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Harmony OS(鴻蒙)はAndroidを超えられるか ファーウェイのスマートフォンビジネスの見通し 2019年10月26日 アジア連合大学院機構 主任研究員 向虹

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Harmony OS(鴻蒙)はAndroidを超えられるかファーウェイのスマートフォンビジネスの見通し

2019年10月26日

アジア連合大学院機構 主任研究員

魏 向虹

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目次

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❑ Harmony OS(鴻蒙)の概要❑ Androidのユーザーエクスペリエンス*改善に期待できる❑ Harmony OS(鴻蒙)はAndroidを超えられるか❑米中ハイテク戦に巻き込まれたファーウェイのスマートフォンビ

ジネスの見通し

※ユーザーエクスペリエンス(User Experience):しばしば「UX」と略される。「ユーザー経験」「ユーザー体験」などと訳される。我々の感覚を喜ばせる度合い、我々が製品に与える意味(意味の経験)、引き出される感覚と感情(感性的経験)を含む、 ユーザーと製品との間のインタラクションから引き出される感情の全集合。(Wikipediaより)

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Harmony OS(鴻蒙)の概要

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ファーウェイの概要

▪ 1987年に中国の深センに設立、従業員持株制による民間企業

▪ 従業員数:18万人以上

▪ 事業内容:通信事業者向けネットワーク事業、法人向けICT

ソリューション事業、コンシューマー向け端末事業

▪ 事業規模:世界で170以上の国・地域に製品やサービスを提供、

およそ世界人口の3分の1はその製品とサービスを使っている

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ファーウェイは通信機器を軸にコンシューマプロダクトも多数グローバル的に展開している。中国ハイテク経済を牽引する存在

➢ 次世代通信規格5Gの技術で、世界の先頭を走っている。➢ 2018年度のスマートフォン出荷台数は世界三位、2019年第1四半期で二位に飛躍。

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Harmony OS (鴻蒙)

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ファーウェイが自主開発したモバイルデバイス向けのOS(Operation System)

8月9日のファーウェイ開発者会議で発表され、これからリリースするOS

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Harmony OS発表の背景

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❑ 2019年5月15日、トランプ大統領が、「情報と通信技術とサービスのサプライチェーンの保護」と題する大統領令にサインした。この大統領令は、アメリカの情報、通信技術、サービスに対する脅威の国家緊急事態を宣言するものである。

❑ 同日、安全保障や外交上の脅威を理由に,アメリカ商務省の産業安全保障局がファーウェイを輸出管理規則に基づく禁輸措置対象のリスト(Entity List*)に登録した。※Entity Listにいれると、アメリカ政府の許可無しにすべてのアメリカ企業は製品、サービス、技術をファーウェイに輸出することができなくなる。

❑ 5月20日、アメリカ政府のファーウェイに対する禁輸措置を受け、Googleがファーウェイに対して、オープンソースライセンスでカバーされる部分を除き、すべてのハード、ソフトのサポートを停止した。

ファーウェイは突然サプライチェーンを切断され、製品出荷のできない状況に落とされた。更にGoogleのサポート停止はファーウェイのスマートフォンのオーペレーションシステムに直撃し、致命的な打撃を加えた。ファーウェイはやむを得ず、テスト中のHarmony OSを前倒しで発表した。

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Harmony OS発表の意義

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❑ ファーウェイはオペレーションシステムをアメリカ企業に依存せず、スマートフォンビジネスの生き残る道を切り開いた。

❑中国初のモバイル端末向けのオペレーションシステムが誕生。

❑美国企業が独占・寡占しているオペレーションシステムの市場に新規参入に踏み切った。

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Harmony OS (鴻蒙)の開発ビージョン

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ファーウェイがサーチした市場ニーズ

➢ すべてのデバイスとその使われ方のシナリオにおいて、総合的にインテリジェンスなユーザーエクスペリエンスが期待される。

➢ さまざまなデバイスやプラットフォームを横断的にサポートするOSが必要とされている。➢ 遅延時間の短さやセキュリティの強固さも求められる。

ファーウェイは以上のニーズに応えるためにHarmony OSを開発している。

Harmony OSはスマートフォンにフォカスするOSではなく、IoT、インテリジェント社会を見据えてスマート・デバイスを一つのOSでサポートできるように開発されてきた。

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Harmony OS (鴻蒙) 特徴

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8月9日のファーウェイ開発者会議でHarmony OSの特徴は明らかになった

