第4章 level set法を用いた気泡崩壊の数値計算 - …...第4章 level set...

21
第4章 Level Set 法用いた気泡崩壊の数値計算 63 第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算 4.1 はじめに 水表面通して輸送さ物理量は運動量,熱など様々であが,近は自然環境 問題の意識の高まに伴い酸素や CO 2 ,などの温化に注目が集まってい .海洋,河川,湖沼などの水圏環境は水中内の溶存酸素濃度に強く依存す.この ため溶存酸素素の挙動解明すことは大変重要な課題となってい.水表面通じ て物質輸送は水表面乱が密接に関係してい.水表面に乱引き起こす要因とし て以下の 4 つの自然現象が考え 1) ①風波に水表面付近の乱 ②水滴や水塊の水表面への衝突 ③水中の渦や乱の水表面衝突 ④水表面での気泡の破裂 この現象解明す研究手法は物理実験と数値に分類でき う.上記④に対す物理実験としては,鍋坂 1) の実験があ.彼は表面張力と粘 性が水表面におけ気泡の破裂現象に与え影響調べために超高速 用いた実験手法考案した.気泡崩壊現象は極めて間の小さい現象であ .彼の研究は微少間の現象の観察に大きな貢献果たしてい.しか しなが,流体内部の流動の様子や応力分布など計測すには至っていない. 一方,近年のの性能と数値流体力学の飛躍的進歩,さには数値計算 行う環境の整備費用の低廉化にって数値が手軽に行う になってきた.数値であば流速や応力などの情報得ことが可 能であ. 気泡崩壊現象は気液二相流の流体現象であ気液界面の融合分裂という界面の大 変形伴う.気液界面再現す手法として界面追跡法と界面獲得法があが界面大 変形問題では VOF 法に代表さうな界面獲得法が効であ.近は気液二相流 直接解く界面獲得法が発展してお C-CUP 2),3,密度関数法 4などが代表例で あ.しかしなが,この方法は計算進行とともに数値拡散に気液界面がぼ

Upload: others

Post on 18-Jul-2020

8 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算 - …...第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算 63 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算

第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算

63

第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算

4.1 はじめに

水表面を通して輸送される物理量は運動量,熱など様々であるが,最近は自然環境

問題の意識の高まりに伴い酸素や CO2,メタンなどの温暖化ガスに注目が集まってい

る.海洋,河川,湖沼などの水圏環境は水中内の溶存酸素濃度に強く依存する.この

ため溶存酸素素の挙動を解明することは大変重要な課題となっている.水表面を通じ

て物質輸送は水表面乱れが密接に関係している.水表面に乱れを引き起こす要因とし

て以下の 4 つの自然現象が考えられる 1).

①風波による水表面付近の乱れ

②水滴や水塊の水表面への衝突

③水中の渦や乱れの水表面衝突

④水表面での気泡の破裂

これらの現象を解明する研究手法は物理実験と数値シミュレーションに分類できよ

う.上記④に対する物理実験としては,鍋坂ら 1)の実験がある.彼らは表面張力と粘

性が水表面における気泡の破裂現象に与える影響を調べるために超高速ビデオカメラ

を用いた実験手法を考案した.気泡崩壊現象は極めて時間スケールの小さい現象であ

る.彼らの研究は微少時間スケールの現象の観察に大きな貢献を果たしている.しか

しながら,流体内部の流動の様子や応力分布などを計測するには至っていない.

一方,近年のコンピュータの性能と数値流体力学の飛躍的進歩,さらには数値計算

を行う環境の整備費用の低廉化によって数値シミュレーションが手軽に行われるよう

になってきた.数値シミュレーションであれば流速や応力などの情報を得ることが可

能である.

気泡崩壊現象は気液二相流の流体現象であり気液界面の融合・分裂という界面の大

変形を伴う.気液界面を再現する手法として界面追跡法と界面獲得法があるが界面大

変形問題では VOF 法に代表されるような界面獲得法が有効である.最近は気液二相流

を直接解く界面獲得法が発展しており C-CUP 法 2),3),密度関数法 4) などが代表例で

ある.しかしながら,これらの方法は計算進行とともに数値拡散により気液界面がぼ

Page 2: 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算 - …...第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算 63 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算

第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算

64

やけてくる.気泡崩壊現象は表面張力が重要な外力であり,界面獲得法では通常表面

張力の評価に CSF 法 5) が用いられる.界面がぼやけてくると界面の曲率の評価精度

が低下し正しい表面張力の算定が行えなくなる.一方,Level Set 法 6),7),8),9)は気液

界面を常にシャープに獲得することができる.

本章は Level Set 法を用いた気泡崩壊現象の解析モデルを構築することを目標とし,

まず基礎式中の運動方程式と後述の Level Set 関数の輸送方程式に使用する移流項計算

スキームの組み合わせについて検討し,最も質量保存性の良い組み合わせを求めるこ

とを目的とする.また,そのスキームを用いて表面張力が気泡崩壊現象の様子にどの

ような違いを与えるか考察する.

4.2 数値計算法の概要

4.2.1 基礎方程式

気液二相流体の基礎方程式は連続の式,運動量方程式および密度の保存則である.

気相の流速は音速よりも十分遅くまた高圧力状態でないので,液相・気相とも非圧縮

性流体として取り扱う.したがって基礎式は次式で表される.

0u∇⋅ = (4.1)

( ) ( )21s

uu u F p u F

ρ∂

+∇ ⋅ = −∇ + ∇ +∂

(4.2)

( ) 0ut

ρρ

∂+∇⋅ =

∂ (4.3)

ここで u は流速ベクトル,p は圧力,μは粘性係数,F は体積力,Fs は表面張力である.

ここではすべて保存形式で記述したが,後述の移流項計算スキームによっては非保存

形式(対流形式)で記述される方程式を用いた.

4.2.2 Level Set 関数

Level set 法では式(4.3)を直接解く代わりに Level Set 関数の保存則を解く.

( ) 0ut

∂Φ+∇⋅ Φ =

∂ (4.4)

Page 3: 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算 - …...第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算 63 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算

第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算

65

ここでΦは Level Set関数である.Level Set関数は気液界面からの符号付き距離関数で,

Φ=0 の等値面(zero Level Set)が気液界面位置になる.また距離関数の性質として 1∇Φ =

が常に要求される.

4.2.3 再初期化

Level Set 関数を輸送する段階で距離関数としての性質が失われ,場合によっては界

面が消失してしまう.そこで,式(4.4)の計算の後に Level Set 関数の再初期化を行い距

離関数としての性質を回復させる.具体的には次式の定常解を求めることになる.

