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Japan Telework Society NII-Electronic Library Service JapanTelework Society Hliii 1-tV-l7\ftes Vo],2 No.1 pp,45-pp.63 2003 i"v,,vi:ftsc soHo$\EEi et) <"6= ;- ==-i i -sJise t-raA$\Eli(D ?s v F7-O Etr>?s <JikJhl:ra (t'( ・- The Formation ofCommunity Supportwith SOHO Workers -・ A Successfu1 Path for NetwotkBusinessofPrivate SoJeProprietors -- MM[$Sc\ ilNfias X; TokyoInstituteofTechnelogyKumiKomoriya SOHO (Small Oence Home Othce) becomes a hot toplc inthe mass inedia etc. and thenumber of SOHO workers goes on increasing steadily fbr several years. SOHO workers can do the work at home or wherever , along with the development ofimproved information technology and thediffitsion ofnetwork. Itisthe first step te create an environment to realize the needs ofSOHO worker's. But SOHO workers are facing to some prob]ems after they become sole proprietors, such as the problem ofraising funds, theheavy tax system, the development ofbusiness partners, and the lower social cogriition of SOHO workeTs, Inorder to solve these problems, several supporting organizations are forrned, such as public agencies. priyate enterprises, non-profit organizations (NPO), SOHO workers net"Tork etc, Each sector attempts to support the development ofSOHO, which provide hardware and software including oence, training programs , and so on. Thisthesis presents a case study ofMITAKA city inTokyo, which makes local authorities as a policy to support the developmentof uTban industry. This thesis isorganized as fo11ows. In chapter 1,thebackgroundof building SOHO CITY inMITAKA and the features ofsupporting system are described, And ]take up the survey results thatare evaluated by SOHO workers. In chapter 2, the features ofthe SOHO workers inMITAKA and the problems of SOHO are iltustrated, In chapter 3, the actual situation of SOHO workcrs isexpressed by using transaction cost approach. Now, thecosts of inforrnation searching can be reduced due to thedevelopment of information technology, On theother hand, the cTedit costs are increasing. In order to decrease the credit costs, I insist on making a communit>r. Community builds a future-oriented re]ationship between person and person. It is possible to solve the problem by making a comtnunity. The successfu1 community cases of`'RAKUTEN-ICHIBA'' and `'WASEDA Shopping Association" are also introduced in this sectien. Finally, chapter 4 conc]udes the thesis.I compare successful community with SOHO support plan ofMITAKA, I make it appear that MITAKA hasto establish community next phase , and propose a SOHO community modcl to support the development ofMITAKA. Keywerd: SOHO, community, business platform, credit, social capital 45

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JapanTelework Society

Hliii 1-tV-l7\ftes Vo],2 No.1 pp,45-pp.63 2003

i"v,,vi:ftsc

soHo$\EEi et) <"6= ;- ==-i i -sJiset-raA$\Eli(D ?s v F7-O Etr>?s <JikJhl:ra (t'( ・-

The Formation ofCommunity Support with SOHO Workers-・ A Successfu1 Path for Netwotk Business ofPrivate SoJe Proprietors --

MM[$Sc\ ilNfias X;

TokyoInstituteofTechnelogy KumiKomoriya

SOHO (Small Oence Home Othce) becomes a hot toplc in the mass inedia etc. and the number of SOHO

workers goes on increasing steadily fbr several years. SOHO workers can do the work at home or

wherever , along with the development ofimproved information technology and the diffitsion ofnetwork. It is the

first step te create an environment to realize the needs ofSOHO worker's.

But SOHO workers are facing to some prob]ems after they become sole proprietors, such as the

problem ofraising funds, the heavy tax system, the development ofbusiness partners, and the lower social cogriition of

SOHO workeTs, In order to solve these problems, several supporting organizations are forrned, such as public agencies.

priyate enterprises, non-profit organizations (NPO), SOHO workers net"Tork etc, Each sector attempts to support the

development ofSOHO, which provide hardware and software including oence, training programs , and so on.

This thesis presents a case study ofMITAKA city in Tokyo, which makes local authorities as a policy to support the

development of uTban industry. This thesis is organized as fo11ows. In chapter 1, the background of building SOHO

CITY in MITAKA and the features ofsupporting system are described, And ] take up the survey results that are

evaluated by SOHO workers. In chapter 2, the features ofthe SOHO workers in MITAKA and the problems of

SOHO are iltustrated, In chapter 3, the actual situation of SOHO workcrs is expressed by using transaction cost

approach. Now, the costs of inforrnation searching can be reduced due to the development of information technology,

On the other hand, the cTedit costs are increasing. In order to decrease the credit costs, I insist on making a

communit>r. Community builds a future-oriented re]ationship between person and person. It is possibleto solve the problem by making a comtnunity. The successfu1 community cases of`'RAKUTEN-ICHIBA'' and

`'WASEDA

Shopping Association" are also introduced in this sectien. Finally, chapter 4 conc]udes the thesis. I

compare successful community with SOHO support plan ofMITAKA, I make it appear that MITAKA has to establish

community next phase , and propose a SOHO community modcl to support the development ofMITAKA.