❑ Harmony OSは開発当初の目的が分かるようにスマートフォン向けのAndroidやアップルのiOSとは異なるOS。

❑ Harmony OSは、内蔵メモリが数KBクラスのIoT(Internet of Things)機器から、数MBクラスのウェアラブル端末、数GBクラスのスマートフォンやPCに至るまでスケーラブルに適用できる。

❑ Harmony OSのアプリを一度開発すれば複数のデバイスに展開可能。

❑ Harmony OSは、マイクロカーネルベースの分散オペレーションシステムである。

Note:マイクロカーネル(microkernel)は、OSのカーネルの機能を最小限に絞り込み、機能の多くをモジュール(部品)として外部化する設計仕様。

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Androidアプリのユーザーエクスペリエンス改善に期待できる

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❑ マイクルカーネル

ご参考)AndroidとHarmony OSの構成の違い

❑ モノリシックカーネルプロセス管理、空間管理、時間管理、割り込み管理、ファイルシステム、ネットワーク等

❑ ART仮想マシン(Compiler)

Harmony OSAndroid

Androidはモノリシックカーネル。入出力機能やネットワーク機能、デバイスのサポートなど、OSの一般的な機能をカーネルと同一のメモリ空間に実装・実行する。更にARK仮想マシンというコンパイラーもOSの一部。開発者はそれぞれの目的でコードを追加したりするので、いま膨大なOSとなり、必要な機能だけを取り、軽くしたくても容易ではない。

❑ ARK Compiler

❑ 外部モジュール

Harmony OSはマイクルカーネル。OSが担う各種機能のうち、必要最小限のみをカーネル空間に残し、残りの機能を外部モジュールとして扱う。OSの機能拡張、デバッグなどを容易に行える。システム全体を止めずにカーネル以外のOSのアップデートができる。但し、あらゆる場所でプロセス間通信を行う場合、オーバーヘッドが生じる。

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1. Harmony OSはアプリの処理速度の改善に期待できる

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Androidには「ART仮想マシン」というコンパイラーが入っている。

❑ アプリの実行中にもソースコードを翻訳する

・アプリをインストール時、或いはインストールの後にソースコードを翻訳する(コンパイラー*)

・アプリの実行時にその都度ソースコードを一行

ずつ翻訳する(インタープリター*)

というところが残っているため、実行速度は遅い。

Harmony OSは「ARK Compiler」によってサポートされている。

❑ ソフトウェアを開発の段階でソースコードを事前に機械コードにコンパイルしておく。

・インストール時、或いはその後に翻訳する時間

・アプリ実行中にその都度の翻訳をする時間

を省くことができる。

※コンパイラー(Compiler):人間に分かるプログラミング言語をコンピュータが解釈・実行できる機械言語一括して変換するソフトウェア。

※インタープリター(Interpreter):ソースコードを1行ずつ解釈して実行していくためのソフトウェア。一行の記述ごとに解釈・実行するため、ソースコードの記述の誤りを発見しやすいという利点があるが、ソースコードをまとめて機械語に変換するコンパイラーに比べて、処理速度が遅くなるのが欠点。

https://youtu.be/reAasF0IPJc

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2. Harmony OSは既存ガベージコレクションの方法を変更

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Harmony OSは、纏めてガベージコレクション(GC*)のやり方を変えた。個々のスレッドに対してGCイベントを発生させるので、処理時間が短く、裏でガベージコレクションの処理をしても、ユーサには感じさせない。

Androidは、ある程度纏めてGC*イベントを発生させる。アプリ実行の途中でGCイベントが発生した場合、システムはプロセスの実行を一時停止し、GCを開始するため、ユーザは一時的に画面のフリーズを感じる。

※ガベージコレクション(GC):プログラムが動作する際には、1. プログラム処理に必要な情報をメモリ上に読みこむ。 2. 読みこんだ情報をもとに処理を実行する。その処理が終わったら不要となり、メモリ上に残された”ゴミ”のような状態になってしまう。そこで登場するのが、ガベージコレクション”。つまり、「プログラムが確保したメモリ領域のうち、不要になった箇所だけを解放てくれる」機能。

Harmony OS‘s Garbage Collection

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3.Harmony OSはアプリ別に最適化が可能

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AndroidはすべてのアプリのソースコードをART仮想マシンに渡し、均一の最適化がある程度できるが、個々のアプリ性能の最適化ができない。アプリの開発者はプロセッサのアーキテクチャを気にせずに開発できる点において優れているが、アプリの性能の差別化を図れない。

機械コードVM

VM

VM

ソースコード

ソースコード 機械コード

ソースコード 機械コード

ART仮想マシン

ソースコード 機械コード最適化案1

ソースコード 機械コード最適化案2

ソースコード 機械コード最適化案3

ARKコンパイラーHarmony OSはARK Compiler を通し、最適化の計算方法はアプリごとに変えたりすることができる。チップセットに合わせてパフォーマンスを出せる。

