sua3-4 - jst

5
1 緒 蚀 近幎四茪車䞡に関する研究が盛んに行われ垂販 の自動車に自動運転技術が実装されはじめおいるし かし車䞡を目的の䜍眮ぞ移動させる制埡系蚭蚈を考 えるずき四茪車䞡は非ホロノミックな性質を持ち 静的連続フィヌドバックによる安定化ができない 1) た め䞀般に制埡蚭蚈は困難であるそのため埓来研 究ずしお円呚族远埓による自動駐車 2) や時間軞状態 制埡圢による安定化 3),4) フラットネス理論 5) による远 埓制埡が提案されおいる円呚族远埓制埡は簡䟿な目 暙軌道を蚭定し軌道からの偏差を安定化するこずで 目暙座暙ぞ収束させる手法であり蚭蚈が比范的容易 であるしかし目暙軌道が円軌道ずなるため駐車 スペヌスが限られる堎合など適切な経由点を蚭定す る必芁がある時間軞状態制埡は非ホロノミックシ ステムに察しお有効な手法ずしお知られおいるしか し車䞡の状態倉数の䞀郚を時間軞ず芋立おるもので あるため車䞡の駐車を考える堎合その駐車軌道が 制玄されるフラットネス理論は非線圢のシステムに 察しお座暙倉換ずフィヌドバックを斜すこずにより 等䟡な線圢システムぞず倉換する手法である倉換埌 の線圢システムに察しお安定化制埡系を蚭蚈し倉換 前の座暙に戻すこずで安定化が達成されるしかし 倉換埌のシステムに察しお最適な蚭蚈を行ったずしお も倉換前のシステムに察する最適性は保蚌されない 点に泚意が必芁である たた実際の環境においおはモデル化誀差や倖乱が 存圚するため安党性の向䞊のためにロバストな制埡 系蚭蚈は重芁な課題である䞀般にロバスト性を持぀ ずされる制埡系蚭蚈ずしおスラむディングモヌド制 埡SMC 6) や倖乱オブザヌバ 7),8) があるSMCは非線 圢システムを察象ずしたロバスト蚭蚈手法ずしお実甚 性が高く広く甚いられおいるしかしSMCのロバス ト性はリレヌ入力のゲむンに䟝存するが入力制玄が 存圚するずきゲむン蚭蚈は困難ずなるこずがある䞀 方倖乱オブザヌバは想定される未知の䞍確かさを 掚定するこずにより察凊しようずする考え方である さらによりロバスト性を向䞊させるこずを目的ずし おモデル予枬制埡MPC 9) ずSMCを甚いた制埡則が 提案されおいる 10)  本研究では倖乱の圱響を軜枛しロバスト性の向䞊を 目的ずしお倖乱オブザヌバによるロバスト远埓制埡 系蚭蚈を行うたず倖乱オブザヌバにより倖乱量を 掚定しその掚定倀に基づいおフラットネス理論によ り四茪車䞡の線圢化を行う次に線圢化されたシス テムの誀差方皋匏に察しおMPCずSMCを甚いた远埓 制埡系を蚭蚈する 以䞋に本論文の構成を瀺すたず2章で制埡察象であ る四茪車䞡のダむナミクスおよびSMCMPC倖乱オ ブザヌバに぀いお抂略を述べる次に 3章で提案手法 を瀺し 4章でシミュレヌションにより提案手法ず倖乱 オブザヌバを利甚しない堎合の比范を行い提案手法 の有効性を確認する最埌に5章でたずめずする 2 基瀎理論 2.1 制埡察象 Fig. 1に本研究で甚いる四茪車䞡のモデルを瀺す本 研究で甚いる状態方皋匏は次匏ずなる ̇ 1 = 4 cos 3 ̇ 2 = 4 sin 3 ̇ 3 = 4 tan 1 ̇ 4 = 2 (1) ここで 1 , 2 は埌茪䞭心座暙を衚し 3 は姿勢角 4 は車䞡速床である 1 , 2 はそれぞれ操舵角加速床で ある はホむヌルベヌスを衚すたた四茪車䞡は次 の拘束条件を受ける | 1 |≀ 1 | 2 |≀ 2 | 4 |≀ 4 (2) ここで 1 , 2 , 4 はそれぞれ操舵角制限倀加 速床制限倀速床制限倀である 倖乱オブザヌバによる四茪車䞡のロバスト軌道远埓制埡 小林友明 ○怍西宣仁倧阪府立倧孊 Robust Trajectory Tracking Control for Four Wheel Vehicles with Disturbance Observer T. Kobayashi, * N. Uenishi (Osaka Prefecture Univ.) Abstract In this paper, we present a new robust trajectory tracking control for four wheel vehicles with disturbance observer. In the conventional study, a control law by combining sliding mode control (SMC) and model predictive control (MPC) is proposed to improve robustness of SMC. However, it does not sufficiently remove the influence of disturbance. Therefore, we redesign the control input by using the estimated value by the disturbance observer in order to the influence of disturbance is removed. Simulation results show the effectiveness of the proposed method. Key Words: Sliding mode control, Model predictive control, Disturbance observer Fig. 1: Four wheel vehicle model. 第 60 回自動制埡連合講挔䌚2017 幎 11 月 10 日 12 日・東京 © 2017 SICE 17PR0002/0000-1030 SuA3-4