( )( )0 1St

∂Φ= Φ − ∇Φ

∂ (4.5)

ここで, ( ) 2 2

0 0 0/S εΦ = Φ Φ + である.またΦ0 は式(4.4)の計算の後に Level Set 関数の値,

εは不定形を防ぐための格子程度の値を持つパラメータである.

上式から分かるように界面位置(Φ0=0)ではすでに定常解になる.つまり式(4.5)は界

面位置を変化させず距離関数の性質の回復をさせるものである.

式(4.5)の解法はいくつか提案されているが 8),本研究では Sussman らの解法 5)を採用

した.しかし,この解法では式(4.5)の収束計算を行なっているうちに,界面近傍の値

も修正され,結果的に界面位置が移動してしまうことが分かった.そこで界面近傍

0 0.5αΦ ≤ の範囲では式(4.5)を計算しないことにした 10).

4.2.4 密度と粘性係数

気液界面上(Φ=0)では液体と気体の密度および粘性係数の物性値の平均を与える.

また液相側(Φ>0)では液体の物性値を与え,同様に気相側(Φ<0)では気体の物性値

を与えればよい.これを図で示せば図-4.1 のようである.しかしながら,このままで

は気液界面で物性値が不連続に変化し数値不安定の原因となる.そこで図-4.2 に示す

ように,気液界面を挟んで 2αの厚さで物性値が連続的に変化するようにスムージング

を行う.式(4.6)に示す Heaviside 関数を用いれば密度および粘性係数をそれぞれ式

(4.7),式(4.8)のように統一的に表現できる.

10.5 max 1.0,min 1.0, sinH

πα π α

Φ Φ = ⋅ − +

(4.6)

Page 4: 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算 - …...第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算 63 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算

第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算

66

( ) ( ) ( ) ( ), 0.5 ,Liq Gas Liq Gasx t H x tρ ρ ρ ρ ρ= + + − (4.7)

( ) ( ) ( ) ( ), 0.5 ,Liq Gas Liq Gasx t H x tµ µ µ µ µ= + + − (4.8)

ここで,αは格子幅程度の大きさである.式(4.7),(4.8)中の添え字 Liq,Gas は

それぞれ液体,気体を表す.また x は位置座標である.

4.2.5 表面張力

本研究では,表面張力に CSF モデル(Continuum Surface Force model)5)を用いる.

これは表面張力を体積力 Fs に置き換える手法である.表面張力は式(4.9)で表される.

( ),

1S

Liq Gas i j

F nσ

κρ ρ ρ

= ⋅ ∇ ⋅ ⋅ ⋅−

(4.9)

ここで, :σ 表面張力係数, :κ 界面の曲率, :n 法線ベクトル, :ρ 流体の密度

4.2.6 体積補正法

Level Set 法においても密度関数法と同様に,計算を進めていく過程で体積保存が破

不連続的

ρ

Φ

Liqρ

Gasρ

0

図-4.1 界面近傍の不連続面

連続的

sin関数

ρ

Φ

Liqρ

Gasρ

α− α0

図-4.2 物性値(密度)の変化

Page 5: 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算 - …...第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算 63 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算

第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算

67

綻する問題が生じてくるが,密度関数法の場合とは異なり体積保存の破綻は最初期化

の過程で生じる.Level Set 法においても体積を保存するための体積補正が必要になる.

体積を保存するための体積補正法の手法についてもいくつか提案されているが,本章

では簡便な姫野らの手法 8)を採用した.

具体的な手順は以下の通りである.再初期化の処理が終わった後に体積補正を行な

う.まず,式(4.6)に示す Heaviside 関数を式(4.10)のように場全体で積分を行い現

在時刻 t の液相体積を計算する.

( ) ( )0.5LiqV

V t H dV= −∫ (4.10)

初期の気相体積を ( )0LiqV とおけば,現在時刻の体積誤差は次式で表される.

( ) ( ) ( )0Err Liq LiqV t V t V= − (4.11)

( )ErrV t が再初期化で変化した気相体積である.計算領域内の気液界面の総体積を A(t)

として以下の量を計算する.

( ) ( )( )

Err

Err

V tL t

A t= (4.12)

ここで A(t)は次式で容易に求めることができる.

( )V

A t dVδ= ∫ (4.13)

ここに,

0.5sgn 1.0, 1.0 sgn 1.0, 1.0 1.0 cos

πδ

α α α αΦ Φ Φ = + − − × +

(4.14)

再初期化の終了時点で得られた Level Set 関数の値に ( )ErrL t を均一に加えることにより

体積誤差は解消される.

4.2.7 時間刻み幅

時間刻み幅は移流項に関する時間制限 ct∆ ,表面張力項に関する時間制限 st∆ ,およ

び粘性項に関する時間制限 tυ∆ を満足しなければならない.時間制限値はそれぞれ以下

のように計算される.ここで Re はレイノルズ数,B はボンド数である.

minc

xt

u

∆∆ =

( )3

2

8s Liq Gas

Bt xρ ρ

π∆ = + ⋅ ⋅ ∆

Page 6: 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算 - …...第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算 63 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算

第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算

68

( )( )23min Re /

14t xυ ρ µ ∆ = ∆

( )1 1min , ,

2

n

s v ct t t t+∆ ≤ ∆ ∆ ∆ (4.15)

4.2.8 計算アルゴリズム

数値計算のアルゴリズムは MAC 法系の Fractional step 法を用いた.圧力に関するポ

アソン方程式の解法は SOR 法を採用した.計算のアルゴリズムを図-4.3 に示す.

4.3 Level Set 関数を輸送する方程式の

移流項計算スキームの検討

本節では気泡の数値シミュレーションが目的であるが,その前に運動方程式と Level

Set 関数の移流方程式に含まれる移流項の計算スキームの組み合わせについて検討す

る.移動境界流れの検証問題の一つであるダムブレイクモデルを用いて,質量・液相

START

仮の流速u*,v*を求める

圧力のポアソン方程式を解き

pn+1を求める

un+1,vn+1を求める

φn+1を求める

再初期化を行う

体積補正を行う

ρn+1,μ

n+1を求める

t>n⊿t

END

YES

NO

図-4.3 計算のアルゴリズム

Page 7: 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算 - …...第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算 63 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算

第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算

69

体積の保存性や水柱先端位置などから最適な Level Set 関数の移流項計算スキームを検

討する.