ファーウェイのチップセット「Kirin」に合わせて最適化したAndroidアプリは、操作の流暢さを最大24%、応答速度を最大44%、スムーズさを最大60%向上させる発表。

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Harmony OSはAndroidを超えられるか

➢ 市場シェア➢ ユーザーエクスペリエンス

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Androidの強み

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❑ 長年に培った強いエコシステム「Android勝利の要因は“エコシステム”。この成長は携帯電話機やプラットフォームそのものではなく、エコシステムが大事だ」 元Google CEOのEric Schmidt氏は2011年2月に退任の前で残した言葉。➢ Googleは今日のエコシステムを作りあげたのは10年もかかった。その10年間、サービスの統合及び

アプリケーションの品質改善を積み重ねた。➢ そのエコスシテム上に数百万のアプリケーションと高度な人工知能機能を備えている。➢ よく計画された比較的安全なGoogle Playというアプリストアがある。

❑ エンドユーザに親しまれたGoogleモバイルサービス(GMS)がある。Google Chrome、YouTube、Google Map、Gmail等のアプリはGoogleが戦略的にモバイルデバイスに統合した。使いやすさ、完成度において いずれも優れるもので、知らないうちに人々の生活に織り込んでいた。

GMSのためにAndroidを買収したが、いまになってGMSがAndroidの地位を固める役割をしている。

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Harmony OSのチャレンジ

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❑ エコシステムの構築ファーウェイはHarmony OSを発表した以上、第3のスマートフォンOSとなり、自己のエコシステムを築しないければならない。Androidは10年間をかけて市場シェアを2009年の1.8%から、いまの86%まで拡大した。モバイルOS市場の王者となった。一方、Harmony OSは、これからエコシステムを開拓し、育っていく新生児。例え王者に挑戦することにしても、まだまだ時間がかかる。

❑米国政府の制裁の重しファーウェイは、デバイスを製造するサプライチェーンは禁輸措置によって突然分断された。いままで米国企業から購入していた部品・コンポーネントを個々にレプレースする作業を行っている。その作業は想像以上にリーソスが消耗されている。置き換えのできないものはこれから自社で開発をしなければならない。

従って、当分、Harmony OSはまずファーウェイのスマートフォン及びその他の自社デバイスに載せて広げられるであろう。又、米中貿易戦の行方によって、中国国内のスマートフォンベンダーによって採用される可能性もある。

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ファーウェイの強み

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➢ ハードとOSを一体で開発できる強みがある機能とユーザーインターフェースの融合を細かなレベルまで調整することができる。

ハード・ソフトの二刀流企業Apple社を見れば分かる。技術面で他社に先行を許しながらも、iPhoneが高い人気を博し続けている。これはハード技術とインターフェイスのバランスが良く、ユーザーエクスペリエンスがAndroid端末より優れているが故といえるであろう。

➢ ファーウェイはHarmony OSによってAndroidの制限から解放されるファーウェイは既にハードウェアのスペックを他社より良いものを実装されている。コネクティビティ、カメラ、AIなどの分野はファーウェイのコアコンピテンス。しかし、ハードウェアの性能だけで、ユーザーエクスペリエンを改善するのは限界ある。

Androidはより多くのスマートフォンメーカを囲い込むために汎用性を保もたなければならい。個々のメーカの要望を応えるのはまずできるない。Androidはオーペンソースで長年に渡って開発者によってコードを追加してきたため、OS自体は肥大化しており、何を削除したら、システムが動かなくなるかは分からない。メーカにとってはカスタマイズをしにくい。

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❑ ユーザーエクスペリエンスにおいて、ファーウェイはハードウェアとOSの両方を持つベンダーの強さを活かし,比較的に早くAndroidを超えるであろう。

❑ 市場シェアにおけるファーウェイの選択肢①高い市場シェアを追求しなく、Apple社と同じように利益を求める。②市場シェアの拡大を目指し、出荷台数を伸ばしてAndroidを超える。

IDCによると、2018年通年でのシェアは、Samsungが20.8%で1位、Appleが14.9%で2位。そしてHUAWEIが14.7%で3位。ファーウェイは自社OSをリリースした時に、Appleとファーウェイのシェアを除けば、Androidのシェアはおよそ70%になる。この70%のシェアはSamsungをはじめとする世界中の何十社のスマートトフォンメーカとの協業があってはじめて実現する結果であり、一社で成し遂げるものではない。ファーウェイはハードウェアOriented会社、アプリの開発は事業戦略の範疇外。OSで守るアプががなければ、世界中のスマートフォンメーカ用にエコシステムを経営するメリットはほとんどない。従って、ファーウェイは②の選択肢をとる可能性は非常に低い、GoogleとスマートフォンOSシェアの争奪戦を進んでやらないであろう。