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1 緒 蚀

近幎四茪車䞡に関する研究が盛んに行われ垂販の自動車に自動運転技術が実装されはじめおいるしかし車䞡を目的の䜍眮ぞ移動させる制埡系蚭蚈を考えるずき四茪車䞡は非ホロノミックな性質を持ち静的連続フィヌドバックによる安定化ができない1)ため䞀般に制埡蚭蚈は困難であるそのため埓来研究ずしお円呚族远埓による自動駐車2)や時間軞状態制埡圢による安定化3),4)フラットネス理論5)による远埓制埡が提案されおいる円呚族远埓制埡は簡䟿な目暙軌道を蚭定し軌道からの偏差を安定化するこずで目暙座暙ぞ収束させる手法であり蚭蚈が比范的容易であるしかし目暙軌道が円軌道ずなるため駐車スペヌスが限られる堎合など適切な経由点を蚭定する必芁がある時間軞状態制埡は非ホロノミックシステムに察しお有効な手法ずしお知られおいるしかし車䞡の状態倉数の䞀郚を時間軞ず芋立おるものであるため車䞡の駐車を考える堎合その駐車軌道が制玄されるフラットネス理論は非線圢のシステムに察しお座暙倉換ずフィヌドバックを斜すこずにより等䟡な線圢システムぞず倉換する手法である倉換埌の線圢システムに察しお安定化制埡系を蚭蚈し倉換前の座暙に戻すこずで安定化が達成されるしかし倉換埌のシステムに察しお最適な蚭蚈を行ったずしおも倉換前のシステムに察する最適性は保蚌されない点に泚意が必芁である

たた実際の環境においおはモデル化誀差や倖乱が存圚するため安党性の向䞊のためにロバストな制埡系蚭蚈は重芁な課題である䞀般にロバスト性を持぀ずされる制埡系蚭蚈ずしおスラむディングモヌド制埡SMC6)や倖乱オブザヌバ7),8)があるSMCは非線圢システムを察象ずしたロバスト蚭蚈手法ずしお実甚性が高く広く甚いられおいるしかしSMCのロバスト性はリレヌ入力のゲむンに䟝存するが入力制玄が存圚するずきゲむン蚭蚈は困難ずなるこずがある䞀方倖乱オブザヌバは想定される未知の䞍確かさを掚定するこずにより察凊しようずする考え方であるさらによりロバスト性を向䞊させるこずを目的ずしおモデル予枬制埡MPC9)ずSMCを甚いた制埡則が提案されおいる10)

本研究では倖乱の圱響を軜枛しロバスト性の向䞊を目的ずしお倖乱オブザヌバによるロバスト远埓制埡

系蚭蚈を行うたず倖乱オブザヌバにより倖乱量を掚定しその掚定倀に基づいおフラットネス理論により四茪車䞡の線圢化を行う次に線圢化されたシステムの誀差方皋匏に察しおMPCずSMCを甚いた远埓制埡系を蚭蚈する

以䞋に本論文の構成を瀺すたず2章で制埡察象である四茪車䞡のダむナミクスおよびSMC MPC倖乱オブザヌバに぀いお抂略を述べる次に3章で提案手法を瀺し4章でシミュレヌションにより提案手法ず倖乱オブザヌバを利甚しない堎合の比范を行い提案手法の有効性を確認する最埌に5章でたずめずする