計算領域は図-4.4 に示す配置であり,各物性値を表-4.1 に示す.計算条件として計

算格子間隔が 0.015x y m∆ = ∆ = とし,時間刻みは 0.0001sect∆ = で一定値とした.境界条件

は全て滑りありの固体壁とした.対象モデルは,水柱左端から水柱右端までの長さを

L=0.15m,右壁面を水柱左端から 4L,水柱高さを底面から 2L の位置に設定し,0.6m×

0.6m の水槽内で水柱が崩壊する様子をシミュレートした.空気と水を想定したため,

気液二相流の密度比は 800,粘性比約 67 となる.

移流項計算スキームは,運動方程式に関しては 3 次精度 TVD-MUSCL scheme 11)(以

後 TVD)に固定した.Level Set 関数の保存則(界面を捕捉する関数の輸送方程式)に

は,3 次精度 TVD-MUSCL scheme,CIP scheme 12)(以後 CIP),数値振動が発生する場

所で一次精度に低下する CIP scheme(以降安定化 CIP 法),朝位らが開発した 3 次精度

保存形式 6-point scheme 13)(以降 3C6P)を用いて検討した.なお,3 次精度 TVD-MUSCL

scheme を用いた場合には,時間積分に 2 次精度 Adams-Bashforth 法を採用した.また,

3 次精度保存形式 6-point scheme には数値振動を除去するために universal limiter14)を

2L

4LL

4L

空気

図-4.4 ダム破壊モデル計算の初期配置

表-4.1 モデル計算で使用した物性値

物性 値

水の密度 1000kg/m3

空気の密度 1.25 kg/m3

水の粘性係数 1.0×10-3(Pa・s)

空気の粘性係数 1.5×10-5(Pa・s)

重力加速度 9.80(m/s2)

Page 8: 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算 - …...第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算 63 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算

第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算

70

導入している.なお, 以降の図面のキャプションで TVD-3C6P などの凡例を用いるが,

その意味は 3 章と同様である.

まず,体積補正法を適用しない場合の結果について示す.図-4.5 から全質量の保存

性について検討する.境界は固定壁であるので初期全質量は保存される必要がある.

20 秒後の全質量と初期全質量は,TVD-TVD の組み合わせで質量の相対誤差は 93.4%程

度となり質量の保存は破綻している.有力な計算スキームである CIP scheme を用いた

TVD-CIP と TVD-安定化 CIP の組み合わせでは,それぞれ質量の相対誤差が 37.8%,

39.3%となる. 3C6P を用いると質量の相対誤差が 18.8%となり他の 3 つの計算スキー

ムと比べて質量は保存されているが,質量の相対誤差が約 20%では,質量の保存性に

問題がある.

次に,図-4.6 から液相体積の相対誤差の検討を行う.20 秒後の液相体積と初期液相

体積は,TVD-TVD の組み合わせで液相体積の相対誤差は 95.4%程度となり液相体積の

保存は破綻している.CIP を用いた TVD-CIP と TVD-安定化 CIP の組み合わせでは,

それぞれ液相体積の相対誤差が 38.6%,39.7%となる.TVD-3C6P の組み合わせでは液

相体積の相対誤差が 19.1%となり他の 3 つの計算スキームと比べて質量同様,液相体

積は保存されているが,液相体積の保存性にも問題があると言える.

全質

量全

質量

全質

量全

質量

のの のの相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差(( ((%% %%

)) ))

0000 2222 4444 6666 8888 10101010 12121212 14141414 16161616 18181818 202020200000

20202020

40404040

60606060

80808080

100100100100

TVD-TVDTVD-TVDTVD-TVDTVD-TVDTVD-3C6PTVD-3C6PTVD-3C6PTVD-3C6PTVD-CIPTVD-CIPTVD-CIPTVD-CIPTVDTVDTVDTVD----安定化安定化安定化安定化CIPCIPCIPCIP

時間時間時間時間tttt((((ssss))))

図-4.5 全質量の相対誤差

液相

体積

液相

体積

液相

体積

液相

体積

のの のの相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差(( ((%% %%

)) ))

0000 2222 4444 6666 8888 10101010 12121212 14141414 16161616 18181818 202020200000

20202020

40404040

60606060

80808080

100100100100

TVD-TVDTVD-TVDTVD-TVDTVD-TVDTVD-3C6PTVD-3C6PTVD-3C6PTVD-3C6PTVD-CIPTVD-CIPTVD-CIPTVD-CIPTVDTVDTVDTVD----安定化安定化安定化安定化CIPCIPCIPCIP

時間時間時間時間tttt((((ssss))))

図-4.6 液相体積の相対誤差

Page 9: 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算 - …...第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算 63 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算

第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算

71

次に姫野らの体積補正法を適用した結果を図-4.7 に示す.図-4.7 は,液相体積およ

び全質量の相対誤差を表す.液相体積の相対誤差は概ね 10-6 以内に収まる.また,全

全質

量全

質量

全質

量全

質量

のの のの相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差(( ((%% %%

)) ))

0000 2222 4444 6666 8888 10101010 12121212 14141414 16161616 18181818 202020200.00.00.00.0

0.50.50.50.5

1.01.01.01.0

時間時間時間時間tttt((((ssss))))

液相

体積

液相

体積

液相

体積

液相

体積

のの のの相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差(( ((%% %%

)) ))

0000 2222 4444 6666 8888 10101010 12121212 14141414 16161616 18181818 2020202010101010

0000

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-7-7-7-7

時間時間時間時間tttt((((ssss))))

0000

(a)TVD-TVD(全質量の相対誤差) (b)TVD-TVD(液相体積の相対誤差)

全質

量全

質量

全質

量全

質量

のの のの相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差(( ((%% %%

)) ))

0000 2222 4444 6666 8888 10101010 12121212 14141414 16161616 18181818 202020200.00.00.00.0

0.50.50.50.5

1.01.01.01.0

時間時間時間時間tttt((((ssss))))

液相

体積

液相

体積

液相

体積

液相

体積

のの のの相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差(( ((%% %%

)) ))

0000 2222 4444 6666 8888 10101010 12121212 14141414 16161616 18181818 2020202010101010

0000

10101010-6-6-6-6

10101010-6-6-6-6

10101010-6-6-6-6

10101010-6-6-6-6

10101010-6-6-6-6

10101010-6-6-6-6

10101010-6-6-6-6

10101010-6-6-6-6

10101010-6-6-6-6

10101010-5-5-5-5

時間時間時間時間tttt((((ssss))))

0000

(c)TVD-CIP(全質量の相対誤差) (d)TVD-CIP(液相体積の相対誤差)

全質

量全

質量

全質

量全

質量

のの のの相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差(( ((%% %%

)) ))

0000 2222 4444 6666 8888 10101010 12121212 14141414 16161616 18181818 202020200.00.00.00.0

