アルク英語教育実態レポート...2016/06/27  · アルク英語教育実態レポート...

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アルク英語教育実態レポート Vol. 7 [2016 年6月] 日本人の英語スピーキング能力 -リスニング・リーディング力との関係性に見る英語運用能力の実態-

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アルク英語教育実態レポート Vol. 7

[2016年6月]

■■

■■

日本人の英語スピーキング能力

-リスニング・リーディング力との関係性に見る英語運用能力の実態-

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1

はじめに

株式会社アルクは 1969 年の創業以来、月刊誌『ENGLISH JOURNAL』、通信教育講座「1000 時

間ヒアリングマラソン」、書籍「キクタン」シリーズなど、さまざまな英語学習教材を開発してきまし

た。近年は「英語スピーキング能力測定試験 TSST(Telephone Standard Speaking Test)」、「英語学

習アドバイザー資格認定制度 ESAC(English Study Advisors’ Certificate)」を独自に開発し、学習成

果の検証や継続的学習支援のサービスも提供するようになりました。

私たちは、語学学習者に成果をもたらす有益な方法を常に追求したいと考えています。そのために

アルク教育総合研究所を設立しました。「アルク教育総研」は、学習行動が成果に結びつきやすくなる

ことを目指し、教材・学習法の研究、学習者個人・企業・教育機関のニーズ調査等を随時行い、その

結果を公表しています。

2014 年、2015 年に続き、ここに、弊社が開発・運用するテスト TSST の受験結果から見える日本

人の英語スピーキング能力の実態をご報告します。受験者を社会人、大学生、「その他」受験者に分け、

社会人はさらに所属する業種別に分けて分析し、それぞれの特徴を明示しています。本レポートが英

語教育関係者各位の参考になれば幸いです。

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2

◆本レポートの概要◆

■TSST受験者の英語スピーキング能力

1. 英語を使って業務・学業が行えるスピーキング力を持つのは社会人も大学生も約 10%だが、過去

5年間ではスピーキング力に上昇の兆しも見える

分析対象の TSST 受験者のうち、英語を使って業務や学業が遂行できる TSST レベル6以上に属

するのは、分析対象者全体、社会人、大学生、それぞれにおいて約 10%にとどまる。しかし過去

5年間で見ると、基礎学習が必要な TSST レベル1~3の割合が減り、レベル4~5の割合が増

加傾向にある。日本人のスピーキング力は上昇の兆しがあると言える。

2. スピーキングが得意な人の約9割は、リスニング・リーディング力も高い

TSST レベル6以上の人の約9割は、TOEIC®テストスコア 730 点以上で、リスニング・リーデ

ィング力の面でも、英語を使って業務を行うことに大きな支障はないレベルである。

3. リスニング・リーディングが得意な人の約7割は、スピーキングが苦手である

TOEIC®テストスコアが 730 点以上の人の 68.7%は TSST レベル5以下で、英語で業務を行える

スピーキング力に達しておらず、リスニング・リーディング力とのバランスがあまり良くない。

■社会人受験者の英語スピーキング能力

4. 業種別では、金融系の業種と「海運業」の英語スピーキング能力が高い

分析対象とした 23 業種中では、金融系の業種や「海運業」で、他業種に比べて英語を使って仕事

ができる TSST レベル6~9の割合が高く、TSST レベル平均も高い。あまり英語が話せない

TSST レベル1~3の割合が高く、TSST レベル平均も低いのは、製造業に属する業種である。

5. 「銀行業」ではリスニング・リーディング力とスピーキング力のバランスがあまり良くない人が多い

TOEIC®テストのスコアが 730 点以上の人の割合は、今回分析対象とした業種中、「銀行業」で最

も高いが、「銀行業」の TSST レベル6以上の人の割合は「海運業」や「その他」に比べて少ない。

「銀行業」では、英語を使って業務を行うのに必要なリスニング・リーディング力はあるが、ス

ピーキング力が足りない人の割合が高い。

6. 主に製造業で「英語をあまり話せない」層が、過去3年間で減少している

主に製造業において 2013 年~2015 年にかけて TSST レベル1~3の割合が減少している。

■大学生受験者の英語スピーキング能力

7. グローバル化に積極的な大学・大学院の学生の英語力は、過去5年間で高まっている

2011 年から 2015 年にかけて、大学生受験者の TSST レベル、TOEIC®テストスコアの双方にお

いて、高レベル・高スコア層の割合が増加し、平均も高まっている。グローバル化に積極的で TSST

を受験している大学・大学院では、学生の英語力が高まっていると言える。

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3

◆目次◆

はじめに p.1

本レポートの概要 p.2

1 TSST について

1.1 TSST の概要 p.4

1.2 TSST の評価方法 p.4

1.3 TSST の評価基準と9つのレベル p.5

2 TSST 受験者の英語スピーキング能力

2.1 TSST レベル分布 p.6

2.2 TOEIC®テストスコア分布 p.8

2.3 TSST レベルと TOEIC®テストスコアの関係 p.11

2.4 英語を使って業務を遂行するために必要な学習 p.15

3 社会人受験者の英語スピーキング能力

3.1 社会人受験者の TSST レベル分布 p.17

3.2 業種別 TSST レベル分布 p.20

3.3 業種別 TOEIC®テストスコア分布 p.21

3.4 業種別 過去3年間の推移 p.22

4 大学生受験者の英語スピーキング能力

4.1 大学生受験者の TSST レベル分布 p.33

4.2 大学生受験者の TOEIC®テストスコア分布 p.34

5 「その他」受験者の英語スピーキング能力

5.1 「その他」受験者の TSST レベル分布 p.36

5.2 高校生と高校英語教師の TSST レベル分布 p.39

まとめ p.41

【参考】各種テストの能力指標一覧 p.42

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4

1 TSSTについて

1.1 TSSTの概要

英語スピーキング能力を測定するツールとしての TSST(Telephone Standard Speaking Test)は、

電話を使った英語スピーキング能力測定試験である。1997 年から始まった対面インタビュー型テスト

SST(Standard Speaking Test)の実績と経験からアルクが独自に開発し、2004 年から運用を開始し

た。法人団体受験を中心に利用が伸び、SST と合わせた受験者数は 2015 年 12 月時点で累計9万件を

超えるまでになっている。

TSST は団体受験、個人受験、いずれの形式でも利用できる。その概要は以下のとおりである。

1. 固定電話、携帯電話を利用して受験する。

2. 受験期間中は 24 時間受験が可能。

3. 受験時間は約 15 分。

4. 高校生以上の受験者が対象。

5. 質問項目は受験者ごとにデータベースからランダムに抽出され、全 10 問が出題される。

6. 10 の質問は、身の回りの具体的事柄について述べたり、何かの手順を説明したりするなど、難易

度の異なるもので構成されている。

7. 質問音声は日本語・英語両方の言語で流れる。質問の英語が聞き取れないために回答できないこ

とを防ぐためである。

8. 1問の回答時間は 45 秒。既定回答時間が経過後、次の質問が自動的に流れる。

9. 録音された回答音声を3人の評価官が個別に聞いて評価した後、コンピューター処理して一つの

評価を決定する。

10. 原則的に、受験期間終了後、約1週間で結果を Web 上で公開し、受験者が各自結果を確認する。

11. 法人団体受験の場合は、法人側担当者が受験者の結果一覧を Web からダウンロードできる。

1.2 TSSTの評価方法

TSST は以下の4つの評価基準に基づいて「英語を使って何ができるか」を評価する。

評価者は上記基準に基づき、発話全体を見渡して評価する(包括的評価 holistic rating と言う)。

言葉を使って何ができるか

= 総合的タスク・言語機能

単語・句・文・段落をどのように使っているか

=テクストの型

聞き手にどれくらい正確に理解されるか

=正確さ(文法、語彙、発音、流暢さ)

どのような内容、状況について話せるか

=内容範囲・コンテクスト

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5

1.3 TSSTの評価基準と9つのレベル

TSST の4つの評価基準ごとに9段階のレベルの特徴を記したものが下の表である。

Level

Global Functions

英語を使って できるタスク

Accuracy (grammar, pronunciation, fluency,

etc.) 正確さ(文法、

発音、流暢さなど)

Context/Content

対応できる 状況/話題

Text Type

使用できる 文章の構造

参考

職場や生活の場で できること

時制を使いこな

し、詳細な描写、

比較、説明ができ

る。複雑な事態に

対応できる。

文法には小さな誤りが時にあ

るが、意思疎通の妨げにはな

らない。母語話者に近い発音。

母語話者なみの流暢さ。

個人的あるいは一

般的な話題につい

て具体的に話せる。

パラグラフを使って

論理的なまとまりの

ある話ができる。

海外駐在で仕事をする

/ネイティブスピーカ

ーと時事問題について

議論する/人前でスピ

ーチをする。

詳細な描写、比較、

説明がかなりでき

る。複雑な事態に

ある程度対応でき

る。

複雑な構文では時に大きな誤

りがあるが、簡単な構文では

殆ど誤りはない。日本語的発

音が混じることもあるが、か

なり流暢。

殆どの個人的ある

いは一般的な話題

について具体的に

話せることが多い。

複雑な構文を使って

話ができる。パラグ

ラフを使うこともあ

る。

海外出張で仕事をする

/問題があった時に解

決策を提案する/自分

の業務について詳しく

説明する。

Level 6 と同じ。 基本的にはLevel 6 と同じだ

が、文法的な正確さや発音の

良さの点でより優れているこ

とがある。

Level 6 と同じ。 基本的には Level 6

と同じだが、時には

より優れた構文の構

成力がある。

海外出張で困らない/

商品やサービスの問題

点を指摘し、苦情を言

う。

簡単な質問がで

き、答えられる。

社会生活の維持に

必要な対話ができ

る。

複雑な構文ではよく大きな誤

りがあるが、簡単な構文では

誤りは少ない。日本語的発音

が多いが、時には流暢である。

主に自分自身と身

近な出来事に関す

る話題について話

せる。

センテンスを使って

話すことができ、複

雑な構文を使うこと

もある。

海外出張で困らない/

商品やサービスの問題

点を指摘し、苦情を言

う。

Level 4 と同じ。 基本的にはLevel 4 と同じだ

が、文法的な正確さや発音の

良さの点でより優れているこ

とがある。

Level 4 と同じ。 基本的には Level 4

と同じだが、時には

より優れた構文の構

成力がある。

自分の業種や業務につ

いて簡単に概要を説明

する/入手したい情報

を得るために質問する

/道案内をする。

社会生活の維持に

必要な受け答えが

何とかできる。

複雑な構文では頻繁に大きな

誤りがあり、簡単な構文でも

たまにある。日本語的発音と

遅いスピードのためわかりに

くいことがある。

主に自分自身と身

近な出来事に関す

る話題について何

とか話せる。

センテンスを使って

話せるが、単純な構

文が殆どである。

自分の業種や業務につ

いて簡単に概要を説明

する/入手したい情報

を得るために質問する

/道案内をする。

サバイバルに必要

な受け答えもかな

りできるが、暗記

した表現が多い。

簡単な構文でも大きな誤りが

時々ある。強い日本語的発音

と繰り返しや長い沈黙のため

母語話者にはわからないこと

がある。

主に自分自身と身

近な出来事に関す

る話題について話

せることが多い。

センテンスを使って

話すこともあるが、

句や未完のセンテン

スが多い。

簡単な自己紹介をする

/レストランで食事を

注文する/道に迷った

時に人に助けを求め

る。

暗記した表現が使

える。物事を列挙

することができ

る。

簡単な構文でも大きな誤りが

よくある。強い日本語的発音

と繰り返しや長い沈黙のため

母語話者にはわからないこと

が多い。

日常生活の話題に

ついて断片的に話

せる。

単語や句が中心で、

センテンスが混じ

る。

決り文句の挨拶を交わ

す/食べ物や身近なこ

とについての好みを表

す。

暗記した限られた

表現が使える。物

事を簡単に列挙す

ることができる。

大きな誤りが簡単な構文でも

頻繁にある。強い日本語的発

音と繰り返しや長い沈黙のた

め母語話者にはたいていわか

らない。

日常生活の話題に

ついて非常に断片

的に話せる。

語や句が殆どを占め

る。

挨拶されたら"Hello"や

"Hi"と返す/感謝を示

すために"Thank you"

と言うことができる。

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6

2 TSST受験者の英語スピーキング能力

ここからは、TSST 受験者データに見る日本人の英語スピーキング能力およびその変化を、受験者全

体、社会人、大学生、「その他」受験者の別に分析し、考察する。今回分析対象としたデータは、2004

年~2015 年の TSST 受験者のうち、TOEIC®テストのスコアが判明している 25,559 人の TSST レベ

ルおよび TOEIC®テストスコアである。スピーキング能力測定試験である TSST のレベルを、リスニ

ング・リーディングの2技能を測定する TOEIC®テストのスコアと対照させて分析することで、より

幅広い角度から日本人のスピーキング能力を考察できると考えた。なお、TOEIC®テストのスコアは

TSST 受験者の自己申告によるものであり、公開テスト、IP テストの結果が混在している。

2.1 TSSTレベル分布

下の図表では、今回の分析対象者である 25,559 人の TSST レベル分布を示した。レベル4を中心と

した正規分布のような形をしており、レベル5以下に 87.9%が属していることが分かる。前回調査時

にはレベル5以下が 87.8%であったので(2015年7月『アルク英語教育実態レポートVol.5』p.6(※))、

変化がないと言える。海外赴任や留学に出て何とかやっていけるのはレベル6以上である。今の日本

で英語を使う・話す状況にある社会人や学生は、その多くがかなり苦労しつつ英語で仕事や学業に取

り組んでいると考えられる。

過去5年間における受験者の TSST レベル分布および平均の推移を示したのが、次ページの表とグ

ラフである。レベル4が最も多く、年により若干の変動はあるものの、40%前後を占めている。また、

レベルの平均は 4.20 から 4.29 の間であることから、TSST 受験者の英語スピーキング能力はレベル4

に代表される、と言ってよいであろう。なお、レベル4は、「簡単なセンテンスを使って自分の業務の

概要などは説明できるが、仕事や学業で必要なやり取りはまだ難しい」ようなレベルである。

※http://www.alc.co.jp/company/report/pdf/alc_report_20150717.pdf

0.2%3.7%

22.7%

39.3%

22.0%

7.3%

2.9%1.2% 0.7%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

1 2 3 4 5 6 7 8 9

TSSTレベル分布

TSSTレベル 1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 平均人数 48 948 5,808 10,035 5,624 1,878 738 309 171 25,559割合 0.2% 3.7% 22.7% 39.3% 22.0% 7.3% 2.9% 1.2% 0.7% 100.0%

4.23

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7

過去5年間のレベル分布に何らかの変化があるのか分析しやすくするため、9段階で評価される

TSST のレベルを、実際に英語を話して仕事ができるかという観点から、「まだ基礎学習が必要なレベ

ル1~3」「実践的に英語を使う準備段階のレベル4~5」「自分の専門業務に関わることであれば(一

定の不自由はあっても)英語を話して仕事ができるレベル6~9」の3グループに分けてその推移を

示したのが以下のグラフである。

まだ基礎学習が必要なレベル1~3の割合が、2011 年の 28.6%から 2015 年には 23.5%へと、減少

傾向にある。前ページ上の「TSST レベル分布推移」の図表に立ち戻ってみると、レベル1、2の割合

にはほとんど変化がなく、実際に減少しているのはレベル3であることが分かる。「センテンスで話そ

うとして途中で止まってしまう」レベル3が減少し、「英語を使って業務や学業が行えるレベルの一歩

0.2%

0.0%

0.1%

0.1%

0.2%

3.5%

3.3%

3.2%

3.5%

3.1%

24.8%

23.0%

22.7%

20.1%

20.3%

38.2%

38.1%

37.7%

41.9%

40.2%

21.3%

21.5%

23.3%

22.5%

23.8%

7.2%

8.4%

7.9%

7.3%

7.9%

2.5%

3.6%

3.0%

2.6%

3.2%

1.5%

1.3%

1.3%

1.3%

0.9%

0.7%

0.8%

0.8%

0.8%

0.4%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

2011年

2012年

2013年

2014年

2015年

TSSTレベル分布推移

1 2 3 4 5 6 7 8 9

28.6%

26.3%

25.9%

23.7%

23.5%

59.5%

59.6%

61.0%

64.3%

64.0%

11.9%

14.1%

13.1%

11.9%

12.6%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

2011年

2012年

2013年

2014年

2015年

TSSTレベルグループ分布推移

1~3 4~5 6~9

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 平均

人数 7 100 699 1,076 600 203 70 41 21 2,817割合 0.2% 3.5% 24.8% 38.2% 21.3% 7.2% 2.5% 1.5% 0.7% 100.0%人数 0 110 772 1,278 722 281 121 42 28 3,354割合 0.0% 3.3% 23.0% 38.1% 21.5% 8.4% 3.6% 1.3% 0.8% 100.0%人数 3 144 1,028 1,709 1,053 358 138 58 38 4,529割合 0.1% 3.2% 22.7% 37.7% 23.3% 7.9% 3.0% 1.3% 0.8% 100.0%人数 2 140 794 1,652 887 287 102 51 31 3,946割合 0.1% 3.5% 20.1% 41.9% 22.5% 7.3% 2.6% 1.3% 0.8% 100.0%人数 5 98 647 1,284 760 254 103 30 14 3,195割合 0.2% 3.1% 20.3% 40.2% 23.8% 7.9% 3.2% 0.9% 0.4% 100.0%

