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vol. 133 令和時代の 人材育成 Special Feature

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Page 1: Special Feature 令和時代の 人材育成 · 人材育成 社会の変化が激しく、先を見通すことが難しい時代にこそ、大切なのは未来を 担う人材です。

vol.133

vol.133

令和時代の人材育成

SpecialFeature

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2

C O N T E N T S

読む前に、読むデータ 競争力向上と人材育成編03

Special Feature04

06

10

16

18

19

12 14

08

印刷屋さんの道具箱 第16回

ペーパーコスメティックライン

NEWS & INFORMATION

トッパン未来ラボ Vol.8

モアレ絵柄コントロールシステム

22

23

20

令和時代の人材育成

TOPPAN SOLUTION

Case Case1 2

Special Interview

※「アイデアノート」は、凸版文久体を使用しています。※本文中の商号および製品・サービス名称は、各社の商標または登録商標です。

変化の時代を乗り越え未来へとつなぐ人材育成のあり方岩崎 玲子 株式会社トッパン マインドウェルネス 代表取締役社長

実務に活きる知識を確実に身につける。完全習得型デジタル教材

対話と内省を通じて客観的な「目」を育て人の成長と組織の変革を支援する

プロンテスト®

できるーと

現場の知識からマインドセットまで

多彩な知識・スキルが個を伸ばし、組織を強める

「TOPPAN SOLUTION」は、トッパンの情報コミュニケーション分野のさまざまなソリューションをご紹介するWebサイトです。展示会やセミナーの開催レポートなど、各種オリジナルコンテンツも充実。本誌「アイデアノート」のバックナンバーもご覧いただけます。課題解決のヒントとして、ぜひご活用ください。

「TOPPAN SOLUTION」Webサイトのご案内

https://www.toppan.co.jp/solution/

詳しくはこちら!

株式会社琉球銀行様実務に活きる知識力の向上とコミュニケーション活性化を両立

凸版印刷株式会社滝野工場印刷の現場で培ってきた知識と技能をデジタル教材化して効果的な教育を実践

トッパン マインドウェルネス人材育成・コンサルティングサービス

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3

Data1

Data 2

社会構造の変化で成長が見通しにくい中、企業は今、競争力を高めるための大きな課題に直面しています。その課題とは何か、また、強化すべきものは何かを見ていきましょう。

進む人手不足。2030年には644万に!人手不足は年々深刻化しており、2030年には644万人が不足すると見込まれています。それを埋めるには、スキルの向上や労働の自動化などによって生産性を上げることが求められています。

人材の能力・資質を高めることが最大の課題自社の競争力をさらに高めるため、強化すべきものについて、「人材の能力・資質を高める育成体系」が52.9%でトップに。現状との差は25.6ポイントにのぼり課題が浮き彫りになっています。

自社の競争力の源泉と競争力をさらに高めるために強化すべきもの(複数回答)

644万人の人手不足をどう埋めるか?

出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「構造変化の中での企業経営と人材のあり方に関する調査」

出典:パーソル総合研究所・中央大学「労働市場の未来推計2030」

読 む 前 に 、 読 む デ ー タ | 競 争 力 向 上 と人 材 育 成 編

労働需要7,073万人

労働供給6,429万人

※失業者61万人を除く

対策1働く女性を増やす

0

100

200

300

400

500

600

700

800

対策2働くシニアを増やす

対策3働く外国人を増やす

対策4生産性向上

人手不足数

102万人

163万人

298万人

644万人81万人

新製品・サービスの開発力

既存の商品・サービスの付加価値を高める技術力(現場力)

特許等の知的財産

顧客ニーズへの対応力(提案力含む)

技術革新への即応力

安定した顧客を惹きつけるブランド性

意思決定の迅速性

財務体質の健全性

事業再編の柔軟性

事業運営の多角性

事業所の立地性(国内・海外問わず)

人材の多様性

人材の能力・資質を高める育成体系

従業員の意欲を引き出す人事・処遇制度

■自社の競争力の源泉■競争力をさらに高めるために強化すべきもの

27.352.9

0 60(%)

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令和時代の人材育成

社会の変化が激しく、先を見通すことが難しい時代にこそ、大切なのは未来を担う人材です。

組織にとっては人材の育成と成長が、将来に向けた競争力の源泉となります。一人ひとりのビジネスパーソンにとっても、社会人として活躍するために知識・ スキルを身につけることはもちろん、時代に合わせて最新の情報を得て、知見を更新していくことが欠かせません。

とりわけ、「Vブ ー カ

UCA」と表現される昨今—— 変動(Volatility)が激しく、不確実性(Uncertainty)が高く、複雑(Complexity)かつ先行きが曖昧(Ambiguity)で将来の予測が困難な今、変わりゆく社会・環境に対応するために、学び続けることの重要性がますます高まっています。

これまでも企業においてはOJTや研修などを通じて人材育成は行われてきましたが、近年、テクノロジーの進歩などによって教育の手法・あり方にも変化が起きています。

今号では、これからの時代に求められる人材育成のあり方やポイントを考えるとともに、企業における人材育成の課題解決に資するトッパンのソリューションや活用事例をピックアップしてご紹介します。

SpecialFeature

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企業の現場は、今、多忙を極めています。日々進化するIT技術へのキャッチアップ、多様化する顧客ニーズへの対応、コンプライアンスの徹底やハラスメント防止に向けた対策など、現場が対応すべきことは従来よりも増しています。その上、働き方改革で、時間は短く、少ない人数で大きな成果を上げることが求められています。こうした中では、本来は後進の教育に注力する役割を担うはずのマネージャー層も、自らプレーヤーとして働くプレーイングマネージャーにならざるを得ない状況です。現場としては、集合研修やOJTに十分な時間を割く余裕がないというのが実情でしょう。そこで、注目されているのが、ICTを活用した教育です。デジタル技術やデバイスの発展によって、「すき間時間を活用

した学習(マイクロラーニング)」や「個々に合わせた学習の提供(アダプティブラーニング)」など、効率的な学習が可能となりました。学習データを蓄積していくことで、個人の特性に合った学習コンテンツを提供することもできるようになります。今後さらに発

社会が大きく変動し続ける中で、企業における組織のあり方も変化しています。人生100年時代が到来するといわれ、生涯現役が当たり前の時代を迎えようとしています。少子高齢化がますます進展し、働き手が減り、労働力不足という社会的な課題を前に、女性のさらなる活躍やシニア人材の活用が推進されています。そのため、組織を構成する人たちを見ても、働き方や雇用形態が多様化しています。さらに、昨今ではテクノロジーの進歩により、国や地域の境界を越えて必要に応じてチームをつくって業務を遂行することも可能となり、組織のあり方・考え方を根本から変えざるを得ない状況にあるといっても過言ではありません。このような状況下で企業の現場では、世代や価値観、雇用形態や能力の異なる人々の力を集め、多様性を活かしながら成果を創出する仕組みづくりが必要とされており、人材育成のあり方や手法も、従来とは異なるものが求められています。

社会の変動に伴って、組織のあり方と人材育成にも変化が求められる

充実した現場教育の実現が厳しい中でICTを活用した教育が注目される

人生100年時代の社会人基礎力

3つの能力

3つの視点

社会の変化(外的要因) 組織の変化(内的要因)