0.50.50.50.5

1.01.01.01.0

時間時間時間時間tttt((((ssss))))

液相

体積

液相

体積

液相

体積

液相

体積

のの のの相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差(( ((%% %%

)) ))

0000 2222 4444 6666 8888 10101010 12121212 14141414 16161616 18181818 2020202010101010

0000

10101010-6-6-6-6

10101010-6-6-6-6

10101010-6-6-6-6

10101010-6-6-6-6

10101010-6-6-6-6

10101010-6-6-6-6

10101010-6-6-6-6

10101010-6-6-6-6

10101010-6-6-6-6

10101010-5-5-5-5

時間時間時間時間tttt((((ssss))))

0000

(e)TVD-安定化 CIP(全質量の相対誤差)(f)TVD-安定化 CIP(液相体積の相対誤差)

全質

量全

質量

全質

量全

質量

のの のの相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差(( ((%% %%

)) ))

0000 2222 4444 6666 8888 10101010 12121212 14141414 16161616 18181818 202020200.00.00.00.0

0.50.50.50.5

1.01.01.01.0

時間時間時間時間tttt((((ssss))))

液相

体積

液相

体積

液相

体積

液相

体積

のの のの相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差(( ((%% %%

)) ))

0000 2222 4444 6666 8888 10101010 12121212 14141414 16161616 18181818 2020202010101010

0000

10101010-6-6-6-6

10101010-6-6-6-6

10101010-6-6-6-6

10101010-6-6-6-6

10101010-6-6-6-6

10101010-6-6-6-6

10101010-6-6-6-6

10101010-6-6-6-6

10101010-6-6-6-6

10101010-5-5-5-5

時間時間時間時間tttt((((ssss))))

0000

(g)TVD-3C6P(全質量の相対誤差) (h)TVD-3C6P(液相体積の相対誤差)

図-4.7 液相体積および全質量の相対誤差(体積補正法あり)

Page 10: 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算 - …...第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算 63 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算

第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算

72

質量の相対誤差はどの計算スキームでも 0.5%以内に収まっている.姫野らの体積補正

法を用いれば液相体積や質量が初期段階の状態で保存される.

図-4.8 に水柱先端位置の時間変化を示す.使用する計算スキームで多少進行速度に

相違が見られるが,いずれも実験結果と良好な一致を示していることがわかる.また,

体積補正法を適用させた場合とそうでない場合でも水柱先端速度に違いが見られなか

った.

0

1

2

3

4

0 2 4

t(2g/L)1/2

Z/L

Exp.(Martin & Moyce, 1.25in)

Exp.(Martin & Moyce, 2.25in)

Koshizuka et al

体積補正法なし

体積補正法あり

0

1

2

3

4

0 2 4

t(2g/L)1/2

Z/L

Exp.(Martin & Moyce, 1.25in)

Exp.(Martin & Moyce, 2.25in)

Koshizuka et al

体積補正法なし

体積補正法あり

(a)TVD-TVD (b) TVD- CIP

0

1

2

3

4

0 2 4

t(2g/L)1/2

Z/L

Exp.(Martin & Moyce, 1.25in)

Exp.(Martin & Moyce, 2.25in)

Koshizuka et al

体積補正法なし

体積補正法あり

0

1

2

3

4

0 2 4

t(2g/L)1/2

Z/L

Exp.(Martin & Moyce, 1.25in)

Exp.(Martin & Moyce, 2.25in)

Koshizuka et al

体積補正法なし

体積補正法あり

(c)TVD-安定化 CIP (d) TVD- 3C6P

図-4.8 水柱先端位置の時間変化

Page 11: 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算 - …...第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算 63 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算

第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算

73

0000 0.30.30.30.3 0.60.60.60.60000

0.30.30.30.3

0.60.60.60.6

0000 0.30.30.30.3 0.60.60.60.60000

0.30.30.30.3

0.60.60.60.6

0000 0.30.30.30.3 0.60.60.60.60000

0.30.30.30.3

0.60.60.60.6

0000 0.30.30.30.3 0.60.60.60.60000

0.30.30.30.3

0.60.60.60.6

t=0.10s t=0.30s t=0.40s t=5.0s

(a)TVD-TVD

0000 0.30.30.30.3 0.60.60.60.60000

0.30.30.30.3

0.60.60.60.6

0000 0.30.30.30.3 0.60.60.60.60000

0.30.30.30.3

0.60.60.60.6

0000 0.30.30.30.3 0.60.60.60.60000

0.30.30.30.3

0.60.60.60.6

0000 0.30.30.30.3 0.60.60.60.60000

0.30.30.30.3

0.60.60.60.6

t=0.10s t=0.30s t=0.40s t=5.0s

(b) TVD-CIP

0000 0.30.30.30.3 0.60.60.60.60000

0.30.30.30.3

0.60.60.60.6

0000 0.30.30.30.3 0.60.60.60.60000

0.30.30.30.3

0.60.60.60.6

0000 0.30.30.30.3 0.60.60.60.60000

0.30.30.30.3

0.60.60.60.6

0000 0.30.30.30.3 0.60.60.60.60000

0.30.30.30.3

0.60.60.60.6

t=0.10s t=0.30s t=0.40s t=5.0s

(c) TVD-安定化CIP

0000 0.30.30.30.3 0.60.60.60.60000

0.30.30.30.3

0.60.60.60.6

0000 0.30.30.30.3 0.60.60.60.60000

0.30.30.30.3

0.60.60.60.6

0000 0.30.30.30.3 0.60.60.60.60000

0.30.30.30.3

0.60.60.60.6

0000 0.30.30.30.3 0.60.60.60.60000

0.30.30.30.3

0.60.60.60.6

t=0.10s t=0.30s t=0.40s t=5.0s

(d) TVD-3C6P

図-4.9 液相の挙動(体積補正法なし)

Page 12: 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算 - …...第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算 63 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算