4.20

4.29

4.28

4.27

4.28

2014年

2015年

2011年

2012年

2013年

TSSTレベル分布・平均推移

4.20

4.29 4.28

4.27

4.28

4.14

4.16

4.18

4.20

4.22

4.24

4.26

4.28

4.30

2011年 2012年 2013年 2014年 2015年

TSSTレベル平均推移

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8

手前である」レベル4、5が増加するという変化が起こっているのかもしれない。ただし、TSST レベ

ル平均は 2012 年に 4.20 から 4.29 に上昇したが、その後は横ばいが続いており、レベル平均にはまだ

影響は出ていない。2016 年以降の変化に引き続き注目したい。

2.2 TOEIC®テストスコア分布

TSST のレベル分布は、TOEIC®テストスコアの分布と何らかの関係があるのだろうか。また、関係

の有無は何を意味するのだろうか。それを調べるため、以下に今回の分析対象者全体における TOEIC®

テストのスコア分布を示した。

TSST 受験者の特徴をつかみやすくするため、TOEIC®テスト実施団体である一般財団法人 国際ビ

ジネスコミュニケーション協会が公表している IP テスト受験者のスコア分布と比較しながら分析・考

察する。次ページに示した「2014 年度 TOEIC® IP テスト受験者のスコア分布」の表とグラフは、

『TOEIC®プログラム DATA & ANALYSIS 2014(※)』p.5 に掲載されたグラフの数値を用いて、当

研究所が独自に作成したものである。なお、TSST 受験者の TOEIC®テストスコアは、p.6 で前述した

とおり TSST 受験者の自己申告によるものであり、公開テスト、IP テストの結果が混在しているが、

今回の分析対象者はその 96.4%が企業・団体・大学を通じて受験しているため(p.17 参照)、ここで

は TOEIC®公開テストではなく、 IP テスト受験者のスコアと比較した。

※http://www.toeic.or.jp/library/toeic_data/toeic/pdf/data/DAA.pdf

TSST受験者のTOEICテストスコア分布

人数 割合

895~990 1,932 7.6%845~890 1,674 6.5%795~840 2,090 8.2%745~790 2,242 8.8%695~740 2,706 10.6%645~690 3,039 11.9%595~640 2,953 11.6%545~590 2,141 8.4%495~540 2,124 8.3%445~490 1,538 6.0%395~440 1,195 4.7%345~390 857 3.4%295~340 615 2.4%245~290 308 1.2%195~240 126 0.5%145~190 15 0.1%95~140 4 0.0%45~90 0 0.0%10~40 0 0.0%

計 25,559 100.0%

TSST受験者のTOEICテストスコア平均

650.35

7.6%

6.5%

8.2%

8.8%

10.6%

11.9%

11.6%

8.4%

8.3%

6.0%

4.7%

3.4%

2.4%

1.2%

0.5%

0.1%

0.0%

0.0%

0.0%

0% 5% 10% 15%

895~990

845~890

795~840

745~790

695~740

645~690

595~640

545~590

495~540

445~490

395~440

345~390

295~340

245~290

195~240

145~190

95~140

45~90

10~40

TSST受験者のTOEICテストスコア分布

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9

TSST 受験者の TOEIC®テストスコア分布は「595~640」と「645~690」がそれぞれ 11.6%、11.9%

を占め、最も多い(前ページのグラフ上でオレンジ色の線で囲んだ項目)。この2つのカテゴリーを含

む「595~640」以上のスコアを持つ TSST 受験者は過半数を超え、65.2%である。一方で、TOEIC®

実施団体が発表している 2014 年度 TOEIC® IP テスト受験者の TOEIC®スコア分布では、「345~390」

と「395~440」がそれぞれ 12.2%、11.5%を占め、最も多いスコアのレンジとなっている(上記のグ

ラフ上で緑色の線で囲んだ項目)。「595~640」以上のスコアを持つ受験者は 21.9%であり、TSST 受

験者のスコア分布と比較すると、43.3 ポイント少ない。また、スコア平均を比較しても、TSST 受験

者は 650.35、TOEIC® IP テスト受験者は 461(小数点以下不明)であり、200 点近い開きがある。こ

れらの結果から、TOEIC®テストスコア保持者のうち、比較的高スコアの人が TSST を受験し、スピ

ーキング能力を測定していると言える。

なお、ここに示した「TSST 受験者の TOEIC®テストスコア分布」では 2004~2015 年における分析

対象者のデータを用い、「2014 年度 TOEIC IP テストの TOEIC スコア分布」は 2014 年4月~2015

年3月の1カ年の受験者データを用いているという違いがあるが、TSST 受験者の 2014 年の TOEIC®

テストスコア分布と比較した場合も、上記の傾向に差は見られなかった。

TSST 受験者の TOEIC®テストスコアの分布に、年による変動はあるだろうか。(一財)国際ビジネ

スコミュニケーション協会は、TOEIC®テストのスコアで測定できるコミュニケーション能力レベル

(以下本レポート内では、「TOEIC®テストレベル」と記す)を、220、470、730、860 のスコアを境

にして A~E レベルまで5段階で示している。ここでは傾向を分析しやすくするため、TSST 受験者の

TOEIC®テストスコアを A~E までのレベルに従って分類し、その年次推移を次ページのグラフに示す。

また、合わせて TSST 受験者の TOEIC®テストスコア平均の推移も示した。

1.3%

1.4%

2.0%

2.7%

3.6%

4.8%

6.1%

7.5%

8.9%

10.4%

11.5%

12.2%

11.3%

9.0%

5.7%

1.6%

0.1%

0.0%

0.0%

0% 5% 10% 15%

895~990

845~890

795~840

745~790

695~740

645~690

595~640

545~590

495~540

445~490

395~440

345~390

295~340

245~290

195~240

145~190

95~140

45~90

10~40

2014年度 TOEIC IPテスト受験者の

スコア分布

小数点以下は不明

2014年度TOEIC IPテスト受験者

のスコア分布人数 割合

895~990 16,214 1.3%845~890 17,893 1.4%795~840 25,562 2.0%745~790 34,674 2.7%695~740 46,550 3.6%645~690 61,410 4.8%595~640 78,030 6.1%545~590 96,376 7.5%495~540 114,812 8.9%445~490 133,498 10.4%395~440 148,344 11.5%345~390 157,265 12.2%295~340 144,946 11.3%245~290 116,078 9.0%195~240 74,013 5.7%145~190 20,611 1.6%95~140 732 0.1%45~90 263 0.0%10~40 185 0.0%

計 1,287,456 100.0%

2014年度TOEIC IPテスト受験者

のスコア平均461

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10

(出典:『TOEIC®プログラム DATA & ANALYSIS 2014』p.23 (一財)国際ビジネスコミュニケーション協会)

TSST 受験者における TOEIC®テストレベル分布の推移を見ると、一貫してレベル C(470~730)

が最も多く、50%前後を占めている。レベル E(10~220)はほとんど存在しないのも一貫した傾向

である。しかし、その他のレベルに着目すると変化が見える。2012 年には、レベル D(220~470)が

前年の 15.1%から 9.0%に減る一方、レベル B(730~860)とレベル A(860~990)がそれぞれ 21.3%

から 28.4%、9.2%から 14.3%へ増加した。その後、2012 年から 2015 年にかけては反対に、レベル

D(220~470)が徐々に増加し(2012 年 9.0%、2013 年 11.1%、2014 年 14.1%、2015 年 14.2%)、

レベル B(730~860)とレベル A(860~990)は減少傾向にある(レベル B は 2012 年 28.4%、2013

年 24.4%、2014 年 22.6%、2015 年 21.9%、レベル A は 2012 年 14.3%、2013 年 15.3%、2014 年

15.1%、2015 年 12.9%)。これと呼応して、平均スコアも 2012 年に 640.90 から 686.48 へ上昇した

後、2015 年にかけて 654.30 まで下降している。

p.7 では、TSST において 2012 年以降レベル1~3が減少傾向にあると指摘したが、TOEIC®テス

トスコアは、レベル分布はテストレベル D が増加し、平均も下降傾向にある。このことから、TSST

受験者における英語スピーキング力は横ばい、または徐々に高まる傾向があるが、リスニング・リー

ディング力は必ずしもそれと比例せず、どちらかと言えば下降している、と言えそうである。

レベル TOEICスコア 評価A 860~990 Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができるB 730~860 どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えているC 470~730 日常生活のニーズを充足し、限定された範囲内では業務上のコミュニケーションができるD 220~470 通常会話で最低限のコミュニケーションができるE 10~220 コミュニケーションができるまでに至っていない

0.1%

0.1%

0.3%

0.2%

0.4%

15.1%

9.0%

11.1%

14.1%

14.2%

54.4%

48.2%

48.9%

47.9%

50.6%

21.3%

28.4%

24.4%

22.6%

21.9%

9.2%

14.3%

15.3%

15.1%

12.9%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

2011年

2012年

2013年

2014年

2015年

TSST受験者のTOEICテストレベル分布推移

E(10~220) D(220~470) C(470~730) B(730~860) A(860~990)

E(10~220)

D(220~470)

C(470~730)

B(730~860)

A(860~990)

計 平均

人数 3 424 1,532 600 258 2,817割合 0.1% 15.1% 54.4% 21.3% 9.2% 100.0%人数 5 301 1,618 951 479 3,354割合 0.1% 9.0% 48.2% 28.4% 14.3% 100.0%人数 13 501 2,215 1,107 693 4,529割合 0.3% 11.1% 48.9% 24.4% 15.3% 100.0%人数 9 557 1,891 893 596 3,946割合 0.2% 14.1% 47.9% 22.6% 15.1% 100.0%人数 12 453 1,618 701 411 3,195割合 0.4% 14.2% 50.6% 21.9% 12.9% 100.0%

640.90

686.48

675.45

663.20

654.302015年

TSST受験者のTOEICテストレベル分布・スコア平均推移

2011年

2012年

2013年

2014年

640.90

686.48

675.45

663.20 654.30

610

620

630

640

650

660

670

680

690

2011年 2012年 2013年 2014年 2015年

TSST受験者のTOEIC

テストスコア平均推移

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11

2.3 TSSTレベルと TOEIC®テストスコアの関係

次に、TSST レベルと TOEIC®テストスコアがどのような関係になっているのか詳しく見ていきた

い。分析対象者 25,559 人における TSST レベルと TOEIC®テストスコアの相関係数を算出すると 0.69

で、「中程度の」相関があることが分かる。以下には 2011 年から 2015 年までの相関係数の推移を示

しているが、いずれも 0.65~0.71 の間に収まり、年による大幅な変動はないことが分かる。

TSST レベルと TOEIC®テストスコアの関係を表す散布図を以下に示した。前回の TSST 調査レポ

ートでも指摘しているが(2015 年7月『アルク英語教育実態レポート Vol.5』p.5)、TSST で測定され

るスピーキング能力と、TOEIC®で測定したリスニング・リーディング能力のバランスの度合いは個人

によるばらつきが大きいことが分かる。例えば、TOEIC®は高スコアだが TSST は低い、つまり、リ

スニング・リーディングはそれなりにできるが、スピーキングはできない、といった人が存在するの

である。そのため、「バランスよく英語能力を判断するためには、2つ以上の評価軸が必要」という点

も、上記レポートで既に指摘した通りである。

今回はここから一歩進んで、TSST レベル、TOEIC®テストレベル別に相関の程度を詳しく分析して

みたい。スピーキング力の高い人・低い人、リスニング・リーディング力の高い人・低い人がそれぞ

れどのような特徴を持っているのかをあぶり出すことがその目的である。

y = 94.721x + 249.83R² = 0.4701

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1000

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9

TOEICスコア

TSSTレベル

TSSTレベルとTOEICテストスコアの関係

r = 0.69N = 25,559

2011年 0.682012年 0.652013年 0.672014年 0.692015年 0.71

TSSTレベルとTOEICテストスコアの相関係数推移

0.68 0.65 0.67 0.69 0.71

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

2011年 2012年 2013年 2014年 2015年

TSSTレベルとTOEICテストスコアの相関係数推移

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12

まず、スピーキング力から見たリスニング・リーディング力の分布はどうなっているだろうか。以

下に、TSST のレベル別に TOEIC®テストレベルの分布を図表で示す。

TSST受験者の TSSTレベル別 TOEIC®テストレベル分布

0.1% 0.4%

15.1%

42.1% 42.3%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

E(10~

220)

D(220~

470)

C(470~

730)

B(730~

860)

A(860~

990)

TSSTレベル6

0.0% 1.2%

41.9% 39.9%

16.9%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

E(10~

220)

D(220~

470)

C(470~

730)

B(730~

860)

A(860~

990)

TSSTレベル5

0.0%

8.4%

66.9%

21.3%

3.4%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

E(10~

220)

D(220~

470)

C(470~

730)

B(730~

860)

A(860~

990)

TSSTレベル4

0.3%

36.5%

57.1%

5.6%0.5%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

E(10~

220)

D(220~

470)

C(470~

730)

B(730~

860)

A(860~

990)

TSSTレベル3

4.9%

74.5%

19.7%

0.8% 0.1%0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

E(10~

220)

D(220~

470)

C(470~

730)

B(730~

860)

A(860~

990)

TSSTレベル2

10.4%

62.5%

20.8%

4.2% 2.1%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

E(10~

220)

D(220~

470)

C(470~

730)

B(730~

860)

A(860~

990)

TSSTレベル1

E(10~220)

D(220~470)

C(470~730)

B(730~860)

A(860~990)

計 平均標本標準偏差

人数 5 30 10 2 1 48割合 10.4% 62.5% 20.8% 4.2% 2.1% 100.0%人数 46 706 187 8 1 948割合 4.9% 74.5% 19.7% 0.8% 0.1% 100.0%人数 17 2,120 3,314 326 31 5,808割合 0.3% 36.5% 57.1% 5.6% 0.5% 100.0%人数 2 843 6,711 2,138 341 10,035割合 0.0% 8.4% 66.9% 21.3% 3.4% 100.0%人数 1 66 2,359 2,246 952 5,624割合 0.0% 1.2% 41.9% 39.9% 16.9% 100.0%人数 1 8 283 791 795 1,878割合 0.1% 0.4% 15.1% 42.1% 42.3% 100.0%人数 0 0 49 193 496 738割合 0.0% 0.0% 6.6% 26.2% 67.2% 100.0%人数 0 0 3 43 263 309割合 0.0% 0.0% 1.0% 13.9% 85.1% 100.0%人数 0 0 1 6 164 171割合 0.0% 0.0% 0.6% 3.5% 95.9% 100.0%人数 72 3,773 12,917 5,753 3,044 25,559割合 0.3% 14.8% 50.5% 22.5% 11.9% 100.0%

TSST受験者のTSSTレベル別TOEICテストレベル分布

レベル1 392.60 170.48

レベル2 377.71 119.77

レベル3 517.03 131.83

レベル4 641.42 121.86

レベル5 741.22 114.13

レベル6 823.30 101.97

レベル7 874.38 88.08

レベル8 916.64 59.64

レベル9 950.28 46.13

計 ―

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13

TSST受験者の TSSTレベル別 TOEIC®テストレベル分布(続き)

それぞれの分布の山を見ていくと、TSST レベル1、2では TOEIC®テストレベル D(220~470)

の割合がそれぞれ 62.5%、74.5%で最も多く、TSST レベル3、4では TOEIC®テストレベル C(470

~730)の割合がそれぞれ 57.1%、66.9%で分布の頂点となっている。TSST レベル5では TOEIC®

テストレベル C(470~730)の割合が 41.9%、テストレベル B(730~860)が 39.9%で拮抗し、TSST

レベル6では TOEIC®テストレベル B(730~860)の割合が 42.1%で、テストレベル A(860~990)

の 42.3%と拮抗している。TSST レベル7以降は TOEIC®テストレベル A(860~990)の割合が最も

多くなっている。以上のように、TSST レベル5、6で分布の山が2つの TOEIC®テストレベルにま

たがっているものの、TSST が2レベル上昇するにつれて、TOEIC®テストレベルの山が概ね1レベル

右にずれていることが見てとれる。また、TOEIC®テストスコア平均も、レベル2以降、その上昇幅は

レベルが上がるにつれて狭くなるものの、TSST レベルが上がるにつれて上昇している。このことから、

スピーキングが苦手な人はリスニング・リーディング力も低く、スピーキングが得意な人はリスニン

グ・リーディング力も高い傾向があると言える。

一方で、リスニング・リーディング力の面からスピーキング力を見た場合はどうだろうか。次ペー

ジの図表では、TOEIC®テストレベル別に TSST のレベル分布および平均と標本標準偏差を示した。

0.0% 0.0% 0.6% 3.5%

95.9%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

E(10~

220)

D(220~

470)

C(470~

730)

B(730~

860)

A(860~

990)

TSSTレベル9

0.0% 0.0% 1.0%

13.9%

85.1%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

E(10~

220)

D(220~

470)

C(470~

730)

B(730~

860)

A(860~

990)

TSSTレベル8

0.0% 0.0%6.6%

26.2%

67.2%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

E(10~

220)

D(220~

470)

C(470~

730)

B(730~

860)

A(860~

990)

TSSTレベル7

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14

TSST受験者の TOEIC®テストレベル別 TSSTレベル分布

TSST レベルの平均値は、TOEIC®テストレベル E から B までは、テストレベルが1つ上がるにつ

れてほぼ 0.8 ずつ上昇している。例えば TOEIC®スコアがレベル E(10~220)の受験者の TSST レベ

ル平均は 2.32 であるが、レベル D(220~470)になると TSST レベル平均は 3.06 に上昇する。レベ

ル A(860~990)のみ、レベル B からの上昇幅が大きく、1.19 である。このように、TSST レベル平

均の推移からは、TOEIC®テストレベルが上がると TSST レベルも上昇していることが分かる。

6.9%

63.9%

23.6%

2.8% 1.4% 1.4% 0.0% 0.0% 0.0%0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

