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Instructions for use Title 砂の力学的性質に及ぼす粒子形状および粒度分布の影響 Author(s) 三浦, 均也; 長谷川, 敬寿; 松本, 吉英; 土岐, 祥介 Citation 北海道大學工學部研究報告, 149, 11-24 Issue Date 1990-02-28 Doc URL http://hdl.handle.net/2115/42211 Type bulletin (article) File Information 149_11-24.pdf Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP

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  • Instructions for use

    Title 砂の力学的性質に及ぼす粒子形状および粒度分布の影響

    Author(s) 三浦, 均也; 長谷川, 敬寿; 松本, 吉英; 土岐, 祥介

    Citation 北海道大學工學部研究報告, 149, 11-24

    Issue Date 1990-02-28

    Doc URL http://hdl.handle.net/2115/42211

    Type bulletin (article)

    File Information 149_11-24.pdf

    Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP

    https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/about.en.jsp

  • 北海道大学工学部砥究報告第149号 (平成2年)

    Bulletin of the Faculty of Engineering,

     Hokkaido University. No. 149 (1990)

    砂の力学的性質に及ぼす粒子形状および粒度分布の影響

    三浦均也 長谷川敬寿松本吉英 土岐祥介       (平成元年9月30日受理)

    The尉官簸uence of Grai蔦Shape and Grai鷺Size Distr藍bution

             on the Meehanieal Properties ef Sands.

        Kinya MluRA, Keiju HAsEGAWA,

    Yoshlhide MATsuMoTo and Shousul〈e ToKI      (Received September 30, 1989)

    Abstraet

       Deformation-failure behavior of sand varies considerably, depending on their primary

    propert1es, such as grain shape, crushability and grain size diseribution. To reveal the

    significance of primary properties in sand deformation-strength characteristics is the aim

    of present study. The preceding companion report dealt with the effects of primary prop-

    erties on physical propertles, and present report deals with the effects on mechanical

    properties.

       Some 80 sand samples with different grain shapes aRd grain size distributions were

    prepared frorr} three different kinds of sands. Drained eriaxial compression tests were

    performed on all the sand samples with the same relative deRsity ; the observed deforma-

    tion behavlors showed a remarkable infiuence of primary properties on deformation-fail-

    ure behaviors.

       DeforrRation behaviors during consolidation and shearing, and failure behaviors were

    examined. The conclusion is summarized as follows.

    1) Clear correlation is found arnong compressibility during consolidation, shear rigidity

    and dilatancy contractivity during shear. The sand that consists of more angular parti-

    cles has a higher void ratio and is more compressive, less rigid and more contractive.

    2) Shear strength is inflttenced by grain shape, crushability and graln slze distribution,

    the more angular, less crushable and better graded sand exhibits higher shear strength.

    3) lt is not true for the saRds with different prlmary properties that the sand with hlgher

    shear rigidity exhibit higher shear strength, whlch is be}ieved generally true for a particu-

    lar sand with different densities and different confining pyessure.