Keywerd: SOHO, community, business platform, credit, social capital

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は じめ に

 SOHO (Small Othce Home  OffTtce) と呼ばれ る ワ

ーク ス タイ ル が こ こ数年話題 に な り、そ の 数 は着

実に増 えて きて い る。自宅や遠隔地で も仕事 がで

きる よ うにな っ た背景には 、コ ン ピ ュータの 機能

向上 とイン ターネ ッ トをは じめ とす るネ ッ トワー

ク の 普及 が大 きい 。 これ らの ツ ール が普及 した こ

とは 、 今まで 人 々 が持 っ て い た ニーズ を実現 す る

環境整備 の 第一歩で ある。そ の ニーズ とは 、通勤

に よる負担 を減 らす こ と、育児期に あた る主 婦や

高齢者、障害者の 労働市場参加 が容易 にで きる こ

と、労働時間や組織 に縛 られ るこ とな く 、 個人の

能力で い つ で も ど こ で も仕事がで きる こ と、さら

に新規産 業 の 育成な どで ある 。SOHO が理想的な

期待の 膨 らむ ワーク ス タイ ル で あ るか の よ うに マ

ス コ ミなどで 取 り上げ られ るよ うに な っ た。

 しか し、す べ てが バ ラ色 とい うわけで は ない。

現実に SOHO と して個人事業主に な っ てみ る と、

資金調達の 問題、負 担が重 い 課税制度、取引先の

開拓、社会的認知度 の 低 さな ど様 々 な問題に 直面

す る。それ を是正 す べ くこ こ数年 の 間に行政 、民

間企業 、 NPO 、 SOHO 団体な ど各セ ク ター

で SOHO

支援機 関が で き始めた 。 オ フ ィ ス な どハー

ドの 提

供、研修プ ロ グ ラ ム な ど ソ フ トの 提供 と、それ ぞ

れ の セ ク ター

が特徴を生か して SOHO を支援 しよ

うと して い る 。

 そ こ で 、本論文で は 、自治体が都市型 の 産 業振

興 政策 と し て 取 り組 ん で い る 三 鷹市を事例 に 取 り

上げる。第 1 章で は三鷹市が SOHO  CITY 構想 を唱

えた背景、20 年の 人脈蓄積が 生か され た 支援体制

の 特徴 、支援に対す る三鷹市の SOHO 事業者 か ら

の 評価 を述 べ る。第 2 章で は三鷹市の SOHO 事業

者の 特徴 と、SOHO をめ ぐる問題点を整理す る。

第 3 章で は 、 SOHO 事業者の 現状を取 引 コ ス トア

プ ロ ーチ にあて はめ て 述べ る。イ ン タ

ーネ ッ トな

ど情報 通信機器 の 発 達に よ り情報サーチ コ ス トは

個人 で も低 い コ ス トで 実現 で き る よ うにな っ た 。

その一

方 で 、信用 を担 保す る信用 コ ス トは高 い ま

ま で あ る 。 そ こ で、キーポイ ン トとなる の は信用

コ ス トを低 くするた め に 、人 と人 との 関係性 を っ

くる コ ミ ュ ニ テ ィ を つ くる こ とで ある 。こ こ で は、

コ ミュ ニ テ ィ 化 して 成功 した事例 とな る楽天市場

と早稲 田商店会 を紹介する 。 第 4 章はま とめ とし

て 、成功 した コ ミ ュ ニ テ ィ と三鷹市 の 取 り組みを

比 較す る 。 そ し て、

三 鷹市 が 次 に 取 り組む べ き

SOHO 施策 と して 、  SOHO コ ミ ュ ニ テ ィ をつ くる

こ とを提案す る。  「静的 情報」 と 「動的情報 」 の

両 面 が コ ミ ュ ニ テ ィ の 中で登場す るオー

プ ン な ビ

ジネ ス プ ラ ッ トホーム を設 けて情報 を共有 ・蓄積

する環境構築が、SOHO をめぐる問題 の い くつ か

の 解決 に つ なが る で あ ろ う。

第 1 章 三鷹市の SOHO 支援施策

SOHO の 定義

  三鷹市の SOHO   CITY構想を紹介す る前に 、本

論文 にお ける SOHO の 定義をする 。  SOHO と呼ば

れ る人たちの ワ ーク ス タイル は多種多様で あ り、

本業 ・副 業 の 位置付け も個人 に よ っ て あい ま い で

ある こ とか ら、研 究者あ る い は 当事者間で さえ も

定義は異な り、現在 の とこ ろ まだ確定 した もの が

な い 。本 論 文 で は 三鷹市の 事例 を取 り上 げ る とい

うこ ともあ り、三鷹市 と同 じ定義田 を採用す る。

〈 SOHO の 定義〉

 個人も し くは 少人数で 、小 さな事務所 また は 自

宅 を オ フ ィ ス と して 情報機器 な どを活用 して 営業

して い る人 々 及 び それ に向け て 起業化 しよ うとす

る人 々

 本論文 にお い て SOHO とは企業に雇 われ る の で

は な く、個人 事業主で ある こ とを前提 とする。仕

事をす る と こ ろは 自宅 、小規模 オ フ ィ ス 、取引先

な ど場所に は こ だわ らない 。SOHO と区別 し た い

の は 、 会社組 織 に雇用 された 勤め人 の 立 場 で仕事

を在宅で行 な う 「テ レ コ ミューテ ィ ン グ 」  (在宅

勤務)、あ る い は 企業が 郊外 に 設 置す るサ テ ラ イ

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Japan  Telework  Sooiety

SOHO 事業者をめ ぐる コ ミ ュ ニ テ ィ形成

トオ フ ィ ス に通 勤す る 「サテ ライ トオ フ ィ ス 勤務1 、

営業職な どに 多い 直行直帰型の 「モ バ イ ル ワー

ク」

な どで あ る 。

  また、就労形態 と して 、SOHO は フ リー

ラ ン ス

で 働 くパ ター

ン が多 い が、これ と区別 し た い の は

派遣社 員や ア ル バ イ ト (い わゆ る フ リー

ター)や

パ ー トタイマ ーで ある。 派遣枇員やア ル バ イ ト、

パ ートタイ マ

ーは企業の 正 社員に 代わる ラ イ フ ス

タイ ル に一致 させ た働 き方 とし て 浸透 し て きた。

SOHO もラ イ フ ス タイ ル に一致 させ る とい う意味

で は こ れ らと同 じで あるが 、契約 の 形態 が派遣社

員の 場合に は派遣会社 との 雇用契約、ア ル バ イ ト

やパ ー トタイ マーは就労先と

一定期間の雇 用契約

を結ぶ も の で ある の に 対 し、SOHO は個人事業主

で あ り請負 で契約する とい う違 い があ る 。

三 鷹市の SOHO をめ ぐる支援体制

 東 京都三鷹市は 『三 鷹市地域情報化 計画』 (1998

年 8 月発行)【2】にお い て 「情報都 市み た か 」 の サ

ブ タイ トル をっ け、基本理念の 重点施策の ひ とっ

と して 「SOHO  CITY  み たか 」 を位置づ け た。

「SOHO  CITY み た か 」 の 推進 にあた っ て は 、

図 1 にあ るよ うに (財)三 鷹市ま ち づ く り公 社が

活性化事業 の 中心 の 役割 を担 っ た。 そ の 後、1999

年 に TMO (Town  Management Organization)機関

が設 立 され 、 三鷹市ま ちづ く り公 社を統合 し、現

在 は (株)ま ちづ く り三 鷹 が 中心 とな っ て 事業 を

行 なっ て い る 。

 SOHO 支援施策にお い て 、三鷹市は 地域情報化

計画 の 中で 「SOHO モ デル 地区 (情報産業誘致特

別 地 区)」の 指 定を行 な い、 1998年 12月 に 「三鷹

市 SOHO パ イ ロ ッ トオ フ ィ ス 」 が開設 され た 。 こ

の 施設は 、行政主導の SOHO 支援機関 と して は国

内で も先進事例 の ひ とつ で ある。さらに 2000 年 4

月 には 「三鷹市産業プラザ1 、 「三鷹市三立 SO日o

セ ン ター

」 が開設 された。これ ら 3 施設 に計 53社

が 入居 して い る。また 、ホーム オ フ ィ ス として地

域に点在す る SOHO 、学生 、市民に対 し 、「SOHO

サ ロ ン 」 と 「三鷹 lCLUB 」 とい う会員制の 組 織

を つ く り、市が 整備 した 3 施設 の 利用や情報提供、

会員相互 の 交流を通 して ネ ッ トワー

ク の 形成 を図

っ て い る。会員数は約 700 人 (2001 年 4 月現在)

が加入 して い る。

 一

方 、SOHO 支援組織 と して 「SOHO   C 【TY み

た か推進協議会」 に約 160 人が参加 して い る 。 構

成メ ン バ ーには 、 三 鷹市 、 三鷹商工会 、 CATV 局 、

三 鷹市に オ フ ィ ス が あ る 民間大手企業、SOHO を

マー

ケ ッ トとし て捉えて い る企 業、大 学関係者 と

援者》

〈 SOHO  CITY み たか

    推進協議会>

SOHO を支援す る企業、市、大学な ど

約 160人加盟

<まちづ 〈り研究所 〉

市、大学 、 シ ン クタン ク、

企業 で 構成

共 同 で 調査 ・研 究、方向性 を提案 23 人

三 鷹市

出資

相互 協力 ML

<SOHO 入居施設> 53 社 が 入 居・三鷹市 SOHO パ イ ロ ッ トオ フ ィ ス

・三鷹 市産業プ ラ ザ

。三 鷹 市三 立 SOHO セ ン ター

同 じス ペ ース を利 用

SOHO

(財)三 鷹市まちづ くり

公 社

(株)まちづ くり三 鷹

ML ML

〈 SOHO サ ロ ン 会員 〉  約 600 人

く 三鷹 icLUB 会 員〉 約 100 人

・入居 SOHO・三 鷹市及びそ の 周辺を拠点 とする SOHO・学生 、市民な ど

※ (財)三鷹市ま ちづ く り公社は 2001 年 4 月よ り (株)まち づ く り三鷹に 統合

図 1  三鷹市の SOHO をめ ぐる支援体制

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各セ ク ター

か ら参 加 して い る 。 ま た 、 ま ち づ く り

に関す る さま ざまな課題に つ い て 市民、企業、大

学 ・研 究機 関、行政が共 同 で調査 ・研 究す る場 と

して 「三 鷹市まちづ くり研究所」を設置 し て い る。

筆者 も 1999年か ら参加 して お り、メ ン バ ーの 調 査

研 究活動を もと に 、SOHO  CITY  み たか の 展開

につ い て 提言を行な っ て い る。

20 年の 人脈蓄積によ るパ ー トナーシ ッ プ

  「SOHO  CITY  み た か 1 の 推進 に は 、各企 業

や 団 体の 多彩なネ ッ トワー

クが ある 。 そ の 背景 に

は 、約 20 年前か ら続 く市 と支援企業と の 人脈が生

か され て い る 。三 鷹市は 1984年か ら 2年半にわた

り、NTr を主導と した 脳 S 実験 の モ デル 都市 と し

て さまざまな実験 を行な っ て きた。こ の 実験の コ

ン セ プ トは ISDN 網 を市内に張 り巡 らし 、 高度な情

報 を市民生活に 生 かす とい うもの で あ っ たた め、

Nlllh と い う一

企業主導だ け で は なく、自治体や一

般 の 市民、小 中学校の 協力 ・参加 を要す る地域 に

密着した情報化推進実験 で あ っ た 。 こ の 人脈が今

の 「情報都 市み たか 」 構想に も生か されて い る。

さ らに 、い ち早 く光 フ ァ イ バ ー

網 が整備 され た三

鷹市は、こ こ数年 の 間に通信系大企業の コ ン ピ ュ

ータ セ ン タ

ーが集 ま っ て きてお り 、 以前か ら三鷹

市 へ の 協賛とい う友好関係 が続い て い る とい う環

境に あ る。 し か し 、ただ 人脈が あ っ た り、地理 的

に大企業の 情報拠点が 集積 して い るだ けで な く、

ビジネ ス の 視点 か ら新しい 都市型 産 業政策 へ の 関

心の 高 さ、SOHO 市場 の成長性 を見込 ん で い る か

ら こそ企業側 も積極的なア プ ロ ーチ を して い る こ

とは容 易に想像 で きる 。 な かで も協賛企 業 の うち

賛意を得た 8企業が ボラ ン テ ィア で SOHO パ イ ロ

ッ トオ フ ィ ス 立ち上げの ワー

キ ン グチー

ム に参加

し た。ワー

キ ン グチー

ム の 活動 は 三鷹市まちづ く

り研 究所 が提 案す る諸条件に基づ き、事 務機器 メ

ーカー

を中心 と した メ ン バ ーが プ ラ ン を作成 し、

SOHO 事業者で もある市民 が批評 し 、 批評 を元 に

次 の プ ラ ン を作成す る こ とを繰 り返 し行な っ て 、

SOHO パ イ ロ ッ トオ フ ィ ス の 開設 に至 っ た 。 ワー

キ ン グチーム に 参加 した各社 ともSOHO をターゲ

ッ トと した マー

ケ ッ ト展開 に着手 しは じめた とい

うタイ ミ ン グの よ さもあ っ た が、企 業側 が営業の

一環や っ きあい として 参加 して い るだけで は なく、

SOHO  CITY 構想が 自治体 と企 業双方 に とっ て次世

代の 事業展開に 合致 して い る こ とを物語 っ て い る。

 こ の 経緯に つ い て 筆者は (財)三鷹市ま ち づ く

り公 社 (当時) の 宇 山正幸氏 にイ ン タ ビ ュー

を行

な っ た。企 業 とパ ー トナ ーシ ッ プ を組む こ と に つ

い て 、宇 山氏 は 「パ ートナ

ーシ ッ プを組 んだ こ と

に よ っ て 、行政が企 業と話 をす る こ と、対等な立

場で 話をす る こ とがで きる よ うにな っ た 。 こ の 計

画 に着手 して 、以前 は企 業が市民 で は なか っ たが 、

企業が 『企業市民』 になる道 がひ らけつ つ ある感

触 を持 っ て い る 」 と語 っ て い る 。 ま た 、 そ うい っ

た企 業を比 較的容易に 集 め られ る とい うとこ ろが 、

行政主導の 支援機 関 の 強み で あ る 。こ の よ うに ス

タ ー トの 部分で 、短期間で 多数 の 企業や団 体 の ネ

ッ トワー

クを つ なげ る こ とが で きた。筆者が SOHO

施設入居者にイ ン タ ビ ュー

した中で も、三 鷹市の

SOHO  α TY 構想 を知 り、 今ま で の 自治体の ア プ

ロ ーチ とは 異な り、三鷹市側 と直接話 が で きる雰

囲気 、  「三鷹 には何か あるの で は な い か 」 とい っ

た 印象を持ち、魅力 を感 じ た とい う意見 が 寄せ ら

れた。

三 鷹市 SOHO 施設提供サー ビス の 実態 とユーザ

ー評価

 三鷹市 SOHO 施設 で提供するサー

ビ ス に は、〈

施設 〉 と く サービ ス 〉 とい っ た ハ ー ドとソ フ トの

両方の メ ニ ュー

が あ る 。 例 として 、三鷹市 SOHO パ

イ ロ ッ トオ フ ィ ス が提供す るサ ービ ス を次頁に 示

す (表 1)。他 の 2施設 に もほぼ同様 の メ ニ ュー

用 意 され て い る。

 提供 され るサー ビ ス に 対 し、ユーザー

で あ る

SOHO 事業者の 評価は ど うだ ろ うか 。 筆者が まち

づ くり研究所 の 委員と して 調査 を担当 した 「三 鷹

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SOHO 事業者をめ ぐる コ ミ ュ ニ テ ィ 形成