S p e c i a l I n t e r v i e w

変化の時代を乗り越え未来へとつなぐ人材育成のあり方加速する少子高齢化やグローバル化、それらに伴う価値観の多様化や社会構造の変化など、企業とビジネスパーソンを取り巻く環境は激しく変動を続けています。このような時代を乗り越えて未来に向かうために、組織や個人はどのような考えを持って人材育成に臨めばいいのでしょうか。これからの時代に求められる人材育成のあり方や重要なポイントについて、個人と組織の成長を促す研修を通じて企業の組織づくりを支援する、トッパン マインドウェルネス代表取締役社長 岩崎玲子がお話しします。

●少子高齢化の進展●労働人口の減少●グローバル化●ICTの進歩 など

●人手不足●働き方改革●生産性向上●ダイバーシティ推進●コンプライアンス強化 など

どう活躍するか

どのように学ぶか

何を学ぶか

前に踏み出す

考え抜く力

チームで働く力

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展が進めば、例えばVR/AR技術を使った遠隔コミュニケーションによる遠隔教育も可能になるでしょう。

ICTによってより良いコンテンツやツールが登場し、学びやすくなった一方で、それを活用しようとする個人と、学びを活かす上司、そしてその取り組みを評価する組織でなければ活用できません。先進のテクノロジーとコンテンツを取り入れるにしても、教育の目的が共有され、個人が納得して、学ぶことができるような組織・文化と学習環境が必要です。デジタル化が進んでも、組織が人の集まりである限り、人の担う役割があり、企業の役割もあります。企業に求められるのは、学校教育のような一定の知識を供与

するものではなく、経験を通じた教育です。いかに日常業務の中で経験の機会を提供し、そこからの学びを促すか。この「経験をデザインする力」が企業の教育に必要とされています。中でも、リーダーシップ開発は変わらぬ大きな課題です。ビジ

ネスパーソンは職位や立場に関係なく、「一人ひとりがリーダーである」という意識を持つことが重要で、人材育成でもそうしたマインドを醸成していかなければなりません。従来は過去の成功例をモデルとして学び、自社に適用する方法が主流でしたが、多様性の時代には、リーダーシップのあり方も一様ではありません。日々の経験と結果から学ぶことが大切になります。そのためには、失敗するかもしれないという恐怖を乗り越えて挑戦し、ときには失敗の痛みに耐える必要もあるでしょう。リーダーには、それを可能とする「適応力(レジリエンス)」が重要であり、その上で、リーダーが自分自身のミッションを自覚し、自分の言葉で語り、人々をひきつける力を持つ必要があります。そのためには、「なぜ」を伝えられるコミュニケーション力が求められています。

変化への対応を求められる時代にあり、今後どのような能力が必須となるか、見通すことが難しい今、「この知識・スキルさえ学んでおけば大丈夫」と断言できるものはありません。しかし、そういうときだからこそ身につけておくべきは、どんな変化にも対応できる力の源となる「基礎力」です。例えば、「社会人基礎力」(左図参照)は、人生100年時代の到来を踏まえて、これまで以上に長くなる企業・組織・社会との関わりの中で、個人がライフステージの各段階で活躍し続けるために必要な力として、経済産業省が定義したものです。主に3つの能力――「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」と、3つの視点――「どう活躍するか」「何を学ぶか」「どのように学ぶか」から構成されています。基礎力といっても、中間層やシニア層も常に更新が必要です。パソコンやスマートフォンに例えるなら「OS」のようなもの。3つ

変化に流されない基礎力と専門性を持ち意志を持って行動できる人材へ

■■Special Feature■■ 令和時代の人材育成

株式会社トッパン マインドウェルネス代表取締役社長

岩崎 玲子

デジタル技術が進化し、時代が変わってもリーダーシップの重要性は変わらない

の視点を意識して自分自身の学びのテーマや学び方を振り返りながら、時代に合わせてアップデートしていくことが求められています。このOSの上に、具体的な成果をもたらす専門知識、例えばデ

ジタル領域でのAI、IoT、環境や宇宙開発のような学際的テーマなどが乗ってきます。こうした専門性を一人ひとりが追加し、高めていくことが望ましいでしょう。先の見えない未来を「不安」と思うか、「可能性がある」と捉え

るか。これからの時代には、自分で物事をいかに捉え、どう考えていくかが重要になります。当社は創業以来、自分と組織を俯瞰して客観視する視点を持ち、思考する人材の育成を重視してきました。この視点は社会人基礎力における3つの視点そのものであり、これからもこの視点を大切にしながら、時代に合う人材育成をお手伝いしていきます。

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現場の知識からマインドセットまで

多彩な知識・スキルが個を伸ばし、組織を強める

現場に必要な知識・ノウハウをデジタル教材化して、効果的な教育を実現する

実務に活きる知識を確実に身につける。完全習得型デジタル教材

P.10

社内スキル職場によって異なるスキル。組織・企業内で用いられる独自の知識やスキル、ノウハウなど

作業手順

ITスキル

語学力 財務会計

業界動向

商材知識

コンプライアンス

業務知識

専門スキル職務の遂行に必要な専門化された高度な知識・スキル

人 材 育 成 を 通 じ て 知 識 や ス キ ル を ア ッ プ デ ー ト!

一人ひとりの理解度・進捗に合わせた学習で、日常業務に必要な知識の完全習得を促すデジタル教材「CoreLearn(コア・ラーン)」。実務につながる基礎知識(コア)を鍛え、自信を持って現場で活躍できる人材の育成を支援します。

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現場の知識からマインドセットまで

多彩な知識・スキルが個を伸ばし、組織を強める

ビジネスの現場で求められる知識やスキルには、業種や職業、職種などによってさまざまなものがあります。また、社会人として仕事をしていくために備えておくべき、基礎的な能力・心構えなどもあります。キャリアや年代に関係なく、ビジネスパーソンとして長く活躍し続けていく中で、どのような知識・スキルを身につけ、アップデートしていくか。時代の潮流に合わせて、いかに新たな知見を獲得するか。人材育成は、自らの価値や組織の戦力を高める機会となります。

コミュニケーションスキルから組織マネジメントまで、個を伸ばし組織を変革する

P.16

対話と内省を通じて客観的な「目」を育て人の成長と組織の変革を支援する

トッパン マインドウェルネス

基礎力職業にかかわらず、職場や 地 域 社 会 で 多 様 な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力

キャリア意識主体性を持って自ら能力向上を図り、キャリアを切り拓いていく意識

マインドものの見方や考え方。仕事に向き合う姿勢や思考、心構えなど

コミュニケーション

モチベーション

リーダーシップ

ビジネスマナー

変革意識

自律性

使命感

キャリアビジョン

マネジメント

ファシリテーション

トッパンでは、知識やノウハウを共有・学習するためのデジタル教材・学習システムや、個人のスキルやモチベーションを向上し組織を活性化するための人材育成・コンサルテーションサービスを提供しています。

個人の主体性やモチベーションの向上、人と人とのコミュニケーションの観点から、組織と個人を活性化し、対話のある組織をつくるための人材育成・コンサルテーションサービスを提供しています。

■■Special Feature■■ 令和時代の人材育成

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理解度に応じた出題で苦手分野も完全理解

最適なタイミングの復習で知識の完全定着を図る

学習履歴データを活かして適切なフォローアップ

パソコン・タブレットはもちろん、スマートフォンでも利用可能で、学習者は自分のペースで学習を進めることができます。また、一人ひとりの解答をもとに各個人の苦手分野を自動で分析し、個々の理解度に応じた出題をすることで「完全理解」を促します。そして、一度学んだ内容を知識として定着させるために、忘