2 基瀎理論

2.1 制埡察象

Fig. 1に本研究で甚いる四茪車䞡のモデルを瀺す本研究で甚いる状態方皋匏は次匏ずなる

ᅵ̇ᅵ1 = 𝑥4 cos 𝑥3 ᅵ̇ᅵ2 = 𝑥4 sin 𝑥3

ᅵ̇ᅵ3 =𝑥4

𝑙tan 𝑢1

ᅵ̇ᅵ4 = 𝑢2

(1)

ここで𝑥1, 𝑥2は埌茪䞭心座暙を衚し𝑥3は姿勢角𝑥4

は車䞡速床である𝑢1, 𝑢2はそれぞれ操舵角加速床である𝑙はホむヌルベヌスを衚すたた四茪車䞡は次の拘束条件を受ける

|𝑢1| ≀ 𝑢1𝑙𝑖𝑚 |𝑢2| ≀ 𝑢2𝑙𝑖𝑚 |𝑥4| ≀ 𝑥4𝑙𝑖𝑚

(2)

ここで𝑢1𝑙𝑖𝑚 , 𝑢2𝑙𝑖𝑚, 𝑥4𝑙𝑖𝑚はそれぞれ操舵角制限倀加速床制限倀速床制限倀である

倖乱オブザヌバによる四茪車䞡のロバスト軌道远埓制埡

小林友明 ○怍西宣仁倧阪府立倧孊

Robust Trajectory Tracking Control for Four Wheel Vehicles with Disturbance Observer

T. Kobayashi, * N. Uenishi (Osaka Prefecture Univ.)

Abstract In this paper, we present a new robust trajectory tracking control for four wheel vehicles with disturbance observer. In the conventional study, a control law by combining sliding mode control (SMC) and model predictive control (MPC) is proposed to improve robustness of SMC. However, it does not sufficiently remove the influence of disturbance. Therefore, we redesign the control input by using the estimated value by the disturbance observer in order to the influence of disturbance is removed. Simulation results show the effectiveness of the proposed method. Key Words: Sliding mode control, Model predictive control, Disturbance observer

Fig. 1: Four wheel vehicle model.

第 60 回自動制埡連合講挔䌚2017 幎 11 月 10 日 12 日・東京 © 2017 SICE17PR0002/0000-1030

SuA3-4

参照軌道ずの誀差システムを考えるフラットネス理論5)を甚いるず次の線圢状態方皋匏が埗られる

ᅵ̇ᅵ1 = 𝑒2 ᅵ̇ᅵ2 = ᅵ̅ᅵ1 ᅵ̇ᅵ3 = 𝑒4 ᅵ̇ᅵ4 = ᅵ̅ᅵ2

(3)

ここで𝑒1, 𝑒3はそれぞれ𝑥1, 𝑥2方向の䜍眮偏差𝑒2, 𝑒4

はそれぞれ𝑥1, 𝑥2方向の速床偏差を衚しᅵ̅ᅵ1, ᅵ̅ᅵ2は倉換埌の誀差システムの入力である倉換埌の参照入力を𝑣1

∗, 𝑣2∗ずするずシステムに印可する入力は次匏ずなる

𝑢1 = tan−1 {−

𝑙(𝑣1 sin 𝑥3 − 𝑣2 cos 𝑥3)

𝑥42 }

𝑢2 = 𝑣1 cos 𝑥3 + 𝑣2 sin 𝑥3

(4)

ただし𝑣1, 𝑣2は倉換埌のシステムの入力であり次匏で衚される

𝑣1 = ᅵ̅ᅵ1 + 𝑣1

∗ 𝑣2 = ᅵ̅ᅵ2 + 𝑣2

∗ (5)

2.2 SMC6)

SMCは安定な切換超平面ぞ状態を拘束するこずで

安定化を達成する手法である制埡入力は状態を超平

面に拘束する等䟡入力ず状態を超平面ぞ近づけるた

めの切換入力により構成される次の線圢システムず

切換関数を考える

𝜉̇ = 𝐎𝜉 + 𝐵𝑢, 𝜉 ∈ ℝ𝑛 , 𝑢 ∈ ℝ𝑚 (6)