第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算

74

0000 0.30.30.30.3 0.60.60.60.60000

0.30.30.30.3

0.60.60.60.6

0000 0.30.30.30.3 0.60.60.60.60000

0.30.30.30.3

0.60.60.60.6

0000 0.30.30.30.3 0.60.60.60.60000

0.30.30.30.3

0.60.60.60.6

0000 0.30.30.30.3 0.60.60.60.60000

0.30.30.30.3

0.60.60.60.6

t=0.10s t=0.30s t=0.40s t=5.0s

(a)TVD-TVD

0000 0.30.30.30.3 0.60.60.60.60000

0.30.30.30.3

0.60.60.60.6

0000 0.30.30.30.3 0.60.60.60.60000

0.30.30.30.3

0.60.60.60.6

0000 0.30.30.30.3 0.60.60.60.60000

0.30.30.30.3

0.60.60.60.6

0000 0.30.30.30.3 0.60.60.60.60000

0.30.30.30.3

0.60.60.60.6

t=0.10s t=0.30s t=0.40s t=5.0s

(b) TVD-CIP

0000 0.30.30.30.3 0.60.60.60.60000

0.30.30.30.3

0.60.60.60.6

0000 0.30.30.30.3 0.60.60.60.60000

0.30.30.30.3

0.60.60.60.6

0000 0.30.30.30.3 0.60.60.60.60000

0.30.30.30.3

0.60.60.60.6

0000 0.30.30.30.3 0.60.60.60.60000

0.30.30.30.3

0.60.60.60.6

t=0.10s t=0.30s t=0.40s t=5.0s

(c) TVD-安定化CIP

0000 0.30.30.30.3 0.60.60.60.60000

0.30.30.30.3

0.60.60.60.6

0000 0.30.30.30.3 0.60.60.60.60000

0.30.30.30.3

0.60.60.60.6

0000 0.30.30.30.3 0.60.60.60.60000

0.30.30.30.3

0.60.60.60.6

0000 0.30.30.30.3 0.60.60.60.60000

0.30.30.30.3

0.60.60.60.6

t=0.10s t=0.30s t=0.40s t=5.0s

(d) TVD-3C6P

図-4.10 液相の挙動(体積補正法あり)

Page 13: 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算 - …...第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算 63 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算

第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算

75

図-4.9,4.10 に液相の挙動の一例を示す.図中の等値線がΦ=0,すなわち気液界面

を表す.塗りつぶした色の濃い部分が液相を白は気相を表す.体積補正法を施さない

場合の結果を図-4.9 に示す.5 秒後では液相が減少し,体積保存が破綻している.特

に,TVD-TVD の組み合わせの場合が液相体積の減少を顕著である.姫野らの体積補正

法を行った場合の結果を図-4.10 に示す.体積補正法導入による流体運動の抑制もなく,

0.4 秒における右壁面に衝突したときの跳ね上がり高さも補正の有無に関わらず液相

部の形状は変化していない.しかし,界面を捕捉する関数の移流項に TVD を用いた場

合は,計算スキームの影響で流体運動が抑制されるが,他の計算スキームは概ね右壁

面遡上高さが 0.3m 程度であり TVD に比べ流体運動が抑制されていない.

流体運動を抑制する TVDは水表面での気泡破裂のような水表面に乱れを引き起こす

ような現象には不適切である.液相体積と質量の保存の観点から体積補正法の有無に

関わらず最も相対誤差の少なく,体積補正法を適用しない場合において最も数値拡散

の少ない 3C6P が最適な移流項計算スキームだと言える.この計算スキームを用いて気

泡崩壊現象の数値計算を行う.

4.4 水表面における気泡崩壊計算

この項では水中に存在する単一気泡が上昇し水表面で崩壊する様子を解析した.異

なる表面張力を用い水表面近傍の気泡崩壊現象にどのような違いを与えるかを検討す

る.

計算領域および初期配置を図-4.11 に示す.また各物性値は鍋坂ら 1)の実験条件を用

い表-4.2 に示す.気泡の初期直径 D は D=0.01m,D=0.02m の 2 種類を用いた.気泡径

D

3D4D

D

4D

図-4.11 気泡崩壊計算の初期配置

Page 14: 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算 - …...第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算 63 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算

第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算

76

の大きさによって全計算領域のサイズが異なってくるが,いずれの場合も計算領域を

80×80 に分割した.式(4.15)から st∆ を求めるとおよそ 1.0×10-4sec が得られる.予備計

算から時間刻みは両者とも t∆ =1.0×10-5sec とした.運動方程式に関しては 3 次精度

TVD-MUSCL scheme を用い,Level Set 関数の保存則には 3 次精度保存形式 6-point

scheme を用いた.なお,3 次精度 TVD-MUSCL scheme を用いた場合には,時間積分に

2 次精度 Adams-Bashforth 法を採用した.また,3 次精度保存形式 6-point scheme には

universal limiter を導入している.

表-4.3 にレイノルズ数 Re とボンド数 B を示す.定義はそれぞれ以下の通りである.

3

2ReLiq

Liq

D gρ

µ= (4.16)

2

Liq

DB gρ

σ= (4.17)

ここで,D は気泡径, Liqρ は液体の密度, Liqµ は液体の粘性係数, σ は表面張力係数で

ある.なお, st∆ を求める際に上述のボンド数を用いた.

図-4.12 は直径 0.01m の気泡崩壊現象を解析した結果である.水の密度および粘性係

数を与えるが,表面張力係数を 0 とした場合を参考として図示している.表面張力が

存在しない場合は,初期段階では円形をしていた気泡が上昇するにつれて馬蹄形状と

なる.さらに時間が進行すると気泡膜の中心部から破裂がはじまる.表面張力を与え

表-4.2 気泡崩壊計算で使用した物性値 14)

物性値 表面張力(N/m) 粘性係数(Pa・s) 密度(kg/m3)

水 0.072 0.001 1000

95.7%* 0.02846 0.00179 812

10%* 0.05633 0.00217 984

*エタノール水溶液の濃度

表-4.3 レイノルズ数とボンド数

気泡径 物性値 レイノルズ数 ボンド数水 3100 13.6

D=0.01m 95.7%* 1420 28.0

10%* 1420 17.1

水 8850 54.4

D=0.02m 95.7%* 4016 111.8

10%* 4016 68.5

*エタノール水溶液の濃度

Page 15: 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算 - …...第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算 63 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算