独自の出題方式により、理解度に応じて出題内容が変わります。間違えた場合は、間違いに応じて苦手克服問題が出され、完全理解できていなければクリアできない仕組みになっています。

出題

A

A

B

B

Aさん 出題(Aさん用)

出題(Bさん用)

×

×

○Bさん

一度覚えた知識でも、そのままでは記憶は自然と薄れてしまうもの。コア・ラーンでは、最適なタイミングで復習問題を繰り返し出題する「反復学習方式」によって、知識の完全定着を図ります。

管理画面では、学習者個人から全体まで、それぞれの進捗状況や学習量の閲覧が可能。学習データから人材育成に有効な情報を把握できるので、適切なフォローアップに役立ちます。

れそうなタイミングで復習を促し、学習内容の「完全定着」を図ります。さらに、デジタル教材ならではの学習履歴の可視化により、管理者が各自の学習の進捗状況や結果を多角的に分析・閲覧することができ、それぞれの強みや弱みなどを把握することができます。

「コア・ラーン」が実現する学習体験――3つの特長

1 2 3

覚えている(%)

3〜4倍の定着率

復習の差

学習後の日数20分後 1日後 1週間後 1ヵ月後 2ヵ月後0

20

40

60

80

100復習した場合復習した場合

復習しなかった場合

復習しなかった場合

74%忘れる

復習 復習 復習

一人ひとりの理解度・進捗に合わせた学習で、日常業務に必要な知識の完全習得を促すデジタル教材

「CoreLearn(コア・ラーン)」。実務につながる基礎知識(コア)を鍛え、自信を持って現場で活躍できる人材の育成を支援します。

実務に活きる知識を確実に身につける。完全習得型デジタル教材

T O P P A N S O L U T I O N

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現在リリースされているタイトル「法務コース」「財務コース」「税務コース」「外為コース」「FP1級」「貸金業務取扱主任者」「コア・ラーン/金融マーケット教本」

現場のニーズに応える自在な教材づくりで、実践的な教育を実現!

「遠隔コーチングサービス」

社内の研修資料・マニュアルをまとめてデジタル教材に

金融ビジネスの最前線を支える専門教材がさらに充実

対面式の集合研修では、講師・受講者の交通費や移動時間といった手間に加えて、コストの問題や教え手側の能力のばらつきなど、研修の悩みが多々あります。こうした課題を解消しながら、より効率的・効果的な教育を行うために、コア・ラーンではデジタルの利点を活かした

「遠隔コーチングサービス」を開発中です。研修におけるロールプレイなどの様子を動画で撮影し、 コア・ラー

ンで共有可能にします。動画を視聴するだけでなく、コメント機能によって、当事者や講師が視聴しながらコメントを書き込むことができ、細かな指摘やフィードバックが可能です。また、データの蓄積により、ノウハウの共有にもつながります。

ロールプレイの様子を動画撮影

コア・ラーンで共有・視聴・フィードバック

●動画の共有で 研修を効率化●講師による確実な フィードバック機能●学習者は指導内容を 随時確認可能●データの蓄積で ノウハウ共有

従来使用してきた教材、業務マニュアル・手順書など、さまざまな資料をデジタルテキスト化。この資料をもとに、問題を作成し、学習コンテンツづくりを行います。これをコア・ラーンに搭載すれば、 独自の学習ドリルとして、社内で広く提供することができます。またオリジナル教材をデジタルテキスト化し、コア・ラーンに搭載できるので、同じアプリ内で教材を復習することもできます。

コア・ラーンでは、金融機関向けに専門のデジタル教材を提供しています。教材の内容は、金融教育のフロントランナーである株式会社きんざい様が監修。きんざい通信講座テキストに沿った体系的理解を可能にする質の高い問題で構成され、一般問題集の約15倍の収録量を誇ります。今後も続々と新しい科目をリリース予定です。

 コア・ラーンはニーズに合わせた多様な教材を提供することができます。例えば、現場の業務マニュアルなどをもとに、独自の学習コンテンツを作成し、教材としてご活用いただけます。「教

オリジナル教材

デジタルテキスト化 教本・参考資料など

学習ドリル

材はあるが知識が浸透していない」「組織合併により実務知識や業務手順の共有に課題がある」など、さまざまなケースに応じて教材を編集し、効果的かつ効率的な学習を支援します。

開発中!

研修で使ってきた教材や業務マニュアルなどのオリジナル教材

(紙資料やオフィスソフトで作成したファイルなど)

PDF、スライド、HTML5ナレーション付き動画、アニメーションなど、適切な手法でデジタル化

●問題の作成  ●解説の作成●類題の作成  ●図表の作成

etc.コア・ラーン

システムに搭載(ASPサービスあり)

コア・ラーン専用の学習コンテンツづくり

■■Special Feature■■ 令和時代の人材育成

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株式会社琉球銀行様

実務に活きる知識力の向上とコミュニケーション活性化を両立

Case 1

株式会社琉球銀行様では、2018年6月から「CoreLearn(コア・ラーン)」を導入。個人事業主や法人に対して融資相談を行う事業性営業担当行員や新入行員をはじめ、多くの行員が実務に欠かせない知識力強化のための学習ツールとしてコア・ラーンを活用しています。導入の背景や人材育成の現場でどのように活かしているか、琉球銀行様の人材育成の要諦とともにお話を伺いました。

 琉球銀行様では近年、人員構成の若返りが進んできた中で、人材育成に課題を抱えていました。現場で若手行員に教える立場の先輩もまだ若く、業務も多忙な中で思うような教育が実現できていないという状況でした。現状を打破するために、2017年11月、金城芳樹さんと山内将さんを専任として人事部人材開発室に育成強化のプロジェクトチームが発足。まず全店の全行員にヒアリングを行って現場の声を集め、育成すべきスキルは何か、それをどう体系立てていくかを模索しました。たどり着いたのは「人間力、実践力、知識力」の3要素。これらを基軸として若手層、ミドル層、マネジャー層といったステージごとにスキルアップしていくための人材育成体系を構築しました。 そうした中で金城さんは「ヒアリングで見えた課題として、若手の中には財務の知識がまだ不十分で、決算書の見方に慣れていない部分もあると分かりました。これでは現場に出てお客

さまに提案・交渉することができません。そこでまず財務に関する知識の強化が必要だと感じました」と振り返ります。 また、支店ごとで育成の取り組みにばらつきがあるという課題も見えてきました。教える人・教わる人の双方が忙しくてなかなか教育に手が回らないケースもあり、知識力にも差がついてしまうことがありました。「若手行員の知識力を均一にレベルアップしていくにはどうしたらいいか。さらに、離れた支店で勤務する行員にも教育機会を公平に与えるためにはどうしたらいいか。そのようなことを考えていたときに、コア・ラーンのことを知りました」(山内さん)。

 同行では2018年6月から3カ月間、コア・ラーンをトライアルで導入し、「財務」の学習を実施。参加者を募るとすぐに予定の倍の応募が集まりました。実施後には受講者から、「財務を体系

若手の力を等しくレベルアップしたい

対話で意欲を高め、やるからには楽しく!

