かの?

設計のBIM化を、権限のない実務経験の少ない若手だけに任せておっては、本質的には何も進まんのじゃ。

確かに、今のBIMの使い方は、企画やプレゼンなど設計のプラスアルファとして有効なだけで、2D図面を積み上げていく従来の設計業務は何も変わっていません。

そのとおりじゃ

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BIMのワークフロー

残念ながら… 2DCADしか利用してません。BIMに否定的なかたが多いですね。

さっき、プロジェクトのメンバー構成を聞かせてもらったが、当然ベテランがリーダー役じゃの?

そのベテランはBIMツールの使い手か?もしくはBIMに精通しておって、福井たちを応援しておるか?

BIMを理解しておる人物が中心におらねば、プロジェクトで積極的にBIMを活用しようとは思わんじゃろう。

下手をすると、若手は設計業務をきちんとせずに、BIMモデルで遊んでばかりおると思われるぞ。

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BIMのワークフロー

そんなぁ…

まあまあ。それも仕方ないことではあるがの。

われわれ設計士は昔から、自分の頭で設計した建物(3D)を図面(2D)に置き換えて書くことを仕事にしてきたのじゃ。手書きからドラフタ、CADと道具は進化してきたが、2D図面を書いて設計するという行為自体は変わっておらん。

はぁ

じゃが、BIMはそれではいかん。そもそもBIMは3Dじゃ。2Dの図面で設計することを前提としておっては、いつまでたってもBIMを設計に活用することにならんぞ。

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BIMのワークフロー

設計のBIM化を成功させるには、どうしたらいいんでしょうか?

さっきも言ったが、ワークフローを変えるんじゃ。

どうして、設計の業務フローまで変えないといけなんですか?

理由はな。つまりこういうことじゃ。

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BIMのワークフロー

従来型の設計ワークフローは、図面を積み上げていく2DCADの設計じゃ。

調査・設計条件 企画・計画 基本設計 実施設計

成果物一式・調査分析

・仕様書・業務計画・上位基準調査・etc

・法規チェック・計画図・提案書・パース・etc

・一般図・概算積算・要望チェックリスト・設計確認書・etc

・矩計・平詳・水廻詳細・etc

・一般図・展開・建具・ディテール・etc

・構造・設備・申請図・etc

2D図面上で調整・修正・変更を繰り返す

コスト・時間

変更難変更コスト増

変更容易

従来型の設計ワークフロー

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BIMのワークフロー

従来型の設計では、設計が進むほどに図面が積み上がり、内容が濃くなってゆく。

変更が発生する度に多くの図面に影響が出るため、修正作業が繰り返し発生することになる。

変更が発生するタイミングが後の段階になればなるほど変更コストが増大し、実施設計の段階で業務のボリュームが膨らんでいく。

設計では、それが当たり前と思ってました。

BIMを活用した設計になると、違ってくるんですか?

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BIMのワークフロー

BIMを活用した設計のワークフローは、建物モデルで総合的に設計するんじゃ。

コスト・時間

変更難変更コスト増

変更容易

従来型の設計ワークフロー

BIMによる設計ワークフロー

コスト減精度UP

調査・設計条件 企画・計画・設計 製図

・調査分析・仕様書・業務計画・上位基準調査・etc

設計プロセスはBIMの建物モデルで完結 成果物

一式

建物モデルから2D図面を切り出し加筆修正

・一般図・展開・建具・ディテール・etc

・矩計・平詳・水廻詳細・etc

・構造・設備・申請図・etc

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BIMのワークフロー

BIMを活用した設計では、3次元建物モデルで直接設計する。

発生する調整・変更・訂正は建物モデルで直接行い、設計プロセスはモデル内で完結させるんじゃ。

2D図面のチェックや不整合の修正手間はなくなるので、浮いた時間で各種シミュレーションなど、より精度の高い具体的な設計が行えるのじゃ。

なるほど。BIMを活用するワークフローでは、「設計」は3次元の建物モデル内で行うプロセスで、2D図面の作成は「製図」という別のプロセスとして、区別して考えているんですね。