1 2 3 4 5 6 7 8 9

TOEICテストレベルE(10~220)

0.8%

18.7%

56.2%

22.3%

1.7% 0.2% 0.0% 0.0% 0.0%0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

1 2 3 4 5 6 7 8 9

TOEICテストレベルD(220~470)

0.1% 1.4%

25.7%

52.0%

18.3%

2.2% 0.4% 0.0% 0.0%0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

1 2 3 4 5 6 7 8 9

TOEICテストレベルC(470~730)

0.0% 0.1%

5.7%

37.2% 39.0%

13.7%

3.4%0.7% 0.1%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

1 2 3 4 5 6 7 8 9

TOEICテストレベルB(730~860)

0.0% 0.0% 1.0%

11.2%

31.3%

26.1%

16.3%

8.6%5.4%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

1 2 3 4 5 6 7 8 9

TOEICテストレベルA(860~990)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 平均標本標準偏差

人数 5 46 17 2 1 1 0 0 0 72割合 6.9% 63.9% 23.6% 2.8% 1.4% 1.4% 0.0% 0.0% 0.0% 100.0%人数 30 706 2,120 843 66 8 0 0 0 3,773割合 0.8% 18.7% 56.2% 22.3% 1.7% 0.2% 0.0% 0.0% 0.0% 100.0%人数 10 187 3,314 6,711 2,359 283 49 3 1 12,917割合 0.1% 1.4% 25.7% 52.0% 18.3% 2.2% 0.4% 0.0% 0.0% 100.0%人数 2 8 326 2,138 2,246 791 193 43 6 5,753割合 0.0% 0.1% 5.7% 37.2% 39.0% 13.7% 3.4% 0.7% 0.1% 100.0%人数 1 1 31 341 952 795 496 263 164 3,044割合 0.0% 0.0% 1.0% 11.2% 31.3% 26.1% 16.3% 8.6% 5.4% 100.0%人数 48 948 5,808 10,035 5,624 1,878 738 309 171 25,559割合 0.2% 3.7% 22.7% 39.3% 22.0% 7.3% 2.9% 1.2% 0.7% 100.0%

4.74 0.95

5.93

TSST受験者のTOEICテストレベル別TSSTレベル分布

E(10~220)

D(220~470)

C(470~730)

B(730~860)

A(860~990)

2.32 0.82

3.06 0.73

3.95 0.79

1.36

― ―計

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15

しかし各 TOEIC®テストレベルごとの TSST レベル分布を詳しく見ると状況はやや異なる。TSST

レベルの分布の山は、赤い線で囲んで示した通り、TOEIC®テストレベル E(10~220)からレベル C

(470~730)まで1レベルずつ右にずれていくが、レベル B(730~860)では TSST レベル5(39.0%)

に隣接するレベル4の割合(37.2%)が拮抗し、レベル A(860~990)に至っては、レベル B と同じ

TSST レベル5(31.3%)を頂点として、隣接するレベル6(26.1%)が拮抗している。このように、

TSST レベルの平均は TOEIC®テストレベルに比例して上昇するものの、TSST レベルの分散は、

TOEIC®テストレベルが上がると大きくなる傾向にある。これは、前ページの表で示したように、

TOEIC®テストレベル B、A における TSST レベルの標本標準偏差がそれぞれ 0.95、1.36 と、TOEIC®

テストレベル E~C の 0.82、0.73、0.79 に比べて大きいことからも裏づけられる。TSST で測定して

いるスピーキング能力と TOEIC®テストで測定しているリスニング・リーディング能力とは、一定の

相関はあるものの、その相関は TOEIC®スコアが低いうちは強いが、高スコア帯では弱くなる、とい

うことではないだろうか。つまり、リスニング・リーディングが不得手な人はスピーキングも苦手な

傾向にあるが、リスニング・リーディングが得意な人はスピーキング能力が必ずしも高いとは限らな

いと言える。なお、ここでは TOEIC®テストレベルごとに分析したが、TOEIC®テストのスコアを 100

点刻みで分類して分析した場合でも、TOEIC®テストの高スコア層で TSST レベルの分散が大きくな

るという傾向は変わらなかった。

2.4 英語を使って業務を遂行するために必要な学習

スピーキング力が高い人・低い人、リスニング・リーディング力が高い人・低い人が英語を使って

業務や学業を遂行するためには、どのような点に注意して英語を学習すべきだろうか。TSST の評価基

準(p.5)では、「大きな支障なく英語を使って業務・学業が行える」のは TSST レベル6以上である。

TOEIC®テストレベルの観点からは、TOEIC®テストレベル B 以上、TOEIC®テストスコアでは 730 点

以上において「どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えて」おり、「業務上も大

きな支障はない」とされている(『TOEIC®プログラム DATA & ANALYSIS 2014』p.23)。TOEIC®

テストでは学業を行うための英語力については言及されていないため、ここでは英語を使って業務を

遂行することに絞って言えば TSST ではレベル6、TOEIC®テストスコアでは 730 点以上を目指す必

要があると仮定し、TSST レベル6以上と未満、TOEIC®テストスコア 730 点以上と未満との関係を図

表で示しながら、学習上の留意点を考察する。

これまでに、スピーキングが苦手な人はリスニング・リーディング力も低く、スピーキングが得意

な人はリスニング・リーディング力も高い傾向があると判明した。次ページの図表で示すように、TSST

レベル5以下の TSST 受験者はその 73.1%が TOEIC®テストスコア 730 点未満で、業務を支障なく遂

行するためのリスニング・リーディング力が不足している人が多い。スピーキングが苦手な人の多く

は、リスニング・リーディング力も向上させる必要がある。一方、TSST レベル6以上の TSST 受験

者は、その 88.9%が TOEIC®テストスコア 730 点以上を取得しており、リスニング・リーディング力

の面でも業務を行うことに大きな支障がない人が多い。スピーキングが得意な人の多くは、業務や学

業の場で積極的に英語を使い、実践を積むことで、より確かな英語運用能力を養うことができるだろ

う。

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16

リスニング・リーディング力に関しては、以下に示すように、リスニング・リーディングが苦手

(TOEIC®テストスコアが 730 点未満)な人は、97.9%がスピーキングも苦手(TSST レベルが5以下)

であるが、リスニング・リーディングが得意(TOEIC®テストスコアが 730 点以上)な人であっても、

その 68.7%がスピーキングは苦手(TSST レベルが5以下)であると判明した。つまり、リスニング・

リーディング力が低い人のほとんどはリスニング・リーディングに加えてスピーキングの技能を同時

にアップさせる必要があるが、リスニング・リーディング力が高い人(TOEIC®テストスコア 730 点

以上)であっても、約7割の人は、英語を使って業務や学業を行うにはスピーキング力の面で不足し

ているため、英語で業務や学業を行う必要性に迫られた場合には、まずスピーキングテスト等でスピ

ーキング力を見極め、足りない場合は必要に応じて補強することが望ましいと言える。しかし逆に考

えれば、すでに相当のリスニング・リーディング力を持っているので、それをベースにスピーキング

力を高めることができるというメリットもあるのである。

73.1%

26.9%

TSST【レベル5以下】のTSST受験者の

リスニング・リーディング力

TOEICテストスコア730点未満

(=リスニング・リーディングで限

定された範囲内では業務上のコ

ミュニケーションができる)

TOEICテストスコア730点以上

(=リスニング・リーディングで業

務上大きな支障はない)

11.1%

88.9%

TSST【レベル6以上】のTSST受験者の

リスニング・リーディング力

TOEICテストスコア730点未満

(=リスニング・リーディングで

限定された範囲内では業務上

のコミュニケーションができる)

TOEICテストスコア730点以上

(=リスニング・リーディングで

業務上大きな支障はない)

68.7%

31.3%

TOEICテストスコア【730点以上】の

TSST受験者のスピーキング力

TSSTレベル5以下

(=スピーキング力の面で英語

を使った業務の遂行は難しい)

TSSTレベル6以上

(=スピーキング力の面で英語

を使って業務が遂行できる)97.9%

2.1%

TOEICテストスコア【730点未満】の

TSST受験者のスピーキング力

TSSTレベル5以下

(=スピーキング力の面で英語

を使った業務の遂行は難しい)

TSSTレベル6以上

(=スピーキング力の面で英語

を使って業務が遂行できる)

TOEICテストスコア【730点未満】のTSST受験者のスピーキング力

人数 割合

TSSTレベル5以下(=スピーキング力の面で英語を使った業務

の遂行は難しい)16,417 97.9%

TSSTレベル6以上(=スピーキング力の面で英語を使って業務

が遂行できる)345 2.1%

計 16,762 100.0%

TOEICテストスコア【730点以上】のTSST受験者のスピーキング力

人数 割合

TSSTレベル5以下(=スピーキング力の面で英語を使った業務

の遂行は難しい)6,046 68.7%

TSSTレベル6以上(=スピーキング力の面で英語を使って業務

が遂行できる)2,751 31.3%

計 8,797 100.0%

TSST【レベル5以下】のTSST受験者のリスニング・リーディング力

人数 割合

TOEICテストスコア730点未満(=リスニング・リーディングで限定された範囲内では業務上のコミュニケーションができる)

16,417 73.1%

TOEICテストスコア730点以上(=リスニング・リーディングで業務上大きな支

障はない)6,046 26.9%

計 22,463 100.0%

TSST【レベル6以上】のTSST受験者のリスニング・リーディング力

人数 割合

TOEICテストスコア730点未満(=リスニング・リーディングで限定された範囲内では業務上のコミュニケーションができる)

345 11.1%

TOEICテストスコア730点以上(=リスニング・リーディングで業務上大きな支

障はない)2,751 88.9%

計 3,096 100.0%

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17

3 社会人受験者の英語スピーキング能力

3.1 社会人受験者の TSSTレベル分布

この章では分析対象者内の社会人受験者22,716人の英語スピーキング能力について分析する。まず、

TSST 受験者に占める社会人受験者の割合を確認しておきたい。以下のグラフは、今回の分析対象者の

うち、企業や団体を通じて受験した「企業受験者」、大学を通じて受験した「大学受験者」、主に個人

で申し込んで受験した「その他受験者」の割合と、過去5年間における推移を示している。「大学」「そ

の他」受験者は合わせて 11.1%で、88.9%を「企業受験者」(ここでは分かりやすさの観点から「社会

人受験者」と呼ぶ)が占めている。

社会人受験者の TSST レベル分布とレベル平均を次ページの図表に示す。レベル分布は、レベル4

が 39.2%と最も多く、レベル5以下が 88.6%を占めている。TSST 受験者の約9割が社会人受験者で

あることを反映して、分析対象者全体の分布とほぼ同じ結果となっている。

レベル分布およびレベル平均の年次ごとの推移を見るため、これらをまとめた図表を次ページに示

す。レベル分布については、分析対象者全体と同様、傾向を分析しやすくするため、レベルグループ

ごとにまとめたグラフも合わせて示す。これらの図表からは、分析対象者全体と同じく、「センテンス

で話そうとして途中で止まってしまう」レベル3が減少し、「英語を使って業務や学業が行えるレベル

の一歩手前である」レベル4、5が増加するという変化が起こっているように見える。

なお、社会人受験者のレベル平均は 4.20 で、今回の分析対象者全体と比べると 0.03 ポイント低い。

平均の推移については、2012 年に一旦上昇し、その後停滞しているという傾向は同じだが、2012 年

以外の平均値は分析対象者全体よりも 0.3~0.4 ポイント低くなっている。

人数 22,716割合 88.9%人数 1,917割合 7.5%人数 926割合 3.6%人数 25,559割合 100%

企業

大学

その他

区分別TSST受験者数 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年

人数 2,605 2,984 3,961 3,558 2,817割合 92.5% 89.0% 87.5% 90.2% 88.2%人数 143 269 384 203 246割合 5.1% 8.0% 8.5% 5.1% 7.7%人数 69 101 184 185 132割合 2.4% 3.0% 4.1% 4.7% 4.1%人数 2,817 3,354 4,529 3,946 3,195割合 100% 100% 100% 100% 100%

区分別TSST受験者数推移

企業

大学

その他

企業

88.9%

大学

7.5%

その他

3.6%

区分別TSST受験者数

92.5%

89.0%

87.5%

90.2%

88.2%

5.1%

8.0%

8.5%

5.1%

7.7%

2.4%

3.0%

4.1%

4.7%

4.1%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

2011年

2012年

2013年

2014年

2015年

区分別TSST受験者数推移

企業 大学 その他

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18

0.3%

0.0%

0.1%

0.1%

0.2%

3.8%

3.4%

3.5%

3.8%

3.5%

25.1%

22.8%

23.6%

20.7%

20.8%

38.5%

38.3%

37.2%

42.1%

40.7%

21.2%

21.6%

23.4%

22.2%

23.3%

6.9%

8.2%

7.6%

6.7%

7.3%

2.2%

3.5%

2.9%

2.5%

2.9%

1.4%

1.3%

1.2%

1.4%

0.9%

0.7%

0.9%

0.7%

0.8%

0.4%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

2011年

2012年

2013年

2014年

2015年

社会人受験者のTSSTレベル分布推移

1 2 3 4 5 6 7 8 9

29.1%

26.2%

27.1%

24.5%

24.5%

59.7%

60.0%

60.5%

64.2%

64.0%

11.2%

13.8%

12.4%

11.3%

11.5%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

2011年

2012年

2013年

2014年

2015年

社会人受験者のTSSTレベルグループ分布推移

1~3 4~5 6~9

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 平均

人数 7 99 653 1,003 551 179 57 37 19 2,605割合 0.3% 3.8% 25.1% 38.5% 21.2% 6.9% 2.2% 1.4% 0.7% 100.0%人数 0 101 680 1,144 646 246 103 38 26 2,984割合 0.0% 3.4% 22.8% 38.3% 21.6% 8.2% 3.5% 1.3% 0.9% 100.0%人数 3 137 933 1,473 925 303 113 46 28 3,961割合 0.1% 3.5% 23.6% 37.2% 23.4% 7.6% 2.9% 1.2% 0.7% 100.0%人数 2 134 735 1,497 789 237 88 49 27 3,558割合 0.1% 3.8% 20.7% 42.1% 22.2% 6.7% 2.5% 1.4% 0.8% 100.0%人数 5 98 586 1,146 657 207 82 25 11 2,817割合 0.2% 3.5% 20.8% 40.7% 23.3% 7.3% 2.9% 0.9% 0.4% 100.0%

4.17

4.28

4.25

4.24

4.242015年

社会人受験者のTSSTレベル分布・平均推移

2011年

2012年

2013年

2014年

4.17

4.28

4.25 4.24 4.24

4.10

4.15

4.20

4.25

4.30

2011年 2012年 2013年 2014年 2015年

社会人受験者の

TSSTレベル平均推移

0.2%4.1%

23.2%

39.2%

21.9%

7.0%

2.7% 1.2% 0.6%0%

10%

20%

30%

40%

50%

1 2 3 4 5 6 7 8 9

社会人受験者のTSSTレベル分布

TSSTレベル 1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 平均人数 48 920 5,269 8,898 4,980 1,588 608 265 140 22,716割合 0.2% 4.1% 23.2% 39.2% 21.9% 7.0% 2.7% 1.2% 0.6% 100.0%

4.20

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19

社会人受験者の TOEIC®テストスコアの分布、推移を以下に示す。分析対象者全体とほぼ同様の傾向

が見られ、割合や平均値にも大きな隔たりはなかった。

0.1%

0.1%

0.3%

0.3%

0.4%

15.6%

9.1%

12.0%

14.7%

15.3%

54.5%

47.3%

48.1%

47.8%

51.0%

20.9%

29.1%

24.6%

22.2%

20.8%

8.8%

14.4%

15.0%

15.0%

12.5%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

2011年

2012年

2013年

2014年

2015年

TSST社会人受験者のTOEICテストレベル分布推移

E(10~220) D(220~470) C(470~730) B(730~860) A(860~990)

E(10~220)

D(220~470)

C(470~730)

B(730~860)

A(860~990)

計 平均

人数 3 407 1,421 544 230 2,605割合 0.1% 15.6% 54.5% 20.9% 8.8% 100.0%人数 4 272 1,410 869 429 2,984割合 0.1% 9.1% 47.3% 29.1% 14.4% 100.0%人数 13 474 1,905 974 595 3,961割合 0.3% 12.0% 48.1% 24.6% 15.0% 100.0%人数 9 523 1,702 790 534 3,558割合 0.3% 14.7% 47.8% 22.2% 15.0% 100.0%人数 12 430 1,438 586 351 2,817割合 0.4% 15.3% 51.0% 20.8% 12.5% 100.0%

638.06

688.15

672.18

660.36

647.932015年

TSST社会人受験者のTOEICテストレベル分布・

スコア平均推移

2011年

2012年

2013年

2014年

TSST社会人受験者のTOEICテスト

スコア分布人数 割合

895~990 1,655 7.3%845~890 1,476 6.5%795~840 1,830 8.1%745~790 1,983 8.7%695~740 2,399 10.6%645~690 2,670 11.8%595~640 2,606 11.5%545~590 1,842 8.1%495~540 1,912 8.4%445~490 1,381 6.1%395~440 1,095 4.8%345~390 828 3.6%295~340 589 2.6%245~290 306 1.3%195~240 126 0.6%145~190 15 0.1%95~140 3 0.0%45~90 0 0.0%10~40 0 0.0%