株式会社琉球銀行人事部 人材開発室調査役

山内 将さん

株式会社琉球銀行人事部 人材開発室調査役

金城 芳樹さん

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支援不可欠・未経験

的に学ぶことができた」「決算書への苦手意識がなくなった」「決算書を見て何がポイントか自分で考えられるようになった」という声が上がるなど、想像以上の手ごたえがあり、2018年12月からの本格導入に至りました。 受講者にとっては、コア・ラーンはスマートフォンを使って自分で学習を進められるので、“すき間時間”に学べることも受講者のメリットです。実施する側にとっては、大勢の受講者に対して効率的に学習を提供できるという利点はもちろん、コア・ラーンで習得した知識を共通の土台として、集合研修や勉強会では、より実践的な教育を行うなど、さらに充実した人材育成の展開にもつながっています。 コア・ラーンを通じて効率的で効果的な教育を実施する一方で、金城さんと山内さんは学習者とのコミュニケーションやサポートを大切にしてきました。 「若い人に単に“受講してください”と言うだけでは行動にも実力にもつながりません。目的意識を持って意欲的に取り組んでもらうためにコア・ラーン導入のねらいや、知識が実務にいかに活きるかということを丁寧に説明しました」(金城さん)。 さらにその上で、「やるからには楽しい方がいい。みんなで競い合いながら連帯感を持って取り組んでもらえるよう、支店対抗・同期対抗などでランキングを発表したり、修了した人の写真を社内SNSにアップしたりするなど、みんなのモチベーションを高める工夫をしました」(山内さん)。 コア・ラーンには受講者の学習履歴や進捗を確認できる管理機能があり、これを活用して一人ひとりの学習状況を見ながらサポートを行い、学習が進んでいない行員には「何か不具合があった?」「使い方は分かる?」といったところから個別フォローも実施しています。「人材育成の基本は、学習者に寄り添うことです。ただ答えを教えるのではなく、その人が自分なりに考え、自ら答えにたどり着けるように導くこと。そのために一人ひとりを気にかけ、向き合い、対話して、ケアしていけば、人は必ず育っていくと実感しています」と、山内さんと金城さんは人材育成のポイントを語ります。

他人事から自分事、他者への貢献意欲、他者への興味・好奇心、リーダーシップ、マネジメント力、粘り強さ、やり抜く力 etc.

相談・交渉力、融資案件組成、ライフプランニング、ロジカルシンキング、対話力(質問力、提案力)、解決行動力 etc.

財務、税務、法務、FP、不動産、業界動向その他専門的知識(人、モノ、金、情報)、業務知識 etc.

2018年6月から2019年9月までに、コア・ラーン「財務」を、計5回、442名が受講。2019年10月からは税務、法務コースも導入。

コア・ラーン「財務」の画面例

人間力 知識力実践力

 各支店からはコア・ラーンでの学習を通じて、「みんなで同じ課題に取り組むので互いに教え合うことはもちろん、上司とのコミュニケーションも活発になった」「自分で学んだことで、若手行員が業務をより“自分事”として捉えられるようになった」などの声が上がりました。中堅やベテランの行員にとっても勉強し直す良い機会となり、「学び直し」のニーズにも応えることができました。今年度からは財務のほかに税務、法務の教材も導入。さらに今後に向けて、他の教材の導入も検討するなど、さらなる拡充が計画されています。 「私たちの究極の理想は、全員が支店長を目指してスキルアップしていくこと。支店長の次は部長、役員、最終的には全員が頭取を目指す。そのために育成のあり方をいかに築き、環境整備を行っていくか。人材育成にゴールはありません。これからも実直に取り組んでいきます」とふたりは笑顔で語ってくれました。

目指すは「全員が支店長」

琉球銀行の人材育成3要素人間力

実践力

知識力

「知識力」向上にコア・ラーンを導入

「スマートフォンで完結しているので、気軽に学ぶことができます。学生時代に習得していた財務の知識はさらに深く、全く知識のなかった税務は基礎から身につけることができました。これから受ける検定にも役立ちます」(島田さん)

「細かい知識まで網羅していて、続けるたびに自分の苦手分野が分かるようになってきます。1つのセクションが3~5問なので、10分休憩の間にサクッと学習できます。チーム対抗なので仲間と情報共有したり教え合ったりしています」(新城さん)

新入行員の声コア・ラーンを利用している

(左)島田七海さん(右)新城航太さん

支援により遂行可能

単独で対話から課題解決に向けて考動ができる

単独で深度ある対話ができ、課題解決のために考動ができる

事業先およびオーナー層の課題解決のために考動(案件組成・ソリューション提案)ができる

■■Special Feature■■ 令和時代の人材育成

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凸版印刷株式会社滝野工場

印刷の現場で培ってきた知識と技能をデジタル教材化して効果的な教育を実践

Case 2

凸版印刷滝野工場では、2018年11月から商業印刷を担う部門で「CoreLearn(コア・ラーン)」を導入し、独自の教材による育成を実施しています。教材の核となっているのは、より良いものをより効率的につくるために培われてきた現場の知識と技能。こうしたノウハウを教育するために、滝野工場ではどのような取り組みを重ねて、現在のコア・ラーンを利用した人材育成にたどり着いたのでしょうか。新谷工場長がお話しします。

 滝野工場は幅広いジャンルの印刷物を手がける工場群となっています。この中で商業印刷を担うオフセット輪転機という印刷機を扱うチームでは、総勢80名が交代制で24時間稼働していました。2008年、それまで順調に推移していた生産能率が下降へ転じたことを機に、現場管理者を中心に問題点の洗い出しを行いました。オペレーター全員へのヒアリング調査を実施したところ、主な原因として機械の回転率低下がありました。さらに要因を探ると機械トラブル発生時の対応力不足に起因していました。これはスタッフ間で技能や知識のばらつきがあるためと推察され、誰もが適切な対応ができるように教育を見直すことが必要だと考えました。

 それまでの教育を振り返るとほとんどがOJTでした。1台の輪転機に対して複数人によるチームが3組あり、トラブルが起こるごとに解決策を指導する研修を行っていました。しかし、研修後には改善しても、多忙な中で数カ月すれば記憶は薄れてしまいます。チームによってスキルに差もありました。指導側にとっても同じような説明を何度もせねばならず、負担は大きいものでした。 そこでチームを横断して、効率良く誰もが同じ知識を持てるように、よくあるトラブルへの対応や機器調整の手順などをマニュアル化した「印刷教科書」を作成し、情報共有を図りました。これにより一定の成果は得られたものの、さらなる内容の充実に向けて、もっと良い手立てがないかと模索していました。そうした中で「CUDBAS※(クドバス)」という手法を知り、印刷に必要な知識・技能の体系化を目指すことにしました。

 クドバスの手法を取り入れた教材作成は、独自のフローを加えた5ステップで進めました。 まず、①印刷に必要な知識・技能の整理です。印刷機の部位別に必要な事項をヌケ・モレ・ダブリなく書き出し、網羅しました。全9章180項目からなる膨大なものになりましたが、現場を動かすために頭に入れておかなければいけない内容です。 次に、②各人が①の項目に対して自身の能力を点数評価しました。項目ごと5点を満点とし、4点以上で指導者レベルとしました。数値化することで知識が不足していた部分が明確になり、自分の弱いところに一人ひとりが気づくことができました。 このカリキュラム作成で私たちがこだわったのが、③180項目に対する手順書を社員全員で分担作成することでした。得意・不得意にかかわらず、自分で作ること自体が勉強になり、理解も深まるからです。作成したものは各自が発表を行い、内容に間違いがないか、全員で精査し合いました。 そして、④自分たちで作った教材をもとに、全員に教育を実施しました。1日1回を目標に、3カ月間ほぼ毎日勉強会を実施。最

