fujitsu 人材育成・研修サービス 人材育成最前線 月号...

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株式会社富士通ラーニングメディア FUJITSU 人材育成・研修サービス 人材育成最前線 【特集/基調講演】 富士通・富士通ラーニングメディア共催 人材育成セミナー 2015 グローバル時代の人材と組織のあり方 一橋大学名誉教授 石倉洋子 20161 月号 株式会社富士通ラーニングメディア 東京都港区港南2-13-34 NSS- Ⅱビル 108-0075 Tel.0120-55-9019 http://www.fujitsu.com/jp/flm/ ・本書に記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または商標登録です。 ・本書に記載されているシステム名、製品名は必ずしも商標登録(TM、Ⓡ)を付記していません。 ・本書の内容は 2016 1 月現在のものです。 ・内容については、予告なく変更することがありますので、あらかじめご了承願います。 UZE61Z1N*6

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株式会社富士通ラーニングメディア

FUJITSU 人材育成・研修サービス

人材育成最前線【特集/基調講演】富士通・富士通ラーニングメディア共催

人材育成セミナー2015グローバル時代の人材と組織のあり方一橋大学名誉教授石倉洋子氏

2016年1月号

株式会社富士通ラーニングメディア東京都港区港南2-13-34 NSS-Ⅱビル 〒108-0075

Tel.0120-55-9019

http://www.fujitsu.com/jp/flm/

・本書に記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または商標登録です。・本書に記載されているシステム名、製品名は必ずしも商標登録(TM、Ⓡ)を付記していません。・本書の内容は 2016 年 1 月現在のものです。・内容については、予告なく変更することがありますので、あらかじめご了承願います。

UZE61Z1N*6

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特 集

境界を越える時代 デジタル化の進行は、地域だけではなく色々な意味で境界を越えること、境界をなくすことを可能にしつつある。国境、業界、機能、組織だけではなく、例えば、人間と機械の境界があいまいになり、一体化していくこと、自分のものと他人のものの境界がなくなり、「所有」より「共有」が増えて、shared economyが進むことなど。 だからといってテクノロジーは万能だからすべて信用していいのかという議論もある。ブラックボックスのようなテクノロジーを駆使した解決法と生身の人間の解決法、どちらを信頼するか。また共有する場合もこれまで以上にその基盤となる「信頼」が大切になってくる。  このように新しい形で「境界を越える」ことが起こりつつあるが、この先どういう方向に進んでいくかが見えない。どちらの方向に向かおうとするのか。いまは、正しい答えがなく、意見も百出している。

今世界で起こっていること イノベーションは、技術革新だけではない。競争の場や

こうした時代の組織に必要なこととは? 境界を越えた組み合わせやつながりから生まれるとすると、同じ服装、同じ行動を奨励しているのではイノベーションは生まれない。同じ課題でも違う面から考える人がいないと新しいアイデアは出ない。特に、今の経営者と20代の間には明白な価値観の違いがあるので、逆にそれを活用して、新しいアイデアを多数出し、ビジネスにつなげることを考えたらどうか。 日本の多くの組織は、完璧主義の呪縛にとらわれている。正しい答やアプローチがわからないとそもそも手が出ない。スピード感がなく、なかなか実行できないのは完璧なものを探そうとしているから。こうした姿勢は、組織の中でも意外に根強いのではないか。しかしながら、今の時代は、試行錯誤、プロトタイピングが不可欠なので、ゆっくりやっていては遅い。 新しい時代の組織とは、それぞれ自立して、ユニークなスキルを持つ個を活かすことができる、誰にでもスキルや知識を実践する機会を提供できる組織。みなさんの会社にもアイデアを持つ人がいるのに、実践する機会を与えず、芽をつんでいることが多いのではないだろうか。人材をすべて自前

【基調講演】

一橋大学名誉教授

石倉 洋子氏

人材育成セミナー2015

✽Courseraとは、スタンフォード大学教授のアンドリュー・ウング氏とダフィネ・コラー氏によって2012年に創設された教育技術団体の名称。世界中の大学と協力し各大学のコースのいくつかを無償でオンライン上に提供している。