計 22,716 100.0%

TSST社会人受験者のTOEICテスト

スコア平均646.55

7.3%

6.5%

8.1%

8.7%

10.6%

11.8%

11.5%

8.1%

8.4%

6.1%

4.8%

3.6%

2.6%

1.3%

0.6%

0.1%

0.0%

0.0%

0.0%

0% 2% 4% 6% 8% 10% 12% 14%

895~990

845~890

795~840

745~790

695~740

645~690

595~640

545~590

495~540

445~490

395~440

345~390

295~340

245~290

195~240

145~190

95~140

45~90

10~40

TSST社会人受験者のTOEICテストスコア分布

638.06

688.15

672.18 660.36

647.93

600

620

640

660

680

700

2011年 2012年 2013年 2014年 2015年

TSST社会人受験者のTOEIC

テストスコア平均推移

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20

3.2 業種別 TSSTレベル分布

ここからは、社会人受験者 22,716 人について、受験者の所属する企業を業種ごとにグループ化した

データを使い業種別にどのような特徴があるのかを見てみたい。社会人の分析対象者 22,716 人を業種

に分類すると、対象者が 100 人以上含まれる業種は 23 あった。それらの業種について TSST のレベ

ル分布と平均を、平均が高い順に示したのが以下の図表である。ここでは、傾向をつかみやすいよう

に、レベル分布は TSST レベル1~3、レベル4~5、レベル6~9の3グループに分類して示した。

TSST レベル平均は「その他」が 5.23 で最も高く、「海運業」の 5.20 がそれに続く。金融系の業種

である「その他金融」「銀行業」「保険業」においても、それぞれ 4.94、4.83、4.56 と、他業種に比べ

て平均が高いことが読み取れる。p.18 で見た通り、社会人受験者の TSST レベル平均は 4.20 であった

ので、上にオレンジの点線で示すように、「その他」から「建設業」(平均が 4.28)までが平均以上の

業種ということになる。

9.8%

4.5%

5.9%

10.0%

16.3%

14.5%

16.5%

19.1%

23.1%

16.6%

20.7%

32.9%

34.7%

29.1%

33.2%

29.5%

34.2%

33.7%

36.7%

46.3%

45.0%

53.6%

58.3%

53.3%

63.9%

65.3%

67.7%

67.4%

72.8%

72.1%

68.7%

64.1%

75.0%

69.8%

55.0%

53.6%

63.0%

57.7%

63.3%

57.4%

60.8%

57.8%

50.6%

52.4%

43.7%

37.8%

36.9%

31.6%

28.7%

22.3%

16.3%

12.8%

11.4%

12.2%

12.8%

8.4%

9.5%

12.1%

11.7%

7.9%

9.1%

7.2%

8.4%

5.5%

5.6%

3.0%

2.6%

2.7%

3.9%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%100%

その他

海運業

その他金融

銀行業

保険業

不動産

空運業

医薬品

食料品

繊維製品

建設業

その他サービス業

卸売業

電気機器

情報処理

化学

その他製品

通信業

輸送用機器

機械

精密機器

非鉄金属

鉄鋼

社会人受験者の業種別TSST

レベルグループ分布

1~3 4~5 6~9

1~3 4~5 6~9 計 平均

人数 104 565 391 1,060割合 9.8% 53.3% 36.9% 100.0%人数 23 326 161 510割合 4.5% 63.9% 31.6% 100.0%人数 6 66 29 101割合 5.9% 65.3% 28.7% 100.0%人数 192 1,297 428 1,917割合 10.0% 67.7% 22.3% 100.0%人数 204 845 205 1,254割合 16.3% 67.4% 16.3% 100.0%人数 50 251 44 345割合 14.5% 72.8% 12.8% 100.0%人数 55 240 38 333割合 16.5% 72.1% 11.4% 100.0%人数 139 501 89 729割合 19.1% 68.7% 12.2% 100.0%人数 121 335 67 523割合 23.1% 64.1% 12.8% 100.0%人数 131 592 66 789割合 16.6% 75.0% 8.4% 100.0%人数 83 280 38 401割合 20.7% 69.8% 9.5% 100.0%人数 598 1,000 219 1,817割合 32.9% 55.0% 12.1% 100.0%人数 83 128 28 239割合 34.7% 53.6% 11.7% 100.0%人数 653 1,415 178 2,246割合 29.1% 63.0% 7.9% 100.0%人数 132 229 36 397割合 33.2% 57.7% 9.1% 100.0%人数 882 1,890 216 2,988割合 29.5% 63.3% 7.2% 100.0%人数 236 396 58 690割合 34.2% 57.4% 8.4% 100.0%人数 202 365 33 600割合 33.7% 60.8% 5.5% 100.0%人数 1,123 1,769 170 3,062割合 36.7% 57.8% 5.6% 100.0%人数 323 353 21 697割合 46.3% 50.6% 3.0% 100.0%人数 485 564 28 1,077割合 45.0% 52.4% 2.6% 100.0%人数 260 212 13 485割合 53.6% 43.7% 2.7% 100.0%人数 105 68 7 180割合 58.3% 37.8% 3.9% 100.0%

保険業

不動産

空運業

医薬品

食料品

社会人受験者の業種別TSSTレベルグ

ループ分布・平均

その他

海運業

その他金融

銀行業

4.30

4.28

4.14

4.09

4.07

機械

精密機器

非鉄金属

鉄鋼

情報処理

化学

その他製品

通信業

輸送用機器

繊維製品

建設業

その他サービス業

卸売業

電気機器

3.87

3.61

3.51

3.47

4.01

5.23

5.20

4.94

4.83

4.56

4.49

4.38

4.35

4.31

4.01

4.00

3.96

3.96

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21

TSST レベル分布も、レベル平均と概ね呼応して、平均が高い業種はレベル6~9の割合が相対的に

多く、レベル1~3の割合が低い傾向があり、平均が低い業種はその逆の傾向が見られる。なお、「非

鉄工業」「鉄鋼」を除いた全業種で、レベル4~5の割合が 50%を超えており、これがほとんどの業

種での代表的なレベルグループと言える。

レベル6~9の割合が目立って高いのは、先にレベル平均でも上位を占めた「その他」(レベル6~

9の割合が 36.9%、以下同じ)、「海運業」(31.6%)、「その他金融」(28.7%)、「銀行業」(22.3%)、「保

険業」(16.3%)である。

一方で、TSST のレベル平均が最も低かった4業種「機械」「精密機器」「非鉄金属」「鉄鋼」(平均が

順に 3.87、3.61、3.51、3.47)は、レベル1~3の割合が特に多く、過半数に近いか、過半数を超え

ている(レベル1~3の割合が順に 46.3%、45.0%、53.6%、58.3%)。前回のレポートでも引用した、

当研究所が仕事で英語を使ったことのある人を対象に行ったインターネットによる調査(2015 年3月

『アルク英語教育実態レポート Vol. 3 -日本人の仕事現場における英語使用実態調査-』p.14(※))

では、「仕事で英語を使っていた当時の業種」を尋ねた質問に、42.4%が「製造業」と回答していた。

レベル1~3の割合が特に高い「機械」「精密機器」「非鉄金属」「鉄鋼」は、製造業に分類される業種

である。「機械」「精密機器」「非鉄金属」「鉄鋼」の人は、スピーキング能力が低くても(TSST がレベ

ル1~3でも)、仕事で英語を使わなければならない状況に遭遇することがあり、そのために TSST を

受験しているのかもしれない。

3.3 業種別 TOEIC®テストスコア分布

TOEIC®テストのスコア分布と平均については、業種別にどのような特徴があるのか、また、その特

徴は TSST レベル分布とどのような関係にあるのかを調べるため、過去に 100 人以上が TSST を受験

した 23 業種について、TOEIC®テストスコアの分布と平均を、平均が高い順に次ページに図表で示す。

TOEIC®テストスコア分布については傾向をつかみやすいように、TOEIC®テストレベル A~E の5レ

ベルに分類した。また、社会人受験者の TOEIC®テストスコア平均は、p.19 で示したように 645.55 で

あった。図表上のオレンジの点線は、この 645.55 を境にした平均の上位と下位を示している。

TOEIC®テストスコア平均は、高い順に「銀行業」(平均が 788.58、以下同じ)、「その他」(773.44)、

「その他金融」(746.78)、「海運業」(737.55)、「保険業」(728.63)と続く。「その他」、「海運業」、金

融系の3業種が上位を占める点は TSST のレベル平均と同じである。製造業4業種(「機械」「精密機

器」「鉄鋼」「非鉄金属」)が下位に来ているのも TSST と同様である。しかし細かく見ていくと、順序

の入れ替わりが起こっている業種もあることに気づく。特に「銀行業」は、TSST レベル平均では4位

であったが、TOEIC®テストスコア平均では1位となっている。TSST レベル分布で見ると「不自由さ

はあっても大きな支障なく英語を使って業務や学業を行える」レベル6以上は 22.3%しかいないが、

TOEIC®スコアの面からは「業務上も大きな支障はない」とされるレベル B 以上の人が 72.5%いるこ

とになり、このギャップは他の業種に比べて大きい。これは、「銀行業」の分析対象者には、英語を使

って大きな支障なく業務を行うに事足りるリスニング・リーディング力は持っているものの、実際に

英語を話して業務を行う場合には困難が伴う人が多い、ということを示している。

※http://www.alc.co.jp/company/report/pdf/alc_report_20150317.pdf

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22

3.4 業種別 過去3年間の推移

次に、業種別の TSST レベル、TOEIC®テストスコアの推移を過去3年間に絞って見ることにより、

直近でどのような変化が起こっているのかを分析したい。2013~2015 年を通じて年間 30 人以上のサ

ンプルが得られた 14 業種を今回の分析対象とした。各業種について、TSST レベルグループの分布と

レベル平均の推移、TOEIC®テストレベル分布とスコア平均の推移を、2013 年の TSST レベル平均が

高い順に示したのが p.23~24 に掲載した表である。

「海運業」「その他」「銀行業」「保険業」が TSST レベル平均で上位を占め、「化学」「電気機器」「機

械」「輸送用機器」などの製造業が下位に位置している点は、これまで見てきた傾向と同じである。ま

た TOEIC®テストスコア平均では、2013~2015 年すべての年において「銀行業」が最も高いが、TSST

レベル平均の順位と必ずしも比例しないのも、前に見た通りである。

0.0%

0.1%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.3%

0.0%

0.2%

0.0%

0.0%

0.0%

0.8%

0.3%

0.0%

0.1%

0.7%

0.4%

1.8%

0.6%

0.6%

1.7%

2.7%

0.0%

4.5%

5.9%

3.8%

2.0%

2.5%

14.6%

10.3%

11.5%

11.7%

8.1%

18.3%

20.4%

16.8%

26.8%

22.2%

23.5%

33.3%

37.9%

45.0%

60.6%

25.8%

33.3%

37.6%

37.6%

39.8%

52.2%

65.3%

67.6%

43.4%

50.5%

56.5%

54.5%

62.8%

55.5%

45.3%

57.2%

49.8%

58.8%

59.3%

56.5%

52.6%

48.9%

34.4%

41.0%

29.0%

38.6%

34.9%

30.9%

33.9%

29.7%

24.1%

20.6%

28.1%

23.3%

24.1%

23.7%

19.0%

27.2%

20.3%

18.0%

15.9%

13.7%

8.6%

6.5%

4.4%

3.5%

31.5%

34.9%

23.8%

22.9%

23.4%

10.1%

3.0%

5.8%

21.2%

11.1%

8.5%

9.7%

5.4%

7.2%

6.3%

5.4%

5.4%

2.9%

2.7%

1.1%

1.3%

1.1%

0.8%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

銀行業

その他

その他金融

海運業

保険業

不動産

建設業

繊維製品

その他サービス業

食料品

電気機器

医薬品

空運業

通信業

情報処理

化学

卸売業

その他製品

輸送用機器

機械

精密機器

鉄鋼

非鉄金属

TSST社会人受験者の業種別TOEICテスト

レベル分布

E

(10~220)

D

(220~470)

C

(470~730)

B

(730~860)

A

(860~990)

E(10~220)

D(220~470)

C(470~730)

B(730~860)

A(860~990)

計 平均

人数 0 33 494 786 604 1,917割合 0.0% 1.7% 25.8% 41.0% 31.5% 100.0%人数 1 29 353 307 370 1,060割合 0.1% 2.7% 33.3% 29.0% 34.9% 100.0%人数 0 0 38 39 24 101割合 0.0% 0.0% 37.6% 38.6% 23.8% 100.0%人数 0 23 192 178 117 510割合 0.0% 4.5% 37.6% 34.9% 22.9% 100.0%人数 0 74 499 387 294 1,254割合 0.0% 5.9% 39.8% 30.9% 23.4% 100.0%人数 0 13 180 117 35 345割合 0.0% 3.8% 52.2% 33.9% 10.1% 100.0%人数 0 8 262 119 12 401割合 0.0% 2.0% 65.3% 29.7% 3.0% 100.0%人数 0 20 533 190 46 789割合 0.0% 2.5% 67.6% 24.1% 5.8% 100.0%人数 5 265 788 374 385 1,817割合 0.3% 14.6% 43.4% 20.6% 21.2% 100.0%人数 0 54 264 147 58 523割合 0.0% 10.3% 50.5% 28.1% 11.1% 100.0%人数 4 259 1,268 524 191 2,246割合 0.2% 11.5% 56.5% 23.3% 8.5% 100.0%人数 0 85 397 176 71 729割合 0.0% 11.7% 54.5% 24.1% 9.7% 100.0%人数 0 27 209 79 18 333割合 0.0% 8.1% 62.8% 23.7% 5.4% 100.0%人数 0 110 333 114 43 600割合 0.0% 18.3% 55.5% 19.0% 7.2% 100.0%人数 3 81 180 108 25 397割合 0.8% 20.4% 45.3% 27.2% 6.3% 100.0%人数 9 502 1,709 606 162 2,988割合 0.3% 16.8% 57.2% 20.3% 5.4% 100.0%人数 0 64 119 43 13 239割合 0.0% 26.8% 49.8% 18.0% 5.4% 100.0%人数 1 153 406 110 20 690割合 0.1% 22.2% 58.8% 15.9% 2.9% 100.0%人数 22 720 1,817 420 83 3,062割合 0.7% 23.5% 59.3% 13.7% 2.7% 100.0%人数 3 232 394 60 8 697割合 0.4% 33.3% 56.5% 8.6% 1.1% 100.0%人数 19 408 566 70 14 1,077割合 1.8% 37.9% 52.6% 6.5% 1.3% 100.0%人数 1 81 88 8 2 180割合 0.6% 45.0% 48.9% 4.4% 1.1% 100.0%人数 3 294 167 17 4 485割合 0.6% 60.6% 34.4% 3.5% 0.8% 100.0%

社会人受験者の業種別TOEICテストレベル分布

銀行業

その他

その他サービス業

食料品

電気機器

不動産

建設業

繊維製品

その他金融

海運業

保険業

668.38

657.86

653.17

650.54

精密機器

鉄鋼

医薬品

空運業

通信業 624.15

618.58

617.53

599.88

581.62

573.87

539.48

520.8

その他製品

輸送用機器

機械

情報処理

化学

卸売業

788.58

773.44

746.78

737.55

728.63

705.51

675.34

672.06

671.48

489.17

460.44非鉄金属

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23

1~3 4~5 6~9 計 平均E

(10~220)

D(220~470)

C(470~730)

B(730~860)

A(860~990)