生産能率の改善に向けて教育のあり方を見直す

一人ひとりが習得すべき技能だから全員で教材づくりに取り組む

※CUDBAS:株式会社 技能・技術教育研究所の森和夫代表が開発した職業能力の構造化カリキュラム開発手法。「A Method of Curriculum Development Based on Vocational Ability Structure」の略

株式会社トッパンコミュニケーションプロダクツ滝野工場 工場長

新谷 浩三

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終的に、制作した教材は、⑤項目別に整理して誰もが検索・閲覧できるようにしました。この運用を実施して3カ月後、2011年12月の生産量は前年比107%、生産金額も109%という実績を出すことができました。

 生産性の向上に伴い、各人の知識・技能も確実にレベルアップしていました。これを品質の向上・安定化につなげるために、さらなる知識の体系化を進めました。 品質向上の教材づくりは、過去の事故や「ヒヤリハット」の事例を題材として、その原因を徹底的に洗い出すことから始めました。そして、事故を防ぐためにどんな知識や技能を備えておくべきだったかをケースごとに見極め、先に作成した技能の教材と結びつけていきました。こうして実例を通じて、危機の認識から対応策の理解、状況に応じた適切な判断や指示を学べる教材を作成し、人材育成に活用していきました。その結果、2013年上半期からクレーム件数は減少、2015年後半期にはクレームゼロを達成することができました。 しかし、こうして教育を充実させていく中で、悩ましい点がありました。ひとつは管理者側の負荷です。数十人を対象に研修を行い、テストを実施し、採点する――これだけでも大変な作業です。そしてもうひとつ、学習内容を一人ひとりに、よりしっかりと定着させること。人間は忘れる生き物です。せっかくいい教材を作って教育を行っても、成果を継続できなくては意味がありません。管理者の負荷を軽減しつつ、充実した教育を続けていくにはどうしたらいいか。 そんなときに、コア・ラーンに出会いました。2018年に、全9章180項目に及ぶ知識・技能に関する教材をコア・ラーンに登録し、11月から約4カ月にわたって学習を実施しました。新人からベテランまで、学習者にはタブレット端末を貸し出し、63名が受講。各自が個別に学習を進めることができたので、効率的に実施することができました。 コア・ラーンの良さとして、ドリルの演習問題で間違った設問には解説が表示されるので、学習者は何が間違っていたのかをその場ですぐに理解することができます。間違ったところは繰り返

し学習することができますが、再テストで同じ問題が出されることはありません。答えを暗記していればクリアできるというものではないので、知識の本質的な習得に役立ちます。また、各自の学習状況が自動で集計され、点数だけでなく進捗状況や勉強時間も把握できるのが、管理者側にはありがたいです。 そしてコア・ラーンの仕組みとして、教材の問題や解答について随時修正を加えていけることも有益です。内容訂正だけでなく、設問を「もう少し難しく」という調整もできますし、解説資料の改善もできるので、学習者のみならず管理者も勉強しながら、より良い教材へと進化させていけると感じています。 学習者の満足度は高く、多くの社員から「役に立った」「知識習得への効果を実感した」「現場での仕事に活かせる」という声が聞こえ、自主的に学ぶ姿勢も見られました。紙ベースで運用していた従来の教育では一人前になるまで10年はかかっていましたが、コア・ラーンの活用で3年に短縮できると見込んでいます。 教える人が複数いれば、少なからずノウハウにばらつきが出てしまいますが、こうしたデジタル教材であれば、確かな知識を全員に等しく定着させることができます。我々のような製造業だけでなく、コア・ラーンは他の分野・業界でも、人材育成にとても有効に活用できると思います。

培ってきた技能を品質向上にも活かしさらにコア・ラーンでより効果的な教育を実現

滝野工場独自のコア・ラーン教材学習ドリルの設問画面。図版や写真を多用し、見た目にも分かりやすく工夫されている

 以前は、先輩から教わった内容や自分の経験則から状況に応じて機械を扱っていたところがありました。しかし、コア・ラーンで体系的に繰り返し学習したことで総合的な知識が増え、トラブルを回避したり、リカバリーしたりするスピードが早くなったと感じています。 特に機械トラブルに関しては、これまで経験に基づく推測で対応していたのですが、今では的確な対応策をスムーズに導き出せるようになりました。

知識の幅が広がったことで経験だけに頼らずトラブル対応が迅速に

凸版太郎

間違えた際には答えと一緒に解説も出るので、その場で確認できる

印刷工場の現場で必要とされる知識・技能を学習するために作成された、滝野工場独自のコア・ラーン教材。滝野工場での通称は「CUDBAS×CoreLearn(クドバス・コア・ラーン)」。全9章180項目からなり、実際の機械操作やメンテナンス方法についての設問もあり、実践的なノウハウを身につける教材になっている。

株式会社トッパンコミュニケーションプロダクツ滝野工場 印刷課 北 寿

■■Special Feature■■ 令和時代の人材育成

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対話と内省を通じて客観的な「目」を育て人の成長と組織の変革を支援する

人材育成・コンサルティングサービストッパン マインドウェルネス

 トッパン マインドウェルネスが大切にしているのは、「現場実践主義」。受講者が、研修やワークショップで得た知識や気づきを、いかに職場(現場)で活かせるようになるか。社員や組織が自律的に成果を生み出せるように支援する各種サービスを提供しています。

戦略、マネジメント、組織構造を踏まえ、一人ひとりの内発的変革を支援し、事業目標達成につながる組織能力向上を推進します。

●働き方改革●組織の関係性構築●企業理念やビジョンの浸透●組織の体制や方針変更への理解

テーマ例

個人を育てる「研修」と組織を育てる「組織開発コンサルテーション」

「組織開発コンサルテーション」の流れ

個人の主体性やモチベーションの向上、人と人とのコミュニケーションの観点から、組織と個人を活性化し、対話のある組織をつくるための人材育成・コンサルテーションサービスを提供しています。

サービスコンセプト——「トリの目®」とは自分自身を含めた組織の現状を、目的、時間、周囲との関係性から客観視する目であり、組織が変化に対応するために、リーダーが「トリの目®」を持ち、思考することを人材育成の基盤として重視しています。

※「トリの目」は、株式会社トッパン マインドウェルネスの登録商標です

トリの目

主体性を引き出す研修プログラム

成果を上げる組織づくりを支援する

組織・人材の戦略的開発を支援するアセスメント

研修で学んだ人々が「トリの目®」を持ち、主体的に行動する(相手に行動させる)ことに主眼を置いたプログラムを開発、提供しています。  

●コミュニケーションスキル系研修 (コーチング、ファシリテーションなど)  ●思考系研修 (日々の戦略思考、キャリアデザインなど)