第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算

77

0000 0.020.020.020.02 0.040.040.040.040000

0.020.020.020.02

0.040.040.040.04

0000 0.020.020.020.02 0.040.040.040.040000

0.020.020.020.02

0.040.040.040.04

0000 0.020.020.020.02 0.040.040.040.040000

0.020.020.020.02

0.040.040.040.04

0000 0.020.020.020.02 0.040.040.040.040000

0.020.020.020.02

0.040.040.040.04

t=0.10s

0000 0.020.020.020.02 0.040.040.040.040000

0.020.020.020.02

0.040.040.040.04

0000 0.020.020.020.02 0.040.040.040.040000

0.020.020.020.02

0.040.040.040.04

0000 0.020.020.020.02 0.040.040.040.040000

0.020.020.020.02

0.040.040.040.04

0000 0.020.020.020.02 0.040.040.040.040000

0.020.020.020.02

0.040.040.040.04

t=0.14s

0000 0.020.020.020.02 0.040.040.040.040000

0.020.020.020.02

0.040.040.040.04

0000 0.020.020.020.02 0.040.040.040.040000

0.020.020.020.02

0.040.040.040.04

0000 0.020.020.020.02 0.040.040.040.040000

0.020.020.020.02

0.040.040.040.04

0000 0.020.020.020.02 0.040.040.040.040000

0.020.020.020.02

0.040.040.040.04

t=0. 15s

0000 0.020.020.020.02 0.040.040.040.040000

0.020.020.020.02

0.040.040.040.04

0000 0.020.020.020.02 0.040.040.040.040000

0.020.020.020.02

0.040.040.040.04

0000 0.020.020.020.02 0.040.040.040.040000

0.020.020.020.02

0.040.040.040.04

0000 0.020.020.020.02 0.040.040.040.040000

0.020.020.020.02

0.040.040.040.04

t=0.16s

0000 0.020.020.020.02 0.040.040.040.040000

0.020.020.020.02

0.040.040.040.04

0000 0.020.020.020.02 0.040.040.040.040000

0.020.020.020.02

0.040.040.040.04

0000 0.020.020.020.02 0.040.040.040.040000

0.020.020.020.02

0.040.040.040.04

0000 0.020.020.020.02 0.040.040.040.040000

0.020.020.020.02

0.040.040.040.04

t=0.17s

(a)水(表面張力なし) (b)95.7%濃度エタノール水溶液 (c)10%濃度エタノール水溶液 (d)水(表面張力なし)

図-4.12 直径 0.01mの気泡崩壊現象

Page 16: 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算 - …...第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算 63 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算

第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算

78

0000 0.040.040.040.04 0.080.080.080.080000

0.040.040.040.04

0.080.080.080.08

0000 0.040.040.040.04 0.080.080.080.080000

0.040.040.040.04

0.080.080.080.08

0000 0.040.040.040.04 0.080.080.080.080000

0.040.040.040.04

0.080.080.080.08

0000 0.040.040.040.04 0.080.080.080.080000

0.040.040.040.04

0.080.080.080.08

t=0.10s

0000 0.040.040.040.04 0.080.080.080.080000

0.040.040.040.04

0.080.080.080.08

0000 0.040.040.040.04 0.080.080.080.080000

0.040.040.040.04

0.080.080.080.08

0000 0.040.040.040.04 0.080.080.080.080000

0.040.040.040.04

0.080.080.080.08

0000 0.040.040.040.04 0.080.080.080.080000

0.040.040.040.04

0.080.080.080.08

t=0.20s

0000 0.040.040.040.04 0.080.080.080.080000

0.040.040.040.04

0.080.080.080.08

0000 0.040.040.040.04 0.080.080.080.080000

0.040.040.040.04

0.080.080.080.08

0000 0.040.040.040.04 0.080.080.080.080000

0.040.040.040.04

0.080.080.080.08

0000 0.040.040.040.04 0.080.080.080.080000

0.040.040.040.04

0.080.080.080.08

t=0. 22s

0000 0.040.040.040.04 0.080.080.080.080000

0.040.040.040.04

0.080.080.080.08

0000 0.040.040.040.04 0.080.080.080.080000

0.040.040.040.04

0.080.080.080.08

0000 0.040.040.040.04 0.080.080.080.080000

0.040.040.040.04

0.080.080.080.08

0000 0.040.040.040.04 0.080.080.080.080000

0.040.040.040.04

0.080.080.080.08

t=0.24s

0000 0.040.040.040.04 0.080.080.080.080000

0.040.040.040.04

0.080.080.080.08

0000 0.040.040.040.04 0.080.080.080.080000

0.040.040.040.04

0.080.080.080.08

0000 0.040.040.040.04 0.080.080.080.080000

0.040.040.040.04

0.080.080.080.08

0000 0.040.040.040.04 0.080.080.080.080000

0.040.040.040.04

0.080.080.080.08

t=0.25s

(a)水(表面張力なし) (b)95.7%濃度エタノール水溶液 (c)10%濃度エタノール水溶液 (d)水(表面張力なし)

図-4.13 直径 0.02mの気泡崩壊現象

Page 17: 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算 - …...第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算 63 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算

第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算

79

る場合,0.10 秒後では初期状態では円形をしていた気泡が上昇するにつれて楕円形状

に変形する.水表面に達した気泡は薄い膜を形成する.表面張力が水の場合(0.072N/m)

で 0.14 秒ごろ表面張力が 10%濃度のエタノール水溶液の場合(0.05633N/m)では 0.15 秒

ごろ,95.7%濃度のエタノール水溶液の場合(0.02846N/m)では 0.17 秒ごろには薄い膜が

端部からちぎれ始めた.表面張力が大きいほど,気泡が崩壊する時間が早いと言える.

その後,水表面と分離された薄い膜は液滴となる.

図-4.13 は直径 0.02m の気泡崩壊現象を解析した結果である.これは鍋坂の実験と同

じ条件である.水の密度および粘性係数を与えるが,表面張力係数を 0 とした場合を

参考として図示している.表面張力が存在しない場合は,初期段階では円形をしてい

た気泡が上昇するにつれて馬蹄形状となる.さらに時間が進行すると気泡膜の中心部

から破裂がはじまる.表面張力を与える場合,0.10 秒後では初期状態では円形をして

いた気泡が上昇するにつれて三日月形状に変形する.水表面に達した気泡は薄い膜を

形成する.水の場合(0.072N/m)と 95.7%濃度のエタノール水溶液の場合(0.02846N/m)で

は水面近傍で気泡は分裂し側壁に向かって移動する.直径 0.01m とは異なる挙動を見

せる.表面張力が大きいほど,二つに分裂する時間が早いことがわかる.しかし,10%

濃度のエタノール水溶液の場合(0.05633N/m)では水表面下で気泡が二つに分かれる前

に水表面近傍の薄い膜が端部からちぎれ始めた.

鍋坂らの実験では 10%濃度のエタノール水溶液では,気泡の膜の 1 点より同心円状

に穴が広がり,膜が反り返るように破裂する.95.7%濃度のエタノール水溶液の場合で

は,気泡の膜が形成していた位置を保って,膜に沿って破裂する.今回の計算結果は

鍋坂らの実験結果と異なっているが,この原因として狭い閉じた領域を計算領域とし

ていることと,2 次元で解析を行っていること,解像度の問題などが考えられる.