    土木工学科 基礎地盤工学講座

  • 王2 三浦均也・長谷川敬寿・松本吉英・土岐祥介 2

    1.ま え が き

     密度や含水比などの後天的な性質,および,圧密条件や排水条件などの応カー一ひずみ条件に依

    存して土の変形・強度特性が大きく変化することは広く認められている。土の物性に及ぼすこれ

    ら後天的な性質や応カーひずみ条件の影響を明らかにするために,多くの研究はある特定の土に

    ついて種々の条件の下で変形・破壊挙動を調べてきた。一方,土は天然に産するためにその性質

    は千差万別で,粒子の形状,破砕性や粒度分布など土が生得的に有している性質も変化に富んで

    いる。当然のことながら変形・強度特性もそれらに依存してかなり異なっているといえる。しか

    し,土の挙動に及ぼす生得的性質の影響を系統的に調べた研究は未だ少ない。

     近年になって,ロックフィルダム,海中ケーソンのマウンドなど粒径の大きい粗粒材料を用い

    た大規模構造物の変形量や安定度をより正確に評価するための研究が行われている1)。そのため

    には粗粒材の力学的性質をまず実験によって明かにする必要があるが,設備が大規模になるなど

    の理由から一般に試験の実施が困難なため,砂質土の変形・強度特性に影響を及ぼす種々の要困

    を明らかにした上で,粗粒材の力学的性質を簡易な方法で推定することが期待されている。

     土粒子の形状,破砕性や粒度分布など生得的な性質が土の変形・破壊挙動に及ぼす影響を明ら

    かにし,土の変形・強度特性を統一的に評価する手法を確立することが一連の研究の目的である。

    回報2>および本誌では,この目的に沿って行われた基礎研究の成果を報告している。土粒子の性質

    や粒度分布が異なる試料について物理的性質および力学的性質を調べ比較・検討することによっ

    て,それらに及ぼす土の生得的な性質の影響を明らかにしている。本報告では調整された約80種

    類の試料について三軸試験を行い,観察された変形・破壊挙動を考察することによってそれらに

    及ぼす土粒子の形状,破砕性および粒度分布などの影響を明らかにしている。

    2.三軸圧縮試験

     2.1試験方法 本研究では,飽和供試体(D=70 mm,H=165 mm)について排水条件で通常の三軸圧縮試験を

    実施している。この際,有効拘束圧を196kPa,バックプレッシャーを196 kPaの一一定とし,ひ

    ずみ速度0.25%/minで統一した。コンピューターを組み込んだ自動計測システムよって,軸変

    位,軸荷重,間隙水圧,側方圧力,体積変化量を測定している。データの整理および解析に用い

    た応力とひずみのパラメータは次のようである。

         平均主応力 σm=(σ。+σ,)/2, 最大せん断応力 Tm =1σa一σ,1/2

         応力比Tm/σm=sinφm 体積ひずみε.=・ε。+2ε,

    ここで,σ。,σ,は軸応力と側方応力,ε。,ε,は軸ひずみと側方ひずみである。ただし,応力はす

    べて有効応力を意味している。

     2.2 試料および供試体の作製方法

     本研究で用いた試料は珪砂A(CA-SAND),豊浦砂(TO-SAND),相馬砂(SO-SAND)の

    3種類で,これらについて粒度調整を行い,粒度分布が均一で最大粒径Dm。、が異なる均等粒径試

    料(Uniform Sample),最大粒径Dmaxあるいは最小粒径Dm…。が一定で均等係数Ucが広範に変

    化する混合粒径試料(Graded Sample)を合計約80種類準備している。試料の準備方法,粒度分

    布などについては前報2)を参照していただきたい。これらの試料各々については比重試験,最大・

    最小密度試験を実施し,さらに角張りの程度も顕微鏡による観察で調べている。土粒子の性質や

  • 3 砂の力学的性質に及ぼす粒子形状および粒度分布の影響 13

    粒度分布と物理的性質との相関については前報に詳しく説明している。

     本研究のように砂の変形・強度特性に及ぼす土粒子の性質,粒度配合などの生得的な性質の影

    響を要素試験によって調べようとする場合,種々の砂で品質の良い供試体を作成するために採用

    する供試体作製法には次のようなことが要求される。

     1)広い範囲の粒度分布を有する試料について有効であること。 2)供試体の密度をコント

    ロールしゃすいこと。 3)供試体の構造が一様であること。 4)手法が複雑でなく,個人差が

    少ないこと。 5)作製された供試体の性質が一定しており,同一の試料についての試験結果の再

    現性が良いこと。本研究室においては,これまで多重ふるい落下法3)により要素試験に供試体を供

    給してきた。この手法は数層のふるいを通して乾燥砂試料を落下堆積する方法で,上記の要件の

    うち2)~5)までを満足していると考えられ

    る。しかし,試料の粒径が細かすぎて空中に

    飛散し易いとき,あるいは粒度分布がよいた

    めにふるいを通る際に分級する危険があると

    き,この手法を適用することは難しい。そこ

    で,本研究ではロート法と振動法を組み合わ

    せた供試体作製法を採用した。この手法を簡

    単に説明すると次のようである。1)乾燥試

    料をロート法によりモールド内に注ぎ込み訳

    詞状態をつくる。 2)小型バイブレータ(周

    波数120Hz,振幅0.3mm,消費電:カ10 w)

    によって所定の密度が得られるまで締固め

    る。この手法が先に挙げた要件を比較的良く

    満足していることを予備実験によって確かめ

    ている。

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    図1 供試体作製法の違いによる変形・破壊挙動の棚違