研修と職場(現場)をつなぎ、実践による経験からの学習を促し、成果を生み出す組織づくりを支援する組織開発のコンサルティングサービスを提供しています。

●対話を通じたメンバーの関係づくりと 当事者意識の醸成●チームによる課題解決の推進など

組織とそこで働く個人の活力を測るアセスメントや、個人に対する多面評価などで組織開発・人材開発を支援します。

●組織活力調査●マネジメントフィードバック

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やること・決めること

フィードバックサイクル

①安心して話せる 場をつくる

③創って試す

②事実を見て 発見する

④結果から学んで活かす

論点抽出 プロセス設計 現場実践 結果からの学習

・サーベイ・インタビュー・観察・ブレスト・ワークフロー分析

・何/誰が 変えるか

・どんな 手法を使うか

・いつ行うか・何で 評価するのか

T O P P A N S O L U T I O N

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研修で得た“気づき”が現場で活きる。多様な「トリの目®」研修シリーズ

内省を通じて自己客観視する力を身につけるプログラムをご紹介!随時実施している体験セミナーでは、実際のプログラムで行われるワークや講義の一部を体感いただけます。

社会人基礎力のアップデートに対応

自律型リーダーを育てる 日々の戦略思考研修 変化の時代の新マネジメント研修

体験セミナー随時実施中! 詳しくは、https://www.mindupnavi.com/seminar-free/

プログラムの目的●VUCA(ブーカ)の時代のリーダーに求められる能力として、日々の業務を

戦略的に捉える力を知る●「日常業務において戦略的に思考し行動する」とはどういうことかが理解

できる●ものごとの本質を捉え、計画~行動するためのスキルを学び、職場で実践

できるようになる研修の特徴●VUCA時代を生き抜く次世代リーダーにとって欠かせない思考・行動スキ

ルを体系的に習得する。●自律型リーダーに必要な「戦略的に思考すること」とはどういうことかを、ケー

スを通じ、自分達の現状とあるべき姿を比較し、考察しながら学んでいく。●実際の自分自身のケースで考えてみることで、職場への適応を真剣に考え

る動機付けを図る。●個々人が仕事の最前線において、より戦略的に思考し、行動するためのプ

ロセスを、「日々の戦略思考モデル」として凝縮し、それぞれの職場に持ち帰ることができる。

プログラムの目的●これからのマネージャーの役割を理解する●マネジメントに必要な心構え・スキルを学ぶ●これまでの自分自身のマネジメントスタイルを振り返る●今後のために実践練習を行う研修の特徴

[コンセプト]一人ひとりを信頼し、自律型人材を育てる1.自己認識を深めイキイキと!  自らを客観視することにより、自分は何を大事にしているか、何のために

働いているかを一歩深く考えたり、周囲から助けられている自分を認識することができるようになり、意思を持って考え、動けるようになる。

2.マネージャーへの期待役割を果たすスキルを体系的に習得する  マネジメントで必要とされるスキルを体系的に理解することで選択肢が広

がり、自組織のために最も自分が取るべき行動を判断できるようになる。3.マネジメントスタイルの変革を動機付ける  マネージャーの仕事は複雑であり、かつ社会の変化に対応する必要があ

る。自組織の成果創出のために、いまの時代に即したかたちでマネジメントスタイルを変革していくことを支援する。

トッパン マインドウェルネスでは、対話によって内省を促し、「トリの目®を持つことの大切さ」、トリの目®を持つことで組織や人が「どう変わるのか」を理解・意識して行動できるように、系統別・階層別に、さまざまな研修メニューを実施しています。

お客さまの状況をヒアリングした上で、幹部・管理職・監督者・中堅・若手社員など、さまざまな役割やスキル習熟度、および求められる成果に応じて適切なアプローチを検討し、研修プログラムを提供しています。

PICK UP!

幹部

組織変革リーダーシップ

マナー

(メンティー)

マネジメント

コーチング

プレゼンテーション

部門業務スキル

専門知識

目標設定と

フィードバック

メンタリング(メンター)

ファシリテーション

部下のやる気は上司次第

相手の意図をきく力

ダイバーシティマネジメント

システム思考

キャリア・シフトチェンジワークショップ

日々の戦略思考

問題解決

戦略策定手法

財務分析手法

マーケティング

プロジェクトマネジメント

業務改善手法

ロジカルシンキング

キャリアデザインを仕事に活かす

監督者

管理職

中堅担当

若手担当

コミュニケーション系 思考系 ビジネス知識・スキル系

次世代リーダー育成プログラム

■■Special Feature■■ 令和時代の人材育成

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 グローバル化が急速に進み、英語によるコミュニケーションが求められる機会が増えてきました。近年は読み書きだけではなく

「話す」ことがフォーカスされています。 日本人は英語を聞き取る力と発音が苦手といわれますが、その理由は「音」の数の違いにあります。日本語の音の数は70個ですが、英語の音の数は600個。日本語にない音が多数存在しています。認識したことのない英語の音を聞いたとき、脳内では、自分が知る日本語の音として聞き取ってしまうため、“聞き取れない”という現象が起きるのです。英語を聞き取るためには、音を正しく認識し、発音できるようになる必要があります。つまり

「発音できる音は聞き取れ、聞き取れる音は発音できる」のです。 これに着目して開発されたのが、音声学に基づく音声評価と音響分析技術を合わせた発音判定矯正エンジン「プロンテスト®」。一般的な英語発音判定教材では、サンプルに対する近似値を測定し、発音が誤っていることを指摘するものがほとんどです。「プロンテスト®」は発音した音声をリアルタイムで分析し、口の開き方から舌や歯の位置まで具体的に示し、どうすれば正しく発音できるかを教えてくれます。「プロンテスト®」は母国語と学習言語を入れ替えることにより、多言語展開も可能。英語以外の言語の発音学習にも対応できます。

 「プロンテスト®」を使った教育サービスは3つ。教材とカリキュラムがセットになった「PRONTEST CALL」と「発音特訓パック」。そして、必要な機能を選択して利用できる「イージーオーダーサービス」があります。 「PRONTEST CALL」は学生向けで、中級レベルの英語を使った練習教材を収録。「発音特訓パック」は、日常シーンを想定したビジネスパーソン向けの練習教材を収録し、生活の中で「通じる英語」を学ぶことができます。この2つのサービスから必要な機能を選択して利用できるのが「イージーオーダーサービス」。導入先企業の研修内容や要望に応じて、機能や内容をカスタマイズしてご利用いただけます。

自分が発音した口の中の状態をリアルタイムで「見える化」。口を縦に、あと何ミリ開けて、など細かな指導がなされる。

単語と単語をつなげる際の音の変化や消え方のパターンを学ぶ「リエゾン法®」。より英語らしい音読ができるようになります。

正しい発音こそが英語技能のベース口をどう動かせば正しく発音できるかを指導

教育ツールとして採用実績多数ビジネスに合わせてカスタマイズも

「聞き取る力」と「通じる発音」が身につく英語発音トレーニングサービス

プロンテスト®義務教育における必修化にはじまり、高校大学の入学試験、 インバウンド対策など、英語習得は世代・業界を問わず社会全体の課題のひとつといっても過言ではないでしょう。訪日外国人とのコミュニケーションのみならず、失敗できないビジネスシーンでも、求められるのは“使える英語”。日本人が苦手とする

「聞き取り」と「発音」の向上を目指し、発音判定矯正エンジンを開発する株式会社プロンテストとトッパンが、英語学習の新しいカタチを切り拓きます。

母音チェック機能 リンキング練習

●カリキュラムに沿った単語・リエゾン・文章練習

●中級レベルの英語を使って「通じる発音」を練習

必要な機能(単語練習・判定、文章練習・判定、お客さまオリジナルの単語・文章の自由判定など)を選択してサービスを提供します。教育現場・企業研修など、要望に応じたカスタマイズ対応が可能です。