計 平均

人数 2 27 16 45 0 0 10 23 12 45割合 4.4% 60.0% 35.6% 100.0% 0.0% 0.0% 22.2% 51.1% 26.7% 100.0%人数 0 37 11 48 0 2 19 16 11 48割合 0.0% 77.1% 22.9% 100.0% 0.0% 4.2% 39.6% 33.3% 22.9% 100.0%人数 0 43 24 67 0 3 24 23 17 67割合 0.0% 64.2% 35.8% 100.0% 0.0% 4.5% 35.8% 34.3% 25.4% 100.0%人数 2 107 51 160 0 5 53 62 40 160割合 1.3% 66.9% 31.9% 100.0% 0.0% 3.1% 33.1% 38.8% 25.0% 100.0%人数 14 41 39 94 0 0 33 21 40 94割合 14.9% 43.6% 41.5% 100.0% 0.0% 0.0% 35.1% 22.3% 42.6% 100.0%人数 21 78 46 145 0 2 61 40 42 145割合 14.5% 53.8% 31.7% 100.0% 0.0% 1.4% 42.1% 27.6% 29.0% 100.0%人数 13 56 58 127 0 10 32 44 41 127割合 10.2% 44.1% 45.7% 100.0% 0.0% 7.9% 25.2% 34.6% 32.3% 100.0%人数 48 175 143 366 0 12 126 105 123 366割合 13.1% 47.8% 39.1% 100.0% 0.0% 3.3% 34.4% 28.7% 33.6% 100.0%人数 42 400 148 590 0 4 100 265 221 590割合 7.1% 67.8% 25.1% 100.0% 0.0% 0.7% 16.9% 44.9% 37.5% 100.0%人数 27 223 110 360 0 2 51 138 169 360割合 7.5% 61.9% 30.6% 100.0% 0.0% 0.6% 14.2% 38.3% 46.9% 100.0%人数 9 103 29 141 0 2 34 65 40 141割合 6.4% 73.0% 20.6% 100.0% 0.0% 1.4% 24.1% 46.1% 28.4% 100.0%人数 78 726 287 1091 0 8 185 468 430 1091割合 7.1% 66.5% 26.3% 100.0% 0.0% 0.7% 17.0% 42.9% 39.4% 100.0%人数 81 320 77 478 0 29 188 150 111 478割合 16.9% 66.9% 16.1% 100.0% 0.0% 6.1% 39.3% 31.4% 23.2% 100.0%人数 43 242 49 334 0 28 127 101 78 334割合 12.9% 72.5% 14.7% 100.0% 0.0% 8.4% 38.0% 30.2% 23.4% 100.0%人数 9 111 28 148 0 7 58 47 36 148割合 6.1% 75.0% 18.9% 100.0% 0.0% 4.7% 39.2% 31.8% 24.3% 100.0%人数 133 673 154 960 0 64 373 298 225 960割合 13.9% 70.1% 16.0% 100.0% 0.0% 6.7% 38.9% 31.0% 23.4% 100.0%人数 16 33 10 59 0 4 42 6 7 59割合 27.1% 55.9% 16.9% 100.0% 0.0% 6.8% 71.2% 10.2% 11.9% 100.0%人数 8 67 6 81 0 5 49 24 3 81割合 9.9% 82.7% 7.4% 100.0% 0.0% 6.2% 60.5% 29.6% 3.7% 100.0%人数 12 42 10 64 0 7 33 19 5 64割合 18.8% 65.6% 15.6% 100.0% 0.0% 10.9% 51.6% 29.7% 7.8% 100.0%人数 36 142 26 204 0 16 124 49 15 204割合 17.6% 69.6% 12.7% 100.0% 0.0% 7.8% 60.8% 24.0% 7.4% 100.0%人数 78 148 37 263 1 34 99 57 72 263割合 29.7% 56.3% 14.1% 100.0% 0.4% 12.9% 37.6% 21.7% 27.4% 100.0%人数 22 176 53 251 0 1 65 70 115 251割合 8.8% 70.1% 21.1% 100.0% 0.0% 0.4% 25.9% 27.9% 45.8% 100.0%人数 118 256 61 435 2 61 170 82 120 435割合 27.1% 58.9% 14.0% 100.0% 0.5% 14.0% 39.1% 18.9% 27.6% 100.0%人数 218 580 151 949 3 96 334 209 307 949割合 23.0% 61.1% 15.9% 100.0% 0.3% 10.1% 35.2% 22.0% 32.3% 100.0%人数 42 149 11 202 0 9 138 47 8 202割合 20.8% 73.8% 5.4% 100.0% 0.0% 4.5% 68.3% 23.3% 4.0% 100.0%人数 32 149 9 190 0 4 130 46 10 190割合 16.8% 78.4% 4.7% 100.0% 0.0% 2.1% 68.4% 24.2% 5.3% 100.0%人数 9 134 13 156 0 0 106 41 9 156割合 5.8% 85.9% 8.3% 100.0% 0.0% 0.0% 67.9% 26.3% 5.8% 100.0%人数 83 432 33 548 0 13 374 134 27 548割合 15.1% 78.8% 6.0% 100.0% 0.0% 2.4% 68.2% 24.5% 4.9% 100.0%人数 33 41 8 82 0 19 36 24 3 82割合 40.2% 50.0% 9.8% 100.0% 0.0% 23.2% 43.9% 29.3% 3.7% 100.0%人数 44 102 20 166 2 42 76 32 14 166割合 26.5% 61.4% 12.0% 100.0% 1.2% 25.3% 45.8% 19.3% 8.4% 100.0%人数 16 40 2 58 0 9 37 10 2 58割合 27.6% 69.0% 3.4% 100.0% 0.0% 15.5% 63.8% 17.2% 3.4% 100.0%人数 93 183 30 306 2 70 149 66 19 306割合 30.4% 59.8% 9.8% 100.0% 0.7% 22.9% 48.7% 21.6% 6.2% 100.0%

銀行業

情報処理

2013年

その他サービス業

2013年 4.24

2014年 4.75

2015年 4.29

5.15

2015年 4.67

計 ―

医薬品

2013年 4.39

2014年 4.41

2015年 4.39

計 ―

2013年

4.52

2015年 4.74

繊維製品

2013年 4.17

2014年 4.21

2015年 4.43

計 ―

保険業

海運業

2013年 5.27

2014年 5.23

2015年 5.33

計 ―

その他

2013年 5.15

2014年 5.08

2015年 5.46

計 ―

2013年 4.93

2014年

3.99

2014年 4.16

2015年 3.98

4.56

2014年

785.78

752.60

750.67

787.33

758.37

760.24

815.69

833.42

788.50

729.68

719.42

747.23

640.59

666.98

616.71

603.40

600.26

663.84

699.94

806.73

688.98

656.16

667.95

703.85

TSST TOEICテスト業種別 TSSTレベルグループ分布・レベル平均推移、TOEICテストレベル

分布・スコア平均推移

人数 28 34 7 69 0 16 47 4 2 69割合 40.6% 49.3% 10.1% 100.0% 0.0% 23.2% 68.1% 5.8% 2.9% 100.0%人数 62 54 11 127 0 44 67 13 3 127割合 48.8% 42.5% 8.7% 100.0% 0.0% 34.6% 52.8% 10.2% 2.4% 100.0%人数 55 62 3 120 1 49 55 10 5 120割合 45.8% 51.7% 2.5% 100.0% 0.8% 40.8% 45.8% 8.3% 4.2% 100.0%人数 145 150 21 316 1 109 169 27 10 316割合 45.9% 47.5% 6.6% 100.0% 0.3% 34.5% 53.5% 8.5% 3.2% 100.0%

その他製品

2013年 3.97

2014年 3.66

2015年 3.65

計 ―

567.83

532.44

526.13

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24

ここからは、業種別に TSST レベルグループ分布・レベル平均および TOEIC®テストレベル分布・

スコア平均の推移を示したグラフと共に、各業種の傾向を細かく見ていく。なお、「その他」「その他サ

ービス業」「その他製品」については、分類上、幅広い分野の企業が含まれるため、年ごとに受験した

企業集団が異なると、それが TSST レベルや TOEIC®テストスコアの変動に大きく影響する場合があ

る。業種としての推移を見るのが難しいため、業種別の詳細分析では扱わないこととする。

■海運業

1~3 4~5 6~9 計 平均E

(10~220)

D(220~470)

C(470~730)

B(730~860)

A(860~990)

計 平均

人数 91 170 9 270 5 46 183 30 6 270割合 33.7% 63.0% 3.3% 100.0% 1.9% 17.0% 67.8% 11.1% 2.2% 100.0%人数 51 68 1 120 2 47 65 5 1 120割合 42.5% 56.7% 0.8% 100.0% 1.7% 39.2% 54.2% 4.2% 0.8% 100.0%人数 30 73 1 104 0 40 56 7 1 104割合 28.8% 70.2% 1.0% 100.0% 0.0% 38.5% 53.8% 6.7% 1.0% 100.0%人数 172 311 11 494 7 133 304 42 8 494割合 34.8% 63.0% 2.2% 100.0% 1.4% 26.9% 61.5% 8.5% 1.6% 100.0%人数 81 144 7 232 1 32 155 36 8 232割合 34.9% 62.1% 3.0% 100.0% 0.4% 13.8% 66.8% 15.5% 3.4% 100.0%人数 86 211 13 310 0 35 205 51 19 310割合 27.7% 68.1% 4.2% 100.0% 0.0% 11.3% 66.1% 16.5% 6.1% 100.0%人数 45 195 23 263 1 28 163 51 20 263割合 17.1% 74.1% 8.7% 100.0% 0.4% 10.6% 62.0% 19.4% 7.6% 100.0%人数 212 550 43 805 2 95 523 138 47 805割合 26.3% 68.3% 5.3% 100.0% 0.2% 11.8% 65.0% 17.1% 5.8% 100.0%人数 136 172 12 320 0 38 203 61 18 320割合 42.5% 53.8% 3.8% 100.0% 0.0% 11.9% 63.4% 19.1% 5.6% 100.0%人数 86 271 13 370 0 41 213 94 22 370割合 23.2% 73.2% 3.5% 100.0% 0.0% 11.1% 57.6% 25.4% 5.9% 100.0%人数 73 223 8 304 0 38 200 51 15 304割合 24.0% 73.4% 2.6% 100.0% 0.0% 12.5% 65.8% 16.8% 4.9% 100.0%人数 295 666 33 994 0 117 616 206 55 994割合 29.7% 67.0% 3.3% 100.0% 0.0% 11.8% 62.0% 20.7% 5.5% 100.0%人数 62 45 5 112 0 28 70 13 1 112割合 55.4% 40.2% 4.5% 100.0% 0.0% 25.0% 62.5% 11.6% 0.9% 100.0%人数 55 59 114 0 31 75 8 0 114割合 48.2% 51.8% 0.0% 100.0% 0.0% 27.2% 65.8% 7.0% 0.0% 100.0%人数 41 49 1 91 1 23 59 8 0 91割合 45.1% 53.8% 1.1% 100.0% 1.1% 25.3% 64.8% 8.8% 0.0% 100.0%人数 158 153 6 317 1 82 204 29 1 317割合 49.8% 48.3% 1.9% 100.0% 0.3% 25.9% 64.4% 9.1% 0.3% 100.0%人数 186 154 15 355 6 139 173 32 5 355割合 52.4% 43.4% 4.2% 100.0% 1.7% 39.2% 48.7% 9.0% 1.4% 100.0%人数 227 260 31 518 5 162 273 61 17 518割合 43.8% 50.2% 6.0% 100.0% 1.0% 31.3% 52.7% 11.8% 3.3% 100.0%人数 188 262 35 485 7 118 284 56 20 485割合 38.8% 54.0% 7.2% 100.0% 1.4% 24.3% 58.6% 11.5% 4.1% 100.0%人数 601 676 81 1,358 18 419 730 149 42 1,358割合 44.3% 49.8% 6.0% 100.0% 1.3% 30.9% 53.8% 11.0% 3.1% 100.0%

2013年 3.83

2014年 3.91

2015年 4.22

計 ―

2013年 3.56

2014年 3.50

2015年 3.58

計 ―

輸送用機器

2013年 3.54

精密機器

2013年 3.86

2014年 3.64

2015年 3.81

計 ―

化学

機械

電気機器

2013年 3.78

2014年 4.07

2015年 3.99

計 ―

2014年 3.75

2015年 3.91

計 ―

567.15

TSST TOEICテスト業種別 TSSTレベルグループ分布・レベル平均推移、TOEICテストレベル

分布・スコア平均推移

657.62

637.73

563.62

557.11

562.42

506.27

543.82

596.76

510.21

522.02

609.09

626.24

638.52

627.78

4.4% 0.0% 0.0%

60.0%77.1%

64.2%

35.6%

22.9%

35.8%

5.27 5.23 5.33

3

4

5

6

7

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

2013年 2014年 2015年

海運業 TSSTレベルグループ分布・

レベル平均推移

6~9

4~5

1~3

平均

0.0% 0.0% 0.0%0.0% 4.2% 4.5%

22.2%

39.6% 35.8%

51.1%

33.3%34.3%

26.7% 22.9% 25.4%

785.78

752.60 750.67

400

500

600

700

800

900

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

2013年 2014年 2015年

海運業 TOEICテストレベル分布・

スコア平均推移

A

(860~990)

B

(730~860)

C

(470~730)

D

(220~470)

E

(10~220)

平均

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25

他業種に比べ、「海運業」は TSST レベルと TOEIC®テストレベルの両方で高レベル層(TSST レベ

ル6~9、TOEIC®テストレベル A、B)が厚い一方、低レベル層(TSST レベル1~3、TOEIC®テス

トレベル D、E)の割合が極めて少なく 2013~2015 年を通じて 5%以下であるのが特徴的である。レ

ベル分布の推移を見ると、TOEIC®テストでは、2014 年に高レベル層が減少して(テストレベル A、B

は 2013 年の 77.8%から 2014 年には 56.2%へ)、中間レベル層が増加し(テストレベル C は 2013 年

の 22.2%から 2014年には 39.6%へ)、その傾向が 2015年も継続している(2015年はテストレベルA、

B が 59.7%、テストレベル C が 35.8%)。一方で、TSST については、2014 年に高レベル層が減少し

(TSST6~9は 2013 年の 35.6%から 2014 年には 22.9%へ)中間レベル層が増加する(TSST4~

5は 2013 年の 60.0%から 2014 年には 77.1%へ)という変化があったが、いずれも 2015 年には 2013

年並みの割合に戻っている(TSST6~9が 35.8%、TSST4~5が 64.2%)。TSST レベル平均は横

ばい、TOEIC®テストスコア平均は緩やかに下降しており、TSST と TOEIC®テストで3年間の推移に

やや異なる傾向が見られるが、全体としては目立ったレベル変動はないと言える。

■銀行業

「銀行業」については、p.21 でも指摘した通り、ここで分析対象としている 14 業種中で TOEIC®

テストスコア平均が最も高く、2013 年、2014 年についてはそれぞれ 815.69、833.42 と、年によって

は平均が 800 を超えている唯一の業種である。TOEIC®テストにおける中間レベル層(TOEIC®テスト

レベル C)はいずれの年も 25%以下で、これも他のどの業種よりも少ない(2013 年 16.9%、2014 年

14.2%、2015 年 24.1%)。その一方で、TSST のレベル平均は「海運業」「その他」に次ぐ3位で、TSST

における中間レベル層(TSST レベル4~5)は 60~70%(2013 年 67.8%、2014 年 61.9%、2015

年 73.0%)と少なくはない。このことから、これまで指摘してきたように、TOEIC®で測定するリスニ

ング・リーディング力と TSST で測定するスピーキング力のバランスがあまり良くない人が多いと考

えられる。

前回の TSST 調査レポート(2015 年7月『アルク英語教育実態レポート Vol.5』p.11)では、「銀行

業界にスピーキング能力が高い人が増えている、あるいは、スピーキング能力が高い人も英語スピー

キングテストを受験するようになっている」と指摘したが、この業種における 2013~2015 年の3年

間の推移を見ると、TSST レベル平均も TOEIC®テストスコア平均も、2014 年に一旦上昇したものの、

2015 年には下降している。「銀行業」において英語力の伸びは頭打ちになっているのかもしれない。

7.1% 7.5% 6.4%

67.8%61.9%

73.0%

25.1%30.6%

20.6%

4.93 5.15

4.67

3

4

5

6

7

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

2013年 2014年 2015年

銀行業 TSSTレベルグループ分布・

レベル平均推移

6~9

4~5

1~3

平均

0.0% 0.0% 0.0%0.7% 0.6% 1.4%

16.9% 14.2%24.1%

44.9%

38.3%

46.1%

37.5% 46.9%

28.4%815.69

833.42

788.50

400

500

600

700

800

900

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

2013年 2014年 2015年

銀行業 TOEICテストレベル分布・

スコア平均推移

A

(860~990)

B

(730~860)

C

(470~730)

D

(220~470)

E

(10~220)

平均

Page 27: アルク英語教育実態レポート...2016/06/27  · アルク英語教育実態レポート Vol. 7 [2016年6月] 日本人の英語スピーキング能力 -リスニング・リーディング力との関係性に見る英語運用能力の実態

26

TOEIC®テストでは、TSST レベル6以上を目指せる TOEIC®テストレベル A、B が7割以上を占め

ているので、今後はリスニング・リーディング力を保持しながらスピーキング力を高める学習を行え

ば、この業種に属するより多くの人々が、英語を使って仕事ができる TSST レベル6以上を習得でき

るようになると思われる。

■保険業

「保険業」は、これまで見てきた2つの業種に比べると、TSST でも TOEIC®テストでも高レベル層

の割合はやや少なめで、中間レベル層の割合が高い。また、3年間の推移を見ると、TSST においては、

2013年にはレベル1~3の割合が 16.9%を占めていたが、2014年には 12.9%、2015年には 6.1%と、

年を追うごとに減少している。TOEIC®テストレベル分布においては低レベル層の割合は横ばいであり

(TOEIC®テストレベル D、E は 2013 年 6.1%、2014 年 8.4%、2015 年 4.7%)、顕著な変化は見られ

ない。TOEIC®テストでは 470 点以上という、TOEIC® IP テスト受験者の平均 461 点を上回るスコア

(本レポートの p.9 参照)を取得できてもあまり話せないという人が、この業種の TSST 受験者に減

りつつあるのかもしれない。

■医薬品

「医薬品」では、TSST においても TOEIC®テストにおいても中間レベル層(TSST レベル4~5、

TOEIC®テストレベル C)が最も多く 2013 年~2015 年を通じて 50%以上を占めているのが特徴であ

16.9% 12.9%6.1%

66.9% 72.5% 75.0%

16.1% 14.7% 18.9%

4.56 4.52 4.74

3

4

5

6

7

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

2013年 2014年 2015年

保険業 TSSTレベルグループ分布・

レベル平均推移

6~9

4~5

1~3

平均

0.0% 0.0% 0.0%6.1% 8.4% 4.7%

39.3% 38.0%39.2%

31.4% 30.2% 31.8%

23.2% 23.4% 24.3%

729.68 719.42 747.23

400

500

600

700

800

900

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

2013年 2014年 2015年

保険業 TOEICテストレベル分布・

スコア平均推移

A

(860~990)

B

(730~860)

C

(470~730)

D

(220~470)

E

(10~220)