     一般に供試体の作製方法は供試体の粒子配列構造を決定し,変形挙動に大きな影響を与えるこ

    とが知られている。そこで自然状態の豊浦砂を用いて本研究で採用した手法で作成した供試体と,

    多重ふるい落下法のよって作成した供試体(どちらも栢対密度Dr =50%)について三軸圧縮・伸

    張試験を実施し,変形・強度特性の簡単な比較を行ってみた。図1は軸ひずみε。に対する応力比

    rm/σm,および体積ひずみε。の変化を示している。そのおおよその特性は以下のようである。

    1)圧縮・伸張試験において,多重ふるい落下法によるものよりも体積収縮量は小さく,変形初

    期の剛性は燥ぎい。

    2)両供試体とも破壊強度は圧縮側の方が伸張側より高いが,その差は多重ふるい落下法による

    もののほうが大きい。多重ふるい落下法による供試体では強度の異方性が強いのに対し,本供試

    体作成法によるものの方がより等方的な力学特性を示している。

     本研究では全ての供試体で作成時の相対密度がDri漏70士3%となるように調整している。前

    回2)で説明したように最大一二比ema、および最小間隙比emi.は粒子の性質や粒度分布によって

    大きく変化するために,相対密度を一定とした試験条件での初期間隙比elは~定ではなくpa 2

    (a,b, c)に示すようであった。

  • 14

    1,5

    三浦均也・長谷川敬寿・松本吉英・土岐祥介 4

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           図2 供試体作製時における間隙比;(a)均等粒径試料,(b,c)入舎粒径試料

                    3.砂の変形・強度特性

     本章では,3種類の砂を粒度調i整することによって準備した試料について三軸圧縮試験を行い,

    砂の変形・破壊挙動に及ぼす生得的性質の影響について考察している。試験で観察された均等粒

    径試料についての応カーひずみ関係の典型例を図3(a,b, c)に示す。砂の力学的性質を把握す

  • 5

    1.0

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    砂の力学的性質に及ぼす粒子形状および粒度分布の影響

    CA-SAND, UNIFOR団{Uc蓬1.3}, D伊アO匿

    Cロ匿βr。35;駐馬 5r=196kP。置co隔t.  ’

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    図3 応カーひずみ関係;(a)珪砂A,(b)豊浦砂,(c)根馬砂

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    1.0

    るため,等方圧密時の変形挙動,せん断初期の変形挙動,ダイレイタンシー挙動,せん断破壊時

    の強度特性および変形特性に着目し,それらと砂の生得的性質との関係について分析している。

     3.1圧密時の変形特性

     三軸試験のせん断応力を載荷する前の圧密過程において,有効拘束圧19.6kPaの等方圧密さ

    れている供試体は,等方有効拘束圧196kPaまで圧密される。この間に測定された軸ひずみε。。,

    および体積ひずみε.、と最大粒径Dmax,均等係数UCとの関係をそれぞれ図4(a, b, C), wm 5

    (a,b, c)に示す。

     Dm。、の増大に対しては発生する軸ひずみ量は単調に減少するが(麟4(a)),体積ひずみ量は減少

    した後Dmax=300μm付近を境に増加に転じている(図5(a))。ここで注意しなければならないの

    は,Dmaxが大ぎくなるにつれて土粒子と土粒子の間にメンブレンが貫入する割合が大きくなるた

    めに排水量が増大し,体積変化が実際の体積変化よりも大きく測定されてしまうことである(メ

    ンブレン貫入効果)。このことは,Dm。.が大きくなると体積ひずみ量が軸ひずみ量の10倍を越え

  • 16 三浦均也・長谷川敬寿・松本吉英・土岐祥介 6

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    二.で△△煮ノ乱財r・2・・一       ノ        ノ    ’O               ノロ      。〉旦/ロ

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    1.e  2D 3.0 4.0 5.0 6.0 7.OUN1FeRMIT¥ COEFFI[IEN“i’ , Uc

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    監~ローローロ e。075

    oAv CA一一SANO

    o SO-SAND (c)

               to 2.o 3.o 4.e s.o 6.e 7,0                  UNIFORMITY COEFFICIENT , Uc

             図4 圧密時の軸ひずみ量;(a)均等粒径試料,(b,c)混合粒径試料

    ていることからも明かである。したがって,以下において圧密時の変形量は発生した軸ひずみに

    基づいて議論している。

     [Uniform Sample]均等粒径試料の圧密時の変形特性については以下のような傾向が読み取

    れる。

     圧密時変形量εacは最大粒径Dmaxが小さくなるにつれて大きくなり,また,珪砂A,相馬砂,

  • 7 砂の力学的性質に及ぼす粒子形状および粒度分布の影響 17

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    ∴磁二三㌻二1:: :

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                1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 70                   UNIFO糾買Y〔OEFF!⊂IEN丁tU⊂