表 1 三 鷹市 SOHO パ イ 囗 ッ トオフ ィ ス 提供サービス ー覧

ービ

SO (ス モール オフ ィ ス)、入居者向け

入 居用賃貸ブース (24 時間執務可能、机、い す、電話、FAX 、

照明、ブース ロ ッ ク、エ ア コ ン)、短期利用ブース (〃 )、

プ レ ゼ ン (会議、打合せ)ブース 、休憩 コーナー (サ ロ ン)、

給湯施設 、トイ レ 、倉庫

イ ン ターネ ッ トサ ービ ス (無料ま た は低額)、秘書サ ービ ス

(電話、配 達取 次ぎ、会社名応答 な ど)、マ ッ チ ン グサー

ス (専門相 談 紹 介、販 売促進 の 支援 、ビ ジ ネ ス 情報提 供、共

同研 究 の 紹介、各種紹介 、経 営相談、公 的資金紹介な ど)

HO (ホームオフ ィ ス )向け

時間貸パ ソ コ ン コ ーナ ー、イ ン ターネ

ッ トパ ソ コ ン コ ーナ ー (パ ソ コ ン講習

も可能)、レ ン タル パ ソ コ ン、貸会議

イ ン ターネ ッ トサービス (無料ま た は

低額)、パ ソ コ ン 講習、出力 サー

ビ ス 、パ ソ コ ン レ ン タ ル 、一

部 の マ ッ チ ン グ

サービス 、一

部 の 割引サービ ス

共通

カ ラ ー ・

モ ノ ク ロ

コ ピー機

(三 鷹市 SOHO パ イ ロ ッ トオ フ ィ ス パ ン フ レ ッ トよ り)

市 SOHO 実態調査」 [3」注 1

の 結果をみ ると、三鷹市

の SOHO 事業者 (調査回答者 60 人 〉は 貸会議 室の

利用 意向が最も高い (図 2)。そ こ で 実際 の 利用状

況 をみ る と、特に会議室 ・打合せ コー

ナー

は 平均

して月 に IOOO人以上 の 利用実績が あ る (表 2)。

また、筆者 が施設に入居 し て い る SOHO53 仕中 23

社にイ ン タ ビ ュー

した と こ ろ、上記 の 結果 を裏付

ける よ うに 、会議室の 評価 は高か っ た 。 加 えて 、

受付けに よる秘書サー ビ ス 注 2がある こ と、オフ ィ

ス が 24 時 間利用 可能で 入館 の セ キ ュ リテ ィ が しっ

か り し て い る こ と へ の 評価 も高か っ た (参考 1)。

 一方、支援メ ニ ュー

に あ りなが ら、SOHO 事業

者に は満足 い くよ うな レ ベ ル で 提供で きて い な い

もの もあ る 。 特に く サービ ス 〉 に お い て 、マ ッ チ

ン グサービ ス は SOHO 事業者に と っ て 満足 い くも

の は少な い よ うで ある。そ の 背景 となる意見 とし

て特徴的な の が、 「三鷹市 SOHO3 施設 に どの よ う

な事業者が入居 し て い る の かわ か らない 」 とい う

こ とが 複数指摘 され て い る 。 さらに 、 「三鷹市 の

周 囲で 、今、ど の よ うな動 きが あ るの か 」 、 「三

鷹市は何を目指 して い る の か 」 とい っ た SOHO 事

業者 自身を と りま く環 境に対す る情報 不 足 もあ げ

られ て い る (参 考 D 。

表 2 支援メニ ュー利用状況

SOHO サ ロ ン利用会員数 609 人

レ ン タル ブース 利 用 203 件

会議室 ・打合せ コーナ ー利用 9 , 435 人

コ ーディ ネータ相談件数 (税務財務、在宅ワーク 、独立創業など) 136 件

SOHO セ ミナー受講者 46 回 = 619人

視  察 246 件

マ ス コ ミ対 応 66 件

(株)ま ち づ く り三鷹調 べ (2000年 4 月 〜12 月末)

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参考 1  SOHO 事業者イ ンタビ ューより

n  = 60

利用しようと思うもの (SOHO )             (%)

貸会 議室

高速大容量イン ター

  ネ ットサービス

税 務 相 絞

ビジネス マ ッ チ ン グ(仕事

 斡旋、会社紹介等)

1・み ん な が 言 う こ と で すが 、お客さん が 来た と き に受付が い

て 、気持 ち よ く対応す る。ワ ン ク ッ シ ョ ン そ こ に置い て 対応

する とい う形が で きて い ま す。そ うい う意味で 、もの すごく

い い で す。  (機器 シ ス テ ム コ ン サル タ ン ト)・24 時間 い つ で も仕事が で きる。そ して 、外部の人が基本的

に 入れ ない とい う環境もい い ですね。 (【T コ ン サ ル タ ン ト)・会議室や打合せ ス ペ ース が無料で利用 で きる の は よい。 (パ

ソ コ ン 研修業)・ビ ジネ ス マ ッ チ ン グ、マ ーケテ ィ ン グな どの 情報提供 を期待

 し て い た が 、今の と こ ろ 満足する もの は な い で す 。 (デザ イ

 ン )

・三鷹市 SOHO3 施設 に どの よ うな事業者が入 居 し て い る の か

わか らない。  (複数 SOHO よ り意見ま とめ)

・サービス 内容や三鷹市の今後の展開にっ い て情報がない。苦

情処 理 窓 口 も明確に され て い ない 。  (複数 SOHO よ り意見

ま とめ)

(財)三鷹 市まちづ く り公社調 べ 「三 鷹市 SOHO実態調査」 2000 年 調査回答者 60 人

  図 2 支援業務利用意 向

2000 年 9 月〜2001年 3月 に筆者が 実施

第 2 章 三 鷹市 SOHO 事業者の 実態

三 鷹市 SOHO 事業者の 特徴

 三鷹市の SOHO 事業者 の 姿は どの よ うなもの か 。

先 の 「三鷹市 SOHO 実態調 査」 か ら、そ の 特徴を

み る 。 40 代 を中心 に 、1人あ る い は 2〜3 人の 規模

で 、創業か ら数年の 事業者が 多数 を占め て い る 。

業種 と して は情報サービ ス 業が 8 割近 くに の ぼ る

(表 3) 。

  SOHO 事業者は 、起業の 動機や主眼 の 置き方 の

違 い で ビ ジネ ス 展 開が異な っ て くる 。ア ン ケ

ート

調査 や ヒ ア リ ン グ の 結果か ら、筆者 も含め 三 鷹市

まちづ くり研究所 の メ ン バ ー内で検討 した結果、

三鷹市の SOHO を大 きく 4 つ の タイ プ に分 け る こ

とが で きた。  拡大 タイプ   非拡大 タイ プ   

コ ミ ュ ニ テ ィ ビ ジネ ス タイ プ   サ イ ドワークタ

イ プ で あ る (図 3) 。

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SOHO 事 業 者 を め ぐる = ミ ュ ニ テ ィ 形 成

表 3 三 鷹市 SOHO 事業者の特徴

SOHO の 属性 30 代 16.6%、40 代 50.6%、50 代 25.0%

創業年数 創業 1年未満が 20%。95 年〜99 年 の 創業は 55.0%。

業 種

業務 内容

情報サー

ビ ス 業 78.3%

ソ フ トウエ ア 開発、Web デザイ ン 、  CG デザイン 、  DTP ・印刷 、各種 コ ンサル タ ン ト、

翻訳 、ワープ ロ 入力、事務サ

ービ ス な ど

規  模 「1人 j50 %、  「2〜3人 」 28.3% 平均 2,5人

パ ートナ

ー企業 「なし」 26.7%、 「2〜5 社∫ 36.7%、 「10〜 19社」 13.3%

  パ ー トナ ー企 業数平均 13 社 (最小値 0 社、最大値 500 社)