平均

27.1%

9.9%18.8%

55.9%82.7% 65.6%

16.9%7.4%

15.6%

4.39 4.41 4.39

3

4

5

6

7

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

2013年 2014年 2015年

医薬品 TSSTレベルグループ分布・

レベル平均推移

6~9

4~5

1~3

平均

0.0% 0.0% 0.0%6.8% 6.2% 10.9%

71.2%60.5% 51.6%

10.2% 29.6%29.7%

11.9%3.7% 7.8%

640.59 666.98 663.84

400

500

600

700

800

900

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

2013年 2014年 2015年

医薬品 TOEICテストレベル分布・

スコア平均推移

A

(860~990)

B

(730~860)

C

(470~730)

D

(220~470)

E

(10~220)

平均

Page 28: アルク英語教育実態レポート...2016/06/27  · アルク英語教育実態レポート Vol. 7 [2016年6月] 日本人の英語スピーキング能力 -リスニング・リーディング力との関係性に見る英語運用能力の実態

27

る。また、TSST も TOEIC®テストも、「医薬品」業種における 2013~2015 年の平均(TSST レベル

平均 4.39~4.41、TOEIC®スコア平均 640.59~666.98、p.23 の表参照)は、社会人の分析対象者全体

の 2013~2015 年の各年の平均(TSST レベル平均 4.24~4.25、TOEIC®スコア平均 647.93~672.18、

それぞれ p.18、19 の図表参照)と近い水準となっている。英語を話すことも、聞いたり読んだりする

ことも、飛びぬけてできる高レベル層の人は、他業種に比べて取り立てて多くはないが、低レベル層

も比較的少なく、TSST 社会人受験者として平均的にできる人が多い業種である、と言える。

■繊維製品

「繊維製品」は、TSST でも TOEIC®テストでも、「医薬品」よりもさらに中間レベル層(TSST レ

ベル4~5、TOEIC®テストレベル C)の割合が高く、いずれも約 70%またはそれ以上を占めている。

TSST 社会人受験者として平均的な英語力の持ち主が多い業種であると言える。

直近3年間の推移を見ると、TSST のレベル1~3の割合が、2013 年は 20.8%、2014 年は 16.8%、

2015 年は 5.8%と、順調に下がっているのが見て取れる。TOEIC®テストスコアは、低レベル層(テス

トレベル D、E)はもともと少ないがさらに減少する一方で(2013 年 4.5%、2014 年 2.1%、2015 年

0.0%)、高レベル層(テストレベル A、B)の割合が、2013 年は 27.3%、2014 年は 29.5%、2015 年

は 32.1%と、徐々にではあるが増えている。また、TSST レベル平均、TOEIC®テストスコア平均とも

に3年連続で上昇しており、この業種に属する人のスピーキング力、リスニング・リーディング力が

共に上がっている、またはより英語力が高い人が TSST を受験するようになっていると言える。

■情報処理

20.8% 16.8%5.8%

73.8% 78.4%

85.9%

5.4% 4.7% 8.3%

4.17 4.21 4.43

3

4

5

6

7

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

2013年 2014年 2015年

繊維製品 TSSTレベルグループ分布・

レベル平均推移

6~9

4~5

1~3

平均

0.0% 0.0% 0.0%4.5% 2.1% 0.0%

68.3% 68.4% 67.9%

23.3% 24.2% 26.3%

4.0% 5.3% 5.8%

656.16 667.95

703.85

400

500

600

700

800

900

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

2013年 2014年 2015年

繊維製品 TOEICテストレベル分布・

スコア平均推移

A

(860~990)

B

(730~860)

C

(470~730)

D

(220~470)

E

(10~220)

平均

40.2%

26.5% 27.6%

50.0%

61.4%69.0%

9.8% 12.0%3.4%

3.99 4.16

3.98

3

4

5

6

7

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

2013年 2014年 2015年

情報処理 TSSTレベルグループ分布・

レベル平均推移

6~9

4~5

1~3

平均

0.0% 1.2% 0.0%

23.2% 25.3%

15.5%

43.9% 45.8% 63.8%

29.3% 19.3%

17.2%

3.7% 8.4%3.4%

616.71 603.40 600.26

400

500

600

700

800

900

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

2013年 2014年 2015年

情報処理 TOEICテストレベル分布・

スコア平均推移

A

(860~990)

B

(730~860)

C

(470~730)

D

(220~470)

E

(10~220)

平均

Page 29: アルク英語教育実態レポート...2016/06/27  · アルク英語教育実態レポート Vol. 7 [2016年6月] 日本人の英語スピーキング能力 -リスニング・リーディング力との関係性に見る英語運用能力の実態

28

「情報処理」でも、中間レベル層の割合が最も高いという点はこれまでに見てきた「医薬品」「繊維

製品」と同じであるが、低レベル層の割合が「医薬品」や「繊維製品」に比べて高い。分布の推移は、

TSST においてレベル1~3が 2013 年に 40.2%であったのが、2014 年に 26.5%に減り、2015 年は

27.6%と横ばいである。TSST レベル平均にはあまり変化がない。TOEIC®テストも、2014 年から 2015

年にかけて、高レベル層(テストレベル A、B)と低レベル層(テストレベル D、E)が共に減ってお

り、スコア平均に顕著な変化がないという点で TSST と同様の傾向が見られる。もともと中間レベル

層の割合が高いが、直近3年でより社会人受験者として平均的な英語力の持ち主が増えているようだ。

■精密機器

「精密機器」も、中間レベル層の割合が高い業種である。過去3年間の TSST と TOEIC®テストの

分布および平均の推移を見る限り、一貫した傾向は見えない。「精密機器」では、過去5年間、毎年 30

人以上の受験者がいるため、2011 年~2015 年の推移を以下に図表で示す。

過去5年間で見ると、TSST はレベル1~3の割合が、2011 年の 53.1%から 2015 年には 28.8%ま

で下がっており、アップダウンはあるものの、減少傾向にあることが分かる。レベル平均もそれに伴

ってやや上昇傾向にある(2011 年 3.60、2012 年 3.57、2013 年 3.86、2014 年 3.64、2015 年 3.81)。

一方で、TOEIC®テストレベルは 2013 年にテストレベル D、E の割合が一旦下がったものの(2012

年の 46.1%から 2013 年の 18.9%へ)、2014 年は 40.9%と 2012 年に近い水準まで戻っており、平均

も 2013 年を除いては、大きな変動は見られない(2011 年 513.07、2012 年 497.17、2013 年 596.76、

53.1% 48.7%

33.7%42.5%

28.8%

42.7% 49.6%

63.0%56.7%

70.2%

4.2% 1.7% 3.3% 0.8% 1.0%

3.60 3.57

3.86 3.64

3.81

3

4

5

6

7

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

2011年 2012年 2013年 2014年 2015年

精密機器 TSSTレベルグループ分布・

レベル平均推移

6~9

4~5

1~3

平均

0.0% 0.9% 1.9% 1.7% 0.0%

42.7%45.2%

17.0%39.2%

38.5%

55.2% 49.6%

67.8%

54.2%53.8%

2.1% 4.3%11.1%

4.2% 6.7%0.0% 0.0% 2.2% 0.8% 1.0%

513.07 497.17

596.76

510.21 522.02

400

500

600

700

800

900

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

2011年 2012年 2013年 2014年 2015年

精密機器 TOEICテストレベル分布・

スコア平均推移

A

(860~990)

B

(730~860)

C

(470~730)

D

(220~470)

E

(10~220)

平均

1~3 4~5 6~9 計 平均E

(10~220)

D(220~470)

C(470~730)

B(730~860)

A(860~990)

計 平均

人数 51 41 4 96 0 41 53 2 0 96割合 53.1% 42.7% 4.2% 100.0% 0.0% 42.7% 55.2% 2.1% 0.0% 100.0%人数 56 57 2 115 1 52 57 5 0 115割合 48.7% 49.6% 1.7% 100.0% 0.9% 45.2% 49.6% 4.3% 0.0% 100.0%人数 91 170 9 270 5 46 183 30 6 270割合 33.7% 63.0% 3.3% 100.0% 1.9% 17.0% 67.8% 11.1% 2.2% 100.0%人数 51 68 1 120 2 47 65 5 1 120割合 42.5% 56.7% 0.8% 100.0% 1.7% 39.2% 54.2% 4.2% 0.8% 100.0%人数 30 73 1 104 0 40 56 7 1 104割合 28.8% 70.2% 1.0% 100.0% 0.0% 38.5% 53.8% 6.7% 1.0% 100.0%

2014年 3.64

2015年 3.81

510.21

522.02

TSST TOEICテスト精密機器 TSSTレベルグループ分布・レベル平均推移、TOEICテストレベル分

布・スコア平均推移

2011年 3.60 513.07

2012年 3.57 497.17

2013年 3.86 596.76

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29

2014 年 510.21、2015 年 522.02)。「精密機器」においては、過去5年間で「あまり話せない」人は減

っているが、リスニング・リーディング力の推移とは連動していない、と言える。

■化学

「化学」は、中間レベル層が多いが、直近3年間で TSST および TOEIC®テストレベルの下位層の

割合が減り、上位層の割合が増加している。それに伴い、TSST レベル平均は、2013 年 3.83、2014

年 3.91、2015 年 4.22、TOEIC®テストスコア平均は 2013 年 609.09、2014 年 626.24、2015 年 638.52

とそれぞれ3年連続で上昇している。「繊維製品」と同様に、この業種に属する人のスピーキング力、

リスニング・リーディング力が共に上がっている、またはより英語力が高い人が TSST を受験するよ

うになっているようである。

■電気機器

「電気機器」についても、2011 年以降、毎年 30 人以上の分析対象者が得られており、かつ過去3

年間のデータだけからは傾向がつかみづらいため、「精密機器」と同様に過去5年間に遡って傾向を見

ることとする。

次ページの図表からは、TSST レベルグループ分布と TOEIC®テストレベル分布の双方において、多

少のアップダウンはありながらも、過去5年間で高レベル層の割合が減少しているのが見て取れる

(TSST レベル6~9の割合は、2011 年 13.6%、2012 年 11.4%、2013 年 3.8%、2014 年 3.5%、2015

年 2.6%。TOEIC®テストレベル A、B を合計した割合は、2011 年 37.1%、2012 年 38.5%、2013 年

24.7%、2014 年 31.3%、2015 年 21.7%)。TSST レベルと TOEIC®テストスコアの平均は、高レベル

層の減少に伴い、いずれも緩やかに下降傾向にある。低レベル層、中間レベル層に一貫した変化は見

られない。高レベル層が過去5年間で減少しているという、今回の分析対象の中では珍しい傾向の業

種である。

34.9%27.7%

17.1%

62.1%68.1%

74.1%

3.0% 4.2% 8.7%

3.83 3.91

4.22

3

4

5

6

7

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

2013年 2014年 2015年

化学 TSSTレベルグループ分布・

レベル平均推移

6~9

4~5

1~3

平均

0.4% 0.0% 0.4%

13.8% 11.3% 10.6%

66.8%66.1%

62.0%

15.5%16.5%

19.4%

3.4% 6.1% 7.6%

609.09 626.24

638.52

400

500

600

700

800

900

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

2013年 2014年 2015年

化学 TOEICテストレベル分布・

スコア平均推移

A

(860~990)

B

(730~860)

C

(470~730)

D

(220~470)

E

(10~220)

平均

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30

■機械

「機械」は、他業種と比べると、TSST レベル1~3が 40%以上と高い割合を占めているのが特徴

で、英語をあまり話せない人が過半数近くいる業種ということになる。この業種についても、2011 年

以降毎年 30 人以上が受験しており、かつ、過去3年間のデータだけからは傾向がつかみづらいため、

過去5年間の推移を以下に図表で確認しておきたい。

興味深いのは、TSST においても、TOEIC®テストにおいても、低レベル層の割合が減少しているが、

そのタイミングが異なっていることである。TSST では、2013 年~2015 年の3年間において、レベル

1~3の割合の減少が顕著である(2013 年 55.4%、2014 年 48.2%、2015 年 45.1%)。一方で、TOEIC®

テストでは、TSST に先立ち、2011 年~2013 年の3年間で、テストレベル D、E の割合が減少してい

る(2011 年 57.6%、2012 年 34.0%、2013 年 25.0%)。「機械」の業種全体としては、まずリスニン

グ・リーディング力が低い人が減少した後に、スピーキング力が低い人が減っており、業種としての

分布の変化に技能による時差が生じているようである。

23.5%29.0% 42.5% 23.2% 24.0%

62.9%59.6%

53.8%

73.2% 73.4%

13.6% 11.4%3.8% 3.5% 2.6%

4.32 4.13

3.78

4.07 3.99

3

4

5

6

7

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

2011年 2012年 2013年 2014年 2015年

電気機器 TSSTレベルグループ分布・

レベル平均推移

6~9

4~5

1~3

平均

0.3% 0.4% 0.0% 0.0% 0.0%8.2% 8.9% 11.9% 11.1% 12.5%

54.4% 52.2%63.4% 57.6% 65.8%

25.2% 26.7%

19.1%25.4%

16.8%

11.9% 11.8%5.6% 5.9% 4.9%

679.02 687.23

627.78 657.62

637.73

400

500

600

700

800

900

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

2011年 2012年 2013年 2014年 2015年

電気機器 TOEICテストレベル分布・

スコア平均推移

A

(860~990)

B

(730~860)

C

(470~730)

D

(220~470)

E

(10~220)

平均

1~3 4~5 6~9 計 平均E

(10~220)

D(220~470)

C(470~730)

B(730~860)

A(860~990)

計 平均

人数 140 375 81 596 2 49 324 150 71 596割合 23.5% 62.9% 13.6% 100.0% 0.3% 8.2% 54.4% 25.2% 11.9% 100.0%人数 150 308 59 517 2 46 270 138 61 517割合 29.0% 59.6% 11.4% 100.0% 0.4% 8.9% 52.2% 26.7% 11.8% 100.0%人数 136 172 12 320 0 38 203 61 18 320割合 42.5% 53.8% 3.8% 100.0% 0.0% 11.9% 63.4% 19.1% 5.6% 100.0%人数 86 271 13 370 0 41 213 94 22 370割合 23.2% 73.2% 3.5% 100.0% 0.0% 11.1% 57.6% 25.4% 5.9% 100.0%人数 73 223 8 304 0 38 200 51 15 304割合 24.0% 73.4% 2.6% 100.0% 0.0% 12.5% 65.8% 16.8% 4.9% 100.0%

2013年 3.78 627.78

2014年 4.07 657.62

2015年 3.99 637.73

電気機器 TSSTレベルグループ分布・レベル平均推移、TOEICテストレベル分

布・スコア平均推移

TSST TOEICテスト

2011年 4.32 679.02

2012年 4.13 687.23

1~3 4~5 6~9 計 平均E

(10~220)

D(220~470)

C(470~730)

B(730~860)

A(860~990)

計 平均

人数 37 29 0 66 0 38 27 1 0 66割合 56.1% 43.9% 0.0% 100.0% 0.0% 57.6% 40.9% 1.5% 0.0% 100.0%人数 26 20 1 47 0 16 29 1 1 47割合 55.3% 42.6% 2.1% 100.0% 0.0% 34.0% 61.7% 2.1% 2.1% 100.0%人数 62 45 5 112 0 28 70 13 1 112割合 55.4% 40.2% 4.5% 100.0% 0.0% 25.0% 62.5% 11.6% 0.9% 100.0%人数 55 59 0 114 0 31 75 8 0 114割合 48.2% 51.8% 0.0% 100.0% 0.0% 27.2% 65.8% 7.0% 0.0% 100.0%人数 41 49 1 91 1 23 59 8 0 91割合 45.1% 53.8% 1.1% 100.0% 1.1% 25.3% 64.8% 8.8% 0.0% 100.0%

2013年 3.56 563.62

2014年 3.50 557.11

2015年 3.58 562.42

機械 TSSTレベルグループ分布・レベル平均推移、

TOEICテストレベル分布・スコア平均推移

TSST TOEICテスト

2011年 3.41 467.47

2012年 3.55 539.36

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31

■輸送用機器

「輸送用機器」についても、2011 年~2015 年の5年間に渡り 30 人以上のサンプルが得られている。

TSST レベルおよび TOEIC®テストスコアの推移を過去3年間で見た場合と、過去5年間で見た場合に

異なる傾向が見えてくるため、過去5年間の推移について以下に示し、分析する。

TSST、TOEIC®テストのレベル分布、平均推移の双方において、最も大きな変化が見られるのは 2012

年から 2013 年にかけてである。TSST レベル分布は、2012 年から 2013 年にかけて、レベル1~3の

割合が 33.0%から 52.4%へ 19.4 ポイント高まった。これを受けて、TSST レベル平均は 3.94 から 3.54

56.1% 55.3% 55.4%48.2% 45.1%

43.9% 42.6% 40.2% 51.8% 53.8%

0.0% 2.1% 4.5% 0.0% 1.1%

3.41 3.55 3.56 3.50 3.58

3

4

5

6

7

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

2011年 2012年 2013年 2014年 2015年

機械 TSSTレベルグループ分布・

レベル平均推移

6~9

4~5

1~3

平均

0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 1.1%

57.6%

34.0%25.0% 27.2% 25.3%

40.9%

61.7%

62.5%65.8% 64.8%

1.5% 2.1%11.6%

7.0% 8.8%0.0% 2.1% 0.9% 0.0% 0.0%

467.47

539.36 563.62 557.11 562.42

400

500

600

700

800

900

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

2011年 2012年 2013年 2014年 2015年

機械 TOEICテストレベル分布・

スコア平均推移

A

(860~990)