図-4.14,15 より,気泡崩壊シミュレーションの体積保存は全てのケースで良好であ

った.表面張力係数によって若干の違いがあるが概ね概ね液相体積の相対誤差は 10-6%

以下になった.質量の保存については,計算領域内の全質量に関する相対誤差は,気

泡径 10mm のとき表面張力がある場合で 0.02%以内に収まり表面張力がない場合でも

0.1%以下に収まっている.気泡径 20mm のとき表面張力がある場合で 0.05%以内に収

まり表面張力がない場合でも 0.1%以下に収まっている.

Page 18: 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算 - …...第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算 63 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算

第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算

80

質量

全質

量全

質量

全質

量のの のの

相対

誤差

相対

誤差

相対

誤差

相対

誤差

(( ((%% %%

)) ))

0000 0.10.10.10.1 0.20.20.20.2 0.30.30.30.3 0.40.40.40.4 0.50.50.50.5 0.60.60.60.60.00.00.00.0

0.10.10.10.1

0.20.20.20.2

時間時間時間時間tttt((((ssss))))

液相

体積

液相

体積

液相

体積

液相

体積

のの のの相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差(( ((%% %%

)) ))

0000 0.10.10.10.1 0.20.20.20.2 0.30.30.30.3 0.40.40.40.4 0.50.50.50.5 0.60.60.60.610101010

0000

10101010-7-7-7-7

10101010-7-7-7-7

10101010-7-7-7-7

10101010-7-7-7-7

10101010-7-7-7-7

10101010-7-7-7-7

10101010-7-7-7-7

10101010-7-7-7-7

10101010-7-7-7-7

10101010-6-6-6-6

時間時間時間時間tttt((((ssss))))

0000

(a)水の全質量相対誤差(表面張力なし) (b)水の液相体積相対誤差(表面張力なし)

全質

量全

質量

全質

量全

質量

のの のの相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差(( ((%% %%

)) ))

0000 0.10.10.10.1 0.20.20.20.2 0.30.30.30.3 0.40.40.40.4 0.50.50.50.5 0.60.60.60.60.00.00.00.0

0.10.10.10.1

0.20.20.20.2

時間時間時間時間tttt((((ssss))))

液相

体積

液相

体積

液相

体積

液相

体積

のの のの相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差(( ((%% %%

)) ))

0000 0.10.10.10.1 0.20.20.20.2 0.30.30.30.3 0.40.40.40.4 0.50.50.50.5 0.60.60.60.610101010

0000

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-7-7-7-7

時間時間時間時間tttt((((ssss))))

0000

(c)95.7%濃度エタノール水溶液の全質量相対誤差(d)95.7%濃度エタノール水溶液の液相体積相対誤差

全質

量全

質量

全質

量全

質量

のの のの相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差(( ((%% %%

)) ))

0000 0.10.10.10.1 0.20.20.20.2 0.30.30.30.3 0.40.40.40.4 0.50.50.50.5 0.60.60.60.60.00.00.00.0

0.10.10.10.1

0.20.20.20.2

時間時間時間時間tttt((((ssss))))

液相

体積

液相

体積

液相

体積

液相

体積

のの のの相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差(( ((%% %%

)) ))

0000 0.10.10.10.1 0.20.20.20.2 0.30.30.30.3 0.40.40.40.4 0.50.50.50.5 0.60.60.60.610101010

0000

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-7-7-7-7

時間時間時間時間tttt((((ssss))))

0000

(e)10%濃度エタノール水溶液の全質量相対誤差 (f)10%濃度エタノール水溶液の液相体積相対誤差

全質

量全

質量

全質

量全

質量

のの のの相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差(( ((%% %%

)) ))

0000 0.10.10.10.1 0.20.20.20.2 0.30.30.30.3 0.40.40.40.4 0.50.50.50.5 0.60.60.60.60.00.00.00.0

0.10.10.10.1

0.20.20.20.2

時間時間時間時間tttt((((ssss))))

液相

体積

液相

体積

液相

体積

液相

体積

のの のの相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差(( ((%% %%

)) ))

0000 0.10.10.10.1 0.20.20.20.2 0.30.30.30.3 0.40.40.40.4 0.50.50.50.5 0.60.60.60.610101010

0000

10101010-7-7-7-7

10101010-7-7-7-7

10101010-7-7-7-7

10101010-7-7-7-7

10101010-7-7-7-7

10101010-7-7-7-7

10101010-7-7-7-7

10101010-7-7-7-7

10101010-7-7-7-7

10101010-6-6-6-6

時間時間時間時間tttt((((ssss))))

0000

(g)水の全質量相対誤差(表面張力あり) (h)水の液相体積相対誤差(表面張力あり)

図-4.14 液相体積および全質量の相対誤差(直径 0.01m の気泡崩壊現象)

Page 19: 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算 - …...第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算 63 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算

第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算

81

質量

全質

量全

質量

全質

量のの のの

相対

誤差

相対

誤差

相対

誤差

相対

誤差

(( ((%% %%

)) ))

0000 0.10.10.10.1 0.20.20.20.2 0.30.30.30.3 0.40.40.40.4 0.50.50.50.5 0.60.60.60.60.000.000.000.00

0.050.050.050.05

0.100.100.100.10

時間時間時間時間tttt((((ssss))))

液相

体積

液相

体積

液相

体積

液相

体積

のの のの相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差(( ((%% %%

)) ))

0000 0.10.10.10.1 0.20.20.20.2 0.30.30.30.3 0.40.40.40.4 0.50.50.50.5 0.60.60.60.610101010

0000

10101010-7-7-7-7

10101010-7-7-7-7

10101010-7-7-7-7

10101010-7-7-7-7

10101010-7-7-7-7

10101010-7-7-7-7

10101010-7-7-7-7

10101010-7-7-7-7

10101010-7-7-7-7

10101010-6-6-6-6

時間時間時間時間tttt((((ssss))))

0000

(a)水の全質量相対誤差(表面張力なし) (b)水の液相体積相対誤差(表面張力なし)

全質

量全

質量

全質

量全

質量

のの のの相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差(( ((%% %%

)) ))

0000 0.10.10.10.1 0.20.20.20.2 0.30.30.30.3 0.40.40.40.4 0.50.50.50.5 0.60.60.60.60.000.000.000.00

0.050.050.050.05

0.100.100.100.10

時間時間時間時間tttt((((ssss))))

液相

体積

液相

体積

液相

体積

液相

体積

のの のの相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差(( ((%% %%

)) ))

0000 0.10.10.10.1 0.20.20.20.2 0.30.30.30.3 0.40.40.40.4 0.50.50.50.5 0.60.60.60.610101010

0000

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-7-7-7-7

時間時間時間時間tttt((((ssss))))