法人登記

オ フ ィ ス

法人 登記済み  55%

自宅外 (スモー財 フィス)31.7%、自宅 (ボー磁 フィス)68.3%

年  商 1000万 円〜5000 万 円が最多帯

目指す会社形態 「社員を増や し業務を拡大するが上場 しない 亅 23.3%

「社員を増やさず、パ ートナーを増や して業務拡 大す るが上場 しな い 」 35.0%

「ベ ン チ ャー企業 として 上場を目指す」 15.0%

(財〉三 鷹市まちづ くり公 仕調 べ   「三鷹市 SOHO 実態調査」 2000 年

サイ ドワークタイプ コミュニティピシ.ネスタイプ    

子 育て 中 の 主婦 な ど

で 、生計の主体となる

わ け で は な くパ ート

タイ ム 的に 在宅 ま た

は ス モー

ル オ フ ィ ス

に 通 っ て 仕事 を して

い る もの 。

大企業や行政 の サ ー

ビ ス が行 き届 か な い

地域 サ ービ ス な ど を

営 む 地 域 志 向 型 の

SOHO また は そ の ネッ トワ

ーク。

企 業 とパ ートナ ー契約

などを結び、専門的な技

術 ・サ ービ ス を 事業とする が、事業 の 拡大を望ま

ず 、

一定 の 人員 、 売上げ

で 仕事 の 質を維 持 し よ

うとする もの 。

事 業内容 的に は 非

拡 大 タイプ と同 様

分 野 で あ る が 、特徴

的な サー ビ ス を 開

発、提供 して 事業 自

体 の 拡大 を 志 向す

る もの e

個人 ・ 〈 = = コ ロO地域化 / 域際・ 囗ロ⇒ 繖

             図 3 三鷹市 SOHO 事業者の タイ プ

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在宅

主婦

地域サービ ス な ど NPO

図 4 対象とする三 鷹市 SOHO の 構図

 図 4 は 先の SOHO 事業者 4 タイプ に つ い て、筆

者が組織性 と営利追求度合 い の 2 軸で プ ロ ッ トし

た図で あ る 。 拡大タイプ の 場合、情報系分野 を中

心 に 新規事業 を開拓 し、事業拡大 ・営利志向 の 強

い 事業者が 多い と見受け られ る 。 非拡大 タイ プは 、

会社員時代な ど前職 の 技術や経験 を生か し独 立 ・

起業す る パ ターン で 、営利志 向もあ るが 、事業 を

拡大 して い くとい うよ りも仕事の 質を高めて い く

考 え方が 強い 。 サイ ドワーク タイプは 、主婦や障

害者、高齢者がい まま で の 経験や新たに習得 した

技 術を生か し ビ ジネ ス を興す パ ター

ン で 、非拡 大

タイ プ よ りは営利 志 向が弱 く、自己 実現や地域 へ

の 貢献 とい っ た 志向が強 くな っ て くる。 コ ミ ュ ニ

テ ィ ビ ジネ ス タイプは非拡大 タイ プの 一部 と NPO

も含めて 、生活面や福祉面など行政や大 企 業では

対応 で きなか っ た側面を支えて い こ うとす る もの

で あ り、営利志 向は弱 い も の とな っ て くる と い う

よ うに分類で きる 。 三鷹市にお ける 4 タイプ の 構

成比 は、  「三鷹市 SOHO 実態調 査 」 で は質問項 目

が 異な る の で 参考程度に なる が 、目指す会社形 態

と して は 「上 場 しない 」 とい う  非拡大タイ プが

半数以上 を占めて い る (表 3)。 また 、筆者が行な

っ たイ ン タ ビ ュー

で も 23 社中 17 社が   非拡大 タ

イブ と答えて い る。

SOHO は増 えて い き地域 に定着する

  こ の よ うに筆者 は SQHO を主に 4 タイプ で 捉え

たが 、 そ の 特徴は重な り合い、 足 りな い 部分は補

う こ とも可能 な事業体で あ る 。 SOHO 事業者は、

ス ター トア ッ プ の 段 階で 自宅や 自宅近 くの オ フ ィ

ス を拠点に して生産活動をする人が少なくな い 。

表 3 の 目指す会祉形態の 結果 に出て い る ように、

一定 の 規模 を維持す る  非拡大 タイプが多い 三鷹

市の SOHO 事業者は 、三鷹の 地 を離れ て都心 に 行

くと い う意見 は 少数派で あ る、ま た、  コ ミ ュ ニ

テ ィ ビ ジ ネス タイ プ は地域 と直接関わ り合 い の あ

る事業 も展 開 され る こ とが想像で きる。そ の 意味

で 、SOHO の ビジネ ス で あ っ た として もその 取 り

組み に 地域性 を無視す る こ とはで きない と考 えら

れ る 。 加 え て 、同上 の イ ン タ ビ ューにお い て 、三

鷹市 と の ジ ョ イ ン トビ ジネ ス を望み、自分た ちの

住む あ る い は働 くま ち で 、自分の ス キ ル を生か し、

何か 役 立 っ よ うな仕 事が し た い と い う意見 も少 な

くな い 。そ の 意味で 、彼 らは三鷹市の 「在住民 」

「在勤 民」 で はな く、地域 を 自分たちの もの とし

て 捉えて い る 「市民] なの で ある 。

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SOHO 事業者 を め ぐ る コ ミ ュ ニ テ ィ 形成

 一

例と して 、三鷹市で 自然発生的に 登場 した 「シ

ニ ア SOHO 普及 サ ロ ン ・三 鷹」 を紹介 しよ う。こ

の 組 織は 、 高齢者を 中心 に パ ソ コ ン研修事業 、パ

ソ コ ン 故障時 の 訪問サ ポート事業 、 各種講座事業

な どを展開 して い る NPO で あ る。 企 業を退職 し、

地域 に 戻 っ て き た 世代 を対 象に 、地域 コ ミ ュ ニ テ

ィ へ の 参加 をイ ン ターネ ッ ト上 の 掲示 板で集め 、

興味 ・関心 ご と に ワーキ ン グ グル ープ に 分けて 活

動 して い る。2001 年 2月現 在、会員数 165人、イ

ン ス トラク ター50 人 、 ワ

ーキ ン グ 22 の グ ル

ープが

活動 して い る。  (財)三 鷹市まちづ く り公 祉 (当

時) の 宇 山 正 幸氏 は 筆者 との イ ン タ ビ ューで 「高

齢化、少 子 化 に よる人 口構成 の 変化 は三鷹市 も例

外で は な い 。現在は団塊の 世代が退職 し、地域 に

帰 る時期に な っ て きて い る。三 鷹市 の場合 、昼 間

人 口 が年間 1 万入ず つ 増加 して い る状況に あ る。

市で は シ ル バ ー人材セ ン ターで職業紹介 を して い

るが 、 利用対象者 の 意向に合 っ た知的な職業はな

い。 その 部分に お い て コ ミ ュ ニ テ ィ ビ ジ ネ ス がな

く、シ ニ ア SOHO 普及サ ロ ン が コ ミ ュ ニ テ ィ ビ ジ

ネ ス の 入 り 口 に なる可能性 がある の で はな い か 」

とい う意見だ っ た。興味 深 い 点 は、シ ニ ア SOHO

普及 サ ロ ン の 動きは 市民か ら自発的 に起 こ っ て グ

ループ化 し、そ の 後に NPO 法人 化 した とい うこ

とで ある。代表幹事の 堀池喜一

郎氏は筆者 との イ

ン タ ビ ュー

にお い て 、彼 ら の ニーズ に対 す る環境

と し て

   パ イ ロ ッ トオ フ ィ ス な ど、地域の 仲間が集

  まる公的施設+ IT充実の 場所が あ っ た

   行政セ ク ター

に い る職員 との 情報交換の 中

  で 、通産 省シ ニ アベ ン チ ャー

事業に応募する

  など、チャ ン ス や ヒ ン トを得 る こ とが で きた

   三 鷹市 の SOHO 施設 に入居 し、事務所が で

  きた

とい う条件が揃 っ たこ とを指摘 して い る。 SOHO

α TY 構想 と三鷹 エ リア の シ ニ アた ち の ニーズ と

の タイ ミ ン グが一

致 した 。 そし て 地域の シ ニ ア た

ち が集ま る こ と の で きる リア ル な 「場亅 と 、 掲示

板や メ ーリン グ リス トな どの バ ーチャ ル な 「揚」

の 両方が あ っ た こ とで、

シ ニ ア SOHO の 動 きが 加

速化 した と述べ て い る 。 こ れ は、高齢者が新た な

分野で 活躍で きる こ とを証明 し、か つ 地域 の 情報

化 、高齢化 対策 に効果 的な こ とを示 した 事例 で あ

る と筆者は捉え て い る 、

SOHO をめ ぐる問題 点

  SOHO と い う ワー

ク ス タイ ル に変え、最新 の コ

ン ピ ュー

タ機器 を揃 え、通信環境 を整備 した と し

て も、SOHO 事業者 が描 い て い た理想に 現実は近

づ か な い こ との 方が多い 。では実 際に SOHO と し

て 独立 し、自営業主 として ビジネ ス を行 な っ て い

くには どの よ うな問題 点が指摘 されて い る の だろ

うか 。 先に紹介した 「三鷹市 SOHO 実態調査 」 の

結果 をみ る と、上位 5 位は 表 4 の よ うに な っ て い

る。当事者 である SOHO 事業者 の 回答は 、  「受注

が 不安定 」 だ っ た り 「営業力 不足 」 な ど ビ ジネ ス

が なかなか 軌道 に乗 らない こ とをあげる人が 多い 。

 一方 、 筆者は 「三鷹市 SOHO 実態調 査」 にお い

て 、SOHO 事業者 の意見 と比較するた めに 支援企

業注 3に も全 く同 じ質問を設 けた 。SOHO を支援す

る と い う側 面 だ け で な く、実 際 に取 引が発 生 す る

可能 性 の 高い 大 手 企 業 メ ン バ ーが イ メ

ージす る

SOHO の ハ ン デ ィ につ い て は、  「営業力不足 j を

指摘する回 答が圧倒的に多 い 。次い で、  「取引先

の 信用 が得に く い 」  「受注が 不安定」 「金融機関

の 信用が得 に くい 」 などが あげ られて い る。

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表 4SOHO で ビジネス を行 うこ との ハ ンデ ィ は何か (複数回答)

SOHO 事業者 (n= 60) 支援企業 (n = 35)

1  位 受注が不 安定 で継続 しな い (56.7%) 営業力不 足(7L4%)

2  位 営業力不足(483 %) 取引先 の信用が得に くい (5L4%)

3  位 自宅 ・オ フ ィ ス が狭 い (4L7 %) 受注 が不安定で継続 しな い (45.7% )

4  位 取引先の 信用 が得に くい(4α0%)

5  位 金 融機 関の 信 用 が得に くい /経理 、税金 、法律

が よ くわ か らない(3&3%)

金融機 関 の 信用が 得に くい /仕事が長時間 ・不規

則(429 %)

                 (財〉三鷹市ま ちづ くり公社調べ   「三鷹市 SOHO 実態調査亅 2000 年

 次に、問題 点を一般化 するために、上記 の調査結果に加 え、SOHO に 関す る他の 調査結果【4][5】[6]を参考に 、

筆者の 意見と して SOHO 側、発注企業側両者 の かか える問題を整理 してみ る 。

SOHO 側

     銀行融資な どの 資金 の 調達

     税 ・社会保 険料の 負担が 重 い

     社会保険上の位置付 けが不 明確

     取引先 の 開拓

     仲間 ・人材の 確保

     新 しい働 き方として の 社会的認知度が低い

     収入 が安定 しな い

     仕事 の 繁閑が極端 で 需給 の ミス マ ッ チ が ある

     経営 の ノ ウハ ウなど起業家への 教育 ・相談機関 不足

     契約形態が あい ま い で報酬などの トラブ ル がある

}主 一 鑼 黝 ・組 む ・題

コ ミ ュ ニ テ ィ + 支援機 関で取 り組む

問題

発注企業側

     仕事成果 の 個人差が 大き い

     必 要 な時に 必要 な量をや っ て も らえ ない

     優秀な人材確保が難 しい

     選考基準 (責任感、信頼、業務経験)の 情報がない

     資金繰 りを含 め て 法人 として信用がお ける の か 不明確

     SOHO の 規定や規模 、法人格な ど認 証がない

}  コ ミ ュ ニ テ ィ 十支援機 関で 取 り組 む

   問題

}主 ・腑 鍬 機関が取 ・組 む問題

  こ の よ うに SOHO をめ ぐる問題 には さま ざま な

こ とが あげ られ る。SOHO が抱 える問題 として  

銀行融資な どの 資金の 調達、  税 ・社会保険料の

負担が 重い 、  社 会保 険上 の 位置付 けが 不 明確 、

ま た 、発注企業 が抱える問題の 中で も  資金繰 り

を含めて法人 と して信用 がお け る の か不明確、 

SOHO の 規定や規模、法人 格な ど認証が な い な ど

は 主に 政府 ・行政や金融機関が取 り組む べ き問題

で あろ う。 し か しそれ 以外 の 問題 は 、政府 ・行政

や金融機関で は必 ず しも効果的に解決で きない と

考え られ る。つ ま り、SOHO 、発注企業 ともイン タ

ーネ ッ トの 普及 に よ り 「情報サーチ コ ス ト亅 が低

くな っ た とい っ て も、情報の マ ッ チ ン グが で きて

い ない 。そ の ため取引先が開拓で きなか っ た り、

SOHO 選考基準の 情報が なか っ た りする需給の ミ

ス マ ッ チ が起 こ っ て い る の で あ る 。 ま た 、情報 の

マ ッ チ ン グが成立 して 仕事 を受発注 し た と し て も、

機 会主義 的な行 動 を防 ぐた め の モ ニ タ リン グ と い

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SOHO 事業者を め ぐる コ ミ ュ ニ テ ィ形成