B

(730~860)

C

(470~730)

D

(220~470)

E

(10~220)

平均

1~3 4~5 6~9 計 平均E

(10~220)

D(220~470)

C(470~730)

B(730~860)

A(860~990)

計 平均

人数 113 227 17 357 0 64 241 42 10 357割合 31.7% 63.6% 4.8% 100.0% 0.0% 17.9% 67.5% 11.8% 2.8% 100.0%人数 60 112 10 182 0 21 120 36 5 182割合 33.0% 61.5% 5.5% 100.0% 0.0% 11.5% 65.9% 19.8% 2.7% 100.0%人数 186 154 15 355 6 139 173 32 5 355割合 52.4% 43.4% 4.2% 100.0% 1.7% 39.2% 48.7% 9.0% 1.4% 100.0%人数 227 260 31 518 5 162 273 61 17 518割合 43.8% 50.2% 6.0% 100.0% 1.0% 31.3% 52.7% 11.8% 3.3% 100.0%人数 188 262 35 485 7 118 284 56 20 485割合 38.8% 54.0% 7.2% 100.0% 1.4% 24.3% 58.6% 11.5% 4.1% 100.0%

2013年 3.54 506.27

2014年 3.75 543.82

2015年 3.91 567.15

輸送用機器 TSSTレベルグループ分布・レベル平均

推移、TOEICテストレベル分布・スコア平均推移

TSST TOEICテスト

2011年 3.91 592.70

2012年 3.94 630.00

31.7% 33.0%

52.4% 43.8%38.8%

63.6% 61.5%

43.4%50.2%

54.0%

4.8% 5.5% 4.2% 6.0% 7.2%

3.91 3.94

3.54 3.75

3.91

3

4

5

6

7

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

2011年 2012年 2013年 2014年 2015年

輸送用機器 TSSTレベルグループ分布・

レベル平均推移

6~9

4~5

1~3

平均

0.0% 0.0% 1.7% 1.0% 1.4%

17.9%11.5%

39.2% 31.3%24.3%

67.5% 65.9%

48.7%

52.7%58.6%

11.8%19.8%

9.0%11.8% 11.5%

2.8% 2.7% 1.4% 3.3% 4.1%

592.70 630.00

506.27

543.82 567.15

400

500

600

700

800

900

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

2011年 2012年 2013年 2014年 2015年

輸送用機器 TOEICテストレベル分布・

スコア平均推移

A

(860~990)

B

(730~860)

C

(470~730)

D

(220~470)

E

(10~220)

平均

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32

へ 0.4 下降している。TOEIC®テストにおいては、テストレベル D(220~470)、E(10~200)の合計

が 2012 年の 11.5%から 40.9%へ 29.4 ポイント高まり、スコア平均は 630.00 から 506.27 へ 123.73

下降している。TSST、TOEIC®テスト共に、2013 年は、前年と比べて低レベル層の割合が大きく増え、

平均も下がった、つまり、「輸送用機器」の受験者の英語力は、2013 年に、リスニング・リーディン

グ力、スピーキング力の両方において大きく下がったことが分かる。

しかし、その後 2013 年から 2015 年にかけては逆の変化が見える。TSST レベル1~3の割合は、

2013 年 52.4%、2014 年 43.8%、2015 年 38.8%と低くなった。TOEIC®テストでもテストレベル D、

E を合計した割合は 2013 年 40.9%、2014 年 32.3%、2015 年 25.7%と3年連続で低まっている。ま

たそれに伴い、TSST レベル、TOEIC®テストスコア共に、その平均は3年間継続的に上昇し(TSST

レベル平均は 2013 年 3.54、2014 年 3.75、2015 年 3.91、TOEIC®テストスコア平均は 2013 年 506.27、

2014 年 543.82、2015 年 567.15)、特に TSST レベルは 2015 年に 3.91 と、2011 年の 3.91 と同じ水

準まで回復している。

「輸送用機器」においては、2013 年に TSST 受験者の英語力に変化があったか、または受験者層が

変化したなどの影響があり低レベル層の割合が増えたが、その後また徐々に減りつつある、と言えよ

う。

ここまで、業種別の TSST レベルおよび TOEIC®テストレベルの特徴と推移を見てきたが、それに

より得られた分析結果を以下にまとめる。

1. 金融系の業種および「海運業」は、TSST レベル平均、TOEIC®テストスコア平均共に他業種と

比べて高く、高レベル層も厚い。しかしながら、「銀行業」での英語力の伸びは、頭打ち傾向にあ

る。また、「海運業」「保険業」に比べて「銀行業」でリスニング・リーディング力とスピーキン

グ力のバランスが悪く、集団としての TOEIC®テストスコアが高い割に、スピーキング力の面では

英語を使って仕事をできるレベルに該当する人の割合が低い。

2. ここで分析対象とした 11 業種における TSST レベルグループの推移は、大まかに以下6つのパ

ターンに分類できる。

(1) スピーキング力がリスニング・リーディング力と同時に向上している業種(「繊維製品」

「化学」)

(2)リスニング・リーディング力が向上した後にスピーキング力が向上している業種(「機械」)

(3)スピーキング力が向上している一方、リスニング・リーディング力は横ばいの業種

(「保険業」「精密機器」)

(4)スピーキング力の推移は横ばい、または波があり傾向が判断できない業種(「海運業」「銀行業」

「医薬品」)

(5)スピーキング力が下降傾向にある業種(「電気機器」)

(6)スピーキング力が一旦下降した後、回復しつつある業種(「輸送用機器」)

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33

4 大学生受験者の英語スピーキング能力

4.1 大学生受験者の TSSTレベル分布

この章では、TOEIC®テストスコアを持つ大学生の TSST 受験者 1,917 名を対象に、その英語スピー

キング能力について見ていきたい。p.17 で見た通り、分析対象者における大学生の割合は 7.5%である。

なお、TSST を大学院単位で受験しているケースもあるため、「大学生受験者」には大学院生も含む。

大学生受験者の TSST レベル分布は、下記の図表に示した通りである。分析対象者全体、社会人受

験者の分布と同様に、レベル4を中心とした正規分布のような形をしている。レベル4が 43.9%で、

分析対象者全体(39.3%、p.6 参照)、社会人受験者(39.2%、p.18 参照)と比べるとやや多くなって

おり、レベル5が 20.8%で、分析対象者全体(22.0%)、社会人受験者(21.9%)よりやや少なくなっ

ているが、分布に目立った差はない。

2011 年~2015 年までの TSST レベル分布の推移と平均を示したのが、以下の図表である。TSST

レベルグループごとの推移も合わせて示す。

分析対象者全体、社会人受験者と同様に、まだ基礎学習が必要なレベル1~3の割合が、2011 年の

28.7%から 2015年には 20.3%へ減り、英語を使って業務や学業が行えるレベル6~9の割合が 10.5%

から 15.4%へ増加している。分析対象者全体、社会人受験者とは異なり、大学生受験者においては、

レベル平均は 2011 年の 4.18 から 2015 年には 4.41 へと上昇しており、大学生受験者のスピーキング

力は上昇傾向にあると言える。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 平均

人数 0 1 40 54 33 11 3 1 0 143割合 0.0% 0.7% 28.0% 37.8% 23.1% 7.7% 2.1% 0.7% 0.0% 100.0%人数 0 9 77 105 52 16 9 1 0 269割合 0.0% 3.3% 28.6% 39.0% 19.3% 5.9% 3.3% 0.4% 0.0% 100.0%人数 0 6 81 176 82 28 9 1 1 384割合 0.0% 1.6% 21.1% 45.8% 21.4% 7.3% 2.3% 0.3% 0.3% 100.0%人数 0 6 37 78 48 25 7 1 1 203割合 0.0% 3.0% 18.2% 38.4% 23.6% 12.3% 3.4% 0.5% 0.5% 100.0%人数 0 0 50 99 59 24 12 2 0 246割合 0.0% 0.0% 20.3% 40.2% 24.0% 9.8% 4.9% 0.8% 0.0% 100.0%

4.18

4.07

4.21

4.39

4.412015年

大学生受験者のTSSTレベル分布・平均推移

2011年

2012年

2013年

2014年

0.0% 1.4%

22.6%

43.9%

20.8%

7.4%

2.8%0.7% 0.4%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

1 2 3 4 5 6 7 8 9

大学受験者のTSSTレベル分布

TSSTレベル 1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 平均人数 0 26 434 842 399 141 54 13 8 1,917割合 0.0% 1.4% 22.6% 43.9% 20.8% 7.4% 2.8% 0.7% 0.4% 100.0%

4.23

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34

4.2 大学生受験者の TOEIC®テストスコア分布

TSST の大学生受験者のレベル分布は、TOEIC®テストスコアの分布とどのような関係があるのだろ

うか。それを調べるため、以下に TSST 大学生受験者の TOEIC®テストのスコア分布および過去5年

間の推移を示した。

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.7%

3.3%

1.6%

3.0%

0.0%

28.0%

28.6%

21.1%

18.2%

20.3%

37.8%

39.0%

45.8%

38.4%

40.2%

23.1%

19.3%

21.4%

23.6%

24.0%

7.7%

5.9%

7.3%

12.3%

9.8%

2.1%

3.3%

2.3%

3.4%

4.9%

0.7%

0.4%

0.3%

0.5%

0.8%

0.0%

0.0%

0.3%

0.5%

0.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

2011年

2012年

2013年

2014年

2015年

大学生受験者のTSSTレベル分布推移

1 2 3 4 5 6 7 8 9

28.7%

32.0%

22.7%

21.2%

20.3%

60.8%

58.4%

67.2%

62.1%

64.2%

10.5%

9.7%

10.2%

16.7%

15.4%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

2011年

2012年

2013年

2014年

2015年

大学生受験者のTSSTレベルグループ分布推移

1~3 4~5 6~9

TSST大学生受験者のTOEICテスト

スコア分布人数 割合

895~990 76 4.0%845~890 107 5.6%795~840 131 6.8%745~790 166 8.7%695~740 199 10.4%645~690 286 14.9%595~640 271 14.1%545~590 248 12.9%495~540 185 9.7%445~490 127 6.6%395~440 77 4.0%345~390 23 1.2%295~340 19 1.0%245~290 2 0.1%195~240 0 0.0%145~190 0 0.0%95~140 0 0.0%45~90 0 0.0%10~40 0 0.0%

計 1,917 100.0%

4.0%

5.6%

6.8%

8.7%

10.4%

14.9%

14.1%

12.9%

9.7%

6.6%

4.0%

1.2%

1.0%

0.1%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0% 2% 4% 6% 8% 10% 12% 14% 16%

895~990

845~890

795~840

745~790

695~740

645~690

595~640

545~590

495~540

445~490

395~440

345~390

295~340

245~290

195~240

145~190

95~140

45~90

10~40

TSST大学生受験者のTOEICテストスコア分布

4.18

4.07

4.21

4.39 4.41

3.90

4.00

4.10

4.20

4.30

4.40

4.50

2011年 2012年 2013年 2014年 2015年

大学生受験者の

TSSTレベル平均推移

TSST大学生受験者のTOEICテスト

スコア平均647.49

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35

スコア分布を見ると、最も多いのが 14.9%を占める「645~690」のスコアレンジで、次に多いのが

14.1%を占める「595~640」のスコアレンジである。p.8 に示した分析対象者全体の TOEIC®テストス

コア分布とピークが同じである。また、スコア平均は 647.49 であり、分析対象者全体の平均 650.35

とほとんど差がなかった。

TOEIC®テストレベル分布およびスコア平均の推移を下記に示す。TSST のレベル分布の変化と呼応

して、レベル A(860~990)とレベル B(730~860)の高レベル層の割合が、2011 年は合計で 26.6%

であったが、2015 年かけて 38.7%へ増加し、レベル C(470~730)~レベル E(10~220)の割合が

2011 年の 73.4%から 2015 年には 61.4%にまで減少している。また、スコア平均も、2011 年の 629.24

から 2015 年には 671.98 まで上昇している。p.33 で見たように、大学生の TSST レベルも上昇傾向に

ある。

このように、分析対象の大学生受験者においては、TSST でも TOEIC®テストでもレベルの上昇が

見られ、リスニング・リーディング力、スピーキング力共に向上していることが判明した。これは何

によるものなのだろうか。

TSST の大学生受験者が所属する大学には、文部科学省による「スーパーグローバル大学創成支援」

事業の採択校など、グローバル化に積極的な大学、大学院が多く含まれている。また、理系の学部・

大学院や、理系の単科大学も目立つ。このことから推察すると、大学のグローバル化のため英語運用

能力の向上を推進する、主に理系の学部や大学院が、その効果を測定するために、TSST や TOEIC®

テストの受験を取り入れているのではないだろうか。そしてグローバル化の推進が実を結び、TSST

のレベルや TOEIC®テストスコアが向上してきているのかもしれない。

E(10~220)

D(220~470)

C(470~730)

B(730~860)

A(860~990)

計 平均

人数 0 14 91 34 4 143割合 0.0% 9.8% 63.6% 23.8% 2.8% 100.0%人数 0 25 177 46 21 269割合 0.0% 9.3% 65.8% 17.1% 7.8% 100.0%人数 0 22 257 78 27 384割合 0.0% 5.7% 66.9% 20.3% 7.0% 100.0%人数 0 17 117 48 21 203割合 0.0% 8.4% 57.6% 23.6% 10.3% 100.0%人数 0 17 134 70 25 246割合 0.0% 6.9% 54.5% 28.5% 10.2% 100.0%

629.24

643.22

655.86

665.49

671.982015年

TSST大学生受験者のTOEICレベル分布・

スコア平均推移

2011年

2012年

2013年

2014年

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

9.8%

9.3%

5.7%

8.4%

6.9%

63.6%

65.8%

66.9%

57.6%

54.5%

23.8%

17.1%

20.3%

23.6%

28.5%

2.8%

7.8%

7.0%

10.3%

10.2%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

2011年

2012年

2013年

2014年

2015年

TSST大学生受験者のTOEICテストレベル分布推移

E(10~220) D(220~470) C(470~730) B(730~860) A(860~990)

629.24

643.22

655.86

665.49 671.98

600

610

620

630

640

650

660

670

680

2011年 2012年 2013年 2014年 2015年

TSST大学生受験者のTOEIC

テストスコア平均推移

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36

5 「その他」受験者の英語スピーキング能力

5.1 「その他」受験者の TSSTレベル分布

最後に、企業や大学に所属せずに TSST を受験した「その他」受験者 926 人の TSST レベル分布、

平均およびその推移について見ておきたい。「その他」受験者が 2011 年~2015 年の分析対象者全体に

占める割合は、p.17 で見た通り、3.6%である。

「その他」受験者も、TSST レベル4が分布の頂点となっているのは他の受験者グループと同じであ

るが、他のグループに比べてレベル3の割合が 11.3%と少ない(レベル3の割合は、分析対象者全体

が 22.7%、社会人受験者が 23.2%、大学生受験者が 22.6%)。一方で、レベル6以上が 30.1%おり、

これは他のグループに比べて多い(レベル6以上の割合は、分析対象者全体が 12.1%(p.6 参照)、社

会人受験者が 11.5%(p.18 参照)、大学生受験者が 11.3%(p.33 参照))。また、TSST レベル平均は

4.97 と、分析対象者全体の平均 4.23 と比べて 0.64 ポイント高く、社会人受験者(4.20)、大学生受験

者(4.23)をも上回っている。前回のレポート(2015 年7月『アルク英語教育実態レポート Vol.5』

p.7)でも指摘した通り、「その他」に比較的レベルが高い受験者が多いのは、積極的に自分のスピー

キング能力を調べたいという個人のほか、何らかの必要があって受験した英語教師や企業の人事担当

者などが含まれているためと思われる。

次に、過去5年間の推移を見てみたい。次ページには、TSST のレベル分布推移を示す図表と、レベ

ルを3グループに分けた場合のグラフを掲載した。2011 年には 40.6%であったレベル6~9の割合が、

アップダウンはありながらも 2014 年にかけて 19.5%まで減り、2015 年にはやや回復しているものの、

28.8%と 2011 年に比べると依然として低い水準にある。また、2011 年に 5.28 であった平均は、2014

年にかけて 4.64 まで下がり、2015 年には 5.01 まで回復したものの、こちらも 2011 年に比べて低い

水準である。

0.0% 0.2%

11.3%

31.9%

26.5%

16.1%

8.2%

3.3% 2.5%

0%

10%

20%

30%

40%

1 2 3 4 5 6 7 8 9

「その他」受験者のTSSTレベル分布

TSSTレベル 1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 平均人数 0 2 105 295 245 149 76 31 23 926割合 0.0% 0.2% 11.3% 31.9% 26.5% 16.1% 8.2% 3.3% 2.5% 100.0%