Harmony OSはAndroidを超えられるか

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米中ハイテク戦に巻き込まれたファーウェイのスマートフォンビジネスの見通し

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Googleがソフトのサポート停止でファーウェイへのインパクト

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Googleが各スマートフォンメーカに供給する主なソフトは大きく分けて以下の2種類:

➢ OS: AndroidAndroidそのものは、オープンソースで、HAUWEIが継続に使用することはできる。但し、Androidの技術情報をGoogleが提供しなくなる。

➢ アプリ:Google GMS(Google mobile service)Google Play ストア、Gmail, Google Chrome、YouTube、Google map等Google GMSこそ、ファーウェイの海外ビジネスに打撃を与える。

これから Google GMSのサポート停止を前提に, ファーウェイのスマートフォンビジネスを検証してみる。アメリカの禁輸措置はハードもソフトも輸出を制限するが、ここでの検証はHarmony OSの延長線でソフトウェアに特化する。ハードウェアはまた別の機会で取りあげる。

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米国制裁によるファーウェイの国内スマートフォンンビジネス

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❑ Google は2010年5月に中国市場から撤退したため、中国ベンダーが出荷したスマートフォンにもともとGMSを搭載していない。Google GMSの供給停止はファーウェイのビジネスにはあまり影響はない

❑中国に出回っているスマートフォンンアプリを見ると、Googleだけではなく、他の外国のアプリもほどんどない。それでもエンドユーザは不便も感じない中、ファーウェイは中国国内アプリ開発ベンダーの協力を得れば、一応エコシステムの構築もそれほど難しくない。

❑技術的には、Android上の既存アプリが ファーウェイ ARK Compilerでコンパイルすれば、Androidと同等の性能が出せる。アプリ開発の各社はソースコードの最適化で協力すれば、更に性能は高くなる。

従って、米国の制裁は中国国内でファーウェイのスマートフォンビジネスにあまり影響なし(ハードウェアをの供給の影響を除く)。一方、ファーウェイはApple社の中国向けの価格戦略の如何によって、iPhoneの市場シェアを獲得する可能性がある。

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米国制裁によるファーウェイの海外スマートフォンビジネス(1)

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❑海外市場の経営環境は国内市場と違って一転厳しくなる

➢ Googleのソフト(特にGMS)供給をストップとなると、顧客はファーウェイスマートフォン離れを引き起こす恐れがあり、いままでの市場シエアが縮小する可能性が高い。Google Play、Gmail, Google Chrome、YouTube、Google map等、いずれにしてもよく使われるアプリなので、無いと不便を感じるユーザが多い 。

但し、ファウェイのスマートフオンにはプレインストールできないが、GMSはフリーソフトのため、ユーザは購入後、自分でDown loadすることができる。

➢ 通信キャリアは国によってファーウェイへの対応が違う。Androidを使わないファーウェイのスマートフォンを販売しないところも出てきた。

➢ 海外でのエコシステムの構築も国内より時間がかかる。各国にはそれぞれユーザが馴染みのあるアプリはあり、技術的にはスムーズに移行できても、それらのアプリベンダーとのアライアンスを組むのは短時間で成し遂げるタスクではない。

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米国制裁によるファーウェイの海外スマートフォンビジネス(2)

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❑ ファーウェイは10月16日に1ー9月の売上高が6108億元(約860億ドル)となり、前年同期比で24.4%増加したことを明らかにした。スマートフォンビジネス:3四半期を合わせて1.85億台、前年同期比は26%増。第一四半期は50%増なので、第2四半期の出荷台数はマイナス成長、既にアメリカの禁輸措置によって影響を受けている。

❑ 第3四半期(7-9)の数値は発表しなかったが、過去の発表を元にロイターが算出したところ、売上高は27%増の1652億9000万元(232億8000万ドル)だった。一部の国による措置やいわれなき批判にもかかわらず、第3四半期も堅調な業績が続いた。

❑ アメリカの禁輸措置の猶予は11月19日に期限となり、来月に禁輸措置が発動されると米製品へのアクセスを失うことになる。ファーウェイのサプライチェーン再構築ができるかどうかによって出荷台数は左右される

ファーウェイの海外スマートフォンビジネスはアメリカの制裁の如何によって揺れ動き、短期的に楽観できない見通し。

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