っ た 「信 用情報」 で 回避 され な い 。 その た め に契

約上 の トラブ ル が あ っ た り、仕事成果の 個人差が

大 き い とい う問題が 起 こ っ て い る の で あ る 。 本論

文で は こ の 部分に着 目す る。つ ま り、需給の ミス

マ ッ チ と情報 の や りと りや人 と人 との 関係性が な

い た め、不確実性 に 対処 で きな い こ とに つ い て 、

共通 の 関心 を持 っ た コ ミ ュ ニ テ ィ の メ ン バ ーがサ

ポー

トして い く情報に よ る支援 シ ス テ ム を提 案す

る。 コ ミ ュ ニ テ ィ の 構成は SOHO や発 注 企業 、起

業家予 備 軍や 消 費者 とな る 地域の 市 民 ま で を 含め

た SOHO に 関心を持 つ もの の 集 まりで ある。 こ の

コ ミ ュ ニ テ ィ の メ ン バ ーか ら情報が 発信 され 、相

互 に 編集 された情報が、SOHO 支援機関の オー

ン なプラ ッ トホーム 上で 生か され る ような支援策

を明らか に する。

 第 1章で 紹介 した よ うに 、 20年の 人 脈 蓄積か ら

三 鷹市 と企業が対等な立 場で話 をする こ とが で き、

短期間で 多数 の 企 業や 団体 の ネ ッ トワーク を つ な

げ 、パ ートナ

ーシ ッ プ を組 む こ とに よ っ て、SOHO

CITY 構想 とな っ た実績が あ る 。 しか し現在 、三鷹

市 SOHO 支援施策に は、三鷹市 、 支援企業 、 そ し

て SOHO 事 業者 と の 間で 、情報が不足 し、お 互 い

が わか らない と い う状況に あ る 。こ の 状況 にお い

て 取引先を開拓 して い く SOHO や、仕事を発 注す

る企 業側 に と っ て 「信頼」 や 「パ ー トナー

シ ッ プ」

を作 り出す とい うこ とは 、相当 に難 しい こ と で あ

る。こ れ を解決 して い く こ とが (株)まちづ く り

三鷹が 中心 とな っ て 進め る次 の フ ェーズ の 課題 で

ある。

第 3 章 問題解決の ひ と つ の方法 は コ ミ ュ ニ テ ィ

取引 コ ス トア プ 囗 一チ

 従来の 市場経済シ ス テ ム に お い て 、企 業組織 と

い うヒ エ ラル キー

組織 を作 っ た背 景に は 、  「取 引

コ ス トj が発生す るた めに企 業組 織 を作 る こ とで

コ ス トを低く抑 え る意味 合 い が あ っ た と い うの が

オ リバ ー ・ウィ リア ム ソ ン に よ る説 明 で あ る 。 金

子 、松岡、下河辺 著 『ボラ ン タ リー経済 の 誕生』[7]

か ら引用すれ ば、  「取引 コ ス トに は 二 種 類 あ る 。

需 要や供給 に 関す る情報 を検 索 し た り伝達 す る

『コ ミ ュ ニ ケー

シ ョ ン コ ス ト』 と、市場 の 取引に

お け る信用 を担 保す るた め の 『信 用 コ ス ト』で あ

る。」 イ ン ターネ ッ トが登 場す る前は 、個人の 情

報処理能力が 限定 され て い た た め、企業組織 を作

っ て社員 を雇 い、 設備 を購入 し 、 分業化 し て 自社

生産す る こ と で 「コ ミ ュ ニ ケー

シ ョ ン コ ス ト」 、

つ ま り情報サー

チ コ ス トを下げて い た。情報サー

チ コ ス トとは 、例えば需要や供給に関する情報を

検索 した り宣伝な どで伝達する コ ス トに あた る も

の で あ る、同時に、社員 と して 身分を保障した り、

企業 とい う ヒ エ ラル キー

組 織で 社員 を モ ニ ターす

る こ とに よ っ て 「信用 コ ス ト」 も下げて い っ た。

  しか し、イ ン ター

ネ ッ トの 登 場に よ り、今ま で

企 業組織を 作 る こ とで 低 く抑え ら れ て い た情報 サ

ーチ コ ス トは 、企業に所属 しな くて も個人や小 さ

な組織が 低 い コ ス トで実現 でき る よ うに な っ た 。

それ が本論文 の テー

マ とす る SOHO が増加 した理

由の ひ と つ で ある 。 金子郁容は 「ビ ジネ ス レ ビ ュ

ーVo1 .46 No .2」 [8]にお い て 、 「イ ン ターネ ッ ト

の 普及 に よ っ て 、情報 サーチ コ ス トが劇 的に低 く

な っ て い る こ とは議論 をまた ない 、個人の 情報処

理 能力 が 限定 され て い るか ら、それ を補 うた めに

ヒ エ ラル キー組織 を作 る理 由は 希薄に な っ た 」 と

述 べ て い る 。

一方、市場 の 取引にお ける信用 を担

保す る 「信用 コ ス ト」 は逆に上 が る傾向に ある 。

つ ま りイン タ ーネ ッ ト登場前 の よ うに モ ニ タ リン

グ機能を発揮 で きない 部分 が 出 て きた り、イ ン タ

ーネ ッ トを通 した い わ ゆ る 「ク ラ ッ カ ー」 の 出現

や サ ギ な どネ ッ トワー

ク犯 罪に対処 す るよ うなシ

ス テ ム や法律 とい っ た もの は 、社会全体 を通 して

来整備 の 状況に あ る 。 シ ス テ ム や法律を作 っ た と

して も完全に リス ク 回避で きる とは限 らな い。 そ

の た め 「信 用 コ ス ト」 がか か る よ うに な り、あ る

い は 、仕 方 の な い こ とで あ るが 、不確定性 の 高 い

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もの に 対 し て は積極的に 関与 しない とい っ た 自己