             図5圧密時の体積ひずみ量;(a)均等粒径試料,(b,c)混合粒径試料

    豊浦砂の碩にε。。は大きいという傾向がある。また,Dm。、との間には,εacと初期間隙比elは類似

    した変化傾向を示し,e」が大きいほどεacも大きいという相関が認められる(図2(a),参照)。こ

    のような傾向が得られる理由としては以下のようなことが考えられる。

     1)土粒子の破砕の影響が考えられるが,一般に土粒子は寸法が大きいほど内部の欠陥が増大

    し,破砕し易くなることが知られている。これについては前報2}で説明した通りである。しかし,

  • 18 三浦均也・長谷川敬寿・松本吉英・土岐祥介 8

    圧密変形量は粒子寸法の増大にともない逆に減少していること,また破砕しにくい梱馬砂の方が

    豊浦砂よりも変形が大きいことなどから,本研究における圧力レベルでは圧密変形に及ぼす粒子

    自身の破砕の影響は考慮しなくても良いと思われる。

     2)間詠出が大きいことは土粒子の周囲の空間が広いことを意味しているので,土粒子が再配列

    するときの移動量も大きくなり,その結果として圧密変形が大きくなると推定できる。

     3)土粒子が角張っているほど粒子同士の接点は不安定で,粒子の角が欠損する程度の破砕が生

    じ易くなるだろう。したがって,土粒子自身の形状が圧密変形に及ぼす影響を考慮した場合,粒

    子が角張っているものほど圧密変形が大きくなると推定できる。

     4)弾性球の接触問題に基づくと,土粒子の形状と弾性係数が等しく粒子配列構造が類似してい

    れぽ,弾性的な圧密量は土粒子の寸法に依存しないことがわかる4}しかし,土粒子寸法が小さくな

    ることは単位体積当りの接点数の増加を意味するので,粒子が再配列する割合が高くなり変形が

    生じ易くなると考えられる。

     以上を総合すると,等方圧密時の変形量に及ぼす土粒子形状や粒子寸法などの影響は,最大・

    最小間隙比に及ぼすそれらの影響と類似している2)。したがって,均等係数が小さな均等粒径試料

    において相対密度を等しくした場合,等方圧密時の変形の程度は初期間隙比の大きさによってあ

    る程度説明できるようである。

     [Graded Sample] 図4(b, c)に示されている試験結果をまとめると以下のようである。

     1)均等係数Ucに対する圧密時の変形量εacの変化傾向は最大粒径Dm。xが一定の場合と最小

    粒径D臨が一定の場合で異なっている。

     したがって,ε。。に及ぼすUCの影響は小さいと考えられる。 Dmaxが一定の場合ではUCが増大

    すると構成粒子の寸法が小さくなって行くので,角張り度は増大する。そうするとDm。、が一定の

    場合には変形量は大きくなると考えられる。一方,Dmi。が一定の場合では逆の理由からUCの増大

    とともに変形が小さくなって行くのであろう。

     2)pa 2(b, c)が示すように,初期間隙比e正はUcが増大すると一様に減少する傾向があるが,

    圧密変形量εacはこれに対応していない。

     したがって,粒径分布が均一な場合と異なり,均等係数が広範に変化する場合には初期間隙比

    と圧密時の変形量との間に相関関係が存在しない。

     3.2せん断初期の変形特性

     せん断初期の剛性を表すパラメータとして,割線係数E’50をせん断変形初期のε。~T,n/σm関係

    から算出して図6(a,b, c)に示している。

     [Uniform Sample] 図6(a)より,次の傾向があることがわかる。

     最大粒径Dm。、の増大とともに剛性E’5。は増大し,豊浦砂,網馬砂,珪砂Aの順にE’5。は大きい。

     E’50が大きいことはせん断変形量が小さいことを意味するので,これらの傾向は圧密時の変形

    特性とよく対応している。すなわち強度が破壊時の半分程度しか動員されていないせん断初期の

    範囲では,等方圧密時と同様に剛性は初期間隙比eiとの間によい相関のあることが指摘できる。

    ただし,珪砂Aの場合には粒子寸法の大きい領域でE’5。の減少がみられ,若干の粒子破砕が生じ

    ている可能性があることから,その影響も無視することはできないと考えられる。

     [Graded Sample]図6(b, c)から剛性に及ぼす均等係数の影響を読み取ることができる。

     最大粒径Dma、を一定とした場合と最小粒径Dmtnを一定とした場合とで剛性E’50と均等係数

    Ucの楕関が異なる。また,初期問隙比elとの間にも一義的な関係がみられない。

  • 9 砂の力学的性質に及ぼす粒子形状および粒度分布の影響

      500

     400.MLt

    8 300ヨ

    gx髪200s拐

      100

       e

    r.1ff.