𝜎 = 𝑆𝜉, 𝜎 ∈ ℝ𝑚, 𝑆 ∈ ℝ𝑚×𝑛 (7)

ここで𝜉, 𝑢はそれぞれ状態倉数入力であり𝜎は切

換関数であるこのずき等䟡制埡入力は次匏で䞎え

られる

𝑢𝑒𝑞 = −(𝑆𝐵)−1𝑆𝐎𝜉 (8)

たた切換入力は次匏ずする

𝑢𝑛𝑙 = − (𝑘1sgn(𝜎1)

⋮𝑘𝑚sgn(𝜎𝑚)

) (9)

ここでsgn(∙)は笊号関数であり𝑘𝑖(𝑖 = 1, ⋯ , 𝑚)はゲ

むンであるよっおSMC入力は次匏ずなる

𝑢 = −(𝑆𝐵)−1𝑆𝐎𝜉 − (𝑘1sgn(𝜎1)

⋮𝑘𝑚sgn(𝜎𝑚)

) (10)

次に最適な切換超平面の蚭蚈方法に぀いお述べるたずシステム(6)を次の正準系に座暙倉換する

𝜉1̇ = 𝐎11𝜉1 + 𝐎12𝜉2

𝜉2̇ = 𝐎21𝜉1 + 𝐎22𝜉2 + 𝐵2𝑢 𝜎 = 𝑆𝜉

(11)

スラむディングモヌドにおける状態の倉動を最小にする最適な滑り平面を求めるために次の評䟡関数を導入する

𝐜 = ∫ [𝜉1

𝜉2]

⊀

[𝑄11 𝑄12

𝑄21 𝑄22] [

𝜉1

𝜉2] d𝑡

𝑡

𝑡𝑠

(12)

ただし 𝑄12⊀ = 𝑄21𝑄 = [

𝑄11 𝑄12

𝑄21 𝑄22] > 0であり𝑡𝑠は

状態𝜉が切換平面に到達したずきの時刻であるこの

ずき補助倉数𝜏を次匏で定矩する

𝜏 = 𝜉2 + 𝑄22−1𝑄12

⊀ 𝜉1 (13)

匏(11)(12)(13)より次匏が埗られる

𝜉1̇ = 𝐎11∗ 𝜉1 + 𝐎12𝜏

𝐜 = ∫ (𝜉1⊀𝑄11

∗ 𝜉1 + 𝜏⊀𝑄22𝜏)d𝑡𝑡

𝑡𝑠

(14)

ただし𝐎11∗ , 𝑄11

∗ は次匏で䞎える

𝐎11

∗ = 𝐎11 − 𝐎12𝑄22−1𝑄12

⊀ 𝑄11

∗ = 𝑄11 − 𝑄12𝑄22−1𝑄12

⊀ (15)

ここで最適な切換超平面を求めるために匏(14)の最適制埡問題を解く匏(14)の最適制埡問題のRiccati方皋匏は次匏である

𝑃𝐎11∗ + 𝐎11

∗⊀𝑃 − 𝑃𝐎12𝑄22−1𝐎12

⊀ 𝑃 + 𝑄11∗ = 0 (16)

よっお評䟡関数𝐜を最小にする解は匏(16)の正定察称な唯䞀解𝑃を甚いお次匏ずなる

𝜏 = −𝑄22−1𝐎12

⊀ 𝑃𝜉1 (17)

匏(13)(17)より次匏が成り立぀

𝜉2 = 𝜏 − 𝑄22

−1𝑄12⊀ 𝜉1

= −𝑄22−1(𝐎12

⊀ 𝑃 + 𝑄22−1𝑄12

⊀ )𝜉1 (18)

よっお切換平面は次匏ずなる

𝜎 = (𝐎12⊀ 𝑃 + 𝑄22

−1𝑄12⊀ )𝜉1 + 𝑄22𝜉2 = 0 (19)

したがっお行列𝑆は次のように蚭蚈される

𝑆 = [𝐎12⊀ 𝑃 + 𝑄22

−1𝑄12⊀ 𝑄22] (20)

ここでSMCの安定性に぀いお次の呜題が成り立぀ 【呜題 1】 SMC入力により状態は切換超平面に察しお挞近安定である

蚌明 𝑚 = 1ずしお次のリアプノフ関数の候補を考える

𝑉 =1

2𝜎1

2 ≥ 0 (21)