防衛的な雰 囲気 さえ出 て きて い る よ うに 見受 け ら

れ る 。 それが先の 「三鷹市 SOHO 実態調査 亅 結果

に もあ らわれ て い た よ うに 、 SOHO 事業者 と発 注

企業両方が 上位 に あげた 「取引先の 信用 が得に く

い 」や 「営業力 不足」 とい っ た こ とか ら 、  「受注

が 不 安定で 継続 しな い j とい うこ と に なっ て い る

の で ある。だか ら とい っ て イ ン ターネ ッ ト上 に ヒ

エ ラル キー

組 織 を作 る とい う方向 に も っ て い く の

は 、先 に 述べ た情報サ ーチ コ ス トの 低下か らもそ

の 流れに 逆行す る。

 で は 、今後 、 「信用 コ ス ト亅 を低 くする こ とは

で きな い の か 。  「情報」 とい う側 面 か らと らえれ

ば見方 は変わ っ て くる。金子は 「シ ャ ノ ン に よる

『情報 とは 不確実性 を減 らすも の 』 とい う情報 の

古典的定義を当て は め ると、市場の リス クを伴 う

『信用』も情報である と考えられ る 。 したが っ て 、

取 引 コ ス トは 、サーチ コ ス トに して も信用 コ ス ト

に し て も、い ずれ も情報の 欠落に よっ て 発生す る

『情報 コ ス ト』だ とい う解釈が成立 つ 」 [8]と述 べ

て い る 。 情報 に つ い て 金子 は 「情報 とは 、本来 は

ダイ ナ ミ ッ ク な相互 作用の なか で 発生 し、そ の 相

互 作用の ネ ッ トワークが意味を生成 し保存す るも

の で ある」17]と述べ、 情報には 「静的情報」 と 「動

的情報」 が ある とい う見方を した。静的情報 とは

紙に書か れ た資料 、 日程表 、 会社 の パ ン フ レ ッ ト、

統計的資料 とい っ た表現形式 と し て 固定 された も

の で ある。動的情報 とは 「習慣、伝統、勘定、道

具 、制度 な どの 相互作用 の なか で 、また 、人間 と

人 間の 関係 の 相互 作用 の なか で 作 られ て くる も

の 1 【9]で ある。企業の よ うな ヒ エ ラ ル キー型組織

の 場合、市場 で不確 実性を減 らす た め に静 的情報

の コ ン トロー

ル をす るの が一

般的 な原理 で あ り、

相互作用を要す る動的情報 の 扱 い は効果的にで き

ない 傾向に ある 。

一方、SOHO の よ うな個人単位

の 場合、  「静的情報」 を コ ン トロー

ル す る の は 難

しい が、 コ ミ ュ ニ テ ィ を形成する こ とで 、ヒ エ ラ

ル キー型組織の 形態をとらなくて も うま く い く場

合が ある。っ ま り、表現形式が固定 された 「静的

情報」 とダイ ナ ミッ クな相互作用 の 中で発 生する

「動的情報亅 がか わ る が わ る登場 し 、 そ の プ ロ セ

ス をメ ン バ ーが共有 ・蓄積するよ うになれ ば、「情

報サーチ コ ス ト」 は 低 くな り、情報 の や り とりや

人 と人 との 関係 性 の 中で 「信用 コ ス ト」 も低 くす

る こ とが可能 と い える。こ の よ うに取 引 コ ス ト、

特に 「信用 コ ス ト」 を下 げる 1 つ の 方法が 「コ ミ

ュ ニ テ ィ 」 で あ る と考 え られ る 。

信用 コ ス トを下げ るひ とつ の方法は コ ミ ュ ニ テ ィ

 筆者は三鷹市の よ うな SOHO 支援施策にお い て 、

共通の 関心 を持 っ た様 々 なセ ク ターの プ レー

ヤー

が参加 す る コ ミ ュ ニ テ ィ づ く りを始め る こ とを提

案する。

 まず、  「コ ミ ュ ニ テ ィ 」 とは 、共通 の 関心 が あ

る 入の 集合 で あ り、人 と人 との 関係性 をつ くる

「場」 で ある。一般 的に コ ミュ ニ テ ィ には 、地理

的制約 を超 えて 共 通 の 関心 を持 つ 人た ちの テ ーマ

型 コ ミ ュ ニ テ ィ と、地理 的条件か らなる地域 コ ミ

ュ ニ テ ィ が ある と考 え られ る。地域 コ ミュ ニ テ ィ

は伝統 的な っ なが りとい う場合 もあ るが 、関心 を

同 じくす る地域的なつ なが りの あるメ ン バ ーの集

ま りと い う場 合 もあ る 。 そ して コ ミ ュ ニ テ ィ 内 の

メ ン バ ーは 、情報 の 共 有、ル ール の 共 有を して い

る と考 え られ る 。

  コ ミ ュ ニ テ ィ の 重要性 に つ い て ドン ・タプ ス コ

ッ トは 『デジ タル・

エ コ ノ ミー』 (1996)[10亅の 中

で こ う言 っ て い る。ネ ッ トワーク化 され た知性 の

時代 の 経済にお い て 「コ ミ ュ ニ テ ィ は 、地 域的な

場所 に よ る もの か 、同 じ関心 を持 つ 人 々 の 集 ま り

に か か わ らず、ともに富 を築 き、市場 交流を行 う

基盤 と して 、今以上 に重要に な っ て くる。1 筆者

もこ の 考え方を採用する 。

  コ ミ ュ ニ テ ィ を つ くる に は 、テー

マ 型 コ ミュ ニ

テ ィ は もちろん地域 コ ミ ュ ニ テ ィ で も何 らか の し

か けが 必要で あ る。 つ ま り、興味 を示 し、自発 的

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SOHO 事 業者 を め ぐ る コ ミ ュ ニ テ ィ 形 成

に集ま っ て くる何 らか の 魅力を もっ た もの で な く

て は集 ま っ て こ な い 。 ま た、そ の 魅力 とな る 「共

同知亅 を使 うだけで 貢献 しな い フ リー

ライ ダーを

誘発 しな い よ うコ ミ ュ ニ テ ィ の マ ネージメ ン トが

必要 とな っ て くる。 問題解決 に つ なが っ た り、何

らか の メ リ ッ トが得 られ る可能性 を持 っ た共有で

きる情報資産 が コ ミ ュ ニ テ ィ内に 豊富に あ り、 自

発的情報発信 を継続 させ る こ との で き る魅力 あ る

コ ミュ ニ テ ィ で なけれ ば長続きは しない。

成功 した コ ミ ュ ニ テ ィ の 事例 1  楽天市場

 三鷹市の 場 合、現在の ところ、シ ニ ア SOHO 普

及サ ロ ン ・三鷹 な どを中心 に コ ミュ ニ テ ィ 化で き

る芽は い くつ か出て きて い る。 しか し、問題解決

に っ なが っ た り、何 らか の メ リ ッ トが得 られ る可

能性 を持 っ た 共有で きる情報資産 が豊富 に あ る コ

ミ ュ ニ テ ィ は まだで きて い ない と見受け られ る。

そ の一

方 で 、イ ン ター

ネ ッ ト上や まちづ く り活動

に は モ デル となる コ ミュ ニ テ ィ が登場 し て きて い

る 。

 共通 の 関心 を持 つ テ ーマ 型 コ ミ ュ ニ テ ィ の 例 と

し て 、ビ ジネ ス プ ラ ッ トホー

ム を提供する楽天市

場[11】が あげ られる。楽天市場はイ ン ターネ ッ トモ

一ル とい うだ け でな く、 小規模な事業者で も大手

企 業 と同 じ土俵 で ビ ジネ ス が で きる とい う側面 に

注 目す るな ら SOHO 支援策 とし て も成功 し た事例

と い う見方が で きる 。 1997年 5 月に オープ ン した

当初は 13 店 だ っ た 出店数が 2001 年 9 月時点で は

7400 店 となっ て い る。パ ソ コ ン 、食品、フ ァ ッ シ

ョ ン か ら 、金融 ・保険取 引な ど の サー ビ ス 分野 に

至 るまで 商品数は 82 万点、月間 2億 5 千万ペ ージ

ビ ュ ・・一を数 えて い る。シ ョ ッ ピ ン グモー

ル として

は バ ーチ ャ ル 、リア ル を問わず国内最大規模を実

現 して い る a 楽天 市場 の 事業化 の コ ン セ プ ト[121

は、

  ◆ 情報共 有 の 仕組み を導入 した イ ン ターネ ッ

   ト・シ ョ ッ ピ ン グ モ ール

  ◆ 「出店者 と出店者」 、  「顧 客と顧客」 、  「出

   店者と顧客」 の 3 つ の 情報共有の 仕組み を導

   入す る こ とに よっ て、大規模資本型シ ョ ッ ピ

   ン グモー

ル との 差異化

と い うこ とが あ げ られ て い る 。 こ の 部分が成 功 要

因 の ひ とつ で ある と言えるだ ろ う。

出店者 幽 そ の 他 の 出儲

楽天 市場

 

 

tt・璽 鰍 鱒讐ll;

顧 客一 量 と L

→・

そ の 他の 酪     友達 に紹介 (ク チ コ ミ)

繰 り返 され る こ とで情報 の や りとりや人 と人 との 関係性が蓄積 され る

図 5 楽天 市場の コ ミ ュ ニ テ ィ

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 楽天 市場の プ ラ ッ トホー

ム に参加 す るメ ン バ ー

は 出店者 と顧客で ある 。こ こ で の コ ミ ュ ニ ケーシ

ョ ン パ ター

ン は上記の 3 っ で あ り、 相互 補完的に

取引 コ ス トとなる 「コ ミュ ニ ケーシ ョ ン コ ス ト亅

と 「信用 コ ス ト」 を下げて い る (図 5) 。

  まず、出店者 と顧客 の コ ミ ュ ニ ケー

シ ョ ン パ タ

ーン は 、楽天市場に設 けられた各店舗 ご との 掲示

板 に書き込み をす る。こ の や りと りで 顧 客はホー

ム ペ ージ上で一

方通行的に 提供 されて い る情報だ

け で な く 、 自分 の 知 りた い 商品 の 特徴な ど付加情

報を入 手す る 。 加 え て 他 の 顧客 との や りと りをみ

る と 、 出店者が サ ギ を し た りする場合は 当然顧客

か ら の ク レ ーム があ る が 、そ うい っ たや りと りが

な けれ ば顧客は安心 で きる 。 こ の プ ロ セ ス を踏む

こ とで 需給の マ ッ チン グが成立 し、現物 を確か め

る こ とが なくて も掲示 板上 の や り取 りで 不確実性

に対処 し、顧客は購入 を決め るの で あ る。つ ま り、

「情報サー

チ コ ス ト」 も 「信用 コ ス ト」 も低い ま

ま で購入 で きるよ うに なっ て い る 。

一方 、 出店者

側に と っ て も顧 客の ニーズ を引き出 し、気に 留め

た 商品の 購入決 定要素 は何 なの か を顧客 との や り

と りか ら把握で き、低 コ ス トの マー

ケテ ィ ン グ リ

サーチが可能で ある。

  次に、顧 客同 士が コ ミ ュ ニ ケーシ ョ ン をする場

が ある 。 これは掲示板 に書き込む もの と 、「お 友

達に 薦 め る亅 で 顧客か ら友人 に電子 メール が送 ら

れ る シ ス テ ム の 2 つ が ある . 楽天市場で は、上記

で 述べ た よ うに掲示板 上で の コ ミ ュ ニ ケー

シ ョ ン

と他者か らク レーム が ない とい う信用の 確立 、さ

らに はそ の 評判を ダイ レ ク トメー

ル で顧客が セ ー

ル ス マ ン となっ て 広 め て くれるの で あ る。

  3 つ めに は出店者同 士が コ ミュ ニ ケーシ ョ ン を

す る場 が あ る 。 楽天 市場 に は出店 者の メー

リン グ

リス トが あ り、顧客 ニーズ や ビ ジネ ス トレ ン ド情

報 、 ある い は 悩み などの 情報交換 を行な っ て い る 。

例 えば、 「店 をや めた い 」 と訴 えた 商店主に 、仲

間か らさまざまなア ドバ イス が 寄せ られ る[13]こ

ともある ようだ。出店者同 士 の メー

リン グ リス ト

は 、ビ ジネ ス にお い て 自社 と他社 と の 比較 が で き

る競争の 場で あ る と ともに 、メー

リン グ リス トの

つ なが りか ら他社 との 協力 関係 を結ぶ きっ か けを

つ くる場 を提供 して い る 。 また 、 楽天市場 に蓄積

され た情報がデータ とな っ て 出店者に フ ィ

ードバ

ッ ク され て い る。 こ うい っ た メ ー リン グ リス トで

の 情報の や りと りや 関係性 の 蓄積が存在する こ と

は 、 楽天市場に 出店す る大きな魅力に もな っ て い

る 。

成功 した コ ミ ュ ニ テ ィ の 事例 2  早稲田商店会

  もうひ とつ の 事例 と し て 、SOHO が営利 目的だ

けで な く、図 4 で 示 した コ ミ ュ ニ テ ィ ビ ジネ ス タ

イ プ の 部分 を持 っ て い る こ とを考慮すれ ば、そ の

例 に は リサイ クル を切 り 口 に、地 域型 + テー

マ 型

コ ミュ ニ テ ィ で 行政や企業で 解決 で きなか っ た 問

題 を地 域で解決 した東京 ・早稲田商店会の 「早稲

田 い の ちの ま ちづ くりj [141が ある 。 1996 年夏に

早稲 田大学周辺 の 商店会が 中心 に な っ て は じ めた

イ ベ ン ト 「エ コ サ マー

フ ェ ス テ ィ バ ル 」 を き っ か

けに 、ごみ の リサイ ク ル 活動が始 ま っ た。  「ま ち

の 問題 は 環境だけ で なく全てが つ なが っ て い る」

と商店会 を母体に 、地域住民 ・企 業 ・行政 ・学生

な ど様 々 な人 々 が立 ちあが っ た 。 早稲 田の 「まち

づ くり」を進め る よ うにな り 7年が経過 して い る 。

 早稲 田 商店会の コ ミ ュ ニ テ ィ づ くりを あ らわ す

と図 6 の よ うに なる。

  エ コ ス テー

シ ョ ン とは早稲田商店会所有 の 事務

所ス ペ ース に 、空き缶 とペッ トボ トル 回収機 を設

置 して い る施設 で ある 。 自動販売機の よ うな機械

の 中に空 き缶や ペッ トボ トル を投入す ると 「当た

り」  「は ずれ」 の 文字が出て きて 、当たれ ば商店

会 か ら出す割 引チ ケ ッ トが も らえ る 。エ コ ス テ

シ ョ ン の 賃料や運営費は チ ケ ッ トに 参加 し た店舗

が 1 ヶ 月 3000 円 を広告費と して 払 う。 広告媒体は

「当た り」 の サービ ス チケ ッ トで あ る。掃除や集

ま っ た缶 ・ペッ トボ トル の 回収は 、商店会の メ ン

バ ーが曜 日ごと の 担当を決めて行なっ て い る ,

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SOHO 事業者 をめ ぐる コ ミ ュ ニ テ ィ 形成