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BIMのワークフロー

福井のところの様に、BIMを設計に活用することに失敗してしまうパターンがこれじゃ。

調査・設計条件

企画・計画 基本設計 実施設計

成果物一式

・調査分析・仕様書・業務計画・上位基準調査・etc

・法規チェック・計画図・提案書・パース・etc

・一般図・概算積算・要望チェックリスト・設計確認書・etc

・矩計・平詳・水廻詳細・etc

・一般図・展開・建具・ディテール・etc

・構造・設備・申請図・etc

2D図面上で調整・修正・変更を繰り返す

BIMの建物モデルで入力・変更・調整

建物モデルから2D図面を更新する作業を繰り返す

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BIMのワークフロー

従来の2D図面を積み上げるフローに、3次元建物モデルを作成するプロセスが上乗せされておる。

確かに。BIMを活用しようと頑張ってはいましたが、建物モデルと2D図面の二重のメンテナンスが正直言って負担でした。

この状況で設計の変更や調整が入ってしまうと、広範囲の図面を修正するだけでなくモデルの修正までせねばならん。

つまり、手間が増えただけで、BIMから何も生まれておらん。

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BIMのワークフロー

BIMを活用した理想的なワークフロー。なんとなく理解できてきました。

そうじゃの。すぐにでも全員がBIMツールを使いこなせるようになって、建物モデルだけで設計業務フローが完結できるようになる…というのは、ちと無理があろうの。

ただ、実行しようにも、さっきも言ったとおりベテラン社員はBIMツールを使えません。設計の進捗を2D図面でしか確認できない状況で、BIMのモデルをワークフローの中心に据えてしまっても、うまくいかないんじゃないでしょうか?

だったら、どうすれば?

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BIMのワークフロー

ベテランには、スケッチや設計課題の解決策検討、ディテール図の作成など、ベテランの経験や知識を生かした業務、建物をより良いものにする業務に集中してもらうんじゃ。

なるほど。得意分野に集中してもらうんですね。

ベテランにはベテランの職域があるでの。

では、設計の進捗管理はどうしましょう?

2D図面を使わずにモデルで…となると、管理の手法がこれまでと変わるので、設計の精度や進捗が計りづらくなる気がします。

BIMツールのスキルの問題もあるので、進捗確認がうまくできるかどうか…

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BIMのワークフロー

BIMツールは何を使っておるんじゃ?

GLOOBEです。

ふむ。GLOOBEならば、建物モデルから2D図面を切り出してレイアウトや編集を行う、専用のステージがあるじゃろう?

はい

美夢くんからも聞いておろうが、モデルから切り出せる図面は早い段階からそこへレイアウトしておくのじゃ。

どうしてですか?

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BIMのワークフロー

毎日の進捗は、レイアウトした図面を「更新」することで、最新の図面として確認することができるじゃろう。

確かに。「更新」ボタンを押してこれまでどおり2D図面として、進捗確認できるのであれば、BIMツールを使いこなせないベテランにも扱えそうな気がします。

ただ、「新規作成」にしても「図面更新」にしても、自動作図で切り出した図面は、2D図面としての品質というか体裁というかが不十分なので、どうしても2DCAD機能で修正する作業は発生しますよね?

修正してはいかん。

え?!

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BIMのワークフロー

つまりその図面の役割は「進捗確認図」。さっきのBIM活用ワークフローに加えるとこうなる。

調査・設計条件 企画・計画・設計 製図

・調査分析・仕様書・業務計画・上位基準調査・etc

設計プロセスはBIMの建物モデルで完結 成果物

一式

図面表現と不足情報を加筆修正する

進捗確認図

建物モデルから2D図面を切り出し

・一般図・展開・建具・ディテール・etc

・矩計・平詳・水廻詳細・etc

・構造・設備・申請図・etc

随時更新

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BIMのワークフロー

設計中は、良い建物を作ることに集中して、図面は後から整える。

わかりました。次回のプロジェクトから、教授の言うワークフローに置き換えて進めてみたいと思います。

良い建物を具体的にかつ効率的に設計するためにこそ、BIMツールを活用せねば意味がないじゃろう?

図面は、設計結果を伝えるための図書じゃから、図面を修正して完成させるのは最後のプロセスにするんじゃ。

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BIMのワークフロー

BIMに否定的な人物がプロジェクトリーダーでは何かと不都合があるじゃろう。次回のプロジェクトでは、BIM推進室立ち上げに関わった部長クラスにメンバーに入ってもらってはどうじゃ?

ただ懸念が…

プロジェクトチームを僕たちBIM推進室のメンバーで構成したとしても、リーダー役のベテランの中に、BIM活用に理解を示してくれそうな人が見当たらないんです。

そうですね。早速、社に戻って相談してみます。

教授、今日はどうもありがとうございました!

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終わりに

会社に戻った福井君は、早速、涌部長の提案するBIM活用の新しいワークフローについて、部長に相談します。

よし、わかった。比較的小さなプロジェクトが良いだろうから、今度の保育園のプロジェクト。私と福井君の2人でやってみようじゃないか。

部長

私が監修をするから、思いっきりBIMでやってみなさい。

はい、がんばります!

…という設計業務フローで、部長にもぜひ参加していただいてプロジェクトを進めたいんです。

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終わりに

保育園のプロジェクトが無事終了して数日後。

例の保育園のプロジェクト、BIMワークフローの取組み結果はどうだったの?

坂井先輩

はい!わが社のBIMワークフロー構築に向けて、頑張ります!

さすが、BIM推進室の福井室長ね。期待してるわよ♪

まだ完全じゃないんですけど、BIMのワークフローがだいぶ分かってきました。

もう少しテストプロジェクトで実績を積んでBIMワークフローをつかんでいって、最終的には社内のBIM活用プロジェクトの「BIM設計工程表」としてまとめるということで、部長のお墨付きもいただいてます。