リアプノフ関数の候補(21)の時間埮分は次匏ずなる

ᅵ̇ᅵ = 𝜎1𝜎1̇

= 𝜎1(𝑆𝜉̇)

= 𝜎1[𝑆(𝐎𝜉 + 𝐵𝑢)] = −𝑘1𝑆𝐵𝜎1sgn(𝜎1)

(22)

よっお𝑆𝐵 > 0のずき𝑘1 > 0𝑆𝐵 < 0のずき𝑘1 < 0ずするずᅵ̇ᅵ < 0ずなり状態は切換超平面に察しお挞近安定である □

したがっお状態を安定な切換超平面に収束させシステムを安定化させるこずができる

2.3 MPC9)

次の状態方皋匏初期倀評䟡関数を䞎える

ᅵ̇ᅵ(𝑡) = 𝑓(𝑡, 𝑥(𝑡), 𝑢(𝑡)), 𝑥(𝑡0) = 𝑥0 ∈ ℝ𝑛 (23)

𝐜 = 𝐺(𝑥(𝑡1)) + ∫ 𝐿(𝑡, 𝑥(𝑡), 𝑢(𝑡))d𝑡𝑡1

𝑡0

(24)

最適制埡問題ずは状態方皋匏および初期倀(23)に察しお制埡区間[𝑡0, 𝑡1]内で評䟡関数(24)が最小ずなる制埡入力𝑢∗(𝑡)および状態軌道𝑥∗(𝑡)を求めるこずである

MPCはサンプリング時間ごずに最適制埡問題を解き最適入力を逐次適甚する手法である

2.4 倖乱オブザヌバ 7),8)

次の非線圢システムを考える

ᅵ̇ᅵ(𝑡) = 𝑓(𝑥) + 𝑔1(𝑥)𝑢 + 𝑔2(𝑥)𝑑 (25)

ここで𝑥, 𝑢, 𝑑はそれぞれ状態倉数入力倖乱量であるたた倖乱量は有界であり次の条件を満たす

limt→∞

ᅵ̇ᅵ = 0 (26)

ここで倖乱を状態倉数ずみなしたシステムを考える

ᅵ̇ᅵ = 0

𝑊𝑑 = 𝑔2(𝑥)𝑑 = ᅵ̇ᅵ(𝑡) − 𝑓(𝑥) − 𝑔1(𝑥)𝑢 (27)

ここで𝑊𝑑は倖乱を状態倉数ずみなしたシステムの出力であるシステム(27)に察しお次匏の倖乱オブザヌバを蚭蚈する

ᅵ̇̂ᅵ = 𝐿(𝑥)(𝑊𝑑 − ᅵ̂ᅵ𝑑)

= 𝐿(𝑥)(ᅵ̇ᅵ(𝑡) − 𝑓(𝑥) − 𝑔1(𝑥)𝑢 − 𝑔2(𝑥)ᅵ̂ᅵ)

ᅵ̂ᅵ𝑑 = 𝑔2(𝑥)ᅵ̂ᅵ

(28)

ここでᅵ̂ᅵは倖乱掚定量ᅵ̂ᅵ𝑑は倖乱オブザヌバ(28)の出力であり𝐿(𝑥)はオブザヌバゲむンであるFig. 2に倖乱オブザヌバ(28)のブロック線図を瀺す

ここで倖乱オブザヌバ(28)に぀いお次の呜題が成り立぀

【呜題 2】 𝐿(𝑥)𝑔2(𝑥) > 0なるオブザヌバゲむン𝐿(𝑥)を蚭蚈したずき倖乱掚定量ᅵ̂ᅵは倖乱量𝑑に収束する 蚌明 掚定誀差を次匏で定矩する

𝑒 = 𝑑 − ᅵ̂ᅵ (29)

掚定誀差の時間埮分は次匏ずなる

ᅵ̇ᅵ = ᅵ̇ᅵ − ᅵ̇̂ᅵ

= −𝐿(𝑥)(𝑊𝑑

− ᅵ̂ᅵ𝑑)

= −𝐿(𝑥)𝑔2(𝑥)(𝑑 − ᅵ̂ᅵ)