商店会

商店会会員の 会費会員は 運営に 参加

、熊総

学生、大学関係者

エ コ ス テーシ ョ ン

(リア ル な場)

ラ 。:滋 1じ

ツ ト

住 民

空 き缶 ・ペ ッ トボ

トル 持ち込み

行政 関係者、他 地域市民

. ・ :擁 誌綜 諮 ・:1獄 i

 

 

、・罫;禰 釀蘿繍繕

    

⇒    

    

    

他 の 商店会 海外居住者

繰 り返 され る こ とで ソーシ ャ ル キ ャ ピタル を蓄積 し、信頼関係を生 む

図 6 早稲田商店会の コ ミ ュ ニ テ ィ

こ の 回収機は毎年夏の イ ベ ン ト 「エ コ サ マー

フ ェ

ス テ ィ バ ル 」 で地 域住民 に最 も好評だ っ た こ とか

ら常設 に至 っ た経緯が あ り、常設 の 際 には 地域住

民 の 認知度は た い へ ん 高か っ た。

  空き缶回収機 の 設 置を し た の は早稲 田商店 会が

初め て で はない。1992年か ら 1996年ま で 、早稲田

の ある新宿区 で も 「くうか ん烏」 とい う名前 で 同

様の 試み を実施 して い た。 しか し、大盛況 の ため

住民同士 の トラブ ル が頻発 した り、1缶 且円 と金銭

的イ ン セ ン テ ィ ブを つ けたこ とで 大量に 空き缶を

持ち込み換金す る者 が出て きた 。 また、新宿 区側

に と っ て も運営 コ ス トの 高 さに比 べ ゴ ミの 減量化

に っ なが らな い とい っ た こ とか ら 5 年で 廃止 にな

っ た 。 筆者は 新宿 区 提 供 の 決 算書 資料を もと に 運

営 コ ス ト (人件費除 く) の 試 算を行 な っ た 。 新宿

区 ピーク時の 平成 6 年 (18 台設置)の 支出をみ る

と、i 台あた りの 実質支出は年間 1,198,182 円、早

稲 田 と同規模 の 4 台に換算する と、年 間 4,792,728

円 に相 当す る。早 稲 田 の 実質支 出は 4 台で 年間

3,795,600 円。同規模 の 運営費だけで 、年 間約 100

万 円 の 差が出て い る。同 じ試 みが ヒ エ ラ ル キー

織で 失敗 し、 コ ミ ュ ニ テ ィ で は 成功 した。か っ 、

コ ス トも コ ミュ ニ テ ィ で は 、ヒ エ ラル キー組織 よ

りも低 くする こ とが可能 とい う こ とを示 した。

  こ の コ ス トの 差は何 に よ っ て もた らされ るか。

早稲 田商店会 の ラ ッ キーチ ケ ッ トに参加 す る メ ン

バ ーは 商店 と顧客で ある。早稲 田の 取 り組み に も、

楽天市場と同 じよ うに、 コ ミ ュ ニ ケー

シ ョ ン の パ

ターン が 3 つ あり、商店 と顧 客、顧客 と顧客、商

店 と商店 とい うもの で ある。ただ、楽天 市場 と違

っ て 、早稲田商店会の 場合 は コ ン セ プ トが 「ま ち

づ くり」で あり、地域性 をもっ た取 り組みで ある。

情報交流の プ ラ ッ トホー

ム に なる もの は メー

リン

グ リス トやホ ーム ペ ージ と い っ たイ ン ターネ ッ ト

上 の 情報交流だ け で な く、  「エ コ ス テー

シ ョ ン 」

と い う施設 を商店会が 設置 ・運営 し、3 つ の コ ミ ュ

ニ ケー

シ ョ ン パ ター

ン が対 面 で もで き る場 が あ る 。

共 通の 関心を もっ た メ ン バ ーが集 ま り、情報を共

有 し、そ の や り取 りを通 して何 ら か の 関係性 が 生

まれ 、蓄積 し、メ リッ トを生む資源 とな る ソー

ャ ル ・キ ャ ピ タ ル となっ て 、コ ミュ ニ テ ィ の メ ン

バ ーに メ リッ トを生み 出 して い る。メ リッ トとは 、

行 政 よ りも低 コ ス トで運営で きる こ とは前述 した 。

その ほ か 、例 えば、ラ ッ キ ーチ ケ ッ トは早稲 田商

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店会 だけ に限定 され 、金銭的 イ ン セ ン テ ィ ブ もな

い た め、新宿区 の よ うに 大量に持 ち込ん で 換金す

る と い うよ うな フ リー

ライ ダー

が出て い な い。 さ

らに 、ラ ッ キーチケ ッ トを出 し た商店は売上げ向

上 に つ なが っ た。 地域住民 と商店主た ちが ラ ッ キ

ーチ ケ ッ トをき っ か け に 知 り合 い 、ま ち に つ い て

話をす るよ うに な っ た。社会的メ リッ トと して 、

空 き缶や ペ ッ トボ トル の 回収 が定 着 し、ま ちで ポ

イ捨 て が ほ とん どな くな っ た 。 メ ー リン グ リス ト

の つ なが りか ら、早稲 田 の 取 り組み に賛同 した全

国 の 商店会が連携 して 通信 販 売 を始 め る よ うに な

っ た こ とな ど様 々 な効果 が現れ て きて い る 。

第 4 章 まとめ

成功 した コ ミュ ニ テ ィ の動 きと三鷹 SOHO 支援施

策 との 比較

 楽天 市場 と早稲田商店会 。い ずれ の 事例 も共 通

した プ ロ セ ス を踏み 、 約 3 年 の 期間で 成功に導 い

て い る。筆者 の分析か ら、図 7 で 示すよ うに 、2 っ

の 事例は 似た よ うなプ ロ セ ス を経て い る こ とが わ

か る 。 まず 、明確な 目的をか か げて 共通 の 関心 を

持 つ 人間を集 めた 。 楽天市場の 場合は 「市場規模

は大 きくな くて も強い ニ ーズ がある商品やサービ

ス の 紹介1 【12]で あ り 、 早稲田商店会の 場合は 「環

境 ・リサイ ク ル 」 で あ る。

 次に情報や人 が集ま っ て くる 「場」 を設 けた 。

楽天 市場で は ホーム ペ ージ上 の 各 モ

ール ご とに 出

店者 と顧客がや りとりす る掲示板や 出店者 同士 の

メー

リン グ リス トを設 けた 。 早稲田 商店会 は情報

集積の 場 と して メー リ ン グ リス トと、人 が集ま る

リア ル な場 として エ コ ス テ ーシ ョ ン を設 けた。

 そ し て集 客機会 。 楽天 市場 は オ ン ライ ン シ ョ ッ

ピ ン グモー

ル な の で 24 時間顧客を集 める よ うに な

っ て い る 。 早稲 田商店会 の 場合は 夏の イ ベ ン ト 「エ

コ サ マー

フ ェ ス テ ィ バ ル 」 で 関心 の あ る人 を集 め

た。こ こ までが コ ミ ュ ニ テ ィ をっ くる 「しか け」

である。

  「しか け 」 の 次に 、共 通 の 関心 を持 っ た人 た ち

が コ ミ ュ ニ テ ィ を作 っ て い く段階に 入 る。それは

集 客機会に参加 した人 た ちが 、 そ こ で関係 性 を途

絶えさせ て しま うこ となく、3 つ の コ ミ ュ ニ ケーシ

ョ ン パ タ ーン か ら、継続的に コ ミ ュ ニ ケ ーシ ョ ン

を行 な っ て い く こ と で あ る 。 こ こ で イ ン ター

ネ ソ

トとい うツ ール は大 い に 活躍する。 コ ミ ュ ニ ケー

シ ョ ン を継続 させ る こ とで 、メ ン バ ーか ら 自発 的

に 情報が発信 され る よ うに な り、ダイナ ミ ッ クな

相互作用 の 中で発 生す る 「動的情報」 が 共 有 され

る 。 問題解決や さま ざまな プ ロ セ ス を コ ミ ュ ニ テ

ィ の メ ン バ ー間で 蓄積 し て い くこ と に よ り、情報

の マ ッ チ ン グ が で きた り不確実性 に 対処で きる。

同 時にそ の 蓄積 が信頼 を創 出 し、コ ミュ ニ テ ィ の

メ ン バ ーに とっ て メ リッ トを生む資源 = ソ ーシ ャ

ル ・キ ャ ピ タ ル とな る。楽天市場 の 場合 は、出店

者 と顧客の や りとりを公開で行ない 、お互い の 不

確実性 を排除 し 、 信用 を得て 商品購入 に結び付け

て い る。 同時 に これか ら購入 し ようとす る顧客、

他 の 出店者 に も楽天 市場 の サイ トを見れ ば何か 見

つ か る とい うよ うな情報 の マ ッ チ ン グに対処 で き

るプ ラ ッ トホーム を提供 し、掲示板 上 の や り取 り

をオープ ン にす る こ とで 他 の シ ョ ッ ピ ン グモール

に比 べ て 「信用 コ ス ト」 を低 く した 。 早稲田商店

会 の 場合 は、例 えば行政や 大学関係 者、環境専門

家が メ ーリ ン グ リ ス ト上 で 専門分 野 の 情報を常に

出 し合っ て い る 。 商店会は普段 の 関係性か らイ ベ

ン ト時 の 学生ア ル バ イ ト募集に は苦労 しな い。 ま

た、商店会 と の 信頼関係 か ら早稲田大学が キ ャ ン

パ ス を無料で 貸 し出 して い る。こ の よ うに 、取引

コ ス トをか ける こ となく効率的に メ ン バ ーや情報

が揃 う関係が で きた。

 早 稲田 商店会や 楽天 市場 の コ ミ ュ ニ テ ィ形成 ま

で の 3 年間は 、イ ン タ ーネ ッ トとい う情報 ツ ール

の 登場が 、  「動的情報」 とし て相互 関係 の プ ロ セ

ス を生み 出 し共有す る こ とが 可能に な り、地理 的

な垣根 も取 り払 っ て、非常に短 い 期 間で コ ミュ ニ

テ ィ メ ン バ ー間の 信頼や ソーシ ャ ル ・キ ャ ピ タ ル

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SOHO 事業者 を め ぐ る コ ミュニ テ ィ形 成