    sin¢d

    油 2 盤E9。Ee

    UNIFORM

    A/v/ o

    AA/

    (a)

    .A

      A      /ロレ! //2gpB ifg” o

     -

    /   ll/o

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      oXNxo

    o [A-SAND

    A TO-SANBロ SO-SANB

      500

      ら00

    s$u」

    T

    雪300si

    gZ髪200s誘

      aoo

       e

    o.os O.3 O,2 O.5 1.0 2.0  卜iAXI卜fiUM 〔iRAIN SIZE,Dm己x,〔rr監m〕

    5,0

                            i

                         ffRABEB

       。\ロ      ①剛。⊂。nstr      x.o

             X  o          口\             Xo

                    ×               cr                 ロロ\D・…2.。・m

    ∴零乏∵一:こ・・

             O,2S                   oAv [A-SANB

     (b) 1 I B SO-SAND1,0

      500

      400

    s$

    鶏300Sg霊

    妄200CES

     100

      e

     2.0 3.0 4.0 5,0 6.0 7.OUNIFORMIT¥ COEFFICIENT, Uc

    遡CD.i,=coflst,)       l

    oAv CA一一SAND

     o SO-SAND

             Danin=O,6mm

    計量三∴ゴ :m

                              t[)

          1.0 2.0 3.0 4.0 S.0 6.0 70              UNIFORMITY COEFFICIENT . Uc                            t

    図6 せん断剛性(害1線係数);(a)均等粒径試料,(b,c)混合粒径試料

    19

  • 20 三浦均也・長谷川敬寿・松本吉英・±岐祥介

     すなわち,圧密時の変形と同様に初期

    せん断剛性についても均等係数は影響を

    及ぼさないと考えて良い。

     3.3 ダイレイタンシー特性

     体積変化の傾向は,せん断過程におい

    て観察される最大の体積ひずみε.。.に

    着目して調べている。せん断載荷時には

    有効拘束圧を一定に保っているため,メ

    ンブレン貫入による体積ひずみの測定誤

    差は考慮しなくてよい。

     [Uniform Sample] [Graded Sample]

    図7(a,b, c)は体積変化量εvcvと最大

    粒径Dmaxあるいは均等係数Ucとの関

    係を示している。

     粒度分布の相違によらず体積収縮量

    ε。。vはせん断剛性を表すパラメータE’50

    とは全く逆の変化を示している。

     したがって,せん断応力の増加にした

    がってまず現われる負のダイレイタン

    シー変形量はせん断剛性の低下とともに

    大きくなることがわかる。ただし,珪砂

    Aの大粒径部分では顕著な体積収縮が

    認められることから,粒子破砕はせん断

    変形よりもダイレイタンシー特性に,よ

    り大きな影響を及ぼすと推定できる。

     せん断変形特性が変化すると,それに

    呼応してダイレイタンシー特性も同じよ

    うな傾向で変化することがわかった。し

    たがって,体積ひずみ増分とせん断ひず

    み増分の比をとることによって,初期間

    隙比の影響などは現われなくなるかも知

    れない。多くの研究者は,エネルギー原

    理に基づいて誘導される体積ひずみとせ

    ん断ひずみの増分比と,せん断・垂直応

    力比との関係式を軸に,粒状体の変形挙

    動のモデル化を試みている。本研究の結

    果は,粒度分布が変化する場合でも応力

    比一ひずみ増分比関係式によって,変形

    挙動をある程度一義的に説明できる可能

    性を示唆していると思われる。

    O,B

    10

    v O.6

    i直

    壽 ,.、

    登 o・2

    o

    oX.

    o EA-SAND

    A TO-SAND

    ロSO SAND

    UN王FORM

    レ・・

     Ey

             og××esc .J./otfl 1

      口\口   1\ロ

    O,8

    一〇.6

    ε

    嚢、、

    ゑ∋e.2

    o

    e.os o.1 o.2 o.s 1,0 2.o s.o    MAXIMUM GRA!N SIZE,Omex,Cmrn}

    oAvCA-SAND口  SO-SAND

     v Omex=O.2Smm

    Lp.