ルールも変わりつつある。全く新しいブレークスルーではないが、今まであったものをつなぎ合わせて新しい世界を実現する。単体ではなくシステムとしてつなげる時代になり、それには新しい発想、コンセプトが不可欠。すでにこうした世界は進展しているので、このあたりをより一層考える必要がある。 今まではアイデア、コンセプト・レベルでできたらいいなと言っていたことが、ビッグデータや機械学習によって実現できるようになってきた。 テクノロジーの発展に伴い、新しい働き方、たとえばスキルを持つ人が世界とつながって協働することもある。一方、今ある仕事の半分近くが機械化されるという調査結果もある。新しい職種も出てくるはずだが、どんなものか予測できないので、なくなる仕事にばかり注目が集まり、脅威を感じる。 新しい学び方も出てきている。例えばCoursera*。実際使ってみて、続けるためにはオフライン・コミュニティが必要だとも感じるが、学ぼうと思えばいつでもどこでも学ぶことができる。

グローバル時代の人材と組織のあり方で囲い込もうとするのではなく、プロジェクトごとに必要なスキルを持つ人を求め、協働し、実力が発揮できるようにする。個を活かし、個を束ねてより大きな力にするには組織が必要。たとえば、「私たちの組織の目標」とビジョンを明らかにして、それに賛同する人を集めるという考え方もある。世界の大企業トップに、雇用や人材分野で、組織にとって2020年までに重要な要素は何かと聞いた所、フレキシブルなワークスタイルという回答が一番多かった。パラレルキャリア、プロジェクト型など。多様な働き方ができれば、女性、高齢者などにも新たな雇用の機会が生まれる。もちろん、色 な々働き方をする人が増えると、やり難さや違和感も生まれるが、逆にそれが組織に良い緊張感を生む。この緊張感が大切。それが共創力につながっていく。

個人が明日からできること では、個人は、何をしたらよいか。今までの箱を壊すこと。楽だからと、皆つい箱(既成のフレームワーク)に入れたり、ルーティンを追おうとする。いかに今までのやり方に捉われずに、外に出て境界を越え、新しい箱を創っていくかが大事。 周囲と自分を比較するのではなく、昨日より良い自分を求める。昨日の私より良くなったのかを常に考える。もっといい方法があるのではないか、自分なりのやり方を考えるのも良い。

2015年11月5日、富士通と富士通ラーニングメディアは、「イノベーション実現のための共創型人材の育成を考える」をテーマに、『人材育成セミナー2015』を開催しました。現在の企業を取り巻く情勢、そして、デジタルビジネスと言われはじめた世界がどのように変わっていくのか、その中でイノベーティブに未来の価値を創るために人材や組織がどうあるべきか、グローバル経営の視点からご講話いただきました。

富士通・富士通ラーニングメディア共催

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取組事例

テクノロジー

[AWS re:Invent 2015]