基本機能

オプション機能

単語練習・判定

母音台形

デザイン変更(トップ画面) いたずら防止(音声認識エンジン)

オリジナル単語・文章 学習履歴管理

文章練習・判定

PRONTEST CALL

イージーオーダーサービス

発音特訓パック●36音素に特化した単語・リエ

ゾン・文章練習●日常的に英語を使うシーンを

使って「通じる発音」を練習

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T O P P A N S O L U T I O N

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 「できるーと」は、就学前の子どもを対象に、小学校以降の成長を支える「基礎力」「考える力」「挑戦する意欲」といった“まなびの土台”を、親子のコミュニケーションを通じて育む家庭学習教材を含めたサービスです。 子どもが自分なりに考え、試行錯誤して答えを導くことに挑戦し、「できる・わかる」ことの楽しさや「考える」ことのおもしろさを体感することを大切にしています。そして、その過程での頑張りを保護者が見守り、一緒に喜ぶことで、自信を持ってまなびに向かうことができます。 こうした体験を繰り返す中で、子どもが自ら意欲を持って課題に挑戦し、解決に向けて試行錯誤しながら、一つひとつ理解し、達成していく力を養っていきます。

 「できるーと」は、「ワークえほん」「ワークアプリ」と保護者向け「おうえんアプリ」をセットで使い、一人ひとりの理解度やペースを大切に、学習を進めます。 まず、ストーリー仕立ての「ワークえほん」を使って、親子で楽しみながら問題の考え方をまなび、子どもの好奇心や知識の土台をつくります。そして、「ワークアプリ」を使って、子どもが自分の力で課題に繰り返し挑戦し、確かな基礎力を身につけます。 保護者は子どもの達成度だけでなく、習熟度や取り組み姿勢などを「おうえんアプリ」で確認することができます。苦手な問題のフォローアップや頑張りに対して、ほめたり励ましたりすることで、子どもの知識と意欲をバランスよく育むことにつながっていきます。

「できる・わかる」楽しさと「考える」おもしろさを体感

まなぶ力をスモールステップで丁寧に積み上げられる学習体験

「えほん」×「アプリ」で、考える力を育む!親子で取り組む幼児向け家庭学習サービス

子どもたちのまなびにおいても、ICTの活用が広がっています。タブレット端末やアプリなどのデジタル教材が登場し、直感的なタッチ操作や興味を引くアニメーションなどで、子どもたちが楽しみながら進んで学習に取り組めるものが増えています。トッパンでは、幼児教育に関する豊富な知見と絵本や教材などの編集・出版ノウハウを持つ株式会社フレーベル館と協力して、アナログとデジタル双方の教材の特長を組み合わせた、親子で取り組む新たな幼児向け家庭学習サービス「できるーと」を開発しました。(2020年1月発売予定です)

親子の対話で基礎が身につく 子どもが繰り返しチャレンジ

保護者が適切な教え方とほめ方を確認

えほんとアプリの連動でまなびの幅が広がる!

教え方とほめ方をサポート

教え方とほめ方をサポート

書く、貼る、切るなど自分で表現することを通して考え方の基礎を理解する体験

画面タッチで解き方を工夫しながら答えを導き、思考力・発想力を育む体験

子どもの学習状況をリアルタイムに把握し、適切な指導をサポート

●えほんのような物語を通して 親子一緒に楽しみながら学べる●鉛筆で書く力を身につける

●理解度に合わせた出題とヒントでつまずきを残さず、 基礎力を身につける●自分で問題を作り、親子で楽しむことで理解が深まる

●学習のねらいや間違い方に応じた教え方がわかる

●子どもが頑張ったポイントを確認し、具体的にほめられる     

ワークアプリワークえほん

おうえんアプリ

■■Special Feature■■ 令和時代の人材育成

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トッパン未来ラボ

トッパ ンの技術で未来を明るくする!

TOPPAN MIRAI Laboratory

Vol.8

TOPPAN MIRAI Laboratory

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印刷した模様を重ねるだけで絵や文字が、浮かぶ!? 動く!?

[モアレ絵柄コントロールシステム]

周期的な模様を重ね合わせたときに意図せず発生してしまう、「モアレ」。印刷物では邪魔者として発生を防ぐ方法が追究されてきました。トッパンでは、これまで積み重ねてきた技術やノウハウをもとに、モアレを自在にコントロールし、不思議でユニークな視覚効果として表現に活かすシステムを開発しました。

照明を落とした会場を懐中電灯を持って散策する、新しいタイプのイベント。一見、ただの縞模様の入った壁にライトを当てると、突然、ティラノサウルスの姿が浮かび上がる!

海外からのお客さまを乗せた飛行機を、大地に浮かび上がる巨大な「Welcome」の文字がお出迎え。機体が滑走路に近づくにつれて、文字や絵が動いて見える楽しい仕掛けもつくれそう。

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トッパン未来ラボ

トッパ ンの技術で未来を明るくする!

TOPPAN MIRAI Laboratory

Vol.8

TOPPAN MIRAI Laboratory

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モアレとは、規則的に並んだ細かい点や線などが繰り返される模様(パターン)を複数重ね合わせたときに、視覚的に発生する縞しま

模様のことです。カラー印刷では「C(シアン)」「M(マゼンダ)」「Y(イエロー)」

「K(ブラック)」の4色の微細な点(網点)を重ねることで色彩や濃淡を表現しているのですが、これらの点同士や印刷する絵柄と点の重なり具合によって、濃く見える部分と薄く見える部分が出てしまうことがあります。これがモアレとして縞模様に見えてしまいます。印刷物の仕上がりからすると、モアレは元の絵柄になかった不要なもの、すなわち“邪魔者”であるため、印刷の現場ではモアレを軽減・除去するための研究が長年にわたって行われてきました。トッパンでは、このような知見や技術を基に、モアレの特徴を

モアレによる視覚的な効果には、立体感や光沢感、浮遊感など、さまざまなアイキャッチ性があります。しかしこれまで、モアレの除去はできても、意図通りに発生させることができなかったため、こうした特徴を活用することができませんでした。「モアレ絵柄コントロールシステム」では、まず、モアレを使って表現したい画像や絵柄を抽象的な線や模様に分解します。そして、これらの結果を複数のシート(上側にくるシートは透明素材)に別々に印刷します。完成したシートはそれぞれを見ると何が描かれているのか分からない単なる模様ですが、シートを重ねることで、元の絵柄をモアレの効果を伴って浮かび上がらせることができます。これにより、特殊印刷や特別な加工なしに、絵や文字が立体的に見えたり、光沢を帯びているように見えたりするアイキャッチ性の高いポスターや商品パッケージをつくることができます。

活かした新たな表現手法の開発に取り組んできました。こうして誕生したのが、「モアレ絵柄コントロールシステム」です。

■周期的な模様の重ね合わせによって生じる「モアレ」

■「モアレ絵柄コントロールシステム」による制作の流れ ■「モアレ絵柄コントロールシステム」を使ったデザイン例

×

×

=

=

また、シートを重ねたときだけ文字が出る、絵柄が変化するといった効果を活かして、セキュリティ関連での利用も考えられます。シートを動かすと絵が動いて見える効果も設計できるので、“動く絵本”のような知育玩具にも活用できるでしょう。さらに、重ね合わせるシートの間に隙間を設けることで、見ている人が動けば、絵柄が動いて見える効果を設計することも可能です。これを応用すれば、デジタルサイネージを使わなくても、店舗のショーウィンドウに人目を引くユニークな広告をつくることができます。掲出内容の変更もシートを張り替えるだけでできるので、エネルギーとコストの削減も見込め、とても経済的です。トッパンでは、「モアレ絵柄コントロールシステム」のさらなる可能性を追究し、フルカラー化やデジタルサイネージ・映像との組み合わせなど、新たな活用法についても実践的な研究を続けていきます。