    GRADED

    un (Dmex=[onst,}m

    }▽     △o・6一一「一一。/  。/・   /・2・o ザ        ム  ノ                    

        /△         Q/   1一。3認、。一・一。…・一。/ 香@/・2.O・一

                !〔】      i 。一U一・一〇’      !口〆  ロ     ノの

      一〇  1        ㈲

      /

    1.0

    o.s

     2.e 3.e 4,0 s.o 6.o 7.oUNIFORMITY [OEFFICIENT , Uc

    璽α6

    1哩

    ff e,4

    8律

    峯、2

    9

    o

    o Xo

    ×口

    Ax 1 ×ll s一一H 一H.一 [

    ㍉△滞『△一誘ロー一\m o・07s一

    {c)

    1,0 2,0 30 4,0 5.0 6.0 7.O     UNIFORMITY [OEFFI[IENT, Vt

    図7 せん断時における最:大の体積収縮量;

      (a)均等粒径試料,(b,c)混合粒径試料

  • ll 砂の力学的性質に及ぼす粒子形状および粒度分布の影響

     3.4せん断破壊強度特性

     均等粒径試料について内部摩擦角φd

    と最大粒径Dmaxの関係を図8(a)に,混

    合粒径試料についてφdと均等係数UC

    との関係を図8(b,c)に示している。

     [Uniform Sampie] ee 8(a)/k ig, ¢cl

    と粒子寸法について次の傾向がわかる。

    土粒子寸法Dmaxが大きくなると一般に

    内部摩擦角φdは減少する傾向にある。

    また,相馬砂,豊浦砂,珪砂Aの順にφd

    は大きい。

     このような傾向については以下のよう

    に説明できる。

     1)第~に土粒子の破砕性の影響が考

    えられる。前報2)で説明したように,土粒

    子個々の破砕強度は土粒子寸法の増大と

    ともに減少する,また,相馬砂,豊浦砂,

    珪砂Aの順に破砕しにくい。このよう

    に,粒子が破砕しにくいほど内部摩擦角

    は大きいといえる。

     2)粒子形状の影響も認められる。すな

    わち,Dm。、の増大にともない角張り度の

    減少が著しい。

     豊浦砂や相馬砂の:方が珪砂Aよりも

    急激な強度低下傾向を示すことは,粒子

    形状の影響を示唆するものと考えられ

    る。

     3)図2(a)が示すように,粒子寸法の増

    大とともにせん断開始時の間隙比は減少

    しており,この点からは土粒子寸法の増

    大にともなう強度の増加が期待される。

    しかし,試験結果は逆に強度の低下傾向

    を示している。したがって,土粒子の寸

    法や形状を考慮しないで砂質土の破壊強

    度を間隙比によって一義的に説明するこ

    とは難しいと考え.られる。

     [Graded Sample]図8(b, c)に示す

    内部摩擦角φdと均等係数UCの関係か

    ら次のように雷える。

     珪砂Aについては,最大粒径Dm。、あ

     44

    ー42

    di 40

    じ38窪

    蕾36糞

    21

    34

    1

    ロ      UNIFORMl\日

    Ax戟fN

      口  ・“合呈.

        含\。

    ox × O}O oNONO      x

     てばロ 

      o CA-SAND  A Te-SAND{a〕   ロSO-SAND

    ロ  ロ

    \。.\・ミ5

    ×   o

     44

    9・42

    G 40竃

    ts 38

    ee 36婁

    34

    o.os o.1 o.2 o.s 1.o 2.e s,o    MAXIMUM SRAIN S!ZE,Bmax,{mam)

          E

        5RADED

        {Dmex=censt,)

       一’一丁..o一“ /

         o,2s /a o.6 o.

    。,・一・一C二呂/三・一・//6。/

    △一

    於蘒  6 ./O o   o

       l   i  Dmaズ=2.Om吊

      /日。/ロ P   1一 2.0 一

      /oo/O l   E

    (b}

    oAv CA-SANDm SO-SAND

    1.0

     44

    喜V一...

    一42

    署4。

    謹3s旺

    hr 36婁

     2.0        ヨ,0     4.0    5.0   6.0  7.O

    UNIFORNITY  〔二〇EFFI⊂IENT , Uc

    34

    ×口\

     口\ 、

     ロ ロ、

    6RADED

      {0・i・託。nst}   D漁。

     ロ       /□0.075m田  _[コ_  !ロロ\

    Z-A/OiS

    Q△▽〔二A-SANO

      SO一一SAND

    1.0  2.0 3,0 4,0 5.0 6.0 7.OUNIFORMITY COEFFICIENT,U,

    図8 せん断破壊時の内部摩擦角;