4.97

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37

次ページには、TOEIC®テストスコア分布、平均および TOEIC®テストレベル分布とスコア平均の推

移を示した。スコア分布は、「645~690」(11.8%)と「595~640」(11.5%)のスコアレンジの割合が

最も多い点では、分析対象者全体、社会人受験者、大学生受験者と同じだが、「595~640」以上が 84.3%

を占めており、分析対象者全体(65.2%、p.8 参照)、社会人受験者(64.5%、p.19 参照)、大学生受験

者(64.5%、p.34 参照)よりも 20 ポイント以上多い。また、平均は 749.53 で、こちらも分析対象者

全体(650.35)、社会人受験者(646.55)、大学生受験者(647.49)よりもほぼ 100 点高くなっている。

しかしながら、過去5年間の推移を見ると、TOEIC®テストレベル A(860~990)、レベル B(730

~860)を合計した割合は、2011 年の 66.7%から、アップダウンはありながらも、2015 年には 60.6%

にまで減少している。また、平均も、2011 年には 772.39 であったが、2014 年には 715.38 まで下が

り、2015 年は 757.20 まで持ち直しているものの、全体としては低下傾向にある。

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.5%

0.0%

0.0%

8.7%

14.9%

7.6%

11.9%

8.3%

27.5%

28.7%

32.6%

41.6%

29.5%

23.2%

23.8%

25.0%

27.0%

33.3%

18.8%

18.8%

14.7%

13.5%

17.4%

14.5%

8.9%

8.7%

3.8%

6.8%

4.3%

3.0%

6.0%

0.5%

2.3%

2.9%

2.0%

4.9%

1.6%

2.3%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

2011年

2012年

2013年

2014年

2015年

「その他」受験者のTSSTレベル分布推移

1 2 3 4 5 6 7 8 9

8.7%

14.9%

8.2%

11.9%

8.3%

50.7%

52.5%

57.6%

68.6%

62.9%

40.6%

32.7%

34.2%

19.5%

28.8%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

2011年

2012年

2013年

2014年

2015年

「その他」受験者のTSSTレベルグループ分布推移

1~3 4~5 6~9

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 平均

人数 0 0 6 19 16 13 10 3 2 69割合 0.0% 0.0% 8.7% 27.5% 23.2% 18.8% 14.5% 4.3% 2.9% 100.0%人数 0 0 15 29 24 19 9 3 2 101割合 0.0% 0.0% 14.9% 28.7% 23.8% 18.8% 8.9% 3.0% 2.0% 100.0%人数 0 1 14 60 46 27 16 11 9 184割合 0.0% 0.5% 7.6% 32.6% 25.0% 14.7% 8.7% 6.0% 4.9% 100.0%人数 0 0 22 77 50 25 7 1 3 185割合 0.0% 0.0% 11.9% 41.6% 27.0% 13.5% 3.8% 0.5% 1.6% 100.0%人数 0 0 11 39 44 23 9 3 3 132割合 0.0% 0.0% 8.3% 29.5% 33.3% 17.4% 6.8% 2.3% 2.3% 100.0%

5.28

4.95

5.20

4.64

5.012015年

「その他」受験者のTSSTレベル分布推移

2011年

2012年

2013年

2014年

5.28

4.95

5.20

4.64

5.01

4.20

4.40

4.60

4.80

5.00

5.20

5.40

2011年 2012年 2013年 2014年 2015年

「その他」受験者の

TSSTレベル平均推移

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38

まとめると、「その他」受験者の英語力は、リスニング・リーディング力においても、スピーキング

力においても、他の社会人受験者や大学生受験者と比べると高い。しかし、過去5年間の推移を見る

と、いずれも下降傾向にある、または過去5年間の間に、英語力があまり高くない人も「その他」受

験者として TSST を受験するようになってきている、と言える。

E(10~220)

D(220~470)

C(470~730)

B(730~860)

A(860~990)

計 平均

人数 0 3 20 22 24 69割合 0.0% 4.3% 29.0% 31.9% 34.8% 100.0%人数 1 4 31 36 29 101割合 1.0% 4.0% 30.7% 35.6% 28.7% 100.0%人数 0 5 53 55 71 184割合 0.0% 2.7% 28.8% 29.9% 38.6% 100.0%人数 0 17 72 55 41 185割合 0.0% 9.2% 38.9% 29.7% 22.2% 100.0%人数 0 6 46 45 35 132割合 0.0% 4.5% 34.8% 34.1% 26.5% 100.0%

2015年

772.39

752.28

786.60

715.38

757.20

TSST「その他」受験者のTOEICレベル分布・平均推移

2011年

2012年

2013年

2014年

0.0%

1.0%

0.0%

0.0%

0.0%

4.3%

4.0%

2.7%

9.2%

4.5%

29.0%

30.7%

28.8%

38.9%

34.8%

31.9%

35.6%

29.9%

29.7%

34.1%

34.8%

28.7%

38.6%

22.2%

26.5%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

2011年

2012年

2013年

2014年

2015年

TSST「その他」受験者のTOEICテストレベル分布推移

E(10~220) D(220~470) C(470~730) B(730~860) A(860~990)

772.39

752.28

786.60

715.38

757.20

660

680

700

720

740

760

780

800

2011年 2012年 2013年 2014年 2015年

TSST「その他」受験者のTOEIC

テストスコア平均推移

TSST「その他」受験者のTOEICテスト

スコア分布人数 割合

895~990 201 21.7%845~890 91 9.8%795~840 129 13.9%745~790 93 10.0%695~740 108 11.7%645~690 83 9.0%595~640 76 8.2%545~590 51 5.5%495~540 27 2.9%445~490 30 3.2%395~440 23 2.5%345~390 6 0.6%295~340 7 0.8%245~290 0 0.0%195~240 0 0.0%145~190 0 0.0%95~140 1 0.1%45~90 0 0.0%10~40 0 0.0%

計 926 100.0%

7.3%

6.5%

8.1%

8.7%

10.6%

11.8%

11.5%

8.1%

8.4%

6.1%

4.8%

3.6%

2.6%

1.3%

0.6%

0.1%

0.0%

0.0%

0.0%

0% 2% 4% 6% 8% 10% 12% 14%

895~990

845~890

795~840

745~790

695~740

645~690

595~640

545~590

495~540

445~490

395~440

345~390

295~340

245~290

195~240

145~190

95~140

45~90

10~40

TSST「その他」受験者のTOEICテスト

スコア分布

TSST「その他」受験者のTOEICテスト

スコア分布749.53

0.0%

1.0%

0.0%

0.0%

0.0%

4.3%

4.0%

2.7%

9.2%

4.5%

29.0%

30.7%

28.8%

38.9%

34.8%

31.9%

35.6%

29.9%

29.7%

34.1%

34.8%

28.7%

38.6%

22.2%

26.5%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

2011年

2012年

2013年

2014年

2015年

TSST「その他」受験者のTOEICテストレベル分布推移

E(10~220) D(220~470) C(470~730) B(730~860) A(860~990)

772.39

752.28

786.60

715.38

757.20

660

680

700

720

740

760

780

800

2011年 2012年 2013年 2014年 2015年

TSST「その他」受験者のTOEIC

テストスコア平均推移

E(10~220)

D(220~470)

C(470~730)

B(730~860)

A(860~990)

計 平均

人数 0 3 20 22 24 69割合 0.0% 4.3% 29.0% 31.9% 34.8% 100.0%人数 1 4 31 36 29 101割合 1.0% 4.0% 30.7% 35.6% 28.7% 100.0%人数 0 5 53 55 71 184割合 0.0% 2.7% 28.8% 29.9% 38.6% 100.0%人数 0 17 72 55 41 185割合 0.0% 9.2% 38.9% 29.7% 22.2% 100.0%人数 0 6 46 45 35 132割合 0.0% 4.5% 34.8% 34.1% 26.5% 100.0%

2015年

772.39

752.28

786.60

715.38

757.20

TSST「その他」受験者のTOEICレベル分布・平均推移

2011年

2012年

2013年

2014年

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39

5.2 高校生と高校英語教師の TSSTレベル分布

これまで、主に社会人と大学生の英語スピーキング能力について見てきたが、高校生についてはど

うであろうか。近年、大学の英語入学試験に4技能試験を導入する動きが活発なこともあり、高校生

の英語スピーキング力養成についても関心が高まってきている。しかし、高校生の「スピーキング能

力の実態」に関わるデータはまだ少ないのが実情である。

そこで、当研究所では、2015 年7月~12 月にかけて、日本の高校1年生の英語スピーキング能力の

実態調査を実施した。さまざまな面で特色の異なる高校3校の協力を得て、2015年度の高校1年生 323

人に TSST を受験してもらった。調査に参加した高校1年生の TSST レベル分布および平均は以下の

通りである。なお、この高校生 323 人は、TOEIC®テストのスコアを保持していないため、これまで

分析対象としてきたデータには含まれていない。

調査協力校の高校1年生の TSST レベルはレベル3が 67.2%で最も多く、次いで隣接する一つ上の

レベル4が 18.6%、隣接する一つ下のレベル2が 12.7%であった。これまで見てきた分析対象者全体

および社会人、大学生、「その他」受験者と比べると、レベル分布の頂点が一つ下のレベル3にずれて

おり、またその割合は7割弱に上る。分析対象者全体、社会人、大学生、「その他」受験者では、最も

多かったレベル4の割合は、それぞれ 39.3%(p.6 参照)、39.2%(p.18 参照)、43.9%(p.33 参照)、

31.9%(p.36 参照)であったので、それと比較すると、高校1年生の TSST レベル分布はレベル3に

集中しており、ばらつきが少ない。また、TSST レベル平均が 3.10 であることから、この調査に参加

した高校1年生の英語スピーキング力は、まだ基礎学習が必要で、「文を作って話そうとして途中で止

まってしまう」レベル3に代表されると言える。

この調査では、調査協力校3校の英語教師にも TSST を受験してもらった。英語教師の TSST レベ

ル分布を次ページに示す。英語教師の TSST レベル分布は、レベル5と6が最も多くそれぞれ 33.3%、

続いて隣接する一つ上のレベル7が 23.3%であった。「(不自由さがありながらも)英語を使って業務

や学業が行える」のはレベル6以上である。英語教師の場合、「英語を使った業務」には、「英語の授

業を英語で行う」ことや、その準備が該当する。「英語の授業を英語で行うことができる(=英語を使

0.0%

12.7%

67.2%

18.6%

1.2% 0.0% 0.0% 0.3% 0.0%0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

1 2 3 4 5 6 7 8 9

高校1年生のTSSTレベル分布

TSST 1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 平均人数 0 41 217 60 4 0 0 1 0 323

割合 0.0% 12.7% 67.2% 18.6% 1.2% 0.0% 0.0% 0.3% 0.0% 100.0%3.10

Page 41: アルク英語教育実態レポート...2016/06/27  · アルク英語教育実態レポート Vol. 7 [2016年6月] 日本人の英語スピーキング能力 -リスニング・リーディング力との関係性に見る英語運用能力の実態

40

って業務を行える」レベル6以上は、60.0%であった。また、英語教師の TSST レベル平均が 5.83 で

あったことから、この調査に見られる英語教師の代表的な TSST レベルは6であると言える。「英語の

授業を英語で行うことができる」TSST レベル6の教師が、「文を作って話そうとして途中で止まって

しまう」レベル3の高校1年生に英語を教えている、という構図が浮かび上がってきた。

なお、この調査では、TSST の受験と合わせて、高校生には学習実態についてのアンケート、英語教

師には授業実態についてのアンケートに回答してもらい、高校生の英語スピーキング能力の実態をそ

の背景も含めて多角的に検証することを試みた。分析の詳細は、『アルク英語教育実態レポート Vol.6

日本の高校生の英語スピーキング能力実態調査 Ⅰ-3年間追跡調査における1年目調査レポート-』

(※1)を参照されたい。

また、調査に協力してくれた高校1年生の英語スピーキング能力が、高校3年間でどのように推移

するかについても調べるため、2015 年から 2017 年までの3年間に渡り追跡調査を行うこととしてい

る。2016 年度、2017 年度のレポートについては、「株式会社アルク 調査レポート」サイト(※2)

で随時公表していく予定である。

※1 http://www.alc.co.jp/company/report/pdf/alc_report_20160422.pdf

※2 http://www.alc.co.jp/company/report/

0.0% 0.0% 0.0%

6.7%

33.3% 33.3%

23.3%

3.3%0.0%

0%

10%

20%

30%

40%

1 2 3 4 5 6 7 8 9

英語教師 のTSSTレベル分布

TSST 1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 平均人数 0 0 0 2 10 10 7 1 0 30

割合 0.0% 0.0% 0.0% 6.7% 33.3% 33.3% 23.3% 3.3% 0.0% 100.0%5.83

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まとめ

本レポートでは、英語スピーキングテスト TSST の受験者 25,559 人について、属性別にその英語ス

ピーキング能力を分析した。また、TOEIC®テストのスコアが判明している人のみを分析対象とするこ

とにより(高校生の受験者は除く)、TSST により測定できるスピーキング能力が、TOEIC®が測定す

るリスニング・リーディング能力とどのように関係しているのかについても描き出そうと試みた。

その結果、TSST を受験した日本人の9割近くが、スピーキング力において英語を使って業務や学業

を行うことがまだ難しい「TSST5以下」であることが判明した。政治・経済・文化等さまざまな面で

諸外国と対等に渡り合い、協力関係を築き、グローバル社会を乗り切るためには、英語でのコミュニ

ケーション能力育成が不可欠であるが、スピーキング力に限って言えば道のりはまだ遠いと言える。

一方で、将来に向けての示唆もあった。TSST の受験者集団は、TOEIC® IP テストの受験者全体と

比べると、TOEIC®テストスコアの平均が約 200 点高く、分布を見ても高得点取得者の割合が高い。

すなわち、TSST を受験している、スピーキング能力の向上が必要な人もしくは向上させたいと思って

いる人は、TOEIC® IP テストの受験者全体と比べて、高いリスニング・リーディング力を持っている

と言える。その技能をベースにして、スピーキング力を上げるための学習を行えば、英語を使って業

務や学業が行える人が増えていくのではないだろうか。

また、過去5年間の分析対象者全体の TSST レベルの推移を見ると、基礎学習が必要な TSST レベ

ル1~3の割合が減り、「英語を使って業務・学業が行えるレベルの一歩手前である」TSST レベル4

~5の割合が増加傾向にあり、日本人のスピーキング力は上昇の兆しがあると言える。特に、製造業

を主としたいくつかの業種では、過去3年間で「英語をあまり話せない」層が減少していた。製造業

では、技術者などをはじめとして、英語を使わざるを得ない状況にある人が多いことが、2015 年3月

に公表した『アルク英語教育実態レポート Vol.3 ―日本人の仕事現場における英語使用実態調査―』

からも明らかになっている。こうした「英語を使わざるを得ない環境にいる」人の存在が、製造業な

どでのスピーキング力の向上につながっているのかもしれない。大学生受験者についても高レベル層

が拡大しているのは、明るい兆しである。

TSST 受験者データは、日本人の英語スピーキング力の実態を知るための一つの指標である。

TOEIC®テストスコアなど他のデータや、産業界や教育界に関わる他の資料と掛け合わせることで、そ

の指標の裏に何があるのか、どうすればスピーキング力を伸ばすことができるのか、そのヒントを得

ることができる。今後もこのレポートを通じて、日本人の英語スピーキング能力の推移とその背景を

見つめ、英語教育に貢献していきたい。

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■参考■

各種テストの能力指標一覧

この表はあくまでも目安です。下記を参照してアルクが独自に作成しました。

http://4skills.eiken.or.jp/qualification/comparison_cefr.html

http://www.ets.org/toefl/institutions/scores/compare

http://takeielts.britishcouncil.org/find-out-about-results/understand-your-ielts-scores/common-european-framework

-equivalencies

http://www.ielts-prep.jp/about/TOEIC.html

http://www.alc.co.jp/company/report/

https://www.ets.org/toefl/institutions/scores/compare/

http://www.cieej.or.jp/toefl/itp/correlation.html

http://www.TOEIC.or.jp/sw/about/data.html

http://www.benesse-gtec.com/fs/teachers/te_gteccbt

英語を話してできること

どんな状況においても、筋道を立てて、十分な説得力をもって話すことができています。第三者へのアドバイスや抽象性の高い内容を話すときも、聞き手が理解しやすいように話を構成してい ます。

様々な状況および話題について、完璧ではない にしても、自分の言いたいことを常に具体的に、説得力を持って言うことができており、論理的に話を展開する能力を発揮しつつあります。

過去のできごとや物事の説明をする際、まだ話題に左右されますが、細かい描写を加えたり、自分の経験談を交えたり、簡単な感想や意見を交えることより、自発的に話を膨らませることができます。

身近なことに関しては、余裕を持って話すことができます。比較や過去のできごとの説明もできますが、複雑な内容の場合は言いよどみや情報の不足が見られることがあります。

身近な話題であれば、多くの場合、自分から付加的な情報を提供しています。適切な言葉が見つからない場合も、知っている単語を駆使してなんとか言いたいことを伝えることができます。

様々な質問に文で答えることができ、簡単な理由を説明したり、描写をしたりすることができます。身近な話題であれば、自分から情報を付け加えることもあります。

きちんと受け答えできるのは身近な話題に限られますが、半分程度の確率で構造が簡単な文で基本的な内容は伝えることができます。

発話までに時間がかかり、内容も最小限の情報に限られます。自分から情報を付け加えることはほとんどありませんが、質問に対して返答することができます。

質問に反応することができずに沈黙が続いてしまうことが多く、発話はすでに暗記している短文に限られます。

TSST

9

8

7

6

5

4

3

2

1

TOEIC

900

800

700

600

500

400

300

英検

1級

準1級

2級

準2級

3-5級

TOEFLITP

600

500

400

300

TOEFLiBT

100

90

80

70

60

50

CEFR

C2

C1

B2

B1

A2

A1

TOEICSpeaking

160

150

140

130

120

110

100

90

80

GTEC for Students

800

700

600

500

400300

BULATS

C2

C1

B2

B1

A2

A1

IELTS

7.0

6.5

6.0

5.5

5.0

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◆連絡・問い合わせ先◆

株式会社アルク

アルク教育総合研究所

東京都杉並区永福 2-54-12

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