 2015年10月6日~9日に米国ネバダ州ラスベガスにて、

Amazon Web Services, Inc.(以下、AWS)によるグローバル

カンファレンス、AWS re:Invent 2015が開催されました。4回

目となる今年は参加者19,000名(ライブストリーミング視聴者

数35,000名)、日本からは500名が参加しました。実践ワーク

ショップ、技術、アーキテクチャ、運用などのあらゆるテーマで、

250を超えるセッションが開催されました。冒頭、「このイベント

は、マーケティングではなく、教育のイベントである」と、従来のカ

ンファレンスとは異なるとの説明からイベントは始まりました。

 Day1の基調講演で、AWSのSenior Vice Presidentである

Andy Jassy氏は、「人々はなぜクラウドに熱狂するのか?それ

はAWSによって自由が得られるからだ」として、『7つの自由』と

この自由をさらに加速させる『8つの新サービス』を発表しまし

た。IT業界を取り囲む状況が変化する中、業務の効率化や競争

力強化につながるビジネスの創造を行うためにクラウド導入を

検討する企業は年々増加しています。しかし、いざクラウドを導

入するとなると、既存システムのデータ移行やサービスレベル

の保証・セキュリティリスクなどが問題となり、なかなか踏み切

ることができないという話もよく聞きます。新サービスとして発

表された、Amazon Snowball*1やAWS Database Migration

Service*2により、大規模なシステムや基幹系システムの大量

データを、容易にクラウドに移行できるようになりました。また、

AWS WAF*3やAWS Config Rules*4、Amazon Inspector*5

により、AWSのセキュリティがさらに強化されました。

 Day2の基調講演で、Amazon.comのCTOであるWerner

Vogels氏は、「2014年に500以上のアップデートを行った」こ

とを紹介し、システムを構築する上で重要となる『6つの法則』と

『7つの新サービス』を紹介しました。何か新しいアイデアのも

とサービス提供を考える際、どうすればできるかではなく、さま

ざまな障壁があるためできないと考えてしまうことがあります。

新サービスとして発表された、AWS IoT*6やAmazon Kinesis

Analytics*7、Amazon QuickSight*8は、いままで専門的な知

識や技術力がある者だけが利用できたさまざまなモノを、一般

の利用部門でも利用できる形で提供されています。

 2日にわたる基調講演から、AWSがクラウドへの移行を妨げ

る要因を取り除くことで、オンプレミスを使い続けるしかないと

いう状況を打破していく、IoTのビジネスへの活用や利用部門に

よるBIが求められる中、AWSが提供する基盤・ツールを利用す

ることで、コアコンピタンスに注力してもらいたいとのメッセー

ジを発信しているように感じました。

 イベントに参加し、売上成長率81%という、世界で最も高速に

成長しているIT企業の勢いを感じました。新サービスは、IoTや

BIといったトレンドはもちろんのこと、クラウド移行を支援する

サービスなど、利用者が求めるサービスをより使いやすい形でリ

リースしているという印象を受けました。

イベントから見る最新技術動向

「オンプレミスからの脱却」、「クラウドだからこそできることをやる」そして「コアコンピタンスへの注力」

マーケティングではなく、教育のイベントである

「クラウドファースト時代」を生き抜くために

 実際に現地に伺い、活気あるセッション、道路を閉鎖して作ら

れた巨大な会場、参加者を運ぶ15ルートものシャトルバス、ホ

テル不足対策に用意された宿泊可能な客船などを見て、前年比

30%の売上拡大を続けるSFDC社の勢いを直に感じました。

 イベントでは、IoT Cloud、SalesforceIQといった最新サー

ビスや、既存サービスの拡充(セキュリティ強化など)、マイクロ

ソフト社とのパートナーシップ強化が発表されました。

 IoT Cloudは、デバイスからデータを収集しSalesforce上の

データと連携させるサービスです。得られたデータに対しての

このCUSTOMER SUCCESS PLATFORMをより強化する

ものと考えられます。

 今回紹介されたサービスは、モバイル、IoT、スマートマシン、

セキュリティなどのトレンドに関わるものでした。SFDC社はこ

うしたトレンドや最新技術を駆使し、ユーザーの成功に向けた

サービスを、ユーザー自身の要望以上の形でスピーディに提供

していました。この姿勢がクラウドコンピューティングをリード

する同社の成長を支えているという印象を強く持ちました。

[Dreamforce 2015]

 2015年9月15日~18日に米国サンフランシスコにて、セー

ルスフォース・ドットコム社(以下、SFDC社)による世界最大規

模のITイベント、Dreamforce 2015が開催されました。13回

目の今年は登録者170,000名、1,600のセッションなど、過

去最大の盛り上がりとなりました。

自動化処理を簡単に組めるようにし、「データサイエンティスト

だけではなく、皆がデータを使えるようにする」との言葉が印

象的でした。セッションでは、ゲームのプレイ状況をIoT Cloud

で収集し、プレイ頻度やゲームの進捗に応じたマーケティング

活動をするデモがありました。

 SalesforceIQは、メールやカレンダーを分析し、顧客への必

要な対応を提案するなど、インテリジェントな営業支援を行う

サービスです。セッションでは活用している企業の紹介や、実

際に顧客への対応が提案されるデモが行われました。

 SFDC社は以前より、IoTを進め、デバイスを利用する顧客

との関係構築が大切であるとするInternet of Customers

の考えと、その実現に向けたCUSTOMER SUCCESS

PLATFORMの提供を進めています。今回発表のサービスは、

顧客の成功を手助けする最新サービス(IoT Cloud、SalesforceIQ)の提供

クラウドコンピューティングをリードするSFDC社の姿勢

AWS re:Invent 会場の様子

Dreamforce 2015 会場の様子

*1 Amazon Snowball専用の物理デバイスを用いて、AWSのデータセンターに直接データ

(50TB)を送るサービス。

*2 AWS Database Migration ServiceオンプレミスのDBからAWS上のDBにデータを簡単に移行できるようにするサービス。インターネット経由でDBのレプリケーションを行うサービス、異なるDBエンジンにコンバートするサービスなどからなる。