= −𝐿(𝑥)𝑔2(𝑥)𝑒

(30)

したがっお𝐿(𝑥)𝑔2(𝑥) > 0のずき掚定誀差𝑒は原点に察しお挞近安定であるすなわち倖乱掚定量ᅵ̂ᅵは倖乱量𝑑に収束する □

しかし倖乱オブザヌバ(28)においおᅵ̇ᅵは利甚できないため次の補助倉数を導入する

𝑧 = ᅵ̂ᅵ − 𝑝 (31)

ただし𝑝は次の条件を満たすように蚭蚈する

𝐿 =𝜕𝑝

𝜕𝑥 (32)

このずきᅵ̇ᅵを利甚しないオブザヌバは次匏ずなる

ᅵ̇ᅵ = ᅵ̇̂ᅵ − ᅵ̇ᅵ = 𝐿(𝑥)(ᅵ̇ᅵ(𝑡) − 𝑓(𝑥) − 𝑔1(𝑥)𝑢 − 𝑔2(𝑥)ᅵ̂ᅵ)

−𝜕𝑝

𝜕𝑥ᅵ̇ᅵ

= −𝐿(𝑥){𝑓(𝑥) + 𝑔1(𝑥)𝑢 + 𝑔

2(𝑥)(𝑧 + 𝑝)}

ᅵ̂ᅵ = 𝑧 + 𝑝

(33)

3 提案手法

3.1 倖乱オブザヌバの定匏化

姿勢角に倖乱が圱響するこずを加味し次の四茪車䞡の状態方皋匏を考える

ᅵ̇ᅵ1 = 𝑥4 cos 𝑥3 ᅵ̇ᅵ2 = 𝑥4 sin 𝑥3

ᅵ̇ᅵ3 =𝑥4

𝑙tan 𝑢1 + 𝑥4𝑑

ᅵ̇ᅵ4 = 𝑢2

(34)

ここで𝑑は有界な倖乱であり条件(26)を満たすずす

るこのずき倖乱の状態方皋匏は次匏ずなる

ᅵ̇ᅵ = 0

𝑊𝑑 = 𝑥4𝑑 = ᅵ̇ᅵ3 −𝑥4

𝑙tan 𝑢1

(35)

ここで𝑊𝑑は倖乱のシステムの出力である呜題 2よりオブザヌバゲむン補助倉数を次匏で定矩する

𝐿 = 𝑘𝑜𝑥4

𝑧 = ᅵ̂ᅵ − 𝑘𝑜𝑥3𝑥4 (36)

ただし𝑘𝑜は正の定数であるこのずき倖乱オブザヌバは次匏ずなる

ᅵ̇ᅵ = −𝑘𝑜𝑥42 (

tan 𝑢1

𝑙+ 𝑧 + 𝑘𝑜𝑥3𝑥4) − 𝑘0𝑥3𝑢2

ᅵ̂ᅵ = 𝑧 + 𝑘0𝑥4𝑥3 (37)

3.2 入力蚭蚈

システム(34)に察しお倖乱オブザヌバをもずにフラットネス理論を適甚し線圢化を行うず誀差システムは匏(3)ずなり倖乱の圱響を陀去するこずができるただし入力の倉換匏は倖乱掚定倀ᅵ̂ᅵを甚いお次匏ずなる

𝑢1 = tan−1 {−𝑙 (

𝑣1 sin 𝑥3 − 𝑣2 cos 𝑥3

𝑥42 + ᅵ̂ᅵ)}

𝑢2 = 𝑣1 cos 𝑥3 + 𝑣2 sin 𝑥3

(38)

ここで誀差システム(3)に察する入力ᅵ̅ᅵ1ᅵ̅ᅵ2,の蚭蚈方法に぀いお述べる切換超平面ぞの収束性の改善およびロバスト性の向䞊のためにMPCを甚いたSMCが提案されおいる10)この手法では到達モヌドにおいお切換超平面から離れおいるずきすなわち|𝜎𝑖| > 𝛌𝑖のずき次匏の評䟡関数を最小にするMPCにより入力を求める

𝐜 = 𝑥⊀𝑃𝑥 + ∫ (𝜎⊀𝜎 + 𝑢⊀𝑅𝑢)d𝑡𝑡1

𝑡0

(39)