0000

(c)95.7%濃度エタノール水溶液の全質量相対誤差(d)95.7%濃度エタノール水溶液の液相体積相対誤差

全質

量全

質量

全質

量全

質量

のの のの相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差(( ((%% %%

)) ))

0000 0.10.10.10.1 0.20.20.20.2 0.30.30.30.3 0.40.40.40.4 0.50.50.50.5 0.60.60.60.60.000.000.000.00

0.050.050.050.05

0.100.100.100.10

時間時間時間時間tttt((((ssss))))

液相

体積

液相

体積

液相

体積

液相

体積

のの のの相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差(( ((%% %%

)) ))

0000 0.10.10.10.1 0.20.20.20.2 0.30.30.30.3 0.40.40.40.4 0.50.50.50.5 0.60.60.60.610101010

0000

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-7-7-7-7

時間時間時間時間tttt((((ssss))))

0000

(e)10%濃度エタノール水溶液の全質量相対誤差 (f)10%濃度エタノール水溶液の液相体積相対誤差

全質

量全

質量

全質

量全

質量

のの のの相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差(( ((%% %%

)) ))

0000 0.10.10.10.1 0.20.20.20.2 0.30.30.30.3 0.40.40.40.4 0.50.50.50.5 0.60.60.60.60.000.000.000.00

0.050.050.050.05

0.100.100.100.10

時間時間時間時間tttt((((ssss))))

液相

体積

液相

体積

液相

体積

液相

体積

のの のの相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差相

対誤

差(( ((%% %%

)) ))

0000 0.10.10.10.1 0.20.20.20.2 0.30.30.30.3 0.40.40.40.4 0.50.50.50.5 0.60.60.60.610101010

0000

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-8-8-8-8

10101010-7-7-7-7

時間時間時間時間tttt((((ssss))))

0000

(g)水の全質量相対誤差(表面張力あり) (h)水の液相体積相対誤差(表面張力あり)

図-4.15 液相体積および全質量の相対誤差(直径 0.02m の気泡崩壊現象)

Page 20: 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算 - …...第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算 63 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算

第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算

82

4.5 まとめ

本章では,まず,ダムブレイクモデルを用いて Level Set 関数の移流計算スキームの

選択を行った.つぎに,高精度移流計算スキームを用いても液相体積や質量が保存さ

れないため姫野らの体積補正法を導入し,再度,移流項計算スキームの選択を検討し

た.そのスキームを用いて表面張力が気泡崩壊現象に及ぼす影響について考察した.

本章で得られた知見について以下にまとめる.

(1) 体積補正法を施さない場合は,液相体積と質量の保存が破綻を,高精度の移流計

算スキームである 3 次精度保存形式 6-point scheme を用いることである程度防ぐこ

とができるが完全には抑制できなかった.

(2) 姫野らの簡便な体積補正法を導入することによって初期状態の液相体積と質量

が保存された.体積補正法を付加した場合,密度関数法では流体運動が抑制された

が Level Set 法では体積補正法の有無によって流体運動に変化がなかった.

(3) (2)で示したように体積補正法による流体運動の抑制は発生しなかった.しかし

Level Set 関数の移流項に TVD を用いた場合は,計算スキームの影響で流体運動が

抑制されるが,他の計算スキームでは流体運動が抑制されていない.

(4) 計算スキームによる流体運動の抑制も少なく,液相体積と質量の保存の観点から

体積補正法の有無に関わらず最も相対誤差の少ない 3 次精度保存形式 6-point

scheme が最適な Level Set 関数の移流項計算スキームだと言える.

(5) 気泡崩壊現象の数値計算では,表面張力が気泡崩壊現象に及ぼす影響をシミュレ

ートすることができたが,鍋坂らの実験結果とは異なった計算結果となったが,こ

の原因として狭い閉じた領域を計算領域としていることと,2 次元で解析を行って

いること,解像度の問題などが考えられる.

Page 21: 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算 - …...第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算 63 第4章 Level Set法を用いた気泡崩壊の数値計算

第4章 Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算

83

第 4 章 参考文献

1) 鍋坂誠志,江藤剛治,竹原幸生:水表面の気泡の破裂現象に対する表面張力と粘性

の影響の個別評価の試み,土木学会論文集,No.705/Ⅱ-59, pp.19-29, 2002.

2) Yabe, T. and P. – Y. Wang: Unified numerical procedure for compressible and

incompressible fluid, J. Physical Society of Japan, Vol.60, No.7, pp.2105-2108, 1991.

3) 睦田秀実,河合ひろみ,安田孝志:C-CUP 法による気液界面の直接数値計算,海

岸工学論文集,第 45 巻,pp.55-59,1998.

4) 金井亮浩,宮田秀明:密度関数法を応用した気泡シミュレーション,日本造船学会

論文集,第 179 号,pp.41-48,1996.

5) Brackbill, J. U., D. B. Kotrhe and C. Zemach: A Continuum Method for Modeling Surface

Tension, J. Comp. Phys, Vol. 100, pp.335-354, 1992.

6) Sussmann, M., P. Smereka and S. osher: A level set approach for computing solutions to

incompressible two phase flow, J. Comp. Phys, Vol. 114, pp.146-159, 1994.

7) 由比正年,石田啓,保智正和:界面の大変形を伴う気液二相流体場の数値解析,海

岸工学論文集,第 45 巻,pp.61-65,1998.

8) 梁儒全,里深信行:標位関数法を用いた非圧縮性気液二相流における移動気液界面

の挙動の数値計算,日本機械学会論文集(B 編),第 64 巻 617 号,1998.

9) 姫野武洋,渡辺紀徳:微小重力環境における気液界面挙動の数値解析,日本機械学

会論文集(B 編),第 65 巻 635 号,1999.

10) 坪郷浩一,朝位孝二,羽田野袈裟義:Level Set 法を用いた気泡崩壊の数値計算に

関する研究,土木学会応用力学論文集,Vol.6,pp201-214,2003.

11) 藤井孝蔵:流体力学の数値計算法,東京大学出版会,pp.72-76,1994.

12) Yabe, T. and Aoki, T.: A numerical Solver for Hyperbolic Equations by cubic-Polynomial

Interpolation, Compute. Phys. Commun. , Vol.66, pp.219-232, 1991.

13) 朝位孝二,坪郷浩一,小松利光:高次精度 6-point scheme の開発と高精度かつ高解

像度移流輸送計算への応用,土木学会論文集,No. 803/II-73, pp.29-44,2005.11

14) Leonard, B. P. and Niknafs, H. S.: Sharp monotonic resolution of discontinuities without

clipping of narrow extreme, Computers & Fluids, Vol.19, No.1, pp.141-154, 1991.