*3 AWS WAFAWSが提供するWeb Application Firewallのサービス。今まではパートナーが提供しているWAFを利用するか、自身で用意する必要があった。

*4 AWS Config Rules事前にコンプライアンスルールを設定し、ルールが満たされないような構成変更が行われた際に通知するサービス。

*5 Amazon Inspectorセキュリティやコンプライアンスの問題を発見してくれるサービス。AWSのノウハウを活用したベストプラクティスなどからのかい離をレポート化する。

*6 AWS IoTAWSが提供するIoTサービス。既存のビッグデータ基盤に加え、サーバサイドのDevice GatewayやShadow、クライアントサイドのDevice SDK(C言語向けなど)が提供される。

*7 Amazon Kinesis AnalyticsKinesisのストリームデータに対してSQLを使用し分析できるサービス。

*8 Amazon QuickSightAWSが提供するBIツール。データのリアルタイム分析・ビジュアライズが可能になる。

世界最大のクラウドコンピューティングの祭典

 今回の発表内容を含め、AWSのスピード感はクラウドだから

こそできることをやるという、『クラウドファースト時代』の象徴

だと感じました。お客様の運用コスト削減のためのクラウド導入

だけでなく、新サービス創造・実現のための手段としてのクラウ

ド導入の手助けとなるよう、富士通グループとしてお客様起点の

ソリューションの実現を目指します。

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取組事例

共 創

技術交流 イノベーション

プロフェッショナル

ビジネスノウハウ

未来提言ハッカソン

グローバル

1978年 2015年 1990年 2000年

SEの経験と叡智を結集したSE部門全体の技術交流として開催

「ネットワーク」と「マルチメディア」そして「インターネット」の時代を背景にソフト化、サービスへシフト

ブロードバンドインターネットの新しいステージに向けた事業戦略「Everything on the Internet」を発表

50年にわたり幅広い業種で培った知見・ノウハウをベースに、お客様のさまざまなニーズに対応していくための新たなインテグレーションのコンセプト「FUJITSU Knowledge Integration」を発表