状態が切換超平面近傍にあるずきすなわち|𝜎𝑖| ≀ 𝛌𝑖

のずきSMC入力を甚いるたた誀差システムは二぀の2次元1入力のサブシステムずみなすこずができ呜題 1よりSMC入力による誀差システムの安定化が達成される

4 数倀実隓

四茪車䞡の自動駐車を想定しお数倀実隓を行い提案手法の有甚性を怜蚌した提案手法ではたず参照軌道を蚭蚈しその埌远埓制埡系を蚭蚈するこずで駐車問題を軌道远埓問題ぞ倉換する参照軌道および参照入力は非線圢最適制埡問題の数倀解法アルゎリズムである REB アルゎリズム 11)により初期䜍眮から駐車䜍眮たでの最適軌道を埗た軌道蚈画におけるシミュレヌション条件を Table 1に瀺す初期倀を原点ずし指定の駐車䜍眮ぞ向きを倉えお駐車する蚭定ずした

Table 1: Parameters of trajectory planning

Wheel base 𝑙 = 0.25[m]

Initial state [0 0 0 0]

Parking state [4 −1.5𝜋

20]

Limit of steering 𝑢1𝑙𝑖𝑚 =35

180𝜋[rad]

Limit of

acceleration 𝑢2𝑙𝑖𝑚 = 6.0[m/s2]

Limit of velocity 𝑥4𝑙𝑖𝑚 = 2.7[m/s]

Fig. 2: Disturbance observer.

たた軌道远埓制埡におけるシミュレヌション条件を Table 2に瀺す前述の軌道蚭蚈の条件に察しお進行方向の初期倀をずらしおいるこれは提案手法の远埓性胜を評䟡するためであるさらに車䞡の姿勢角には倖乱を加え提案手法のロバスト性を怜蚌した

Fig. 3Fig. 6にシミュレヌション結果を瀺すFig. 3

は走行軌跡である初期䜍眮から蚭蚈された远埓軌道に沿っお駐車䜍眮ぞ移動できおいるこずがわかるFig.

4(a)(b)(c)(d)はそれぞれ𝑥1, 𝑥2, 𝑥3, 𝑥4の远埓誀差の時刻歎であるこれにより提案手法のほうが埓来手法に比べお远埓誀差が小さく远埓性胜が良いこずがわかるずくにFig. 4(c)の姿勢角誀差をみるず埓来手法では定垞偏差が残っおいるのに察しお提案手法は倖乱の圱響を抑制し高いロバスト性を瀺しおいるこずがわかるたたFig. 5は倖乱オブザヌバの掚定誀差の時刻歎であるこれにより倖乱オブザヌバの掚定倀は倖乱量に収束しおいるこずがわかるFig. 6(a)(b)は入力の時刻歎であり入力制玄内での制埡が行われおいるこずがわかる

Table 2: Parameters of tracking control

Initial state [0 0𝜋

60]

Initial condition of

observer

ᅵ̂ᅵ0 = 0 𝑧0 = 0

Parameters of

switching 𝛌1 = 𝛌2 = 0.3

Switching function 𝜎1 = 𝑒1 + 𝑒2 𝜎2 = 𝑒3 + 𝑒4

Weight matrix of

SMC 𝑄 = diag[1 1]

SMC gain 𝑘1 = 𝑘2 = 1

Observer gain 𝑘𝑜 = 20

Weight matrix of

MPC

𝑃 = [

14.4 16.3 0 016.3 20.7 0 0

0 0 14.4 16.30 0 16.3 20.7

]

𝑅 = diag[0.01 0.01]

Disturbance 𝑑 = 0.3[rad/m]

Fig. 3: Simulation results.

(a) Error of 𝑥1

(b) Error of 𝑥2

(c) Error of 𝑥3

(d) Error of 𝑥4

Fig. 4: Time history of state errors.

Fig. 5: Time history of estimation error.

(a) 𝑢1

(b) 𝑢2

Fig. 6: Time history of inputs.

5 結 蚀

本研究では倖乱オブザヌバに基づいたフラットネス理論による線圢化を行いMPCず SMCを組み合わせた軌道远埓制埡系蚭蚈を提案した数倀実隓から提案手法によるロバスト性の向䞊が確認され提案手法の有効性が瀺された

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