      (a)均等粒径試料,(b,c)混合粒径試料

  • 22 三浦均也・長谷川敬寿・松本告英・土岐祥介12

    るいは最小粒径D.i.が一定の場合で

    も均等係数Ucの増加にともなって強

    度が増大することが明かである。

     したがって,破壊強度におけるUc

    の影響は著しく,Ucの増加とともに

    φdも増加するといえる。しかし,相馬

    砂についてはDminが一定の場合には

    Ucとともに必ずしも強度が胆魂する

    という傾向は見られない。これはDmin

    が一定試料では,Ucの増加とともに

    粒形の丸い大粒径成分が増加するため

    に強度が低下する傾向が現われ,これ

    ら2つの園子が及ぼす影響が打ち消し

    合っているためと考えられる。

     3.5破壊時の変形特性

     一般に砂は変形を受けると硬化を生

    じ,ひずみの増加にともない応力も増

    加して行く。そうして応力はピークに

    達した後,軟化現象により減少してゆ

    く。このピーク時に発揮されている応

    力が破壊強度で,内部摩擦角φdをパ

    ラメータとして前節で議論した。この

    ピーク時までに生じる変形の大きさに

    ついては,この節ではピーク時におけ

    る軸ひずみε。fをとり,その特性につ

    いて検討している。

     [Uniform Sample] [Graded Sam-

    ple〕最大粒径Dm。xおよび均等係数Uc

    に対して破壊時の軸ひずみε。fの変化

    を示したのが図9(a,b, c)である。

    この図から次のことが言える。

     破壊時変形量εafの変化傾向は図4

    に示す圧密時変形量ε。。,図7に示す

    ダイレイタソシー量:εVCVの変化傾向

    と非常に類似しており,またec 6に示

    すE’seとも強い相関が認められる。ε。f

    は破壊時の変形特性を表す量であるが

    破壊強度φdとの関連がほとんど見ら

    れない(図8参照)。したがって,εafは

    ε。。などと同様に間隙比,粒子形状,粒

    IS,O

    「篭0お

    z’

    奏 s’o

    6Xx

    18骸fi, xxx

    て  の

    !t,、

      Eaf

    gNNg

     h“gso一一一〇一 .o/O

      X. O

    o 〔二A-SAN[〕

    A TO-SANDロSO-SAN[〕

    × 口 口\ロ

    {e)

    15,0

    {e{ie

    「霊0.0

    謡5,0蓬

    O.05 O,1 O,2 O,S 1,0 2,0 5,0    MAXrMeM 5RAIN S!ZE,Dmex,{mm}

      /▽ ノ  。__。α6▽/▽ @ △△/♂   でむ △!Q△\     O   O㌔          g 掴。-         O O

    一v Dmex=O.25mrn

       1

    (Dmax=coBst.)

    01,L

    /   ノロ ロノロ、、、 1

    口/口’

      .一〇一〇一s Z’9

       !ロ!  2.0[],□’口’自

    oAv CA-SAND口  SO-SANO

    t5.0

     2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.OUNiFORM!TY ⊂0巳FF玉⊂i…三NT,Uこ

    :. Go.g

    之5.o

    遡      {0 6ss \  O   り \ 。。\   ロヘ  ロ

    \  区\  △\△          \・\琴\△・一’” 畜~ご騰

    tc}

    1.0 2,0 3.0 4.0 5,0 6.0 7.O      UN!FORM!TY COEFFICIENT , Uc

     図9 せん断破壊時の軸ひずみ量;