活用

論文執筆

論文公開・発表

執筆:約1,500名論文審査:約1,000名

参加者:約2,000名

論文参照:約22,000名

形式知化

技術・ノウハウの継承

技術・ノウハウの発展

 SSコンベンションは、SEの日常の業務で培われた貴重な

技術・ノウハウ・アイデアを論文としてまとめ、それらを富士通グ

ループ全体で継承し発展させていく1年サイクルの活動です。

論文執筆による技術・ノウハウの形式知化やその共有を通じ

て、個人や組織の成長につなげ、お客様への迅速な価値の提供

や富士通グループのビジネス拡大を目的としております。

 この活動は、まさしく富士通グループSE全員による共創

であり、数多くのイノベーションを生み出してきたものです。

1978年から続けられているこの共創活動は、実に今年で39

回目を迎えることになります。

 論文は、富士通グループ全体で1年間を通して執筆され、厳

しい審査を経て、優秀なものが発表されます。過去には、この

論文から富士通を代表する開発方法論や業務分析手法などが

生まれたこともあります。論文は、毎年約1,500名のSEが執

筆し、論文発表会場には約2,000名のSEが参加、業務では約

40年間に及ぶ富士通グループSE最大の共創

22,000名の方が参照し活用しております。SSコンベンション

は約40年の歴史を持っており、富士通グループ全体で技術・ノ

ウハウが形式知化され、それを継承、発展させていくという、ま

さに富士通グループSEによる最大の共創なのです。

 なぜ、論文なのでしょうか?自身が参画したSIプロジェクト

や業務について、その「振り返り」を行うことで、成功・失敗の

原因を考えることができます。また、振り返りを定型化された

「論文」によって文書化することにより、広く周知・共有するこ

とが可能となり、成功プロジェクトを増やし、同じ失敗を繰り

返さなくなります。「振り返り」の結果を文書化する形式が論文

であり、広く情報共有を行うためには、世界標準ともいえる「論

文」形式が最適と考えられており、SSコンベンションでは、毎

年、論文が募集されています。

 論文は、プロフェッショナル分野(プロジェクトマネジメン

SSコンベンショント、ITアーキテクトなど)、プロフェッショナル分野に依存しな

い汎用的なビジネスノウハウ、新規ソリューションの提言など

幅広く執筆されます。さらに、海外からの論文執筆、参加も可

能となっており、グローバルでの分野横断的な技術・ノウハウの

継承が行われています。

 論文発表会には、社長、SE部門の執行役員も参加、激動す

るビジネス環境、変革するテクノロジー環境を見据えた富士通

の未来ビジョン、富士通がこれから目指す方向も強くメッセー

ジとして発信、会場に集まったSEに共有されます。富士通グ

ループのSEが一堂に会し、お客様への提供価値向上を強く誓

い合うSE最大のイベントでもあるのです。

 ここ数年では、論文発表会には、ハッカソンの発表の場もプ

ログラムとして組み込まれています。ハッカソンは、新サービス

のアイデアを引き出し、それを一つのかたちにするイベントで、

一人ひとりのモチベーションやアイデアにより、富士通を変え

ていこうとする取組みです。

 論文が文章による形式知化であるのに対して、自由な発想、

アイデアから実際にプログラミングしてものを作り上げるハッ

カソンは、まさに実物による形式知化だと言えます。

 論文として形式知化する過程で論理的思考と説明力が養わ

れ、その結果、仕事力の向上に寄与します。また、自身の成果

の振り返りを行うことが、その後の業務の質の向上につながる

ことになり、まさにSSコンベンションは1年間のサイクルで行

う壮大な人材育成施策でもあります。富士通ラーニングメディ

アは、全業種横断、全プロフェッショナル横断、グローバル横

断を通じて行われるこの富士通グループ最大の人材育成の場

の支援を通じて、お客様への提供価値向上に向けた取組みを

行っています。

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取組事例

共 創

 2011年3月11日、東日本大震災が発生し、東北地方を中心

に未曾有の災害に見舞われました。富士通グループは、被災さ

れたお客様に対する復旧支援活動だけでなく、被災地への、

身体を使った復興支援を行うことを決定し、2011年度富士通

(株)に入社した営業/SE新入社員を現地へ派遣しました。

「情報収集する」▶事前課題

①震災被害の実態

②復興・まちづくり計画などを調査する。

■本プログラムを通して…

 本プログラムに参加した新入社員からは、「メディアで知りえた情報と、現地に足を運んで五感で感じとったことには違いがあ

り、それに気づくことができた」というような三現主義の重要性を認識したという声が多くありました。

 また、その上で、富士通としてできることは何かを考えるきっかけになり、行政・市民・企業等多様な立場の人々とのコミュニケー

ションの中で社会課題を多面的に捉えることの重要性に気づき、被災地に対してだけではなく、さまざまな場面における課題把握

や解決策を検討する際のヒントが得られたという声も多数ありました。

 新入社員の皆さんには、本プログラムで得られた経験を生かし、お客様の課題を解決し、お客様と共に良い社会づくりを目指し

てほしいと思います。

◆目的:①被災地域の復興の現状・課題を理解する中で、「三現主義」「相手の立場に立って考えることの大切さ」「主体的な行動の重要性」などを実感し、自己成長のきっかけとする。

②富士通の人材として、社会や企業の課題解決のために求められる行動様式を実践を通じて理解する。③課題把握や解決策検討において、多面的、多様な観点からの検討・参画が必要であることを体感し、実

業務での自主的な実践を促す。◆対象:2015年度富士通(株)入社新入社員566名◆時期:2015年9月9日~12月11日まで2泊3日の研修を全20回開催◆場所:岩手県陸前高田市