成功 した コ ミュ ニ テ ィ (楽天市場、早稲田商 店会)の 動き

通の

場を

作る

集客

機会

二 継ケ 続

吉曽ン 晝

自発

的情報

停共

共同

問題

解決

情報

蓄積

3 っ の コ ミ ュ ニ ケー

シ ョ ン パ ターン

コ ミュ ニ テ ィ メ ン バー

間の 信頼、ソーシ ャ ル ・キ ャ ピタ

■しか け

「静的情報」 「動的情報」 共有

コ ミ ュ ニ テ ィ 形成

三 鷹市 SOHO支援施策

図 7 成功 した コ ミ ュ ニ テ ィ と三 鷹市 SOHQ 支援団体 との比較

を蓄積す るこ とが 可能 に なっ た と言え る。

 で は 、三鷹市 の SOHO をめ ぐる動 きは ど うか 。

成功 し た コ ミ ュ ニ テ ィ の 動 きと比 較 して みる と、

共通 の 関心 としては 「SOHO を支援 し、ビ ジネ ス

の 成功 に導く」 と い う意味 で 、図 1 で 紹介したよ

うに共通の 関心 を持 っ た人 間が集ま っ て い る。

  そ して情報や人が集ま っ て くる 「場」を設 けた。

三鷹市 SOHO 施設は 53社 にオ フ ィ ス を低家賃 で貸

した り、会員 とな っ た SOHO 約 700 人 に 各種 サー

ビ ス を提供 して い る。

 さ らに集客機 会 と して 、三鷹市は 「SOHO フ ェ

ス タ J とい うイ ベ ン トを開催 し、展示や営業機会

を設 けて か ら 4年が経過 して い る。

 成功 した コ ミ ュ ニ テ ィ の 動き と比較す る と、三

鷹市は イ ベ ン ト と い う集客機会 をき っ か け に 、そ

の 後 も継続的 に コ ミ ュ ニ ケー

シ ョ ン を続 け、情報

共有 し、蓄積す る とい う段 階に きて い る 。 三鷹市

の SOHO をめ ぐる環境は コ ミ ュ ニ テ ィ化す る一

手前まで きて い るの で ある 。 前出 の 「三鷹市 SOHO

実態調 査」で も異業種 交流会 へ の 参加意向 に SOHO

事業者の 65%、支援企業の 62.9%が参加 した い と

い う結果が出て い る 。 また、第 2 章で も述べ たよ

うに、三鷹市 との ジ ョ イ ン トビジネ ス な どか ら、

自分た ちの 住むある い は働 くま ちで 、自分の ス キ

ル を生か し、何か役 立 つ よ うな仕事が した い と い

っ た意見 も複数 の SOHO 事業者か ら出て い る 。こ

れ は 、自発 的 に 動きた い 、情報 を発 信 し た い とい

う意識が 出始 め て い る と捉えられ る。

三 鷹市 SOHO コ ミ ュ ニ テ ィ モ デル の 提案

  三 鷹市 の 現 状 と して 、図 1 で 示 した よ うに、

SOHO をめ ぐる組織体制は (株) ま ち づ く り三鷹

が 中心 とな っ て い るもの の 、SOHO と支援企 業 を

つ な ぐネ ッ トワーク 体制が で きて い な い 。つ まり、

3 つ の コ ミ ュ ニ ケー

シ ョ ン パ ター

ン 「SOHO と顧

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客」  「顧客 と顧客1 「SOHO と SOHO 亅 がお互 い

の や り と り か ら、動的情報 を生 み 出 し、情報 を共

有 し、蓄積す る仕組み に な っ て い な い 。 し か し、

芽は数々 出て きて い る 。 筆者が SOHO 事業者にイ

ン タビ ューした 中で 、  「入居 してか ら知 り合っ た

SOHO 事業者 と取 引関係が生まれ た]  「疲れ て い

る ときで も、仲間の がん ば っ て い る姿が 見 え る の

で勇 気付 け られ る」 と い うよ うな意見 が何人 もの

SOHO 事業者か ら寄せ られ た 。 オ フ ィ ス ス ペ ース

を共有 した こ とで 、SOHO 事業者同士 の っ なが り

は徐 々 に で き っ っ ある よ うに見受 けられ る。三鷹

市の 場合、ハー

ド的な支援は整い 、オ フ ィ ス に 53

社 の SOHO が 入居 し た、また、ホ ーム オ フ ィ ス の

市民会員 も約 700人集 まっ た 。 次の フ ェーズで は、

筆者 が問題提起 と して取 り上 げた SOHO を め ぐる

需給 の ミス マ ッ チ を回避す るため の 「静的情報」

と、や りとりや人 と人 との 関係性 の プ ロ セ ス の 中

で 生 まれ る 「動的情報」 の 両面が 、共通 の 関心 を

持 っ たメ ン バ ーで構成 される コ ミュ ニ テ ィ の 中で

登場 し、こ れ ら の 情報 を メ ン バ ーがサ ポー

トして

い く シ ス テ ム が 必要で あ る 。 そ し て (株) まちづ

く り三鷹 を中心 と して 、図 1 の メ ン バ ーが参加 し

て 3 つ の コ ミュ ニ ケー

シ ョ ン パ ター

ン を っ くる 。

こ れ に は バ ーチ ャ ル 上に ある情報共 有 の た め の オ

ープ ン なビ ジネ ス プ ラ ッ トホ ーム と、地域性を考

慮すれ ば、三 鷹市 SOHO 施設 の 中でお 互 い が face to

faceで 交流で きる 「場 」 、 こ の 両方を設ける必要

があ る 。 さ らに は 、 三鷹 SOHO コ ミュ ニ テ ィに参

加 す る こ とが メ リッ トとな るよ うな資源 = ソ ーシ

ャ ル ・キ ャ ピ タ ル が 蓄積 され る体制 に も っ て い く

こ とで あ る 。 そ うすれ ば需給 の ミス マ ッ チ と情報

の や りと りや 関係性 の 中で 不確 実性 に対 処 する部

分が コ ミ ュ ニ テ ィ で サ ポー

トで き、取引 コ ス トと

なる 「コ ミ ュ ニ ケーシ ョ ン コ ス ト亅と 「信用 コ ス ト」

を下げる こ とが 可能に なる 。ビジネ ス プラ ッ トホ

ーム 機能 をもっ (株)ま ち づ くり三鷹は管理的立

場 を と り、コ ミ ュ ニ テ ィ内外へ の 広 報に力 を入 れ 、

人 と情報が集ま っ て くる よ うな三鷹市 SOHO コ ミ

ユ ニ テ ィ を構築す るよ うな体制に も っ て い く こ と

を提案す る。

参考文献 ・資料

【1]財団 法人 三 鷹市まちづ く り公社 三鷹 市ま ち

  づ くり研究所編  『三鷹市ま ちづ く り研 究所

  第 3 分科会最終報告書 〜市民参加型 「情報

  都 市 み た か 」 の 創 造 に 向 け て 〜』 1998

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【5]株 式会社 住信基 礎研 究所編  『平成 10 年度通

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[8]金子郁容  「イ ン ターネ ッ ト時代の 組織 はなぜ

  で き る の か 」 『ビ ジネ ス レ ビ ュー

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  N α 2』一橋大学イ ノ ベ ーシ ョ ン 研 究セ ン ター編

  千倉書房 pp.8− 9 量998.11

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  岩波書店  1988

[10】ドン ・タプ ス コッ ト著 野村 総合研 究所訳

   『デ ジ タ ル ・エ コ ノ ミー

』野 村総合研 究 所

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Japan  Telework  Soolety

SOHO 事業者をめ ぐる コ ミ ュ ニ テ ィ形成

  p.525  1996

【ll]http:/fwww .rakuten .co .jp[12】本城慎之介  『イ ン タ

ーネ ッ ト ・シ ョ ッ ピ ン グ

  モー

ル の 構築 と事業化』 慶應義塾大学大学院

  政策・メデ ィ ア研究科 1996年度修士 報告発 表

  資料

[13]「電子 モー

ル の 現状 と未来」 『日経ゼ ロ ワン 』

  日経 BP 社  1月 号一 2000

[14]早 稲田 い の ち の ま ちづ く り実行委 員会編著

   『ゼ ロ エ ミッ シ ョ ン か らの まちづ く り』  日報

  1 998 http:〃www .re・net.info/

小 森谷 久美 (こ も りや  くみ )

1990 年文教大学人間科学部卒業。株式 会社サーベ

イ リサ ーチ セ ン タ ー社会調 査室勤務 を経て 、2000

年慶應義塾大学政策 ・メデ ィ ア 研究科修士課 程修

了 。 2000年よ り東京 工業大学理財工学研究セ ン タ

ー研 究員、2002 年 よ り東京工 科大学片柳研究所研

究員。

e−mai1 :kumikomo @trio.plala.or.jp

tt 1 調査対 象 :  SOHO サ ロ ン 会員、創業予 定者

(372人)    推進 協議 会会員(160入)

  調査方法 : ホ ーム ペ ージ上 で 回答、調査票は

    の 2タイ プ作成 (調査票作成、集計、分析 は筆

者が実施)

  調査期間 11999 年 12月〜2000年 1月   有効

回収数 :   SOHO60 人 (16.童%)    推進協議会35

人 (21.9%)

注 2筆者が行 な っ たイ ン タ ビ ュ

ーか ら、2001年3月

現在、満足す る レ ベ ル の 秘書サービ ス があ る の は

三 鷹市 SOHO パ イ ロ ッ トオ フ ィ ス の み で ある 。

注3図 1に ある SOHO  CITY  みた か 推進協議会に

加盟 して い る企業 の メ ン バ ーを対象 とした 。

2001年4月 6日受付  2002年年 10月 20日受理

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