       (a)均等粒径試料,(b,c)混合粒径試料

  • 13 砂の力学的性質に及ぼす粒子形状および粒度分布の影響 23

    子寸法の影響を強く受け,Ucや粒子破砕性の影響はあまり受けないと考えられる。

     3.6 変形破壊挙動の一般的な特性

     図10(a,b, c)には粒度調整以前の自然状態の豊浦砂について,密度と変形・破壊挙動の関係

    を種々の相対密度Drcについて調べた結果を整理して示している(詳細は文献5)参照)。これら

    の図を検討すると,圧密変形特性,せん断変形特性は互いに密接な関係があり,「破壊強度が高い

    ほど破壊に至るまでの変形は小さく,剛性は大きい」と,明瞭な関係がある。また,図示してい

    ないが拘束圧が異なる場合,拘束圧が低いほど内部摩擦角は大きく,変形は小さく,剛性が高く

    なることが知られている6)。よって,拘束圧の相違による変形・破壊挙動の変化について上記と同

    様な傾向が指摘できる。

     一方,これまで示してきた変形・破壊挙動の比較からも明らかなように,本研究のように土粒

    子寸法,形状,破砕強度,および粒度の異なる砂質土を対象に議論する場合,強度が高くても必

    ずしもそれに対応して剛性も高いわけではない。すなわち,変形,醐性,および破壊強度に著し

    い影響を及ぼす,砂粒子固有の性質はそれぞれ違っているのである。たとえぽ,粒子の形状につ

    いては,角張り度が大きいほど変形は大きく,剛性は小さい,しかし,強度は増大するという傾

    向がある。

     以上のようなことを考えると,破壊強度のみを原位置試験から推定したり,室内試験で測定し

    たりして得られる強度特性から変形特性を直接推定することには無理があると言えよう。

    500

     400s£

    B 300

    g呈

    ts 200ぎ

     100

    o

    雰α2

    z一

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        む 

    一一¥き 

    0

    40 so 60 7e so   REしAτ王VE DENSITY

    τ0-SANO〔NATURAし}ヨSP一晦牽hod

       O/O潤^p

           /o       OO 

    L

     90  100Dr、【%}

     4ら

    鞠42尋

    望40く

    臣38臣

    ほヨ 婁

    4mhso 6070 so go loo 344b  RELATIVE DENSITY , Dr ,(el.)

               図10せん断破壊時の一般的特性

    50 60 70 80 90 100RELAT1VE DENSITY , Dr , {Ole}

  • 24 三浦均也・長谷川敬寿・松本吉英・土岐祥介 14

    4.ま  と  め

     本研究では,3種類の砂を調整して作成した試料について三軸せん断試験を実施し,砂の力学

    的性質を調べた。砂の圧密時の変形特性,せん断初期のせん断剛性,ダイレイタンシー特性,破

    壊時の変形・強度特性について詳細に検討した結果,それらに及ぼす砂の生得的性質の影響は以

    下のように取りまとめることができる。

    1)圧密時の圧縮量εa。,初期せん断剛性E’50,ダイレイタンシー量εvcvの間には相互に密接な関

    係があり,試料の間隙比,角ばり度,粒子寸法によって,ほぼ同じように影響を受ける。すなわ

    ち,粒子が角張っていて,粒子寸法が小さいほど変形量は大きく剛性は低下するといえ,均等な

    試料で,相対密度が一定の場合には初期問隙比とよい相関が認められる。一方,均等係数の顕著

    な影響は認められない。ただし,粒子の破砕性の影響はE’50とεVC.に若干みられる。

     2)破壊強度は土粒子が破砕しにくいほど,粒子                         表1 力学的性質に及ぼす生得的性質の影響が角ばっているほど,均等係数が大きいほど大き

    いという傾向がある。

     3)「破壊強度が高ければ変形は小さく,剛性は

    高い」という関係が広く信じられていて,種々の

    条件にある特定の砂についてはこのような傾向が

    認められる。ところが,本研究のように構成鉱物

    が同じでも粒子形状や粒度分布が異なる場合に

    は,必ずしもこの傾向は当てはまらず,むしろ逆

    の傾向が現われる可能性がある。

     砂の力学的性質に影響を及ぼす一次的性質を表   ※以上は相対密度が一定の場合

                                       △影響小                         ※◎影響大,○影響あり,1にまとめている。

     本研究は,文部省「科学研究助成金・一般研究(C)(No.63550355)奨励研究(A)(No.63750487)」

    の補助を受けて行ったものである。

    (粒子寸法大)

    i構成鉱物脆い)

    j砕性が大

    (角張り度大)

    i粒子寸法小)

    i均等係数小)

    ヤ隙比が大

    角張り

    xが大粒子寸

    @が大

    均等係

    狽ェ大

    ei一 一

    ◎増大 ○減少 ○減少

    εac △増大 ○増大 ◎増大 ○減少 一

    E50’ △減少 ○減少 ◎減少 ○増大㎜

    εVCV △増大 ○増大 ◎増大 ○減少 }

    φd ◎減少一

    ○増大一

    ◎増大

    εaf △増大 ○増大 ◎増大 ○減少一

    1)例えば,土質工学会(1986):”粗粒材料の変形と強度”.

    2)三浦均也,松本吉英,長谷川敬寿,土岐祥介:北海道大学工学部研究報告,第146号,pp.

    3) Miura, S. and Toki, S. (1982): Soils and Foundatiens, VoL 22, No. 1, pp. 61-77.

    4) Timoshenko, S. P. and Goodier, J. N. (1951):”Theory of Elasticity,” 2nd ed. Mc-Graw

     Hill, pp. 372-377.

    5)阿部芳三,高月 修(1982):学士論文,北海道大学工学部土木工学科.

    6)三浦均也 (1981):学土論文,北海道大学工学部土木工学科.