東北復興支援 震災から4年半が経過した2015年度は、「被災地を理解

し、地域に寄り添った課題の理解と課題の方向性を検討する

場」として、研修を実施することにしました。当社は、2014

年度より、本研修プログラムの企画や現地コーディネートな

ど、全面的サポートをしております。

富士通東北復興支援活動プログラム

■主な活動内容

▶復興支援活動3グループに分かれ、牡蠣養

殖施設、ワカメ生産者、りんご

農家、ゆず農家、米農家など、

第一次 産業を営んでいらっ

しゃる方々と共に活動し、現地

の方の“想い”を理解する。

「体験し感じる」▶震災展示施設見学(気仙沼市シャークミュージアム、気仙沼市リアス・アーク美術館)震災当時の状況を現地の震災展示から感じる。

▶講話と対話現地で活躍されるさまざまな分野の方から講話をいただ

き、まちの今後の方向性や現地の方の“想い”を理解する。

▶現地行政関係者との情報交換活動テーマに関する現状の課

題や解決への方向性などを

情報交換する。

「洞察する」▶グループワーク

グループ毎に活動テーマを設

定し、復興支援活動や現地行

政関係者との情報交換は、グ

ループ単位で行動し、見て聞

いて体験から感じたことを共

有し、探求する。

「共創し、発表する」▶グループ発表

テーマに即した提案を目指

し、①体験・活動報告②テー

マに関する課題③課題解決

への方針・方向性④考慮すべ

き関連影響や調整事項など

をグループで共創し、発表す

る。聴き手は、更に良いアイ

ディアやポジティブコメント

をフィードバックする。

9 10

 2015年10月よりマイナンバー通知が開始され、2016年1月からは、いよいよマイナンバー制度が施行となります。個人および企業にも法人番号が通知されます。マイナンバー制度は、行政機関だけでなく、全ての民間企業にも影響があります。 例えば、源泉徴収書にもマイナンバーの記載が必要になるため、社員のマイナンバーの取得や、給与・人事システムへの対応、取得したマイナンバーを含む個人情報の安全な管理も必要となります。 また、正社員だけでなく、パートやアルバイトの方を雇っている場合もマイナンバーへの対応が必要です。このように、全ての企業や自治体において、マイナンバー制度の正しい理解と準備は必須です。

マイナンバー制度が施行されます 合理的配慮への対応が求められます 2016年4月に「障害者差別解消法」および「改正障害者雇用促進法」が施行されます。この2つの法改正によって、障害者への「不当な差別的取扱い」の禁止と「合理的配慮」の提供が義務付けられます。

■「障害者差別解消法」と「改正障害者雇用促進法」 法律上の差別とは、行政機関や事業者とそのサービスを受ける障害者との間、あるいは、事業主と障害のある労働者との間で生じるものです。たまたま居合わせた人々や同僚の従業員が行う障害者への差別を禁止するものではありません。とはいえ、そうした第三者においても、障害者との間で相互理解を進めることは求められています。

障害者差別解消法とは…障害者差別解消法は、障害に基づく差別を禁止し、平等な機会と待遇を保障する法律で、行政機関や事業者に対して、そのサービスを受ける障害者への差別を禁止したものです。合理的配慮の提供は、お客様に対しては努力義務が課されます。

改正障害者雇用促進法とは…改正障害者雇用促進法は、従業員の一定の割合(法定雇用率)を障害者とするよう企業に義務付けた法律で、事業主に対して、障害のある労働者への差別を禁止したものです。今回の改正で事業主に差別の禁止と合理的配慮を義務付ける条項が加わります。

■障害分野における差別とは 障害を理由とする差別には「不当な差別的取扱い」と「合理的配慮の不提供」の2種類があります。◎不当な差別的取扱い 障害を理由として、正当な理由なく、サービスの提供を拒否したり、制限したり、条件を付けたりするような行為をいいます。 ◎合理的配慮の不提供 障害者から何らかの配慮を求める意思の表明があった場合には、負担になり過ぎない範囲で、社会的障壁を取り除くための配慮(合理的配慮)を行うことが求められます。合理的配慮を行わないことで、障害者の権利利益が侵害される場合も、差別に当たります。

法改正