モアレを防ぐノウハウから、新たな表現手法を開発

アイキャッチ性の高いポスターやパッケージに活用

2つ以上の周期的なパターンの重ね合わせにより、元にはなかった縞模様(=モアレ)が生じる。

モアレで表現したい元の画像を解析・分解して、2パターンのシートを生成。これらを重ねると元の画像がモアレで浮かび上がる。

画像データを基にシステムによるパターンの生成

シートを重ね合わせると…

モアレにより、普通印刷でも立体感や光沢感を出すことが可能。アイキャッチ性が非常に高いため、警告表示や看板などへの活用が期待される。

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化粧品を“印刷”してコスメサンプルをつくるファンデーションやアイライン、口紅などを、少量、フィルムの間に閉じ込めたコスメサンプル。実はこれら、印刷技術を活用した「ペーパーコスメティックライン」でつくられています。活用されているのは、「孔版印刷」の

一種です。細かい孔あな

が開いた版の上からへらでインキを擦りつけ、孔が開いている部分から透過させて印刷面に直接インキをのせていく印刷方式です。たとえばファンデーションの場合、

まず、クライアントから提供された素材を適度に軟らかくします。これを専用の印刷機にセッティングして、フィルムの上に“印刷”していくのです。印刷後、乾燥させると素材は元の硬

さに戻ります。これをUV灯で殺菌して、上から透明なフィルムでカバー。下側のフィルムの印刷面には素材がしっかりのるように微細な凹凸をつけたり、上からカバーするフィルムには素材がくっつかないように内側がつるっとし

たものを使ったりするなど、細かな工夫が施されています。最後にひとつずつに切り分け、別に印刷しておいた台紙に貼ってコスメサンプルの完成です。

コスメティックラインでは、素材の特性や粘度などを見極めた上で、へらを動かす回数や速度、圧力など、印刷機の細かな設定が必要です。さらに、作業は時間との勝負。一度軟らかくした素材は、気温と湿度を一定に保った環境下でも、時間の経過とともに次第に元の硬さに戻ってしまいます。固まってしまっては印刷できません。そこで常に素材の状態を見極め、粘度を一定に保つ細かな調整が欠かせません。専門の職人の経験と繊細な感覚が、ラインを支えています。

ファンデーションがインキに!?

常に状態を見極める繊細な感覚

美しく確かな印刷を実現するための、インキ、用紙、道具、そして技術——。「印刷屋さん」の、知られざる舞台裏をご紹介していきます。

印 刷 屋 さ ん 道 具 箱の

第16回

ペーパー

コスメティックライン

完成品サンプル

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ウェアラブルIoAデバイスで遠隔体験

IN

トッパンでは、印刷技術・印刷表現をもとにした新たな製品・サービスを日々生み出しています。その中から、最新ニュースをピックアップしてお届けします。

NEWS & INFORMATION

そのほか最新情報はホームページをご覧ください https://www.toppan.co.jp/

トッパンは、遠隔地にいる人と体験を共有できるウェアラブルデバイス「IoAネックTM」を開発しました。本製品は「IoA仮想テレポーテーション®」技術を活用したもので、遠隔観光体験、スポーツ観戦、リモート・ワークなどの用途を想定しています。

「IoAネックTM」は、前面に搭載された端末から映像やさまざまなコンテンツの送受信が可能で、身につけた人が見たり聞いたりしたものを、遠隔地にある画面を通じて同時に体験できるデバイスです。

また「IoAネックTM」は、装着部分が振動することによるハプティクス※

で指示を出すことが可能です。遠隔地で画面を見ている人が、コントローラーを使用して「IoAネックTM」の装着部分を特定のパターンで振動させ、「右を向いて」や「左を向いて」などの指示を出すことができます。装着者からも意思を伝えることができるので、身体的な制約により言葉を話せない人や、言語が異なる人との間でも場所を選ばず双方向のコミュニケーションを図ることが可能です。

本年9月28日にはNTTドコモと共同で、さまざまな制約によりスタジアムに足を運ぶことが困難な鹿島特別支援学校の子どもたちを遠隔地から試合へ招待する取り組みを実施しました。※触覚を主とした、利用者に力・振動・動きなどを与えて皮膚感覚フィードバックを得るユーザー

インターフェース技術。 

映像・音声・ハプティクスによるリアルタイムコミュニ ケーション

インターネット・双方向接続

近年、地球温暖化や都市温暖化の影響による気温上昇で熱中症のリスクが増大しています。そのため、市民生活の実情に沿った、より細かいエリアでの測定や個人の状況を考慮したリスク評価ができるサービスが求められています。

こうした背景を受け、トッパンと東京理科大学は、リアルタイムに熱中症リスクを表示するシステム開発に向けた共同研究を開始しました。東京理科大学が保有する可搬型熱中症リスク評価センサを用いて、気温だけでなく湿度・風速・日射・輻射熱の気象データから計算される体感温度指標と個人の属性(年齢・性別・着衣量・活動状況)や所在する環境などの情報を組み合わせたオーダーメード型の熱中症リスクを測定し、トッパンの保有するIoTに適したLPWAネットワーク規格のZETA通信技術を連携し、リアルタイムで熱中症リスクを表示するシステムおよびサービスの提供を目指します。

移動可能なセンサによるデータ取得とZETA通信の特長を生かし、LTE(携帯)電波が届かない山間部などの遠隔地を含めた広範囲なエリアの熱中症リスクを表示することが可能なため、従来では取得が難しかった市区町村よりもさらに細かいエリアにおける熱中症リスクのデータ取得を実現。屋外労働者の労務管理や市民に向けた防災サービスとして熱中症予防への貢献が期待されています。

リアルタイムで個人に合わせた熱中症リスクを表示

遠隔指示者

両手が空くため行動が制限されない

「IoAネックTM」装着・利用イメージ

■ZETAを活用した熱中症リスク表示サービスの概要

「IoAネックTM」装着者

遠隔コミュニケーション

ヘルスケア

可搬型熱中症リスク評価センサ

Cloud

体感温度指標にて、街中の熱中症を可視化25°

45°

位置情報 日付・時刻

個人属性 体感温度指標

気温湿度風速

日射輻射熱

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お問

合せ

[email protected]

※本

誌掲

載記

事の

無断

転載

を禁

じま

す。

この情報誌(毎月8,500部)は、太陽光で発電したグリーン電力100%(年間3,000kWh)で印刷等されています。

この情報誌(毎月8,500部)は、太陽光で発電したグリーン電力100%(年間3,000kWh)で印刷等されています。

vol.133

グリーン電力証書システムに参加し、製造にかかる年間電力4,000kWh相当量の自然エネルギーの普及に貢献している製品です。

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/2019 年

12月2 日

©TOPPAN 2019.12 KⅠ

CO2の「見える化」カーボンフットプリント1冊あたりhttps://www.cfp-japan.jpCR-BS02ー13008

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